修士修了生代表答辞 田中雄太君

答辞 田中雄太君

やわらかな日差しがそそぎ、春の訪れを感じる季節となりました。本日はご多忙の中、先生方ならびにご来賓の皆様のご臨席賜りましたこと、卒業生、修了生一同、心より御礼申し上げます。また、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、多くの行事が中止や延期となる中、このように無事に卒業式を挙行していただいたことについても、重ねて御礼申し上げます。
 私達がこの応用化学科に入学してから六年の月日が経ちました。振り返ると、この六年間は非常に濃密であり、同時に瞬く間に過ぎ去ったように感じます。
 入学当初は、新しい日々への期待を持ちつつも、専門性の高い講義や実験量の多さに戸惑ったことを覚えています。しかし、先生方の個性あふれる授業や創意工夫に富んだ実験を通じ、私たちは化学のおもしろさ、楽しさ、奥深さを知ることができました。また、必死に勉学に励み、能動的に実験に取り組むという過程を通じ、一人の人間としても成長できたと実感しています。
 四年次には、皆が各研究室へと配属されました。私は環境問題の解決や持続可能なエネルギー社会の実現といった現代社会の課題解決に取り組みたい、その一端に少しでも触れたい、という思いから触媒化学という分野を選択しました。大学院での研究は、これまでに誰も解明したことのない未知なる課題への挑戦であり、私自身ももがき苦しむ時期が続きました。しかし指導教員である関根先生や多くの先輩方に支えていただき、また仲間たちと切磋琢磨し、時に協力しあうことで、最後まで研究をやり遂げることができました。また国際学会を含め、多くの対外的な発表の場を設けていただいたことは、新たな研究への刺激となりました。自ら実験を計画、実施、考察し、結果について多くの研究者と議論する、というサイクルの中で、私達は研究者として成長するとともに、論文投稿や学会発表での受賞など多くの成果を出し、研究成果を社会に還元することができたように思います。さらに、最終年度は新型コロナウィルスの世界的な流行があり、大学も封鎖され、一時は十分な実験ができない状態へと陥りました。しかし諸先生方ならびに早稲田大学の多くの関係方々の協力があり、学生が安全に勉強や実験を行う環境が整えられ、私達も無事に実験を進めることができました。私達の卒業・修了は大学全体の協力なくしては迎えることができなかったものであると強く感じます。
 本日、我々はこの応用化学専攻を終了し、羽ばたいていきます。博士後期課程へと進学しさらに研究の道を究める者、企業へ就職し、化学の仕事に携わる者、化学の世界から離れる者、などそれぞれ進む道は多岐にわたりますが、この応用化学専攻で得た知識や知恵を活かし、また経験を糧とし、応化修了生としての誇りをもって生きていきます。さらに化学を通じて豊かな社会、希望に満ちあふれる未来を創ることを誓います

 最後になりますが、未熟な私達を熱心にご指導いただきました先生方、学生生活を支えてくれた職員の方々、先輩方、互いに支え合い、学生生活に彩を与えてくれた仲間たち、そして何より自己の意見を尊重し、温かく見守り、常に支えてくれた家族に深く感謝し、改めて厚く御礼を申し上げます。
 ここに改めて早稲田大学および応用化学科の今後の益々のご発展と、皆様のご健勝、ご活躍を心より願い、答辞の言葉とさせていただきます。