フォーラム「企業が求める人材像」の開催ご案内

― 今、語るべきテーマとは ―

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日時:11月26日(土) 開場13:00、フォーラム13:30~15:30
対象:学部生、大学院生、ポスドク・若手研究者、OB・OG
場所:西早稲田キャンパス57号館201教室
縦割り交流会:同 16:00~17:45  56号館 理工カフェテリア
懇親会:   同 18:00~19:00  56号館 理工カフェテリア
(懇親会費:無料、服装はスーツ厳禁)

 今回は、応化会学生会員と若手OB・OGを主体とする「縦割り交流会」に参加されるメンバーにも呼びかけ、全応化会メンバーによるコラボを行います。また、パネリストをおかず、参加者同士が論議をする初めての方式をとり、和田宏明応用化学科教授をモデレーターとして開催します。

豊富なキャリアを持つ先輩諸氏から貴重な体験を基にしたお話が聴ける又とないチャンスです。自分の将来像を思い描くためにも奮ってご参加ください。

尚、OB・OGの方は引き続き行われます「縦割り交流会」にもふるって参加をお願いします。

事前登録方法:早稲田応用化学会ホームページから登録下さい。

フォーラム事前登録はこちら

 

主催   早稲田応用化学会交流委員会
電話 03-3209-3211 内線5253
問合せ先; oukakai@kurenai.waseda.jp

                  

                      

 

2016年度学生工場見学報告

応用化学科 専任講師 須賀 健雄
応用化学会 交流委員 関谷 紘一
保谷 敬夫

1.見学趣旨

  • 大学側の教育行事として、応化学生に対し学部2年生を対象に、工場見学を催行し、企業の製造、生産管理、研究開発等の実態を学ばせ、今後の勉学への動機付を行うことを目的とする。開催時期は夏休み中の後半の平日とし、西早稲田キャンパスから日帰りで往復可能な地区の企業事業所・工場を対象とする。昨年は鹿島地区であったが、今年は湘南・小田原地区を選定した。
  • 主管は教室、交流委員は支援。先生が引率、交流委員は同伴。

2.開催日時

  9月12日(月) 7:45 西早稲田、理工キャンパス63号館カフェテリア前集合
  8:00 バスに乗車・出発
  19:00 理工キャンパス帰着・解散

3.参加者

  • 先進理工学部応用化学科2年生 33名
  • 引率教員 B2担任 須賀健雄専任講師
  • 同伴交流委員 関谷紘一(新18回、元昭和電工)、保谷敬夫(新19回、元三菱化学)

4.工場見学先 (湘南・小田原地区2社)と見学概要

① AM 10:00~13;00 古河電気工業株式会社 平塚事業所・平塚研究所
           住所:〒254-0016 平塚市東八幡5丁目1番9号

 ・事業所製品:巻線、電力機器、システム機器、光機器部品、光ネットワークシステム、
  プラスチック製品、他
 ・研究所:自動車・エレクトロニクス、先端技術、コア技術総合、情報通信・エネルギー

(見学スケジュール)

 9:30 バス到着、入場
 9:30〜10:20 会社・事業所の紹介、見学にあたり注意事項等の説明。
 10:20〜11:30 工場・研究所見学、学生の人数が多いので、2班に分かれて移動。
  Ⅰフォーム製品工場、Ⅱ被覆線工場、Ⅲ自動車・エレクトロニクス研究所
 11:30〜12:00 早稲田応化OB技術者による座談会
 12:00〜12:50 応化OB技術者数名と面談しながらの昼食会、参加OBは以下の3氏
   ・自動車・エレクトロニクス研究所 樹脂製品開発部長 伊藤正康 (新36回、平田研)
   ・生産技術・設備設計部門 足立 賢 (新53回、常田研
   ・先端技術研究所 新素材研究部 関根 可織 (新61回、黒田研)
 12:50〜13:00 事務所前で集合写真撮影。
 13:00 バスに乗車、午後の見学先に向けて出発。

② PM 13:40~16:30富士フイルム株式会社 神奈川工場・小田原サイト
                     住所:〒250-0001 小田原市扇町2-12-1

 ・小田原製品:記録メデイア、データストレージ商品、プラスチック製品、他
 ・小田原研究所:記録メデイア開発

(見学スケジュール)

 13:40 バス到着、入場
 13:40〜13:45 事務所庭で集合写真撮影
 13;45〜14:00 該社及び事業所の紹介、見学工程・見学にあたり注意事項の説明。
 14:00〜15:40 工場見学(3グループに分かれて記録メデイア磁気テープ工場見学)
   AG:塗布工程⇒スリット工程⇒加工工程・ショウルーム⇒人事説明
   BG:加工工程・ショウルーム⇒塗布工程⇒スリット工程⇒人事説明
   CG:人事説明⇒加工工程・ショウルーム⇒塗布工程⇒スリット工程
 15:40〜15:45 休憩
 15:45〜16:35 応化OBを交えた技術者数名と質疑応答、参加者OBは以下の3氏
   ・人事部(異動前は研究開発部門) 澤田 真 (新55回、黒田研)
   ・研究開発部門 石山 淳(新58回、西出・小柳津研)
   ・生産技術部門 成林 美里(新64回、野田研)
 16:35 バスに乗車、西早稲田キャンパスに向け出発
 18:45 西早稲田キャンパスに帰還・解散

 

第30回交流会講演会 パネルディスカッション

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日時;2016年9月24日(土)17:15~17:45

場所:57号館 201教室

講演者:株式会社キャステム代表取締役社長 戸田拓夫氏

ファシリテーター:田中徳裕さん(B4)

パネリスト:西田穂高さん(M1)、安藤英悟さん(M1)、野口詩織さん(M1)、石原真由さん(B4)

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rdsc05361田中) 今回の講演会の中でタイトルに突破力とあるようにたくさんの壁を越えてきたと思いますが、石原さん何かそのようなエピソードはありますか?

 石原) 戸田社長の講演会の中でもたくさんの壁を越えていらっしゃるという印象を受けました。私も高校時代のこととなりますがリーダーを任され、壁に当たったことがあります。それは、文化祭においてクラスで行う劇の完成を優先してこのまま突き進んでいくのか、それとも、クラス内の雰囲気を優先して劇の演目を決め直すのか選択を迫られたことです。そこで私は、クラスの雰囲気を優先し、劇の演目を決め直しました。戸田社長もリーダーとして様々なものを秤に掛けて決断を下さなければならないことがあると思いますが、どのように決断を下していますか?

rdsc05354戸田社長) まずすることとしては、徹底的に不満を出させることです。何が不満であるのか、先ほどのエピソードでしたら、やりたいことが皆ぶつかってしまい結果的に崩壊してしまう。このような場合はやりたいものをみんなの前で書き出し、そのポイントを徹底的に議論することです。皆が納得しないまま本番に臨んでしまうのが一番良くないですね。情熱をもって意見を主張してもらうしかない。中途半端にはさせず、いい加減なところで決定をしないことが大切です。あとになればなるほどやりにくくなるので、するのであれば最初から徹底的にやってもらいます。最初はバラバラになろうが恐れずに言いたいことを言わせて、本音のぶつかり合いをさせた方がいいと思います。その方が結果的には正解に近づくと思います。

rdsc05356西田) 戸田社長の今の答えに質問なのですが、不満を徹底的に出させ、その後はどのように答えに収束させていくのですか?

戸田社長) まず、意見をした人はその人が本当に責任を持てるのか確認し、本人が持てるというのであれば行うべきであると思います。しかし、途中で異変を感じたら、もう一度集まりどうするか検討をします。ミーティングは確実に行わないといけません。口先だけの場合もありえます。会議において初めは黙って聞きに徹している人がいるかもしれない。多くの人が様々な意見を出し行き詰っているときに、ぼそっと意見を出し解決に導いていく本当のリーダーが現れることがあります。

西田) 様々なパターンがあるということですか?

戸田社長) そうです。様々なパターンがあり、一つだけの正解というものはないと思います。悪戦苦闘するしかないと思います。失敗をしてしまったとしても、次にするときはこうしようと反省が生まれたらそれはそれでいいと思いますよ。学生のうちは特に。その結果、会社がつぶれることになるのであればまた話は別ですが。

田中) ありがとうございます。ここで紙飛行機などの趣味といった側面から伺いたいと思います。野口さんはそういった趣味などはございますか?

rdsc05371野口) 私にとって趣味とは楽しいもの、喜びを得るものです。何かに行き詰ったとき趣味のことを考え、それが活力となるものでもあります。戸田社長はその趣味を本業と呼べるまでにしていますが、趣味を持っているということがプラスになったことがありましたら教えて頂きたいと思います。

戸田社長) どこまでが趣味というのかは難しい所ではあります。私、本業が紙飛行機で趣味がキャステムと言われていますが、最近名刺も表が紙飛行機、裏がキャステム、開いたら紙飛行機が飛び出すという風になっています。趣味が仕事となれば一番いいです。そうではなく趣味が趣味で終わってもいいですが、とことんまでやってみたいというのがあります。たとえば、私はケーキ屋さんに行くとイチゴショートケーキしか食べません。それで、イチゴショートケーキのダメなケーキ屋さんはダメなケーキ屋さんと言い切ってしまいます。シンプルなものがダメなものはダメです。この曲は様々な人が指揮しているが、この指揮者の時が一番など、なにか一つのことを比べてしまうわけです。それで、凄いななどと思うわけです。自分だったら紙飛行機がそうです。やるのであれば一番を目指します。そして、一番を取るにはギネスを取るということとなり、意地でもギネスを越えなければならなくなり、ギネスを超えました。ギネスを超えるとまた世界が変わります。その道のトップの人と対談ができます。紙飛行機ギネス保持者と宇宙飛行士若田さんとの対談など、対談を通してその人が何故トップかを感じ取れます。それによって一番は更に強くなれます。だから、子供たちに一番を目指しなさいと伝えていますね。小さな世界でもいいからその道のトップになれば他の道のトップに対等に会えます。ギネスを取ったことによって、他の道のトップの人と対談することができました。それがプラスになっていますね。その人脈が活力にもなったりします。一生懸命何かを目指すことで、自分の人生が豊かになることがあると思います。中途半端ではなく、するのであればトコトンしてみなさいということを子供たち、若い人に言いたいですね。直ぐ、出来ない、設備がないから、お金がないから、などと言い出す人間では困ります。やはり徹底的にやれるところまでやる姿勢は欲しいです。

rdsc05357安藤) トコトンするところで気になるところがあります。今、研究室に所属しています。本業は研究で、趣味は時間の空いた時にしています。戸田社長が会社の経営を立て直す際に、紙飛行機を飛ばそうと思い立った理由と、ギネスを超えるまでに、時間がない中、紙飛行機の試行錯誤をどのように行っていたのか教えていただきたいです。

戸田社長) もちろん社長ですので、君たちは仕事をしろ、私は紙飛行機を飛ばしていると言いますが、日中は社員と一緒にあがいています。夜に体育館を借り切って、4時間通しで投げ切っているというのを、社員が知るわけです。社長はトコトンまでやっている、私たちももうひと踏ん張りしなければと社員たちも思ってくれるわけです。夜中まで約束のためにボロボロになっている、そういう後ろ姿に社員はついてきます。それが、逃げているわけではなく、約束は約束で夜中に悪戦苦闘している、それを社員が見に来る、そういうことで社内にもうひと踏ん張りという空気が生まれてきます。社訓に挑戦と掲げるだけでは社員は挑戦しません。社訓に酔い痴れて終わるだけです。必死に挑戦するときは言葉ではなく実際に行動に移していますから、社訓に挑戦という言葉を選びません。日々が挑戦であれば挑戦という言葉は必要ないです。姿で見せるしかない。そういうことであると思います。

安藤) ギネスに向けて挑戦をするというのは楽しかったですか?

戸田社長) どうですかね。楽しかったというか、集中できました。一機一機折るたびに少しずつ工夫を行い、データを揃えていく。折り方から投げ方に至るまでデータで勝負をしていく、そういった事を行っていると仕事の苦しみや不安など忘れられるというのがあり、それが精神の安定剤にはなっていました。登山をしていた一つの理由としては、山を登っている間は悩んでいる暇がありません。登っている間は会社のことを忘れられるので、降りてきたころにはストレスが抜けているわけです。紙飛行機も同じで、集中している時間が経営者としての不安から解き放ってくれている時間になっているのかもしれないです。

田中) ありがとうございます。本日のご講演の中で様々な方に粘り強くアタックされていましたが、私はアタックの回数を重ねるほど冷たくあしらわれてしまうことが多くありました。相手に熱意を伝える秘訣などはありますか?

戸田社長) だんだん邪険にされるわけですね。確かに邪険にされる事もあります。それはその人と馬が合わないということです。それはしょうがないです。最初は邪険にされてもだんだんと分かってくれて、話を聞いてくれる人を見つけたらしがみつく。嫌われていると感じたらそこから巻き返すのは難しいです。そういう場合はあきらめた方がいいです。合わないものは合わないですから。全部そうなる場合はあなたの中に何か問題があるかもしれないです。言葉の中に本気度が足りないのか、言葉に一押しがないのかもしれない。窮地に本当に追い込まれていなかったのかも知れないですね。どうでした?

田中) 実は恋愛の話でして。

戸田社長) あ、恋愛の話ですか。それは、嫌われているときはどう考えても難しいですね。恋愛の話は私も不得意でして。嫌われているところから好かれるところに変えるのはなかなか難しいです。よほど何か違うパターンを考えないと難しいですね。女性に聞いた方がいいかもしれないですね。いままで嫌いだった人が好きになった瞬間ってありますか?

田中) もしあったらエピソードをお願いします。

rdsc05363石原) そういった方に出会ったことがないので。

戸田社長) 一つポイントがあります。その子に嫌われても毎日一言ジョークを飛ばすことです。急にそれが止まった場合、急に気になることがあります。一か月ぐらい経ったらもう一度繰り返す。そうするとぐっと引き込まれる。そういう時に、大事にしなければいけない候補の一つとして考えなければいけない、となることもあります。

田中) 戸田社長も利用されたのですか?

戸田社長) どうかな?それは。企業などでもよく使う手です。ずっと通っていてパタッと行くのをやめます。そうすると相手は気になってしまいます。それで半年後再び行くと、注文を出してくれることがあります。何度も繰り返し言って急にやめるのがいいです。そうすると気になる存在になりますから。その手は使えますよ。

田中) ありがとうございます。今後、使っていきたいと思います。

戸田社長) 失敗しても僕のせいじゃないですよ。

田中) 西田さん、何か感想などあればお願いします。

西田) もし商談などで諦めるということができない場合もあると思うのですが、その時はどのようにされていますか?

戸田社長) 商談ではそこまでしつこくなる必要がないです。というのも、お客さんは無限にいます。別のところで取れればそれが自信になって、通用するかもしれない別の方法のヒントが得られたりします。ユーザーの変更等様々な工夫をすることでお客さんを攻め落とすノウハウが得られます。洋服屋さんでも店員さんにひっついてこられたら嫌ではないですか?逆に、お客さんの方から店員さん来てくれないかな、というタイミングがありますよね。だから、あんまりしつこくなりすぎない方がいいですね。

田中) 安藤さんも感想や質問があればお願いします。

安藤) ご講演の中でどん底の時の友は強いとおっしゃっていましたが、何か出会いによってターニングポイントになったことなどありますか?

戸田社長) ターニングポイントですか。紙飛行機であれば中村栄治さんという方が書いた本を買ったのですが、その人の紙飛行機を折ったのですが全部飛びませんでした。その人の住所が書いてあったのでその人の家まで押しかけました。飛ばないと。すると「君はどのように飛ばしたのか」と言われたので、折って飛ばしたら「そんなの飛ぶわけない」と言われました。「君は飛行機の後ろを微妙にひねるということを知っているか?」と言われた。「本に書いてないじゃないですか」と言ったら、「それは常識だよ」と言われました。そこから紙飛行機の魅力を語ってくれました。「君にとって紙飛行機がどのような存在になるのかはわからないが、将来第一人者になって、やっていて良かったなという時が来るかもしれない」という言葉をそこで投げられました。紙飛行機に対するこだわりなど話してもらって、語り合ったのがいい出会いだったのかなと思います。

田中) 野口さんも感想や聞きたいことなどはありますか?

野口) 戸田社長は努力とともにアイディアが必要なことも多々あったと思いますが、そのアイディアの出どころやポイントなどがあれば伺いたいです。

戸田社長) 紙飛行機の飛ばし方や折り方などは方程式です。長方形の中心線を元に折る飛行機と、真横にして折る飛行機と、それを斜めにして折る飛行機があります。一つの紙の中に様々な中心線が隠されています。それを見つけて重心を考え記録に挑戦していく。やみくもに行うのではなく、自分の中でルールを決める必要があります。僕が独学で早稲田に来たのは、数学なんかは自分の勉強法を生み出した結果です。解けない問題を解けるようにする。試験官の狙いを考えるために、自分が苦手な問題を自分で生み出す。自分で工夫して作っていく。自分で出題者の立場で考えるようになると、どんな問題にも対応ができるようになります。それで方程式などを生きるように使うことができます。参考書をこなすだけでは新しい問題が解けない。それが紙飛行機であろうが仕事であろうが与えられた方程式を解くだけではダメで、使い込む練習をする。それが道を拓く方法だと思います。

田中) ありがとうございました。

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(文責: 交流委員会 小林幸治)

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第30回交流会講演会 『突破力』

早稲田応用化学会・第30回交流会講演会の報告

日時 ;2016年9月24日(土)15:00~17:45
場所 :57号館 201教室 引き続き 理工カフェテリアで懇親会
講演者:戸田拓夫氏
株式会社キャステム代表取締役社長
戸田社長の主な経歴
 1980年 早稲田大学理工学部応用化学科中退
   同年 キングインベスト株式会社(現 株式会社キャステム)入社
 1995年 キャステムフィリピン(当時 K2ファインメタル) 社長就任
 2001年 キャステムタイランド 社長に就任
 2006年 株式会社キャステム 代表取締役に就任
 2009年 紙ヒコーキの滞空時間ギネス記録を更新
 2010年 自身の記録をさらに更新

演題:『突破力』

「数々の経営危機を乗り越えて、紙ヒコーキのごとく舞いあがれ」

魚森交流委員長が司会を務め、講演会の案内、講師の紹介、三浦応用化学会会長の挨拶に続き、教員・OB・一般53名、学生19名、合計72名の聴衆を対象に講演が始まった。

講演会場Gallery

戸田拓夫氏の講演要旨

講演は、あこがれていた早稲田大学に入学したものの体調不良でやむなく中退した経緯から始まり、実家の会社に入社後、社業の不振、会社幹部の引き抜き、社員の士気低下、自分自身の体調不良等最悪の状態に陥った時、いかに危機を乗り越えられたかをユーモアを交えお話された。また、入院療養時に紙ヒコーキの魅力に魅せられ熱中した経験が「紙コーキの滞空時間ギネス記録更新」へのチャレンジに繋がり、危機に直面した自分自身と社員の鼓舞のために大いに役立った事、さらに海外事業への展開、紙ヒコーキの凱旋門や宇宙からの飛行等、飽くなき挑戦についてお話をいただいた。

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*工業高校からG大学、早稲田そして入院

早稲田大学、M大学、G大学を受験するも、早稲田大学は受からずG大学に入学し馬術部に入ったが、静かな大学の雰囲気になじめず再受験し、あこがれの早稲田大学に入学した。山岳部に入部し活動していたが、体調を崩し病院に入退院を繰り返し、病院で暇つぶしに紙ヒコーキを折っては飛ばす日々を続けた。病室から100m先の向かいの家に飛ばす目標を持ち試行錯誤を繰り返し、航空力学の本も買って紙ヒコーキに熱中した。

*会社への入社

その後も体調が回復せず、大学を中退し実家の部品工場に入社したが、入社後も体調がすぐれず、会社で一時間程度ペンキ塗りをする毎日だった。入社した会社は乱雑で汚れがひどく、従業員もばらばらな状態。会社の中は従業員の気が緩み、工場長、技術部長は社長の言うことを聞かず、社長の父親は「しょうがない」とあきらめ状態。社員は自分の会社に夢を持てない状態にあった。また会社は製品の質も悪く納期も守らない状態であったため、取引していた商社がその製品の新工場を造り、中核社員を引き抜かれる事態となった。このため26歳で部長の代わりをすることになったが、従業員に夢を語ることは出来なかった。

この状況で思った事

*ノウハウ「0」からの出発

会社にはものを造り上げる技術がない。この確立が急務。製造のノウハウ、原料の調合方法等を得るために、原料の調達先や競合他社、引き抜かれた工場長、技術部長にも直接聞きに行くが、分からない状況が続いた。しかし諦めず、技術情報を集め続けた結果、たまたまある工場に早大の先輩がおり、大学の先輩だけの関係で助けられノウハウを得た。

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*品質の向上

工場は荒れて非常に汚い状況で、最初に工場の整理・整頓・清潔を先頭に立って実践した。また、人材の確保が難しい状況で、自分の行動する姿を見て信じてついて来てくれる少数の部下を見出し、一緒に品質の向上に取り組んでいった。

*体調悪化と克服

工場の整備中体調が悪化し整形へ入院。背骨に大きなずれが生じていると指摘を受けた。医師より矯正の指導を受けたが、自分も矯正法に熱心に取り組み体調が回復。今では自分で背骨の矯正が出来るようになっている。その後登山を再開し体の強化に努めた。

*評価の獲得からMIMの立ち上げ

28歳頃何とか会社として製品が造れるようになり、鋳造品で大型ハードディスク部品を造る技術を確立して品質や価格で大手と渡り合い、評価を獲得し受注が入ってくるようになったが、米国特許による新しい技術のMIM(メタルインジェクション)が出現した。特許料が2億円と高く、資金不足のため技術導入、設備購入が出来なかった。

独自で技術開発を行うしか方法がなく、技術情報を得るためにあらゆる関係先をまわり、試行錯誤を続けた。早稲田での化学専攻の経験を活かし、いろいろな材料の配合などを検討した。京都のある先生にしつこく聞くことでヒントを得て技術を確立。また製造設備を持たないなかで、多くの関係工場を回り製品の製造につなげていった。しかしながら、あるメーカーから米国特許技術の侵害指摘の手紙が回り、国内大手からは注文を断られる事態になってしまった。このため日本中の名もないユーザーを回り、大手MIMメーカーが手を出せない低額の金型の受注を積み上げていった。

この業績を特許侵害の手紙を出状したグループから評価されるまでになり、グループの一員となって設備の導入が可能となり事業が軌道に乗って行った。

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*フィリピンへの海外進出を決意

バブル崩壊の真っ只中で、当時進出先として評価されていなかったフィリピンへ海外進出した。しかしながら97年頃製品在庫が大幅にふくらみ工場運営が悪化した。

*国内外の大幅な改善

「在庫をしない」、「工場の改善・トップセール」をしなければ会社がない」を徹底して社員に教育し、「自分達の作りたいものを作る部署」を設け製品造りを推進した。ミニチュア工具、100万円の名刺、ミニチュア戦艦大和等様々なアイデア製品を開発した。また、あらゆる機会をとらえて自社の技術を売り込んで行った。たとえばバックル商品を開発し、大手ユーザーのH社に飛び込み商品を売り込みに行ったこともある。逆に厳しい品質要求を受け、その対応に苦労し、受注は出来なかったが結果的に他社に納入することが出来た。

*ギネス世界記録への挑戦

リーマンショック当時多くの赤字を抱え社内に元気が無くなった。「社風の暗い会社は良くならない」と考え、社長の戦う姿を見せ社員を鼓舞したいと思い立ち、「紙ヒコーキの滞空時間20秒を超える飛行記録を持つ男は世界に2人」でハードルが高かったギネス記録に、社長として挑戦することを宣言した。

ギネス世界記録の折り紙ヒコーキ室内滞空時間競技には、紙の大きさ、重量、投げ方等様々なルールがある。機体のデザイン、紙材質、投げ方等細部にわたって徹底的に研究していった。滞空時間を伸ばすにはいかに高く機体を投げるかがポイントで、このため自身の減量、筋力・柔軟性の強化等“しなり”を出せる体型造りを行ったり、投げ上げるフォームの開発(イナヴァウアー投げ)も行った。

この結果、2009年4月11日27.9秒と、当時の世界記録を0.3秒短縮しギネス記録と認められた。さらに、この僅差のギネス記録にクレームがありこれに反発。さらにトライし2010年12月19日29.2秒の記録を達成した。

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*更なる挑戦

「安倍首相との出会いと海外進出」

安倍首相が首相を辞任しボロボロの状態の時にお会いし意気投合。2014年に安倍首相の誘いを受け、大手会社社長とコロンビアへのミッションに参加、その後2016年にコロンビアに工場を竣工させた。

「折り紙ヒコーキを凱旋門から」

テレビ番組でトライした。普通許可されないところを関係部署に粘って許可を得て飛ばすも29回失敗。失敗の原因をよく考えることが重要で、凱旋門のアーチの気流の巻き込みに気づき、ピッチング飛行で成功。

「折り紙ヒコーキを宇宙から」

体調が悪い学生時代に考えたMission「折り紙ヒコーキを燃やさずに宇宙ステーションから帰還させる」にトライ。2008年3月JAXAの「宇宙オープンラボ」の公募選考で東京大学共同プロジェクトとして承認され、極超音速風洞でマッハ7での実験で実行可能を確証したが許可が出ず、自力で気球から飛行機を飛ばし実証した。

バカであろうがやること、そして夢をもつこと。その後どうするかが重要なことだ。たとえば1円の紙から作ったスペースシャトルの紙ヒコーキが100円で売れれば100倍の付加価値が生まれる。日本の国は付加価値を得て成り立っている。ものづくりは難しいが、例えば良品率の低いものが上がれば収益は大幅に向上する。無理だと思ったらダメで、もてる知識・人脈を使っていかに粘るかがポイントとなる。将来を担う子供たちには自分の人生は自分で考えなければならないことを教える必要がある。

パネルディスカッションの概要 panel

講演の後、学生5名に登壇をいただき、講演内容を踏まえたパネルディスカッションを行った。ファシリテーターはB4の田中徳裕さんが務め、学生代表としてM1安藤栄悟さん、西田穂高さん、野口詩織さん、B4石原真由さんが登壇した。ファシリテーターより、今回の演題「突破力」について各人の経験を踏まえた思いを発言してもらうことからディスカッションが始まった。

 パネルディスカッション詳細については別に報告があります。

パネルディスカッションの詳細

パネルディスカッション終了時、戸田氏と共にパネリスト全員で聴講者席に向かって紙ヒコーキを飛ばした。もちろん戸田氏の紙ヒコーキが最後まで長く飛んでいた。

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 <懇親会>

交流委員会 関谷副委員長司会のもと、応用化学会 三浦会長の開会挨拶、倉持副会長の音頭による乾杯の後懇親会が開始され、多くの聴講者が参加した。戸田拓夫氏も懇親会に参加され、教員・OB・学生との絆を深めた。橋本副会長の中締め、和田教授の閉会挨拶の後、田中徳裕学生部会副委員長の一本締めで閉会となった。

懇親会場Gallery

 (文責:交流委員 小林幸治)

――― 以上 ―――

関西支部第8回講演会報告

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 早桜会第8回講演会を9月17日(土)、中央電気倶楽部で開催しました。

 今回の講師は、静岡大学名誉教授の須藤雅夫先生で、ご専門の分野を「固体高分子形燃料電池の話題」と題してご講演いただきました。

 須藤先生は、1972年学部卒(新22回)城塚研出身で1978年工学博士号取得、静岡大学助手、助教授、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員などを歴任し、1993年静岡大学教授、2016年同大学名誉教授となられています。

 講演は、現在の勤務先である天野工業技術研究所の紹介から始まり、浜松の名所・行事の興味深い紹介もありました。  本題では、持続発展可能な社会の構築には、水素社会を目指すことが必要であることをまず述べられました。水素社会へのロードマップ、水素の製造法とコスト、固体高分子形燃料電池の開発の歴史、CO2フリー水素、Power to gas, 水素か合成メタンか、水素サプライチェーン、水素ステーションについて解説されました。  次いで、固体高分子形燃料電池(PEFC)では、速度過程と材料設計に注目し、燃料と酸素の供給での課題、セパレータの均一分配と水蒸気の凝縮の影響、ガス拡散電極の移動過程、水蒸気の凝縮・プロトン輸送界面構成、伝導膜でのプロトン輸送・水(水蒸気)逆拡散が検討対象としてあげられました。

 研究事例紹介として、伝導膜内の水輸送の湿度センサーによる実時間測定により、電気浸透水と逆拡散水の向流移動から、正味の水輸送係数が負(カソードからアノードへの輸送)の条件を示されました。膜内輸送方程式によるシミュレーション結果ともよく一致したと報告され、次いで、過酸化水素が生成するレベルと条件を検討された結果の報告がありました。過酸化水素は、アノードで触媒反応により生成します。一方カソードで電流値が大きくなると還元生成物として生成します。過酸化水素レベルは、電流値に対しバスタブ曲線を示しました。そこで伝導膜を分割しマイクロセンサーを挿入し、膜内での過酸化水素レベルを計測されました。アノードからカソードに移動していることが推定されたことが報告されました。

 講演終了後は、活発に質問が出され、一つ一つに丁寧にお答えいただきました。先生独特のやわらかい口調のご講演で、お人柄も聴く人の心によく届いたようです。

講演終了後は、全員での記念写真を懇親会場の入り口前の階段で撮り、特別食堂での懇親会に移りました。乾杯後は会場のあちこちで話の輪ができ、話が弾んでいたため、スピーチは少なめにとの司会者の配慮で、初参加の方に自己紹介いただいたほかは、ほとんど飲み・食べ・話すというにぎやかな懇親会になりました。

懇親会のスナップ写真集へ

(文責 田中)

「先輩からのメッセージ2017」の開催日程

「先輩からのメッセージ2017」の開催日程

早稲田応用化学会 交流委員会

 経団連より通達されます「採用選考に関する指針」等は、2017年も企業による面接等の選考解禁が6月、会社説明会の開始時期は3月と前年度から変更されない見込みです。

これに伴い、昨年3月に開催しましたフォーラム「先輩からのメッセージ」は、対象となる学生諸君の企業への理解を深める期間が余裕を持って確保出来るよう大学側と慎重に協議いたしました結果、開催日を2017年1月21日(土)と前回より二カ月ほど早め、会場もこれまでと同じく西早稲田キャンパス内で諸準備を進めております。

学生諸君には毎年のように開催日程が変更するため、計画予定を立てにくい事態となりますが諸事情をご理解のうえ、参加へ向けてのスケジュール調整をお願いいたします。
当日は「企業ガイダンス」ホームページ掲載中の日本を代表する化学系を中心とした約60社 (新規優良企業も複数社参加が見込まれています) に在籍されている応化OB・OGの皆様に日常の仕事や自身の転勤・異動経験等を学部学生でも理解できるよう紹介していただきます。また、終了後には講演いただいた先輩およびご同行の皆様を囲んでの懇談会を開催し、その場で学生諸君の疑問や不安について適切なアドバイスがいただけますので、将来の進路決定にも必ず役立つものと確信しております。

 詳細な内容ならびに参加の申し込みは、改めて12月上旬にホームページおよびメールマガジンにてご案内いたします。

  • 1.日 時
    2017年1月21日(土) 
  • 2.会 場
    西早稲田キャンパス54号館(予定)
  • 3.内 容
    • 受付開始:12:30~13:00(予定)【54号館1F教室】
    • 講 演 会 :13:00~18:30 (予定)【54号館2~3F教室】
    • 懇 談 会 :18:30~20:00(予定)【63号館カフェテリア】
  • 4.対象学生
    学部生、大学院生(修士、博士)およびポスドク(進路決定を間近に控えた学部3年、修士1年、博士課程修了予定者およびポスドクを主体としていますが、将来へ備えて学部1・2・4年、修士2年生の参加も大歓迎です。)
  • 5.対象学科
    応用化学科および応用化学専攻、化学・生命化学科および専攻、生命医化学科および専攻、ナノ理工学専攻、生命理工学専攻等 (その他学部・研究科・学科・専攻を問いません。)
  • 6.お問合せ
    本件に関する問合わせ、要望等は下記の専用アドレスまでお願いいたします。

    guidance@waseda-oukakai.gr.jp

2015年度博士号(工学)授与(平成28年3月)

2015年度博士号(工学)が、北原 真樹、松尾 伸史、、Shofarul Wustoni、戸ヶ崎 徳大、木野 はるか、砂川 忠弘、中村 竜也、(敬称略・順不同)に授与されました。程 姗姗さんの情報を追加します。

程 姗姗
【論文題目】Detection of biomarkers using field effect transistor (FET)-based biosensors for disease diagnosis
【和文題目】疾患診断に向けた電界効果トランジスタ型バイオセンサを利用したバイオマーカーの検出
新博士の経歴とメッセージは、こちら
北原 真樹
【論文題目】Preparation of Inorganic Nanostructured Materials by Stepwise Deposition Using Silica Template
【和文題目】シリカ鋳型を用いた段階的析出による無機ナノ構造体の合成
新博士の経歴とメッセージは、こちら
松尾 伸史
【論文題目】Interfacial Reaction Design for High-Purity Silica Production using Wet-Chemical Processes
【和文題目】界面反応設計による溶液処理を用いた高純度シリカ生成プロセスの高度化新博士の経歴とメッセージは、こちら
Shofarul Wustoni
【論文題目】Development of field effect transistor (FET) biosensor for the detection of amyloid prion protein
【和文題目】アミロイド性タンパク質凝集体検出用電界効果トランジスタ型バイオセンサの開発
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戸ヶ崎 徳大
【論文題目】Research and Development of Lithium Metal Anode for Future LithiumAir Batteries
【和文題目】将来型リチウム空気電池のための金属リチウム負極の開発
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木野 はるか
【論文題目】Screening of salt taste enhancing dipeptides and effective production of the dipeptides by L-amino acid ligase
【和文題目】L-アミノ酸リガーゼを利用した塩味増強効果を有するジペプチドの探索と効率的な合成法の開発
新博士の経歴とメッセージは、こちら
砂川 忠広
【論文題目】Anti-aging Effects of Apple Polyphenols and Their Application to Development of Functional Foods for Anti-aging
【和文題目】リンゴポリフェノールの抗老化機能およびその抗老化機能の食品開発への展開
新博士の経歴とメッセージは、こちら
中村 竜也
【論文題目】Development of a Concise Synthesis of Reduced Polypropionates and Application to Total Syntheses of Natural Products【和文題目】還元型ポリプロピオネートの効率的合成法の開発と天然物合成への応用
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程 姗姗

【論文題目】
Detection of biomarkers using field effect transistor (FET)-based biosensors for disease diagnosis
【和文題目 】
疾患診断に向けた電界効果トランジスタ型バイオセンサを利用したバイオマーカーの検出
【履歴】
程 姗姗

  • 2010年6月 Bachelor degree (Double Degree)
    Dept. of Japanese, School of Foreign Languages, Shanghai Ocean University in P.R. CHINA.
    Dept. of Economics, School of Economics, Kyushu Kyoritsu University in JAPAN.
  • 2012年3月 Master Degree
    Master’s program, Major in Production Systems, Graduate School of Information, Production and Systems (IPS), Waseda University in JAPAN.
  • 2015年9月 Doctor Degree,
    Doctor’s program in Department of Nanoscience and Nanoengineering, Graduate School of Advanced Science and Engineering, Waseda University in JAPAN.

【博士取得者からのメッセージ】

この度、早稲田大学より博士(工学)の学位を授かりましたことを大変光栄に存じます。本研究に関し懇切丁寧なご指導を賜りました逢坂哲彌教授に心より御礼申し上げます。また、本論文の審査を賜りました菅原義之教授、本間敬之教授、門間聰之教授、中西卓也教授をはじめとする応用化学科の諸先生方、研究室の皆様に心より感謝申し上げます。

本学位論文は、電界効果トランジスタ(FET)型バイオセンサの実用化研究として、まず、FETを用いた高感度な検出用センサの確立に向け、FET上の受容体として抗原および抗原結合性フラグメントを利用することとし、バイマーカーの検出を試みた。また、マルチのターゲットの検出が可能となるFETバイオセンサを提案した。本論文の成果はより精密で正確な診断やQuality of life (QOL)の向上に大きく貢献できるものと考えております。

現在、私は天津大学(中国)の理学学院の講師を勤めております。この学位取得を励みとして、一層の研鑽を積んでいく所存です。今後とも御指導・御鞭撻賜りますよう宜しくお願い申し上げます。


北原 真樹

【論文題目】
Preparation of Inorganic Nanostructured Materials by Stepwise Deposition Using Silica Template
【和文題目 】
シリカ鋳型を用いた段階的析出による無機ナノ構造体の合成
北原真樹
【履歴】

  • 2011年3月 早稲田大学先進理工学部応用化学科卒業
  • 2013年3月 早稲田大学大学院先進理工学研究科応用化学専攻修士課程修了
  • 2016年3月 早稲田大学大学院先進理工学研究科応用化学専攻博士後期課程修了
  • 2016年3月 博士(工学・早稲田大学)
  • 2016年4月 住友化学株式会社入社

【新博士からのメッセージ】
この度、早稲田大学より博士(工学)の学位を授かり、身に余る光栄と深く感謝しております。博士の学位の取得は、九年間に渡り化学の面白さをご教授頂いた諸先生方、また懇切丁寧に研究の指導をして頂いた、黒田先生、和田先生、下嶋先生の御陰であり、厚く御礼申し上げます。さらに、分析等でお世話になった材料技術研究所や物性計測センターラボの皆様をはじめ、研究に携わってくださったすべての方々にも深く感謝申し上げます。

本学位論文は、シリカ鋳型内部への段階的な析出による無機ナノ構造体の合成についてまとめたものです。まず鋳型内部に物質を形成させ、その後、最終的に得られる無機ナノ構造体の主骨格を形成する物質を析出させます。段階的に物質を析出させることで、従来よりも精密な無機ナノ構造体の合成を可能にしています。

現在、私は住友化学株式会社で研究業務に従事しております。応用化学科及び応用化学専攻で身に着けた研究に取り組む姿勢は、研究環境が変わりましても必ず活かせるものと信じており、更に邁進する所存でございます。今後とも諸先生・先輩方には御指導・御鞭撻賜りますよう宜しくお願い申し上げます。


松尾 伸史

【論文題目】
Interfacial Reaction Design for High-Purity Silica Production using Wet-Chemical Processes
【和文題目】
界面反応設計による溶液処理を用いた高純度シリカ生成プロセスの高度化matsuo

【履歴】

  • 2010年3月 早稲田大学理工学部応用化学科卒業
  • 2012年3月 早稲田大学大学院先進理工学研究科ナノ理工学専攻修士課程修了
  • 2015年3月 早稲田大学大学院先進理工学研究科ナノ理工学専攻博士後期課程満期退学
  • 2015年4月 ローム株式会社入社
  • 2016年2月 早稲田大学大学院先進理工学研究科ナノ理工学専攻博士後期課程修了
  • 2016年2月 博士(工学・早稲田大学)

【新博士からのメッセージ】

この度、早稲田大学より博士(工学)の学位を授かり、身に余る光栄と深く感謝しております。本研究の遂行にあたり、懇切なるご指導を賜りました本間敬之教授に心より御礼申し上げます。また、本論文の審査を賜りました逢坂哲彌教授、菅原義之教授、門間聰之教授をはじめとする応用化学科の諸先生方、研究室の皆様に心より感謝申し上げます。

本学位論文は、太陽電池級Siの新規製造方法への応用を目的に、流路型リアクターを用いた液液界面反応による溶液化学プロセスを用いたシリカの高純度化プロセスにおいて、リアクターの連続化および界面形成制御による大容量化、不純物除去のための抽出剤の選択、さらに酸洗浄プロセスと組み合わせた一連のプロセス設計をまとめたものです。本論文の成果は太陽電池用高純度シリコンはもとより、種々の高純度材料生成プロセスの分野に対して貢献できるものと考えております。

現在、私はローム株式会社にて、圧電MEMS分野の研究開発に従事しております。この学位取得を励みに、更なる飛躍を目指してより一層の研鑽を積んでいく所存であります。今後とも御指導・御鞭撻賜りますよう宜しくお願い申し上げます。


Shofarul Wustoni

【論文題目】
Development of field effect transistor (FET) biosensor for the detection of amyloid prion protein
【和文題目】
アミロイド性タンパク質凝集体検出用電界効果トランジスタ型バイオセンサの開発Wuston

【履歴】

  • 2011年7月 Bachelor degree, Dept. of Chemistry, Institut Teknologi Bandung (Indonesia)
  • 2013年9月 Master Degree, Dept. of Nanoscience and Nanoengineering, Waseda University, Japan
  • 2016年3月 Doctor Degree, Dept. of Nanoscience and Nanoengineering, Waseda University, Japan

【新博士からのメッセージ】

I am very grateful and thankful for the doctor degree from Waseda University, especially my deepest gratitude to my supervisor Prof. Tetsuya Osaka and all research advisors. They always give me a source of motivation to enjoy the life and research in laboratory as well as other students who are very supportive and kind. Living and studying at Waseda University was one of most precious moment and journey in my life.

I studied a research on field effect transistor (FET) biosensor particularly for detecting prion proteins. I examined and developed such biosensor to perform a specific and sensitive feature to prion proteins. The results were published in some papers and presented in several academic meetings.In long-term planning, I would like to work and dedicate my self as lecturer and researcher in Indonesia.

In near future for short-term planning, I will do some postdoctoral training in different countries to get more international research experiences. I would like to devote my career to study and focus in the field of bionanotechnology especially for bio and chemical sensors. And I believe that the research life at Waseda University is important memory and process to reach my future goals.


戸ヶ崎 徳大

【論文題目】
Research and Development of Lithium Metal Anode for Future Lithium Air Batteries
【和文題目】
将来型リチウム空気電池のための金属リチウム負極の開発
【履歴】

  •  2003年3月 理工学部 応用化学科 卒業
  • 2005年3月 理工学研究科 応用化学専攻 修了
  • 2005年4月 株式会社東芝セミコンダクター社 入社(2012年5月 退社)
  • 2014年4月 理工学術院 応用化学科 助手
  • 2016年2月 博士(工学・早稲田大学)

【新博士からのメッセージ】

この度、早稲田大学より博士(工学)の学位を授かりましたことを大変光栄に存じます.博士課程での研究の機会を与えて下さり,本研究に関し懇切丁寧なご指導を賜りました逢坂哲彌教授ならびに門間聰之教授に心より感謝申し上げます.また,本論文の審査を賜りました菅原義之教授,本間敬之教授をはじめとします応用化学科の諸先生方,また研究室の皆様に深謝申し上げます。

本学位論文は,将来型蓄電デバイスであるリチウム空気電池実用化への基礎研究として,金属リチウム負極の電気化学的溶解析出反応を詳細に検討し,その可逆的な動作に重要な電極/電解液の界面設計を提案したものです.金属リチウムは負極材料の中で最もエネルギー密度が高く魅力的な材料である一方,電解液との反応性が高いため充放電効率が低い課題があります.本研究では,負極表面の固体電解質層と電解液の溶媒構造を適切に設計することで特性が飛躍的に改善することを体系的に示しました.得られた成果は,リチウム空気電池の実用化への示唆を多く含んだ内容であり,今後の研究発展に大きく寄与するものと期待されます。

現在私は,早稲田大学応用化学科の助手を務めています.後生の教育に携わる傍ら,一研究者として,より一層の研鑽を積んでいく所存です.今後とも,ご指導・ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。


木野 はるか

【論文題目】
Screening of salt taste enhancing dipeptides and effective production of the dipeptides by L-amino acid ligase
【和文題目】
L-アミノ酸リガーゼを利用した塩味増強効果を有するジペプチドの探索と効率的な合成法の開発kino_haruka
【履歴】

  • 2001年3月 早稲田大学理工学部応用化学科卒業
  • 2003年3月 早稲田大学大学院理工学研究科応用化学専攻修士課程修了
  • 2003年4月 長谷川香料株式会社入社
  • 2013年4月 早稲田大学大学院先進理工学研究科応用化学専攻博士後期課程入学
  • 2016年3月 同上修了
  • 2016年3月 博士(工学・早稲田大学)
  • 現職 長谷川香料株式会社 総合研究所 主任研究員

【新博士からのメッセージ】

この度、早稲田大学より博士(工学)の学位を授かり、身に余る光栄と深く感謝しております。本研究の遂行にあたり、懇切なるご指導を賜りました木野邦器教授に心より御礼申し上げます。また、本論文の審査を賜りました桐村光太郎教授、西出宏之教授をはじめとする応用化学科の諸先生方、研究室の皆様に心より感謝申し上げます。

本学位論文は、減塩への意識が高まる社会的背景を踏まえて「塩味」に着目し、任意のジペプチドを合成可能なL-アミノ酸リガーゼ(Lal)を用いた塩味増強効果を有するジペプチドの探索とLalの機能改変による目的ジペプチドの効率的合成法の開発をまとめたものです。塩味増強ジペプチドの探索では、Lalを用いてジペプチドライブラリーを構築し、高活性を有する新規ジペプチドを二種類見出しました。さらに、Lalの立体構造情報を踏まえてデザインした改変型酵素を用いて、目的とするジペプチドのみを高効率で合成するプロセスの開発にも成功しました。これらの成果は機能性ジペプチドとLal研究の新たな可能性を示すものであり、学術的、産業的に有用な技術であると考えております。

私はこの4月より長谷川香料(株)技術研究所に戻り、新規香料素材の開発や安全性の評価などに取り組んでおります。3年もの長い間、研究室に常駐して研究する機会を与えて頂いた会社に少しでも貢献できるよう、この学位取得を励みとして一層の研鑽を積んでいく所存であります。今後ともご指導・ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。


砂川 忠広

【論文題目】
Anti-aging Effects of Apple Polyphenols and Their Application to Development of Functional Foods for Anti-aging
【和文題目】
リンゴポリフェノールの抗老化機能およびその抗老化機能の食品開発への展開

【履歴】

  • 1997年3月 早稲田大学理工学部応用化学科卒業
  • 1999年3月 早稲田大学大学院理工学研究科応用化学専攻修士課程修了
  • 1999年4月 雪印乳業株式会社研究員
  • 2002年11月 アサヒビール株式会社(現アサヒグループホールディングス株式会社)研究員
  • 2016年3月 博士(工学・早稲田大学)
  • 現職 アサヒビール株式会社 酒類開発研究所 主任研究員

【新博士からのメッセージ】

この度、早稲田大学より博士(工学)の学位を授かり、身に余る光栄と深く感謝しております。本研究の遂行にあたり、懇切丁寧なるご指導を賜りました桐村光太郎教授に心より御礼申し上げます。また、本論文の審査を賜りました木野邦器教授、西出宏之教授をはじめとする応用化学科の諸先生方、研究室の皆様に心より感謝申し上げます。

本学位論文は、食品素材であるリンゴポリフェノール(AP)を抗老化機能食品へ展開することを目的として、老化モデル生物を用いて生体内でのAPの抗老化機能の有無と機能性食品への展開可能性を検証し、APを含有する抗老化機能食品の開発に至った成果をまとめたものです。とくにAPの抗老化機能が寿命遺伝子産物Sir2に関与すること、および抗酸化酵素欠損マウスへのAPの投与で抗老化機能を有することを明らかにしたことは、APが抗老化機能食品へ展開可能であることを示す重要な知見であります。本研究で得られた知見は、機能性食品の新商品開発に大きく寄与するものであると期待されます。

現在、私はアサヒビール株式会社の研究所で、早稲田で学んだ研究者としての広い視野と応用化学の知見を活かして、食を通じた健康で豊かな社会の実現にむけて、新しい酒類や機能性食品の開発に取り組んでいます。この学位取得を励みとして、一層の研鑽を積んでいく所存です。今後とも早稲田応用化学会の皆様の御指導、御鞭撻を賜りたく宜しくお願い申し上げます。


中村 竜也

【論文題目】
Development of a Concise Synthesis of Reduced Polypropionates and Application to Total Syntheses of Natural Products【和文題目】
還元型ポリプロピオネートの効率的合成法の開発と天然物合成への応用
nakamura
【履歴】

  • 2011年3月 早稲田大学理工学部応用化学科卒業
  • 2013年3月 早稲田大学大学院先進理工学研究科応用化学専攻修士課程修了
  • 2014年4月 早稲田大学先進理工学部応用化学科助手
  • 2016年3月 早稲田大学大学院先進理工学研究科応用化学専攻博士後期課程修了
  • 2016年3月 博士(工学・早稲田大学)
  • 2016年4月 第一三共株式会社

【新博士からのメッセージ】

この度、早稲田大学より博士(工学)の学位を授かり、身に余る光栄と深く感謝しております。本研究の遂行にあたり、懇切なるご指導を賜りました細川誠二郎准教授に心より御礼申し上げます。また、また、本論文の審査を賜りました小柳津教授、化学・生命化学科の中田教授をはじめとする応用化学科の諸先生方、細川研究室の皆様に心より感謝申し上げます。

本学位論文は、還元型ポリプロピオネート構造の効率的構築法の開発とそれを用いて数種の天然物の全合成についてまとめたものです。還元型ポリプロピオネート鎖は多様な生物活性を有する天然物中に散見される構造であり、その効率的構築法は全合成における強力なツールとなります。当研究室で開発されたビニロガス向山アルドール反応と立体選択的還元反応を組み合わせることにより、従来の手法の半分程度の工程数にて還元型ポリプロピオネート構造を構築することに成功しました。その手法を応用し、抗リーシュマニア活性物質セプトリアマイシンAと結核毒素PDIMAの全合成を効率的に達成できました。本研究成果で得られた知見は天然物の迅速な合成研究に寄与することが期待され、今後本手法を応用した天然物の合成が達成されれば幸いです。

現在、私は第一三共株式会社のプロセス技術研究所にて、医薬品の工業化製法について研究をしております。『早稲田』で学んだ応用化学の知見を軸に、高品質な医薬品を迅速かつ確実に届けられるよう、一層精進してゆく所存であります。今後とも御指導・御鞭撻賜りますよう宜しくお願い申し上げます。


早稲田大学応用化学科 新19期同期会案内  

厳しい残暑が続いておりますが、新19期卒業の皆様にはご健勝にてご活躍のことと思います。 さて、一昨年同期会を西早稲田キャンパス(旧理工学部)にて開催し30名の皆様が参加されました。 今回も逢坂先生のご協力により、本学キャンパスに隣接した早稲田大学研究開発センター120号館を見学する事を含め、新19期同期会を開催する事になりました。 新しい建物、実験設備を体験してみるのも興味深い事かと思います。 同じ研究室で連絡方法の判明している場合は、互いに連絡を取り合って、出来るだけ多数の同期の仲間が参集できるようご協力をお願い致します。皆様のご参加をお待ちしております。

日時: 2016年11月25日(金)   16:00~19:00
場所:早稲田大学研究開発センター 120-5号館 121号室    
     東京都新宿区早稲田鶴巻町513 Tel:03-5286-8059(逢坂研究室)    
     学バス(学02) 早大正門下車、東西線 早稲田駅下車 徒歩3分    http://www.waseda.jp/top/assets/uploads/2015/08/waseda-campus-map.pdf

会費: 4,000円

プログラム案  
     16:00~16:15 受付  16:15~17:10 : 施設の概要説明、キャンパスツア-  
     17:10~19:00 : 飲みながら、食べながら懇談 

懇親会場:レストラン「森の風」早稲田大学26号館大隈記念タワー15階
      東京都新宿区早稲田鶴巻町516  Tel:03-5291-5620   http://www.cafecompany.co.jp/news/2016/04/new-open20164115.html

幹事: 井上 健、廣谷 修
返信は10月20日までにお願い致します。
連絡先  井上 健(佐藤研): tksinoue2@hotmail.com         
               廣谷 修(村井研): o.hiroya1@ksn.biglobe.ne.jp

中部支部第13回交流会開催案内

 今回のプレゼンターは、岐阜大学生命科学総合研究支援センター木内一壽特任教授(24回生、平田研卒)をお招き致します。
 今回の講演では、脳の主役である神経細胞と記憶形成に関連するシナプスについて触れられた後に、「ヒト脳の進化」、「海馬と記憶」、および「アルツハイマー病の回避」という項目について、クイズ形式も取り入れ、分かり易く、かみ砕いてお話しして頂きます。 
  2013年3月に講演して頂き、好評を博しました「若い頃の生活習慣とアルツハイマー病」と同様に、身近な興味深いテーマです。

万障お繰り合わせの上、多数ご出席下さいますようご案内致します。

早稲田応用化学会中部支部
支部長 三島 邦男

               記

1.開催日時:2016年10月15日(土) 受付16:00より
2.場 所:名古屋ダイヤビルディング1号館131号室
     URL: http://www.nagoya-dbtec.co.jp/acsess.html(リンク終了)
3.交流会:16:15~17:45
     ・話題提供者:木内一壽氏
     ・題 目:「海馬と記憶とアルツハイマー病」  
4.懇談会:18:00~20:00  喫茶「サンディア」 (会費3,000円)
5.お申し込み →  勝手ながら、来る10月13日(木)までに申し込みをお願いします。
6. 問合せ先 中部支部幹事堤正之まで

                                   以上