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早稲田応用化学会中部支部総会及び第21回交流講演会のご連絡

早稲田応用化学会中部支部の2024年度活動としまして、総会および関根 泰 教授を名古屋にお迎えしての講演会を計画しました。関根先生のご講演は会員皆様にとって大変参考になるお話を聞くことができる貴重な機会です。是非ご参加頂きますようご案内致します。
なお、今回の講演会は対面形式とオンライン形式のハイブリッドで開催します。また対面形式では親睦会も予定しております。会員の皆様の活発な交流の場になることを期待しておりますので、ご参加頂ければ幸いです。

早稲田応用化学会中部支部
支部長  友野 博美

1.日時: 2024年4月13日(土) 14:30-19:30 (親睦会含む) (受付開始14:00)

2.場所: ウインクあいち(愛知県産業労働センター) 1309号室 

https://www.winc-aichi.jp/access/

3.中部支部総会: 14:30~ (対面形式)

(1)議事内容

・23年度活動報告及び24年度活動計画案協議

・23年度決算報告及び24年度予算案協議

・2024年度中部支部役員会のメンバー構成

・若手部会活動方針、講演会のハイブリッド化の考え方

4.講演会: 15:30~17:00(質疑応答含む) (対面形式とオンライン形式のハイブリッド)

(1)講師: 関根 泰 教授

(2)演題: 「カーボンニュートラルに向けたトランジション・GXとエネルギー・化学分野の今後」

5.写真撮影、親睦会: 17:00~19:30 (対面形式)

(1)場所: 講演会と同じ1309号室

(2)親睦会会費: 3,000円/人 

(親睦会にご参加頂ける方は当日に現金にてお支払いをお願いします。)

6.参加申し込みはこちらから ➡ https://forms.gle/KEXd8Wey91Ffh1TLA

・準備の都合上 4月6日(土)までにお申し込みをお願いします。

・講演会へオンライン形式でご参加頂ける方には別途招待URLをご連絡いたします。

・お問い合わせ先: 応用化学会中部支部 担当  植村裕司 

E-mail; yujiuemura.7112@outlook.jp

7.講演内容:

地球は物質として見ると閉鎖系で、現在の我々の暮らしは3億年の地球の遺産である化石燃料に依存しており、再生可能エネルギー導入はまだ全エネルギーの1割に満たない。PV、風力、バイオマスは主要な再生可能エネルギー源であるが、天候変動や地域による制約がある。蓄電池や水素、アンモニア、有機ハイドライド、合成炭化水素などをうまく組み合わせて適材適所で利用し、カーボンニュートラルを実現していくことが肝要である。カーボンニュートラルを見据えて、これから我々が考えていく必要のあるエネルギー・化学について整理したい。

8.関根 泰 教授のご略歴:

・氏名(ふりがな) 関根 泰(せきね やすし)

・所属機関 早稲田大学 

・所属部署 先進理工学研究科応用化学専攻 教授・研究戦略センター所長

・専門研究分野 触媒化学

・略歴

・1993年 東京大学工学部応用化学科卒業

・1998年 同 博士修了  学位:博士(工学)

・1998-2001 同 助手

・2001年より 早大助手・講師・准教授を経て2012年より教授 現在に至る。

・2022年より 早稲田大学研究戦略センター センター長

・2011年より 現在まで JSTフェロー

・2018年以降現在まで JST「さきがけ」研究総括、文部科学省環境エネルギー委員、NEDO未踏チャレンジプログラムオフィサー、日本政府グリーンイノベーション関連の審議会の全委員、Elsevier Fuel誌プリンシパルエディター

・2020年より イギリス王立化学会フェロー(FRSC)

・受賞歴

2019年日本化学会学術賞、2020年文部科学大臣表彰科学技術賞、

2023年早稲田リサーチアワード 他多数

早稲田応化会中部支部 第20回交流講演会のご報告

開催日時;2023年11月18日(土) 15:00~17:00
開催場所;“ウインクあいち”1207号室
出席者; 21名(オンライン・トライアルでの出席者3名を含む)
講師;小柳津研一教授
ご略歴;

1990.3早稲田大学 理工学部 応用化学科 卒業

1995.3早稲田大学大学院 理工学研究科 応用化学専攻 博士後期課程 終了

1995.4-1997.3早稲田大学 理工学部 助手

1997.4-2003.9早稲田大学 理工学総合研究センター 講師

2003.10-2007.3東京理科大学 総合研究機構 助教授

2007.4-2012.3早稲田大学 理工学術院 准教授

2012.4-現在早稲田大学 理工学術院 教授

主な研究テーマ:
機能性高分子、特に高密度レドックス高分子を用いた有機電池、水素キャリア高分子、高屈折率高分子、低誘電損失高分子など

受賞

1995.3水野学術賞(早稲田大学)

2002.3日本化学会進歩賞

2013.4科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞

2022.5高分子学会賞

演題;「エネルギー貯蔵機能性高分子、および早稲田のエネルギー・ナノマテリアル研究」
要旨;

●初めに早稲田大学の現在、キャンパスの変化など、ご自身/研究室/応用化学科の状況を含めて、
ユーモアを交えながらご紹介がありました。

トピックスとしては、西早稲田キャンパスに加えて早稲田キャンパスの研究開発センターエリアに2020年に竣工した新研究開発棟「リサーチイノベーションセンター(121号館)」があり、小柳津先生の研究室も機能高分子実験を行なっておられるとのこと。
早稲田大学としては、カーボンニュートラル「Waseda Carbon Net Zero Challenge」1)を2021年11月1日に宣言し、文理融合の研究推進体制によりカーボンニュートラルの実現を目指して2022年12月1日には「カーボンニュートラル社会教育研究センター」2)が設立されました。
1) https://www.waseda.jp/netzero/
2) https://www.waseda.jp/inst/wcans/research/realize

●Storing Energy in Organic Material:

1.有機電極活物質の設計・合成と有機電池の研究動向

エネルギー貯蔵機能を有する有機・高分子材料の科学とそのデバイス技術についての研究の基本として、高分子はレドックス部位の結晶化を防ぎ、多くの量を溶かすことができるので、材料として有用です。電荷蓄積のためのレドックス高分子として、密度が高く反応性を高く保つことができるのも大切な点です。電極の反応過程は、単分子吸着のような挙動から厚みのある高分子層の拡散過程まで多様です。

エネルギー貯蔵のための高分子研究のレビューとしては、1997年2月に発刊されたPetr Novákらの “Electrochemically Active Polymers for Rechargeable Batteries” [Chem. Rev. 1997, 97, 1, 207–282] が例に挙げられます。また、西出先生や小柳津先生も中心となったドーハでのセッション “Polymers in Energy” をきっかけとして、早稲田大学での国際会議 ”Organic Battery Days 2021”3) 等でコミュニティが広がってきており、論文も急増しています。
3) https://w3.waseda.jp/assoc-obd2021/ ・・実際は、オンライン形式

近年注目されている有機空気二次電池は、ラジカルではなくキノン体が電荷を担います。有機物は分子設計が容易であり、性能も多様性があり予測もできます。また、伸縮性・柔軟性・屈曲性にも優れています。エネルギー貯蔵機能には双安定性(Bistability)が必要で、蓄電特性を示す高分子の性能指針の一つになっています。

一方、リチウムイオン電池の充電速度を短縮するために、高分子物質による「電池触媒」が有効であることが分かってきました。少量のレドックス高分子を含む酸化物ハイブリッド電極の構成で、電子移動メディエーション効果による高速充放電が可能となります。

2.水素キャリア高分子の展開

既に見出していた水素を可逆的に貯蔵する水素キャリア高分子をアノードに適用し、プロトン導電膜との組み合わせにより、充電可能な燃料電池を山梨大学との共同研究で開発しました。通常の燃料電池では電解膜でのO2/H2分離が必要ですが、高分子によるGreen水素製造では蒸気圧の無い物体から水素をガス状態で取り出せるので膜が不要です。種々の利点があり、将来は家庭への展開も目指しています。

3.実践的MIによるLiイオン電池の新しい固体電解質

イオン伝導度が高く、安定性、強度、合成難易度、コストの点で優位な物質を作成するために、オリジナルのデータベース(DB)を作成しました。材料実験のデータは104のオーダーで保有しており、また数百件の文献も含めて、繰り返し単位の化学構造/分子量/共重合比/共重合の構造など、選定したパラメータを記録しました。AIシステムを使用して実験結果や文献データを自動解析することで、新材料の製造を想定しうる重要な構造や実験因子を抽出できました。

このMIにより導出したLiイオン高伝導性高分子は、芳香族系高分子の電荷移動錯体からなるこれまでに無い材料となりました。

4.早稲田のエネルギーナノマテリアル研究4)

早稲田大学のスーパーグローバル大学(SGU)創成支援「Waseda Ocean 構想」における7つのモデル拠点の1つである「エネルギー・ナノマテリアル拠点」では、応用化学の多くの先生方が参加されカーボンニュートラル社会の実現を目指した様々なエネルギー・マテリアル関連の研究が行われています。当研究室での有機電池や水素を安定かつ可逆的に貯蔵できる高分子もその例です。また、国際化を推進するために、Joint Appointment Professor 制度を採り入れ、海外教員が長期間早稲田に滞在して教育・研究を行っています。最近はその流れで「高屈折率高分子に関する共同研究」をドイツのミュンヘン工科大学と進めています。機能性高分子の可能性を見出すことにより、革新的科学技術を応用し、地球規模の課題解決に向けて、これからも挑戦していきたいと思います。
4) https://www.waseda.jp/inst/sgu/unit/

●質疑応答(Q&A)

Q:水素貯蔵について、吸脱着の繰り返しは?

A:実験上は50回。材料として具体的にはこれから詰めていく必要があります。家庭用へ展開する目安としては1000回は必要でしょう。値段や経済性も検討しなければなりません。

Q:触媒開発について、水素は固体高分子とどのように反応しますか?

A:高分子はGel(ゲル)状で、触媒は溶媒に可溶性です。

Q:電池のなかで高分子はどのように分散していますか?

A:元素マッピングで解析すると、顕微鏡レベルでは充分に分散しています。実験室では乳鉢で粉砕し、溶媒を投入します。分散している固体に溶存する高分子という状態でしょう。形態を問わず、繰り返し特性もOKです。

Q:Gel状の固体に水素を吹き付けて、どのように内部に溶解させますか?

A:実際は架橋体なので細孔があります。表面拡散律速状態だと思います。

Q:セラミックス系では固いですが、高分子系は耐久性が高いのが利点ですね。有機・無機材料へのアプローチも検討されていますか?

A:ソフトマテリアルとしての特徴を活かして,様々な材料・デバイスとの界面形成が容易である点は高分子の良さです。構造の詳細はこれからです。

まだまだ質問が続きましたが、懇親会の場でお願いすることとなりました。
なお、今回の交流講演会には、関西支部より和田支部長および三品幹事が出席されました。
また、中部支部としては初めて「ZoomによるNet配信」を試験的に行ないました。次回、2024年4月の交流講演会から、会場とNet配信のハイブリッド形式での開催となります。 (文責 浜名)

ご講演中の小柳津教授

ご講演後に、出席者と記念撮影

懇親会で談笑。 和田_関西支部長と友野_中部支部長

以上

早稲田応用化学会中部支部第20回交流講演会のご連絡

早稲田応用化学会中部支部の2023年度の活動としまして、小柳津 研一 教授を名古屋にお迎えしての講演会を計画しました。小柳津先生のご講演は現役会員をはじめ、会員皆様にとって大変参考になるお話を聞くことができる貴重な機会です。是非ご参加頂きますようご案内致します。
なお、今回の講演会は対面形式で開催します。また親睦会も予定しております。会員の皆様の元気なお顔が見ることができればと期待しておりますので、ご参加頂ければ幸いです。

早稲田応用化学会中部支部
支部長  友野 博美  

1.日時: 2023年11月18日(土) 15:00-19:00(親睦会含む) (受付開始14:30)
2.場所: ウインクあいち(愛知県産業労働センター) 1207号室 https://www.winc-aichi.jp/access/
3.講演会: 15:00~16:30(質疑応答含む)
(1)講師: 小柳津 研一 教授
(2)演題: 「エネルギー貯蔵機能性高分子,および早稲田のエネルギー・ナノマテリアル研究」
4.写真撮影、親睦会: 16:30~19:00
(1)場所: 講演会と同じ1207号室
(2)親睦会会費: 3,000円/人
(親睦会にご参加頂ける方は当日に現金にてお支払いをお願いします。)
5.参加申し込みはこちらから ➡ https://forms.gle/YWq7MtB5YegFSkP89
・準備の都合上 11月11日(土)までにお申し込みをお願いします。
・お問い合わせ先: 応用化学会中部支部 担当  植村裕司
E-mail: yujiuemura.7112@outlook.jp
6.講演内容

エネルギー貯蔵を担う機能性高分子として,有機電池を構成する活物質,可逆的水素貯蔵を担う水素キャリア高分子,Liイオン電池の新しい固体電解質を見出した。また,これらの機能予測に役立つ実践的MIの方法を確立した。蓄エネ機能を担う高分子物質の研究動向について,早稲田大学SGUナノエネルギー拠点の活動状況と合わせて報告する。

7.小柳津 研一 教授のご略歴

・1990.3 早稲田大学 理工学部 応用化学科 卒業

・1992.3 早稲田大学大学院 理工学研究科 応用化学専攻 修士課程 修了

・1995.3 早稲田大学大学院 理工学研究科 応用化学専攻 博士後期課程 修了 学位 博士 (工学) 早稲田大学 (1995.3.15)

・1992.4-1995.3 日本学術振興会 特別研究員 (DC1)

・1995.4-1997.3 早稲田大学 理工学部 助手

・1997.4-2003.9 早稲田大学 理工学総合研究センター 講師

・2003.10-2007.3 東京理科大学 総合研究機構 助教授

・2007.4-2012.3 早稲田大学 理工学術院 准教授

・2012.4-現在 早稲田大学 理工学術院 教授

・1997.10-1998.3 東京農工大学 工学部 非常勤講師

・2020.4-2021.3 九州大学 先導物質化学研究所 非常勤講師

主な研究テーマ
機能性高分子,特に高密度レドックス高分子を用いた有機電池,水素キャリア高分子,高純度・高分子量ポリフェニレンスルフィド,高屈折率高分子,低誘電損失高分子の創出など

受賞歴等:

・1995.3 水野学術賞 (早稲田大学)

・2001.5 高分子研究奨励賞 (高分子学会)

・2002.3 日本化学会進歩賞 (第51回)

・2013.4 科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞 (文部科学省)

・2022.5 高分子学会賞

・2022.6 山崎賞 (日本素材物性学会),

第20 回 ERATO セミナー
“Organic Redox Polymers as an Electrochemical Energy Material: Prospects and Challenges for Practical Application”

<中部支部からのご案内>
下記の要領でERATO セミナーが開催されます。
ERATOセミナーは,JST ERATO山内物質空間テクトニクスプロジェクト(研究総括:山内悠輔 教授(名古屋大学・クイーンズランド大学)(平成15年卒・新53回))主催で,材料科学研究における著名な先生方にご講演いただくセミナーです。

2023年10月19日17時より,早稲田大学理工学術院総合研究所 招聘研究教授/名誉教授であられる西出宏之 先生(昭和45年卒・新20回)をお迎えして,第20回ERATOセミナーを開催(オンライン・現地ハイブリッド開催)いたします。西出先生が早稲田大学で行われてきた,ラジカルポリマーをはじめとする機能性高分子に関する研究についてのご講演となりますので,応用化学会の会員の方々も奮ってご参加ください。オンライン・現地(名古屋大学内)参加ともに可能です。

オンライン参加につきましては,登録不要ですので,直接下記のリンクからお入りください。ZOOM Link:
https://us02web.zoom.us/j/83688276782?pwd=dUNFRm5PWlFhdkZmNmw3a3lvUHNMZz09
ID :836 8827 6782
PW : 060697

現地参加ご希望の場合には,山内物質空間テクトニクスプロジェクト事務局(erato_admin@material.nagoya-u.ac.jp)までご連絡ください。

Seminar#20 日本語会告 Prof. Nishide

早稲田応用化学会中部支部活動報告
(第19回山口先生交流講演会)

【第19回中部支部交流講演会(山口先生講演会)開催報告】

1. 開催日時; 4月8日(土)15:30~17:00
2. 開催場所; ウインクあいち1008号室
3. 出席者;  16名
4. 講師;   山口潤一郎教授
5. 議題;   『応用化学科の現状と分子レベルのものづくり研究』
6. 講演要旨の報告;

山口潤一郎教授のご講演
「応用化学科の現状と分子レベルのものづくり研究」の要旨

●応用化学科の現状
 初めにご自身/研究室/応用化学科の状況について触れられていました。日本最大の化学ウェブサイトChem-Stationについてご説明があり、2000年設立以来、23年間運営されているライフワークで、日本化学会化学教育賞等を受賞されていることが紹介された。
 2016年のご着任時には助教1名、学部生3名からスタートした研究室は現在、准教授1名、講師2名、博士課程8名、修士課程14名、学部生8名の34名で運営されている。博士課程への進学率も高い。
 応用化学科はモットー「役立つ化学」「役立てる化学」のもと、7つの研究部門「無機化学、触媒化学、応用物理化学、化学工学、応用生物化学、高分子化学、有機合成化学」があり、それぞれに社会課題の解決に向けて、研究活動されていることが紹介された。新任のご先生等の2016年以降の教室の変化、121号館(早実跡地)での研究活動開始、52,53,54,59号館での増築計画、学科独自の奨学金等が充実してきている事もご紹介されて、応用化学科が進化し続けていることが実感された。

●分子レベルのものづくり研究
 初めに、ものづくりとしての有機合成化学のイロハを「分子をつなぐ」「分子をぶっ壊す」「革新的な分子を創る」というキーワードで分かり易く教えて頂きました。具体的事例として芳香環同士が直接連結した分子を取り上げて、医薬品成分としても多数存在していることが紹介された。如何に作るか、芳香環同士をどうつなぐかは昔から研究されているが、難しい課題であると述べられた。芳香環同士を連結する方法の一つはクロスカップリング反応で、その中の一つで2010年に鈴木章教授がノーベル化学賞を受賞している。この反応は芳香族ハロゲン化物と芳香族ボロン化合物を原料としてパラジウム(Pd)触媒/アルカリ存在下で行う。この反応は安定で収率も高く取り扱いやすいが、原材料には難点がある。原料は共に高価、製造は多ステップで廃棄物多、パラジウムは高騰中である。

 次世代型のクロスカップリング反応を開発することで、医農薬等の有用化合物を製造できるようにすることは、有機合成化学者の仕事の一つである。具体的な研究としては、製造難の芳香族ボロン化合物代替として粗原料の芳香環のC-H結合を直接活性化・切断すること、触媒として安価なニッケル(Ni)化合物を使用することを検討している。適用例として、痛風治療薬フェブキソスタットや複雑な天然有機化合物が紹介された。
 また、エステル化合物適用の研究内容も紹介された。山本明夫教授が錯体レベルで反応機構を解明していた脱エステル型変換反応については、多種の求核剤を発見し、各種の新規合成法を開発していった。不活性なエステル化合物を反応させるためには、金属触媒(Pd,Ni)の機能UPが必要で、独自開発の新規な配位子を開発したことが重要であった。この配位子はDCYPTといい、現在では関東化学より全世界で発売されている。
 開発された反応、各種の研究内容が紹介された。エステルからの脱カルボニル型エーテル合成、エステルダンス、光触媒による安定結合の切断、結合交換反応、ヘキサアリールベンゼン(置換基の芳香環が全て異なる)、植物の生物時計制御分子(AMI-331という名で東京化成より発売中)、パーキンソン病早期診断ツール、たんぱく質を固定する分子、・・・・・・

 最後に一期生からの博士課程卒業生の業績、受賞歴、海外留学等について紹介があり、学生と共に研究室が育まれ、大きく成長してきていることが伺われた。「根本的に研究が好きであるが、教育が中心にして、化学の面白さと可能性について学生に伝えていきたい、いい学生を輩出したい」とのお言葉で締めくくられていた。
 学生時代の有機化学講義以来、有機化学構造式、反応式にあまり縁のなかった多くの中部支部諸氏に対して、研究成果を平易に説明頂きました。ご講演後、質疑も行われ、博士課程比率の高さ、構造同定について、学生の教育、ケムステーション、山口研のディスカッション文化、海外アクセスの多さ等について活発に議論された。

*尚、講演終了後、集合写真の撮影と懇親会が行われた。

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2023年度早稲田応用化学会中部支部総会実施報告

【中部支部2023年度総会 実施報告】

1. 開催日時; 2023年4月8日(土)14:30~15:30
2. 開催場所; ウインクあいち1008号室
3. 出席者;  16名
4. 議題;   
   第1号議案: 2022年度事業報告
   第2号議案: 2023年度事業計画
   第3号議案: 2022年度会計報告および2023年度予算案
   第4号議案: 2023年度中部支部役員構成
   第5号議案: 若手部会の活動方針とIT化の考え方について
5. 議事内容; 
   添付のpower point資料に基づき、第1号、2号、4号議案
  については友野支部長より、第3号議案については加藤会計担当理事
  より、また第5号議案については山本若手部会・IT化担当理事より
  説明が行われた。第1号議案~第4号議案は総会承認事項であり、
  拍手をもって承認された。
   第5号議案については、若手会員の意見について活発な質疑応答が
  行われた。特に育児中の若手会員にとって、土曜日に開催される
  支部のイベントに出かけて長時間参加することは負荷が大きく困難
  であり、ハイブリッド化を推進いただければありがたい、とのご意見
  に執行部としても同意見であること。対応するため、2023年度の
支部予算としてハイブリッド化設備の購入費を申請している旨の
回答があった。

以上  

早稲田応用化学会中部支部総会及び第19回交流講演会のご連絡

早稲田応用化学会中部支部の2023年度の活動としまして、総会および山口潤一郎 教授を名古屋にお迎えしての講演会を計画しました。 コロナ禍のため、中部支部の総会は2020年度よりの3年間、応用化学会HP上でのWEB開催とさせていただきました。また、同時開催の春の講演会につきましては中止のやむなきを得ませんでした。従いまして、対面方式での両者同時開催は3年ぶりとなります。特に、山口先生のご講演は現役会員をはじめ、会員皆様にとって大変参考になるお話を聞くことができる貴重な機会ですので、ぜひご参加頂きますようご案内致します。
なお、今回は対面方式のみでの開催とし、親睦会も予定しております。会員の皆様の元気なお顔が見ることができればと期待しておりますので、ご参加いただければ幸いです。

早稲田応用化学会中部支部
支部長  友野 博美

1.日時: 2023年4月8日(土) 14:30-19:30 (受付開始14:00)

2.場所: ウインクあいち(愛知県産業労働センター) 1008室

https://www.winc-aichi.jp/access/

3.中部支部総会: 14:30~

(1)議事内容

・2022年度支部活動報告、及び支部決算報告

・2023年度支部予算申請内容、支部活動計画、支部役員会メンバー構成など

4.講演会: 15:30~17:00(質疑応答含む)

(1)演題: 「応用化学科の現状と分子レベルのものづくり研究」

(2)講師: 山口潤一郎 教授

(ご略歴)

・2002年東京理科大学工学部工業化学科卒業

・2007年東京理科大学大学院工学研究科工業化学専攻 博士後期課程修了。博士(工学)。

・2007年 日本学術振興会 海外特別研究員(米国スクリプス研究所)

・2008年 名古屋大学大学院理学研究科物質理学専攻(化学系)助教

・2012年 同准教授。

・2016年早稲田大学准教授

・2018年より現職。

(3)講演内容:

名古屋大学から早稲田応用化学科へ移勤してから7年となる。4年生3名とはじめた研究室だが現在では34名と応化では最も大きな研究室となった。応化に所属してから、100周年、西出先生・黒田先生の退職、一部教員の121号館への移動など様々な出来事があった。
専門は有機合成化学であるが、構造式が苦手な方は多いと思うので、本公演では研究内容はほんの一部として、自己紹介を含めて嘱任後の応用化学科の変化と、現在、今後について中心にお話させていただきます。

5.写真撮影、懇親会: 17:00~19:30

(1)場所: 総会、講演会と同じ1008室

(2)懇親会費: 3,500円/人 (当日に現金にてお支払いをお願いします。)

6.参加申し込みはこちらから ⇒ https://forms.gle/LP4tCYhyq64X2g1SA

・準備の都合上 3月31日(金)までに申し込み願います。

・今回は対面方式のみでの開催となります。

・総会、講演会ではマスクの着用をお願い致します。

・お問い合わせ先: 応用化学会中部支部 担当  植村 裕司 

E-mail: yujiuemura.7112@outlook.jp

早稲田応用化学会中部支部活動報告(第18回交流講演会)

 第18回交流講演会を2022年11月12日(土)「ウインクあいち」にて開催しました。(参加者14名) 最初に司会の浜名幹事および友野支部長より、中部支部の講演依頼に対してご快諾いただいた木野邦器教授への感謝の言葉と、先生のご略歴の紹介がありました。

木野先生の講演「脱炭素社会の実現に貢献するバイオテクノロジー」の要旨

 初めに、地球温暖化の問題を解決するための必須の手段として脱炭素技術の早期開発を求める時代の要請がある一方、直近ではロシアのウクライナ侵攻の影響で炭素系資源に再び依存する揺り戻しの動きも現れている、との最新の社会状況に触れられた。
 地球の先住民である微生物は、その生存戦略に基づいて進化し多様化を進めてきた。私たち人類は、これまでその多様な機能や生命システムの一部を生活や産業に取り込んできたが、バイオテクノロジーはDNA解析技術による生命の設計図とも言えるゲノム情報の蓄積と分析、ips細胞系の樹立や再生医療における技術革新、高度化した計算科学や人工知能を駆使したビックデータ利用技術との融合、ゲノム編集や合成生物化学的手法による高度のモノづくり技術など、近年の革新は著しい。今まさに、従来の化石資源依存の産業形態から脱炭素化を実現できる社会への転換期にあると考える。演者らは、微生物の機能分析からモノづくり研究を展開しており、具体的な研究事例を紹介しながら、科学技術開発研究の方向性を議論する。

 微生物、植物、動物などすべての生物は、ATGCの4つの塩基からできている。根源は一緒であり、そこから多様化して存在している。ウイルスなども、根源が一緒であるため、これを利用して抗ウイルス薬などの開発ができる。また、生物の細胞にウイルスが入り込んで進化した例として、哺乳類の胎盤形成などがある。地球圏における生物間ネットワークの例として、昆虫や動物の中にいる共生細菌があり、必須アミノ酸が供給されている。ブドウやイチゴに共生する菌の働きによって独特の香りや匂いがつくことも分かっている。
 生物発酵は酒造りなどで古くから利用されていたが、フレミングによるペニシリンの発見から微生物の利用が本格的に発展した。有用菌をスクリーニングすることで、ブレオマイシン(ガンの薬)、タクロリムス(抗免疫薬)などが開発された。生体物質に作用する薬は構造が複雑で有機合成で製造するのは難しい。選択性の高い微生物を利用することで目的物質を高収率で得ることができる。微生物ゲノムの遺伝子情報が分かってくると、パソコンを利用したスクリーニングも行われるようになった。
 アミノ酸を結合して製造するジペプチドには、人工甘味料のアスパルテームなどがある。ジペプチドにはL体(左手型)とD体(右手型)があり、生物はL体がメイン。D体は分解されにくい性質があり、抗生物質の構造に入っていたりする。医薬品としての作用がL体とD体で異なることがあり、配置が逆になっただけで、心拍数を片方は増加させ、片方は減少させる。医薬品としてL体をベースにしているものに、D体を組み込むことによって、新しい活性発現ができる。
 脱炭素社会に向けた研究として、木材成分のリグニンに炭酸ガスを固定して汎用化成品、機能性プラスチックに展開する技術、食品残渣などに含まれるアンモニアを取り出してリサイクルする技術などについても紹介があった。

木野先生の御略歴:
1979年早稲田大学理工学部応用化学科卒(新29回)

1981年同大学院理工学研究科博士前期課程応用化学専攻修了

同 年、協和発酵工業㈱に入社

1987年工学博士。東京研究所、技術研究所、防府工場製造部勤務を経て、

1999年早稲田大学理工学部(現:理工学術院)教授に着任、現在に至る。

早稲田大学産官学研究推進センター長、同大学研究員副委員長、同大学理工学研究所長・
理工学術院総合研究所長、国立研究開発法人科学技術振興機構開発戦略センターシニアフェロー、同機構プログラムオフィサー、かずさDNA研究所特別客員研究員などを兼任。

その他、学協会関連活動:
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構評価部研究評価委員長
公益社団法人日本生物工学会会長、バイオインダストリー協会理事、日本微生物学連盟理事などを歴任。各種財団の理事や評議員、国立研究開発法人産総研生命工学領域の審査評価委委員長、公的研究機関などの技術推進委員長や審査評価委員長などを兼務。
東京大学・大阪大学・名古屋大学・九州大学等の非常勤講師を歴任。(赤字は現職・兼職・兼任

受賞歴等:
1999年協和発酵工業株式会社 社長賞
2015年文部科学大臣表彰科学技術賞(研究)受賞
2016年早稲田大学ティーチングアワード(秋学期)総長賞受賞
2020年日本生物工学会第39回生物工学賞受賞
その他専門誌論文賞4件など

以上

早稲田応用化学会中部支部第18回交流講演会のご連絡

 早稲田応用化学会中部支部の2022年度の活動としまして、木野邦器 教授を名古屋にお迎えして下記内容にて講演会を計画しました。 現役会員をはじめ、会員皆様にとって大変参考になるお話を聞くことができる貴重な機会ですので、ぜひご参加頂きますようご案内致します。
なお、今回は対面方式のみでの開催といたします。またコロナ感染防止の関係で親睦会は予定しておりませんが、会員の皆様の元気なお顔が見ることができればと期待しておりますので、ご参加いただければ幸いです。

早稲田応用化学会中部支部
支部長  友野 博美

1.日時: 2022年11月12日(土) 14:30-17:00  (受付開始14:00)

2.場所: ウインクあいち(愛知県産業労働センター) 1307室 

          https://www.winc-aichi.jp/access/

3.講師: 木野邦器 教授

4.演題: 脱炭素社会の実現に貢献するバイオテクノロジー

5.参加費: 今回は懇親会実施しませんので、参加費は0円です

6.参加申し込みはこちらから ➡ https://forms.gle/LfqnXm4dg1ZHDLVg8

・準備の都合上 11月4日(金)までに申し込み願います。
・今回は対面方式のみでの開催となります。
・当日はマスクの着用をお願い致します。
・お問い合わせ先: 応用化学会中部支部 担当  植村 裕司 
                   E-mail; yujiuemura.7112@outlook.jp

7.講演内容

 気候変動に見られる温暖化や新型コロナウイルス感染症拡大など地球規模でさまざまな問題が起きています。これらは人間社会の高度化がもたらした弊害とも言えます。一方、SDGsに掲げられた地球規模の多くの課題に対し、我が国ではSociety 5.0を「目指すべき未来社会の姿」としてイノベーションの創出や基盤の強化を図るべく具体的な施策や科学技術開発が進められていますが、その実現には人類の食糧、生活、産業、環境などあらゆる側面においてインパクトを与えうるバイオテクノロジーが大きく貢献するであろうと期待されています。
 地球の先住民である微生物は、その生存戦略に基づいて進化し多様化を進めてきました。私たち人類は、これまでその多様な機能や生命システムの一部を生活や産業に取り込んできましたが、バイオテクノロジーはDNA解析技術による生命の設計図とも言えるゲノム情報の蓄積と分析、iPS細胞系の樹立や再生医療における技術革新、高度化した計算科学や人工知能を駆使したビックデータ利用技術との融合、ゲノム編集や合成生物学的手法による高度のモノづくり技術など、近年のバイオテクノロジーの革新は著しい状況です。今まさに、従来の化石資源依存の産業形態から脱炭素化を実現できる社会への転換期にあると考えます。微生物の機能解析からモノづくり研究を展開している演者らの具体的な研究事例を紹介しながら、科学技術開発研究の方向性を議論したいと思います。

8.木野先生の御略歴:

・1979年 早稲田大学理工学部応用化学科卒
・1981年 早稲田大学大学院理工学研究科博士前期課程応用化学専攻修了
・1987年 工学博士(早稲田大学)
・1981-1999 協和発酵工業株式会社 勤務
・1999年 早稲田大学理工学部(現:理工学術院)教授就任
・2010年 早稲田大学理工学術院総合研究所所長就任

その他

・早稲田大学産学官研究推進センター長、同大学研究院副委員長、同大学理工学研究所長

国立研究開発法人科学技術振興機構開発戦略センターシニアフェロー、同機構プログラムオフィサー、かずさDNA研究所特別客員研究員などを歴任。

・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構評価部研究評価委員長、

公益社団法人日本生物工学会会長、バイオインダストリー協会理事、日本微生物学連盟理事などを歴任。

・国立研究開発法人産総研生命工学領域の審査評価委委員長、公的研究機関などの

技術推進委員長や審査評価委員長などを歴任。

・東京大学・大阪大学・名古屋大学・九州大学等の非常勤講師を歴任。

受賞歴等:

・1999年 協和発酵工業株式会社 社長賞、
・2015年 文部科学大臣表彰科学技術賞(研究)受賞、
・2016年 早稲田大学ティーチングアワード(秋学期)総長賞受賞
・2020年 日本生物工学会第39回生物工学賞受賞 
 その他専門誌論文賞4件など

2022年度中部支部総会議決結果について(報告)

早稲田応用化学会中部会員各位

                 2022年5月9日 中部支部支部長 友野博美

22年度中部支部総会議決結果について(報告)

 会員の皆様におかれましては、コロナ禍が一進一退の状況となる中、徐々に平常の毎日が
戻ることを期待しつつ、お元気でお過ごしのことと念じております。

 さて、本年度の総会に関し先にホームページ上での書面評決をお願い致しておりましたが、
結果を下記の通り報告致します。

1.審議議案
第1号議案:   2021年度事業報告
第2号議案:   2022年度事業計画
第3号議案:   2021年度会計報告と2022年度予算案
第4号議案:   2022年度中部支部役員会メンバー表

2.審議の評決結果
 所定審議期日内での審議結果は、すべての議案に対する反対意見や提案は一件もなく
各議案とも可決されました。(送付会員数:151名)

3.今後の活動
 上記議案可決の結果を踏まえ、今年度の活動計画を推進致します。 

以上