学内講演会のお知らせ
「分子の形と元素の性質を活用した多彩な発光分子の創製」

下記の要領で学内講演会が開催されます。

演 題 分子の形と元素の性質を活用した多彩な発光分子の創製
講 師 武田 洋平
所属・資格 大阪大学大学院工学研究科・准教授
日 時 2023年9月4日(火)16:30-18:10
場 所 西早稲田キャンパス55号館S棟 510室
参加方法 入場無料、直接会場へお越しください。
対 象 学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方
主 催 早稲田大学先進理工学研究科 応用化学専攻
問合せ先 早稲田大学 理工センター 総務課
TEL:03-5286-3000

参考:
パーマリンク: 「分子の形と元素の性質を活用した多彩な発光分子の創製」(2023/9/4) – 早稲田大学 理工学術院 (waseda.jp)

早稲田応用化学会主催 応化卒の多様なキャリア形成のご案内

2023年8月19日(土)13:00~15:15 (Zoomによるリモート開催)

これまでに応化会では、将来のキャリア形成に興味をお持ちの学生を対象に「先輩からのメッセージ」や「先輩博士からのメッセージ」などのイベントを開催してきました。それらに参加されて、企業での働き方や博士後期課程を身近に感じ、今後のキャリア形成に興味を持たれた方もいらっしゃるかと思います。そこで、社会でご活躍されているOBOGと現役の博士後期課程学生に、在学中の様子から卒業後のキャリアパス、海外での仕事や研究の経験まで、パネルディスカッション形式で幅広くお話ししていただき、学部生及び修士課程学生の皆様と交流する会として、「応化卒の多様なキャリア形成」を開催することといたしました。

普段はなかなか接する機会のない方々と直接話すことができる機会ですので、奮ってご参加くださいますよう、お願い申し上げます。

【パネルディスカッション】

OB/OGと現役の博士後期課程学生を中心とした大学院生によるパネルディスカッション

パネリスト①;黒田 義之さん(横浜国立大学 大学院工学研究院 機能の創生部門, 准教授, 黒田研究室(無機化学部門), 2011年博士修了)

パネリスト②;助川 敬さん(日本エラストマー株式会社 (出向元 旭化成), 担当課長, 西出・小柳津研究室(高分子化学部門), 2014年博士修了)

パネリスト③;ヴォダルツ ジギーさん(ベルギーimec, 研究員, 本間研究室(応用物理化学部門), 2017年博士修了)

パネリスト④;稲垣(旧姓 鳥本) 万貴さん(理化学研究所 開拓研究本部 Kim表面界面科学研究室, 基礎科学特別研究員, 関根研究室(触媒化学部門), 2022年博士修了)

パネリスト⑤;黒澤 美樹さん(博士後期課程3年, 山口研究室(有機合成化学部門))

パネリスト⑥;吉田 啓佑さん(博士後期課程2年, 野田・花田研究室(化学工学部門))

【座談会】
パネリスト、応化卒OB/OG、博士後期課程学生を中心とした大学院生、多数参加予定

講演の日時、形式等

開催期日;2023年8月19日(土)
講演形式;遠隔会議用ソフト Zoomを使用したリモート講演
13:00~13:05;開会挨拶
13:05~14:05;パネルディスカッション
14:10~14:40;座談会
14:40~15:00;応化及び応化会関連の奨学金説明
15:00~15:15;閉会挨拶

その他 ;参加費無料.要事前申し込み(8月4日(金)締め切り)
パネルディスカッションならびに座談会は日本語で実施いたします。

申し込み方法について

出席申し込みは、下記URLから8月4日(金)までにお願いします。

※申し込みの際は、Wasedaメールのアドレスをご入力ください。

※今回のイベントは早稲田大学応用化学科に所属する学部1~4年生および応用化学科の教員の指導を受ける大学院生が参加申し込みの対象となります。

https://forms.gle/VCYvsneswZqnpKnn6

参加申し込みをされた方には、ご入力いただいたWasedaメールアドレス宛に、参加のためのZoom情報 (URL、ミーティングID、パスコード) などを8月17日頃に配信いたしますので、そちらからご参加をお願いします。

皆様、是非奮ってご参加下さい。
宜しくお願い致します。

――― 以上 ―――
(文責;早稲田応用化学会給付奨学金 奨学生推薦委員会)

早稲田大学 先進理工学部 応用化学科主催 講演会のご案内

2023年9月9日(土)14:00~15:30 (対面と遠隔方式を併用して開催)

講演者;植村 榮 先生
京都大学名誉教授

 演題;『化学遺産を基調にした「化学よもやま話」』

本講演会は、応用化学科 桐村光太郎教授のご推薦を受けまして、京都大学名誉教授 植村榮先生から上記の演題にてお話をして頂くものです。

日本化学会にて認定された化学遺産を基調にして「日本の化学の黎明・揺籃期からの小史」と「文学に関連した化学」のお話しが主要なテーマとのことでして、教養としての化学という観点から気楽にお聞き頂きたいとのことです。ご期待下さい。

講演者学歴

1959年  京都大学工学部燃料化学科入学

1963年  同卒業

1963年  京都大学大学院燃料化学専攻入学 修士課程を経て

1968年  同博士課程修了 京都大学工学博士

1968年  京都大学工学部・化学研究所助手・助教授を経て

1991年  同工学部石油化学科教授 大学院工学研究科教授を経て

2004年  同定年退官 京都大学名誉教授 同年中央大学兼任講師

2005年  岡山理科大学工学部教授(語学教育センター)

2012年  同定年退職

受賞歴等

1971年  ラムゼーフェロー(英国ロンドン大学インペリアルカレッジ、G.Wilkinson教授、1973年まで)

1983年  有機合成化学協会賞

1989年  日本化学会学術賞

2009年  日本化学会フェロー

2023年  日本化学会功労賞

職歴等

日本化学会理事、副会長、監事、「化学と工業」誌編集委員長、同誌監修(現在)。化学遺産委員会顧問(現在)。最高裁判所(知的高裁)専門委員など。
触媒有機化学。科学英語。バドミントン。化学よもやま話。

講演の日時、場所、形式等

開催期日;2023年9月9日(土)
この日は夏季休業期間中で、下記の門と時間帯のみ通行可となります。

西門

地下鉄門(明治通りから見てタリーズの右側の門です。地下鉄駅から一度明治通りに出た後に入門して下さい。)

12:00~17:00(入門許可証等は不要)

講演時間;14:00~15:30(応用化学科教員挨拶、講師紹介、及び質疑応答等を含む)

講演形式;対面方式、及び遠隔会議用ソフト Zoomを使用したリモート方式を併用.

対面方式での開催場所;西早稲田キャンパス 63号館2階05会議室(原富太郎記念会議室)

<西早稲田キャンパス構内図>

その他 ;参加費無料.要事前申し込み.

申し込み方法について

応用化学科の学生、早稲田応用化学会会員であるOB/OGの皆様、及び教職員の方は下記のリンク先から申し込みをお願いします。
申し込み先 ⇒ https://forms.gle/KkhpSoXLxdhMubUu6
9月4日頃、申し込みメールアドレス宛にZoomによる参加方法、また対面参加の方への依頼事項等が配信されます。皆様、是非奮ってご参加下さい。
なお、本講演会は早稲田応用化学会が後援しております。
宜しくお願い致します。

――― 以上 ―――

学内講演会のお知らせ
「新反応開発:結合活性化から原子挿入まで」

下記の要領で学内講演会が開催されます。

演 題 「新反応開発:結合活性化から原子挿入まで」
講 師 鳶巣 守
所属・資格 大阪大学大学院 工学研究科 応用化学専攻・教授
日 時 2023年11月8日(水)16:20-18:00
場 所 早稲田大学 国際会議場 井深大記念ホール
参加方法 入場無料、直接会場へお越しください。
対 象 学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方
主 催 早稲田大学先進理工学研究科 応用化学専攻
問合せ先 早稲田大学 理工センター 総務課
TEL:03-5286-3000

参考:https://www.waseda.jp/fsci/news/2023/06/21/27120/

卒業生へのインタビュー(第5回)

日時:2023年5月28日(日本時間)/5月27日(アメリカ西海岸時間):オンラインにて実施。

春日 孝夫さん(新39)

1985年 早稲田大学高等学院卒

1989年 早稲田大学理工学部応用化学科 森田・菊地・研究室

1991年 早稲田大学理工学研究科(触媒化学)修了

1995年 Ph.D. in Genetics from Aberdeen University (UK)

2008年 Research Molecular Geneticist,
United States Department of Agriculture,
Agricultural Research Service (USDA-ARS),
and Department of Plan Pathology,
University of California, Davis

学生時代に応用化学科から短期留学でカリフォルニア大学デイヴィス校(以下,UCD)に夏季休暇などを利用して留学した卒業生が比較的多く、また応用化学科の卒業生でもある春日孝夫さんが現在同校にて大学スタッフとして教鞭を取り研究を進めていることから、それぞれの立場から留学で得た経験とUCDのプログラムの紹介など相互理解を深める場をオンラインで設けることにしました。今回卒業生からはUCD留学経験のある3名に参加頂きました。カリフォルニア大学にはキャンパスが10あり、UCDはそのうちの一つで州都サクラメントの近郊に位置します。

 

短期留学先にUCDを選択した理由は?

- 語学留学の側面も持ちつつ、理科系の留学者向けカリキュラムがあるのがUCDだった

- 大学での教育プログラムに加えてシリコンバレーの見学など魅力的な実地研修があったから、などの意見がありました。

UCDの短期留学プログラムは特色ある内容のようですね。もう少し詳しく教えていただけますか?

- 早稲田大学以外にも東京理科大や明治大学などから毎年留学生が来ています。理科系学生向けのプログラムを提供している背景には、UCDがUCの中でも理科系の割合が多いキャンパスだということもあると思います。3万5千人ほどいる学生の6~7割は理科系の学生ではないでしょうか。プログラムの特色の一つに、留学生が複数の研究室を回り研究内容を体験できることがあります。大学院生の必修科目に専攻内の研究室を5週間単位で回って経験を積むというものがありますが、それと近い内容を体験できることになります。

UCDのカリキュラムや制度についても特徴・魅力を教えてください。

- カリキュラムの方向性は教授会で決まりますが、その教授の採用に関して学生側が採用側として検討に関われる面白い制度があります。つまり、学生は教授候補が他大学からどのような技術や知識を持ってくるかいう観点で教授を選ぶことが出来るので、代謝が繰り返されていることになります。勿論、研究は長いスパンで考えることも重要なので、一人の教授が退官された後同じようなテーマを研究する別の方が来られることもあります。

- セミナーに関しても、学生が主体となって他大学の教授を招聘することがあります。学生はその教授の研究論文を事前に確認し、セミナー時には質問事項を用意していたり、ランチブレイクの際にコミュニケーションを取ったりしています。準備に掛ける時間は学生にとっても負荷がかかりますが、他大学の先生を呼ぶと費用も掛かっていますし学生はしっかり準備してセミナーに臨んでいます。

学生の負荷という点では、大学院の学生はどれくらいの授業を受けているのでしょうか?

- 平均して1コマ50分の授業を1日2コマほど受けていると思います。その内容は濃密で、予習復習に多くの時間を取られるため最初の2年間は勉強時間が主体となっているはずです。大学院での経験を続けるためにQualifying Examがあり、学生(博士課程の大学院生)はこれをパスする必要があります。全てのコースを修了したあとには、授業が持てるほどの実力が大学院生には付きます。

大学院に進む基準のようなものはありますか?
日本では内部からは同じ研究室に進学するケースが多く、外部からの進学者も基本的には内部からの受験者と同じ試験を受けたのちに大学院に進学していると思いますが。

- UCDでは大学院に入学するための試験はありません。また内部進学はごく少数で大学と大学院では別の大学に行くのが一般です。大学院における学費(tuition)は基本的に教授が支払いすることになりますので、教授は質の高い学生を集めるようにしています。そのため学生の選抜方法はよく研究されていてエビデンスに基づきます。基本的には書類選考と面接です。大学院に進学するための共通テストGRE(Graduate Record Examination)と言われる試験もありますが、GREのスコアと大学院の学生の能力には相関がないことが示されているのでUCDにおいて数年前からGREを受けなくてもよいことになりました。大学院では学術論文を書けるか(つまり研究を行う力があるか)どうかを指標として見ているケースが多く、大学院で論文を書く力と学部での専門教科の成績には相関があるということ。学部の指導教授からの推薦状は非常に大切です。

- 同様に大学生の選抜もエビデンスに基づきます。学部がまず欲しいのは大学でいい成績を取って卒業できる学生。高校時代の成績から大学の成績が予測できるのでアメリカの大学には入学試験がありません。各高校のトップ10%に入っていればUCへの入学が保障されますが、そうすると生徒全体のレベルが高い受験校の生徒が不利になるのでレベルの高い高校で10%に入れなかった学生もカリフォルニア全州の共通テストで上位10%に入っていればUCへの入学が認められます。高校生の受ける共通テストですが学生選抜にはあまりメリットがないことが指摘されて近年は受けなくてもいいことになりました。

学費の話が出ましたが、留学に際しては学費も考慮すべき一つのファクターになりますか?

- 確かに、学費は高いと思います。学生数の増加とともに州の予算では賄いきれなくなっている現状もあります。カリフォルニア州の学生は年間100万円ほどの授業料になりますが、オレゴン州からの学生は400万円ほどになる例もあります。ただ、入学後にカリフォルニア州に1年居住するとカリフォルニア州の登録居住者となるので授業料が減額します。外国籍の学生はカリフォルニア州登録居住者にはなれませんが大学院が差額を出してくれることもあります。学生はTAをやることで授業料を免除されるシステムもあり、これは日本人を含む外国人に対しても適用されています。また、学部別ではありますが外国人にスカラーシップを用意しているところもあります。

早稲田大学も奨学金制度の充実を目指しています。

- 学生へのサポートが充実するのは喜ばしいことだと思います。もちろん米国においても卒業生の寄付により授業料が賄われている例もあります。UCDではありませんがスタンフォード大学では両親の収入が1000万円以下の場合に学生の授業料が免除されるといったシステムもあります。スカラーシップ制度は充実しています。大学院では学生自身がスカラーシップを取ることもあれば教授が研究費から学費と生活費を払うこともあります。

応用化学科への思いを。

- 応用化学科の最大の課題は女性研究者の育成に対して積極的な意識付けがこれまでなされて来なかったことでしょう。応用化学科が学科の競争力を強化しまた豊かな社会の実現に貢献するために早急に解決しなければならない問題と考えます。これは時間が解決するような問題ではありません。学生の男女比が半々になってもなかなか教授の女性比が増えないこと、女性教授を採用しても様々な障害にぶつかり転職をしてしまうなどの事例は現在でも散見され、で欧米の大学でも問題解決策が模索されています。これは制度的性差別(Institutional sexism)つまり女性が不利になる仕組みが社会や組織の構造に組み込まれていて目に見えない不平等があるためでしょう。社会やアカデミアだけの構造的な問題ではなく私たち一人ひとりが問題の一部となっているため、アカデミアだけを批判するのは建設的ではありません。定期的な勉強会のようなことを企画し(1)女性研究者はなぜ必要なのか、(2)育成には何が障害になっているのかを議論をすることが必要だと思います。

今回、短期留学ではあまり耳にしない大学の側面も伺うことが出来、今後もUCD経験者の繋がりを維持していくことを確認しました。


参加者:春日孝夫さん(新39)、井川華子さん(新66)、仲谷孝道さん(新67)、春原晴香さん(新67)、ファシリテータ:加来恭彦(新39、広報)

早稲田応用化学会100周年講演会・祝賀会報告

応用化学会は,大正12 年 (1923年) 5 月に設立されて以来、令和5年5月に100周年を迎えました。これを記念して応用化学会100周年記念講演会・祝賀会を以下のスケジュールで開催いたしました。

【記念講演会・祝賀会】

以下リンクをクリックしていただければ、記念講演会・祝賀会の詳細を閲覧可能です。

  1. 記念講演会

  2. パネルディスカッション

  3. バーチャル・ツアー

  4. 記念祝賀会

    開会ご挨拶:濱逸夫 会長
    ご祝辞:田中愛治 早稲田大学総長
    乾杯ご挨拶:平沢泉 副会長
    名誉会員ご祝辞:河村宏 元会長
    名誉会員ご祝辞:西出宏之 前会長
    中締めご挨拶:橋本正明 副会長
    校歌斉唱動画

  5. フォトアルバム(2023年末まで公開)

    記念講演会_総長講演
    パネルティスカッション
    記念講演_集合写真・スナップ
    記念講演会_準備風景
    記念祝賀会_祝辞・挨拶
    校歌・集合写真
    祝賀会準備・スタッフ写真
    祝賀会スナップ

(文責:交流委員長 新36 椎名聡)

早稲田応用化学会100周年記念祝賀会 乾杯ご挨拶 平沢泉 副会長(新制26回)

平沢 泉副会長(新制26回)

応化会副会長を拝命しております平沢と申します。
皆さま、こんばんは。 本日は早稲田応用化学会の100周年記念事業にご参加賜り
ましてありがとうございました 。
私も本学の応用化学科に入学以来51年になります。 100年の内の51年、相当長く
在籍したなぁと感慨深い思いでございます。
早稲田応用化学会が100年続いたのは 皆様のご活躍とご支援の賜物であると思っ
ており ます。
先程、大隈記念小講堂で田中総長からの力強い早稲田の展開、また若手会(NACs)
の方か らも頼もしい将来の話は非常に感激いたしました。
応用化学会の今後の輝かしい100年を祈念いたしまして乾杯をさせて頂きます。
ご唱和をお願いいたします。
早稲田応用化学会の益々の発展、早稲田大学応用化学科の益々の進化および皆
さまのご多幸、ご健康を祈念いたしまして乾杯いたします。

乾杯!
早稲田ラベルのスパークリングワインで乾杯となった。>

 

早稲田応用化学会100周年記念講演会

講師;早稲田大学 総長 田中 愛治 先生
演題;「ともに育てる世界に輝く人材」
日時;2023年5月20日(土) 15:10~15:35
場所;大隈記念講堂 小講堂

 

 

 

 

 


はじめに
 早稲田応用化学会 100周年記念講演として歴史ある大隈記念小講堂に「早稲田大学総長」田中愛治先生をお招きし、『ともに育てる世界に輝く人材』と題してご講演いただきました。
 参加者:260名(ご招待者6名、教員16名、OB/OG 207名(STAFF24名含む)、学生31名)

椎名交流委員長

本間敬之先生

 まず椎名交流委員長による開会宣言、視聴に当たっての依頼事項、記念講演の司会を務めていただいた本間敬之先生(教務担当理事)のご紹介がありました。
 本間先生より、濱会長のご紹介が行われた後、講演に先立って早稲田応用化学会の濱会長からご挨拶を頂きました。

 


濱会長の開会ご挨拶

応用化学会 濱会長ご挨拶 本日はこの小講堂がほぼ満員になる方々にお集まりいただきありがとうございました。
コロナ禍でリアル開催すらどうなるか分からない中での準備ではありましたが、準備にあたった皆さんの想い、そして応化会メンバーの想いが叶い、最高のタイミングで応化会100周年記念講演会、そして祝賀会の日を迎えることが出来ました。大変感慨深い想いです。

 この記念講演会では、先ず何としても田中総長にお話し頂きたいとの思いで、一昨年の年末、未だ早稲田大学の総長選の前でしたが、総長室にお邪魔して、本日の講演をお願いしました。大変お忙しい中、快く講演をお引き受け頂き、また間違いないとは思っていましたが、総長にも再選され、今日を迎えることが出来ました。正にこれからの早稲田大学が何を目指しているのかを熱くお話し頂けると思います。田中総長、宜しくお願い致します。

 丁度6年前の応用化学科100周年では、これまでの歴史を振り返り、創立百周年記念誌として、応用化学科100年の歩みがまとめられました。
 そしてこの応化会100周年記念では、これからの100年、すなわち次世代の応化会をどんな魅力的なものしていくか、と言うことを大きなテーマに、記念事業の内容やこの記念講演会のテーマを決めてきました。後半のパネルディスカッションでは、次世代を担う若い応化会メンバーがパネラーになり、応化会の未来を語ってもらいます。彼らの想いを聞いて頂き、これを全世代でバックアップして行きたいと思いますので、宜しくお願い致します。

 続いて本間先生より、田中愛治総長の略歴が紹介された後、記念講演が始まりました。

 

講演の概要
 皆様、こんにちは。ただ今ご紹介頂きました、早稲田大学総長 田中愛治 でございます。
濱会長によるご挨拶、また本間教授によるご紹介、有難うございました。私が教授であった頃から、竜田先生や西出先生にはずいぶんご指導頂き、本日は懐かしくお目にかかっております。伝統ある早稲田応用化学会の100周年記念ということで、誠におめでとうございます。講演は「ともに育てる世界に輝く人材」ということで、私は2018年に総長に就任して以来、「世界に輝く早稲田」を目指すということを申し上げて来ました。ここでは応化会と共に世界に輝く人材を育てたい、ということであります。
 私は学生時代、政治学では当時異端と言われていた計量分析をやりたかったのですが、今のようにパソコンはなかったですから大型計算機を用いて数量を使い統計解析により政治を分析したい、と思っていました。それに対して政治経済学部の教授から、それは早稲田というか日本では無理、ということで米国のOhio State Universityに入りました。そこで政治学博士号を取るのに9年以上かかりましたが、当時Harvard Universityでの政治学博士号取得の平均年数が10.3年でしたので、それに比べると同じ位かなと思っています。その頃から相当勉強したお陰でInternational Political Science Associationの会長も勤めることが出来たと思っています。

 本日お話ししたいのは、正に「ともに育てる早稲田」でありまして、今年は早稲田にとって勝負の年であると考えています。ご承知のように、政府は10兆円ファンドを用意し、年利3%の運用益である3,000億円の大部分を、選ばれた大学に与えると言っています。このことは、日本政府の考え方が明らかに転換したと考えます。日本の産業競争力は1980年代から1990年代初頭まで世界No.1と言われていました。それが衰退してきた原因の1つに、大学の在り方、大学院の育て方に問題があるのではないか、ということです。すなわち大学で人材を育てることが日本の力を再興させることである、という思想になったわけで、これは大きな、また大変有難い転換だと思っています。それだけ我々大学としても責任は大きいと思います。
 国際卓越研究大学の基準ですが、世界最高水準の研究大学になる覚悟があるか、ということです。そして、これまでにない大学になるという決意と覚悟を示した大学が認定される、ということです。その中で最も重要となる点が産学連携です。このことを考える時に、早稲田大学として、というよりも日本が直面している2つの問題をしっかり考える必要があると思います。このことについて少し申し述べたいと思います。

Part Ⅰ.日本社会の改革を牽引する大学になる
日本が直面している課題は2つあり、長期的には18歳人口の衰退、中期・短期的には国際競争力の低下であります。
A.長期的課題--18歳人口の減少--
これにより日本の国際競争力は限りなく衰退すると予想されます。解決策としては、大学進学率を上昇させるとともに、海外から優秀な学生を受け入れ、卒業後も日本に留まってもらえる環境を提供する、ということです。
⇒政治経済学部の例を紹介.英語学位プログラム(EDP)や教員の人事・給与等について

B.中期的課題--産業競争力の衰退--
 日本の産業競争力は1990年から2020年までに世界のトップから34位に落ちています。原因の1つとして次のようなことが考えられます。すなわち、日本は1980年代半ばまでは科学技術・経済力で米国に追いつくことが暗黙の目標であったと言えます。そのためには答えが決まっている問題、正解が1つである問題をいち早く解く人材が優秀であるという神話があって、その呪縛から逃れていないのだと思います。すなわち、答えのある問題を早く解ける人材を評価する、という基準だけで大学の入試を行ってきたのではないか、そしてその基準だけで人材育成をすると、世界と戦うときに苦しくなるのではないか、というのが私の仮説です。
 この仮説への解答として、文理連携・横断・融合の教育が必要です。今までは文理分離の教育をしてきました。このことが日本の力を弱めているのであろうと思います。

⇒この解決策として設けた基盤教育について紹介.日本語と英語の論理的書き方、文系の学生への数学的思考とデータ科学の教育、全員の学生への情報科学の教育

こうして2050年までには世界中の人々が、アジアで最も効果的な教育を受けられるのは早稲田である、と思ってもらえるような大学になる、ということを目指したい。

Part Ⅱ.社会のニーズに応える大学になる
戦略A.カーボンニュートラルの実現へのアプローチ
 カーボンニュートラルの実現は、人類が直面している最大の、かつ最も長期的な課題であると考えます。これが達成出来なければ地球自体が滅び、人類が滅亡する可能性があると考えます。その解決のためには総合知が必要でして、2021年11月1日にカーボンニュートラル宣言をしました。そして2022年12月1日に、カーボンニュートラル社会研究教育センターを設立しました。
⇒上記センターについて紹介.研究×人材×社会の三位一体での取り組み、等

戦略B.私学最強の財務体質を更に強化
(1)早稲田エンダウメントの実績
 早稲田は私学で一番金融財産が多く、2018年までに1,500億円貯めていました。その運用益だけで積極的な投資運用をしています。見込みでは2050年に資金運用時価残高が3,200億円となります。但し、世界ランキング50位以内の大学は5,000億円以上を保有しています。国際卓越研究大学に認定されれば、早稲田エンダウメントの運用により2050年には5,400億円の基金の蓄積が可能になり、世界ランキング50位以内を達成出来ます。
(2)募金
 国際卓越研究大学に対しては産学連携と寄付金だけで集めたお金の1.3倍を渡す、というのが政府の方針です。従いまして寄付と産学連携を強めなければ、国際卓越研究大学に選ばれたとしても研究力は強まらないことになります。この点は皆様のご協力をお願いしたいと思います。2022年4月1日に早稲田大学応援基金の募集を開始しました。

戦略C.産学連携の飛躍的拡充
(1)Waseda University Ventures
 Oxford大学出身の山本哲也氏と京都大学出身の太田裕朗氏に早稲田大学ベンチャーズの共同代表となって頂きました。Limited Partner型のファンドを集め、Venture Businessに投資します。下記の( )内は投資時期です。
WUV1号;青木 隆朗 教授の量子コンピューター(2022年8月)
WUV2号;川原田 洋 教授のダイアモンド半導体デバイス(2022年10月)
WUV3号;戸川 望 教授の量子計算ソフトウェア(2023年3月)
WUV4号;プレスリリース待ち
今後は応用化学、生命化学分野への投資も行われると思いますので、期待して下さい。

(2)産学連携を推進する体制を確立
 リサーチイノベーションセンター(121号館)にて産学連携を目指す体制を整えています。国際卓越研究大学に認定され、このような建物を増やし、産学連携を進め、社会実装する、社会に貢献する研究を進めて行きたいと考えております。

以上で私の講演を終わらせて頂きますが、皆様の益々のご健康とご成長、また後輩へのご支援、またご指導を頂きながら、より素晴らしい学生を早稲田から輩出したいと思っております。ご清聴、どうも有難うございました。

<備考>下線部は、田中総長が使用された説明資料を元に、講演内容の区切りや解説のため注記したものです。なお、田中総長が使用された説明資料(PDF FILE)は、応化会HP内の資料庫に格納されています。詳細はこちらのファイルも是非ご覧下さい。

(閲覧には資料庫のパスワードが必要です。)
資料庫

濱会長の閉会ご挨拶
 田中総長には、世界に輝く人材を育てるために、我々応化会がどう大学や社会とも連携して、世界で活躍できるトップ人材をつくり出して行かねばならないと言う明確なご示唆を頂きました。
 正に我が意を得たりであり、日本を輝ける人材の宝庫にする為に、改めて応化会の活動を進化させて行きたいと思いました。田中総長、本当に素晴らしいご講演ありがとうございました。

(文責:交流委員 新23 小林 幸治)