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早稲田地球再生塾(WERS)創設記念シンポジウムのご案内

早稲田大学理工学術院総合研究所では早稲田地球再生塾(WERS)を立ち上げ、バイオエコノミーやSDGsへのアカデミア、企業、政府各々としての対応も含めて討議する場を作ることをと考えており、その創設記念シンポジウムが4月6日(金)に55号館N棟1F第2会議室において開催されます。

木野邦器先生の開会のご挨拶のあと、経済産業省の末松広行局長、国連のSDGsの顧問をされている西口尚宏専務、東大の五十嵐圭日子先生、早稲田大の松方正彦先生ほか多くの著名な先生方にご登壇を頂きます。

下記ボタンからお申し込みサイトに入り、申請のボタンをクリック頂きますと詳細な記入項目が出ます。こちらに記載頂き、申し込み頂くと登録されますので、奮って参加のほどお願いします。

 

今回のシンポジウム参加者数の把握と今後のメーリングリスト作成の為、お手数ですが申請フォームからのご登録をお願い申し上げます。

尚、詳細は下記HPアドレスでご確認下さい。

https://www.waseda.jp/fsci/wise/news/2018/03/05/1547/

 

以上

 

第16回 先生への突撃インタビュー(下嶋 敦教授)

下嶋敦教授

「先生への突撃インタビュー」の再開の4番バッター(第16回)として下嶋敦教授にご登場願うことにしました。
今回も学生にインタビュアーとして参加をしてもらい、応化会の本来の姿である先生・学生・OBの3者による合作を目指しました。下嶋先生にも快く賛同していただきましたことを、この場をお借りしてお礼申し上げます。
下嶋先生は、1995年 早稲田大学理工学部応用化学科卒、1997年 同大学院理工学研究科修士課程修了、1997-1999年 昭和電工(株)、2002年 早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程修了・博士(工学)、2002-2005年 日本学術振興会特別研究員(PD)、この間(2004〜2005年) カリフォルニア大学サンタバーバラ校訪問研究員、2005年 科学技術振興機構CREST研究員、2006年 東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻助手、2007年同助教、2008年同准教授、2013年4月より早稲田大学理工学術院准教授、2017年4月より同大学教授となられています。また、2006年度に日本セラミックス協会進歩賞を、2017年度には早稲田大学リサーチアワードを受賞されています。

・先生が研究に本格的に取り組み始めたキッカケはなんですか?
     ~社会人になりたてで、学術誌に2報の論文が掲載されたことも大きかったですね~

子供の頃からファインセラミックスや炭素繊維などのいわゆる「新素材」に関心があり、またその一方で昆虫や魚などの生き物が好きでバイオにも興味を持っていましたので、早稲田の応用化学科に入りました。学部時代はあまり勉強熱心な学生とは言えませんでしたが、研究室に配属されて黒田先生、菅原先生のご指導のもと卒論研究に着手すると、材料合成の楽しさに目覚めました。最初にいただいたテーマが分子の自己組織化に基づくユニークなもので、何か新しい材料が生まれそうだとワクワクしながら実験していたのを覚えています。修士課程修了後は化学メーカーに入社し、2年ほど電子材料の研究開発に携わりましたが、この間に大学時代の研究成果が2報の論文として学術誌に掲載されたことで、大学で基礎研究を続けたいという想いが強まり、意を決して大学に戻りました。博士後期課程からポスドク時代を含めた数年間は、主に分子設計に基づくシリカ(SiO2)系ナノ構造体の合成研究に没頭する日々を過ごし、多くの失敗を積み重ねながらも、その過程でさまざまな経験と知識を蓄積し、現在の研究につながる基盤を築きました。応用化学科の教員に着任する前の東京大学在職中(2006〜2013年)には、より工学的な研究の視点を養うと同時に、企業との共同研究で産学連携の貴重な経験を多く積むことができました。

・技術的内容で先生がポイントと考えておられる点はなんですか?
      ~無機合成を高度化するために幅広い知見を活用していくこと~

無機材料の合成というと焼成などの高温プロセスによるものがイメージされますが、温和な液相プロセスをベースとすることで、有機物とのハイブリッド材料の合成や、有機合成のようなstep-by-stepの精密合成、さらに分子や粒子の自己組織化を利用した高次構造体の構築などが可能となります。ガラスのようなありふれた材料であっても、分子スケールからマクロスケールで精密かつ階層的に構造制御することで、これまで報告されていないような新たな機能発現が期待できます。そのためにはさまざまな手法を取り入れた高度な合成技術が必要となります。また実用化に向けては、資源豊富な原料を用いて、いかに効率的かつ低環境負荷のプロセスで有用な材料を創出するかが、これからの時代は重要と考えています。

・先生の研究理念を教えてください。
    ~学術的新規性とオリジナリティがベースに~

 研究テーマ設定の際は、具体的な応用の出口を見据えつつ、何よりも学術的な新規性やオリジナリティ、さらに波及効果を重視しています。研究の目的は明確である必要がありますが、一見マニアックな合成研究でも、その価値や意義を信じて何年かかっても粘り強く遂行することが、革新的な技術開発につながると考えています。合成研究はいまだトライアンドエラーに依存する部分が大きく、思うような結果が得られないことも多いですが、どんなささいな現象でも見逃さず、そこから新たな展開に結びつけるよう常に心掛けています。

・関連質問として企業の研究と大学の研究の違いは?

企業の研究テーマは一般的にはニーズ先行型で、その評価は比較的短期的なスパンで行われることが多いと思いますが、大学の研究は新たなシーズを創出し育てることも重要な使命であり、また、自由な発想に基づいて自分が納得できるまで長く粘り強く継続できる面白さがあります。個々人でどちらに向くかは違いがあると思いますが、自分としては短い期間ながらも企業の研究を経験できたことがその後の学術研究にも大きなプラスになったと感じています。

・これからの研究の展望を聞かせてください。
    ~新しい機能創出につながるシーズプッシュ的な合成研究を目指したい~

 現在、黒田先生、和田先生と連携して研究活動を行っております。研究室としては環境・エネルギー・医療などさまざまな分野への応用を目指し、多孔体をはじめとするナノ材料の合成に特に力を入れています。世界でもこの四半世紀の間に、自己組織化プロセスや、各種鋳型を用いた無機ナノ材料の合成化学は大きく進歩しましたが、まだまだ未踏の課題が多く残されており、今後大きな発展の余地があります。たとえば、触媒や分離など広範な応用のあるゼオライトのような結晶性シリカ多孔体を自在に設計できる新しい合成ルートの開拓に長年取り組んできましたが、最近になって大きな進歩が見られています。また、新たな機能材料の創出にも積極的に取り組んでいます。ガラスのようなSi-O-Si骨格をベースとした動的機能材料はそのひとつであり、現在のところ、光照射によって可逆的に変形する材料や、pHや温度変化によって表面の親水性/疎水性を変化させる材料、また、ひび割れなどの損傷を自発的に修復する材料などを主なターゲットとして研究を進めています。いずれも材料設計の鍵となるのは、精密な構造制御となりますが、そのためには合成化学をさらに深化させて行く必要があります。

・応用化学会の活動への期待を聞かせてください。
     ~学生にとって情報の宝庫~

 応用化学会では、様々なイベント・講演会の企画や積極的な情報発信を行っていただいており、学生・教員ともども大変お世話になっております。特に就職活動に関しては、多方面で活躍されているOB・OGの皆様に学生が気軽に相談し、貴重な情報やアドバイスをいただける環境はとても有意義と思います。是非これからも活発な活動を継続していただけたら有り難く存じます。

・100周年を迎えた応用化学科についてコメントを聞かせてください。
      ~歴史の重みの上に発展を~

 100周年を機にこれまで応用化学科が歩んできた歴史を振り返り、諸先輩方が積み上げてきた伝統の重みをあらためて感じております。それらをしっかりと継承しつつ、応用化学科が国内外でさらにプレゼンスを高め発展していけるよう教育、研究に力を注ぎたいと思います。

・21世紀を担う皆さんへのメッセージをお願いします。
     ~個を活かす活躍を期待~

持続可能な社会の構築に向けて、応用化学が貢献できる分野は多いと思います。一方、国際的な競争は激しさを増しており、研究開発で世界をリードするためには分野横断的な考え方や独創的なアプローチが必要です。応用化学科の学生の皆さんにはぜひ深い専門性と広い視野を身につけたうえで、自らの個性や創造力を活かして世界で活躍できる人材に成長していただきたいと思います。

参考資料:

応用化学科・教員・研究紹介
 https://www.waseda-applchem.jp/ja/professors/shimojima-atsushi/

研究室紹介
    http://www.waseda.jp/sem-kuroda_lab/

インタビュアー&文責: 村瀬菜々子(学生広報班チーフ)、井上 健(新19回)

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過去の突撃インタビュー

教室会員受賞

hosyo

2018-02-01掲載

上手 裕紀子(応用化学専攻・関根研究室 M2)
水素エネルギー協会
第37回大会 学生優秀発表賞
2017年度
山口 潤一郎(応用化学科・准教授)
日本化学会(The Japan Chemical Society Japan)
第42回化学教育賞(The Chemical Society of Japan Award for Merits for Chemical Education for 2017)
2018年3月

2018-01-29掲載

武藤 慶 (応用化学科・山口研究室・助教)
公益社団法人 井上科学振興財団(Inoue Foundation for Science)
第34回井上研究奨励賞
2018年2月
佐藤 裕亮(応用化学専攻・西出・小柳津・須賀研究室 M1)
第7回CSJ化学フェスタ2017
優秀ポスター発表賞
平成29年度
若松 久人(応用化学専攻・西出・小柳津・須賀研究室 M1)
第7回CSJ化学フェスタ2017
優秀ポスター発表賞
平成29年度
坂本 昌樹(応用化学専攻・西出・小柳津・須賀研究室 M1)
第7回CSJ化学フェスタ2017
優秀ポスター発表賞
平成29年度
滝渕 亮太(応用化学専攻・門間研究室 M2)
日本化学会
第7回CSJ化学フェスタ2017優秀ポスター発表賞(CSJ Poster Presentation Award2017 for Excellent Research)
2017年度
齋藤 祥平 (応用化学専攻・黒田・下嶋・和田研究室 D2)
公益社団法人 日本セラミックス協会
第30会秋期シンポジウム。特定セッション「元素ブロック:セラミックス科学と合成化学のクロスロード」 学生優秀講演賞
2017年度
野田 優 (応用化学科・教授)
IEEE Electron Devices Society
2016 EDS Paul Rappaport Award
2017年12月
鷺池 遙 (応用化学専攻・松方研究室 M2)
日本ゼオライト学会(Japan Association of Zeolites)
第33回ゼオライト研究発表会・若手優秀講演賞
2017年11月

2017-11-15掲載

佐藤 裕亮 (応用化学専攻・西出・小柳津・須賀研究室 M1)
The 17th IUPAC International Symposium on MacroMolecular
Outstanding Poster Presentation Award
平成29年度
安藤 英悟 (応用化学専攻・西出・小柳津・須賀研究室 M2)
Japan-Taiwan Bilateral Polymer Symposium 2017
Best Poster Presentation Award
平成29年度

2017-10-06掲載

佐藤 綾香 (関根研究室 M1)
触媒学会
天然ガスセッション学生最優秀講演賞
2017年9月
関 裕文 (関根研究室 M1)
触媒学会
天然ガスセッション学生優秀講演賞
2017年9月
程 鹿々 (黒田・下嶋・和田研究室 M1)
日本ゾル-ゲル学会
日本ゾル-ゲル学会第15回討論会ベストポスター賞
2017年

2017-09-23掲載

小林 玄輝(M1)
化学工学会
学生奨励賞
2017年8月
町田 慎悟(先進理工学研究科 応用化学専攻 菅原研究室 助手 D2)
第33回日本セラミックス協会 関東支部研究発表会
優秀賞
2017年8月
香村 惇夫(先進理工学研究科 応用化学専攻 菅原研究室 助手 D3)
第33回日本セラミックス協会 関東支部研究発表会
優秀賞
2017年度

2017-09-05掲載

池 勇樹(平沢・小堀研究室 M2)
化学工学会
化学工学会 東京大会 学生賞・奨励賞
2017年度
下端 健吾(平沢・小堀研究室 M1)
化学工学会
化学工学会 東京大会 学生賞・奨励賞
2017年度
小池 正和(応用化学専攻・黒田・下嶋・和田研究室 M2)
日本粘土学会
平成29年度学術振興賞
2017年度

2017-08-21掲載

佐藤 俊裕(野田・花田研究室 M1)
化学工学会・関東支部
化学工学会 東京大会2017 優秀学生賞
2017年8月
葛原 颯己(野田・花田研究室 M1)
化学工学会・関東支部
化学工学会 東京大会2017 学生特別賞
2017年8月
前田 陽平(野田・花田研究室 M1)
化学工学会・関東支部
化学工学会東京大会2017 学生奨励賞
2017年8月

2017-08-12掲載

佐藤 俊裕(野田・花田研究室 M1)
東京大学-北京大学ナノカーボン連携研究COE
Best Proposal Award

2017-07-01掲載

吉原 慶(応用化学専攻 松方研 M2)
日本膜学会
学生賞
佐藤 綾香(応用化学専攻 関根研 M1)
石油学会
JSポスター最優秀賞
佐藤 綾香(応用化学専攻 関根研 M1)
16th Korea-Japan Symposium on Catalysis
Oral Presentation Award

2017-05-23掲載

山口 潤一郎(応用化学科 准教授)
平成29年度科学技術分野の文部科学大臣賞
若手科学者賞
2017年度

2017-05-10掲載

権東 阿美(応用化学専攻 関根研 M2)
第119回討論会
学生ポスター発表賞
2017年度
牛木 涼友(応用化学専攻 松方研 D2)
第119回討論会
学生ポスター発表賞
2017年度

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2016年度

2017-05-10掲載

斎藤 翔平(応用化学専攻 黒田・下嶋・和田研 D1)
JXエネルギー若手研究者奨励研究
JXエネルギー優秀研究賞
2016
橋爪 裕太(応用化学専攻 野田研 B4)
化学工学会第82年会
学生奨励賞
2016
佐藤 俊格(応用化学科 野田研 B4)
化学工学会第82年会
優秀学生賞
2016
岡田 翔平(応用化学専攻 野田研 M1)
化学工学会第82年会
優秀学生賞
2016
三浦 正太(応用化学科 野田研 B4)
化学工学会第82年会
最優秀学生賞
2016
安田 訓之(応用化学専攻 松方研 M2)
化学工学会第82年会
優秀学生賞
2016
戸巻 圭佑(応用化学専攻 松方研 M2)
化学工学会第82年会
優秀学生賞
2016
堀 圭佑(応用化学専攻 野田研 M2)
4th DGIST-WASEDA Workshop on Electrochemistry
Best Presentation Award
2016
Yunwen Bu(応用化学専攻 門間研 D2)
4th DGIST-WASEDA Workshop on Electrochemistry
Best Presentation Award
2016

2017-02-08掲載

内田 早紀(応用化学専攻 黒田・下嶋・和田研 M1)
日本化学会秋季事業第6回CSJ化学フェスタ2016
優秀ポスター発表賞
2016
小澤 耕多(応用化学専攻 黒田・下嶋・和田研 M1)
日本化学会秋季事業第6回CSJ化学フェスタ2016
優秀ポスター発表賞
2016
杉原 めぐみ(応用化学専攻 黒田・下嶋・和田研 M2)
日本化学会秋季事業第6回CSJ化学フェスタ2016
優秀ポスター発表賞
2016
司馬 寛也(応用化学専攻 黒田・下嶋・和田研 M2)
日本化学会秋季事業第6回CSJ化学フェスタ2016
優秀ポスター発表賞
2016
森 聖矢(応用化学専攻 黒田・下嶋・和田研 M2)
日本化学会秋季事業第6回CSJ化学フェスタ2016
優秀ポスター発表賞
2016
伊藤 駿(応用化学専攻 黒田・下嶋・和田研 M2)
日本化学会秋季事業第6回CSJ化学フェスタ2016
優秀ポスター発表賞
2016
岸田 泰輔(応用化学専攻 西出・小柳津・須賀研 M2)
日本化学会秋季事業第6回CSJ化学フェスタ2016
優秀ポスター発表賞
2016
諏訪 康貴(先進理工学専攻 西出・小柳津・須賀研 LD1)
日本化学会秋季事業第6回CSJ化学フェスタ2016
優秀ポスター発表賞
2016

2017-01-27掲載

高畠 麻美(応用化学専攻 野田研究室 M2)
化学工学会 北海道・東北・関東支部化学工学福島大会2016
学生賞銅賞
2016
葛原 颯己(応用化学専攻 野田研究室 M1)
化学工学会 北海道・東北・関東支部化学工学福島大会2016
学生賞銅賞
2016
北川 紗映 (応用化学科 野田研究室 B4)
化学工学会 北海道・東北・関東支部化学工学福島大会2016
学生賞銅賞
2016
戸巻 圭祐 (応用化学科 松方研究室 M2)
日本膜学会
学生賞
2016

2016-12-04掲載

青井 滋喜(応用化学専攻 野田研究室 M2)
化学工学会 反応工学部会 CVD反応分科会
分科会・学生奨励賞
2016
永井 款也(応用化学専攻 野田研究室 M1)
化学工学会 反応工学部会 CVD反応分科会
分科会・学生奨励賞
2016
吉川 晶(応用化学専攻 黒田・下嶋・和田研究室 D2)
日本セラミックス協会 第23回秋季シンポジウム
学生優秀講演賞
2016
須藤 充人(応用化学専攻 菅原研究室 M2)
日本セラミックス協会 第23回秋季シンポジウム
学生優秀講演賞
2016

2016-11-11掲載

江戸 倫子(応用化学科 野田研究室 B4)
フラーレン・ナノチューブ・グラフェン学会
第51回フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム若手奨励賞
2016
香村 惇夫(応用化学専攻 菅原研究室 D2)
第32回日本セラミックス協会関東支部研究発表会
優秀賞
2016/9/21
岡田 篤樹(応用化学専攻 関根研究室 M2)
触媒学会第118回討論会講演賞2016
岩崎 晃聖(応用化学専攻 関根研究室 M2)
触媒学会第118回天然ガスセッション最優秀講演賞2016
齋藤 晃(先進理工学専攻 関根研究室 LD2)
触媒学会第118回天然ガスセッション最優秀講演賞2016

2016年9月掲載分

  • 大園千尋(応用化学専攻 平沢研究室M1)
    BIWIC2016 ポスター
    2016年9月
  • 本間敬之 (教授)
    日本学術振興会
    平成27年度特別研究員審査会専門委員表彰
    2016年度
  • 戸巻 圭祐 (松方研究室 M2)
    The 10th Conference of Aseanian Member Society(AMS10)  
    Student Poster Award
    2016年度
  • アッターヘル アハマド モハッメド ガイス (松方研究室 D3)
    The 10th Conference of Aseanian Member Society(AMS10)  
    Student Poster Award 
    2016年度
  • 木野 邦器 (教授)
    日本生物工学会  第24回生物工学論文賞
    2016年5月
  • 下島 洋(木野研究室 現:朝日研究室所属)
    日本生物工学会  第24回生物工学論文賞
    2016年5月
  • 辻村 織恵(高分子化学(西出・小柳津・須賀研究室)M2)
    Pure and Applied Chemistry International Conference  Best Poster Presentaion Award
    2016年2月(2015年度分)
  • 佐藤 歓(西出・小柳津研究室 一貫制博士4年)
    繊維学会  平成28年度繊維学会年次大会  若手優秀発表賞
    2016年5月
  • 栃木 和真(黒田・下嶋・和田研究室 M1)
    紛体粉末冶金協会  平成28年度春季大会  優秀講演発表賞
    2016年5月
  • 吉川 昌(黒田・下嶋・和田研究室 D2)
    紛体粉末冶金協会  平成28年度春季大会  優秀講演発表賞
    2016年5月
  • 桐村 光太郎 (教授)
    (公)長瀬科学技術振興財団   長瀬研究振興賞
    2016年4月
  • 岡田 篤樹 (関根研究室 M2)
    石油学会   第5回ポスターセッション
    2016年5月

2015年度以前の受賞

豊倉賢名誉教授 瑞宝小綬章 叙勲

2017年4月29日、豊倉賢名誉教授は、瑞宝小綬章を叙勲され、5月11日に、伝達式が行われた。

豊倉名誉教授ごあいさつ

先生のご功績は、工業装置内晶析現象で新しく考案した無次元結晶粒径・溶液過飽和度を用いて所望結晶製品を工業規模で生産出来る晶析装置・操作の設計理論を世界に先駆けて確立したことに加え、工業晶析装置内の2次核発生や結晶精製の新現象も発表して製品結晶品質向上や生産コスト削減を容易にし、世界の晶析研究・結晶生産工業の発展に貢献した点にある。

豊倉名誉教授に、ご薫陶を受けたOBが、2017年7月29日(土)リーガロイヤル東京 サファイアに参集し、盛大な祝賀会を実施した。海外から、マルティンルター大学 ヨアヒムウーリッヒ教授も、急遽来日し、OBとともに、恩師の叙勲をお祝いした。同門のOB会としては、先生のご退職以来の実施であり、18年ぶりの再会に話が盛り上がり、飲食も忘れて昔話に花が咲いた。


瑞宝小受章 勲記

豊倉名誉教授ご夫妻とウーリッヒ教授

祝賀会の記念写真

 

 

 

 

 

(新18回 鶴岡洋幸、新26回 平沢 泉)

第15回 先生への突撃インタビュー(野田 優 教授)

「先生への突撃インタビュー」の再開の3番バッター(第15回)として野田優教授にご登場願うことにしました。
今回は学生にもインタビュアーとして参加をしてもらうと同時に新任の佐々木広報委員長にも参加を願い、応化会の本来の姿である先生・学生・OBの3者による合作の新バージョンを目指しました。野田先生もこの試みに快く賛同していただきましたことを、この場をお借りしてお礼申し上げます。
野田先生は、1994年東京大学工学部卒業、99年同大学院工学系研究科 化学システム工学専攻博士後期課程修了・工学博士、1999年~2007年東京大学助手2007年~2012年同准教授を経て2012年より早稲田大学理工学術院教授、2009年~2013年JSTさきがけ研究員(兼任)をされています。また、2005年には化学工学会奨励賞を、2014年度春学期と2016年度春学期に早稲田大学ティーチングアワードを受賞されています。

野田 優教授

先生が研究に本格的に取り組み始めたキッカケはなんですか?

  ~中学は科学部、高校は化学部に~
 子供のころから自然科学に関心がありました。高校時代には、エネルギー問題に加え、温暖化、オゾン層破壊、酸性雨などの環境問題がクローズアップされ、クリーンエネルギー技術に携わりたいという想いを持つようになりました。この考えで、化学工学系の学科(東京大学 工学部 化学工学科・現 化学システム工学科)に進学、大気環境技術の故・定方正毅先生の研究室に入りました。学生の自主性を重んじ、自由に研究させてくれたこともあり、研究の面白さに目覚め、博士課程まで研究に没頭しました。
 学位取得後は、縁あって隣の研究室の小宮山宏先生の助手に採用され、材料研究へと転身しました。半導体産業での各種薄膜の気相プロセスによる製膜研究と知の構造化に従事、このときのプロジェクトで松方正彦先生にも大変お世話になりました。丸山茂夫先生との共同研究でカーボンナノチューブに着手、山口由岐夫先生のもとでのナノテク研究を通じ、「小さなモノを大きく創る」ナノ材料の実用合成、材料プロセス工学に本格的に取り組み始めました。2012年9月に縁あって応用化学科に着任後は、エネルギー技術を専門とされる先生方も多く、お力添えを頂きながら、蓄電デバイスや太陽電池などのクリーンエネルギー技術の性能とコストを、実用的なナノ材料プロセス技術により革新すべく研究に取り組んでいます。

技術的内容で先生がポイントと考えておられる点はなんですか?

  ~基礎と応用の相互コミュニケーションとシナジーが重要~
 ナノテクは広範な技術革新を起こすと大いに期待されている反面、実用例が限られることが問題とされています。新たなナノ構造体を創製し、新規な特性・機能を見出す0から1を生む研究はもちろん重要ですが、分かり易いオリジナリティーを優先するあまり、1を100に仕上げる研究が立ち遅れていると考えます。後者の仕事は、従来は企業の役目と考えられがちでしたが、多様な候補材料がある中、数ナノメートルという微小スケールで企業単独で実用技術に仕上げるのは困難です。例えば、ナノチューブ1本を測定したら素晴らしい物性が出た、こんな夢のデバイスができそうといった論文がよくあります。それだけで、企業に製品を作って下さいというのは無理があります。基礎はますます基礎に向い、応用は複雑・高度化し、両者の距離が開いてしまっています。良いものを上手く作るのが化学工学の本来の役割であり、ナノ材料の特性を保ったまま、簡易に大規模に創ることが自分のミッションと考えています。
 もう一つは考え方のベクトルです。オリジナリティーはもとより重要ですが、シーズ志向がとても強いと感じます。例えば、我が国発の技術で○○を解決する、我が国の強い△△を更に発展させるといった具合です。また、過去に専門家が設定したロードマップを重視し、ロードマップを達成することが目的になっていないかも危惧します。これらはフォアキャスト型と言えると思います。一方で、社会にとってみれば、課題解決が重要であり手段は問いません。既にある知識・技術を適切に組み合わせてプランを策定し解決すれば幸いですし、どうしても要素が足りない場合はその要素を研究・開発する考え方も重要と思います。課題が明確になっている場合はニーズ志向ですが、今の日本は解決した後の未来像をはっきりと持てない状況にもあると思います。理想的な未来社会像を描き、それに至るシナリオを描き、個別課題を設定し、研究計画を立案し取り組む、バックキャスト型も重要です。急激に変化する世界の情勢も踏まえロードマップは随時更新、バックキャストとフォアキャストを行き来し臨機応変に取り組むこと、また個々人が基礎研究、応用研究、課題解決研究の違いを意識しつつ、それらに取り組むことが重要と思っています。私自身も得意技術に頼り過ぎないよう、自戒しています。

先生の研究理念を教えてください。

  ~社会に対し価値を生む研究を~
 基礎研究であっても、応用、課題解決研究であっても、先人の財産である既存の知識・技術を有り難く使わせて頂き、できることは速やかに済ませる。それだけではできないところに、新たな発見や発明が生まれると思っています。オリジナルな研究をするのが目的ではなく、既存知識・技術で解決できないところにオリジナルなものが生まれる。また、新物質・新材料などは分かり易いオリジナリティーですが、それら要素の新たな組み合わせもオリジナリティーの筈です。研究のための研究ではなく、社会に対し価値を生む(経済価値だけでなく知的価値を始めとした質的な価値も)研究をしたく思っています。
 先人の財産を学びつつも納得できない場合は、自ら考え直すことも重要です。頭の中は自由です。学生さんを始め皆さんと一緒に、良く学び、自由に考え、大胆に挑戦していきたく思います。

これからの研究の展望を聞かせてください。 

 ~現実解を求めるために、汎用の炭素・珪素に注力~
 世界全体が豊かになることは、当然の目標と思っています。すると化学による物質生産も膨大になり、既にレアメタル・レアアースなど資源問題が顕在化しています。20世紀は多様な元素を使って物質的豊かさを実現してきましたが、ナノテクでは同じ化学組成でも構造を変えることで物性・機能を制御でき、この点が持続可能社会の実現にとても重要と思っています。性能で記録更新を目指すだけでなく、良いものを広く行き渡らせたく思います。
 現在は、特に炭素と珪素に注力しています。資源的に豊富ですし、周期表で隣通しです。特にグラフェンシートを基本骨格としたナノカーボンは、表面にダングリングボンドを持たないため、ナノ構造でも本質的に安定です。炭素により軽量でナノ構造により柔軟という有機材料の特徴と、強固なσ結合による熱的・化学的安定性や優れた導電性といった無機材料の特徴を併せ持ちます。良質なカーボンナノチューブは、1 gあたり10万円前後もします。原料は炭化水素です。作り方が余りにも稚拙です。我々は、アセチレンを原料に、0.3秒の滞留時間で、収率70%で良質なカーボンナノチューブを半連続合成する流動層技術を開発しました。エチレンでも高収率で合成する技術も開発中で、また得られたナノチューブからスポンジ状自立膜を作製し三次元集電体とする新型蓄電池の開発などに取り組んでいます。また、シリコンも丁寧に作るのが従来の常識でしたが、1分で厚さ10 μmの単結晶膜や大粒径多結晶膜を製膜し、バルクから数秒でナノ粒子を合成することも可能となりました。前者は太陽電池に、後者は蓄電池に向けた技術です。エネルギー技術は安い技術で、広く使われてこそ課題解決に貢献できます。資源的制約の緩いこれらの材料を用い、画期的に安価で設置容易な太陽電池や安価・軽量・高容量の蓄電池を実現し、自然エネルギー利用拡大に貢献したく思っています。

大学と企業の関係についてコメントをお願いします。

  ~オープンな協力関係でステップアップを~
現在の世界の流れは、オープンな相互協力が主流になっています。日本の企業はまだまだ閉鎖性を残している所が見受けられますが、はっきりした目標や目的を共有することが大切だと感じています。得意技術を守っている間に世界は先へ進んでしまいます。積極的に訪問して狙いを話し、アイディアを出し合い議論し、相互の信頼関係を醸成してより踏み込んだ議論をするサイクルを回し、スピーディーに次の一手を打つと、できることが大きく広がると思っています。

応用化学会の活動への期待を聞かせてください。 

 ~世代や分野を繋ぐコミュニケーション、相互刺激は重要~
 応用化学会はとても充実したOBOG会で、幅広い世代と分野の先輩たちのネットワークを有していますので、応用化学科の教員・学生の貴重な財産だと思います。学生の活動も活発ですので、是非、この流れを継続・発展させて頂きたく思います。学生さんが早いうちから多様な人と交流し、多様な意見を聞き、相手を尊重しつつ自身の考え・意見・価値観を持つ。すると社会に出てからもアイデンティティーを持って活躍できると思います。大学はどうしても独特の文化がありますので、応用化学会を通じて視野を広げて欲しいと思います。

100周年を迎える応用化学科についてコメントを聞かせてください。

  ~自ら考え、動き、挑戦できる人材の育成に貢献を~
 100年は迫力のある素晴らしい歴史です。この間、9000名を超える人材を育成してきた諸先生方に敬意を表します。大学の本来の使命は人材育成ですし、これからの我が国にはますます重要です。応用化学科の一員として、自ら考え、動き、挑戦できる人材の育成に貢献したく思います。

21世紀を担う皆さんへのメッセージをお願いします。

  ~方法論を自分のものにし、果敢に挑戦を~
 課題山積と言われる時代ですが、一方で、先人の財産で沢山のことができるようになりました。課題があることは、活躍の場があることにほかなりません。課題解決や価値創生を目的に、蓄積された知見・技術を道具に、自らの考えで動き挑戦し、活躍して欲しく思います。研究室での数年間は、自らの方法論を培う貴重な期間です。是非、意欲的に挑戦し、失敗とその克服など、多くの経験を積んでほしいと思います。          

 ―了―

6月30日インタビュー(聞き手&文責:広報委員会 井上健(新19回)・佐々木一彰(新31回)・五十嵐怜(広報班学部3年))

研究室及び研究概要紹介
 http://www.f.waseda.jp/noda/

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過去の突撃インタビュー

第14回 先生への突撃インタビュー(本間敬之教授)

「先生への突撃インタビュー」の再開の2番バッター(第14回)として本間敬之教授にご登場願うことにしました。

今回は新しい試みとして、学生にもインタビュアーとして参加をしてもらい、応化会の本来の姿である先生・学生・OBの3者による合作を目指しました。
本間先生もこの試みに快く賛同していただきましたことを、この場をお借りしてお礼申し上げます。
本間先生は、皆様ご承知のとおり、1987年早稲田大学理工学部卒業、92年同大学院博士後期課程修了・工学博士、1991年早稲田大学助手、同専任講師、助教授を経て2005年より教授、1997年‐1998年スタンフォード大学客員准教授、1998年より米国国立科学財団シリコンウェハ工学研究センター兼任研究員を兼任されています。

先生が研究に本格的に取り組み始めたキッカケはなんですか?

~~~真理を追い求めたいとの気持ちの延長線~~~
少年時代は寧ろ理科少年というよりは、剣道をやったり、文学にも興味を持ったりの時代を過ごしました。高校以降は、答えが決まっているものよりは、わからないものへの興味、特に現象を観察することに強い関心がありました。また、原理を数式化するといった概念的なことより、原子や分子の実際の姿を見てみるような分野に惹かれていきました。その流れの中で、修士から博士に進む際には世界を相手に活躍したいが、実業よりは学究の分野で極めてみたいと思うようになりました。丁度その頃、走査トンネル顕微鏡という新しい手法が発明され、これをツールに固液界面を自分の目で確かめてみようという研究に入り込んだのが現在の道に進む流れとなりました。

先生のご専門の流れとその内容をご紹介いただけませんか?

~~~固液界面反応系が主な対象~~~
いま申し上げたような固液界面反応系が私の主な研究の対象です。バルクにはない特異な性質を持つ固体表面や、その液相側の分子との複雑な相互作用をよく理解することにより、シンプルでありながら非常に高度な制御が可能なプロセス設計と,それによる新しい高機能材料・デバイスの開発を目指しています。併せて、その実現のための実験的、理論的解析のための方法論の確立も進めています。具体的なターゲットは、超高密度データストレージデバイスやセンシングデバイス、太陽電池や熱電変換素子、大規模蓄電池といったエネルギー関連などです。またプラズモンセンサを使った超高感度な顕微ラマン分光や非経験的分子軌道法によるモデリングなど、高度な解析のための実験的、理論的手法の開発にも力を入れています。

先生の研究を進めるうえでのポイントはどういうことをお考えですか?

~~~インターフェース・マルチスケール・理論と実験 がキーワード~~~
化学の世界では個々の原子や分子の様子に目が行きがちですが、実際のものづくりでは、物質と物質を繋ぐ界面も非常に大切です。そして、その界面を理解し、制御することこそが機能や性質を最大限に活かせる道につながると思っています。また、ナノスケールでの精密な理解や制御は重要ですが,これをナノ・マイクロ・ミリからさらに大きなスケールへと理解や現象を繋げる、或いは展開していかないと実際のデバイスなどが上手く動きません。更に、試行錯誤の大切さと共に、得られた実験結果を如何に理論的な裏付けと繋げるか、が大切だと痛感しています。例えば樹脂やセラミックス表面に直接金属薄膜を形成できる無電解析出法は工業的にも広く使われていますが、その反応機構は全くブラックボックスで、プロセス開発は試行錯誤的なアプローチによっています。これを理論的に解明し積極的な反応設計ができるようにしたいと思いましたが世界的にも先行研究がなく、結局自分たちでゼロからモデルを構築して検討を進め、さらに実験結果とのつながりを追及しています。

研究の今後の展開に向けてのお考えは?

~~~自分たちの分野での大規模なスケールでの応用展開を~~~
ナノの精密な設計・制御をマクロに展開可能なマルチスケールなプロセスを実現し、現在使われている太陽電池や二次電池、データストレージデバイスなどの限界を超えるような新しい材料やデバイスに展開していきたいと思っています。

応用化学科の世代による見方がいろいろありそうですが?

~~~今の学生は真面目?~~~
大学の重要な使命である、社会への人材の提供という役割を果たしていきたいと思っています。特に、まっさらな白紙に自在に絵を描けるような人や、学生時代に学んだことを応用展開できるような人材を育てたいと考えています。一方、昨今は幼少期から学ぶことが多くなり、また常に失敗をしないようにという意識で育ってくる学生が増えているようにも思います。時代背景や社会の要請等により色々な違いもありますが、失敗を恐れず、修士課程や博士課程でより多くの経験を積んで欲しいとも思います。

応用化学会の活動への期待

~~~不変のネットワーク~~~
学校本体では人が入れ替わりネットワークも変化していく訳ですが、不変のネットワークという面での応用化学会は非常に重要な組織だと思います。また、最近現役学生の活動も活発になっているようで、ネットワークの質も上がってくるものと期待しています。

21世紀を担う皆さんへ、メッセージをお願いします。

~~~ツールをきちんと使い、フェイス・トゥ・フェイスを大切に~~~
ハードウェアという意味では、生身の人間の身体能力や感性は、ここ数千年というオーダーではあまり進化していないのだと思います。目覚ましい発展を遂げたのは、様々なツールを発達させてきたからに他なりません。化学の世界でも、かつては難しかった精密な実験や計測が簡単にできるようになっています。ツールは発達し、データはどんどん取れるようになりますが、プロフェッショナルになるにはツールの単なるユーザーでなく、原理や背景、そして得られたデータの意味するところを十分理解できる力がますます問われるようになっています。道具に頼り過ぎると頭も身体も鈍るともいわれています。是非自分の頭と身体を使って体得して欲しいと思います。また、コミュニケーションもツールが発達していますが、矢張り、フェイス・トゥ・フェイス(FtoF)の場面は重要です。例えば過去数十年に渡り、常に世界最先端の技術革新を生み出す中心となっているシリコンバレーでも、FtoFを可能にするコミュニティがあってこそ成り立っているということも、そこに住んで仕事をした経験から実感として認識しています。加えて、時間軸のスケールも良く考える必要があります。これから生まれる子どもたちは22世紀を生きることになります。ですから今の学生さんたちは、21世紀をどう支えるかはもちろん、22世紀をどうつくっていくか、という意識で頑張って欲しいと思います。                        ―了―

2月3日インタビュー(聞き手&文責:広報委員会 井上 健(新19回)・神守広一郎(広報班学部2年))

研究概要紹介
 シリーズ未来の早稲田を担う研究者 第4回
   https://www.waseda.jp/inst/nanolife/news/2016/11/14/1145/
 キャンパスナウ
   http://www.yomiuri.co.jp/adv/wol/campus/class_1104.html

研究プロジェクト紹介
 JST-CREST「太陽光を利用した独創的クリーンエネルギー生成技術の創出」
   http://www.jst.go.jp/crest/pv/research/h23_index.html#23_honma

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2015年度博士号(工学)授与(平成28年3月)

2015年度博士号(工学)が、北原 真樹、松尾 伸史、、Shofarul Wustoni、戸ヶ崎 徳大、木野 はるか、砂川 忠弘、中村 竜也、(敬称略・順不同)に授与されました。程 姗姗さんの情報を追加します。

程 姗姗
【論文題目】Detection of biomarkers using field effect transistor (FET)-based biosensors for disease diagnosis
【和文題目】疾患診断に向けた電界効果トランジスタ型バイオセンサを利用したバイオマーカーの検出
新博士の経歴とメッセージは、こちら
北原 真樹
【論文題目】Preparation of Inorganic Nanostructured Materials by Stepwise Deposition Using Silica Template
【和文題目】シリカ鋳型を用いた段階的析出による無機ナノ構造体の合成
新博士の経歴とメッセージは、こちら
松尾 伸史
【論文題目】Interfacial Reaction Design for High-Purity Silica Production using Wet-Chemical Processes
【和文題目】界面反応設計による溶液処理を用いた高純度シリカ生成プロセスの高度化新博士の経歴とメッセージは、こちら
Shofarul Wustoni
【論文題目】Development of field effect transistor (FET) biosensor for the detection of amyloid prion protein
【和文題目】アミロイド性タンパク質凝集体検出用電界効果トランジスタ型バイオセンサの開発
新博士の経歴とメッセージは、、こちら
戸ヶ崎 徳大
【論文題目】Research and Development of Lithium Metal Anode for Future LithiumAir Batteries
【和文題目】将来型リチウム空気電池のための金属リチウム負極の開発
新博士の経歴とメッセージは、こちら
木野 はるか
【論文題目】Screening of salt taste enhancing dipeptides and effective production of the dipeptides by L-amino acid ligase
【和文題目】L-アミノ酸リガーゼを利用した塩味増強効果を有するジペプチドの探索と効率的な合成法の開発
新博士の経歴とメッセージは、こちら
砂川 忠広
【論文題目】Anti-aging Effects of Apple Polyphenols and Their Application to Development of Functional Foods for Anti-aging
【和文題目】リンゴポリフェノールの抗老化機能およびその抗老化機能の食品開発への展開
新博士の経歴とメッセージは、こちら
中村 竜也
【論文題目】Development of a Concise Synthesis of Reduced Polypropionates and Application to Total Syntheses of Natural Products【和文題目】還元型ポリプロピオネートの効率的合成法の開発と天然物合成への応用
新博士の経歴とメッセージは、こちら

程 姗姗

【論文題目】
Detection of biomarkers using field effect transistor (FET)-based biosensors for disease diagnosis
【和文題目 】
疾患診断に向けた電界効果トランジスタ型バイオセンサを利用したバイオマーカーの検出
【履歴】
程 姗姗

  • 2010年6月 Bachelor degree (Double Degree)
    Dept. of Japanese, School of Foreign Languages, Shanghai Ocean University in P.R. CHINA.
    Dept. of Economics, School of Economics, Kyushu Kyoritsu University in JAPAN.
  • 2012年3月 Master Degree
    Master’s program, Major in Production Systems, Graduate School of Information, Production and Systems (IPS), Waseda University in JAPAN.
  • 2015年9月 Doctor Degree,
    Doctor’s program in Department of Nanoscience and Nanoengineering, Graduate School of Advanced Science and Engineering, Waseda University in JAPAN.

【博士取得者からのメッセージ】

この度、早稲田大学より博士(工学)の学位を授かりましたことを大変光栄に存じます。本研究に関し懇切丁寧なご指導を賜りました逢坂哲彌教授に心より御礼申し上げます。また、本論文の審査を賜りました菅原義之教授、本間敬之教授、門間聰之教授、中西卓也教授をはじめとする応用化学科の諸先生方、研究室の皆様に心より感謝申し上げます。

本学位論文は、電界効果トランジスタ(FET)型バイオセンサの実用化研究として、まず、FETを用いた高感度な検出用センサの確立に向け、FET上の受容体として抗原および抗原結合性フラグメントを利用することとし、バイマーカーの検出を試みた。また、マルチのターゲットの検出が可能となるFETバイオセンサを提案した。本論文の成果はより精密で正確な診断やQuality of life (QOL)の向上に大きく貢献できるものと考えております。

現在、私は天津大学(中国)の理学学院の講師を勤めております。この学位取得を励みとして、一層の研鑽を積んでいく所存です。今後とも御指導・御鞭撻賜りますよう宜しくお願い申し上げます。


北原 真樹

【論文題目】
Preparation of Inorganic Nanostructured Materials by Stepwise Deposition Using Silica Template
【和文題目 】
シリカ鋳型を用いた段階的析出による無機ナノ構造体の合成
北原真樹
【履歴】

  • 2011年3月 早稲田大学先進理工学部応用化学科卒業
  • 2013年3月 早稲田大学大学院先進理工学研究科応用化学専攻修士課程修了
  • 2016年3月 早稲田大学大学院先進理工学研究科応用化学専攻博士後期課程修了
  • 2016年3月 博士(工学・早稲田大学)
  • 2016年4月 住友化学株式会社入社

【新博士からのメッセージ】
この度、早稲田大学より博士(工学)の学位を授かり、身に余る光栄と深く感謝しております。博士の学位の取得は、九年間に渡り化学の面白さをご教授頂いた諸先生方、また懇切丁寧に研究の指導をして頂いた、黒田先生、和田先生、下嶋先生の御陰であり、厚く御礼申し上げます。さらに、分析等でお世話になった材料技術研究所や物性計測センターラボの皆様をはじめ、研究に携わってくださったすべての方々にも深く感謝申し上げます。

本学位論文は、シリカ鋳型内部への段階的な析出による無機ナノ構造体の合成についてまとめたものです。まず鋳型内部に物質を形成させ、その後、最終的に得られる無機ナノ構造体の主骨格を形成する物質を析出させます。段階的に物質を析出させることで、従来よりも精密な無機ナノ構造体の合成を可能にしています。

現在、私は住友化学株式会社で研究業務に従事しております。応用化学科及び応用化学専攻で身に着けた研究に取り組む姿勢は、研究環境が変わりましても必ず活かせるものと信じており、更に邁進する所存でございます。今後とも諸先生・先輩方には御指導・御鞭撻賜りますよう宜しくお願い申し上げます。


松尾 伸史

【論文題目】
Interfacial Reaction Design for High-Purity Silica Production using Wet-Chemical Processes
【和文題目】
界面反応設計による溶液処理を用いた高純度シリカ生成プロセスの高度化matsuo

【履歴】

  • 2010年3月 早稲田大学理工学部応用化学科卒業
  • 2012年3月 早稲田大学大学院先進理工学研究科ナノ理工学専攻修士課程修了
  • 2015年3月 早稲田大学大学院先進理工学研究科ナノ理工学専攻博士後期課程満期退学
  • 2015年4月 ローム株式会社入社
  • 2016年2月 早稲田大学大学院先進理工学研究科ナノ理工学専攻博士後期課程修了
  • 2016年2月 博士(工学・早稲田大学)

【新博士からのメッセージ】

この度、早稲田大学より博士(工学)の学位を授かり、身に余る光栄と深く感謝しております。本研究の遂行にあたり、懇切なるご指導を賜りました本間敬之教授に心より御礼申し上げます。また、本論文の審査を賜りました逢坂哲彌教授、菅原義之教授、門間聰之教授をはじめとする応用化学科の諸先生方、研究室の皆様に心より感謝申し上げます。

本学位論文は、太陽電池級Siの新規製造方法への応用を目的に、流路型リアクターを用いた液液界面反応による溶液化学プロセスを用いたシリカの高純度化プロセスにおいて、リアクターの連続化および界面形成制御による大容量化、不純物除去のための抽出剤の選択、さらに酸洗浄プロセスと組み合わせた一連のプロセス設計をまとめたものです。本論文の成果は太陽電池用高純度シリコンはもとより、種々の高純度材料生成プロセスの分野に対して貢献できるものと考えております。

現在、私はローム株式会社にて、圧電MEMS分野の研究開発に従事しております。この学位取得を励みに、更なる飛躍を目指してより一層の研鑽を積んでいく所存であります。今後とも御指導・御鞭撻賜りますよう宜しくお願い申し上げます。


Shofarul Wustoni

【論文題目】
Development of field effect transistor (FET) biosensor for the detection of amyloid prion protein
【和文題目】
アミロイド性タンパク質凝集体検出用電界効果トランジスタ型バイオセンサの開発Wuston

【履歴】

  • 2011年7月 Bachelor degree, Dept. of Chemistry, Institut Teknologi Bandung (Indonesia)
  • 2013年9月 Master Degree, Dept. of Nanoscience and Nanoengineering, Waseda University, Japan
  • 2016年3月 Doctor Degree, Dept. of Nanoscience and Nanoengineering, Waseda University, Japan

【新博士からのメッセージ】

I am very grateful and thankful for the doctor degree from Waseda University, especially my deepest gratitude to my supervisor Prof. Tetsuya Osaka and all research advisors. They always give me a source of motivation to enjoy the life and research in laboratory as well as other students who are very supportive and kind. Living and studying at Waseda University was one of most precious moment and journey in my life.

I studied a research on field effect transistor (FET) biosensor particularly for detecting prion proteins. I examined and developed such biosensor to perform a specific and sensitive feature to prion proteins. The results were published in some papers and presented in several academic meetings.In long-term planning, I would like to work and dedicate my self as lecturer and researcher in Indonesia.

In near future for short-term planning, I will do some postdoctoral training in different countries to get more international research experiences. I would like to devote my career to study and focus in the field of bionanotechnology especially for bio and chemical sensors. And I believe that the research life at Waseda University is important memory and process to reach my future goals.


戸ヶ崎 徳大

【論文題目】
Research and Development of Lithium Metal Anode for Future Lithium Air Batteries
【和文題目】
将来型リチウム空気電池のための金属リチウム負極の開発
【履歴】

  •  2003年3月 理工学部 応用化学科 卒業
  • 2005年3月 理工学研究科 応用化学専攻 修了
  • 2005年4月 株式会社東芝セミコンダクター社 入社(2012年5月 退社)
  • 2014年4月 理工学術院 応用化学科 助手
  • 2016年2月 博士(工学・早稲田大学)

【新博士からのメッセージ】

この度、早稲田大学より博士(工学)の学位を授かりましたことを大変光栄に存じます.博士課程での研究の機会を与えて下さり,本研究に関し懇切丁寧なご指導を賜りました逢坂哲彌教授ならびに門間聰之教授に心より感謝申し上げます.また,本論文の審査を賜りました菅原義之教授,本間敬之教授をはじめとします応用化学科の諸先生方,また研究室の皆様に深謝申し上げます。

本学位論文は,将来型蓄電デバイスであるリチウム空気電池実用化への基礎研究として,金属リチウム負極の電気化学的溶解析出反応を詳細に検討し,その可逆的な動作に重要な電極/電解液の界面設計を提案したものです.金属リチウムは負極材料の中で最もエネルギー密度が高く魅力的な材料である一方,電解液との反応性が高いため充放電効率が低い課題があります.本研究では,負極表面の固体電解質層と電解液の溶媒構造を適切に設計することで特性が飛躍的に改善することを体系的に示しました.得られた成果は,リチウム空気電池の実用化への示唆を多く含んだ内容であり,今後の研究発展に大きく寄与するものと期待されます。

現在私は,早稲田大学応用化学科の助手を務めています.後生の教育に携わる傍ら,一研究者として,より一層の研鑽を積んでいく所存です.今後とも,ご指導・ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。


木野 はるか

【論文題目】
Screening of salt taste enhancing dipeptides and effective production of the dipeptides by L-amino acid ligase
【和文題目】
L-アミノ酸リガーゼを利用した塩味増強効果を有するジペプチドの探索と効率的な合成法の開発kino_haruka
【履歴】

  • 2001年3月 早稲田大学理工学部応用化学科卒業
  • 2003年3月 早稲田大学大学院理工学研究科応用化学専攻修士課程修了
  • 2003年4月 長谷川香料株式会社入社
  • 2013年4月 早稲田大学大学院先進理工学研究科応用化学専攻博士後期課程入学
  • 2016年3月 同上修了
  • 2016年3月 博士(工学・早稲田大学)
  • 現職 長谷川香料株式会社 総合研究所 主任研究員

【新博士からのメッセージ】

この度、早稲田大学より博士(工学)の学位を授かり、身に余る光栄と深く感謝しております。本研究の遂行にあたり、懇切なるご指導を賜りました木野邦器教授に心より御礼申し上げます。また、本論文の審査を賜りました桐村光太郎教授、西出宏之教授をはじめとする応用化学科の諸先生方、研究室の皆様に心より感謝申し上げます。

本学位論文は、減塩への意識が高まる社会的背景を踏まえて「塩味」に着目し、任意のジペプチドを合成可能なL-アミノ酸リガーゼ(Lal)を用いた塩味増強効果を有するジペプチドの探索とLalの機能改変による目的ジペプチドの効率的合成法の開発をまとめたものです。塩味増強ジペプチドの探索では、Lalを用いてジペプチドライブラリーを構築し、高活性を有する新規ジペプチドを二種類見出しました。さらに、Lalの立体構造情報を踏まえてデザインした改変型酵素を用いて、目的とするジペプチドのみを高効率で合成するプロセスの開発にも成功しました。これらの成果は機能性ジペプチドとLal研究の新たな可能性を示すものであり、学術的、産業的に有用な技術であると考えております。

私はこの4月より長谷川香料(株)技術研究所に戻り、新規香料素材の開発や安全性の評価などに取り組んでおります。3年もの長い間、研究室に常駐して研究する機会を与えて頂いた会社に少しでも貢献できるよう、この学位取得を励みとして一層の研鑽を積んでいく所存であります。今後ともご指導・ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。


砂川 忠広

【論文題目】
Anti-aging Effects of Apple Polyphenols and Their Application to Development of Functional Foods for Anti-aging
【和文題目】
リンゴポリフェノールの抗老化機能およびその抗老化機能の食品開発への展開

【履歴】

  • 1997年3月 早稲田大学理工学部応用化学科卒業
  • 1999年3月 早稲田大学大学院理工学研究科応用化学専攻修士課程修了
  • 1999年4月 雪印乳業株式会社研究員
  • 2002年11月 アサヒビール株式会社(現アサヒグループホールディングス株式会社)研究員
  • 2016年3月 博士(工学・早稲田大学)
  • 現職 アサヒビール株式会社 酒類開発研究所 主任研究員

【新博士からのメッセージ】

この度、早稲田大学より博士(工学)の学位を授かり、身に余る光栄と深く感謝しております。本研究の遂行にあたり、懇切丁寧なるご指導を賜りました桐村光太郎教授に心より御礼申し上げます。また、本論文の審査を賜りました木野邦器教授、西出宏之教授をはじめとする応用化学科の諸先生方、研究室の皆様に心より感謝申し上げます。

本学位論文は、食品素材であるリンゴポリフェノール(AP)を抗老化機能食品へ展開することを目的として、老化モデル生物を用いて生体内でのAPの抗老化機能の有無と機能性食品への展開可能性を検証し、APを含有する抗老化機能食品の開発に至った成果をまとめたものです。とくにAPの抗老化機能が寿命遺伝子産物Sir2に関与すること、および抗酸化酵素欠損マウスへのAPの投与で抗老化機能を有することを明らかにしたことは、APが抗老化機能食品へ展開可能であることを示す重要な知見であります。本研究で得られた知見は、機能性食品の新商品開発に大きく寄与するものであると期待されます。

現在、私はアサヒビール株式会社の研究所で、早稲田で学んだ研究者としての広い視野と応用化学の知見を活かして、食を通じた健康で豊かな社会の実現にむけて、新しい酒類や機能性食品の開発に取り組んでいます。この学位取得を励みとして、一層の研鑽を積んでいく所存です。今後とも早稲田応用化学会の皆様の御指導、御鞭撻を賜りたく宜しくお願い申し上げます。


中村 竜也

【論文題目】
Development of a Concise Synthesis of Reduced Polypropionates and Application to Total Syntheses of Natural Products【和文題目】
還元型ポリプロピオネートの効率的合成法の開発と天然物合成への応用
nakamura
【履歴】

  • 2011年3月 早稲田大学理工学部応用化学科卒業
  • 2013年3月 早稲田大学大学院先進理工学研究科応用化学専攻修士課程修了
  • 2014年4月 早稲田大学先進理工学部応用化学科助手
  • 2016年3月 早稲田大学大学院先進理工学研究科応用化学専攻博士後期課程修了
  • 2016年3月 博士(工学・早稲田大学)
  • 2016年4月 第一三共株式会社

【新博士からのメッセージ】

この度、早稲田大学より博士(工学)の学位を授かり、身に余る光栄と深く感謝しております。本研究の遂行にあたり、懇切なるご指導を賜りました細川誠二郎准教授に心より御礼申し上げます。また、また、本論文の審査を賜りました小柳津教授、化学・生命化学科の中田教授をはじめとする応用化学科の諸先生方、細川研究室の皆様に心より感謝申し上げます。

本学位論文は、還元型ポリプロピオネート構造の効率的構築法の開発とそれを用いて数種の天然物の全合成についてまとめたものです。還元型ポリプロピオネート鎖は多様な生物活性を有する天然物中に散見される構造であり、その効率的構築法は全合成における強力なツールとなります。当研究室で開発されたビニロガス向山アルドール反応と立体選択的還元反応を組み合わせることにより、従来の手法の半分程度の工程数にて還元型ポリプロピオネート構造を構築することに成功しました。その手法を応用し、抗リーシュマニア活性物質セプトリアマイシンAと結核毒素PDIMAの全合成を効率的に達成できました。本研究成果で得られた知見は天然物の迅速な合成研究に寄与することが期待され、今後本手法を応用した天然物の合成が達成されれば幸いです。

現在、私は第一三共株式会社のプロセス技術研究所にて、医薬品の工業化製法について研究をしております。『早稲田』で学んだ応用化学の知見を軸に、高品質な医薬品を迅速かつ確実に届けられるよう、一層精進してゆく所存であります。今後とも御指導・御鞭撻賜りますよう宜しくお願い申し上げます。


第13回 先生への突撃インタビュー(松方正彦教授)

「先生への突撃インタビュー」再開に向けて                            2016年8月28日

「先生への突撃インタビュー」は2005年に企画がスタートして足かけ三年で、12名の先生にご協力いただき、広報委員会が担当して、ホームページへの掲載を続けていました。

その後、暫くの間インターバルができましたが、来年には応用化学科が100周年を迎える節目にもなりますので、改めて再開することにしました。

会員の皆様の日頃の活動に少しでもお役に立つ情報を教室の先生方のご協力を得て提供し、大学と企業間の情報交流のキッカケが生まれ緊密な連携が芽生えることを期待するとともに、「最前線で今何が研究されているのか?」を知りたいと考えているOBの方々や、「専門分野の設定や将来進路に対するヒント」を望んでいる学生の期待にも沿えるように取材を進めたいと思っております。            (広報委員会)

「先生への突撃インタビュー」の再開のトップバッター(第13回)として松方正彦教授にご登場願うことにしました。
松方先生は、皆さまご存知のように応用化学科卒業、応用化学専攻で博士課程を修了後、成蹊大学、大阪大学での学究を経られ、1997年に早稲田大学理工学部助教授として戻られ、2001年から教授として、そして現在は学科主任教授をお務めになっておられます。

先生が研究に本格的に取り組み始めたキッカケはなんですか?
~~~エネルギー・環境に関わる化学と工学への強い思い~~~

松方正彦教授

松方正彦教授

学生時代が石油ショックの後だったので、エネルギーや資源・環境に注目しており、研究室配属の選択で燃料化学部門であった森田・菊地研究室へ入ったことが最初のきっかけです。4年の時はメタノールからオレフィンを選択的に作る触媒がテーマでしたが、この時にゼオライトの合成から始めたという意味で、ゼオライトとの最初の出会となりました。修士課程でテーマが粘土間化合物を酸触媒として利用するテーマに変わりましたが、なかなか結果が伴わない七転八倒の時を過ごしましたが、冬頃になってやっと成果になる結果が得られました。この結果を翌年の日本化学会で発表することになり、実験研究の面白さと、やれる確信に近い前向きな気持ちが出てきたと思っています。博士課程で森田先生の最後の博士課程の学生として重質油のガス化触媒の反応機構を研究し、博士課程修了後は研究の次のステップとして成蹊大学の化学工学を専門とされた小島先生の下で助手として約3年、大阪大学の上山先生の下ではミクロ多孔体を分離膜に応用するテーマ(ゼオライトの合成から、薄膜化そして分離膜へ)で約5年過ごし、1997年に早稲田に戻りました。このように多くのテーマや多くの先生の考え方、見方を広く学べたことは大きかったと思っています。結果としては、自分の研究の主流がミクロ多孔体、ゼオライトへ収束してきた流れがあったように感じます。

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研究内容
エネルギー・資源・環境問題を研究の動機として、触媒化学・膜分離工学・エネルギー化学に係わるサイエンスおよびエンジニアリングを研究対象としています。 特に、ゼオライトを中心としたミクロ孔をもつ物質を材料として、その合成法や触媒・分離膜としての利用法の開発に力点をおいて研究を進めています。
 

これからの研究の展望は?
~~~革新の余地が大きい分離工学で膜によるブレークスルーを~~~

現在は分離と触媒が半々の研究室となっていますが、ミクロ多孔体は非常に面白い特殊な場を提供してくれる材料で、発見が多々あります。その特性を利用して、新しい反応、触媒を見出すことが一つの方向です。それに加え、反応生成物の分離にかかるエネルギーは膨大です。このエネルギーを削減するための分離機能、分離工学でのブレークスルーに膜でチャレンジしたいと思っています。やるべきことは山のようにあると思っていますし、革新の余地が大きいというか、未開分野が多いという捉え方をしています。今まで培ってきた見方や知見を活用し、俯瞰的な見方を加えて挑戦をしていきたいと思っています。

大学と企業の連携では、どういうことをお考えですか?
~~~情報のパイプ役として貢献を~~~

産業側、企業側の立場によっても変わると思いますが、メーカー、ユーザーの間を繋ぐ役目が大学にあるという側面を感じています。情報の面、人脈の面を含めて、ヴィジョンの共有が出来る先とはシーズ・ニーズのマッチングに向けた情報のパイプ役として、また、要素技術の組み合わせのヒントの提供など、大いに活用して欲しいですし、今迄やってきた自負もありますので、今後とも上手い連携を続けて、業界の技術のベースづくりや拡大に貢献していきたいと思っています。

応用化学科が来年100周年という節目を迎えますが?
~~~伝統とプライドをもって、「役に立つ化学、役立てる化学」の継続を~~~ 

応用化学科という学科名称を変えることなく100年周年を迎えることができ、この間9000名超の卒業生を輩出していきました。化学はもの作りの基盤ですが、有能、優秀な人材が脈々と続いている伝統とプライドを胸に、応用化学科が標榜する「役に立つ化学、役立てる化学」の理念のもと、研究教育や人材の輩出を継続すると同時に、今後に向けて果たすべき役割を今一度思いを新たにするべきでしょう。

応用化学会の活動への期待
~~~大学に寄り添うアクティブなOB組織として今後にも期待~~~ 

早稲田大学の同窓会の中でも、アクティブに応用化学科に寄り添う活動や現役学生へのサポートをしている特別な存在と位置づけられると思います。応用化学科と応用化学会の良い関係をお互いに努力を重ねて、継続をさせていきたいと願っています。

21世紀を担う皆さんへ、メッセージをお願いします。
~~~過去の延長線上には未来は無く、新しく創るという気概と挑戦を~~~ 

20世紀後半の延長線上には将来の姿は描けないでしょう。地球環境などから余儀なくされる新しい産業や産業構造は、その時代をリードする若い世代が、自ら作っていかなければならないと思います。大局観や俯瞰的見方を磨きながら、大きなチャンスと捉え、新しく社会を創っていくという気概を持って挑戦をして欲しいですし、活躍して欲しいと思います。

8月5日インタビュー(聞き手&文責:広報委員会 井上 健・新19回)

(松方先生の研究や経歴について、より詳細に知りたい方は、以下のページやリンクも併せてご覧ください。)

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過去の突撃インタビュー

先生への突撃インタビュー

「先生への突撃インタビュー」  再開に向けて 

2016年8月28日

「先生への突撃インタビュー」は2005年に企画がスタートして足かけ三年で、12名の先生にご協力いただき、広報委員会が担当して、ホームページへの掲載を続けていました。

その後、暫くの間インターバルができましたが、来年には応用化学科が100周年を迎える節目にもなりますので、改めて再開することにしました。

会員の皆様の日頃の活動に少しでもお役に立つ情報を教室の先生方のご協力を得て提供し、大学と企業間の情報交流のキッカケが生まれ緊密な連携が芽生えることを期待するとともに、「最前線で今何が研究されているのか?」を知りたいと考えているOBの方々や、「専門分野の設定や将来進路に対するヒント」を望んでいる学生の期待にも沿えるように取材を進めたいと思っております。 

第13回 松方 正彦教授
第14回 本間 敬之教授

(広報委員会)

旧「突撃インタビュー」メインページ

 Back No.
第1回 平沢 泉 教授
第2回 木野 邦器 教授
第3回 竜田 邦明 教授
第4回 武岡 真司 教授
第5回 常田 聡助教授
第6回 菅原 義之 教授
第7回 菊地 英一 教授
第8回 逢坂 哲彌 教授
第9回 西出 宏之 教授
第10回 黒田 一幸 教授
第11回 清水 功雄教授
第12回 桐村 光太郎教授
 

 

 

逢坂哲彌先生最終講義および記念会の報告

逢坂哲彌先生には2015年7月にめでたく古希をお迎えになり、2016年3月をもって応用化学科を定年退職されました。4月からは引き続き本学の特任研究教授としてナノ・ライフ創新研究機構にてご活躍ですが、ご退職にあたり、記念行事として去る3月19日土曜日に最終講義および記念会が開催されました。

逢坂先生の最終講義 「早稲田から世界へ-新たな学問の発信-」

最終講義は大隈講堂・大講堂にて14時より開催されました。朝からあいにくの雨模様でしたが、600名を超す参加者が集まり大盛況でした。まず応用化学科主任の松方正彦教授より、逢坂先生のご紹介と永年の教室運営へのご尽力に感謝の意が述べられました。また逢坂先生と特に親しい国内外の先生方から、ご祝辞を兼ねたスピーチを頂きました。東京農工大学の松永是学長、Tel Aviv university(イスラエル)のYosi Shacham-Diamand教授、Daegu Gyeongbuk Institute of Sience and Technology(韓国)のHasuck Kim教授のお三方から、これまでの逢坂先生とのご家族ぐるみでの交流のエピソードなども交えて温かいお言葉を頂きました。
続いて逢坂先生の最終講義「早稲田から世界ヘー新たな学問の発信-」が行われました。吉田忠先生の研究室に入られた学生時代のお話や1979年に専任講師となられてからの研究室の変遷も交え、先生が永年に渡り注力してこられた「電気化学ナノテクノロジーをベースとしだ学”から“産”への技術発信」を軸に、磁気記録、エネルギー・電池、バイオセンサをはじめとした多様な領域に渡り、基礎から応用そして産業化へとつなげた研究の展開と、膨大な成果の一端をまとめてお話し頂きました。またこれらの研究を通して育てられた学生数は、学士487名、修士325名、博士68名におよび、さらに共同研究関係者も56名とのご紹介もありました。

 

 引き続き、記念会がホテル椿山荘東京のオリオンの間にて開催されました。当初は雨で会場間の移動も心配されましたが、幸い昼過ぎには上がって薄日も差し、一同早稲田界隈の春の景色を楽しみながら椿山荘へと向かいました。

記念会は18時より始まりました。逢坂先生ご夫妻がご入場され、まず理工学術院長の大石進一先生からご祝辞を頂きました。統いて記念会の発起人代表である、研究室の同窓会WECS(Waseda Electrochemical Society)の小岩一郎会長(新32)から記念品(バカラクリスタルのセット)目録の贈呈と、研究室学生からご夫妻への花束贈呈、そして逢坂先生にご挨拶を頂きました。続いて早稲田大学前総長の白井克彦先生よりご祝辞ならびに乾杯のご発声を頂き、歓談に移りました。途中、早稲田大学交響楽団メンバーによるフルートとピアノ演奏があり、またご公務のため遅れて到着された早稲田大学鎌田薫総長からご祝辞を頂きました。記念会には400名を超える参加者があり大盛況で、あちこちで何十年ぶり?に旧交を温める話の輪が広がっていました。逢坂先生も会場内を回って多くの卒業生や来賓の皆様と和やかにご歓談されました。さらに早稲田大学ハイソサヱティオーケストラOBの率いるバンドのジャズ演奏と歌も入り、逢坂先生も急きょ加わり熱唱されました。あっという間に2時間余りが過ぎておひらきとなりましたが、とても華やかで楽しい会であり皆名残惜しく、逢坂先生ご夫妻とお話する方々の長い列はずっと続いておりました。

参加者一同と記念撮影

 

 なお、冒頭でもご紹介致しましたように、逢坂先生は引き統き早稲田大学の特任研究教授としてご活躍されていますので、また皆様にもお目にかかつて頂ける機会もあるかと存じます。 最後になりましたが、最終講義および記念会にお越し頂きました皆様方、そして多くの温かいお言葉を下さいました皆様方に心から御礼申し上げます。

(文責:本間敬之教授)