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2024年度定期総会、先進研究講演会、交流会の報告

Ⅰ.定期総会(議長:濱会長、司会:梅澤庶務理事)

2024年5月25日(土)13時30分~

会 場: 早稲田大学西早稲田キャンパス 52号館304教室

参加者:87名(卒業生・教員67名、学生20名)

総会議事アジェンダ→こちらから

1.濱会長挨拶

濱会長

応化会100周年記念行事から約1年が経過する中で議論を進めてきた「これからの100年の応化会の在り方」について方針をお聞きいただき、忌憚のないご意見をいただきたいとのご挨拶がありました。

2.総会議事

 

1)第1号議案:2023年度事業報告と会計報告について (⇒資料庫注):②事業報告 説明資料と決算案

梅澤庶務理事より100周年記念事業を含めた2023年度の活動が報告され、井村会計理事より会計報告がなされました。会計報告の中では、2022年度会計報告中の誤記載についても報告され、発生原因及び再発防止策について説明がなされました。

<監査報告:1号議案に対して>

津田監事より、4月30日に監査を行い、会計部門については領収書、通帳等の各種帳票確認した結果、適正に処理されており決算書は正当であると報告されました。業務部門についても議事録等を精査した結果、基盤、交流、広報の三委員会とも会議のオンライン/ハイブリッド化等の工夫を重ねながら順調に運営されていると判断したと報告がありました。また、各委員会において情報基盤構築を中心に世代間・世代内および各地域での連携強化に向けた取り組みが始まるなど、応化会活動の益々の発展が期待される運営状況であった旨が併せて報告されました。第1号議案は出席者の満場一致で承認されました

梅澤庶務理事

井村会計理事

津田監事

 

2)第2号議案:2024年度事業計画と予算案について (⇒資料庫注):③事業計画 説明資料と予算案)

2024年度の事業計画について梅澤庶務理事より報告があり、それに伴う予算案を井村会計理事が報告したのち、出席者の満場一致で承認されました

3)第3号議案:名誉会員の承認 (⇒資料庫注):④審議事項)

本年3月に定年退職された平沢泉先生が名誉会員に推挙され、出席者の満場一致で承認されました

下村副会長

4)第4号議案:会長の選任 (⇒資料庫注):④審議事項)

下村副会長をより役員会において濱逸夫氏を会長として選出(再任)したのでこれを承認いただきたいとの提案がなされ、出席者の満場一致で承認されました

濱会長からは再任挨拶として、「全世代にとって魅力ある応化会活動への進化」を目指していく活動方針の説明がなされました。
実現のための2つの柱

① Innovation in Technology & Business (Innovativeな発想を習慣とする人材育成)

② Diverse Ecosystem (多様なる人材プラットフォームの醸成)

3.報告事項

 

1)2024年度役員体制について (⇒2024年度役員体制)

濱会長より2024年度の役員体制と新任役員(理事)及び退任役員について報告されました。

2)奨学生の紹介 (⇒資料庫注):⑤報告事項 応化会奨学金 奨学生一覧表)

橋本副会長(奨学生推薦委員長)より、今年度の奨学生8名が紹介されました。奨学生の店網さん(M2)、田島さん(LD2)、市村さん(B4)、佐藤さん(B4)、筒井さん(B4)、杉本さん(B4)、水谷さん(B3)、大山さん(B2)が揃って登壇し、代表して店網さん、田島さんから挨拶がありました。

その後、梅澤庶務理事(選考委員)より今年度選考した里見奨学金、水野奨学金、中曽根奨学金の奨学生、森村豊明会奨励賞の受賞者が紹介されました。

24年度奨学生(8名)

奨学金目録授与(濱会長)

橋本副会長

下嶋副会長

4.閉会の挨拶

下嶋副会長による閉会のご挨拶により総会は終了しました。

 

 

 

Ⅱ.先進研究講演会:「応用化学最前線-教員からのメッセージ」

(早稲田大学先進理工学部応用化学科、早稲田応用化学会の共催(司会: 松方庶務理事))

先進研究講演会「応用化学最前線-教員からのメッセージ」は、応用化学科の各研究室の教員が、企業の研究者・技術者や学生に、自らの研究分野を紹介し、その先進性、先導性を熱く語りかける企画です。その後の交流会(懇親会)で、教員、社会人および学生の間の交流を深め、応用化学科の研究についてより一層理解を深めていただく狙いもあり、毎年総会とあわせて企画されています。本年も3名の先生方にご講演いただきました。

1)有機合成化学部門 細川 誠二郎 准教授
演題 「太古の化合物の化学合成」

2)ものづくり工学部門 江口 美陽 准教授
演題 「電荷分布制御によるものづくり」

3)無機合成化学部門 菅原 義之 教授
演題「ユニークな構造をもつナノシートの作製と機能」

松方庶務理事

細川准教授

江口准教授

菅原教授

Ⅲ.交流会(懇親会)

場所を63号館1階ロームスクエアへ移し、原・新副会長による乾杯のご発声で交流会(懇親会)がスタートしました。
 懇親会会場では終始和気あいあいとした雰囲気が漂い、卒業生・教員・学生会員の皆さんの間で様々な交流が行われました。中盤には23年度をもって退任される河野委員(監事)、平中委員(広報委員)からのご挨拶があり、拍手の中、記念品が贈呈されました。続けて24年度応化会新任理事ご挨拶、奨学生挨拶が行われました。

盛り上がりが続く中、最後は下村副会長のご挨拶と井村理事による一丁締めにて閉会となりました。

原副会長(新)

          退任記念品贈呈

交流会風景

 

注) 資料庫に入るためには、ID、パスワードが必要です。ID、パスワードを持っていない方は資料庫入室入り口、もしくは、資料庫入室問い合わせより、ID、パスワードを取得してください。

早稲田応用化学会主催 第39回交流会講演会

2024年6月15日(土)15:00~16:30 (対面と遠隔方式を併用して開催)

講演者;小岩一郎先生
関東学院大学 理工学部 理工学科 表面工学学系 特約教授

演題;『ドイツ、シリコンバレー、シンガポールでの産業創成方法の比較』

副題;「ドイツで2018年度1年間研究して、以前訪問した地域についても感じたこと」

                         
小岩一郎先生

講演者略歴

1982年3月早稲田大学 理工学部 応用化学科 卒業 (逢坂研究室 新制32回)

1984年3月早稲田大学 大学院 理工学研究科 博士前期課程 応用化学専攻工業物理化学 修了

1986年4月~1988年3月 早稲田大学 理工学部 助手

1987年3月早稲田大学 大学院 理工学研究科 博士後期課程 応用化学専攻工業物理化学 修了

1988年4月~2005年3月 沖電気工業株式会社 研究開発本部、研究本部 研究員、管理職

2005年4月~2013年3月 関東学院大学 理工学部 工業化学科 教授

2013年4月~2023年3月 関東学院大学 理工学部 理工学科 化学学系 教授

2023年4月~2024年3月 関東学院大学 理工学部 理工学科 表面工学学系 教授

2024年4月~関東学院大学 理工学部 理工学科 表面工学学系 特約教授

はじめに

今回は、対面と遠隔方式を併用して開催致しました。

対面方式で使用した会場;西早稲田キャンパス 57号館 201教室

遠隔方式で使用したソフト;遠隔会議用ソフト Zoom

参加者:対面方式;50名(卒業生35名[講演者、先生を含む]、在校生15名)

遠隔方式;22名(卒業生18名[先生を含む]、在校生 4名)

合計  ;72名(卒業生53名[講演者、先生を含む]、在校生 19名)

まず椎名交流委員長による開会宣言と自己紹介、及び視聴に当たっての依頼事項の説明があった後、早稲田応用化学会の濱会長から開会のご挨拶を頂きました。

濱会長
椎名交流委員長

濱会長の開会のご挨拶
椎名さん、ご紹介有難うございます。
この交流会講演会、1年半振りとなります。昨年は応化会100周年記念イベントがありまして、その後初めての交流会講演会となります。そういう意味では応化会の次なる100年のスタートとなる記念すべき交流会講演会になると思います。その記念すべき講演会に、本日はお忙しい中小岩先生に来て頂き、様々な海外での色々な経験をベースに、外から見た日本の今の状況を、厳しいご意見もあると思いますがざっくばらんにお伺いしたいと思います。私も非常に楽しみにしております。
今日はリアルとオンラインで多くの方が聴講されているそうです。是非お話を聞くだけでなくて、今日の先生のお話を起点に、自ら何を考え、どう行動するか、そして今の日本をどうやって立て直していくか、というところにうまく繋げていって欲しいと思います。
小岩先生、是非宜しくお願いします。

続いて椎名交流委員長から講演者の略歴が紹介された後、講演が始まりました。
講演の概要 ==⇒ こちら【新しいタブで開きます】

講演終了後、対面で参加された松方先生、及び学部4年 北村悠真さんと質疑応答が行われました。

松方先生
B4 北村さん

質疑応答の概要 ==⇒ こちら【新しいタブで開きます】

最後に、早稲田応用化学会の原副会長から閉会のご挨拶を頂きました。

   
  原副会長  

原副会長の閉会のご挨拶
小岩先生、本日は貴重なお話し、有難うございました。
私も過去にアメリカとイギリスに住んだことがありまして、ドイツのお話しをお聞きしますとやはり日本とは違うということで、外を見ることが大事だと思います。1つの会社とか1つの研究所にいると外を見る目が失われていくと思います。外の世界はすごく刺激になるんですね。小岩先生は日本に対する期待がすごく高いので、日本の出来ていないところを色々仰って頂きましたが、私が日本に帰ると必ず思うのは日本の良さです。海外に住めば日本の良さを認識することがありまして、こんな良い日本が世界の中で経済でも負けて、皆さんがすごく勉強しているのに活躍出来ない、そして色々な製品において負けてしまう、ということについて悔しい思いがあります。日本が世界に向けてしっかりポジションを取れるのが、私としては良いことだと思います。これから社会に出る人、出て間もない人も色々なところを見て、自分の力を培って成果を出してくれたら、と思います。先生の仰って頂いた、目標を持つ、Visionを持つというところで、やはり自分の中で目標を持つと色々な事で努力出来ることがあるな、と思います。
私は会社へ入って37年も経ってしまいました。途中で目標が変わったりしますが、目標があったからこそ出来たこともありました。これから社会に出られる方も若い方も色々な事にチャレンジして、目指すものを持ったらすごくいいなと感じました。
今日はどうも有難うございました。

この後、椎名交流委員長からアンケート回答についてお願いがあった後、閉会となりました。

当日の参加者の写真
対面での参加者

遠隔での参加者

対面での参加者は講演会場での写真撮影後、63号館1階ロームスクエアに場所を移し、懇親会を行いました。

懇親会

鈴木交流委員 関谷交流副委員長

鈴木交流委員の司会により、まず関谷交流副委員長の開会のご挨拶と乾杯のご発声の後、懇親会が始まりました。

小岩先生を囲んだ人たちの輪とか、旧交を温めるOB/OGの人たちの輪が会場のあちこちに出来て、大いに盛り上がりました。

応援部学生のパフォーマンス

懇親会の終盤には早稲田大学応援部の学生によるパフォーマンスが披露されました。校歌、エールで参加者が声を合わせ、応化会の団結を確認し今後益々の発展を誓いました。

下村副会長 石崎学生委員長

最後に、早稲田応用化学会の下村副会長からいつもの力強い中締めのご挨拶を頂き、石崎学生委員長の一丁締めにて散会となりました。

講演会・懇親会のスナップ写真は下のボタンをクリックしてご覧ください。

 

(文責;交流委員会)

早稲田応用化学会主催 第39回交流会講演会講演内容

講演の概要

講演者ご自身の経験や見解に基づいて、興味深く、また示唆に富んだお話が展開されました。
講演の概要を下記しましたが、詳細については講演者が講演時に使用されましたプレゼンテーションファイルを、応化会HP内の“資料庫”に格納しておりますので、是非そちらもご覧下さい。なお、“資料庫”に入室するためにはID(ユーザー名)とパスワードが必要です。

“資料庫”==⇒ こちら【新しいタブで開きます】

導入部

問題解決について世界各国の特徴を記述した資料が公開されていますが、その中で残念ながら、「問題を直ぐに解決するドイツ」に対して、
 「大人数で会議やって何も解決しない日本」
と紹介されています。

本講演では、

  • 日本より労働時間が短いにも関わらず、GDPや労働生産性において日本を凌駕しているドイツ
  • 2019年に工業競争力世界一位を獲得したシンガポール(台湾も同様)
  • 急激に発展しているシリコンバレー

での経験を元に、日本が置かれている状況、世界が日本をどう見ているかについてお話しします。また、日本的な失敗例についてもお話しします。

1.初めに

2018年4月から1年間、ドイツのアーヘンに滞在し、アーヘン大学のフリードリッヒ教授の研究室でサバティカルを経験してきました。そこで感じた下記のような点について報告します。

  • カルチャーショック
  • ドイツと日本の違い
  • 日本は、どうしなければいけないか?

2.ドイツの現状

ドイツに来て感じたこと
パン屋の態度が悪い。不動産屋の、約束を守らない態度に憤慨。寝具屋やスーパーで大量購入しても包装無し。ビールは安くて美味しかった。
住民登録や銀行口座開設が首尾良く出来ない。
 Keypoint1 相手の立場に立って仕事をする、という考えが殆んど無い。
ドイツでの生活を始めるときに驚いたこと
最初に、フリードリッヒ教授に言われたこと⇒遅くまで働かないでくれ!ドイツでは問題になることがある。日本人は長時間労働だ!
短い時間でも生産性が高いので、景気が良くなっているのでしょう。
ドイツの生産性
ドイツが生産性を高めていることを考察する上でのポイントとして、

  • 日本でやっているが、ドイツではやっていないこと!
  • ドイツではやっているが、日本ではやっていないこと!

を考えてみましょう。
ドイツでのコミュニケーション
ドイツで生活や仕事をして驚くのが、「メールが少ない」、「電話が少ない」、「会議が少ないし、短い」、「説明のための資料作りが殆ど無い」ことです。
 Keypoint2 コミュニケーションに使う時間が少ない。
ドイツで、日本より厳密に多く作成するのは契約書です。生活のあらゆる場面で必要です。
 Keypoint3 ドイツは契約社会である。
ドイツでの会議
フリードリッヒ教授が招集した会議では、会議がうまく進行するように日本での会議でよく行われる下記のようなことはしません。

  • 根回しをする。
  • 説明のためのパワーポイントファイルと配布資料を用意する。
  • 研究の内容について多くの参加者を集めて説明する。
  • 議事録を作成して会議の最後に確認する。

ドイツでは会議のために費やす時間が圧倒的に短い。仕事の評価はあくまで結果であって、会議でのコンセンサスを得ることが重要ではない。そのため自分の仕事に注力していて、自分のすべき仕事のみを行います。
前述のようにドイツは契約社会ですが、契約社会の最も根幹にあるのが「労働契約書」です。
ドイツで、答えに窮した質問
私の研究所にいた一人から「東日本大震災があったが、日本は原子力発電についてどう考えているの?ドイツは原子力を止めると決めたし、フランスは止めない。日本は、あれだけの被害があったのに・・」との質問に「日本には原発賛成派と反対派があって、まだどちらとも決めていない」と答えましたが、その人は不思議そうな顔をしていました。
東日本大震災に対応してメルケル首相は、原発推進派であったにも関わらず福島原発事故からわずか4ヶ月で脱原発を法制化しました。
日本は東日本大震災で甚大な被害を受けたにも関わらず、事故後の総括も十分でなく、是正処置ができていません。原発をどうするのかも決めていません。
日本は政治も産業界も細部まで決まらないと判断できない社会になっています。ドイツは決断をすべき人が決断をし、実行する人が実行するので効率が高いのです。

3.日本との違い(カルチャーショック)

脱原発を決めたドイツは、再生可能エネルギーの拡大へと舵を切りました。 ドイツの電力料金の4割は税金だそうです。さらに、ドイツでは再生可能エネルギーの割合を100%にしようとする動きもあります。
日本人の、言わば「木を見て森を見ない」態度に対して、メルケル首相の「森を見て木を見ない」態度で判断し突き進む姿勢はカルチャーショックでした。
ドレスデンのフラウンフォーファーについて
クリーンルームも狭いし、古いし、最先端ではないですが、装置は8インチと12インチの両方を設置しているとのこと。フラウンフォーファーはマックスプランクのような研究所ではなく、技術を産業に結び付けるために設立されたとのことです。その目的を明確にして、全員で同じ方向に進むので早く、しかもトップを取れると納得しました。
IMEC(Interuniversity Microelectronics Centre)について
次世代の露光機であるASML製のEUV(Extreme ultraviolet lithography)があります。
嘗て世界中の露光装置は、NIKONやCANNONによる日本の独占市場でした。今はASMLが2019年予測で80%以上のシェアとなっています。このような状況に至った理由は作り方にありました。NIKONやCANNONのR&Dは自前主義モデルであるのに対して、ASMLは分散統合主義モデルとなっています。すなわちASMLのR&Dには多くの企業や大学、研究機関が関わっており、夫々の強みが合わさる仕組みとなっています。

4.米国、シンガポール、台湾との比較

シリコンバレーについて
シリコンバレーの特徴として次の3つが挙げられます。

  • ダイバーシティ(多様性)
  • 急激な拡大(シリコンそのものよりもITとしてGoogle、Amazon、Facebookなど)
  • スピードの重視(特許を取るより、公開して協力者を得る方が良い)

シリコンバレーでは、10年に2,3の大きなビジネスができて、大きな企業ができています。
谷上さん(シリコンバレーで成功した日本人の一人)の言葉;

  • Be creative! (人と同じことをするな!人と違ったアプローチをしなくてはならない)

日本の横並びの護送船団方式は、もはや過去のモデルです。
日本の企業も大学も変わらなければなりません。

  • 企業は、新しい分野を独立性の高い小集団のスピンアウトに任せなければなりません。
  • 大学は、学生の個性を高めるような教育をすべきです。

シンガポールについて
リー・クワンユー元首相の政策が「外国資本誘致による輸出志向型工業化戦略」でした。
そのため下記のことを行いました。

  • 外国の公的機関、企業をシンガポールに呼び込む
  • そのためのインフラ整備(直接、間接)
  • 自前でニッチ分野
  • シンガポール独自の整備体制

シンガポールのセールスポイントは安全、公用語が英語、異民族社会、清潔で透明な政治と社会、清潔で美しい都市、です。
2006年に科学技術機構ができました。バイオメディカル フェーズⅡ、環境と水処理技術、インタラクティブ&デジタルメディアに力を入れることを決めています。
台湾について
台湾政府の強力な後ろ盾を得て創設されたTSMC(台湾積体電路製造)が目覚ましい発展を遂げています。
シンガポールやマレーシアは、半導体分野において韓国を見倣おうとしましたが、サムスンほどの成功は挙げられずにいました。
そして、もともと台湾は半導体サプライ・チェーンの最下段という立ち位置を維持するだけでも、絶えず技術を磨いていく必要がありました。
一方中国は今や経済的な脅威へと変わり、台湾の貧困脱出の手段となった基本的な製造や組立の仕事を誘致し、台湾から仕事を奪い取ろうとしていました。価格で中国と張り合うのは不可能だ、となれば、台湾はみずから先進技術を生み出すしかなかったのです。

5.日本で成功した例

富士フイルムの躍進(コダックは無くなったが、富士フイルムは躍進)
世界最大のフイルムメーカーで、使い捨てカメラなどのイノベーションを起こしてきたコダックは、フイルムとともに消え去りました。
富士フイルムは化粧品や薬などで、益々発展しています。
自社の組織内には、まったく異なる分野で成功する機能がない場合が多いので、新しい組織を自社内に作るようにしないと成功しません(または、M&Aで社外から導入します)。
マツダのスカイアクティブ
「Be a Driver」のためには、エンジンを最高のものにするためにクリーンディーゼルを開発しました。自動運転などには手を出さず、自分たちの目標を達成しました。
ワールドカップでの南アフリカ戦の勝利(史上最大の番狂わせ)
どうして、日本がスプリングボクス(南アフリカ)に勝てたのでしょうか?
エディー・ジョーンズがJAPAN WAYを考え、実践したから、と考えます。JAPAN WAYを下記します。

  • キックを、できるだけしない!!
    「地域」より「攻撃権」維持の方が重要と考え、そのためキックをできるだけしない。
  • ディフェンスは複数で!!
  • 後半になっても、運動量が落ちない!!

戦略とは、本質的に、しないことを決めることです。エディー・ジョーンズは、トレードオフ対策をした上で「キックをしない」と決めました。  日本人は、目的と手段を取り違えてしまいます。目標を明確にして、その目標を現実にするために、何をするのかを考えて、実行することが大事です。このことは人生においても、仕事の仕方においても同じです。
iPS細胞について
iPS細胞の生みの親である山中伸弥教授は、一生懸命研究をしていたつもりでしたが、目の前の研究費獲得や論文発表などに囚われ、目標を見失っていたことに気付いたそうです。
基礎医学で研究者として治療法を見つける方が、役に立てると考えました。このように、目標を明確にすることで「iPS細胞」は生まれたのです。

6.日本で失敗した例

半導体のあすかプロジェクト
日本半導体産業の復権のための仕組みが作られています。問題は、復権のための鍵が何か、そしてフォーカスすることです。権威者8人の意見は一致しているのか?これだけ広がっていてフォーカス可能なのか?具体的に、いつ、何を、どのようにするのか?
部品内蔵の標準化 ⇒ 省略
技術標準WGの現状 ⇒ 省略

7.まとめ

問題点の克服のために
日本の欠点と対策

  • 着手が遅い。(全員の合意が前提条件になっている)
    ⇒ この指とまれ方式で、テーマに早く着手する。
  • 不確定なことに、資金を出す人がいない。
    ⇒ 資金は、政府と民間のファンドをつくる。
  • 作った組織の独自性が無い。(上部組織の意思が決まらないので行動できない)
    ⇒ 独立性の高い組織に運営させる。

――― 以上 ―――

早稲田応用化学会主催 第39回交流会講演会質疑応答

松方先生との質疑応答(概要)
松方先生
先程フランクフルトから帰りました。
やることは速いですがドイツも迷って困っていることを目の当たりにしました。特にカーボンニュートラルについてそう言えます。今までやって積み上げてきたものが一気にひっくり返された状況です。天然ガスは国のエネルギー消費の9%位まで下がっていて、どうしましょうという状況です。
一方でカーボンニュートラルに関し、ナフサクラッカーを電炉方式で行う方法があります。現地で見ていてびっくりしたのですが、日本の研究所では多分ベンチ装置を作ってデータを取ってぼちぼち始めると思うのですが、現地ではBSFの本体のクラッカーの横に実装設備が既に出来ていて、動いています。日本ではアンモニアで加熱することが国の方針としてあります。但しそのような設備を誰かが作ろうという話は聞いたことがありません。速いとか遅いとかの次元を超えて、全然ダメと思って帰ってきました。ドイツで行動が速いのは、多分国のお金ではなく自分のお金を使っているからだと思います。ナフサクラッカーに何かを実装することは日本でもドイツでも同じですが、それを出来る国と出来ない国は決定的に違うなと思い、帰ってきました。
変わる方法ですが、ドイツのように個人主義になる必要もないと思います。我々が携わる応用化学や化学工学の分野は重厚長大で古い産業ですが、これを変えるきっかけがあるのかどうか、暗澹たる気持ちで帰ってきました。どうでしょうか。
小岩先生
ドイツの大学はスケールアップした研究をしなければならない、と決められているようです。私がいましたアーヘン大学でアルミをリサイクルする時、アルミを溶かす小さい炉が1立方メートルあるそうです。1立方メートルのアルミを溶かす、というのは無茶苦茶ですよね。日本では多分どこも出来ないと思います。そこまでスケールアップしなければならない、ということが明確に決まっているからやっているのだと思います。
例えばエアランゲン大学では、実装の組み立てライン、すなわち実際に製品を作れる組み立てラインが4本あります。日本の大学では実装の組み立てラインを1ラインも持っていません。ドイツでは持たなければならないという制約があるのだと思います。生産もしていないのに実装の組み立てラインを4本も持っていて何になるのか、という疑問は持ちます。でもそれがあれば、ドイツの研究者で実際に組み立てをしたいという人がエアランゲン大学に行けば、それが出来るわけです。1立方メートルのアルミを試作したければ、アーヘン大学が炉を貸し出しするそうなのでそれが利用可能です。そういう機関を分野毎に無理やり作っているのだと思います。これは良い面と悪い面があると思いますが、結果的に良いことだと思います。
松方先生
小岩先生がおられたアーヘン工科大学は私の分野である分離膜において極めて強力なセンターです。大きな体育館のところに膜の評価装置がずらっと並んでいます。日本は、産総研も含めてそういう所はどこにもありません。従って日本のメーカーさんが膜を作るとアーヘンに送って評価してもらいます。何が起きるかと言うと、世界中から膜が集まって来て、世界中の膜の実力が全部アーヘンに集まります。全部データが取られます。それはダメと20年位前から言っていても何も起きません。
小岩先生
それがIMECモデルなんですよ。EUVに興味のある世界中の人たちがIMECに集まってきます。IMECは、どこがEUVにどれだけ興味があってどれだけの実力があって何をやるか、全部分かるわけです。日本が半導体に強かった80年代に何でそれをやらなかったのか、非常におかしいと思います。出来れば日本国内でやりたいですね。
松方先生
そうです。日本に情報を集めたいのに、日本からドイツに全部情報が出ていく仕組みになっています。
もう一点ですが、日本の過剰な規制と既得権についてです。
ドイツの大学を見に行ったら高圧の水素ボンベを自転車に積んで走らせていました。こんなことは日本では絶対に出来ないですよね。規制の在り方が全然違うと思いました。
小岩先生
その通りだと思います。
ドイツから帰ってきたときに、「ドイツ流仕事術」というテーマで講演したら、経産省の方からお呼びが掛かりました。そこで護送船団方式はダメです、ということを説明しました。この指止まれ方式を採用し、本当に興味があってお金を出すという人を集めてやらないと、いくらお金を使っても無駄です、ということを訴えたのですが、税金は平等に配らなければならない、ということで聞き入れてもらえませんでした。

B4 北村さんとの質疑応答(概要)
北村さん
ご講演、有難うございました。
後半部分で目的の明確化とWork Hardについてお話しがありました。努力ということについては果たしていると思っているのですが、目的意識を鍛えるには日頃どのようなことを意識すれば良いのか教えて下さい。
小岩先生
常に自分が将来何になりたいか、という意識を持ち、それに近付けるような努力を怠らないようにすることだと思います。目標は変わっても良いですが、基本となる軸を持つことが必要だと思います。
北村さん
目的と言うよりVisionを明確化して視野を広げ、研究していきたいと思います。
有難うございました。

石川研究室同門懇談会2024開催報告

第20回石川研究室同門懇談会が6月8日ニュートーキョー数寄屋橋本店で開催されました。冒頭大根田代表幹事(44年卒)の開会宣言に続き、出席最年長野際幹事(39年卒)より乾杯の発声が行われ暫し歓談となりました。

懇談会には毎回講師をお招きしており、今回は斎藤恭一先生(1952年平田研卒、1994年2月まで東大、2019年3月まで千葉大、2024年3月まで早大)、ご専門は放射線グラフト重合法による高分子吸着剤の開発、演題は「40年間水からモノを採るぞ!除くぞ!の話」。
ハイライトは、2011年東日本大震災発生後3ヶ月で水中の放射性セシウムを吸着除去出来る繊維の製法を確立した経緯についての講話。この吸着繊維は鮮やかな緑色を呈し、その色が震災後日本を訪れ支援を続けていたレディー・ガガさんの当時の髪色に似ていたことから、謝意を込めて吸着繊維“ガガ”と名付けたと。詳細については化学工学2020年9月出典記事をご参照。

1時間を超える熱演でしたが、「ダジャレ王」「BTS(ベストティーチャー斎藤)」と自称されるだけあって爆笑の連続。近著「大学教授が研究だけしていると思ったら大間違いだ!」の紹介もあり一同拍手をもって感謝の気持ちを伝えました。

最後に全員で高々と校歌斉唱、今回の参加者は総勢20名、年を追うごとに減少しつつありますが、1年後の再会を誓ってお開きとなりました。

文責:堀江 芳文

第11回早稲田応用化学会シニア会開催報告

現在早稲田応用化学会シニア会は、早稲田応用化学会活動に参加してきたシニアの対象を(70歳以上)として開催致しております。第11回シニア会は新宿中村屋Grannaで6月15日(土)、最長老田中照浩氏(新05、今も年30回ゴルフというご壮健)を筆頭に20名が参加して開催されました(ただし一人は交流委員会主催の講演会の準備のために途中退出し19名となりましたが)。

大学関係者としては応用化学会前会長の西出宏之特任研究教授(新20)がお忙しい中駆けつけて下さいました。
先ずは今年3月にご逝去された趙錫来氏(新09)、近藤晋一郎氏(新20)のご冥福をお祈りしシニア会として1分間の黙祷をさせて頂きました。

最初に河村宏氏(新9)の乾杯ご発声で懇親会は開始されました。百目鬼清氏(新01)がとりしきってこられたグランドシニア会を2016年に引き継ぎ、名称をシニア会として発足してはや8年が経過し、これからも末永く継続されることを祈念されました。食事やお酒を楽しみながら会員同士の会話が各テーブルで盛り上がりました。応化会役員として注力を傾けた当時の活性化活動や当時の思いまた現在のそれぞれのアクティビティが各テーブルで盛んに会話が交わされていました。ここでこの度新たにシニア会メンバーなられた御三方が司会者から紹介されました。平沢泉先生(新26)と岸本信一氏(新27)は先約があり、欠席となりましたが、皆様によろしくお伝え下さいとのメッセージが披露されました。もう一方、橋本正明氏(新21)からは今春の総会にて執行役の副会長を退任され、ご挨拶と近況をお聞きしました。各テーブルでは歓談が盛んに継続され、席も移動して久し振りの再開を喜び、また新たな話題で歓談が続きました。
司会者から2つのメッセージが有りました。一つは秋季シニア会懇親会の日程は10月5日(土)開催に決定したこと、もう一つは給付奨学金受給者社会人(新50~新63)の里帰り企画が8月31日(土)15:00~に開催予定であり、都合のつけられるシニア会メンバーは参観していただきたい旨の案内が有ました。

その後も歓談が尽きることは有りませんでしたが、里見多一氏(新22)による中締めのご挨拶では、シニア会メンバーには様々の趣味のグループを作り楽しくすごしたらどうかというご提案もあり、あっという間にお開きの時間を迎えてしまいました。記念の総合写真を撮影し今秋のシニア会10月5日の再会を約して散会となりました。
シニア会は早稲田応用化学会に関与してきたシニア同士の懇親をあたためる場となっております。毎年新たな会員をお迎えすることになります。応用化学会の発展をあたたかく見守り、影ながら支援するコミュニティとして今後とも存続できればと念じております。

世話人:下井將惟(新13)、河野恭一(新14)、河野善行(新25)
文責:世話役一同、写真:相馬威宣(新13)、平中勇三郎(新14)

2024/6/4・6・7 第1回応化ゼミ

2024年度応化ゼミが6月4日、6日、7日に開催されました。例年、応化ゼミは各研究室についての講演会の後、同日に研究室ツアーを行っていましたが、今年は形式を変更し、研究室ツアーを4日と7日に、講演会を6日にそれぞれ単独で行いました。

詳しくは、学生委員会HPをご覧ください→こちら

【開催案内(今週末)】関西地区にお住まいの応化会員の皆様へ

【早桜会(2024/6/22)】2024年度新人歓迎会 早稲田応用化学会 関西支部(早桜会)Welcome Party
早稲田応用化学会 関西支部(早桜会)では、下記の日時で交流会を開催致します。
特に若手会員(35歳未満)については、今回有志会員より会費補助を頂いておりますので、会費は半額以下とさせて頂きました。
まだ早桜会イベントに未参加な方は、これを機にぜひご参加頂ければと思います。
こちらのサイトでも確認できます。→早桜会(関西支部)

日時:2024年6月22日土曜日 18時〜20時
場所:中央電気倶楽部 大食堂
〒530-0004 大阪市北区堂島浜2丁目1番25
アクセス:
https://www.chuodenki-club.or.jp/about/access/

会費:
・一般(35歳以上): 6,000円
・若手①(30歳以上35歳未満): 2,000円 (初回参加):1,000円
・若手②(30歳未満): 500円 (初回参加):無料

人数制限:最大30名程度まで
申込期日:2024年6月15日(土)
申込方法:申込フォーム(←こちらをクリック)
ご不明な点は下記までご連絡お願い致します。

<連絡先>
office@waseda-saoukai.org

早稲田大学応用化学会 関西支部(早桜会) 事務局:三品、澤村

交流委員会レクリエーション活動 春の早慶戦(第2戦)観戦報告

開催日時:2024年6月2日(日)
開催場所:明治神宮野球場

 

日頃、学業や研究活動で忙しい中、交流委員会のお手伝いをしてくれている学生委員の皆さんが、コロナ禍もあって早慶戦を観戦した事がないと言う話を聞き、交流委員会のレクリエーション活動を兼ねてOB 4人、学生7人、合わせて11名で観戦した。
昼過ぎから雨予報だったため、雨具を用意し昼食に崎陽軒シウマイ弁当を食べて準備万端、優勝を信じて応援開始。
初回裏、慶應に1点先制されたが、最終的には早稲田が打ちまくって19安打12得点。早稲田12-2慶應の圧勝で完全優勝。
5回途中から雨も大降りになり、びしょびしょになりながら紺碧の空や校歌を歌いまくり、優勝の瞬間に立ち会えた事は最高の思い出となった。

 

試合後、OB 4人で春秋連覇を達成した2015(平成27)年以来、約9年ぶりに開催された恒例行事の優勝パレード「ちょうちん行列」に参加。
雨が降り続く中、応援部が先導し17時15分ごろ聖徳記念絵画館前から大学に向けて出発。沿道の多くの方から祝福を受けながら応援歌を歌って練り歩く。気分爽快だ。我々はお互いの体調を考慮して途中で行列を離れ.大久保界隈で祝杯をあげて今回の観戦イベントを振り返り大いに盛り上がった。

 

今回、交流委員会レクとして早慶戦観戦を企画しましたが、会員の皆さんからの希望があれば応化会としての観戦を検討しても良いと思っています。
これからも応化会は会員の皆さまにとって参加し易いコミュニケーションの場を企画して参ります。
是非、お気軽にご参加ください!

参加者:
OB: 関谷さん(新18) 、保谷さん(新19)、重谷さん(新19)、椎名(新36)
学生委員: M1:石﨑さん、輿石さん、内藤さん、B4:筒井さん、B3:水垣さん、B2:大澤さん、大山さん

(文責:交流委員会 新制36回 椎名)