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応用化学科創立百周年記念展示

「江戸後期 知の探究者たちが切り拓いた世界」
2017年10月5日より11月9日まで
10:00~18:00
早稲田大学総合学術情報センター2F

応用化学科の創立100周年を記念して題記記念展示が開催されます。会場は早稲田大学総合学術情報センター(早稲田大学中央図書館の建物)の2階展示室です。
江戸末期の貴重な文物が展示されます。
特に宇田川榕菴は江戸末期(1798 – 1846)の蘭学者で、今日我々が使っている基本的な化学用語を翻訳し、日本に定着させた人です。
その宇田川榕菴の主要著作である舎密開宗』(せいみかいそう)も展示されます。
またシーボルトから榕菴に贈られた顕微鏡なども展示される予定です。
江戸末期には本草学をはじめ多くの自然科学者たちが知のネットワークを作って活躍しました。
日本の化学も、そうした知の探求者たちによって基礎が作られました。
我々の学問のルーツを是非この機会に訪ねてみましょう。

 

応用化学科の創立100周年につきましては、いろいろな催しや行事が企画されています。10月7日(土)には記念祝賀会も開催されます。下のLinkの応用化学科のHPにて詳細をご参照の上、本記念事業への積極的なご参加をお願いいたします。

応用化学科創立100周年記念事業ご案内

豊倉賢名誉教授 瑞宝小綬章 叙勲

2017年4月29日、豊倉賢名誉教授は、瑞宝小綬章を叙勲され、5月11日に、伝達式が行われた。

豊倉名誉教授ごあいさつ

先生のご功績は、工業装置内晶析現象で新しく考案した無次元結晶粒径・溶液過飽和度を用いて所望結晶製品を工業規模で生産出来る晶析装置・操作の設計理論を世界に先駆けて確立したことに加え、工業晶析装置内の2次核発生や結晶精製の新現象も発表して製品結晶品質向上や生産コスト削減を容易にし、世界の晶析研究・結晶生産工業の発展に貢献した点にある。

豊倉名誉教授に、ご薫陶を受けたOBが、2017年7月29日(土)リーガロイヤル東京 サファイアに参集し、盛大な祝賀会を実施した。海外から、マルティンルター大学 ヨアヒムウーリッヒ教授も、急遽来日し、OBとともに、恩師の叙勲をお祝いした。同門のOB会としては、先生のご退職以来の実施であり、18年ぶりの再会に話が盛り上がり、飲食も忘れて昔話に花が咲いた。


瑞宝小受章 勲記

豊倉名誉教授ご夫妻とウーリッヒ教授

祝賀会の記念写真

 

 

 

 

 

(新18回 鶴岡洋幸、新26回 平沢 泉)

早稲田応用化学会中部支部第14回交流会開催のご案内

早稲田応用化学会中部支部第14回交流会

 

早稲田大学 特任教授 逢坂哲彌氏
     “最近のエネルギー・蓄電池の話題~自動車EV化に伴って~”

第14回中部支部交流会を下記要領で開催致します。今回の講師は、現在、特任研究教授の一号としてスマートエネルギーシステム・イノベーションセンター長としてご活躍中の逢坂哲彌先生にお願いしました。
講演内容は何方様にとっても大変興味ある内容となっております。講演後は懇親会も予定しております。お誘いわせの上、多数ご出席下さいますようご案内致します。
                          早稲田応用化学会中部支部
                          支部長 三島 邦男

1.演題  最近のエネルギー・蓄電池の話題~特に自動車EV化に伴って~

2.講師  逢坂哲彌先生
      早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構特任研究教授・名誉機構長
                      早稲田大学理工学術院名誉教授

3.日時  2017年10月14日(土)
                     受付16:00より
                     講演会 16:30~18:00
                     懇親会 18:00~20:00

4.場所  名古屋ダイヤビル1号館 (JR名古屋駅桜通口より徒歩3分)
      アクセスはこちら(リンク終了)
       講演会 131号室
       懇親会 同ビル1階喫茶「サンディア」

5.会費  講演会 無料
                     懇親会 3,000円

         参加申し込みはこちらから→ここをクリック。
         準備の都合上、来る10月6日( 金)までに申し込み願います。
         お問い合わせ先:応化会中部支部幹事 堤 正之
       Tel. ;059-353-7639
          E-mail; m.tsutsumi @fuga.ocn.ne.jp

先進理工学部応用化学科創立百周年

 

 

 

明治41年(1908)早稲田大学に理工科が設置され、機械、電気、採鉱、建築の各科に続く五番目の学科として大正6年(1917)9月に応用化学科1期生の授業が始まりました。これを以て発足の時とし、本年は創立100周年になります。

これを記念し、応用化学科では下記のような記念事業を計画しております。

  1. 記念祝賀会
  2. キャンパスツアー
  3. 記念展示会
  4. メッセージ寄稿
  5. 寄付・寄贈

下のLinkの応用化学科のHPにて詳細をご参照の上、本記念事業への積極的なご参加をお願いいたします。

応用化学科創立100周年記念事業ご案内

第9回早桜会講演会・懇親会のお知らせ


 早桜会(早稲田応用化学会関西支部)では、第9回講演会を下記要領で開催します。今回の講師には、岐阜大学特任教授の木内一壽先生(新24回 平田研究室)にお願いしています。どなたにとっても大変興味深い講演内容と思います。講演後は、同倶楽部で懇親会も予定しています。初めての方もぜひ奮ってご参加ください。

演題

ヒト脳の特性

講師

木内一壽先生
(岐阜大学生命科学総合研究支援センター 放射性同位元素実験分野 特任教授)

日時

2017年9月9日(土)
    講演会  15:00 ~ 17:00
    懇親会  17:00 ~ 19:00

場所

中央電気倶楽部(大阪・堂島浜)
大阪市北区堂島浜2-1-25  06‐6345‐6351
    講演会  215号室
    懇親会  特別食堂

会費

講演会  無料
懇親会  5,000円
(ただし、学部卒業後または大学院修了後2年間は、2,000円)

講演要旨:
この講演では、最初に、脳を構成する神経細胞について簡単に説明します。次に、ヒト脳の進化に影響を及ぼした遺伝子について例を挙げ、分かり易く解説します。最後に、ヒトで発達した前頭葉について、エピソードを交え、その機能について話していきたいと思います。

第15回 先生への突撃インタビュー(野田 優 教授)

「先生への突撃インタビュー」の再開の3番バッター(第15回)として野田優教授にご登場願うことにしました。
今回は学生にもインタビュアーとして参加をしてもらうと同時に新任の佐々木広報委員長にも参加を願い、応化会の本来の姿である先生・学生・OBの3者による合作の新バージョンを目指しました。野田先生もこの試みに快く賛同していただきましたことを、この場をお借りしてお礼申し上げます。
野田先生は、1994年東京大学工学部卒業、99年同大学院工学系研究科 化学システム工学専攻博士後期課程修了・工学博士、1999年~2007年東京大学助手2007年~2012年同准教授を経て2012年より早稲田大学理工学術院教授、2009年~2013年JSTさきがけ研究員(兼任)をされています。また、2005年には化学工学会奨励賞を、2014年度春学期と2016年度春学期に早稲田大学ティーチングアワードを受賞されています。

野田 優教授

先生が研究に本格的に取り組み始めたキッカケはなんですか?

  ~中学は科学部、高校は化学部に~
 子供のころから自然科学に関心がありました。高校時代には、エネルギー問題に加え、温暖化、オゾン層破壊、酸性雨などの環境問題がクローズアップされ、クリーンエネルギー技術に携わりたいという想いを持つようになりました。この考えで、化学工学系の学科(東京大学 工学部 化学工学科・現 化学システム工学科)に進学、大気環境技術の故・定方正毅先生の研究室に入りました。学生の自主性を重んじ、自由に研究させてくれたこともあり、研究の面白さに目覚め、博士課程まで研究に没頭しました。
 学位取得後は、縁あって隣の研究室の小宮山宏先生の助手に採用され、材料研究へと転身しました。半導体産業での各種薄膜の気相プロセスによる製膜研究と知の構造化に従事、このときのプロジェクトで松方正彦先生にも大変お世話になりました。丸山茂夫先生との共同研究でカーボンナノチューブに着手、山口由岐夫先生のもとでのナノテク研究を通じ、「小さなモノを大きく創る」ナノ材料の実用合成、材料プロセス工学に本格的に取り組み始めました。2012年9月に縁あって応用化学科に着任後は、エネルギー技術を専門とされる先生方も多く、お力添えを頂きながら、蓄電デバイスや太陽電池などのクリーンエネルギー技術の性能とコストを、実用的なナノ材料プロセス技術により革新すべく研究に取り組んでいます。

技術的内容で先生がポイントと考えておられる点はなんですか?

  ~基礎と応用の相互コミュニケーションとシナジーが重要~
 ナノテクは広範な技術革新を起こすと大いに期待されている反面、実用例が限られることが問題とされています。新たなナノ構造体を創製し、新規な特性・機能を見出す0から1を生む研究はもちろん重要ですが、分かり易いオリジナリティーを優先するあまり、1を100に仕上げる研究が立ち遅れていると考えます。後者の仕事は、従来は企業の役目と考えられがちでしたが、多様な候補材料がある中、数ナノメートルという微小スケールで企業単独で実用技術に仕上げるのは困難です。例えば、ナノチューブ1本を測定したら素晴らしい物性が出た、こんな夢のデバイスができそうといった論文がよくあります。それだけで、企業に製品を作って下さいというのは無理があります。基礎はますます基礎に向い、応用は複雑・高度化し、両者の距離が開いてしまっています。良いものを上手く作るのが化学工学の本来の役割であり、ナノ材料の特性を保ったまま、簡易に大規模に創ることが自分のミッションと考えています。
 もう一つは考え方のベクトルです。オリジナリティーはもとより重要ですが、シーズ志向がとても強いと感じます。例えば、我が国発の技術で○○を解決する、我が国の強い△△を更に発展させるといった具合です。また、過去に専門家が設定したロードマップを重視し、ロードマップを達成することが目的になっていないかも危惧します。これらはフォアキャスト型と言えると思います。一方で、社会にとってみれば、課題解決が重要であり手段は問いません。既にある知識・技術を適切に組み合わせてプランを策定し解決すれば幸いですし、どうしても要素が足りない場合はその要素を研究・開発する考え方も重要と思います。課題が明確になっている場合はニーズ志向ですが、今の日本は解決した後の未来像をはっきりと持てない状況にもあると思います。理想的な未来社会像を描き、それに至るシナリオを描き、個別課題を設定し、研究計画を立案し取り組む、バックキャスト型も重要です。急激に変化する世界の情勢も踏まえロードマップは随時更新、バックキャストとフォアキャストを行き来し臨機応変に取り組むこと、また個々人が基礎研究、応用研究、課題解決研究の違いを意識しつつ、それらに取り組むことが重要と思っています。私自身も得意技術に頼り過ぎないよう、自戒しています。

先生の研究理念を教えてください。

  ~社会に対し価値を生む研究を~
 基礎研究であっても、応用、課題解決研究であっても、先人の財産である既存の知識・技術を有り難く使わせて頂き、できることは速やかに済ませる。それだけではできないところに、新たな発見や発明が生まれると思っています。オリジナルな研究をするのが目的ではなく、既存知識・技術で解決できないところにオリジナルなものが生まれる。また、新物質・新材料などは分かり易いオリジナリティーですが、それら要素の新たな組み合わせもオリジナリティーの筈です。研究のための研究ではなく、社会に対し価値を生む(経済価値だけでなく知的価値を始めとした質的な価値も)研究をしたく思っています。
 先人の財産を学びつつも納得できない場合は、自ら考え直すことも重要です。頭の中は自由です。学生さんを始め皆さんと一緒に、良く学び、自由に考え、大胆に挑戦していきたく思います。

これからの研究の展望を聞かせてください。 

 ~現実解を求めるために、汎用の炭素・珪素に注力~
 世界全体が豊かになることは、当然の目標と思っています。すると化学による物質生産も膨大になり、既にレアメタル・レアアースなど資源問題が顕在化しています。20世紀は多様な元素を使って物質的豊かさを実現してきましたが、ナノテクでは同じ化学組成でも構造を変えることで物性・機能を制御でき、この点が持続可能社会の実現にとても重要と思っています。性能で記録更新を目指すだけでなく、良いものを広く行き渡らせたく思います。
 現在は、特に炭素と珪素に注力しています。資源的に豊富ですし、周期表で隣通しです。特にグラフェンシートを基本骨格としたナノカーボンは、表面にダングリングボンドを持たないため、ナノ構造でも本質的に安定です。炭素により軽量でナノ構造により柔軟という有機材料の特徴と、強固なσ結合による熱的・化学的安定性や優れた導電性といった無機材料の特徴を併せ持ちます。良質なカーボンナノチューブは、1 gあたり10万円前後もします。原料は炭化水素です。作り方が余りにも稚拙です。我々は、アセチレンを原料に、0.3秒の滞留時間で、収率70%で良質なカーボンナノチューブを半連続合成する流動層技術を開発しました。エチレンでも高収率で合成する技術も開発中で、また得られたナノチューブからスポンジ状自立膜を作製し三次元集電体とする新型蓄電池の開発などに取り組んでいます。また、シリコンも丁寧に作るのが従来の常識でしたが、1分で厚さ10 μmの単結晶膜や大粒径多結晶膜を製膜し、バルクから数秒でナノ粒子を合成することも可能となりました。前者は太陽電池に、後者は蓄電池に向けた技術です。エネルギー技術は安い技術で、広く使われてこそ課題解決に貢献できます。資源的制約の緩いこれらの材料を用い、画期的に安価で設置容易な太陽電池や安価・軽量・高容量の蓄電池を実現し、自然エネルギー利用拡大に貢献したく思っています。

大学と企業の関係についてコメントをお願いします。

  ~オープンな協力関係でステップアップを~
現在の世界の流れは、オープンな相互協力が主流になっています。日本の企業はまだまだ閉鎖性を残している所が見受けられますが、はっきりした目標や目的を共有することが大切だと感じています。得意技術を守っている間に世界は先へ進んでしまいます。積極的に訪問して狙いを話し、アイディアを出し合い議論し、相互の信頼関係を醸成してより踏み込んだ議論をするサイクルを回し、スピーディーに次の一手を打つと、できることが大きく広がると思っています。

応用化学会の活動への期待を聞かせてください。 

 ~世代や分野を繋ぐコミュニケーション、相互刺激は重要~
 応用化学会はとても充実したOBOG会で、幅広い世代と分野の先輩たちのネットワークを有していますので、応用化学科の教員・学生の貴重な財産だと思います。学生の活動も活発ですので、是非、この流れを継続・発展させて頂きたく思います。学生さんが早いうちから多様な人と交流し、多様な意見を聞き、相手を尊重しつつ自身の考え・意見・価値観を持つ。すると社会に出てからもアイデンティティーを持って活躍できると思います。大学はどうしても独特の文化がありますので、応用化学会を通じて視野を広げて欲しいと思います。

100周年を迎える応用化学科についてコメントを聞かせてください。

  ~自ら考え、動き、挑戦できる人材の育成に貢献を~
 100年は迫力のある素晴らしい歴史です。この間、9000名を超える人材を育成してきた諸先生方に敬意を表します。大学の本来の使命は人材育成ですし、これからの我が国にはますます重要です。応用化学科の一員として、自ら考え、動き、挑戦できる人材の育成に貢献したく思います。

21世紀を担う皆さんへのメッセージをお願いします。

  ~方法論を自分のものにし、果敢に挑戦を~
 課題山積と言われる時代ですが、一方で、先人の財産で沢山のことができるようになりました。課題があることは、活躍の場があることにほかなりません。課題解決や価値創生を目的に、蓄積された知見・技術を道具に、自らの考えで動き挑戦し、活躍して欲しく思います。研究室での数年間は、自らの方法論を培う貴重な期間です。是非、意欲的に挑戦し、失敗とその克服など、多くの経験を積んでほしいと思います。          

 ―了―

6月30日インタビュー(聞き手&文責:広報委員会 井上健(新19回)・佐々木一彰(新31回)・五十嵐怜(広報班学部3年))

研究室及び研究概要紹介
 http://www.f.waseda.jp/noda/

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第26回早桜会懇話会(今年度第1回)の開催報告

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 第26回懇話会を、6月24日(土)15時~17時、中央電気倶楽部(大阪堂島浜)で開催しました。

 今回の講師は、株式会社オー・ジー(新59回平沢研)の陳鴻氏で「台湾海峡西岸経済区」(以下海西経済区)と題して、急速に経済発展を遂げている該地区の様子について、その地理的、歴史的な観点も取り入れて解説されました。

 

 海西経済区は主体地位を有する福建省と周辺の広東、浙江、江西3省の一部から構成されており、その人口は約6,500万人で、東は台湾と海を隔てて向き合っていて、北は長江デルタ、南は珠江デルタに隣接している。中国沿海の経済帯を構成する重要な地域であるとともに、科挙の制度があった時代には最も多くの進士を産み、現代では、学者、専門家を輩出する教育レベルの高い地域である。また客家人、華僑の故郷で億万長者が多く商売に長けた人の多い地域でもある。

 かつては経済的に遅れていたが、台湾と向き合う地域で戦略的にも重要視されて2009年5月に中国国家レベルの事業として戦略的に経済を発展させる決定がなされました。その狙いは 「海西経済区」の開発を加速させて、珠江デルタ、長江デルタと一体化し、太平洋西岸最大経済地帯を形成させることにある。発展は驚くほど急速で、決定から10年足らずで既に長江デルタ、珠江デルタと台湾海峡西岸地域を結ぶ高速鉄道、高速道路を完成させ、主体の福建省の2016年のGDPは、2009年より倍増、人当たりGDPは1万ドルを突破している。

 講師の陳鴻氏は海西経済区の中心部に位置する福州の出身で、豊富な経験に裏付けられた語りに引き込まれました。ことに「華僑が成功している要因として、ネットワークの活用と共に、功夫茶と言って商売を焦らずお茶を飲みながらゆっくり話し、情報交換して新しい商機につなげるのが彼らのスタイルである」との言葉が印象に残りました。

 講演の後は、今年卒業して関西に着任した4名の新人の歓迎会を兼ねて、いつもの居酒屋で懇親を深めました。

出席者

津田實(新7回)、前田泰昭(新14回)、市橋宏(新17回)、岡野泰則(新33回)、斉藤幸一(新33回)、斉藤広美(新35回)、脇田克也(新36回)、中野哲也(新37回)、髙島圭介(新48回)、澤村健一(新53回)、陳鴻(新59回)、桜井沙織(新64回)、前田駿(新65回)、御手洗健太(新65回)、古山大貴(新65回)、前田傑(新65回)

第16回石川研究室同門懇親会開催報告

第16回石川研究室同門懇親会が6月10日(土)JR田町駅から程近いニュートーキョーで開催されました。 

石井幹事/司会役(42年卒)の開会宣言に続き、室賀代表幹事(42年卒)より石川先生の生い立ち・お人柄を偲ぶ話を込めた挨拶、その後出席者最年長の高橋会員(33年卒)より乾杯の発声が行われました。

暫し歓談後、応用化学科応用物理化学分野の門間聰之教授より、研究キーワードの1つである電気化学エネルギーデバイス(特に蓄電)につき分かり易く解説頂きました。

1.5V乾電池 → 携帯電話・無線通信用蓄電 → ハイブリッド車・電気自動車蓄電という技術イノベーションの説明の後、蓄電装置のプラスマイナス端子間に微小信号(10mV)を送りその周波数を変えた際の応答チェックにより、ハードを解体することなくどのパーツに不具合があるのかといった健康診断・寿命診断研究の一端を覗かせて頂きました。

ガソリン自動車が仮に火を噴いても余りニュースにはならず、一方携帯電話やノートパソコンでちょっと煙が出たくらいでニュースになるのは如何なものか? 狭いスペースに230 ~400V(直列)の電池を搭載し、しかもガソリン車以上の出力が出る蓄電タイプの車は、ガソリン車より安全では? との本音も聞こえてきました。

最後に、相次いだ震災から学んだこととして、トイレの水くらいは自給自足しようと、趣味として週末自宅の庭に穴を掘り始め 4mほどで水位に到達、その後緑粘度層(鉄分)、砂層(1万年前のくるみが発見される層)を経て現在10m余りの深さまで掘り下げ、ポンプアップ間近との話も披露されました。

毎回恒例のアトラクションは、早稲田フラメンコサークルVamos(1年~3年生の6名)
による見事なタップ(全員総出の際は準備したベニヤ板が割れんばかりの迫力でした)、時に激しく時に華麗なダンスが披露され、ギター生演奏・哀愁に満ちた歌声、色とりどりの衣装と相俟って、参加者は彼女達のパッフォーマンスに釘付けとなりました。

その後宴は終盤を迎え、恒例の高橋会員によるハーモニカ名演奏、“ここはお江戸か新宿の町か”(戯れ歌)の合唱(Vamosの皆さんが微笑む場面も)、集合写真撮影、全員で高らかに校歌斉唱、新井幹事(43年卒)の閉会の挨拶と続き1本締めで中締めとなりました。今年の参加者は25名で、その半数以上の方が2次会へと流れました。

(記:堀江 芳文 46年卒)
 

第10回中部支部総会と交流会の報告

2017年4月15日(土)「北京料理百楽名古屋店」にて、第10回中部支部総会と交流会を開催しました。東京大学総合研究博物館特招研究員吉田邦夫氏をお招きし、関西支部よりは市橋宏副支部長と田中航次事務局長に参加して頂いた。

第10回支部総会

三島支部長の開会挨拶に引き続き、 堤幹事より、2016年度の活動および経費実績並びに2017年度活動計画案が上程され出席者全員の賛同が得られました。→第10回中部支部総会上程資料(HP掲載用)


吉田邦夫氏による講演「縄文人の食卓~同位体食生分析~」

吉田氏は放射性炭素(C-14)が規則正しく壊れる現象を時計として使うことによって、人間と自然の営みに関する時間情報について研究してこられ、考古学、環境学、美術史など幅広い分野で研究活動を行っておられます。今回の講演では、人骨と土器に残された炭素・窒素同位体情報をもとにして、縄文人の食卓を再現されました。

①あなたは、あなたが食べたもの(同位体食性分析)

地球にある炭素、窒素には、わずかに重さが違う 兄弟原子「同位体」が存在し、その比率(安定同位 体比)は炭素については12C(98.90%)、13C (1.10%)、素については14N(99.63%)、15N (0.37%)である。これら炭素や窒素の同位体は 質量が異なるため、植物に取り込まれてセルロースや デンプンに変化したり、タンパク質に合成される際に、 反応速度の違いから安定同位体比からずれることが わかっている。これを同位体分別効果といい、食材の グループによって同位体の割合がわずかに違う。 この違いを利用して、人が食べていた食材を推定するのが、同位体食性分析である。例えば人の髪の毛の炭素・窒素同位体比を分析すると、ベジタリアンの人かどうかを調べることができる。(ベジタリアンの場合、重い13C、重い15Nの同位体比は共に低く、一般的な人と比較して特異なデータが得られる。)安定同位体比の測定は、分析試料を燃やして出来る気体、二酸化炭素と窒素ガスを質量分析計で測定する元素分析計-質量分析計システムによって行う。

②縄文人の食卓への二つのアプローチと日本列島の食料資源

縄文人の食卓を推定するため、「人骨のコラーゲンの分析」(長期間の情報、年齢、男女差などの個体の情報)と「土器付着物の分析」(短期間の情報、一回または複数回の調理の情報)」の二つのアプローチを行い、過去の日本列島の食料資源の炭素・窒素同位体比の情報(C3植物、C4植物、草食動物、海産貝類、海産魚類、海産哺乳類)から、縄文人の食卓を推定した。

③縄文人骨に残された痕跡

縄文人骨から硬タンパク質(コラーゲン)を取り出し、同位体比を分析すると、居住地域による特徴が見られる。北海道では、およそ6000年の間、海獣に依存した食生活が続いていた。内陸部では、草食動物に依存していた。貝塚人は、海産物の依存が多いものの、貝類のみを食していたわけではなく、草食動物を多く食していたことがわった。また、人骨分析を行った集団の中で、集団から離れた個体の存在が見つかった。異なる食文化をもつ個体(シャーマンなど)? あるいは、食文化が異なる集団から移り住んだ個体?があったと推定される。

④土器に残された痕跡

火炎土器は祭祀のため、神に献げるものの煮炊きに使用されていたと推定される。火炎土器に付着した炭化物(調理した食材のおこげ)の炭素同位体比とC/N比の分布を測定することで、食材の種類を特定することができる。火炎土器付着物から次のことがわかった。堅果類(どんぐり、トチの実など)を単独で煮炊きした例はない。遺跡ごとにややまとまりが見られる(祭祀のために決められた特別なメニューはなかった)。(信濃川)上流部では、主としてC3植物と陸上動物が調理されていた。(信濃川)下流部と(佐渡)島では、海洋魚、サケ・マスを含む食材が調理されていた。

最後に新たな展開として、脂質分析(分子レベル炭素同位体比分析)の紹介があった。


懇談会

後藤顧問の挨拶と乾杯の音頭で懇談会に入った。両関西支部来賓および大高理事、新村理事および初めて参加頂いた浜名氏にスピーチを頂いた。テーブル毎や吉田氏を囲んだ懇談が盛んで、2時間があっという間に過ぎてしまいました。全員写真を撮った後、フィナーレは堤幹事の「1本締め」で、母校及び早化会の発展と各位のご活躍を期し散会しました。

参加者(敬称略)

(講 師)吉田邦夫(新21回) (関西支部会員)市橋宏(新17回)、田中航次(新17回)、
(中部支部会員)澤田祥充(旧31回)、近藤昌浩(新9回)、三島邦彦(新17回)、堤正之(新17回)、白川浩(新18回)、後藤栄三(新19回)、小林俊夫(新19回)、柿野滋(新 19回)、秋山健(新19回)、谷口至(新22回)、須藤雅夫(新22回)、木内一壽(新24 回)、山崎隆史(新25回)、浜名良三(新29回)、服部雅幸(新32回)、新村多加也(新 39回)、大高康裕(新41回)。

(文責:大高、堤)


第3回早稲田応用化学会シニア会開催報告

早稲田応用化学会シニア会は、最長老の中岡敏雄先輩(旧制17回)を筆頭に太田 昭先輩、中曽根荘三先輩(中曽根荘三奨学金設立者)、加藤忠蔵先生、山本明夫先生など錚々たる顔ぶれがメンバーに名を連ねております。

15年続いた前身のWGS会(早稲田応化会グランドシニア会)の世話役をされた百目鬼清先輩は、応化会行事に積極的にご支援、ご協力を頂き、活動を進め、前会長の河村 宏氏に バトンタッチされました。

さて、第3回会合は、2017年4月19日(水)新宿中村屋ビル8階のGranna(グランナ)にて12時から開催されました。予定では26名の参加でしたが、諸般の事情で3名が急遽欠席で参加者は23名となりました。

下井將惟氏が司会役を務め、本年6月で92歳となられる最長老の百目鬼清先輩にご挨拶をいただき、併せて乾杯のご発声を頂戴し、会がスタートしました。今回は学校側から竜田邦明栄誉フェロー、豊倉 賢名誉教授、逢坂哲彌特任研究教授が参加されました。

引き続き司会者から2017年10月7日(土)にリーガロイヤルホテル東京にて開催予定の応用化学科創立100周年記念事業の進捗状況を実行委員の和田宏明教授から聴取した内容の説明があり、追加として寄付口座*も用意してありますので本会ご参加の皆様方のご理解、寄付、支援を賜りたい旨のお願いと教室側の現況説明がありました。トッピクスとして昨年は山口潤一郎准教授(有機合成、前名古屋大学准教授)及び須賀健雄専任講師(高分子化学、 前早稲田大学高等研究所助教授)が新加入、今年は下嶋敦准教授(無機化学)が教授に昇格、また花田信子講師(化学工学、前筑波大学大学院システム情報工学研究科構造エネルギー工学専攻助教)が新加入し、応用化学科初の女性講師が誕生したとの報告がありました。

 暫しの会食とご歓談を経て司会者の指名により窪田信行氏から応化会の新しい基本方針となる役員改選の方針、会費納入促進、新規評議員選任等について説明があり、続いてHP管理者育成に今も務めている平中勇三郎氏から広報委員会も新体制に移行し、トップページ他をワードプレスの利用によりスマートフォン対応に改訂するとともに学生委員の活動を推進していくようにしたいとの報告がありました(http://www.waseda-oukakai.gr.jp/)。引き続き応化会監事の河野恭一氏から交流委員会業務のうち企業とのコンタクトを綿密にした結果、企業ガイダンス掲載企業が76社に増加、先輩からのメッセージの開催に際し、教室の準備や各企業の発表時間の調整にもうれしい苦労している等の説明がありました。

 世話役から欠席者からのメッセージ数件が披露された後、引き続き会食を進めながら大林秀仁氏からは応化会にはできるだけ奨学金の寄付等で協力したい旨のご奇特なお話があり、逢坂特任研究教授は、総長室参与から身を引き、イノベーションセンターの研究推進に注力しているとのこと。長田義仁氏は、北海道大学副学長を経て、現在理化学研究所で顧問及び文部科学省関係業務に勤しんでいる状況の説明があり、アジアで初めての新元素ニホニウム合成を記念して理化学研究所から和光市駅までニホニウム通りが整備される旨の話がありました。最後に元事務局長の森川忠正氏からは当時の応用化学会の状況を含め近況の報告がありました。

出席者間での懇親が深まるなか、アイスクリームほかの氷菓のデザートをいただいた後、司会者から次回本年10月18日(水)に同じ場所を予約した旨の知らせがあり、お開きとなりました。

今回は、都合により集合写真が撮影できず、下記URLの映像により会の雰囲気をご覧ください。→こちら

 

*寄付口座:ゆうちょ銀行、店番018、普通預金、口座番号78759931、口座名義:「早稲田応化百周年記念事業」

世話役:河村 宏(新9)、下井將惟(新13)、相馬威宣(新13)

(写真:広報委員会 相馬威宣、文責:相馬威宣)

*(発言された方々)⇒ こちら