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早稲田応用化学会中部支部活動報告(第18回交流講演会)

 第18回交流講演会を2022年11月12日(土)「ウインクあいち」にて開催しました。(参加者14名) 最初に司会の浜名幹事および友野支部長より、中部支部の講演依頼に対してご快諾いただいた木野邦器教授への感謝の言葉と、先生のご略歴の紹介がありました。

木野先生の講演「脱炭素社会の実現に貢献するバイオテクノロジー」の要旨

 初めに、地球温暖化の問題を解決するための必須の手段として脱炭素技術の早期開発を求める時代の要請がある一方、直近ではロシアのウクライナ侵攻の影響で炭素系資源に再び依存する揺り戻しの動きも現れている、との最新の社会状況に触れられた。
 地球の先住民である微生物は、その生存戦略に基づいて進化し多様化を進めてきた。私たち人類は、これまでその多様な機能や生命システムの一部を生活や産業に取り込んできたが、バイオテクノロジーはDNA解析技術による生命の設計図とも言えるゲノム情報の蓄積と分析、ips細胞系の樹立や再生医療における技術革新、高度化した計算科学や人工知能を駆使したビックデータ利用技術との融合、ゲノム編集や合成生物化学的手法による高度のモノづくり技術など、近年の革新は著しい。今まさに、従来の化石資源依存の産業形態から脱炭素化を実現できる社会への転換期にあると考える。演者らは、微生物の機能分析からモノづくり研究を展開しており、具体的な研究事例を紹介しながら、科学技術開発研究の方向性を議論する。

 微生物、植物、動物などすべての生物は、ATGCの4つの塩基からできている。根源は一緒であり、そこから多様化して存在している。ウイルスなども、根源が一緒であるため、これを利用して抗ウイルス薬などの開発ができる。また、生物の細胞にウイルスが入り込んで進化した例として、哺乳類の胎盤形成などがある。地球圏における生物間ネットワークの例として、昆虫や動物の中にいる共生細菌があり、必須アミノ酸が供給されている。ブドウやイチゴに共生する菌の働きによって独特の香りや匂いがつくことも分かっている。
 生物発酵は酒造りなどで古くから利用されていたが、フレミングによるペニシリンの発見から微生物の利用が本格的に発展した。有用菌をスクリーニングすることで、ブレオマイシン(ガンの薬)、タクロリムス(抗免疫薬)などが開発された。生体物質に作用する薬は構造が複雑で有機合成で製造するのは難しい。選択性の高い微生物を利用することで目的物質を高収率で得ることができる。微生物ゲノムの遺伝子情報が分かってくると、パソコンを利用したスクリーニングも行われるようになった。
 アミノ酸を結合して製造するジペプチドには、人工甘味料のアスパルテームなどがある。ジペプチドにはL体(左手型)とD体(右手型)があり、生物はL体がメイン。D体は分解されにくい性質があり、抗生物質の構造に入っていたりする。医薬品としての作用がL体とD体で異なることがあり、配置が逆になっただけで、心拍数を片方は増加させ、片方は減少させる。医薬品としてL体をベースにしているものに、D体を組み込むことによって、新しい活性発現ができる。
 脱炭素社会に向けた研究として、木材成分のリグニンに炭酸ガスを固定して汎用化成品、機能性プラスチックに展開する技術、食品残渣などに含まれるアンモニアを取り出してリサイクルする技術などについても紹介があった。

木野先生の御略歴:
1979年早稲田大学理工学部応用化学科卒(新29回)

1981年同大学院理工学研究科博士前期課程応用化学専攻修了

同 年、協和発酵工業㈱に入社

1987年工学博士。東京研究所、技術研究所、防府工場製造部勤務を経て、

1999年早稲田大学理工学部(現:理工学術院)教授に着任、現在に至る。

早稲田大学産官学研究推進センター長、同大学研究員副委員長、同大学理工学研究所長・
理工学術院総合研究所長、国立研究開発法人科学技術振興機構開発戦略センターシニアフェロー、同機構プログラムオフィサー、かずさDNA研究所特別客員研究員などを兼任。

その他、学協会関連活動:
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構評価部研究評価委員長
公益社団法人日本生物工学会会長、バイオインダストリー協会理事、日本微生物学連盟理事などを歴任。各種財団の理事や評議員、国立研究開発法人産総研生命工学領域の審査評価委委員長、公的研究機関などの技術推進委員長や審査評価委員長などを兼務。
東京大学・大阪大学・名古屋大学・九州大学等の非常勤講師を歴任。(赤字は現職・兼職・兼任

受賞歴等:
1999年協和発酵工業株式会社 社長賞
2015年文部科学大臣表彰科学技術賞(研究)受賞
2016年早稲田大学ティーチングアワード(秋学期)総長賞受賞
2020年日本生物工学会第39回生物工学賞受賞
その他専門誌論文賞4件など

以上

新17回城塚研卒、西海英雄法政大学名誉教授が瑞宝中綬章(勲3等)を受章されました。

早稲田大学応用化学科 新17回城塚研卒で、法政大学教授を務められた西海英雄氏(法政大学名誉教授)が、令和4年秋の叙勲において瑞宝中綬章(勲3等)を受章されました。
西海氏は、基礎としての装置物性と反応工学から,その応用としての環境化学工学の分野に貢献されてきました。
謹んでお喜び申し上げます。
伝達式(拝謁式)は、このコロナ禍のため中止されたとの事です(この3年開かれていません)

西海 英雄 (Nishiumi Hideo) – マイポータル – researchmap

令和4年秋の叙勲 瑞宝中綬章 (cao.go.jp)


第18回評議員会報告(2022年10月15日開催)

第18回評議員会が2022年10月15日(土)14時より開催されました。コロナの感染リスクに配慮したハイブリッド方式にもだいぶ慣れてきており、リアル30名、オンライン34名の計64名が出席されました。議長は西出先生です。

西出議長より開会挨拶

西出議長

西出議長より、大学の状況とともに、早稲田学報の特集にもある「早稲田バカ」になぞらえて応化会100周年の活性化や後輩への支援に積極的に参加して欲しい旨をお話しされました。

 

濱会長挨拶

濱会長

リアル・オンライン含めて多くの方にご出席いただいたことへの感謝をまず述べられ、今日の評議員会では、応化会のアクティビティの紹介と、来年の100周年に向けての準備状況を紹介しながら、更なる活性化に向けて評議員の皆様からいろいろアイデアをいただきたいとの依頼がありました。

第1部:応化会の活動状況報告

 ① 各委員会・支部の活動状況紹介
椎名交流委員長からは、「交流会講演会」、「リモート工場見学(花王㈱)」などオンライン併用で積極的に活動を行っていること、「先輩からのメッセージ」の1月の企画紹介がありました。佐藤広報委員長からは、先生・卒業生へのインタビュー企画、全応化会報をアーカイブ化してホームページに掲載したことが報告されました。梅澤基盤委員長からは、7月の教員との懇談会で提起したキャリアデザイン支援を組み立て、若手・学生から取り組んでいくことが報告されました。

左より 椎名交流委員長、梅澤基盤委員長、佐藤広報委員長

学生委員会からは、岡委員長より、対面で新入生歓迎会、オリエンテーション、オープンキャンパスを開催したこと、キャリアデザインセミナーを8月に開催したことが報告されました。
若手部会からは、尾崎氏から、部会のミッション等の提示と活動計画の紹介、劉氏からは、企画に関わるNACs組織の新設とキャリアデザイン企画の構想が紹介されました。

左より 岡、尾崎、劉諸氏

友野中部支部長からは、支部総会、役員会をオンラインや対面で行ったこと、11月の交流講演会の紹介がありました。斎藤関西支部長からは、総会、役員会に合わせて講演会・懇話会を行っていることが報告されました。

 ② 各世代のアクティビティの紹介
同期仲間の交流が進んでいる新20期から、名簿整備で91%の会員と連絡が取れる状況になっていること、近況便りを発行してお互いの状況を通知し合っていることが紹介されました。研究室の代表者と語学クラスの代表者を決めて連絡を取り合い、また、活動の協力者を増やしていくことが活性化のポイントだそうです。

 ③ 活動に対する意見交換
キャリアデザインに対して、応用化学科のカリキュラムに入れられないか?との提案があり、先生方からも3年生対象の応化専門演習でOB/OGの方にお話しいただくことと、学生をエンカレッジする企画を作っていきたいとのコメントをいただきました。濱会長からも応化会の人脈は非常にポテンシャルを持っているので、キャリアデザイン支援企画等をぜひ進めていきたいとのコメントがありました。

第2部:100周年記念事業の準備状況と活性化策

 ① 各事業の準備状況の紹介

下村啓副会長

100周年担当の下村副会長より、先輩方の取組みの上に築かれた応化会を次の100年に向けて発展させる節目としたいという意気込みを述べられ、来年5月20日の田中愛治総長を招いての記念講演、リーガロイヤルホテルでの祝賀会、2023年応化会報秋号を特集号とした記念誌の準備状況が報告されました。
また、斉藤奨学生推薦委員より、昨年から再募集を行っている応化会給付奨学金への寄付額も目標の1,000万円まであと一歩の901万円まで積みあがってきたこと、奨学金の給付対象を学部生に拡大し、博士進学を啓蒙する「先輩博士からのメッセージ」企画が順調に進んでいることが報告されました。
若手部会の劉氏からは、次世代情報基盤の整備進捗について報告され、会員ネットワークの深化を目指した会員管理システムやコミュニケーションツールの検討が進んでいることが紹介されました。
今後、約1か月に1回の頻度で、準備状況をメルマガ等で配信しますので、評議員の皆様には、ぜひ同期・同門の方に周知していただきたいと思います。

 ② グループディスカッション
100周年記念事業への参加の拡大と活性化をテーマに、グループディスカッションを行いました。数多くのご意見を頂戴し、その内容を披露・共有しました。まとめますと、100周年の意義の伝え方、情報発信の手段・内容、企画の魅力度向上、参加の障壁の低減、当日の対応などになりますが、いただきましたご意見は、今後の役員会や各委員会での議論を通じて企画推進に活用してまいります。

グループディスカッションの説明

会長による総括

濱会長より今回の評議員会の総括として、全世代に魅力ある応化会にしたいという方針に沿って今後も活動を進めて、ネットワークを築いていきたいこと、100周年記念事業にいただいたご意見を活用していきたいことが述べられました。

校歌斉唱・エール

早稲田大学応援部のリードで、校歌を斉唱し、エールで締めました。

エール、校歌斉唱

評議員の皆様には、今後とも同期への連絡や寄付にご協力いただき、来年の記念式典ではぜひ会場が満杯になるほどのご出席をいただけますようお願いいたします。

(文責:基盤委員会 梅澤 宏明、写真:広報委員会)

 

2022/11/5・11/6 2022年度学生委員会理工展出展報告

11月5, 6日の土日に渡って理工展が開催され、応化会学生委員会は展示や演示実験、屋台の出店を行う 応化展 として出展しました。
その記事が学生委員会HPに記事がアップされましたのでご報告いたします。 続きはこちら

2022年度応化展(第69回理工展)

2022年度の応化展(理工展)は11月5日、6日の2日間に渡って天候にも恵まれて開催されました。入場制限も緩和され、連日多くの人で西早稲田キャンパスは通行制限が掛かるような場面もあり賑わいが戻ってきました。初日は教室側のペアレンツデーと重なっていたため、一部のスタッフも慌ただしい状況だった様です。


実験班
ケミカルライト、人工イクラ、芳香剤の3テーマに分かれて56号館502室(学生実験室)にてゲスト参加型の実演が行われました。

チーフ:竹本佳世さん

 

-準備に際して大変だったことは
昨年の人数制限の厳しい状況からの緩和で来場者が増えることが想定されたので、当初は人工イクラと芳香剤の2テーマで実施することを考えましたが、ケミカルライトを追加して体験実験(人工イクラ、芳香剤)に多くの方が同時に参加できるようにスペースを増やすなどの対応を検討したことです。
-実際の感触はいかがでしたか
初日は人数調整が思うようにいかず参加するスタッフのシフトの調整に苦慮しましたが2日目は初日からの修正もうまく回り多くの方に楽しんでいただけたのではないかと思います。
-シフトの話がありましたが、実験スペースを拡張するとスタッフも多く必要になりますが、どのように対応されましたか
新入生の歓迎会や女子会で学生委員の人数も増えていることが奏功して多くのスタッフに協力していただけたと思っています。
-今回の応化会の展示を受けて今後後輩たちに引き継いでいきたいことは
人気の高いテーマについて、楽しい実験実演企画を引き継いでもらえると嬉しいです。
-応化会からのサポートについてはどうですか
準備段階から慌ただしい日々が続いており、展示で配布する資料のコピーなどで応化会のサポートを頂けたことはとても有難かったです。


展示班
54号館B04教室(地下1階)にて、応用化学科の研究室紹介や大学のカリキュラムで使用される教科書や実験ノートの展示、及び有機溶媒の不要な界面活性剤、吸水性高分子の実演が行われました。
チーフ:元川龍之介さん

-今年の展示で特色を出してみようと考えたことは何ですか
個別相談ブースを設けて来場者の方からの質問を受けることを当初考えていましたが、臨機応変に対話していく手法を取り入れました。研究室紹介は簡単な提示ではなく研究室の詳細な内容や、研究室配属に当たってのプロセスをポスターにすることで具体化した展示になっていると思います。
-実際にやってみた感触はどうでしょうか
学外だけではなく今後研究室配属を経験する学部生にも自分の針路について深く知己を得る機会になったと思います。
-今後やってみたいと思うこと、後輩への期待は
研究室紹介はHPをもとに作成しましたが、研究室の教授や先輩方の話も伺いながら内容を充実させると、より分かりやすい内容になるのではないかと思います。
今回は研究室紹介など学術寄りの展示内容になっていますが、応用化学科を知っていただくもう一つの側面として学生生活にフォーカスした展示内容も面白いのではないかという話をスタッフとしていました。クラブ活動や遠方から通う学生の一日の様子など現実に沿った内容に生活感が表現出来るように思っています。
-チーフとして意識したことはありますか
来場者も学内のかたであったり、これから入学されるかた、父兄のかた、様々いらっしゃいます。それぞれにあった説明方法を取れるように工夫をすることを意識して、応化展の2日目には体現できるようになってきたと思います。

屋台
3年振りの再開で61号館脇のテントにて綿菓子の製造販売を実施しました。行列が途切れない人気店でスタッフは休む間もなく動き回る盛況な2日間になりました。
チーフ:白井亮太朗さん(左から2人目)

-屋台の再開は3年ぶりですが
今のスタッフの誰もが初めての経験の中、4月より構想を練って理工展事務局とも連絡を密に事務手続きを進めました。
-機材のレンタルなど含めて準備は大変だったのでは
屋台運営のためのサポートメンバーのシフトを組んだりと本番直前は慌ただしく動きましたが新入生のサポートもあり、初めて対面で作業する機会が多く作れたことが良い方向に進んだと思います。
-綿菓子の作成作業も手慣れたものになっているようですが
機械を持ち込んだあと少しだけ動作確認などする時間があったのですが、ほとんどはぶっつけ本番に近い形で動かしました。3年前の引継ぎ資料を参照しましたが、今年はそれよりもさらに来校される方が多く一生懸命やっている結果なのかなと感じています。
-苦労した点はありますか
屋台は一つのテントに入れる人数に制限(6名)があり、その中で作業しなければいけない制約があります。その中でも活気があるブースになってよかったです。
-チーフとしての感想はどうでしょう
引き受ける前は屋台の再開も不透明なところがありましたし、周囲からも心配されましたが、実際に再開が決まった後多くの方と話をする機会もあり、得難い経験が出来て今は嬉しい気持ちでいっぱいです。

(屋台前には長い行列が出来ており盛況ぶりが分かると思います)

(広報委員会 加来 恭彦)

「先輩からのメッセージ2023」の開催日程

早稲田応用化学会 交流委員会

 「先輩からのメッセージ」は、学生諸君の企業への理解を深める時期が余裕をもって確保できるよう、開催日を2023年1月21日(土)とし、準備を進めています。
 学生諸君には参加へ向けてのスケジュール調整をお願いいたします。
当日は、日本を代表する各社に在籍されているOB・OGの皆様から直接に、学生諸君の疑問や不安について適切なアドバイスがいただけますので、将来の進路決定にも必ず役立つものと確信しております。
 本年度の実施形態は、対面、リモートの両面で準備し、新型コロナウィルスの状況により11月末に決定いたします。
 詳細な内容ならびに参加の申し込みは、改めて12月中旬にホームページおよびメールマガジンにてご案内いたします。

1.日 時 2023年1月21日(土) 時間(開催形態により別途連絡)

2.実施方法

実施方法詳細は12月中旬にご案内いたします。 
「先輩からのメッセージ」は、一般の企業説明会と異なり、企業概要、仕事の紹介にとどまらず、応化OB/OGより直接に、会社生活や日常、普段考えていることや雰囲気などを親しく聞けることを特色としています。

3.対象学生 学部生、大学院生(修士、博士、一貫制博士)

(進路決定を間近に控えた学部3年、修士1年、博士、一貫制博士課程修了予定者を主体としていますが、将来へ備えての学部1・2・4年生、修士2年生の参加も大歓迎です。)

4.お問合せ 

本件に関する問い合わせ・要望等は下記の専用アドレスまでお願いいたします。

       guidance_2022@waseda-oukakai.gr.jp

 

 

 

2022年度早桜会講演会(報告)

 2022年度早桜会講演会を2022年10月8日(土)に中央電気倶楽部で実施いたしました。今回の講師には大宮理先生(河合塾講師)をお迎えし、「大学入試から見る化学」という演題でご講演して頂きました。

 18歳人口が年々減少する中、予備校業界は厳しい立場におかれており、暗記主義的な教育が化学嫌いを量産しているという現状を冒頭話されておりました。現代社会の高校生は昔と比べて物に触れる機会がどうしても減少し、物質観が希薄になる中、複雑な化学式や計算が先行し知識の順番が逆になっているということもお話しされていました。大学進学を果たすうえではまず大学入試を突破する必要があり、学生は当然その対策をするので結局の所、大学入試の問題が高校生の勉強の方向性を決めます。したがって、大学入試の問題は教訓的、教育的な観点が大事です。大宮先生は入試問題は、あいまいな問題や暗記主義的な問題ではなく、役に立つ化学の視点を問うような問題が良いとお話しされていました。

 実際に近年の大学入試の問題も紹介して頂きましたが、非常に難しい問題、処理量の多い問題がたくさん出題されていると感じました。教科書の内容が改定され、エンタルピーやエントロピーを高校で教えるというのは驚きでしたが、現状も問題文の中でヒントを与えながら大学レベルの内容を問うような問題が出題されており、受験生も大変だと感じました。また、せっかく良い問題を出題しても問題が複雑すぎて時間内に処理出来ないことから飛ばされてしまい、あまり用をなさないという話もされており、分量が多すぎるというのもむしろ弊害になっている現状があります。

 昨今の時代の流れで予備校でもオンライン化が進んでいます。しかし対面で授業を行い、実際に物に触れ、互いに議論する中で初めて理解が深まっていくこともたくさんあります。そういったことがだんだんと希薄になっているようにも思います。大学入試の問題を皮切りに、日本の教育問題にまで踏み込んだ深い議論がなされ、質疑応答も活発に行われて有意義な時間となりました。久しぶりの対面開催であり、web開催時より幾分か議論が活発だったように思います。講師を務めてくださった大宮先生に改めて感謝の意を表し、今回の報告とさせて頂きます。

 (文責:三品)

 

【出席者(12名)】

井上征四郎(新12) ,津田實(新7),市橋宏(新17),田中航次(新17),岡野泰則(新33),斎藤幸一(新33), 和田昭英(新34), 脇田克也(新36),  數田昭典(新51), 澤村健一(新53), 原敬(新36),三品建吾(新59)(議事録)

 

 

「リモート学生工場・企業施設見学」レポート
(花王エコラボミュージアム)

 

  1. 見学趣旨

大学側の教育行事として、応化学生に対し学部1、2年生を対象に、工場・研究所・企業施設見学を催行し、企業の製造、生産管理、研究開発等の実態を学ばせ、今後の勉学への動機付けを行うことを目的とします。
本企画の主管は教室で、交流委員会が支援をしています。
従来、開催時期は夏休み中の後半の平日とし、先生が引率、交流委員は同伴として西早稲田キャンパスからバスを利用し、日帰りで往復可能な地区の工場・研究所および企業施設を見学してきました。
新型コロナウィルス感染拡大により対面方式での工場・研究所および企業施設見学が実施できない状況が続いており、昨年同様リモートツールを利用した企業訪問を行いました。

  1. 概要

【日程】 2022年9月20日(火) 13時30分~16時00分
【リモートツール】 Zoom
【訪問先】 花王(株)和歌山工場内・花王エコラボミュージアム 

  1. 参加者

【参加学生】対象:応用化学科学部1年生、学部2年生の希望者

学部1年生:11名、学部2年生:10名、合計21名

【引率】 梅野 太輔 教授、須賀 健雄 准教授、下嶋 敦 教授、合計3名
【同伴交流委員(Zoom操作、進行担当)】椎名 聡 交流委員長(新36、日本航空)、合計1名

【花王】 研究開発部門 人財開発部 田村 辰仙 様、曽我 聡子 様

花王エコラボミュージアム 細川 泰徳 花王エコラボミュージアム館長

麻田 貴広マネジャー(花王エコラボミュージアム担当)

松田 幸子 様、高橋 雄一 様、梶 敦彦 様

サニタリー研究所(栃木事業所)

安藤 英悟 様(新66:西出、小柳津、須賀研、2018年入社)

辻村 織恵 様(新65:西出、小柳津、須賀研、2017年入社)

スキンケア研究所(栃木事業所)陶山 優 様(新65:細川研、2017年入社)

 

  1. 花王エコラボミュージアム

住所 〒640-8580 和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社 和歌山工場内 TEL: 073-426-1285
【花王エコラボミュージアム・ホームページより引用】 

https://www.kao.com/jp/corporate/about/tour/museum-tour/eco-museum/

“いっしょにeco”を知る、体験する――
地球環境と花王のエコ技術の情報発信ミュージアム
花王の製品は、ほとんどが毎日のくらしの中で使うものです。だから、花王は、環境に配慮したモノづくりをめざして、原材料選びから、ごみに出すまでのすべてをエコロジー視点で考える、“いっしょにeco”に取り組んでいます。
その一環として、先端のエコ技術を体験していただくために開設したのが、「花王エコラボミュージアム」です。
アタマ・カラダ・ココロを刺激する展示や映像、体験プログラムによって、地球環境のいまや、花王のエコ技術に触れてみませんか?
「花王エコラボミュージアム」での経験や知識をご家庭に持ち帰り、身近なくらしの中で生かしていただけることを願っています。

花王エコラボミュージアム建物全体写真およびエントランス写真

  1. スケジュール

13:30~13:40 オープニング
13:40~15:00 花王エコラボミュージアム見学・Q&A 
15:00~15:05 休憩
15:05~15:55 OB/OG懇談会(ブレークアウトセッション 3回)
15:55~16:00 クロージング

  1. 詳細

【第1部】 花王エコラボミュージアム見学・Q&A

1942年に設立したグループ最大の研究・生産拠点で、シャンプー、リンス、衣料用洗剤と言った家庭用製品から多種多様な工業用製品まで生産する和歌山工場内のエコテクノロジーリサーチセンター1階にある『花王エコラボミュージアム』からZoomによるライブ配信を行い、参加学生と双方向のコミュニケーションをとりながら見学が行われました。
花王の歴史、研究開発部門の説明に続き、1887年の創業以来、「よきモノづくり」を愚直なまでに追求し、暮らしに変化を提供し続ける企業として、花王ESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」 に沿った地球環境や社会に配慮した取り組みについて、「地球環境問題」「原材料」「製造工程」「輸送、販売」「製品の使用」「再利用、廃棄」の展示ブースや映像を通じてわかりやすく説明がなされました。
界面活性剤製造における先端のエコ技術など応用化学科の学生にとって興味深い内容も含まれ、原材料選びから、ごみに出すまでの製品のライフサイクルにおけるさまざまな取り組みを理解することが出来ました。

花王エコラボミュージアム

◎ 全体的な見学会の感想、環境問題など印象に残った事について 

・ 製品のライフサイクルにおいて消費者が使用する時に最もCO2が排出されるため、それを減らす商品開発に取り組んでいるという話が印象に残った。一方で詰め替え用の購入や水をこまめに止めるといった自分たちの意識で排出量を減らすことも可能である。そういう所で私たちも意識的に排出量を減らす取り組みに協力していくのも大切だと感じた。

・ 花王は家庭用製品事業のイメージが強く、その他にも多様な工業用製品の製造や研究が行われている事を知ることが出来た。

・ 自社の歴史や商品を伝えるためだけでなく、環境問題を可視化できる展示方法が良かった。

・ 花王製品と環境にも配慮したものづくりについて全体像をバランス良く説明してもらえた。原材料から廃棄までトータルに考えているのが理解できた。

【第2部】 OB/OG懇談会(ブレークアウトセッション 3回)

花王の研究開発部門で活躍している応用化学科OB/OGに自己紹介・業務内容をご説明いただいた後、Zoomブレークアウトルームで3グループに分けて懇談会を行った。 参加学生からの下記の質問を中心に、OB/OG懇談会を実施しました。

・ 学校で勉強した知識の活かし方

・ 学生時代にしておいた方が良いこと

・ 学生時代に取り組んだこと

・ 就職の考え方や準備について

・ 博士の活躍の場について

◎ OB/OG懇談会での感想や今後の学業・研究生活へ受けた影響について

・ 大学での研究がさまざまなところで活かされると聞いて、一つ一つの実験を大切にしようと思った。

・ 今後はデータサイエンスも必須だと知り、勉強の意欲が湧いた。

・ 学生時代に幅広く学習・経験することが大事で、会社に入ってから新たに学ぶことも多い事を知った。

・ 実際に現場で働く人の声を聞く、貴重な機会だった。

・ 学部卒での就職を考えていたが、研究職で活躍している先輩方をみて大学院進学を検討しようと思った。

 

  1. 見学後記

「花王エコラボミュージアム」の施設は素晴らしく、またリモート見学でありながら現地で見学しているかの様にカメラワークを駆使しながら映像も取り入れたプレゼンテーションがなされ、各ブース担当の社員の皆さまも応用化学科の学生に合わせたご説明で大変理解しやすい内容でした。ご準備頂いた花王の皆様の “よきモノづくり” の精神がとても感じられました。
また、花王で活躍される応用化学科OB/OGの皆さまも、参加した学生にとって今後の勉学へのヒントとなるように自己紹介や業務内容について簡潔にお話しされ、懇談会では短い時間でしたが学生の質問に丁寧にご対応いただきました。
この様な貴重な機会に参加学生が21名と少なかったことは残念でしたが、参加した学生にとって興味深い場になったと思われます。
今回ご協力くださいました 花王株式会社様 には、この場を借りて深く御礼申し上げます。

花王エコラボミュージアム見学後の集合写真

以上

(報告:広報学生委員 原田 拳太、小川祐輝、交流委員会 椎名 聡)