第30回交流会講演会 パネルディスカッション

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日時;2016年9月24日(土)17:15~17:45

場所:57号館 201教室

講演者:株式会社キャステム代表取締役社長 戸田拓夫氏

ファシリテーター:田中徳裕さん(B4)

パネリスト:西田穂高さん(M1)、安藤英悟さん(M1)、野口詩織さん(M1)、石原真由さん(B4)

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rdsc05361田中) 今回の講演会の中でタイトルに突破力とあるようにたくさんの壁を越えてきたと思いますが、石原さん何かそのようなエピソードはありますか?

 石原) 戸田社長の講演会の中でもたくさんの壁を越えていらっしゃるという印象を受けました。私も高校時代のこととなりますがリーダーを任され、壁に当たったことがあります。それは、文化祭においてクラスで行う劇の完成を優先してこのまま突き進んでいくのか、それとも、クラス内の雰囲気を優先して劇の演目を決め直すのか選択を迫られたことです。そこで私は、クラスの雰囲気を優先し、劇の演目を決め直しました。戸田社長もリーダーとして様々なものを秤に掛けて決断を下さなければならないことがあると思いますが、どのように決断を下していますか?

rdsc05354戸田社長) まずすることとしては、徹底的に不満を出させることです。何が不満であるのか、先ほどのエピソードでしたら、やりたいことが皆ぶつかってしまい結果的に崩壊してしまう。このような場合はやりたいものをみんなの前で書き出し、そのポイントを徹底的に議論することです。皆が納得しないまま本番に臨んでしまうのが一番良くないですね。情熱をもって意見を主張してもらうしかない。中途半端にはさせず、いい加減なところで決定をしないことが大切です。あとになればなるほどやりにくくなるので、するのであれば最初から徹底的にやってもらいます。最初はバラバラになろうが恐れずに言いたいことを言わせて、本音のぶつかり合いをさせた方がいいと思います。その方が結果的には正解に近づくと思います。

rdsc05356西田) 戸田社長の今の答えに質問なのですが、不満を徹底的に出させ、その後はどのように答えに収束させていくのですか?

戸田社長) まず、意見をした人はその人が本当に責任を持てるのか確認し、本人が持てるというのであれば行うべきであると思います。しかし、途中で異変を感じたら、もう一度集まりどうするか検討をします。ミーティングは確実に行わないといけません。口先だけの場合もありえます。会議において初めは黙って聞きに徹している人がいるかもしれない。多くの人が様々な意見を出し行き詰っているときに、ぼそっと意見を出し解決に導いていく本当のリーダーが現れることがあります。

西田) 様々なパターンがあるということですか?

戸田社長) そうです。様々なパターンがあり、一つだけの正解というものはないと思います。悪戦苦闘するしかないと思います。失敗をしてしまったとしても、次にするときはこうしようと反省が生まれたらそれはそれでいいと思いますよ。学生のうちは特に。その結果、会社がつぶれることになるのであればまた話は別ですが。

田中) ありがとうございます。ここで紙飛行機などの趣味といった側面から伺いたいと思います。野口さんはそういった趣味などはございますか?

rdsc05371野口) 私にとって趣味とは楽しいもの、喜びを得るものです。何かに行き詰ったとき趣味のことを考え、それが活力となるものでもあります。戸田社長はその趣味を本業と呼べるまでにしていますが、趣味を持っているということがプラスになったことがありましたら教えて頂きたいと思います。

戸田社長) どこまでが趣味というのかは難しい所ではあります。私、本業が紙飛行機で趣味がキャステムと言われていますが、最近名刺も表が紙飛行機、裏がキャステム、開いたら紙飛行機が飛び出すという風になっています。趣味が仕事となれば一番いいです。そうではなく趣味が趣味で終わってもいいですが、とことんまでやってみたいというのがあります。たとえば、私はケーキ屋さんに行くとイチゴショートケーキしか食べません。それで、イチゴショートケーキのダメなケーキ屋さんはダメなケーキ屋さんと言い切ってしまいます。シンプルなものがダメなものはダメです。この曲は様々な人が指揮しているが、この指揮者の時が一番など、なにか一つのことを比べてしまうわけです。それで、凄いななどと思うわけです。自分だったら紙飛行機がそうです。やるのであれば一番を目指します。そして、一番を取るにはギネスを取るということとなり、意地でもギネスを越えなければならなくなり、ギネスを超えました。ギネスを超えるとまた世界が変わります。その道のトップの人と対談ができます。紙飛行機ギネス保持者と宇宙飛行士若田さんとの対談など、対談を通してその人が何故トップかを感じ取れます。それによって一番は更に強くなれます。だから、子供たちに一番を目指しなさいと伝えていますね。小さな世界でもいいからその道のトップになれば他の道のトップに対等に会えます。ギネスを取ったことによって、他の道のトップの人と対談することができました。それがプラスになっていますね。その人脈が活力にもなったりします。一生懸命何かを目指すことで、自分の人生が豊かになることがあると思います。中途半端ではなく、するのであればトコトンしてみなさいということを子供たち、若い人に言いたいですね。直ぐ、出来ない、設備がないから、お金がないから、などと言い出す人間では困ります。やはり徹底的にやれるところまでやる姿勢は欲しいです。

rdsc05357安藤) トコトンするところで気になるところがあります。今、研究室に所属しています。本業は研究で、趣味は時間の空いた時にしています。戸田社長が会社の経営を立て直す際に、紙飛行機を飛ばそうと思い立った理由と、ギネスを超えるまでに、時間がない中、紙飛行機の試行錯誤をどのように行っていたのか教えていただきたいです。

戸田社長) もちろん社長ですので、君たちは仕事をしろ、私は紙飛行機を飛ばしていると言いますが、日中は社員と一緒にあがいています。夜に体育館を借り切って、4時間通しで投げ切っているというのを、社員が知るわけです。社長はトコトンまでやっている、私たちももうひと踏ん張りしなければと社員たちも思ってくれるわけです。夜中まで約束のためにボロボロになっている、そういう後ろ姿に社員はついてきます。それが、逃げているわけではなく、約束は約束で夜中に悪戦苦闘している、それを社員が見に来る、そういうことで社内にもうひと踏ん張りという空気が生まれてきます。社訓に挑戦と掲げるだけでは社員は挑戦しません。社訓に酔い痴れて終わるだけです。必死に挑戦するときは言葉ではなく実際に行動に移していますから、社訓に挑戦という言葉を選びません。日々が挑戦であれば挑戦という言葉は必要ないです。姿で見せるしかない。そういうことであると思います。

安藤) ギネスに向けて挑戦をするというのは楽しかったですか?

戸田社長) どうですかね。楽しかったというか、集中できました。一機一機折るたびに少しずつ工夫を行い、データを揃えていく。折り方から投げ方に至るまでデータで勝負をしていく、そういった事を行っていると仕事の苦しみや不安など忘れられるというのがあり、それが精神の安定剤にはなっていました。登山をしていた一つの理由としては、山を登っている間は悩んでいる暇がありません。登っている間は会社のことを忘れられるので、降りてきたころにはストレスが抜けているわけです。紙飛行機も同じで、集中している時間が経営者としての不安から解き放ってくれている時間になっているのかもしれないです。

田中) ありがとうございます。本日のご講演の中で様々な方に粘り強くアタックされていましたが、私はアタックの回数を重ねるほど冷たくあしらわれてしまうことが多くありました。相手に熱意を伝える秘訣などはありますか?

戸田社長) だんだん邪険にされるわけですね。確かに邪険にされる事もあります。それはその人と馬が合わないということです。それはしょうがないです。最初は邪険にされてもだんだんと分かってくれて、話を聞いてくれる人を見つけたらしがみつく。嫌われていると感じたらそこから巻き返すのは難しいです。そういう場合はあきらめた方がいいです。合わないものは合わないですから。全部そうなる場合はあなたの中に何か問題があるかもしれないです。言葉の中に本気度が足りないのか、言葉に一押しがないのかもしれない。窮地に本当に追い込まれていなかったのかも知れないですね。どうでした?

田中) 実は恋愛の話でして。

戸田社長) あ、恋愛の話ですか。それは、嫌われているときはどう考えても難しいですね。恋愛の話は私も不得意でして。嫌われているところから好かれるところに変えるのはなかなか難しいです。よほど何か違うパターンを考えないと難しいですね。女性に聞いた方がいいかもしれないですね。いままで嫌いだった人が好きになった瞬間ってありますか?

田中) もしあったらエピソードをお願いします。

rdsc05363石原) そういった方に出会ったことがないので。

戸田社長) 一つポイントがあります。その子に嫌われても毎日一言ジョークを飛ばすことです。急にそれが止まった場合、急に気になることがあります。一か月ぐらい経ったらもう一度繰り返す。そうするとぐっと引き込まれる。そういう時に、大事にしなければいけない候補の一つとして考えなければいけない、となることもあります。

田中) 戸田社長も利用されたのですか?

戸田社長) どうかな?それは。企業などでもよく使う手です。ずっと通っていてパタッと行くのをやめます。そうすると相手は気になってしまいます。それで半年後再び行くと、注文を出してくれることがあります。何度も繰り返し言って急にやめるのがいいです。そうすると気になる存在になりますから。その手は使えますよ。

田中) ありがとうございます。今後、使っていきたいと思います。

戸田社長) 失敗しても僕のせいじゃないですよ。

田中) 西田さん、何か感想などあればお願いします。

西田) もし商談などで諦めるということができない場合もあると思うのですが、その時はどのようにされていますか?

戸田社長) 商談ではそこまでしつこくなる必要がないです。というのも、お客さんは無限にいます。別のところで取れればそれが自信になって、通用するかもしれない別の方法のヒントが得られたりします。ユーザーの変更等様々な工夫をすることでお客さんを攻め落とすノウハウが得られます。洋服屋さんでも店員さんにひっついてこられたら嫌ではないですか?逆に、お客さんの方から店員さん来てくれないかな、というタイミングがありますよね。だから、あんまりしつこくなりすぎない方がいいですね。

田中) 安藤さんも感想や質問があればお願いします。

安藤) ご講演の中でどん底の時の友は強いとおっしゃっていましたが、何か出会いによってターニングポイントになったことなどありますか?

戸田社長) ターニングポイントですか。紙飛行機であれば中村栄治さんという方が書いた本を買ったのですが、その人の紙飛行機を折ったのですが全部飛びませんでした。その人の住所が書いてあったのでその人の家まで押しかけました。飛ばないと。すると「君はどのように飛ばしたのか」と言われたので、折って飛ばしたら「そんなの飛ぶわけない」と言われました。「君は飛行機の後ろを微妙にひねるということを知っているか?」と言われた。「本に書いてないじゃないですか」と言ったら、「それは常識だよ」と言われました。そこから紙飛行機の魅力を語ってくれました。「君にとって紙飛行機がどのような存在になるのかはわからないが、将来第一人者になって、やっていて良かったなという時が来るかもしれない」という言葉をそこで投げられました。紙飛行機に対するこだわりなど話してもらって、語り合ったのがいい出会いだったのかなと思います。

田中) 野口さんも感想や聞きたいことなどはありますか?

野口) 戸田社長は努力とともにアイディアが必要なことも多々あったと思いますが、そのアイディアの出どころやポイントなどがあれば伺いたいです。

戸田社長) 紙飛行機の飛ばし方や折り方などは方程式です。長方形の中心線を元に折る飛行機と、真横にして折る飛行機と、それを斜めにして折る飛行機があります。一つの紙の中に様々な中心線が隠されています。それを見つけて重心を考え記録に挑戦していく。やみくもに行うのではなく、自分の中でルールを決める必要があります。僕が独学で早稲田に来たのは、数学なんかは自分の勉強法を生み出した結果です。解けない問題を解けるようにする。試験官の狙いを考えるために、自分が苦手な問題を自分で生み出す。自分で工夫して作っていく。自分で出題者の立場で考えるようになると、どんな問題にも対応ができるようになります。それで方程式などを生きるように使うことができます。参考書をこなすだけでは新しい問題が解けない。それが紙飛行機であろうが仕事であろうが与えられた方程式を解くだけではダメで、使い込む練習をする。それが道を拓く方法だと思います。

田中) ありがとうございました。

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(文責: 交流委員会 小林幸治)

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第30回交流会講演会 『突破力』

早稲田応用化学会・第30回交流会講演会の報告

日時 ;2016年9月24日(土)15:00~17:45
場所 :57号館 201教室 引き続き 理工カフェテリアで懇親会
講演者:戸田拓夫氏
株式会社キャステム代表取締役社長
戸田社長の主な経歴
 1980年 早稲田大学理工学部応用化学科中退
   同年 キングインベスト株式会社(現 株式会社キャステム)入社
 1995年 キャステムフィリピン(当時 K2ファインメタル) 社長就任
 2001年 キャステムタイランド 社長に就任
 2006年 株式会社キャステム 代表取締役に就任
 2009年 紙ヒコーキの滞空時間ギネス記録を更新
 2010年 自身の記録をさらに更新

演題:『突破力』

「数々の経営危機を乗り越えて、紙ヒコーキのごとく舞いあがれ」

魚森交流委員長が司会を務め、講演会の案内、講師の紹介、三浦応用化学会会長の挨拶に続き、教員・OB・一般53名、学生19名、合計72名の聴衆を対象に講演が始まった。

講演会場Gallery

戸田拓夫氏の講演要旨

講演は、あこがれていた早稲田大学に入学したものの体調不良でやむなく中退した経緯から始まり、実家の会社に入社後、社業の不振、会社幹部の引き抜き、社員の士気低下、自分自身の体調不良等最悪の状態に陥った時、いかに危機を乗り越えられたかをユーモアを交えお話された。また、入院療養時に紙ヒコーキの魅力に魅せられ熱中した経験が「紙コーキの滞空時間ギネス記録更新」へのチャレンジに繋がり、危機に直面した自分自身と社員の鼓舞のために大いに役立った事、さらに海外事業への展開、紙ヒコーキの凱旋門や宇宙からの飛行等、飽くなき挑戦についてお話をいただいた。

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*工業高校からG大学、早稲田そして入院

早稲田大学、M大学、G大学を受験するも、早稲田大学は受からずG大学に入学し馬術部に入ったが、静かな大学の雰囲気になじめず再受験し、あこがれの早稲田大学に入学した。山岳部に入部し活動していたが、体調を崩し病院に入退院を繰り返し、病院で暇つぶしに紙ヒコーキを折っては飛ばす日々を続けた。病室から100m先の向かいの家に飛ばす目標を持ち試行錯誤を繰り返し、航空力学の本も買って紙ヒコーキに熱中した。

*会社への入社

その後も体調が回復せず、大学を中退し実家の部品工場に入社したが、入社後も体調がすぐれず、会社で一時間程度ペンキ塗りをする毎日だった。入社した会社は乱雑で汚れがひどく、従業員もばらばらな状態。会社の中は従業員の気が緩み、工場長、技術部長は社長の言うことを聞かず、社長の父親は「しょうがない」とあきらめ状態。社員は自分の会社に夢を持てない状態にあった。また会社は製品の質も悪く納期も守らない状態であったため、取引していた商社がその製品の新工場を造り、中核社員を引き抜かれる事態となった。このため26歳で部長の代わりをすることになったが、従業員に夢を語ることは出来なかった。

この状況で思った事

*ノウハウ「0」からの出発

会社にはものを造り上げる技術がない。この確立が急務。製造のノウハウ、原料の調合方法等を得るために、原料の調達先や競合他社、引き抜かれた工場長、技術部長にも直接聞きに行くが、分からない状況が続いた。しかし諦めず、技術情報を集め続けた結果、たまたまある工場に早大の先輩がおり、大学の先輩だけの関係で助けられノウハウを得た。

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*品質の向上

工場は荒れて非常に汚い状況で、最初に工場の整理・整頓・清潔を先頭に立って実践した。また、人材の確保が難しい状況で、自分の行動する姿を見て信じてついて来てくれる少数の部下を見出し、一緒に品質の向上に取り組んでいった。

*体調悪化と克服

工場の整備中体調が悪化し整形へ入院。背骨に大きなずれが生じていると指摘を受けた。医師より矯正の指導を受けたが、自分も矯正法に熱心に取り組み体調が回復。今では自分で背骨の矯正が出来るようになっている。その後登山を再開し体の強化に努めた。

*評価の獲得からMIMの立ち上げ

28歳頃何とか会社として製品が造れるようになり、鋳造品で大型ハードディスク部品を造る技術を確立して品質や価格で大手と渡り合い、評価を獲得し受注が入ってくるようになったが、米国特許による新しい技術のMIM(メタルインジェクション)が出現した。特許料が2億円と高く、資金不足のため技術導入、設備購入が出来なかった。

独自で技術開発を行うしか方法がなく、技術情報を得るためにあらゆる関係先をまわり、試行錯誤を続けた。早稲田での化学専攻の経験を活かし、いろいろな材料の配合などを検討した。京都のある先生にしつこく聞くことでヒントを得て技術を確立。また製造設備を持たないなかで、多くの関係工場を回り製品の製造につなげていった。しかしながら、あるメーカーから米国特許技術の侵害指摘の手紙が回り、国内大手からは注文を断られる事態になってしまった。このため日本中の名もないユーザーを回り、大手MIMメーカーが手を出せない低額の金型の受注を積み上げていった。

この業績を特許侵害の手紙を出状したグループから評価されるまでになり、グループの一員となって設備の導入が可能となり事業が軌道に乗って行った。

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*フィリピンへの海外進出を決意

バブル崩壊の真っ只中で、当時進出先として評価されていなかったフィリピンへ海外進出した。しかしながら97年頃製品在庫が大幅にふくらみ工場運営が悪化した。

*国内外の大幅な改善

「在庫をしない」、「工場の改善・トップセール」をしなければ会社がない」を徹底して社員に教育し、「自分達の作りたいものを作る部署」を設け製品造りを推進した。ミニチュア工具、100万円の名刺、ミニチュア戦艦大和等様々なアイデア製品を開発した。また、あらゆる機会をとらえて自社の技術を売り込んで行った。たとえばバックル商品を開発し、大手ユーザーのH社に飛び込み商品を売り込みに行ったこともある。逆に厳しい品質要求を受け、その対応に苦労し、受注は出来なかったが結果的に他社に納入することが出来た。

*ギネス世界記録への挑戦

リーマンショック当時多くの赤字を抱え社内に元気が無くなった。「社風の暗い会社は良くならない」と考え、社長の戦う姿を見せ社員を鼓舞したいと思い立ち、「紙ヒコーキの滞空時間20秒を超える飛行記録を持つ男は世界に2人」でハードルが高かったギネス記録に、社長として挑戦することを宣言した。

ギネス世界記録の折り紙ヒコーキ室内滞空時間競技には、紙の大きさ、重量、投げ方等様々なルールがある。機体のデザイン、紙材質、投げ方等細部にわたって徹底的に研究していった。滞空時間を伸ばすにはいかに高く機体を投げるかがポイントで、このため自身の減量、筋力・柔軟性の強化等“しなり”を出せる体型造りを行ったり、投げ上げるフォームの開発(イナヴァウアー投げ)も行った。

この結果、2009年4月11日27.9秒と、当時の世界記録を0.3秒短縮しギネス記録と認められた。さらに、この僅差のギネス記録にクレームがありこれに反発。さらにトライし2010年12月19日29.2秒の記録を達成した。

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*更なる挑戦

「安倍首相との出会いと海外進出」

安倍首相が首相を辞任しボロボロの状態の時にお会いし意気投合。2014年に安倍首相の誘いを受け、大手会社社長とコロンビアへのミッションに参加、その後2016年にコロンビアに工場を竣工させた。

「折り紙ヒコーキを凱旋門から」

テレビ番組でトライした。普通許可されないところを関係部署に粘って許可を得て飛ばすも29回失敗。失敗の原因をよく考えることが重要で、凱旋門のアーチの気流の巻き込みに気づき、ピッチング飛行で成功。

「折り紙ヒコーキを宇宙から」

体調が悪い学生時代に考えたMission「折り紙ヒコーキを燃やさずに宇宙ステーションから帰還させる」にトライ。2008年3月JAXAの「宇宙オープンラボ」の公募選考で東京大学共同プロジェクトとして承認され、極超音速風洞でマッハ7での実験で実行可能を確証したが許可が出ず、自力で気球から飛行機を飛ばし実証した。

バカであろうがやること、そして夢をもつこと。その後どうするかが重要なことだ。たとえば1円の紙から作ったスペースシャトルの紙ヒコーキが100円で売れれば100倍の付加価値が生まれる。日本の国は付加価値を得て成り立っている。ものづくりは難しいが、例えば良品率の低いものが上がれば収益は大幅に向上する。無理だと思ったらダメで、もてる知識・人脈を使っていかに粘るかがポイントとなる。将来を担う子供たちには自分の人生は自分で考えなければならないことを教える必要がある。

パネルディスカッションの概要 panel

講演の後、学生5名に登壇をいただき、講演内容を踏まえたパネルディスカッションを行った。ファシリテーターはB4の田中徳裕さんが務め、学生代表としてM1安藤栄悟さん、西田穂高さん、野口詩織さん、B4石原真由さんが登壇した。ファシリテーターより、今回の演題「突破力」について各人の経験を踏まえた思いを発言してもらうことからディスカッションが始まった。

 パネルディスカッション詳細については別に報告があります。

パネルディスカッションの詳細

パネルディスカッション終了時、戸田氏と共にパネリスト全員で聴講者席に向かって紙ヒコーキを飛ばした。もちろん戸田氏の紙ヒコーキが最後まで長く飛んでいた。

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 <懇親会>

交流委員会 関谷副委員長司会のもと、応用化学会 三浦会長の開会挨拶、倉持副会長の音頭による乾杯の後懇親会が開始され、多くの聴講者が参加した。戸田拓夫氏も懇親会に参加され、教員・OB・学生との絆を深めた。橋本副会長の中締め、和田教授の閉会挨拶の後、田中徳裕学生部会副委員長の一本締めで閉会となった。

懇親会場Gallery

 (文責:交流委員 小林幸治)

――― 以上 ―――

関西支部第8回講演会報告

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 早桜会第8回講演会を9月17日(土)、中央電気倶楽部で開催しました。

 今回の講師は、静岡大学名誉教授の須藤雅夫先生で、ご専門の分野を「固体高分子形燃料電池の話題」と題してご講演いただきました。

 須藤先生は、1972年学部卒(新22回)城塚研出身で1978年工学博士号取得、静岡大学助手、助教授、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員などを歴任し、1993年静岡大学教授、2016年同大学名誉教授となられています。

 講演は、現在の勤務先である天野工業技術研究所の紹介から始まり、浜松の名所・行事の興味深い紹介もありました。  本題では、持続発展可能な社会の構築には、水素社会を目指すことが必要であることをまず述べられました。水素社会へのロードマップ、水素の製造法とコスト、固体高分子形燃料電池の開発の歴史、CO2フリー水素、Power to gas, 水素か合成メタンか、水素サプライチェーン、水素ステーションについて解説されました。  次いで、固体高分子形燃料電池(PEFC)では、速度過程と材料設計に注目し、燃料と酸素の供給での課題、セパレータの均一分配と水蒸気の凝縮の影響、ガス拡散電極の移動過程、水蒸気の凝縮・プロトン輸送界面構成、伝導膜でのプロトン輸送・水(水蒸気)逆拡散が検討対象としてあげられました。

 研究事例紹介として、伝導膜内の水輸送の湿度センサーによる実時間測定により、電気浸透水と逆拡散水の向流移動から、正味の水輸送係数が負(カソードからアノードへの輸送)の条件を示されました。膜内輸送方程式によるシミュレーション結果ともよく一致したと報告され、次いで、過酸化水素が生成するレベルと条件を検討された結果の報告がありました。過酸化水素は、アノードで触媒反応により生成します。一方カソードで電流値が大きくなると還元生成物として生成します。過酸化水素レベルは、電流値に対しバスタブ曲線を示しました。そこで伝導膜を分割しマイクロセンサーを挿入し、膜内での過酸化水素レベルを計測されました。アノードからカソードに移動していることが推定されたことが報告されました。

 講演終了後は、活発に質問が出され、一つ一つに丁寧にお答えいただきました。先生独特のやわらかい口調のご講演で、お人柄も聴く人の心によく届いたようです。

講演終了後は、全員での記念写真を懇親会場の入り口前の階段で撮り、特別食堂での懇親会に移りました。乾杯後は会場のあちこちで話の輪ができ、話が弾んでいたため、スピーチは少なめにとの司会者の配慮で、初参加の方に自己紹介いただいたほかは、ほとんど飲み・食べ・話すというにぎやかな懇親会になりました。

懇親会のスナップ写真集へ

(文責 田中)

「先輩からのメッセージ2017」の開催日程

「先輩からのメッセージ2017」の開催日程

早稲田応用化学会 交流委員会

 経団連より通達されます「採用選考に関する指針」等は、2017年も企業による面接等の選考解禁が6月、会社説明会の開始時期は3月と前年度から変更されない見込みです。

これに伴い、昨年3月に開催しましたフォーラム「先輩からのメッセージ」は、対象となる学生諸君の企業への理解を深める期間が余裕を持って確保出来るよう大学側と慎重に協議いたしました結果、開催日を2017年1月21日(土)と前回より二カ月ほど早め、会場もこれまでと同じく西早稲田キャンパス内で諸準備を進めております。

学生諸君には毎年のように開催日程が変更するため、計画予定を立てにくい事態となりますが諸事情をご理解のうえ、参加へ向けてのスケジュール調整をお願いいたします。
当日は「企業ガイダンス」ホームページ掲載中の日本を代表する化学系を中心とした約60社 (新規優良企業も複数社参加が見込まれています) に在籍されている応化OB・OGの皆様に日常の仕事や自身の転勤・異動経験等を学部学生でも理解できるよう紹介していただきます。また、終了後には講演いただいた先輩およびご同行の皆様を囲んでの懇談会を開催し、その場で学生諸君の疑問や不安について適切なアドバイスがいただけますので、将来の進路決定にも必ず役立つものと確信しております。

 詳細な内容ならびに参加の申し込みは、改めて12月上旬にホームページおよびメールマガジンにてご案内いたします。

  • 1.日 時
    2017年1月21日(土) 
  • 2.会 場
    西早稲田キャンパス54号館(予定)
  • 3.内 容
    • 受付開始:12:30~13:00(予定)【54号館1F教室】
    • 講 演 会 :13:00~18:30 (予定)【54号館2~3F教室】
    • 懇 談 会 :18:30~20:00(予定)【63号館カフェテリア】
  • 4.対象学生
    学部生、大学院生(修士、博士)およびポスドク(進路決定を間近に控えた学部3年、修士1年、博士課程修了予定者およびポスドクを主体としていますが、将来へ備えて学部1・2・4年、修士2年生の参加も大歓迎です。)
  • 5.対象学科
    応用化学科および応用化学専攻、化学・生命化学科および専攻、生命医化学科および専攻、ナノ理工学専攻、生命理工学専攻等 (その他学部・研究科・学科・専攻を問いません。)
  • 6.お問合せ
    本件に関する問合わせ、要望等は下記の専用アドレスまでお願いいたします。

    guidance@waseda-oukakai.gr.jp

未来社会創成フォーラムのご案内

未来社会創成フォーラムについてご案内いたします。

平成25年度より「未来社会創成の会」(早稲田応用化学会の有志メンバーで構成されたタスクフォース)が主催して、未来社会創成フォーラムを開催してきましたが、今回は早稲田大学応用化学科と早稲田応用化学会の共催で下記内容のフォーラムを開催いたします。
外部の方、企業の方にも広く参加をお願いするフォーラムです。
 本フォーラムの趣意書につきましては下記ページをご覧ください。
(こちら ⇒ : http://waseda-oukakai.gr.jp/newhome/2016/09/22/miraisouseisyui/ )

 未来社会創成フォーラム : ライフサイエンス・バイオが拓く未来社会

日時:   平成28年11月29日(火)14:00~19:45 
場所:   早稲田大学西早稲田キャンパス63号館2F-03, -04, -05
主催:   早稲田大学先進理工学部応用化学科
            早稲田大学応用化学会

参加費: 8,000円   (当日会場にてお支払ください)

参加申し込みは 下記リンクの申し込みページからお願いいたします。
応用化学科OBの方は氏名と申し込み下段のメールアドレス、卒業年次、会員種別のみの記入で結構です。 なお定員になり次第締め切りとさせていただきます。

申し込みはこちら  

 今回のテーマにつきましては下記ページをご覧ください。
(ご案内 こちら ⇒ : http://waseda-oukakai.gr.jp/newhome/2016/09/22/miraisouseitino/ )

プログラム

14:00 –14:30   「未来社会を拓くバイオテクノロジー」

木野邦器(早稲田大学教授)

14:30 -15:10   「低炭素から新炭素社会へ:バイオテクノロジーの展開」

水無渉(三菱化学科学技術研究センターバイオ技術研究所長)

15:10 –15:50 「生物機能を活用したものづくり」
                ~社会価値と経済価値を共創する味の素グループの取り組み~

松井和彦(味の素株式会社上席理事)

15:50 –16:00            休憩

16:00 –16:40   「未知未培養微生物の培養限界を超える挑戦」

鎌形洋一(国立研究開発法人産業技術総合研究所生命工学領域研究戦略部長
北海道大学教授)

16:40 –17:20 「バイオ産業の近未来」

宮田満(日経BP社特命編集委員)

17:20 –18:00   「セルフメディケーションのための機能性食品開発」

山本(前田)万里(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
食品研究部門食品健康機能研究領域長・筑波大学教授)

18:00 –18:05   おわりに                                              

桐村光太郎(早稲田大学教授)

18:10 –19:45   交流会(名刺交換および質問・懇談)        :63号館1Fロームスクエア

会場へのアクセス:https://www.waseda.jp/fsci/access/

多くの方々にご参加いただけることを期待しています。

(未来社会創成フォーラム実行委員会)

 

申し込みはこちら


 

 

未来社会創成フォーラム趣意書

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早稲田大学先進理工学部 応用化学科
早稲田応用化学会

平成25年度より「未来社会創成の会」(早稲田応用化学会の有志メンバーで構成されたタスクフォース)が主催して、昨年までに下記3回のフォーラムを開催いたしました。

第1回: 蓄電池はこれからの日本産業を救えるか? 
第2回: 未来社会のエネルギー、環境、医療に貢献する多孔質材料
第3回: 新しい価値を生み出す化学と材料・技術)

当初は3回で一応の完結を考えておりましたが、このフォーラムには、多くの企業の方々のご参加を戴き、非常に好意的なご評価と、本企画に対する熱いご支持を戴きました。

そこで、来る平成29年度に創立100周年という一つの節目を迎える早稲田大学先進理工学部 応用化学科の将来への更なる発展を見据えながら、新らたに早稲田応用化学科と早稲田応用化学会の共催としての未来社会創成フォーラムを、継続開催することといたしました。

このフォーラムの目的は、特定のテーマごとに、大学、各研究機関、企業の応用化学の研究活動の現状と成果、未来社会に対するその可能性を理解して戴き、またその結果として企業やさまざまな機関の方々と相互の興味や情報、意見の交換を建設的に加速させる場を用意することによって、研究活動のより価値ある展開と研究成果の迅速な社会への還元を期待するものです。そのために、講演の部のあとに、懇親交流の場を設け、新たな繋がりや相互刺激、情報共有の生まれる場とするとともに、新たな共創(Co-creation)の端緒を生み出し、その具現化を効果的に推進する場としたいと考えています。

「知の世紀」といわれる21世紀においては、大学に要求される使命として「教育」「研究」に加えて「研究成果の社会還元」の比重が高まりつつあります。これは学科設立100周年を迎える早稲田大学先進理工学部応用化学科が、一貫して掲げた「役立つ化学」、「役立てる化学」という理念を、一層大きく期待される時代に至ったということを意味しています。 大学や各機関で研究され創出された新しい知識や技術は、産業界と連携を取って、迅速にかつ発展性のある形をとって未来社会で活用されていくことが必要であり、本フォーラムはそのための出会いと対話を生み出す機会になると考えています。 これは未来社会創成のDriving Forceを生み出す場とするとともに、早稲田大学先進理工学部 応用化学科がNext Centuryに歩みだすために、我々の立ち位置を企業やさまざまな機関の方々とともに確認し、拡大させていく場にもさせて戴きたいと考えています。 皆様におかれましては本会の理念にご理解を賜り、ご参集の上活発な意見交換・討議により交流を深め、理念実現の場として本会を育てていただきますようお願い申し上げます。

早稲田大学先進理工学部 応用化学科 主任 松方 正彦
早稲田応用化学会 会長 三浦千太郎

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ライフサイエンス・バイオが拓く未来社会

早稲田応用化学科設立100周年記念事業

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「未来社会創成フォーラム」
―ライフサイエンス・バイオが拓く未来社会―

本フォーラムは、応用化学が扱う分野・領域をテーマごとに切り出し、その研究活動の現状と可能性を広く理解・議論し、我々が望む未来社会の実現に向け、今後の研究の方向性や産学官連携の可能性を探ることを目的にしています。

今回のフォーラムは、「ライフサイエンス・バイオが拓く未来社会」をテーマとして実施することとなりました。周知の通り、今世紀人類に課せられた課題は多く、持続的な社会の構築に向けバイオテクノロジーに大きな期待が寄せられています。とくに昨今のバイオ関連技術の進展には目を見張るものが多く、我々の夢を実現するための革新的ツールが数多く開発され、新たな研究領域も立ち上がっています。 こうした背景において世界各国は、OECDが予測するBioeconomy(バイオテクノロジーが経済生産に大きく貢献し、2030年にはその市場はOECD加盟国のGDPの2.7%=約200兆円規模に成長する)の実現に向けて、バイオ関連の研究展開や産業支援に関わる国家戦略を策定するなど、新たな目標に向けて動き出しています。 我が国でも、関係省庁はそれぞれにグリーンバイオイノベーションの実現に向けた検討を開始しており、広範囲に及ぶバイオ産業の活性化に向けた戦略を打ち出しています。

早稲田応用化学科の応用生物化学部門では、多様な微生物機能を活用した有用物質生産プロセスの開発を軸に研究を推進していますが、幅広い分野を扱うバイオ研究の現状と効果を俯瞰的な立場から総括し、その可能性を議論したいと考え、本フォーラムを企画致しました。

また、この企画を効果的に推進するために、講演終了後交流の場を設け、相互刺激や情報共有によって新たなつながりの生まれる場にしたいと考えております。多くの皆さまのご参加をお待ち申し上げています。

(早稲田大学応用化学科教授 木野邦器)

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