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2021年度中部支部総会議決結果について(報告)

早稲田応用化学会中部会員各位

           2021年5月25日 中部支部支部     友野博美

21年度中部支部総会議決結果について(報告)

 会員の皆様におかれましては、新型コロナウイルスのまん延状況に収束の兆しが見えない中ではありますが、お元気でお過ごしのことと念じております。

 さて、本年度の総会に関し先にホームページ上での書面評決をお願い致しておりましたが、結果を下記の通り報告致します。

1.審議議案
第1号議案:   2020年度事業報告
第2号議案:   2021年度事業計画
第3号議案:   2020年度会計報告と2021年度予算案
第4号議案:   中部支部会則の改訂
第5号議案:   “若手部会(仮称)”の立ち上げについて

2.審議の評決結果
 所定審議期日内での審議結果は、すべての議案に対する反対意見や提案は一件もなく各議案とも可決されました。

3.今後の活動
上記議案可決の結果を踏まえ、今年度の活動計画を推進致します。 

以上

2021年度(36回)早桜会総会議事録

2021年度早桜会総会議事録

日時:2021年4月10日(土)14:30~15:00

会場:オンライン(ZOOM)にて実施

出席者:20名
関西支部:
津田實(新7回), 島雄(新7回),井上征四郎(新12回),前田泰昭(新14回),市橋宏(新17回),田中航次(新17回),井上昭夫(新17回),岡野泰則(新33回),斎藤幸一(新33回),和田昭英(新34回),脇田克也(新36回),高田隆裕(新37回),中野哲也(新37回),髙島圭介(新48回),數田昭典(新51回),澤村健一(新53回),陳鴻(新59回),三品建吾(新59回),古田武史(新61回),桜井沙織(新64回)  議長:
議案の前半(3)まで田中2020年度支部長、後半(4)以降斎藤2021年度支部長

議案
(1)2019,2020年度事業活動実績報告
[2019年総会及び特別講演会]:
       2019年3月16日実施(神戸大学六甲)
       講師:早稲田大学応用化学科 松方正彦教授、和田宏明教授
       演題:早稲田応用化学科100年史
[2020年度総会]:
       2020年9月26日実施(第1回役員会にて代替しZOOMにて実施)  [2019年度講演会]:
       2019年9月28日実施(中央電気倶楽部)
       講師:JXTGエネルギー 原敬氏(新36回)
       演題:石油精製技術の歴史と今後の展望 
[2020年度講演会]:未実施
[2019年度懇話会3回] (中央電気倶楽部)
       2019年6月1日
     講師:高田隆裕氏(新37回 村田製作所)
       演題:(株)村田製作所の電子部品とそれを支える材料技術
       2019年12月7日
    講師:前田泰昭氏(新14回 大阪府立大学)
       演題:原料をカスケード利用して軽油より安価なBDF (バイオディーゼル燃料)とバイオマス化成品を製造するプロセスの開発
      2020年2月15日 
      講師:市橋宏氏(新17回 元住友化学)
      演題:小学校理科教育の現状と課題
[2020年度懇話会2回] (ZOOM)
      2020年10月31日
      講師:岡野泰則氏(新33回 大阪大学)
      演題:当世学生気質
     2021年2月6日
   講師:野田優氏(早稲田大学)
     演題:持続可能なモノづくりとヒトづくり -化学工学者の試み-

 →2019年第1回以外は役員会も同時実施
 [中部支部との交流] :
     2019年3月26日 支部幹部意見交換会実施
     2019年4月6日 中部支部総会出席

(2)2019, 2020年度予算実行報告
    2019年・・・予算:198,000円,決算:88,025円
 2020年・・・通信費で460円

(3)関西支部(早桜会)役員改選
2020年度役員は本日をもって任期満了になることから、田中支部長より新役員候補として下記各位の推薦があった。

支部長:斎藤幸一(新33回)
副支部長:和田昭英(新34回)
監事:中野哲也(新37回)
事務局長:澤村健一(新53回)
理事:脇田克也(新36回),高田隆裕(新37回),數田昭典(新51回),陳鴻(新59回), 三品建吾(新59回),古田武文(新61回),桜井沙織(新64回)田中現支部長、市橋現副支部長は2021年度より顧問に就任

(4)2021年度事業計画
     2021.4.10 総会, 特別講演会(本日開催)
     2021.9~10 講演会(講師:新46回 大宮氏)
     2021.6, 2021.12, 2022.2の計3回懇話会及び役員会を実施予定
      ※2021年6月の中野氏の懇話会では哲学をテーマにした懇話を予定(6/26を候補日)
     ※中部支部会、懇親会に支部を代表して2名派遣予定

(5)2021年度予算(案)
2020年度予算案と同様に198,000円にて申請

議案はすべて承認された。

以上


斎藤幸一氏の特別講演

総会終了後に支部長の斎藤幸一氏より、「新型コロナウイルス感染症(Covid 19)を正しく理解するための基礎知識」が早桜会勉強会としてオンライン講演が行われた。要旨を以下に示します。

コロナ基礎(早桜会)サマリー

2020年度 応用化学専攻褒賞・奨学金授与式

3月4日木曜日、コロナ禍の続く情勢の中、応用化学専攻褒賞・奨学金授与式がzoomを用いたオンライン形式で須賀健雄専任講師の司会により挙行された。鹿又宣弘先進理工学研究科長の祝辞で始まり、水野賞・水野敏行奨学金、応用化学会給付奨学金、中曽根荘三奨学金、里見奨学金、森村豊明会奨励賞の5つの褒賞・奨学金授与式が行われた。画面上で賞状を表示しながら22名の受賞者が表彰された。

 

左:司会 須賀 健雄 専任講師
右:先進理工学部/研究科長 鹿又 宣弘 教授

左:応用化学科/専攻 主任 小柳津 研一 教授
右:水野家代表, 元応用化学会会長 河村 宏様

左:応化会 橋本正明副会長
右:里見奨学会 田部 修士 様

左:森村豊明会 森村 潔 様
右:オンライン授与式の様子

 

水野家代表、元応用化学会会長の河村宏様をはじめ、応用化学会橋本正明副会長、里見奨学会事務局長の田部修士様、森村豊明会の森村潔理事より受賞者を鼓舞する大変ありがたい祝辞を頂いた。

 

最後に、水野賞受賞者の池 勇樹君が、受賞者代表として御礼と今後の抱負を述べ約35分の式は閉会となった。

受賞者代表挨拶 池 勇樹君

 記念講演会では、九州大学応用力学研究所 西澤伸一教授から「これからの社会をけん引する皆様へ」と題し、大学院時代の無重力実験や恩師(平田彰教授)とのエピソード、産総研時代に産官学連携で取り組んだパワーエレクトロニクス用装置の開発、電力のグリーン化に向けた今後の課題、挑戦など、「ものづくり」に関する熱い想いを講演された。西澤先生は26年前に水野賞を受賞された我々の先輩でもある。次の世代に「バトンを渡す」と繰り返されていたのも印象的で、30年後の社会に向けた貢献が求められる受賞者世代への想いと激励は受賞者に響いたのではないかと思う。

 その後のオンラインで実施した受賞者の研究発表会では、1分で各自の研究を紹介し、その後ブレイクアウトルームを利用して参加者の活発な議論、懇親会を兼ねた交流が展開された。受賞者同士がお互いの研究について熱く語り合い、今後の進路について忌憚のない意見交換がなされ、対面実施はできなかったが密度の濃い時間を過ごすことができた。

 受賞者の益々の発展を期待すると同時に、これだけ多くの褒賞・奨学金を独自に持つ応用化学専攻・応用化学科の力強さを改めて感じた一日であった。
(文責:広報委員会)

応用化学会副会長より祝辞

応化会 橋本正明副会長 

応化会の橋本正明副会長より下記の祝辞がありました。

各賞受賞の皆様、本日は誠におめでとうございます。
早稲田応用化学科には、先輩諸氏の寄付によって充実した奨学制度があり、その制度は途切れることなく現在も運用され続けております。また厚い志を持つ財団からの奨学・奨励制度もあって、応用化学科で学ぶ学生諸君にとっては大変恵まれた環境が整えられていると言えるでしょう。
本日受賞された皆様は、こうした先輩や財団の思いをしっかりと受け止め、志を高く持って勉学、研究に取り組んでいただきたいとおもいます。

ところで、最近の世の中の動向を見ておりますと、私が社会に出たころと、国や企業の競争力の基盤が随分変ってきているように感じます。かつては国や企業といった一つの集団の平均的な質や能力の高さが競争力を支えていました。例えば企業が効率、品質、安全などを維持して生産を継続するためには平均的に高い能力の従業員が強いエンゲージメントをもって活動することが大切でした。日々のカイゼンを積み重ねるといった日本流のやり方はこうした従業員たちによって支えられてきました。しかし今日のように、一定の割合で自動化が進み、ISOなどの各種のマネージメントシステムも整備され、行き渡ってきますと、従業員の平均レベルの高さは重要ではあるものの、競争力にとっては決定的なものではなくなってきました。競争力としてはカイゼンというよりは、大きな障壁を打破してステップアップを起こす能力、つまりブレークスルーの能力が大切になりました。そしてそうしたブレークスルーを実現していくためには、構成員の平均としてのレベルに加えて、将来への道を切り開く、戦略力や技術開発力を持ったトップ1割の構成員の優秀さが重要になります。(近年、知的生産力の指標である学術論文数や、影響力の指標である被引用論文数などで、国や大学のランキングを議論する背景の一つには、こうした動向があると思います。)

博士にすすむ皆さんは、社会においてこれからの競争力を担うトップ1割のメンバーとして、化学技術分野の最前線に立つことになるでしょう。
そうした立場を十分ご理解いただき、人間社会にとって、企業にとって、いろいろな分野で数々のブレークスルーを産み出すキーパーソンとして活躍していただくことを切に期待しております。

最後になりますが、早稲田の応用化学科には、それぞれの夢を、世代から世代につないで育てて行くという伝統があります。今度は皆様が、やがて自分達の成果を持って、その夢を後輩につないでいくことになるでしょう。
皆様が、自分の成果に誇りを持って、この応用化学会を通して後輩達をサポートして下さる日が来ることを切に期待してお祝いの挨拶とさせていただきます。本日はおめでとうございました。

2020年度 褒賞・奨学金 授与式 式次第および受賞者

式次第

1.開会の辞 (16:00-16:30)

2.大学院先進理工学研究科長祝辞 鹿又 宣弘 様

3.第34回 水野賞/第35回水野敏行奨学金授与式

4.第17回 応用化学会給付奨学金授与式

5.第7回 中曽根荘三奨学金授与式

6.第6回 里見奨学金授与式

7.第3回 森村豊明会奨励賞授与式

8.祝辞 応用化学専攻主任 小柳津 研一

9.来賓ご祝辞

  水野家代表、元応用化学会会長 河村 宏 様
  早稲田応用化学会副会長 橋本 正明 様
  里見奨学会 事務局長 田部 修士 様
  森村豊明会理事 森村 潔 様

10.受賞者代表挨拶 池 勇樹 君

11.閉会の辞

12.記念講演会 (16:30-17:30)

  九州大学応用力学研究所教授 西澤 伸一 様

13.ポスター発表会(各1分), 懇親会 (17:30-18:30)

  ○ 水野賞受賞者
  ○ 水野敏行奨学金受給者
  ○ 応用化学会給付奨学金受給者
  ○ 中曽根荘三奨学金受給者
  ○ 里見奨学金受給者
  ○ 森村豊明会奨励賞受賞者

水野賞受賞者

XIE, Rongbin 君
Simple fabrication of silicon solar cells based on the heterojunction with
carbon nanotubes
松野 敬成 君
規則配列したシリカナノ粒子集積体を用いた結晶性酸化物ナノ多孔体の合成
小池 正和 君
層状ケイ酸塩の層間縮合制御による層状ゼオライトの作製
池 勇樹 君
超音波誘導核化手法を用いたアミノ酸結晶の多形制御
吉岡 育哲 君
クエン酸生産糸状菌の機能改変を目的としたゲノム配列の決定とゲノム
編集技術の開発
村上 洸太 君
表面ヒドロキシ基の関与する触媒作用ならびにその有効利用に向けた触媒設計
村松 佳祐
有機配位子による表面修飾を利用した層状金属水酸化物系ナノ物質の
ボトムアップ合成
藤村 樹 君
水電解反応における界面反応プロセスの解析と水素発生反応用触媒電極の形成
岡 弘樹 君
エネルギー貯蔵を担う電子/プロトン伝導性キノン置換レドックス高分子の展開
林 宏樹 君
生体分子間相互作用に基づく分子認識界面により機能化した電界効果
トランジスタバイオセンサ

水野奨励賞受賞者

鈴木 涼子 君
層状六ニオブ酸塩 K4Nb6O17・3H2O を用いた Janus 型ナノシートの作製と機能性
材料への応用水野敏行奨学金受給者
中軽米 純 君
変異原性物質 ABAQ の全合成研究
ウ チクン 君
パラジウム触媒によるジアゾ化合物とアミンを用いた ハロアレーンの1,4-カルボ
アミノ化反応の開発

応用化学会給付奨学金受給者

会田 和広 君
ジルコノセン触媒を利用した可視光駆動型 C‒O 結合開裂反応
ウ チクン 君
パラジウム触媒によるジアゾ化合物とアミンを用いた ハロアレーンの1,4-カルボ
アミノ化反応の開発
中原 輝 君
アリールヘテロールのアリール移動反応の開発   

中曽根荘三奨学金受給者

本年度該当なし

里見奨学金受給者

齊藤 杏実 君
CK1 サブタイプ選択的阻害剤を軸とする 植物概日時計への化学的アプローチ
藤野 康輝 君
シロキサン系結晶性構造体の作製に向けたかご型シロキサン分子合成
星 貴之 君
環拡大反応を利用した pseudolaric acid B の合成研究
クラーク ヒュー 君
抗がん物質 poecillastrin C の全合成研究
曹 偉 君
Xanthomonas campestris WU-9701 由来グルコース転移酵素 XgtA の固定化および
有用化合物の選択的生産への応用
渡辺 清瑚 君
超高屈折率ポリ(フェニレンスルフィド)誘導体の創出と 高相容性を示すハイブリ
ッド材料への展開
林 泰毅 君
電荷を有する無機化合物をビルディングブロックとして用いた多ナノ孔体の作製
会田 和広 君
ジルコノセン触媒を利用した可視光駆動型 C‒O 結合開裂反応
飯泉 慶一朗 君
新奇トリアゾロピリジニリデン配位子の合成と不活性結合の活性化
吉田 啓佑 君
MgH2 多孔質シートへの水素流通における 熱供給と水素放出
久保 真之 君
パラジウム触媒を用いた芳香族エステルの エステルダンス/C‒H アリール化逐次
反応の開発
中原 輝 君
アリールヘテロールのアリール移動反応の開発
宮﨑 龍也 君
ボリルジアゾメタン等価体の合成と変換反応

森村豊明会奨励賞受賞者

加藤 弘基 君
パラジウム触媒を用いたハロゲン化アリールの 脱芳香族的官能基化反応の開発
渡辺 清瑚 君
超高屈折率ポリ(フェニレンスルフィド)誘導体の創出と 高相容性を示すハイブリ
ッド材料への展開

 

第36回早桜会懇話会報告

第36回早桜会懇話会を2021年2月6日(土)にWEB形式(ZOOM)にて開催いたしました。今回の講師には野田優先生(早稲田大学大学院先進理工学研究科 応用化学専攻 教授)をお迎えし、持続可能なモノづくりとヒトづくりというテーマでご講演頂きました。

 昨今のコロナ禍の影響でのオンライン講義、オンデマンド講義の取り組みのお話をして頂き、良い面もあったことなどをご説明して頂きました。2021年度は対面を増やしていく予定である中、このコロナ禍での教育の取り組みを今後どう活かしていくかについては質疑応答の時間でも活発に議論が行われました。

 また野田先生の現在の研究テーマであるカーボンナノチューブについてご説明して頂きました。豊富な資源から高機能なナノ材料を実用的に創り社会を支えたいという先生の研究理念は持続可能な社会の実現に向けて重要なまさにタイムリーな内容でした。自分で考えて道具・装置から作るものづくりの研究を推進されており、普段我々が仕事を進めていくうえでも参考になる内容でした。また、具体的な応用事例として高エネルギー密度と高耐熱性を両立した電池の話をして頂きました。

 持続可能な社会の実現にむけては低環境負荷合成が重要であり、LCAによる定量的な評価が必要となります。現在、開発に成功しても社会実装されない技術もある中で萌芽技術の開発と評価の両輪が必要であるというお話は、SDGsという国際社会が共有すべきビジョンに研究開発で貢献するための根幹となる部分だと改めて実感致しました。

 化学工学は実学であり、社会実装されてこそ役割を果たしているといえる中、現在は研究開発と実用化にギャップが生じているというお話がありました。オリジナリティーが強調されすぎているために社会の要請とずれてしまっていることや論文の引用回数で研究業績が評価されるために論文を書くことに終始して社会実装が疎かになっている現状について、質疑応答の時間でも活発な議論が交わされました。

 そのような背景もあり、先端化学知の社会実装研究所(所長:松方先生、副所長:野田先生)のご紹介もありました。多様な考えを持つ人との真剣な議論と協働を行い、大事だが誰にも行われていないことに取り組むことが大切ではないかというお話は流行に流されがちな現代社会に私達全員が心に留め置くべきことだと強く感じました。あらゆる分野で米中が先行し、人口や市場規模では日本に勝機は無いであろう昨今、日本が国際社会で生き残るにはそれが1番ではないかと思います。持続可能な社会の実現にむけて微力ながら私も精進していきたいと改めて感じました。(文責:三品)

【出席者(18名)】

津田實(新7),井上征四郎(新12),前田泰昭(新14),市橋宏(新17),田中航次(新17),岡野泰則(新33),斎藤幸一(新33),和田昭英(新34),原敬(新36),脇田克也(新36),高田隆裕氏(新37),中野哲也(新37),數田昭典(新51),澤村健一(新53),陳鴻(新59),三品建吾(新59),古田武史(新61),桜井沙織(新64)


【講演スライドの一部】


2020年度 学位記・褒賞授与式

応用化学科学位記授与式

応用化学科および応用化学専攻研究科の2020年度学位記・褒賞授与式は、2021年3月26日(金)10時より、西早稲田キャンパス57号館202教室にて式次第に従い須賀 健雄専任講師の司会で執り行なわれました。なお、昨今の新型コロナウィルスによる感染拡大に伴い本会は教職員、主賓及び学部卒業生、修士課程修了生のみ対面での出席とし、父兄、関係者はオンラインでの参加となりました。

司会 須賀先生

  • 学士学位記授与

黒田・下嶋・和田研究室(片山 穂南以下11名)、菅原研究室(江波戸 直也以下10名)、小柳津・須賀研究室(相田 郁馬以下14名)、松方研究室(稲村 翔以下8名)、関根研究室(七種 紘規以下8名)、木野研究室(卯野 宏幸以下9名)、桐村研究室(新井 菜月以下9名)、細川研究室(井田 友里花以下9名)、山口研究室(上部 耀大以下8名)、本間・福永研究室(高橋 士以下11名)、門間研究室(伊藤 陸哉以下8名)、平沢・小堀研究室(青木 優真以下14名)、野田・花田研究室(蛭子 蒼太以下11名)、社会文化領域(笹谷 実夢以下3名)以上133名

  • 修士学位記授与

黒田・下嶋・和田研究室(岡 洋介以下12名)、菅原研究室(伊東 泰河以下5名)、小柳津・須賀研究室(⼤和⽥ 毬加以下10名)、松方研究室(五⼗嵐 怜以下11名)、関根研究室(伊東 ⼀陽以下7名)、木野研究室(荻野 綾花以下6名)、桐村研究室(飯塚 恭平以下8名)、細川研究室(キム ジェヒョン以下8名)、山口研究室(稲⼭ 奈保実以下9名)、本間・福永研究室(⼯藤 亮介以下7名)、門間研究室(榎本 拓⺒以下9名)、平沢・小堀研究室(太⽥ 俊平以下7名)、野田・花田研究室(⾚⽊ 夏帆以下13名)、以上107名 (+ナノ理工学専攻 応化教員が指導6名)

学位記授与式

 

  • 応用化学科褒賞授与式 

応用化学科主任・小柳津研一教授

授与式次第

「応用化学科褒賞は、2013年に設定されて今年が第8回になり、卒業生の中で功績のあったと考えられるものに授与される」との説明があったあとで、授与式が行われました。

応用化学科4年:鈴木舞

褒賞授与

化学の尊さを熱心に指導して下さった先生方への感謝、実験では講義で教えて頂いた知識の反映、実験操作に加えて事前講義や安全性講義などで多くを学び、レポート作成には多くの工数を割いたものの事前課題や考察のために文献を調べることで未知の科学知識に触れることも出来ました。研究室では研究の難しさに直面することもあったが先生方や諸先輩方のアドバイスで困難を乗り越え、自ら考えることで研究の本質を学びました。今後も一層の努力を重ねて社会に貢献できる人材へ成長したいと考えていますとの言葉を頂きました。 (詳細 ⇒ こちら

  • 祝辞

応用化学科主任・小柳津研一教授

小柳津先生祝辞

応用化学科、学科主任として皆さんに心よりお祝いを申し上げます。
皆さんが入学された時には、応用化学科の歴史を述べ、また将来を担う人材となって頂きたいとの希望を述べさせて頂いたが、本日を迎えて皆さんが期待した通りの「研究者としての顔」に成長されていることが伺え、教員の立場として頼もしさと満足感を得ています。昨今の技術革新を考えると、少し前までは想定していなかったAI等の進化を目の当たりにし、今後も技術の変革の時代が来ることが予見されます。しかしリアルな世界における化学の重要性に関しては不変であり、卒業される皆さんが様々な分野で自分の実力を如何なく発揮されることを確信しています。一方で変革に対する柔軟性も持ち合わせる必要があり、リーダーシップを発揮して率先して成果を出していく人材になってほしい。研究の推進にあたっては強靭な意思と、周囲を同じベクトルに導き成果を出していく人材に育って有意義な日々を送られることを願っています。

早稲田応用化学会副会長 ENEOS株式会社常務執行役員 川崎製油所 下村啓所長

下村副会長祝辞

応用化学科を卒業して35年になります。会社に入ると文化の違いに驚き、改めて勉強することの大切さを痛感しました。実社会においては想定外の事態や段取りが悪くて失敗する様なことも経験しましたが、早稲田で学んだ6年間の経験が生かされていたように思います。現在の私たちを取り巻く環境が大きな転換期に差し掛かっているのを私自身も感じ、これから新たなガス・エネルギーの時代に入る実感がします。
皆さんには、早稲田の応用化学科の卒業生として、変化の時代に中でこれから実現されるであろう素晴らしい世界を作り上げながら頑張って頂きたいと思います。
応用化学会はユニークな組織で、応用化学科の発展に寄与する役割を担っています。既に学生時代から応用化学会の活動に従事されていた方もおり、諸先輩方との繋がりを作って頂きました。卒業生は企業においてもリーダーシップを発揮していただいております。物事を正しく見極めて判断していく訓練を積み重ねて社会において活躍して頂くとともに応用化学会のこれからの発展にも寄与していただければと思います。
今日を迎えることが出来たのには、周りの方々の熱いサポートがあったということを忘れずに、これからも頑張って下さい。

  • 送辞

応用化学科3年 岡順也

応用化学科でのこれまでの勉学やプライベートでの多くの経験を振り返り、後輩として送る立場から指導や相談に適切なアドバイスのフィードバックを頂いたことへの感謝、今後自分たちが後輩を引っ張って行く抱負、また、今年一年が新型コロナ禍という特殊な環境の下で、通常の状況とは異なる大変さを経験しながら、役立つ化学を実践出来た卒業生の未来は明るいものと確信していること、卒業後も自分たち後輩の目標であり続けてほしいことをエールに込めて挨拶されました。( 送辞詳細 ⇒ こちら )

  • 答辞

応用化学科4年 新井菜月

今般の新型コロナ禍の中、授与式を開催頂いたことへの感謝を申し上げます。
この4年間で先生方からのハイレベルな講義や数多くの実験、レポート作成を通じ様々な視点から化学を学ぶことが出来ました。研究室に配属された後は様々な専門的な研究分野において先生方や諸先輩方の指導のもと、今の自分に何が出来るかということを考えながら研究に取り組むことの重要性を認識しました。4月からの針路は皆それぞれになりますが、社会発展への貢献を信念として持ちつつ頑張る所存との力強い所信表明を頂きました。 (答辞詳細 ⇒ こちら )

大学院修士課程2年 田中雄太

濃密で瞬く間に過ぎた6年間でした。入学当初は新たなる学問の世界への期待と膨大な量の実験やレポートへの戸惑いも感じることもあったが先生方の専門性高い授業などを通じて化学の楽しさや奥深さも同時に学ぶことが出来ました。能動的に実験に臨むことを通して人間的成長にもなったこと、研究室に配属になり、現代社会への寄与を志し未知なる挑戦の連続でしたが、先生方や先輩方からの指導、仲間たちと切磋琢磨することで無事にここまでやって来れたように思います。国際学会を含めて対外的な発表の場を経験したことも新たな刺激になりました。自分自身で実験を組み立て多くの方との議論を深めて知識を深化させていくことにより研究成果を社会へ還元することも出来たように思います。
今後博士後期課程に進学するものや企業に就職するものなど方向性は様々ですが応用化学専攻で得た知識や知恵を活かし経験を糧として修了生としての誇りをもって生きていきたいと思います、との力強い宣言を頂きました。 (答辞詳細 ⇒ こちら )

  • 退職教員挨拶

黒田一幸教授

黒田先生挨拶

応用化学科での50年間を振り返り、大学キャンパスの変遷、当時植樹された中庭の木が成長する様を見てきたことと合わせ、それ以前からの変遷を今後の50年に重ね合わせ想定出来ない様な未来を思い卒業生にはポジティブなマインドで向かってほしいとのエールを頂きました。

和田宏明教授

大隈重信が私学で初めて応用化学科を設立して100年目の入学生が今日の卒業生であること、今後100年の礎になってほしいこと、自分自身もオンライン授業など想定外の経験もしたが卒業生の皆さんには想定外のことがあってものそれを乗り越えていく人材であることを信じており、人々より先に憂い最後に皆で喜ぶという「先憂後楽」のリーダーシップを発揮してほしいとのエールを頂きました。

和田先生挨拶

花束贈呈のあと、黒田先生御発声による乾杯(密集密接をさけるためにジェスチャーだけの乾杯となりました)があり、応用化学科4年鷹尾一成さん主導で校歌斉唱を行い閉式となりました。

校歌斉唱

 

第35回交流会講演会の報告

早稲田応用化学会 交流委員会主催 第35回交流会講演会
2021年4月24日(土)15:00~17:00 (Zoomによるリモート開催)

講演者   桜井公美氏  プレモパートナー株式会社 創業者・代表取締役
演題      『デザイン思考で医療機器開発を!』
副題      「テクノロジーPushか、ニーズDrivenか」

講演者 桜井公美氏

講演者略歴

はじめに:
今回は、交流会講演会として初のリモート方式による開催となりました。
参加者:83名(卒業生64名[講演者、先生を含む]、在校生19名)
本講演会には早稲田応用化学会の濱会長、及び講演者の恩師である酒井名誉教授にもご参加頂きました。お二人から頂きましたご挨拶の内容については、本講演会の進行に合わせまして本文の最後のところに掲載させて頂きました。

濱逸夫会長 と 酒井清孝名誉教授

また、本文の後半に記載しましたパネルディスカッションにおきまして、その司会は講演者と同じ酒井研究室出身の吉見靖男先生(芝浦工業大学工学部応用化学科教授、新制40回)にお願いしました。

吉見靖男教授 と 椎名聡交流委員長

まず椎名交流委員長による開会宣言、及び講演者の略歴紹介が行われた後、講演が始まりました。
なお、本講演会におきまして講演者が作成し、説明のために使用されましたプレゼンテーションファイルが応化会HP内の資料庫に格納されています。こちらのファイルも是非ご覧ください。(閲覧には資料庫のパスワードが必要です。)

講演会

医療機器について

医療機器の範疇は広く、非侵襲であるMRIやPETなど診断機器、メスの様な治療上のリスクが小さいものからステントや人工弁の様な体内に植え込むリスクの大きいものまであり、医療現場で使用されるまでの承認プロセスは異なっています。
演者がこれまで携わってきた治療領域や製品は主に循環器内科、心臓血管外科、脳外科などで使用される治療機器で、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の厳しい審査を経て厚生労働大臣の製造販売承認が必要な治療上のリスクの大きなものになります。
世界的には医療機器の市場規模は拡大を続けていますが、日本に関しては世界の市場拡大の伸びに比べると直近の5年で3%と微増、加えて貿易収支でも輸入額の伸びが顕著で日本発の機器輸出額が大きくないのが現状です。
厚生労働大臣の承認が必要な医療機器は医薬品と同様に、開発過程が複雑で医療上のニーズを検討、機器の試作にテストを重ねた後に非臨床試験、臨床試験を経て、この間に品質マネジメントも確認しながら承認に到りますが承認後も品質上の不具合の確認など多くの専門家による検証が必要になってきます。従って、開発期間を経て承認に到るまでのプロセスで5~6年、さらに承認後も成長維持から次世代への転換まで5~10年の長いライフサイクルとなる製品開発には

  • 簡単に後戻りできない
  • ニーズの見極めが重要で多くの医療関係者の協力が必要
  • 医学的根拠に基づき開発する
  • 臨床的意義・臨床的価値がないと判断されると承認が取れない
  • 技術力・製品力が市場浸透に不可欠
  • 開発に薬事(承認に向けた審査やPMDAへ提出する資料の取りまとめなど)、品質マネジメントなど専門的知識が不可欠

と言えます。

ベンチャー企業の活用

米国における大手の医療機器メーカーはこれらの複雑な開発プロセスをすべて自前で推進せず、ベンチャー企業を活用しています。大手ベンチャー企業はいくつもの異業種ベンチャーへ投資し、その成果として製品やライセンス、知的財産を買収することで回収しています。それぞれで以下の様な役割や性質分けがされています。

社会環境が大きく変わりつつある状況で従来型のビジネスモデルに固執することなく革新的な商品やビジネスモデルを実現していくためには自前主義からベンチャー企業への投資や買収、売却により他社技術の積極的活用によるオープンイノベーションの発想が重要になります。

昨今の医療機器のトレンド

体に装着できるウェアラブル医療機器が市場に新しいトレンドを生み出しています。
治療用機器としてはリハビリ用、呼吸器治療用、疼痛管理(ペインマネジメント)や糖尿病治療としてのインスリンポンプなど、診断機器としては胎児、睡眠、神経、バイタルサインなどのモニタリングを行うウェアラブル機器が開発されています。例えばアップルウォッチに搭載出来る心電図や心拍数を計測するアプリケーションも医療機器として認可されています。
また、AIの活用も重要な視点になります。健康維持や病気予防には、診断機器と健康データや生活習慣データ(ビッグデータ)へのAIの活用、治療期においては検査や診断支援としてのAI活用や、論文、集積された個別の症例データへのAIの活用による新薬開発の加速化などがあり、既に胸部CT、脳MRI、消化器内視鏡による病変検出に応用が進んでいます。

日本の医療機器開発事情

米国では、ベンチャー企業に対して、製品の開発段階に応じ、ベンチャーキャピタルからの投資やベンチャーが創生した技術を孵化させる(インキュベーション)など必要な支援が実施される体制が出来ているのに反して、日本においてはベンチャー企業がとても少なく、投資環境も支援体制も十分に整っておらず、米国の様な成熟した分業体制は確立されていません。従って少数のベンチャー企業を確実に育成していくことが不可欠だと考えられます。

バイオデザインとデザイン思考

バイオデザインは、医療現場のニーズを出発点として、医学や工学、ビジネスなど分野横断的な視点から革新的な医療機器の創出を目指す2001年からスタンフォード大学で開始されたプログラムです。医療従事者やエンジニアなど多彩な人材がチームを形成し、医療現場のニーズを探索しながらその解決に向けたアイデアを出し合い、プロトタイプ開発やその検証を行います。事業化の視点を取り入れて医療現場で実際に必要とされる医療機器の開発を実施することから、スタンフォード大学発ベンチャーは60社以上で、今や270万人以上の患者の治療に寄与しています。
このバイオデザインの根幹にあるデザイン思考とは、問題解決に向けた従来の分析思考(カイゼン思考)と異なり、プロセス自体や新しい価値を生み出すことを本質とした課題解決のための設計方法で、目的を設定してそのための攻略方法、戦略を立てていくやりかたではなく、顧客を観察し、ニーズを理解して新たな価値を生み出す思考法になります。

プロセスとしては、

1)注意深く観察し、出来るだけ多くの問題点をピックアップし
2)その問題点を吟味し問題の本質がどこにあるかを見極め、
3)可能な限り多くの解決法を考察し、
4)その中からいくつかのアイデアを抽出して研ぎすます
5)そのアイデアを検証し試作する(プロトタイプの作成)
6)試作品のテストを実施してフィードバックを得てブラッシュアップする

になります。

バイオデザインの取り掛かりとしては、最初の問題点の特定が重要なポイントで、チームは臨床現場に2か月ほど張りつき医療現場を様々な視点から観察したうえで200項目以上のニーズをリストアップします。これを何度も議論をかさねることで解決策を創出していきますが、対象となる患者、ニーズに対してアウトカムをどう評価するかまで明確に定義したうえで個別のニーズについては市場規模や患者や医療従事者へのインパクトなども調査、評価した上でそれらをスコア化(可視化)し最終的に4つほどにふるい分けをしていくことになります。
一般的に、ベンチャー企業は10社中1社しか残らないとされています。しかし、バイオデザインを取り入れて起業したケースでは成功確率が高くなっています(61社中でM&Aまで持っていったのが11社(M&Aまでの中央値が5年ほど)で上市まで進んだのが2社)。

社会貢献の観点からも成功した例として発展途上国の新生児を救う保温器「Embrace」の例があります。
現在、約1500万人の早産児と低体重児が生まれておりそのうち100万人ほどが低体温症のために生後24時間以内に死亡する実態がありますが、体温を保つための保育器は1台当たり2万ドル(200万円)もしていたことから開発途上国では導入が中々進まない問題がありました。そのために安価な(2万円)保育器の製作について検討が行われましたが、実際には安価な保育器を導入しても実際に使用される例が顕著に増大しませんでした。なぜなら、低体温症で死亡する新生児の多くが都市部ではなく医療機関から離れた農村部や郊外に多かったからです。自宅分娩で使用できる装置という観点が重要でした。誰の何を解決したいのかという視点で作られたものが、実際に使われるためには重要である事例であったと思います。
一方で失敗しがちな例として「イノベーションのジレンマ」を紹介します。エンジニアは常に改善を思考していくために持続的なイノベーションの進化が顧客の求めている性能ニーズを超えて行き、この両者の乖離が大きくなってしまう点で、顧客目線での開発を置き去りにしてしまうことによるリスクが増大します。製品開発に必要な視点は人がなぜその製品やサービスを購入して製品をどう使うのかにあり、人間の生活を中心とした考え方が重要です。
私たちを取り巻く環境はAIやビッグデータの活用といった技術革新や、グローバル化にともなう人の流れや高齢化、新興市場の都市化といった人口統計学的属性の変化、技術革新や社会情勢にともなう行動様式の変化など加速度的に進んでいます。課題解決と価値創出のプロセスはより重要なものになると思います。

パネルディスカッション:「未来をつくる人になろう」

司会進行:吉見靖男・芝浦工業大学工学部応用化学科教授
パネラー:西尾博道(M1)、本村彩香(M1)、五十嵐優翔(B4)

※詳細は学生委員会HPに掲載予定の記事を参照ください。

  • 講演を受けて起業に対する意識は

演者からは、「年齢を重ねて考えが変化した。就職当時はバブルで、企業に就職するのが既定路線で、学生だった当時は、起業など想定していなかった。」と。
現役学生からは、「演者の話を聞いて、一般企業の就職を考えているが将来的に環境変化や共同作業する人たちとの出会いのチャンスがあれば多様性が生かせる時代にもなりベンチャーも選択肢になると思う。」とのコメントがありました。

  • デザイン思考について

日本人が得意なところは「戦略思考」だと思う。一つのパイを取りに行く戦略的勝ち抜きのための一定のセオリーに基づいた行動など、日本人は実直に対応していける能力を発揮している様に思います。
「改善思考」については課題解決について検討するプロセスとしてはデザイン思考にも通じる部分があるもののPDCAサイクルを回して現在ある課題を解決してクオリティを高めていく点では、「現在」にフォーカスしたもので、デザイン思考は今ある課題を分析検討してこれからに活かす未来志向の考え方になります。
大学の授業では思考プロセスについて詳細に教えてもらう機会がないかも知れませんが、研究室生活で自分自身が従事している研究の最終的な目的や成果物がどの様に社会で活かされるかを考えながら研究することも大切だと思います。
アントレプレナーシップ教育も大学で取り入れられ始めています。テクノロジープッシュに偏らないように、前向きに起業家精神も身につけてほしいです。

  • 今の普通が将来的な普通ではない

ビジネスの環境は激変しています。現在おこなっている研究開発はそれが結実する頃には既に時代遅れになっているケースもあるので、「未来にこのような状況だったらいいな」といった変化を見据えて将来を考えるのがポイントだと思います。社会環境は自分で変えられるものではないため、起業してから環境変化を意識するようになりました。ベンチャーを立ち上げるとキャッシュフローも自分自身で考えるようになります。中長期的な戦略は短期的なキャッシュフローの影響も受けるため投資のタイミングや成功確率の見極めも考慮する必要があります。これらを解決するには一人の力では出来ないため、チームで動かして行く必要があります。
環境変化の見極めの重要性について、外資系のフィルムメーカーの例を紹介します。その会社はデジタル化の波がくることを予想して他社に先行してデジタルカメラを開発していました。しかし、フィルム市場でマーケットリーダーだったため、自社のコアテクノロジーに固執し、新規技術を封印してしまいました。戦略思考にフォーカスした結果として社会動向についていけなくなったのです。(イノベーションのジレンマの一例)。
大企業がベンチャー企業を買収する際にdue diligenceを実施します。その際には、知的財産がどれくらいあるかという点も重視します。ベンチャーの価値を高めるために、全方向的な視点での考慮と資金援助は不可欠ですが、それをアクセレレートさせるインキュベーターのパワーの必要性を認識しています。自分が今起業してモチベーションが維持できている理由としては、自分の好きなことをやっているという意識と、社会的環境は変えられないがプロセスは変えられるという意識がポジティブに働いているように思います。

質疑応答

Q1 日本の医療機器メーカーが世界上位に入るためには、環境含め様々な課題があると考えますが、その中でも日本企業の強みについて、ご意見頂ければ幸いです。

A1 日本企業もオープンイノベーションに舵を切っているように思います。M&Aや他社で切り離しをされた部門の買収なども進んでいるように思います。新規事業については従来の事業形態からは切り離して考えていく必要があります。品質など日本人の真面目な部分や協調性など日本の強みに成り得る部分かも知れません。

Q2 様々な人や情報に触れることで問題を発見したり、知識・考えを広げていったりすると思うのですが、それらをうまく整理する方法等、ご教示願えませんでしょうか。

A2 他の人の話は積極的に聞こうと考えています。自分自身が知らない分野の話はそれ自体が新しい気付きですし積極的に他の人との交流をするように努めています。「知の深化」と「知の探索」の両方がイノベーションには必要と言われていますが、探索にはコミュニケーションが必須であるので一つのコミュニケーションで一つの学びがあることを意識づけしています。

Q3 アカデミアの方々は論文を数多く出したいと考え、産業は儲けることを第一に考える。アカデミアはコストのことをあまり意識しないが、産業はコストが重要課題になってきますがこの相違をどう解消しますか。

A3 学術で考えることと産業のプロセスは全く違うのでその隙間を埋める必要がありインキュベーターにその役割が課せられているように思います。調整を適切に実施していくにはそれぞれでの経験が双方の立場を理解する上で重要だったと思います。

質疑応答後、恩師である酒井清孝名誉教授からご挨拶を頂きました。

酒井名誉教授からのご挨拶:

酒井清孝先生の挨拶

医療機器の開発において医工連携は重要で米国では医学部のスタッフも工学部など他学部から進んだ方も多いため連携は進みやすいが日本では厳しい面もあったことを踏まえて演者へ熱いエールが送られました。

本講演会の最後に、早稲田応用化学会の濱逸夫会長からご挨拶を頂きました。

濱会長からの閉会のご挨拶:

濱会長の挨拶

本講演について演者、関係者への謝辞とともに自社戦略でもデザイン思考について検討していた経験についてコメントを頂き、また学生向けメッセージとして多くの方とコミュニケーションをとって知見を広めて知識の探索も深めていただきたいとのエールも頂きました。

 

――― 以上 ―――

(文責;交流委員会)

応用化学科褒賞挨拶 鈴木舞さん

鈴木舞さん

この度は応用化学科褒賞という栄誉ある賞を頂いたこと、心より感謝申し上げます。このような賞を頂けたのは、化学の奥深さを熱心にご指導してくださった先生方のおかげです。厚く御礼申し上げます。

この応用化学科で過ごした四年間で、多くのことを学ばせていただきました。特に実験では講義で教えていただいた知識が実践に活かされていることを実感することができました。また、実際の実験操作だけでなくプレレポートや本レポートの作成にも取り組みました。レポートの作成は時間がかかり、日々レポート作成に追われる毎日で大変な思いもしました。しかし事前課題や考察のために文献を調べるたびに今まで知らなかった化学の新たな一面に触れることができ、得がたい経験となりました。
また四年生になり取り組んだ自身の研究では、思うような成果が得られず研究に行き詰まることもありました。そのような時には先生方や先輩方からご助言を頂きながら、自分で考えることの大変さを改めて感じるとともに、自ら学ぶことが研究の本筋であり、それによって新たな発見があるということを痛感致しました。
今後はこの応用化学科で学んだことを糧に、修士課程に進学後も一層努力を重ね、社会に貢献できる人材になれるよう精進して参りますので、引き続きご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

最後に、本賞の設立及び選考に関わられた全ての関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。また今までご指導してくださった先生方にも重ねて御礼申し上げます。
本当に有難うございました。