企業が求める人材像」カテゴリーアーカイブ

2021年度 企業が求める人材像


開催日 : 2021年11月20日 15:00-17:15
会場  : 西早稲田キャンパス 52-302ほか(オンライン併用)

本年より企業が求める人材像については若手会員を中心とした企画に移行している。
今回は若手会員定期交流会とのジョイントイベントということで総勢50名の参加者となった。
(内訳:B1:8名、B2:6名、B3:9名、B4:2名、M1:5名、M2:3名、卒業生10名、応化会各委員会等によるオンライン参加7名)

なお学生ホームページには学生会員からの報告が掲載されている ⇒ こちら

開会の挨拶
開会に先立ち、下村啓副会長より下記の挨拶があった。

開会の挨拶 下村啓副会長

これまでに和田先生が中心になって進めてきましたこの「企業の求める人材像」の会ですが、今年は応化会の若手の皆様と学生の方々が新しい企画を考えてくれました。感謝申し上げます。
さて早稲田応用科学会は今から1年半後の2023年5月に100周年の節目を迎えます。私たちはこの100周年を機会に次世代に向けた応化会活動に多くの皆さんの力を結集させようとしています。
次の100年に向け応化会が早稲田大学はもとより、日本・世界の発展に貢献する活動を行い、その活動と共に会員の皆さんの参画が呼び起こさせるようにしたい。
この次世代に向けた応化会活動には今日ここに参加されている若手会員、学生の皆さんの行動が不可欠です。次世代のあるべき姿を指し示すのは皆さまであろう、又そうあるべきだと思います。本日の会もそのような趣旨に沿ったものと思います私たちは皆様の活動を支援しつつともに次の世代に進んでいきたいと考えています。今日の会の取り組みが次世代への第一歩となることを祈念して私の挨拶といたします。

テーマ:ストラテジー時代に求められる様々なリーダーシップの視点

イントロダクション

リーダーシップ論について劉 雲龍さん(新56、酒井・小堀研。三菱ケミカル株式会社、早稲田大学大学院商学研究科・博士後期課程商学専攻)より、説明があった.

今回のワークショップの前提としてリーダーシップとして持っているイメージをキーワードからピックアップしてディスカッションにつなげている。リーダーシップに関して画一的な正解は存在しないため、種々のリーダーシップについての考え方を共有、議論することで理解を深めることが出来るが、共通項として周囲との「関係性」重視であることがあげられる。

リーダーシップ論については、1940年代から米国などで論じられており、1990年代以降は、変化、影響、動機づけの3要素を兼ね備えるなどの提示もされているが、学術的な定義は未だに完全には定まっておらず、時代とともに変化し、進化していることをその研究の変遷とともに説明があった。

早稲田大学においても、卒業生が様々なリーダーシップモデルや、リーダーシップに関する持論等を提唱しているが、リーダーシップを発揮する行動規範として目標設定・共有、率先垂範、相互支援を通じたリーダーシップを発揮するための必要な要素についても言及された。

ワークショップ
今回のワークショップ参加者に対して事前に自己分析を実施した。コントローラー型、プロモーター型、アナライザー型、サポーター型にそれぞれカテゴリー分けし(以下参照)、以下のテーマについてOBチームも含めて5グループにてディスカッションを行った。

カテゴリー
コントローラー型:常に自分が判断する立場にいたいと望み、自分をコントロールする人に意識的、無意識的にかかわらず反発します。
プロモーター型:他者に影響することを大切にしています。
サポーター型:人の期待に応えようと行動し、対立を避ける傾向があります。
アナライザー型:自分の行っていることが「正しい」と実感できるとき、彼らの行動は促進されます。
課題:『早稲田応用化学会からの寄付講座を新たに作るとしたらどの様な講座(形式及び内容等)にするか』

グループ内での議論に際し、参加者それぞれに役割分担を設定しそれぞれのスタイルでのリーダーシップを体感できるように配慮されている:
リーダーシップスタイル:
先駆者スタイル:チームの成果を高めるために、他の人 に取ってほしい行動をまず自分が取る、また、まわりから批判されそうなアイディアでも提案してみる
司会者スタイル:チームメンバーに話しを振ることでチームメンバーのアイディアを引き出し、話してもらうことでメンバーの 魅力を引き出す
航海士スタイル:チームの議論の方向性を決め、議論が脱線した場合に話しを戻す
補強者スタイル:チームが必要とする支援を行い、地味ではあっても重要なサポート役を担う
応援者スタイル:チームメンバーを精神的に支援、そのたゆまぬ努力を積極的に応援する
提案者スタイル:議論に必要と思えるアイディアを積極的に出し、成果に近づくように様々な視点から提案を行う

議論した内容はパワーポイント(最大5枚)に纏め、各グループの持ち時間6分の中で3分説明、2分質疑応答、1分纏め・振り返りの役割分担を設定した上でプレゼンテーションするスタイルを取り参加者全員に対して共有を行った。

各グループのプレゼンテーション

参加者からは「環境問題について」応化会関係者に限定せず、環境省などのプロフェショナル領域から広く講師を招聘して充実した議論を実施する、「将来設計」としての社会保障や資産形成などについてのナレッジインプット、「就職活動に向けた講義」として進路決定の様々な選択肢に対して企業の取り組みや交渉術などそれぞれ有用な知見を共有して頂く、「化学業界におけるデータサイエンスの活用」としてあらゆる文化でDX活用の事例としてビッグデータの取り扱いと具体的な化学領域への反映について、など様々な検討内容が紹介された。

まとめ
劉さんから早稲田大学と東京工業大学におけるディプロマポリシーの紹介および実行軸・思考軸を基調とした将来設計(1枚の未来地図)をを作っていったらどうかとの提案があった。今回はSTEP1として目標設定をテーマとしてグループワークし、次はSTEP2としての自己認識について理解を深めていければよいと考えている。
また、戦略力についてもあわせて説明があり、方法論としての戦略力ではなく自己にその力を付けるために道筋として備えておくべき力について紹介があった。

今回のグループワークについて最後に北村さん(B1)より、自分の気がつかない能力の使い分けの必要性と経験知の必要性、自主性とメタ認知についても意識の重要性を認識したとの感想が述べられた。

開会の挨拶
橋本副会長より以下の閉会の挨拶があった。

充実したディスカッションが出来ていた様に思います。リーダーシップは必ずしもチームだけでなく自分自身のマネジメントにおいても重要です。自分の実現すべき姿(Vision)、使命(Mission)や大切にする事(Value)を設定して自分をリードすることがまず出発点です。自分自身に対する優れたリーダーは、チームや組織においても優れたリーダーになります。特に海外の人がメンバーのチームをリードするような場合には、日本人同士のような阿吽の呼吸が効かないので、初めにチームとしてのこの三つ(Vision,Mission,Value)をクリアにして明示的に共有し、問題が起こった時にはここに立ち帰ってすり合わせをして、メンバーの納得のもとでチームをリードすることが必要です。これから海外を含めリーダーシップを発揮して活躍する機会の多い若い人たちには是非これを意識して頑張っていただきたいと思います。この企画を計画し実現させて下さった学生委員会、若手部会の皆様に感謝致します。

Zoom参加者

今回の企画開催にあたり対応された事務局メンバー:
B1:磯貝、北村、B2:石崎、内藤、B3:近藤、高田、佐々木(淳)、B4:岡、M1:西尾、本村、LD2:疋野
卒業生:神守(新69)、政本(新68)、尾崎(新65)、大山(新64)、清川(新63)、守屋(新57)、劉(新56)
(報告:学生広報班、広報委員会 加来恭彦(新39))

2020年度 企業が求める人材像

11月14日(土)に「企業が求める人材像」が開催されました。本企画は、学生の役にすぐに立つような就職活動セミナーや企業説明会とは異なり、テーマに沿って会全体で活発に意見交換と議論をして、将来どこかで役に立てるように見識を広げることを目的としています。

本年度のテーマは「アントレプレナーシップに学ぶ」となりました。「アントレプレナーシップ」は初めて聞く言葉であったためすぐに調べ、起業を指す言葉だと分かった際は、「起業について学ぶことが将来の役に立つことはないだろう」と思いました。結論として、この考えは間違っていました。

実際に本企画では、アントレプレナーシップを専攻して日本人で初めて博士号を取得された、早稲田大学商学学術院の東出浩教教授をお招きし、二部構成で会を進めました。

第一部は東出教授によるアントレプレナーシップについての講義でした。起業を行う目的とは「お金を稼ぐこと」のみならず、自らのアイデアをベースとして、何かに没頭できたりその行動に意味を見出せるような環境を自ら構築し、自分の理想とする形を作り上げることであると学びました。また東出教授は起業のための必要条件が「失敗を恐れずに行動してみること」であることも強調されていました。

第二部ではアントレプレナーシップについての海外の動画(アイデオ社のショッピングカートを5日間で作る)を鑑賞した後、東出教授と学生間で円滑な討論を行いました。動画はすべて英語であったものの、参加者たちが自由な発想のもと討論したり実際にカートを試作してみて、和気あいあいと何日間も改善を何度も繰り返し、その中で利便性も追求した独自のカートを完成させる様子が映っておりました。またその後の討論では、学部1年から修士2年の学生および参加されたOBの方まで、日本や諸外国の文化の違いにも踏み込みアントレプレナーシップにも着眼点をおきながら、今後の社会についても深く議論を行いました。

私はこの企業が求める人材像に参加して、応用化学科の学生はただ研究を行うだけでなく、アントレプレナーシップを持つことで、世界全体を大きく動かす可能性があるのだと学びました。和田先生が会の途中で「iPhoneをただ買う人間であってはいけないよ」とご発言された通り、「今後の社会を良くしていくのは自分たちだ」という意識のもと、主体的に行動することが大切であることに気づきました。

そして最後に、新型コロナウイルス感染症下においても感染対策を徹底することで、対面での開催を実現でき、学生たちの視野を広げる貴重な会となりました。講義をされた東出教授、企画構成の主導をされた和田先生および運営にご協力頂きました皆様に厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

文責: M1 藤田聖也

 

 

第10回フォーラム「企業が求める人材像」開催のご案内

―化学の未来を語らう―

日時:10月5日(土) 15:00~17:30(開場14:30)
会場:西早稲田キャンパス63号館2階03教室
服装:カジュアルな服装でお越し下さい

 

 

第10回となる今回のフォーラム「企業が求める人材像」のサブテーマは「化学の未来を語らう」です。
和田宏明応用化学科教授が司会を務めますが、本年度は2人の先生をパネリストとしてお迎えし、参加者全員で化学の未来について考えていきます。
OB・OGの方々、学生諸君の奮ってのご参加を歓迎いたします。参加の皆様より、忌憚のないご意見を頂き、活発な議論が行われることを期待しています。

(応化会学生委員会交流部会)

フォーラム「企業が求める人材像」2017

「これからの企業が求める人材像」
Nov. 18, 2017  @52号館302室

2009年10月3日に新制「企業が求める人材像」を開催して以来、今回が9回めを数えるこのイベントは、就職活動に直結するものではなく、学生のキャリア教育の一環として我々を取り巻く様々なテーマを多角的・多面的に語ることを目的としている。一昨年よりは特に「誰もが発信者となる」ため、参加者が自ら積極的に意見を述べ合う形の実現をめざして取り組んできた。

 本年はテーマを「これからの企業が求める人材像」とし、昨年までとは異なって後半に学生部会主催の「縦割り交流会」を開催せず、前半部分をForum 1として、後半部をForum 2として区切り、テーマの継続性を図った。

和田教授(Facilitator)

 まずForum 1では、ファシリテータ(和田教授)の提案で、以下のテーマについて議論をした。第一テーマは、AIの進化がもたらす企業活動への影響である。ハードウェア/ソフトウェアの劇的な進化やIoT、RPA、フィンテックの発達、ビッグデータの活用等により企業における個人の役割に変化が生じ、人員削減、職業消失という話題も登場しつつあり、もはや学生にも無関係なテーマとは言えず、活発な議論がなされ、有意義であった。

 

学生からの意見

第二テーマは、暗黙知と形式知、企業の強みの消失問題について討議した。第三テーマは、なぜ新しいビジネスは外国から来るのか、というものであった。企業が期待する“イノベーション力”や“提案力”の醸成について議論を深めることはできなかったが、電気自動車の急激な勃興と社会情勢の変化がもたらすであろう化学産業への影響についての論議は重要な指摘を含む有益なものであった。

 休憩をはさみForum 2では、学生と社会人を5つの混成グループとして分け、これからの企業が明日を担う社員に求める力についてグループ討議を行って個別に絞り込んだ。各チームは求める能力の重要なもの6要素を設定し、それぞれ重要度を評価したレーダーチャートを作成した。学生にとっては、普段の授業とは異なる問題提起を受けて、それを先輩の社会人と議論検討するという時間を持つことができた。またその成果をグループごとに総括して発表し、グループ間での質疑応答を行うという貴重な体験を積む良い機会ともなった。

社会人からの意見

全体としては、少人数ならではの手作り感あふれるフォーラム、また参加者が個々に考えを深めていくというプロセスで進められた充実したフォーラムとなった。

本年は応用化学科創立百周年のイベントも相次ぎ、日程上開催も厳しい状況であったが、わざわざ本フォーラムに出席をいただけた方々に厚く御礼を申し上げたい。

 

 

(文責:「企業が求める人材像」企画グループ)

第8回フォーラム「企業が求める人材像」 2016年11月26日(土)

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今回は、応化会学生会員と若手OB・OGを主体とする「縦割り交流会」に参加されるメンバーにも呼びかけ、学生会員と若手からシニアまでのOB・OGらが一堂に会し、第8回フォーラム「企業が求める人材像」を開催した。
三浦会長の挨拶、魚森交流委員会委員長の主旨説明の後、応用化学科の和田教授を司会としてフォーラムが開始された。
wadaフォーラムの方式は、「今語るべきテーマとは」と題し、例年とは異なりパネリストを置かず、今後取り上げてみたいテーマ候補群の中から興味あるテーマを学生がピックアップし、社会人側が意見を述べる形を採った。そのやりとりを通じ、今後本フォーラムにて深く討議すべきテーマを浮き彫りにするという試みである。
特に「学生が自ら発信をする」場とするため、学生自ら開発した「ランダム指名ソフトウェア」も活用し、学生らに疑問に思うことや討議したいテーマの提案を促したが、当初は戸惑っていた学生たちもすぐに慣れ、挙手する姿が多く見られたのは頼もしい限りである。学生にも社会人にとっても「発信をする」形のイベントは初めてであり、当意即妙にとはいかず、まだまだ互いにぎこちないところも多々あったが、参加者が自ら意見を述べ合うイベントは珍しいものであり、時間が短く感じられる楽しいイベントであった。
討議では、英語を巡る実情、リーダーシップとフォロワーシップ、個の力と組織の力、企画力と実行力(イノベーションについて)、人脈作り、失敗から学ぶ事、学士・修士・博士のこと、大学の研究と企業の研究、人間力を磨く、ワークライフバランス、早稲田らしさとは、など幅広く多岐に渡ったテーマに関して学生たちから具体的かつ的確な質問が提示された。本フォーラムの内容を吟味検討し、今後のテーマを策定していく糧としたい。
今回は時間も限られており、浅く広くという当初の目的があるため、深い討論を繰り広げる訳にはいかなかったし、すべての質問と回答が噛み合っていたとは言えないが、今回のようなチャレンジを通じ、将来はさらに活発な双方向型の討論会が実現できればと願う次第である。尚、引き続き学生部会主催の「縦割り交流会」(⇒ こちら)が行われ、「企業が求める人材像」で論議されたテーマについて意見交換がなされた。
その後合同の懇親会が開かれ、学生とOB・OGとの和やかな交流会となった。年末の多忙な時期に参集下さった多くの学生諸君並びに諸先輩方に厚く御礼を申し上げる次第です。

 

(文責:交流委員 神崎恭一)

フォーラム「企業が求める人材像」の開催ご案内

― 今、語るべきテーマとは ―

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日時:11月26日(土) 開場13:00、フォーラム13:30~15:30
対象:学部生、大学院生、ポスドク・若手研究者、OB・OG
場所:西早稲田キャンパス57号館201教室
縦割り交流会:同 16:00~17:45  56号館 理工カフェテリア
懇親会:   同 18:00~19:00  56号館 理工カフェテリア
(懇親会費:無料、服装はスーツ厳禁)

 今回は、応化会学生会員と若手OB・OGを主体とする「縦割り交流会」に参加されるメンバーにも呼びかけ、全応化会メンバーによるコラボを行います。また、パネリストをおかず、参加者同士が論議をする初めての方式をとり、和田宏明応用化学科教授をモデレーターとして開催します。

豊富なキャリアを持つ先輩諸氏から貴重な体験を基にしたお話が聴ける又とないチャンスです。自分の将来像を思い描くためにも奮ってご参加ください。

尚、OB・OGの方は引き続き行われます「縦割り交流会」にもふるって参加をお願いします。

事前登録方法:早稲田応用化学会ホームページから登録下さい。

フォーラム事前登録はこちら

 

主催   早稲田応用化学会交流委員会
電話 03-3209-3211 内線5253
問合せ先; oukakai@kurenai.waseda.jp

                  

                      

 

第7回 フォーラム「企業が求める人材像」 (2015年度)

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― 企業の多様な業務に耐えられる人材とは ―
西早稲田キャンパス57号館201教室
平成28年1月16日(土)

1.はじめに
「こんなはずじゃなかった」-就職には付きもののこの定型句も、決して古語ではない。このイベントは、元々就職活動に備える学生たちが、在学中に応化会の諸先輩方から励ましやアドバイスを得る場として、2009年10月3日にスタートしたものである。その間、菅原教授のリードのもと、グローバル化への対応、リーダー論、企業における研究職とは、など有益で活発な議論が交わされてきた。第7回となる2015年度は、「企業の業務の多様性と実際」を主題に、6名の多彩な経歴を有するパネリストをお招きし、2名の学生代表にも参加してもらい、各々の経験に基づく思いをぶつけあった。

2.趣旨と討論
00大学時代に研究に没頭し、就職したら研究職以外の職に就いたという例も多い。企業活動が多くの業務によって成り立ち、就職後も年齢、能力、職位等に応じて職務が変化していくことは日常茶飯事である。これらの事実を踏まえ、1)会社にはどのような仕事があるのか、2)大学で何を学び、どう過ごすか、といったことを主題にそれぞれの考えを披瀝していただいた。研究・開発、製造、環境保全、品質保証、知的財産、事業企画、営業・販売など、例え様々な業務に就いても、そこで全力を尽くすことの大事さは皆が体験してきている。事前の取り決めに基づき、詳細を記すことはしないが、それぞれ所属する企業、業務履歴、年齢、経験も大きく異なるパネリストからは、普遍性を持つ示唆に富んだアドバイスをいただくことができた。時にモデレータの意見と大きく異なる本音の意見も飛び出し、いろいろと考える良い機会になった。

3.パネリストと学生代表の紹介
松田直人氏
1989年 理工学研究科応用化学専攻修了(清水研)、富士フイルム株式会社入社、有機合成部門、新規フィルム商品化経験。人事部、医薬品事業部を経て(社)再生医療イノベーションフォーラム出向(事務局長)、2015年同社を退社し、株式会社iPSポータル入社、社長室長として事業開発・契約関係等で活躍中。
山崎律子氏
1993年 理工学研究科応用化学専攻修了(西出研)、花王株式会社入社、洗浄系商品開発(ビオレ担当)、東京工業大学大学院受託研究員として学位も取得、高分子学会、日本油化学会で役員を歴任。現在スキンビューティ研究所第2研究室にてグループリーダーとして活躍中。
土屋勝則氏
1993年 理工学研究科応用化学専攻修了(黒田研)、大日本印刷株式会社入社、研究開発センターで開発を担当した後、米国技術駐在員として大学との共同研究企画等経験。本社 研究開発・事業化推進本部を経て現在ライフサイエンス研究開発部で事業化を推進。また業界団体の部会長としても活躍中。
川村容子氏
2006年 理工学部応用化学科卒業(西出・武岡研)、2009年早稲田大教育学研究科学校教育専攻修士課程修了。2011年アレクサンドル・イオン・クザ大学文学部聴講生、在ルーマニア日本国大使館勤務。2014年から外務省国際協力局民間援助連携室にて勤務。また同年一般社団法人モルドバジャパンを設立し活躍中。
西山美香子氏
2008年 理工学研究科応用化学専攻修了(黒田研)、ライオン株式会社入社、プロセス開発研究所で製造技術研究、オーラルケア研究所で製品開発研究を経験し、現在は包装・容器技術研究所にて支援研究(包装、調香、環境・安全、分析)で活躍中。
伊地知翔太氏
2014年 理工学研究科応用化学専攻修了(桐村研)、株式会社タイカ入社 研究開発室要素技術研究グループを経て、2015年より研究開発室素材研究グループで活躍中。大学時代とはまったく異なるUV硬化型ゲルの開発や製品改良、分析、営業同行も経験。
学生代表として、野口貴之君(ナノ理工学専攻 修士1年、逢坂・門間研)、田中徳裕君(応用化学科3年、平沢・小堀研、元学生委員学部生部会代表)にも討議に加わっていただいた。

4.パネリストならびに学生からのメッセージ
フォーラムを締めくくるに当たり、パネリストの皆様から学生への応援歌として貴重なアドバイスをいただいたので、いくつか紹介しておきたい。「肌で感じ、足で稼ぐ。好奇心を持ち続けること」「人とのつながりを大切にすること」「自信をもって世に出よ。成長だとか焦らないこと。その準備として、学生のうちは実験に遊びに濃くあれ」「学生のうちに感じていることを忘れないで」「エリート意識を持て」「どんなこともがんばってください」。 これらの励ましの言葉を受け、学生たちからも、「社会人に求められる能力は必ずしも研究能力だけではない。日々の活動に全力で取り組むことで「自分らしさを出せる力」を持ちたい。自信を持って精いっぱいやっていく」「責任感、まじめさのことを考えた。この人ならば仕事を任せられると思われる人になりたい」と力強い言葉があった。

フォーラム会場

5.おわりに
討論を終え、新生なった理工カフェテリアに場所を移し、菅原先生ならびに三浦応用化学会会長の挨拶に続いて、パネリストを囲んで親睦を深める時間を過ごした後、名残惜しくも、学生委員によるエールと一本締めでお開きとなった。今回モデレータとして特に、会場の参加者を交えた双方向的議論を実現したいと思っていたが、力不足でできなかった。皆様より寄せられたご指摘を真摯に受け止め、参加者全員がより本音で語り合えるイベントの実現に向け機会があれば挑戦をしてみたいと改めて感じた。多忙な中、参加下さったパネリストの方々、すべての参加者の皆様に厚く御礼を申し上げる。

懇親会場の写真  ⇒ こちら

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(記 モデレータ 和田宏明〔新制29回、応用化学科教授〕)

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