答辞 応用化学科四年 関根研 山口 正浩

学部卒業生 答辞 山口 正浩君

 柔らかな日差しが注ぐこの頃、春の訪れを感じる季節となりました。本日は新型コロナウイルス感染拡大に伴う非常事態の中、教職員の皆様並びにご来賓の方々のご臨席を賜り、このような盛大な式典を執り行って頂きましたことを、卒業生を代表いたしまして深く御礼申し上げます。

 思い返せば四年前、私たちはこの応用化学科に期待と不安を胸に入学しました。応用化学科が三大キツい学科のひとつと知った時は少し絶望しましたが、毎週降り注ぐレポートや課題を乗り越えられたのはお互いに助け合った応化の仲間のおかげなのは間違いありません。また、学生実験では当初TLCがうまく打てず一人居残りで実験してそのふがいなさに家で泣いていた僕でしたが、いつの間にか一人前に実験ができるようになったのもご指導してくださったTAの方々のおかげでした。この経験と、共に切磋琢磨した仲間は一生の財産です。しかし、ご存知の通り私たちの大学生活はこの二年で大きく変化しました。三年時の講義だけでなく、実験でさえもオンラインに変わりました。正直はじめのうちは大学に行かなくて良いと喜んでいる自分もいましたが、先生方も気合が入っていたのか想像を絶する量の課題がでて、甘く見ていた自分を後悔しました。それでも、世界の最前線で活躍されている先生方の講義はとても魅力的で化学がどのように世の中の役に立っているかよく知ることができました。

 研究室に配属されてからは怒涛の日々でコロナ禍にも関わらず何不自由なく研究活動をすることができました。また、学部生にも関わらず学会での発表や日本最大級の測定施設への出張など貴重な経験をたくさんさせていただきました。これも先生方や先輩方の多大なるご指導と御気遣いのおかげです。私たちはこのような恵まれた環境で自由に学ぶことができ、とても幸運でした。しかし、それを社会に還元する責任も同時に負っています。年単位で激しく変化する現在の社会では問題も山積しています。

ここにいる一人一人が応用化学科で学んだことを活かして2050年、ひいては2100年の人類のためにそれぞれの分野で常識を打ち破り、問題解決に貢献できるよう日々精進していく所存です。

 最後になりましたが、御指導、御助言を賜りました先生方、様々な面でお世話になりました事務所、ならびに応用化学会の方々、いつも支えてくださった先輩方、同輩達、そして私達の成長を温かく見守ってくれた家族に重ねて心よりお礼を申し上げます。

二〇二二年三月二十六日     
早稲田大学 先進理工学部 応用化学科
卒業生代表 山口 正浩        

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送辞 応用化学科三年 菅原研 髙田 こはる

送辞 在校生代表 高田 こはるさん

中庭の桜の花が咲き始め、ここ理工キャンパスにも春の訪れが感じられるようになりました。このような良き日に早稲田大学を卒業された皆様、並びに大学院を修了された皆様に、在校生一同、心よりお祝い申し上げます。
今、先輩方の心には何が思い浮かんでいるのでしょうか。レポートや課題に進われた日々、研究室で研究に没頭した日々など、勉学に忙殺されたときもあれば、サークルや委員会活動、アルバイトに動しまれた日々、友人と遊ばれた日々など大学生活を謳歌されたときもあったのではないでしょうか。お一人お一人異なるとは思いますが、何気なく過ごされた日常が皆様のかけがえのない時間であったことと思います。
 思い返してみれば、先輩方にはいつもお世話になっておりました。一年生のとき、新入生歓迎会やオリエンテーションで先輩方に優しくしていただいたことで、大学生活への不安が解消されました。また、專門実験ではTAとして実験を丁寧に教えてくださるだけでなく、質問に的確に答えてくださり、その姿に畏敬の念を抱きました。さらに、サークルや委員会活動では私たち後輩の気持ちに寄り添って、一堵に全力で活動してくださいました。強さと優しさに溢れた先輩方の背中を追って過ごしてきた日々を思い出しますと、感謝の念に堪えません。これからは我々在校生が後輩の良き道しるべとなれるよう日々精進致します。
 本日ご卒業される皆様の中には、夢と希望を胸に新しい環境へ旅立たれる方もいらっしゃれば、この忘用化学科にとどまり、より一層研究に励まれる方もいらっしゃると思います。これから皆様が進む道で、忘用化学科で培った創造性や柔軟性を活かして、皆様が力強く前進されると確信おります。
「役立つ化学 役立てる化学」を胸に刻み、挑戦を続け、将来あらゆる場所でご活躍されること御祈りしております。
 最後に、皆様のご健勝とさらなるご多幸を御祈りし、送辞とさせていただきます。本日は誠にご卒業おめでとうございます。

令和四年三月二十六日
在校生代表 

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濱 逸夫応用化学会会長 祝辞

 

早稲田応用化学会 濱逸夫会長の祝辞

 皆さん、ご卒業おめでとうございます。またリモートで出席されているご家族の皆様にはおかれましても感無量のことと存じます。心からお祝い申し上げます。

この丸2年、コロナ禍で大変な制限を受けた学生生活であったと思います。ただこの大きな環境変化で、如何に日本のデジタル化が遅れているか、またこれまでの当たり前が、実は時代遅れのルールに囚われていたことに気付いた貴重な時間となりました。今、変化することを阻害する高い壁や障害を越えられる絶好の機会が到来しています。まだ厳しい状況は継続していますが、間違いなくコロナは終わります。皆さんがこの2年間に蓄えたエネルギーを思い切り解き放し、これから訪れる様々な壁を乗り越えて下さい。そして皆さん自身の人生の大きな花を咲かせてほしいと思います。

 今、社会では“自律型人材”が求められており、“キャリア自律”と言う言葉も注目されています。自律型人材とは、自ら戦略を考えて、課題を見つけ出すと言った主体的に動く人材です。またキャリア自律とは、個人が自身のキャリアに興味を持ち、自律的にキャリア開発を行うことです。

日本の社会に定着していた年功序列や終身雇用と言うシステムが変わり、企業においても大学等においても、自らの意志で、楽しく働き、自らのキャリアを築いていくことが必要になってきます。

私が会長をしているライオンにおいても、これまでは企業内価値が高い人が重宝がられましたが、今は自ら何故動かねばらないのか、何を動かせばいいのか、そしてそれをどう動かせば良いのか、すなわちWHY, WHAT, HOWを自ら考え、動ける人材を最も必要としています。そんな人材集団の会社にしたいと思っています。グローバルで劇的に変化する今の時代、自分の会社や組織がいつ無くなるか分かりません。所属する会社や組織が無くなっても、「自分の好きなことが思い切り出来るキャリア」をどう作るか。自分が努力することが面白いと思えるようなキャリアを自分自身で描き、挑戦していってほしいと思います。

 今日ここにいる皆さんも、大学院でもう少し学生生活を続ける人、そのまま大学で研究を続ける人、あるいは企業に就職する人、あるいは日本を出て全く別のキャリアを目指す人等、様々な人がいると思います。今後皆さんの持っている夫々の武器を磨いて、素晴らしいキャリアを築いてほしいと思います。

これを早稲田応用化学会も全力で応援したいと思います。

“何事にもおもしろいと思ってチャレンジすること”、そして“心を震わせ多くの感動を感じること”、そして“常に人への感謝を忘れないこと”、この3つの言葉を忘れずに、大きく成長してほしいと思います。

繰り返します、“何事にもおもしろいと思ってチャレンジすること”、そして“心を震わせ多くの感動を感じること”、そして“常に人への感謝を忘れないこと”、改めてこの3つの言葉を皆さんへ贈り、私からのお祝いの言葉にしたいと思います。本日は、本当におめでとうございました。

令和四年 三月二十六日
早稲田大学応用化学会 会長
濱  逸夫

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祝辞:小柳津 研一主任教授

小柳津教授より、当日の祝辞のポイント部を戴きましたので、掲載させていただきます。

<祝辞のポイント>

  • この2年間ないし1年間はコロナ禍の影響。2年前の今頃はキャンパスへ入構禁止。一進一退しながら結局元に戻ることなく今日に。
  • 全学会がオンラインに移行,学会出張の機会が失われ,研究室のゼミ合宿ほか様々な行事が活動制限。
  • 一方,コロナ禍にあっても着実に成長。オンライン環境にスピーディに慣れ,研究活動をフレキシブルに遂行。
  • 昨今の社会情勢は,最近特に不安定化。これは,エネルギーとマテリアルに関わる問題。
  • そのような中,ものづくりを担う化学の普遍的価値は明白。社会と密接に関わり,役立つ化学,役立てる化学を謳う応用化学の理想の実践を。
  • 修士研究あるいは卒業研究の本質は? 大学の基礎研究とは問題解決の普遍的な方法論を追及するもの。
  • 社会において自立して基礎から考え実践できるよう,自らの進歩の総括を。社会における役割を果たすために,絶えず自己研鑽する姿勢を。
  • 改めてご卒業を教員一同,心からお祝いする。
  • 学生時代にコロナ禍という現実に直面され,研究のほかにも答えのない問題に取り組むという貴重な経験。
  • これからの人生が,有意義でやりがいがあり,幸せなものであるように。

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2021年度 学位記・褒賞授与式

応用化学科学位記授与式

応用化学科および応用科学専攻研究科の2021年度学位記・褒賞授与式は、2022年3月26日(土)10時より、西早稲田キャンパス57号館202教室にて式次第に従い、細川 誠二郎准教授の司会で執り行なわれました。なお、昨今の新型コロナウィルスによる感染拡大に伴い本会は教職員、主賓及び学部卒業生、修士課程修了生のみ対面での出席とし、父兄らはオンラインでの参加となりました。

式次第(左:応用化学科褒賞授与式  右:学位記・褒賞授与式)

今年も学部卒業生、修士修了生の研究室代表者に学位記が授与されました。

応用化学科褒賞授与式

引き続き、応用化学科褒賞の授与式が行われました。小柳津 研一主任教授から以下のような本賞設立の経緯、主旨等の説明があり、本賞および副賞が菊地 弥温さんに授与されました。

受賞者の菊地 弥温さん

「優れた業績をあげた学生を表彰して更に人間的な成長を促すことを主旨として設定した褒賞で、学業成績と人物の総合的評価で一人ということになりました。この褒賞は、OBの皆さんと我々教員および教員OBの寄付によって成り立っているもので、私達教員の気持ちを込めて対象の方に授与するものです。おめでとうございます。副賞を用意させていただきました。菊地さんの名前と先進理工学部応用化学科の名前を刻んだバカラのグラスです。」

褒賞の授与の後、受賞者の菊地 弥温さんより受賞の挨拶がありました。

褒賞受賞者菊地 弥温さんの挨拶

 

 祝辞 応用化学科主任小柳津 研一教授から祝辞がありました。

祝辞:小柳津 研一主任教授

応用化学科主任小柳津 研一教授の祝辞

 

祝辞:濱 逸夫早稲田応用化学会会長

ついで、早稲田応用化学会濱逸夫会長から祝辞がありました。

早稲田応用化学会 濱逸夫会長の祝辞

濱 逸夫応用化学会会長 祝辞

 

在校生代表からの送辞

今年の送辞は 在校生を代表して、学部3年生 高田 こはるさんが、卒業生に向かって感謝の気持ちを伝える送辞を述べました。

送辞 在校生代表 高田 こはるさん

在校生代表高田 こはるさんの送辞

 

学部卒業生の答辞

これに答えて、学部卒業生を代表して山口 正浩君が答辞を述べました。

学部卒業生 答辞 山口 正浩君

卒業生代表 山口 正浩君の答辞

 

修了生からの答辞

引き続き、修了生を代表して安井 浩太郎君から在校生に向けて答辞がありました。

大学院卒業生 答辞 安井 浩太郎君

答辞 大学院修士課程二年 安井 浩太郎

 

乾杯

乾杯の言葉 平沢 泉教授・応化会副会長

応用化学科褒賞授与式及び受賞挨拶を終え、平沢教授の発声による恒例の乾杯へと式が進みました。
コロナ禍もあり、実際に飲むことはなく乾杯のポーズのみ行いました。
なお、乾杯の缶ビールは応化会から皆さんに進呈されました。

校歌斉唱

校歌斉唱 指揮:武者 樹さん

卒業生を代表して武者 樹さんの指揮によって校歌を斉唱し、お開きとなりました。
なお、コロナ禍でもあり声は出さず、心の中で校歌を斉唱する形となりました。

下記ボタンをクリックすると画像アルバムのページに行きます。

 

(記事・写真:新39.加来恭彦(広報副委員長)、新37佐藤史郎(広報委員長)、文責:広報委員会)

応用化学科褒章 受賞者挨拶

この度は応用化学科褒賞という名誉ある賞を頂き、誠に有難うございます。このような賞を頂けたのは、化学の奥深さを熱心にご指導してくださった先生方のおかげです。心より御礼申し上げます。

応用化学科で過ごした四年間では沢山のことを学ばせていただきました。中でも実験とレポートの作成には多くの時間を費やし、大変な思いもいたしましたが、研究者としての基礎を身につける貴重な経験となりました。プレレポートの作成を通じて学んだ知識や理論が、実際に実験を行い本レポートを作成する中で腑に落ちていく感動を今でも覚えております。また、三年次にはコロナ禍の中で対面での実験ができない時期がありました。文献を調べたり教科書などを読んだりすることで理解を深める良いきっかけとなった一方で、実際に実験操作を行い自分の五感で観察することの大切さを強く実感いたしました。

四年次から取り組んでいる研究活動では、自らの力で研究の道筋を切り拓いていく大変さを痛感することが多くありました。一年間、先生方や先輩方からご助言を頂きながら、自分なりに実験結果と真摯に向き合い試行錯誤をしていくことで、「今まで世界になかったものを新しく生み出すこと」の喜びと達成感を得ることができました。

そして、この応用化学科に入学し、素晴らしい先生方、先輩方、尊敬できる同期の友人達に出会えたことが何よりの財産だと思っております。修士課程に進学後も、恵まれた環境で学べることへの感謝を忘れず、研究活動に邁進していく所存です。将来は社会に貢献できる人材になれるよう今後も精進して参りますので、引き続きご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

最後に、本賞の設立及び選考に関わられた関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。また今までお世話になりました全ての方々に心から感謝申し上げます。

本当に有難うございました。

 

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2022年度 定期総会と先進研究講演会開催のお知らせ

早稲田応用化学会 会員の皆様

早稲田応用化学会 会長 濱 逸夫

平素は早稲田応用化学会の活動にご支援・ご尽力を賜り、誠にありがとうございます。さて、2022年度定期総会、および同時に開催される先進研究講演会についてご連絡申し上げます。

 当初開催方法につきましては、オンライン・会場参加の併用(ハイブリッド方式)開催で準備を進めております。
 出来るだけ多くの方にご出席頂きますよう、宜しくお願い申し上げます。

    尚、出席申込は、下記URLからお願いします。

              https://forms.gle/aR5JpjcJLY8P3upw7

   WEB参加で申込をいただいた方には、5/10に参加URLを送ります。そこからご参加をお願いします。

日時:2022年5月14日(土) 13時30分〜16時15分
   <スケジュール>: 13時30分〜14時30分  定期総会(会場:52号館304教室)
             14時45分〜16時15分     先進研究講演会(   同上   )

■ 定期総会

 議題

<会長挨拶>

  応化会活動の現状と課題  会長 濱 逸夫

<決議事項>

 議案1 2021年度事業及び会計報告   庶務理事 井村 正寿、会計理事 津田 信悟
 議案2 2022年度事業計画及び予算案             〃
 議案3 会則改定
 議案4 会長選任

<報告事項>

    報告1 執行部体制                         会長 濱 逸夫
 報告2 応用化学会百周年行事準備状況   副会長 下村 啓
 報告3 応用化学会給付奨学生紹介          副会長 橋本 正明                 

■ 先進研究講演会「応用化学最前線 − 教員からのメッセージ」プログラム

梅野教授

 

  1)応用生物化学部門  梅野 太輔 教授        

         演題「高分子機能の進化デザイン」

門間 聰之教授

 

2)応用物理化学部門  門間 聰之 教授

         演題「役立つ電気化学」

須賀 健雄 准教授

   

3)高分子化学部門   須賀 健雄 准教授

         演題「その場形成・反応の視点から見た機能性コーティングの設計と展開」

 

                                                       以上

レジス・ゲガン准教授の日本化学会「化学と工業」4月号への寄稿

Regis Guegan 准教授

“The article of Dr. Regis Guegan, entitled “Opinions about the research and education in France and Japan” was published in the Journal of Japan Chemical Society.
He described the organization and structure of the laboratories of research, disavowal of the youth for hard sciences and possible changes to do at an academic level.
He expressed some suggestions to increase the attractiveness of the students to opt for an academic career and shared his opinion based on experience that awakening to science through teaching lectures and active learning starts in elementary schools in Japan in comparison to France where teaching of both hard and natural sciences is only done at junior high school’s level. Education at an early age constitutes the fundamental bases to build up and mold the next generations to science, while making them aware of current societal problems.
(Chemistry and Chemical Industry, 75(4) 296-297, 2022)

レジス・ゲガン先生の「フランスと日本の研究と教育に関する意見」というタイトルの記事が「化学と工業」に掲載されました。
研究室の組織と構造、ハードサイエンスに対する若手の意識などについて言及されており、学生がアカデミックなキャリアを選ぶための提言として、若い年代の自然科学教育とは、現在の社会問題を正しく認識した上に、次世代の科学を築き構成していくことにあるという事を指摘されています。
是非、ご一読ください。
(化学と工業 75(4) 296-297, 2022)

2022年度早稲田応用化学会中部支部WEB総会

開催案内メールでお知らせしましたように、総会はWEB上での開催とし、書面表決と致します。

以下の総会議事を閲覧の上、提出議案1,2,3,4のいずれかに反対の会員は、 下部の投票欄より送信下さい。賛成の会員は送信の必要がありません。

第1号議案:2021年事業報告
第2号議案:2022年事業計画
第3号議案:2021年度会計報告と2022年度予算案
第4号議案:2022年度中部支部役員会メンバー表

上記議案に反対される会員は、会員番号、氏名および反対理由をご記入の上、メールによる投票送信をお願いします。

投票は、4月19日をもちまして締め切らせて戴きます。 メールによる投票送信 先は                           https://forms.gle/4ZQioRvu3cy2kh5n9

第1号議案:2021年度事業報告

     1号-1)役員会/イベント開催実績

     1号-2)講演会その他の活動実績

1.春の講演会は、総会に合わせて開催予定であったが、COVID-19の感染防止を目的として   総会をWEB総会としたため、中止した。

2.秋の講演会→11月13日 黒田先生講演会実施。  演題「ナノ空間物質の化学」   
       支部としての懇親会は感染防止のため中止。
    議事録は本部WEBページに詳細記載していただいた。

3.関西支部総会・懇親会出席(中止)   

4.支部(中部及び関西)活動PRパンフレットの卒業生への配布 
                        (本部経由)         

第2号議案:2022年度中部支部事業計画

事業目標:一層の会員相互の親睦と情報交換        

1.ウイズコロナの中での活動の継続  

    ・「交流講演会」2回/年の開催に向けた努力。
    域内外を含む種々のジャンルからのプレゼンターおよび現役教授の講師招聘。
    若手会員の希望の取り込み。
  ・若手現役会員の参加拡大への取り組み強化。
    「若手部会」の活動本格化と若手会員への広報の強化。         

2.活動計画

    ・中部支部総会      1回/年(期首)
   ・中部支部交流講演会 2回/年(春季、秋季)
   ・定期役員会         4回/年
   ・関西支部との交流   新しい交流方法を模索する。(幅広い層の交流を図る。)

3.活動基盤の強化

  ・対面活動とリモート活動の併用。
  ・役員会メンバーの世代交代への対応。

4.本部との連携緊密化

   ・応化会100周年記念事業準備への協力。

第3号議案:2021度会計報告と2022年度予算案

 

第4号議案:2022年度中部支部役員会メンバー表
                                                                                    改訂11)2022.4.9

役員名;

支部長:  友野博美           監事: 山崎隆史
副支部長: 服部雅幸(兼:会計担当、機材担当)
事務局長: 上宮成之(兼:岐阜地区担当幹事、本部基盤委員会委員)
幹事 :  植村裕司(愛知地区担当)
      浜名良三(三重地区担当)
      渡部 綾(静岡地区担当)
理事 :  山本瑛祐(兼:IT担当、若手部会担当)
      加藤 啓   大高康裕
      谷口 至   北岡 諭
      新村多加也
顧問 :  三島邦男   堤 正之   白川 浩   小林俊夫
      木内一壽   柿野 滋

退任 :  後藤栄三(顧問)   金原和秀(幹事)
      藤井高司(理事)

i以上

 

卒業生へのインタビュー(第3回)

   三菱ケミカル(株) 山崎正典さん

卒業生へのインタビュー企画
多くの応用化学科卒業生が社会に出られて活躍されています。実社会での経験は業種や職種によっても様々であり、卒業生の体験談は実社会で日々活躍されている卒業生の新たな視点への着眼点になったり、在校生にもこれから進むべき未来において貴重な体験が含まれていると思います。

そこで、各方面で活躍している卒業生に現在の自分の立ち位置について語っていただくとともに、インタビュー形式をとることで現役学生を含めた各世代の応化会会員間のコミュニケーションラインの構築と、社会における経験値をほかの卒業生にも共有していただくことを目的とした企画になります。

山崎正典さんには、会社の統合による研究環境の変化や内閣総理大臣賞も設定されている「ものづくり大賞」にもノミネートされた日本古来からの技術に太陽熱を冷房に使う試みを融合させた研究テーマの概要や着眼点について伺いました。

山崎正典さん 《ご略歴》
1992年3月 応用化学科 高分子(西出)研究室(修了) 1992年4月 三菱油化(当時)入社 入社後、三菱化成との合併、三菱化学に、その後三菱樹脂、三菱レーヨンとの統合などを経て三菱ケミカルと会社組織が変動していく中で、新素材研究所、材料加工研究所、ポーラスマテリアル研究所、機能材料研究所、無機材料研究所、Science & Innovation Center Inorganic Materials Laboratoryを歴任され、その間東京農工大にて学位(工学博士・2013)取得

Q. まずは日本ものづくり大賞について教えてください。

A. 「ものづくり大賞」は経済産業省が中心になって2005年から実施されています。日本を支えてきた古き良き文化を継承するとともに、それを新たな事業環境へも発展させて付加価値を提供する人やグループを表彰する制度です。幸運にも、「太陽の熱で冷房する革新的な水蒸気吸着材」で第3回ものづくり大賞の優秀賞をグループとして受賞することが出来ました。

(写真)大学研究室時代 追分セミナーハウスにて

Q. 会社の統合を経験されていますね。統合の際に何か変化を感じたことはありますか

A. 大学では西出研で高分子を学びました。日々多くの実験をこなし、それなりに勉強した自負はありましたので三菱油化(現三菱ケミカル)に入社した時、どんな研究をすることになるのか本当にわくわくしたのを覚えています。

 その後、会社の合併・統合のたびに自分が取り組むテーマは変わりました。入社時の複合材料開発、合併後に蓄熱・吸着材開発、統合後には熱マネージメント材料や酸化物ナノ粒子など。今考えると、合併、統合する相手の得意な分野をテーマに取り入れ、シナジーを出そうとしていたのではないかと思います。例えば、「ものづくり大賞」の吸着材は旧三菱化成のゼオライト合成技術がベースとなっています。
合併や統合の際には、人的な面でも大きな変化があったと思います。それぞれの会社で持つ専門・技術の広がりが人を介して融合し、新たな材料を共同で開発するといった取り組みが増えたように感じています。単一の技術で解決できる課題は少ないので、製品化を進めていくための最適な土壌が出来ていったと思います。

「太陽の熱で冷房する革新的な水蒸気吸着材」はもともとが有機化合物を使った相反応の応用研究を進めていたのですが会社が保有していたゼオライト合成技術が生かせることに気がついて方向転換しました。会社に研究成果が蓄積されていることで違う視点での研究成果が得られることが強みに繋がっていると思います。

Q. ものづくり大賞にノミネートされた「打ち水」の技術について教えて下さい

A. 霧状の水滴を上からまいたりする設備がありますが、これらは特別な材料や装置を必要としないエコな冷房とみることができます。水の潜熱は凡そ2454(kJ/kg)@20℃程度で比熱が4.2(kJ/kg・℃)ですので、10gの水が蒸発するだけで水1kgを約6℃も低下させることができることになります。ゼオライトという多孔材料を使って、強制的に水を吸着(蒸発潜熱の利用)させ、太陽の熱を使って脱着(自然エネルギの利用)させるというサイクルを回すことで、「打ち水」の現象を実用的な冷房に使えるということになります。

Q. 研究テーマも何度も変わっていらっしゃるようですが、常に新しいものを創製していかなければいけないプレッシャーなどありますか

A. 正直、プレッシャーはありますが、社内では新規のテーマ提案をいつでも行えます。それを支えるために10%カルチャーという制度があり、主担当の業務以外に研究者個人が興味を持ったことに取り組む時間と幾ばくかの予算が与えられています。その様な制度をうまく利用して、最近では積極的に若手が発信をしています。また、若手研究者とのコミュニケーションは大切にしています。様々な年齢層の人たちが、現状をどのように考え、どのようなことが課題と思っているかを聞くことは、働きいやすい職場や活気のある職場の実現には必須と考えているからです。研究を一人ですることはできないので、普段から多くの部署の方々とコミュニケーションを持ち、協奏を進めたいと思っています。
専門性を究めていくことと多岐に渡る可能性を一つのテーマに拘ることなく展開していくことのどちらが好ましいかは難しいテーマだと思います。ただ、技術やナレッジの繋がりを強化しておくことは一つでも上手くいく研究成果があるとテーマ全体として生き残っていくことも出来ますし、広い視野を持つことは意識するようにしています。

Q. 後輩に対して伝えたいことを教えて下さい。

A. 「大学の研究内容について簡単にご説明ください」、と言われると最近の学生さんは研究内容をびっくりするほど上手に説明します。一方、どこを自分で考え、工夫したのかを問われると、答えに窮することが多いようです。研究がうまくいくことは重要ですが、それよりも「なぜ、そのような検討を行ったのか」を振り返ってみることが大切と考えています。そこには確かに自分の考えがあると思います。自分で仮説を立て検証を繰り返す中で、研究を進める主体があくまで自分であることを認識し、有意義な研究室生活を送っていただければと思います。
また、研究に限らず多くの人とつながりを持つことも大切と思います。多様な個性を認め、相互理解を深めることから新たな発想が生まれ、テーマ提案につながることもあるからです。大学時代は、先生やドクターの方からテーマを与えられ、その範囲で研究を進めることがほとんどです。しかし、会社では、何をやるべきなのか、どのようなアプローチでそれを達成するのか、どんな強みや弱みがあり、弱みをどこの誰と一緒に解決できるのかなどを将来状況も考慮しながら、自分で提案していくことが求められます。その時、人のつながりがきっと皆さんの力になってくれると思います。

学生時代は研究室で与えられたテーマをこなすだけで精一杯で、それ以外の分野に興味を持つ余裕はなかなかありませんでした。しかし、入社以降、特別な場合を除いて、1つの製品は多くの技術の塊で出来ているということを実感しました。自分の専門にとらわれず、専門以外の分野に興味を持つことも大切と思います。

インタビュー後記:

会社が強みとして持っている研究領域についても、10年後20年後を見据えた時に時代遅れの技術になっている可能性もある中で、社内の風通しをよく、異分野の研究テーマについても情報共有することは、新しい提案が次の研究テーマとして採択されるかどうかは別にしても研究者としてのモチベーションに繋がっているという話は興味深く、特にオンラインが導入されたことによりその強みを活かして普段は対面で接することが出来ない事業所の方々とも情報共有することが出来るという話は新たなイノベーションに必要と感じました。

また、若手に対しては自分が想定していた研究テーマとは違う領域での研究においても自分が何のために研究しているのかという自分自身の軸を持っておくことで将来のチャレンジに繋がることもあるので頑張ってほしいとの強いエールを頂きました。

(聞き手) B3.吉田七海、B3.小林菜々香、新68.住田裕代(広報委員)、新39.加来恭彦(広報副委員長)