企業ガイダンス更新

下記の企業ガイダンスを更新しました。

HPへの掲載日順です。

2020-01-17
日本触媒株式会社(更新掲載)
2020-01-14
日鉄鉱業株式会社(新規掲載)
2020-01-11
株式会社カネカ(更新掲載)
2020-01-07
JFEケミカル株式会社(更新掲載)
2019-12-27
三菱ガス化学株式会社(更新掲載)
コニカミノルタ株式会社(新規掲載)
花王株式会社(更新掲載)
2019-12-26
昭和電工株式会社(更新掲載)
2019-12-22
ダウ・ケミカル日本株式会社(更新掲載)
2019-12-21
本田技研工業株式会社(更新掲載)
富士フイルム株式会社(更新掲載)
アイカ工業株式会社(新規掲載)
2019-12-14
ADEKA工業式会社(更新掲載)
2019-12-13
凸版印刷株式会社(更新掲載)
2019-12-11
住友化学株式会社(更新掲載)
スズキ株式会社(新規掲載)
2019-12-07
三菱ケミカル株式会社(更新掲載)
2019-12-05
エリーパワー株式会社(更新掲載)
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社(更新掲載)
2019-11-28
王子ホールディングス株式会社(更新掲載)
2019-11-24
株式会社クレハ(更新掲載)
2019-11-22
JXTGエネルギー株式会社(更新掲載)
2019-11-21
DIC株式会社(更新掲載)
2019-11-14
JFEエンジニアリング株式会社(更新掲載)
2019-11-12
信越化学工業株式会社(更新掲載)
住友電気工業株式会社(更新掲載)
株式会社コーセー(更新掲載)
2019-11-08
東レ株式会社(更新掲載)
NOK株式会社(更新掲載)
ニチレキ株式会社(更新掲載)
2019-10-27
ライオン株式会社(更新掲載)
古河電気工業株式会社(更新掲載)
デンカ株式会社(更新掲載)
2019-10-17
協和キリン株式会社(更新掲載)
日産自動車株式会社(更新掲載)

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応用化学会による学生企画フォーラム2019

投稿:交流委員 加来 恭彦
 
応化会学生部会が企画し、比較的世代が近い社会人OB/OGを招いてのフォーラムになります。
第5回に当たる今年の学生企画フォーラムは、ライオン(株)から講演者を招いての講演とパネルディスカッションとなりました。
  • 仲田篤史さん:  
      「日用品メーカーの製品開発と大学で学んだ考え方・行動の仕方との繋がり」
  • 西山美香子さん:  
      「合成からパッケージ開発まで ~12年目を迎えたワークライフバランス~」

仲田篤史さん

仲田さんは研究から研究開発戦略を考える立場に移ってからの企業における重要だと思える点2点を中心に学生さんに自身の体験や考えを話されました。
1) 外部の力をうまく使う
2) 論理的に考える力
学部生・大学院生の研究と企業の研究開発で大きく異なる点は研究室時代に個別の研究テーマが与えられるのに対して社会ではチームでの成果につなげている点で成果につながるには専門的な知識を外に求めてそれをうまく使うという点、また理路整然と物事を整理して考える習慣が学生時代のレポート作成や研究室におけるディスカッションにおいて培われることを説明されていました。
 
 
 

西山美香子さん

西山さんは研究部門を異動される中で学んだ自分のやりがい(仕事をしていてうれしいと感じたこと、厳しいと感じたこと)を通じて学生時代に学んでいたことで有用だと思われたことや社会人となって重要と感じたことを話されました。特に学生時代の幅広く学習した基礎的な知識は研究部門で様々な職種を異動する中では強く感じる部分であり、研究室時代に会得する報告書の書き方や定期的な業務報告、ディスカッション、PDCAサイクルの回し方は社会人になっても活用出来るスキルであることに思えます。
そして
ワークライフバランスはどこの企業においても取り上げられるものですがアットホームな雰囲気の会社において効果的に機能することも説明されていました。
 
お二方の話を伺って大学時代の知識についてどれだけ役に立っているかという点で若干の相違がありましたが、戦略部門と研究畑では環境が違うという点ではそれぞれ必要とされる知識やスキルが違うことが理解出来たかと思います。学生からは会社を選んだ理由やテレワーク導入の印象など活発な質問が飛んでいましたが、消費者が手に取って役に立つものを自分の手で作りたいという意思は共通したもので学生にも強いメッセージ性を持っていたと思います。
 
このあと基盤委員の梅澤宏明さんの司会で本日のお二人の講演者に、Lionデータサイエンス室の黒川博史さん、オーラルケア事業部の黒澤清夏さんを加えてパネルディスカッションが行われました。

左より 仲田篤史さん、西山美香子さん、黒澤清夏さん、黒川博史さん

最後に西出応化会会長からの挨拶があり、記念写真を撮ってフォーラムは終了となりました。そのあとの懇親会ではさらに交流を深めて充実した時間を過ごすことができました。
 
今回の催しには応化会の各委員会のシニア委員も参加されていましたが、大多数が現役学生で大盛況でした。この企画が継続されていくのを強く熱望します。

 

学生委員会によるフォーラムの報告は ⇒ こちら

「先輩からのメッセージ2020」タイムスケジュール

早稲田応用化学会 交流委員会

 先にご案内いたしました標記のタイムスケジュールならびに部屋割りが決定いたしましたので、お知らせいたします。

1.日 時  2020年1月18日(土)
2.会 場  西早稲田キャンパス 54号館2F~3F教室
3.受 付  

学生諸君の受付は54号館101教室にて12:00から
同室に会社案内等企業からの配布資料が置いてありますのでお持ちください


4.内 容  

講 演 会  :12:30~15:13 【第一回】
【休憩】   :15:15~15:30
講 演 会  :15:30~18:13 【第二回】
懇 談 会  :18:30~20:00 【63号館1Fロームスクエア】

5.対象学生

学部生、大学院生(修士、博士、一貫性博士)およびポスドク(進路決定を間近に控えた学部3年、修士1年、博士課程、一貫性博士課程修了予定者およびポスドクを主体としていますが、将来へ備えての学部1・2・4年生、修士2年生の参加も歓迎します。)

6.対象学科 

応用化学科および応用化学専攻、化学・生命化学科および専攻、生命医化学科および専攻、ナノ理工学専攻、生命理工学専攻等(その他学部・研究科・学科・専攻を問いません。)

7.申込方法 

当日の受付混乱を回避するため、参加希望の学生は事前登録にご協力をお願いいたします。
           申し込み⇒こちらから

8.事前確認 

聴講を希望する企業および懇談会で個別対話を希望する企業については、
事前にHP掲載の「企業ガイダンス」にて情報の確認をお願いします。
IDおよびPW不明の場合は応化会事務局まで問い合わせてください。
【新規企業を含め
71社が掲載】
          E-mail:oukakai@list.waseda.jp
          TEL 03-3209-3211(内)5253

9.タイムスケジュール

タイムスケジュールおよび部屋割りは下記の通りです。(詳細は→こちら

入場は自由、無料ですので、奮ってのご参加をお待ちしています。
なお、服装はリクルートスーツ厳禁としていますのでご協力ください。

 

第22回 先生への突撃インタビュー(小堀 深 専任講師)

「先生への突撃インタビュー」に小堀深専任講師にご登場願うことにしました。今回のインタビューも学生、現役OG、シニアOBの組み合わせインタビュアーで行いました。応化会の本来の姿である先生・学生・OBOGの3者によるインタビュー記事の作成を目指しました。小堀先生にも快諾を頂き、丁寧にご用意を頂きましたことをこの場をお借りしてお礼を申し上げます。

 

小堀先生のプロフィール:
1996年 早稲田大学 理工学部応用化学科卒
2000年 早稲田大学 理工学研究科応用化学博士後期課程修了
2000年 早稲田大学 理工学部助手
2001年 早稲田大学 理工学部専任講師

・ 先生が研究に本格的に取り組み始めたキッカケはなんですか?
― キッカケというより自然の流れで、知の面白さと、その知を使って役に立つ成果が得られる積み重ねでしょうか ―

中学は野球部、高校は吹奏楽部と学校生活を楽しんでいましたが、勉学では高校生の頃は、数学と物理が好きで得意でした。化学は最も嫌いで苦手でした。社会の歴史で年代をひたすら覚えたように、化学の反応も記憶問題だとしか見てなかったからです。ただ、ひねくれ者の私は、あえて応用化学科に進学しました。理学系の化学科ではなく、工学系の応用化学科という存在に惹かれたからです。それは、道具として化学を使うという、高校生の自分になかった概念があったからです。
 大学では化学工学という分野に出会うことができました。化学工学は数学+物理+化学で表せるような分野で、私にはピッタリの学問だと思えました。研究室配属ではもちろん化学工学の研究室を選びました。中でも人体を化学工学の眼鏡で見るという、とてもユニークな研究を進めていらっしゃった酒井清孝先生の研究室に入れていただきました。酒井先生は見た目も中身もジェントルマンで、大学教授のイメージ通りの先生で、今でも目標とする先生です。
 その後、縁があって東京女子医大との共同研究として岡野光夫教授の元で研究を進めることになりました。テーマは、温度応答性高分子を用いたドラッグキャリアーの開発です。直径100 nmほどの微粒子を作製するのですが、その粒径分布を静的光散乱法、形状の観察を原子間力顕微鏡を用いて行いました。光散乱装置は朝から深夜まで、毎日ずっと格闘していたのを覚えています。温度に応答したドラッグキャリアーの形態変化を原子間力顕微鏡でとらえることに成功し、学位をとることができました。このときの岡野先生と酒井先生からのご指導、叱咤激励で、これからも研究を続けて行こうと自然に思うようになりました。

・ 技術的内容で先生がポイントと考えておられる点はなんですか?
― 物質(特に生体高分子)の持っている可能性を限りなく引き出すという工学的手法がポイント ―

現在、平沢泉教授のご指導のもとで結晶化の研究を進めています。厳密には化学工学における単位操作としての晶析工学ですが、広い意味での自己組織化を利用した低コスト高品質の分離・精製手法です。この結晶化は核形成と結晶成長という2つの段階があります。それぞれ速度を制御することが重要な研究目的の一つとなります。現在私はアミノ酸やタンパク質などの生体高分子の結晶化に関する研究を進めております。ここでは、限外濾過膜による分離技術を応用した結晶化制御や、層状物質による不均一核化制御、また生体内での結晶化ともいえる尿路結石や痛風などの病気に対しても、晶析工学の視点で予防・治療法の提案を目指しています。いずれにしても均一核化ではその制御が困難であるため、様々な結晶核を作る「場」の提供を行うことで、その制御を試みています。すべてにおいて、たまたまそのときできた、ではなく、再現性ある結果の創出が重要であると考えています。

・ 先生の研究理念を教えてください
― 実験科学の基本に忠実に、特に仮説や予想を大切に ―

 軸足である「化学工学的手法を駆使する」というのを忘れないことです。目の前で起こる一見ランダムな現象も、丁寧に解析することでその傾向を把握することが可能です。化学的な知識を前提として、物理的な視点で現象を捉え、数学的な処理により定量化する。この一連の流れを重視しています。実験指導する上では、必ず結果を予想して計画をたてるように言います。予想通りの結果になれば、使った知識と手法が正しかったことの証明になり、さらに深い議論が可能です。一方、予想と反する実験結果になれば、結果をうまく説明できる新たな機構を考え、その考察をもとにさらに実験を計画し進めます。どちらの結果になってもポジティブな思考で進めることができます。

・ これからの研究の展望を聞かせてください。
― バイオ医薬品などの汎用化・低コスト化に資する研究を深めたいですね ―

 現在、生体高分子の結晶化、特にアミノ酸とタンパク質の結晶化に重点をおき研究を進めています。これらは医薬品としても重要視されており、バイオ医薬品は世界の医薬品売上高の上位10品目中7品目を占めるほどになっています。近年有名になった抗がん剤「オプジーボ」もバイオ医薬品の一つです。このオプジーボは2014年に発売された際、薬価が100 mg約73万円と超高額なことでも世間を賑わせました。標準的な使用法で1人年間約3500万円かかる計算になります。現在では薬価引き下げが数度行われましたが、それでも100 mgで約17万円です。このようにバイオ医薬が高額となる原因は、あまり語られませんが製造工程にも理由があります。プロセスは細胞培養などのアップストリームと分離・精製などのダウンストリームに大別されます。この分離・精製プロセスが全製造コストの3分の2を占めるといわれており、事実上のコストボトルネックとなっています。現在はカラムをつかったクロマトグラフィーで分離・精製を行っていますが、ここに晶析操作を応用できれば、コストを激減させることが可能です。晶析操作であればスケールアップも比較的容易であり、化学工学の力が発揮できます。

・ 応用化学会の活動への期待を聞かせてください。
― 三者構成の特色を更に発展させたいですね ―

 やはり単なるOB会ではないという独自性が素晴らしいと思います。特に、最近では学生主体の企画による講演会が開催されていたりして大きく変わりつつあると感じています。今後に向けても、OBと学生と教員の三者で構成されている利点を生かし、OBから学生へのアドバイス、学生から教員への大学運営への助力、教員からOBへのリカレント教育など三者がお互い助け合うことを期待します。

・ 100周年を迎えた応用化学科についてコメントを聞かせてください。
― たゆまぬ努力の結果が100年を可能にしています ―

 100年以上名前を変えずに発展している学科は大変貴重ではないでしょうか。それだけ応用化学という学問が世の中に役立ち続け、必要とされている証だとも言えます。これもひとえにOBの方達の活躍と学生の努力によるものと思います。今後も応化会と一体となって伝統を継続できるものと信じています。

・ 21世紀を担う皆さんへのメッセージをお願いします。
― 自らが楽しめる分野や生き方をつかみ取って欲しいですね ―

 世の中変えていかなければいけないことと、変えてはいけないものがあります。放っておくと勝手に変わってしまうものもあれば、何もしなければ何も変わらないものもあります。その瞬間の価値判断も大事ですが、長い歴史の中での長期的視点も大事です。他人の意見に耳を傾けながら、なるべく心安らかに生きてほしいと思います。競争を勝ち抜くのではなく、自らの力を蓄えつつ競争を楽しめれば最高ではないでしょうか。

インタビュアー&文責: 疋野拓也(B4)、真野陽子(新47)、井上健(新19)

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過去の突撃インタビュー

企業ガイダンス更新

下記の企業ガイダンスを更新しました。

HPへの掲載日順です。

2019-12-14
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2019-12-13
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2019-12-11
住友化学株式会社(更新掲載)
スズキ株式会社(新規掲載)
2019-12-07
三菱ケミカル株式会社(更新掲載)
2019-12-05
エリーパワー株式会社(更新掲載)
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社(更新掲載)
2019-11-28
王子ホールディングス株式会社(更新掲載)
2019-11-24
株式会社クレハ(更新掲載)
2019-11-22
JXTGエネルギー株式会社(更新掲載)
2019-11-21
DIC株式会社(更新掲載)
2019-11-14
JFEエンジニアリング株式会社(更新掲載)
2019-11-12
信越化学工業株式会社(更新掲載)
住友電気工業株式会社(更新掲載)
株式会社コーセー(更新掲載)
2019-11-08
東レ株式会社(更新掲載)
NOK株式会社(更新掲載)
ニチレキ株式会社(更新掲載)
2019-10-27
ライオン株式会社(更新掲載)
古河電気工業株式会社(更新掲載)
デンカ株式会社(更新掲載)
2019-10-17
協和キリン株式会社(更新掲載)
日産自動車株式会社(更新掲載)

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応用化学会報 No.100 November 2019 を資料庫に収納しました

2019年12月1日付で「応用化学会報 No.100 November 2019」を資料庫に収納しました。

入室するにはパスワードが必要です。(2019.12.01に新しいパスワードに変更しました。)

入室はこちらから ⇒  資料庫入室

早稲田応用化学会事務局/広報委員会

早稲田応用化学会 交流委員会主催 第34回交流会講演会

講演者 :山本康雄氏 タカハタプレシジョン株式会社 代表取締役社長(CEO)
演題  :『未来を見据えビジョンを持って挑む』
  副題 :「必ずしも答えがあるとは限らない世界へ向けて」

講演期日:2019年11月16日(土)
講演会場:西早稲田キャンパス 52号館302教室
講演時間:16:30~17:45
懇親会 :18:00~19:15(56号館 地下1階 理工カフェテリア)

講演者略歴

  • 1988年03月 理工学部 応用化学科 卒業(新制38回、長谷川研究室)
  • 1988年04月 三井物産株式会社 入社
  • 2001年12月 三井物産株式会社 退社
  • 2002年01月 高畑精工株式会社 入社
  • 2003年06月 高畑精工株式会社 社長就任
  • 2010年 社名を「高畑精工株式会社」から「タカハタプレシジョン株式会社」に変更

講演の概要

講演に先立ち、椎名交流委員長の開会宣言、西出会長の講師紹介、椎名交流委員長の講師略歴紹介を受けて山本社長が登壇し、講演の機会を与えて下さった西出会長への謝辞が述べられた後、講演が始まりました。
*参加者;教員・OB/OG・講演会関係者44名、学生36名、合計80名

椎名交流委員長の開会宣言                            西出会長の講師紹介

<始めに>

*講演を引き受けた経緯について

山梨県にはタカハタプレシジョンの工場がありますが、同じ県内にある山梨大学の宮武先生と知り合う機会が有りました。そして、宮武先生が研究していることを物にする過程で困っていることがあるとお聞きし、それでは一緒にそれをやりましょうということになりました。そのため宮武先生の恩師である西出先生のところへお邪魔したり、本間先生とのお付き合いも始まりました。そのような折、今回の講演の依頼を受けました。

山本康雄社長

*講演の演題設定の経緯について

私から講演内容を一方的に決めるのではなく、学生委員と十分にコミュニケーションを取った上で決めました。

長谷川先生のご逝去(2019年9月)に関して

恩師の長谷川先生の訃報に接し思い出したのですが、当時実験に失敗してドラフトを破損した際、激高された先生から叱責を受けた後「出世して返せ」と言われたことがありました。今日は少しその恩返しが出来ればと思っています。
講演の前半は私がこれまで行ってきたことや会社の紹介をします。
講演の後半はこれから巣立っていく学生の皆さんに少しでも役に立てれば、と思っていることをお話しします。

<講演の前半>

1988年に入社した三井物産での経験

同期入社130名のうち30名が理科系で、そのうち6名がそれぞれ学科の異なる早大理工学部出身でした。
入社して3年間の大阪勤務の後、海外研修のためドイツのミュンヘン大学に聴講生として2年間留学しました。そこで学んだのは日本人のメンタリティのデメリットです。授業形態は世界各国の学生が参加しているグループディスカッションで、この中で発言しないと完全に孤立してしまいます。外に出るといかに自分の意見を述べる力、自分の存在感を出すことが大事であるかが分かりました。
それからドイツの事務所に勤務した後本社に戻り、機能化学品を扱う部門に配属されました。シリコンバレー、台湾、上海、シンガポールを往復し、半導体材料、液晶材料関連のビジネス化にチャレンジせよとの指示を受け、これらの活動を通してベンチャー企業のメンバー個人個人の大きなエネルギーを感じ取ることが出来ました。
この部署では半導体・液晶関連以外にエンジニアリングプラスティックも扱っており、この時お付き合いのあった会社の1つが高畑精工でした。そして縁あって三井物産から高畑精工に移りました。人生の大決断でした。今から思えばこの大決断を後押ししたのはチャレンジスピリットであったと思います。
移った当初言われたのは、この高畑精工を思いっきり変えてみてくれ、ということでした。高畑精工は精密成形技術において国内トップクラスの技術を持っており、これを武器に最初の海外進出先として決めたアメリカに打って出ることにしました。事業分野としては将来性が見込める自動車関連部品を選定し、その後世界各国に進出しました。

山本社長

Company Profile(会社案内パンフレットを用いての説明)

・表紙「CHALLENGE TECHNOLOGY INSPIRE INNOVATION」
これを会社の基本的なMentalityとして置きました。

P.2~3 4 Core Values

タカハタプレシジョンという会社の価値をここに打ち出しました。

#1 人財
モノづくりは、人づくり。人こそ財産であるというこだわりから、「人材」ではなく「人財」という漢字を使いました。

#2 総合力
端的に言えば「垣根を取る」ということです。私が以前勤務していた会社の場合、多くの関連部門の審査を経て稟議書が承認されるまでに3カ月以上を要しました。大企業ではこういうデメリットがあります。私の会社では管理系の職場の人数は極力減らし、工場や研究系の職場に多くの人を投入してこういうデメリットを無くすように努めています。

#3 対応力
#2の総合力とリンクしますが、パンフレットにある「お客様のニーズに的確、柔軟、そして迅速にお応えする」には「垣根を取る」ことが必要です。そして「物事には正解が無い」ことを知る必要があります。特定のビジネスの世界において「決める」ということは、いくつかの選択肢の中から「選ぶ」ということですが、考え抜いて選んだ選択肢を採用してもうまくいかないことがあります。それは時間と共に状況が変化するからです。迅速な対応力によりこの変化に立ち向かわなければなりません。この迅速な対応力を実現するため、私の会社では多様化の象徴として役員の多国籍化且つ複数女性役員の登用をすることで議論の活発化を図っています。
対応策として予算とか経営計画を立てる場合、私が以前勤務していた会社では正確性が執拗に求められ、その結果長期間に亘り改訂に次ぐ改訂を強いられ、その間に外部の状況が変わってしまうということがありました。これからは正確性の追求より、覚悟・腹落ち・納得性といったことを重視し、方向性を決めたらそれに向かって集中し、外部環境に応じて柔軟に修正しながら進めることが重要と考えます。
このようなことを実行するために必要なもの、それは知性です。そのために勉強し、知識を増やし、考えて考察することを持続させて下さい。そして感性・五感を磨いて下さい。

#4 挑戦力
当社の製品の1つである水道メーターに関連して役所と付き合いがありますが、従来のメカ式水道メーターからスマートメーターに変える提案をしても、前例が無いとして逡巡されてしまいます。「前例が無い」から挑戦すべきという当社の姿勢に対しても、理解を得るのが難しいので、この分野で有力な競合他社がいないオーストラリアに進出しました。

・P.6~7 事業拠点

これらのページに記載しましたように世界各国に事業拠点を置いており、年間の3/4は海外出張しています。これだけ海外にいると複眼で世の中を見ることが出来るようになり、マスコミやニュースで報道されることは物事の片鱗に過ぎないことが分かります。従って、特に若い学生諸君に言いたいのは、今はひたすら勉強に励み、そして世の中に出たら少しでも外に出て下さいということです。自発的な行動によってその機会を掴んで下さい。私の場合失敗もしましたがそこから多くを学び、取り返して来ました。七転八起ということです。これを行うのは大企業にいては難しいかも知れません。従って自らの力で大きな成果を掴み取ろうと思ったら、大企業に入ったとしても一度外に出てみることを勧めます。大企業でしか得られないものもありますが、外に出て初めて得られるものもあります。失敗することもあるでしょうが、それを通じて視野を広げることが出来るのです。失敗に落胆せずそれに打ち勝つことにより大切な経験を得ることが出来ることを説いた大隈重信の言葉を、恥ずかしながら最近知りました。我々、特にビジネス世界にいる人間はこの言葉を肝に銘じる必要が有ると思います。
私の会社では人事評価において、若い研究・技術職の人に対してはどういう失敗をしたか、そしてそれら失敗から何を学んだかを評価に加味するようにしました。これにより、コストは掛かるようになりましたが社員が失敗から学ぶことを覚えてチャレンジスピリットを醸成し、人が育つようになりました。

会場

<講演の後半>

*新しい分野への取り組みについて

パンフレットの8ページの下方にある「挑戦し続ける技術者集団」という見出しに続く文章の中で、「従来のビジネス領域とはまったく異なる新しい分野への取り組みも進行しています。」と記載しました。新しい分野に進出するために、当社の若い精鋭技術職十数名を集めてブレインストーミングをさせました。4~5回行ったのですが、新しいものは出ず、話が従来の技術に戻っていくような状況でした。理由を考えたのですが、メンバー全員が同類、すなわち同じような社会的バックグラウンドにある人達であることに気付きました。組み合わせを間違えたわけです。対応策として社外からの色々な考えを取り込みました。異なる業界、外国、年配者から若人まで。その結果、予想もしない新しい考えが出て来ました。従来からの組み合わせを変えることによって、初めて新しいアイデアが生まれて来るということです。同時に、前述のように外に出て幅広く物事を見ることが重要です。

*バランスについて

私の会社では新しい分野に挑戦する部署(A)と、既存の事業を担当し利益を生み出す部署(B)があります。そしてこれらの部署の間で摩擦が起きることがあります。部署(A)の幹部はお金を使うばかりで部署(B)に対して申し訳ないと思い、部署(B)の幹部は専ら自らの部署で利益を生み出しているので、部署(A)に対して厳しい態度で迫るといった具合です。大事なのはこれらの間のバランスをとることです。会社にとっては(A)も(B)も必要で、これらのバランスをうまくとることが非常に大切です。そして、もうひとつはこのバランスをとるためのコミュニケーションをスムーズ且つ活発に行う環境を作ることです。トップダウンは時として思考停止を招きます。社内にはこれらの部署の人達が参加する色々な会議があるのですが、私以外役員たちから、これらの会議には出席しないで欲しいと言われました。私が出席すると私が発言の機会を殆ど独占し、他の参加者は私に忖度するから、というのがその理由です。そして、その言葉に従い私が出席しないようにすると色々な意見が出るようになって会議が活発になりました。
私はサミットと呼んでいる最高経営会議には出席しますが、そこでの発言はなるべく控えるようにしてその場の雰囲気を掴み取るようにしています。この「雰囲気」が大事で、海外出張した際も工場の中を歩き回って職場の雰囲気を掴み取り、微妙な変化を察知するようにしています。この「察知する」ことも大事で、かつて私より年上の役員が当時の会長に直接提出していた業務報告書の内容が、業務実態と乖離した美辞麗句となっていることを会長に説明した結果、納得してもらい改善を任されました。社長とは言え現場で働き苦労してきたからこそ分かったことで、先輩格の部下と現場の仲間たちとの間に入って両者間の相互理解を良好なものにすることが出来ました。ということで、現場の重要性を強く訴えたいと思います。最近大企業が起こしている品質問題の原因は、決定権を持った人が現場をよく見ていない或いは実情を知らないからです。何故かというと企業が大き過ぎるからです。大き過ぎる故に、変化に対応出来ないのです。会社は絶対にこのようになってはならないと考えます。私はこの現象を環境変化に対応できずに滅んだ恐竜を例にとって社員たちにしばしば説明します。現在私はこの会社をこれ以上大きくするつもりはない考えを持っています。ガバナンスが効かなくなる恐れがあるからです。これが正解かどうか分かりませんが、当面この方針で行ってみようと思います。なお、最後の海外進出先としてヨーロッパのスペインを選び、本年2019年初頭に工場を立ち上げました。意識している顧客の一つにBoschという会社がドイツにあるのですが、進出先としてはスペインを選びました。理由として、ヨーロッパにある先進国と比較して忘れられたような国ではあるのですが、物造りに興味があって芸術的センスを有する人財が豊富であること、また日系を含めて競合他社が見当たらないことでした。進出して間もないですが、多数の引き合いがあります。

<まとめ>

会社の規模の拡大としてはスペインが最後であり、これからは中身を充実していきます。中身とは人財育成、Culture変化、そしてInnovationです。このInnovationの中で今回、西出先生、本間先生、そして後輩の宮武先生とのお付き合いを通して母校と関わることが出来、こんな嬉しいことはありません。そして、今回の私の講演から学生諸君が何か得ることが出来れば、それは私の最大の喜びです。また、学生諸君の中に将来に対する展望みたいなものが少しでも芽生えてくれたら、それも私の喜びです。
以上で私の講義とさせて頂きます。有難う御座いました。

時間的な制約から、質問を1件だけ受付けました。

<質問>

新規事業への挑戦のため外に出て行くことと規模を大きくすることとは関連性があるように思えるのですが、この点はどのように考えたら宜しいでしょうか。

Floorからの質問

<回答>

私の会社の、既存の技術による売り上げを仮に100とすると、これが80、70、60と段々減少して行きます。例えば3-D Printingという技術が拡大しつつあり、形状のみを考慮した製品において売り上げを伸ばしています。一方、私の会社で従来から行っている射出成形は製品の機能や精度を追及した技術ですが、製品の売り上げは減少しています。この減少した10、20、30の部分を新しいものに置き換えて、売り上げの100を維持しようということです。これが正解かどうかは分かりません。規模を大きくすることを全否定しているわけではありませんが、私の会社の実情や外部の環境を考慮して現在はこのような方針を採っているということです。

質問に答える山本社長

講演の中で参照された会社案内パンフレットは、電子ファイル化されて応用化学会HPの中の「資料庫」(パスワードが必要です)に交流講演会資料(講演会第34回)として格納されています。是非ご覧下さい。

【懇親会】

講演会終了後、会場を56号館地下1階理工カフェテリアに移して懇親会が開催されました。
参加者;教員・OB/OG・講演会関係者36名、学生27名、合計63名
交流委員会鈴木委員の司会のもと、応用化学会濱副会長の挨拶、続いて安達副会長の挨拶と乾杯のご発声の後、懇親会が始まりました。

今回の講師である山本社長は積極的に学生の輪の中に入り、熱い懇談の場となりました。学生にとって講演会では聞くことが出来なかった山本社長のご経験やお考えを直接聞くことが出来、今後の進路を考える上で大変貴重な機会になったのではないかと思います。

学生に囲まれる山本社長

今回も早大応援部学生に懇親会場でのパフォーマンスをお願いし、懇親会後半に校歌、エールで参加者が声を合わせ、応化会の団結を確認し今後益々の発展を誓いました。

校歌斉唱

そして橋本副会長の中締めと閉会の挨拶に続いて、学部生部会 岡 部会長の一本締めにて解散となりました。

講演会・懇親会のスナップ写真は下のボタンをクリックしてご覧ください。

以上

(文責:交流委員会)

新18回(昭和43年卒)応化同期会開催報告

2019年11月13日

2019年11月11日(月)、大隈会館202号室で同期会を開催しました。業務多忙、体調不良等で欠席された方もあり、出席者は昨年よりも3名少ない28名でした。

保坂君の司会、竹下の挨拶につづいて全員で乾杯して会が始まり、暫しの会食・歓談の後、参加者全員の近況報告、中井君や関谷君からの応化会関連の活動紹介、竹下からの会計報告と続きました。和気藹々の楽しい時間が流れて15時過ぎに保坂君の挨拶に続き、玄関ホールで記念写真を撮ってお開きになりました。

今回の同期会は、昨年に続き参加者全員による近況報告がメインでした。どの参加者のお話しも日本人の平均健康寿命を超えた我々同期にとって身近で関心の高いものばかりで大変参考になるものでした。

その中からいくつかを紹介します。

  1. 会社勤務、自然観察ガイド等のボランティア活動、企業コンサルタント業務、海外での共同会社経営 等  
  2. 胃がん・膀胱がん、大動脈解離や心臓バイパス等の手術からの快復、白内障の手術、腰痛・膝痛等に伴う体調管理、県対抗野球参加、ウォーキング、テニス、筋トレ等の体力維持・増強 
  3. 超大型台風被害からの復旧、相続への備え、スマートカーの購入や運転免許証返納の勧め、約150ヶ国の海外旅行経験 等

参加者全員、自分の身に置き換えてメモを取ったり、質問したりして熱心に聞き入っていました。“いろいろあるが、青春とは心の若さであり今が青春真っ只中では?”との思いを共有し、それぞれが明日への新たな一歩と来年の再会を誓った一時でした。

末筆になりましたが、新18回応化同期会として、2023年の応化会100周年に合わせてこれまでに積み立てた会費残高を寄付させて頂く予定にしていますことをご報告いたします。

尚、2014年には応化会給付奨学金へ300K¥を会費残高から寄付させて頂きました。

(注)次回は2020年11月吉日を予定しています。詳細は各研究室の幹事から後日、ご連絡致します。同期の皆さん全員の参加をお持ちしています。

(幹事:杉本、進、品田、永田、関谷、曽根、鶴岡、小久保、渡辺(壮太郎)、渡部、中井、山形、長島、金山、保坂、竹下)

以上

(文責 竹下哲生)

                                     

 

応化展見学報告(第66回理工展)

投稿:交流委員 加来 恭彦

2019年11月2,3日、第66回理工展の展示の一部として応化展も開催されました。会場は54号館102、56号館5階実験室、模擬店6の三か所です。

54号館1階では応用化学科を紹介するブースとして、学部生の授業で使用される一般化学、有機化学などの紹介や学生実験の内容説明、カードゲームなどのイベントに加えて、学生生活や研究室紹介などが展示されており受験を控える高校生など、多くの人で賑わっておりました。


無機化学の研究室で有機化学や高分子化学を取り入れたり、高分子化学で電気化学のノウハウを使ったり、触媒化学に無機化学で研究されていたアイデアを応用したりとそれぞれの分野での垣根がなく幅広いナレッジの融合が進んでいることが分かります。

来場される高校生がイメージ出来るような説明もお願いできればさらに視線をくぎ付けに出来るかも知れませんね。


これからを背負って立つ才能多き人材です。

それにしても机に並んでいる教科書群ですが、現在使われているアトキンスの物理化学の教科書が文字の羅列ではなく複色刷りの工夫された読みやすい教科書になっていることに驚きでした。

 

また、56号館5階の学生実験室では

  • 「芳香剤を作ろう」
  • 「電気を通すプラスチックを作ろう」
  • 「アントシアニンで考える色とは」
  • 「人工イクラでスノードームを作ろう」

の4つのテーマでの実験展示が行われていました。

 

 

 

 

日常生活で普遍的に使用されている吸水性高分子にアロマオイルを加えてゲル化させる実験など体験型の展示や共有系高分子による電子の保持、またpHを調節することで色の変化を見るなど多種多様な実験に多くの来場者が列を作って貴重な体験をされていたかと思います。

電気を通すプラスチックはポリアニリンを使用した実験でした。ポリチオフェン系とともに製膜性にも優れたポリアニリンを使用することで視覚的な効果も上げていましたし、また電気を通すだけでなくボーイング787にも採用された航空機用電子カーテンに使われるエレクトロクロミックの説明も秀逸でした。

展示の妨げにならないように一部の写真しか撮れず今日まで準備に努力してきたスタッフ全員を紹介することが出来ず申し訳ありません。
応化展は学部生が準備してきた成果を発表する機会であると同時に一般の方が科学に興味を持ってもらう場を提供する意味でも貴重なもので基礎研究からその応用まで各研究室のサポートも欠かせません。研究室と学部生の近い距離間を維持しながら今後もクオリティの高い展示を継続して頂ければと思います。
なお、応化展には応化会や理工展からの補助も出ているとのことですが、学生さんがプレゼンをする機会を得るという意味でも教育的見地から意義のある企画だと思います。応化会費が有効に使われている一例であるとともに、予算としてもより充実してくれるとさらにプレゼンの選択肢が増えるものと期待します。