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「早稲田地球再生塾(WERS)第4回勉強会」のお知らせ

早稲田地球再生塾(WERS)第4回勉強会
「誰も置き去りにしない防災・復興」

日時:2019年11月12日(火)14:00~17:20(開場13:30)
場所:早稲田大学西早稲田キャンパス55号館 N棟1階 大会議室

勉強会では4つの講演及びパネルディスカッションが行われます。
内容及びその詳細、また参加申込み申請フォームは下記のURLをご参照ください。  
  https://www.waseda.jp/fsci/wise/news/2019/09/27/3102/

     会場の都合上、定員に達した時点で受付終了となります。

以上

お問い合わせ:早稲田大学理工学術院総合研究所
早稲田地球再生塾(WERS)事務局 wers@list.waseda.jp

第21回 先生への突撃インタビュー(小栁津研一教授)

小栁津研一教授

「先生への突撃インタビュー」に小栁津研一教授にご登場願うことにしました。
今回も学生にインタビュアーとして参加をしてもらい、応化会の本来の姿である先生・学生・OBの3者による合作を目指しました。小栁津先生にも快く賛同していただきましたことを、この場をお借りしてお礼申し上げます。

小栁津先生のプロフィール
1990年早稲田大学理工学部応用化学科卒。 
1995年早稲田大学大学院博士後期課程修了。同大学理工学部応用化学科助手。
1997年早稲田大学理工学総合研究センター講師。
2003年東京理科大学総合研究所助教授。
2007年早稲田大学理工学術院准教授。
2012年より早稲田大学理工学術院教授。
2002年日本化学会進歩賞、2013年に文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を受賞。

・先生が研究に本格的に取り組み始めたキッカケはなんですか?  
      ~論文が採択されたとき~

高校生の頃から理科系に好奇心があり、早稲田の応用化学科に入りました。研究室配属から卒業研究を経て修士課程までは特段のエピソードもなく,最も興味のあった高分子を選び、土田英俊先生の研究室で過ごしていました。博士課程に入ってからは,研究そのものだけでなく,研究室生活に関する思い出が数多くあり,それらが研究に取り組むキッカケになったと思います。例えば,博士課程の後半にやっと研究が纏まり、苦労して仕上げた論文原稿を持って夜遅くに吉祥寺の土田先生の御宅までお邪魔して,最終チェックをお願いしたことがあります。米国化学会ACS宛のカバーレターに先生のサインをいただき,「では明朝,郵便局が開いたらすぐ出します」と言ったら先生にひどく叱られました。朝まで時間を無駄にするとは何事かね,東京駅の中央郵便局は24時間開いているから,今すぐ行って投函してきなさいと怒られ慌てて中央線の終電に飛び乗って行きました。当時よく使ったEMS国際郵便のオレンジ色のマークのついた封筒は遠くからでも目立つのですが,深夜の郵便局に行ったら同じ封筒を抱えて青い顔して窓口に並んでいる自分と似たような奴が多勢いまして,何となく彼らと競争しているのだという気持ちが湧いてきました。私はのんびりした学生だったので,今から思えばそれが先生の狙いだったのかも知れません。現在の電子ジャーナルと違って,当時は採否通知も郵便で来ました。ACSからの返事は一目でそれとわかる赤と青の模様のついた封筒に入っていて,恐る恐る開封すると目に飛び込んでくる最初の文章がWe are pleased to accept・・・か,それともWe regret to inform youかで運命が分かれます。何度かリジェクトされても諦めず粘った改訂稿が遂にアクセプトされた日の嬉しさといえば最高で,それが道を決める本当のキッカケになったのかもしれません。

・技術的内容で先生がポイントと考えておられる点はなんですか?
   ~電子移動や電子授受を制御して、エネルギーに関連した新しい高分子を作りたい~

研究のキャリアを積む過程で早稲田から一時期米国CaltechのFred Anson先生の研究室に行かせていただき,その後は東京理科大,早稲田と動いてきました。10年余り前に早稲田へ戻ってきた時,西出宏之先生のラジカル電池に関する大きなプロジェクトの中で、広い意味でのレドックスポリマーに拡張して有機電池に適用する研究を始めたことが現在の研究につながっています。有機(高分子)電池は、環境に優しい、軽い、柔軟性があるなどの大きな特徴があり、有機物のみから構成できる唯一の電源として,実際に用途が広がりつつあります。特に、パワーが大きくとれることが特徴で、エネルギーの貯蓄密度の点でも十分に対応出来る状況になってきました。無機材料との対比で特徴を活かせる高分子材料を,これからも提案していきたいと思っています。現在、研究室ではデータ科学による「マテリアルズ・インフォマティックス」の手法も取り入れて挑戦を続けています。 

・先生の研究理念を教えてください。 
   ~着実な成果を積み上げていけば、新しいことがわかるはず~

研究は地道な積み重ねだと思っています。地味でもいいから確実な研究成果を積み上げていくようなスタイルで、必ず何か新しいことがわかるはずだと思っています。

一つの具体例としては、ある化合物の重合反応が進行する理屈を調べていたとき,多くの実験データを組み合わせたら電子の動きが上手く制御されていることが初めてわかりました。電子移動を制御することで、これまでにない方法で高分子が作れることを知ったことが、有機電池の研究に取り組むきっかけにもなりましたし、そういったやり方は,理念というにはおこがましいですが,少なくても信条にはなっています。

・これからの研究の展望を聞かせてください。
   ~エネルギーに関連した機能性高分子を提案し続けたい~

現在取り組んでいる研究をお話してきましたが、対応する応用分野はかなり広がっています。

対象としている機能物性も電池や水素貯蔵などが当面の領域ですが、新しいイオン伝導体やイオン選択透過膜への展開も視野に入れて取り組んでいます。用途分野の進展は速く,対応する研究領域そのものが拡大しているので、我々の研究もそれを意識して続けたいと思っています。

・応用化学会の活動への期待を聞かせてください。
   ~学生にとって貴重な組織~

応用化学会は、現役学生に対して様々な支援をいただいており、また多様な交流活動の機会を通してエンカレッジしていただき、非常に有り難い組織であると感謝しています。大学の一学科の同窓組織としては国内屈指の活力を有し,教員や学生に絶えず刺激を与えていただいているので,応化会あっての応用化学科でもあります。応化会は,社会で活躍されるOB・OGの皆さんと現役学生,教員間の貴重な架け橋になっています。是非これからも活発な活動を継続していただけたら有り難く思います。

・100周年を迎えた応用化学科についてコメントを聞かせてください。
   ~遠い将来200周年の時に振り返ってもらえるようでありたい~

100周年を機にこれまで応用化学科が歩んできた歴史を振り返り、諸先輩方が積み上げてきた伝統の重みをあらためて感じています。良い伝統はきちんと後世に伝えることが大切です。今から100年後の,応用化学科200周年の時に,現在の応用化学科がどうであったかを振り返ってもらえるようでありたいです。

・21世紀を担う皆さんへのメッセージをお願いします。
   ~新しい方法論を身につけ、新しい価値に適応し,活躍して欲しい~

今の時代は変化がますます加速しています。ビッグデータやAIの活用は当たり前になり,現役学生が社会を支える時代はさらに次の技術や価値観が求められると思います。グローバル化を含め,新しい方法論と自らをバージョンアップする能力を身に着け,是非ともこれからの競争を勝ち抜いて行って欲しいと思います。

参考資料:

インタビュアー&文責: 佐藤 由弥〈学生広報班チーフ)、井上 健(新19回)

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過去の突撃インタビュー

NFM主催シンポジウム「大学発の『知』社会実装」ご案内

日時 :2019年6月21日(金)13:00~(12:30~受付)
会場 :早稲田大学 小野記念講堂
主催 :ナノテクノロジーフォーラム  
参加費:無料 
  ※懇親会:NFM会員企業、教職員、学生の参加は無料となります。
  ※参加申込先:nano-forum@list.waseda.jp <mailto:nano-forum@list.waseda.jp>

プログラム
  https://www.waseda.jp/inst/nanolife/news/2019/05/14/1794/

13:00~ ご挨拶/笠原博徳(早稲田大学副総長)
13:05~ 会長挨拶/大林秀仁(早稲田大学ナノテクノロジーフォーラム会長) 

<第1部>
13:10~ 基調講演/城戸淳二(山形大学大学院有機材料システム研究科卓越研究教授)
14:20~ 招待講演/瀧口匡(ウエルインベストメント株式会社 代表取締役社長)
15:00~ 休憩
<第2部>
15:10~ 講演/細川正人(早稲田大学理工学術院総合研究所)
15:40~ パネルディスカッション/テーマ「大学発の『知』社会実装」
     パネリスト:城戸淳二、瀧口匡、
           伊藤毅(Beyond Next Ventures株式会社代表取締役社長)、
           細川正人、朝日透
17:30~ 閉会の挨拶/逢坂哲彌(ライフサポートイノベーション研究所特任研究教授)
18:30~ 懇親会(大隈タワー15階「森の風」)

以上

早稲田地球再生塾(WERS)シンポジウム2019 ご案内

名称:早稲田地球再生塾(WERS)シンポジウム2019
   -Society5.0+が目指すサスティナブルなコト・モノ作り-
    脳科学と感性科学の融合
日時:2019年7月3日(水)13:00~18:30(開場12:30)
場所:早稲田大学西早稲田キャンパス63号館2F 04・05会議室
   (入場無料)
詳細(基調講演・講演の内容・講演者等)は下記のURLをご参照ください。
(開会挨拶は理工学術院総合研究所:木野邦器所長)

        https://www.waseda.jp/fsci/wise/news/2019/06/06/2909/

        お申し込みは上記URLの「参加方法」の「こちら」より
        会場の都合上、定員に達した時点で受付終了となります。

以上

 お問い合わせ:早稲田大学理工学術院総合研究所
 早稲田地球再生塾(WERS)事務局 wers@list.waseda.jp

加藤忠蔵先生を偲ぶ会報告

加藤忠蔵先生は、去る2018年4月24日に96歳でご逝去されました。生前の先生のご遺志により葬儀はご親族のみで執り行われました。先生のご功績とご足跡を偲ぶため、10月6日に先生とご縁の深かった皆様にお集まりいただき、5名のご遺族とともに「加藤忠蔵先生を偲ぶ会」を開催致しました。

 会は二部構成とし、第一部は早稲田奉仕園スコットホールで、第二部はリーガロイヤルホテル東京 ロイヤルホールⅡで開催致しました。第一部は101名、第二部は83名のご参加がございました。

第一部では、司会の菅原義之 世話人の開会の辞の後、黒田一幸 世話人代表から加藤忠蔵先生のご功績を紹介致しました。次に、卒業生(土井 章 世話人、服部英昭 氏(新15)、里見多一 世話人、山崎信幸 氏(新23)、里川重夫 氏(新36))から、先生との思い出の写真を紹介しました。ピアノ演奏のなか、参加者による献花が行われ、最後にご遺族を代表して奥様にご挨拶いただきました。

第二部では、司会の里川重夫 氏の開会の辞に引き続き、黒田一幸世話人代表からの挨拶があり、次いで応用化学会会長 西出宏之 早稲田大学特任研究教授と応用化学会元会長 棚橋純一 日本化学工業取締役会長にご挨拶いただきました。門下生からは、土井章 世話人、里見多一 世話人から先生との思い出の紹介がありました。逢坂哲彌 早稲田大学研究特任教授のご発声による献杯の後、参加者が加藤先生の思い出を語り合いました。和田宏明 世話人の閉会の辞の後、二回に分けて写真撮影を行い、散会致しました。


本会の開催に当たりましては、ホームページでの告知を始め、早稲田応用化学会には大変お世話になりました。また、西出会長を始め、多くの会員の皆様にご参会いただき、第一部では早稲田応用化学会より献花も頂戴致しました。心より御礼申し上げます。

世話人一同

 

世話人

黒田一幸(代表・新24)
土井 章(大修15)
里見多一(新22)
和田宏明(新29)
菅原義之(新33)
下嶋 敦(新45)

第20回 先生への突撃インタビュー(門間 聰之 教授)

「先生への突撃インタビュー」の第20回として門間教授にご登場願うことにしました。
今回も学生、現役OB/OGにインタビュアーとして参加をしてもらい、応化会の本来の姿である先生・学生・OB/OGの3者による合作を目指しました。門間先生にも快く賛同していただきましたことを、この場をお借りしてお礼申し上げます。
門間先生のプロフィール:1990年、早稲田大学理工学部応用化学科卒。 1995年、早稲田大学院博士後期課程修了。同大学理工学部応用化学科助手、米国ミネソタ大学の博士研究員を経て、早稲田大学に赴任。2010年より早稲田大学理工学術院 准教授。2014年より早稲田大学理工学術院 教授。 2001年に、電気化学進歩賞・佐野賞、2007年には「Electrochemical Communication Award 2007」を受賞。

・先生の現在に至るまでの足跡をお話頂けますか?
     
~科学には継続して面白さを感じていました~

小学生の頃は理科好きの子供で、時計を分解して遊んだり、当時出始めのLEDで遊んでいた記憶があります。高校になると物理と数学が好きだったと思います。理屈がわかれば、今までわからなかったことを証明できたり、確定できる面白さを感じていました。大学では化学を中心に学ぶようになりましたが、分野としては、化学工学や電気化学に大きく興味がありました。大学3年生の時に、これから深く勉強し、自分が身に着けるべき化学として、物理化学、特に電気化学を遠い将来にも必須の領域と感じて選びました。修士へは自然の流れで進みましたが、博士課程には研究が非常に面白いと思うようになると同時に、自分で決めたテーマを研究したいという思いを大切に進みました。更に、ドクターを取得したら海外で修業をしたいという思いもあり、1年間助手をした後に米国・ミネソタ大学に博士研究員として行き、その後早稲田大学に赴任して現在に至っています。研究内容は、学生時代は電池を中心に、またセンサー分野にも関わり始め、加えて、デバイスの種類を超えて、電気化学分析として電気化学反応のインピーダンス解析に注力して研究を進めています。

先生の専門の中で大切に思われているポイントなり、スタンスなりをお聞かせください?
     
~端的に言えば面白いから深堀したいし、人の役に立ちたいという思いです~

電気化学が好きで色々と研究を進めてきていますが、化学反応の中でも有機や無機といった扱う物質で分野を限定するのではなく、電子のやり取りを取り扱う領域としての電気化学を扱っています。基本的には界面反応で不均一反応であり、物質移動も関わります。電気的数値をオンタイムで測定できるという面もあり、非常に面白い領域だと思っています。応用面では、自分の得意領域である電気化学解析を取り入れたセンサー等への応用展開にも取り組んでいます。電気化学の特色を簡便に纏めてみると、化学反応の基本である酸化・還元反応を、電極を使うことで分離して評価できるというのが素晴らしいことだと思っています。

・先生の最近の動向や展望に関するお考えをお聞かせください。
     
~情報化時代を含めた現代社会への応用展開を進めたい~

現在、情報化の加速度的な進展でIoTなどが期待されていますが、インプットされる情報は物理的センサーの応用が先行しています。これでは限界がありますし、不十分だと思っていますので、化学や物理化学が組み込まれた、より高度なものに進展させたいという思いがあります。化学物質と電気エネルギー/シグナルを直接変換できる電気化学は、化学センサーに非常になじみが良いと考えています。具体的な一例としては、尿、汗、唾液などから病気や人の状態を測定できるようなセンサーの開発などが挙げられます。疾病のマーカー物質やアレルギー、ストレス状態などを測定できるセンサーなどが、体温計のように簡単に測定でき、その情報がIoT等の活用で疾病の超早期発見につながればと思っています。物質面だけでなく、こういったサービスでQOLの向上にも寄与出来たら良いと思います。これらの研究を通して、電気化学の学問領域を拡充したいという思いも強いです。

 ・関連質問として、異分野に対する取り組みは、どうでしょうか?

興味があればなんでも、調べたり、詳しそうな人に聞いたりしています。自分の関わっている領域では、しっかりとした基本を身に着けておくのがまず大事ですが、興味が湧けば周辺領域も知識を得て、また面白そうなことは取り組んでみるという姿勢が重要だと思っています。個人的には、化学に関係のあまりないようなことも、自宅では時間のあるときに実験や工作をしてみたりしています。

・応用化学会への期待を聞かせてください。
     
~もっと敷居の低い、会員家族が楽しめる企画があっても良いかと~

応用化学会は素晴らしい会だと思いますし、活動にも感謝をしています。自分も会員の一人と思っていますが、一卒業生としては、催事に関してはもう少し敷居の低い、参加対象の広い、会員の伴侶や子供たち家族も楽しめるような企画も良いのかな、と思う時があります。

・100周年を迎えた応用化学科についてコメントを聞かせてください。
~自分を育ててくれた学科で、これからはそのように思う学生を多く輩出したい~

応用化学科は、自分を成長させてくれた大切な場であると思っています。その面では感謝の気持ちが強いですが、今の立場で言えば、これからの学生が同様に「育ててくれた」と感じてくれるように携わりたいと強く思いますし、楽しんで過ごして欲しいと思います。

・21世紀を担う皆さんへのメッセージをお願いします。
     
~目先にとらわれずに、長期の夢や希望を持ち続けられるように~

研究の面白さや、面白いから研究を続けていることを話してきましたが、学生の皆さんにも是非とも自分の夢を追い続けるようにして欲しいと思います。目先の利益や安定、安心を求めるばかりでなく、長期にわたって追い続けられるような夢や希望をもって生きて欲しいと思います。また、折角化学を学んできたのでそれを活かして欲しいという思いもあります。

参考資料:

インタビュアー&文責: 
佐藤 由弥(学生広報班)、西尾 博道(学生広報班)、新谷 幸司 広報委員会副委員長(新34)、井上 健(新19回)

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過去の突撃インタビュー

第19回 先生への突撃インタビュー(細川 誠二郎 准教授)

細川 誠二郎 准教授

 

「先生への突撃インタビュー」の第19回として細川 誠二郎 准教授にご登場願うことにしました。
今回も学生、現役OB にインタビュアーとして参加をしてもらい、応化会の本来の姿である先生・学生・OB /OGの3 者による合作を目指しました。細川先生にも快く賛同していただきましたことを、この場をお借りしてお礼申し上げます。

  細川先生のプロフィール:

  • 1991 年 北海道大学理学部化学科卒業
  • 1993 年 同大学院理学研究科 博士課程前期課程化学専攻 修了
  • 1996 年 名古屋大学 大学院農学研究科 博士課程後期 食品工業化学専攻修了・博士(農学)
  • 1996 年 日本学術振興会特別研究員(PhD)(名古屋大学、米国スクリプス研究所)
  • 1998 年 東京理科大学 薬学部 助手
  • 2003 年 早稲田大学 理工学部 応用化学科 専任講師
  • 2007年より 同 理工学術院 准教授

  受賞

  • 2003 年 有機合成化学協会研究企画賞
  • 2008 年 有機合成化学奨励賞
  • 2010 年 Thieme Journal Award 2010

・先生の現在に至るまでの足跡をお話頂けますか?
   ~将棋と有機合成に類似性がありますね~

今思い起こすと、小学生頃から将棋が好きでしたが、将棋の考え方や詰め方などは有機化学の多段階合成に似ていると感じることがありますね。手順前後ではだめで、ターゲットを決めて理詰めに組み立てるプロセスは非常に似ていると思います。将棋以外は、田舎育ちでしたので、子供会でソフトをやったり、虫取りや釣りなどに興味を持っていましたが、特に理科少年ではなかったと思います。自分は子供のころから体内時計が壊れているようで、幼虫から虫を育てる時には午前2 時、3 時まで観察を続けていたこともありました。育ちが岡山県の児島で、遠くに水島コンビナートの夜景が望めたのと、化学が得意だったこともあり、何となくそちらの方面に行くのかなと思っていたのが高校の始めのころでした。その後高分子化学に興味を持ち、北海道大学に進学したのですが、1,2 年次の授業の中で、低分子、特に天然物(キノコの毒など)が個体の運命を決めることに興味を強くもつ様になり、理学部の化学科に進みました。その一方で、天然物は得られる量が気象などに左右されるので、これを補完する意味で有機合成が役立ちますし、何よりも、モノを作る技術はとても強みになると思うようになりました。このような経過を辿り、有機合成の研究に強く興味を持つようになり、はまり込んでいきました。修士にも自然の流れで進みましたが、指導教授が間近に定年になることから博士課程には、当時、有機化学が全般的に強かった名古屋大学に進みました。当時、生え抜きでも博士課程3 年で博士号を修得するのが難しい中で、博士課程から所属を変えることになったのですが、有機化学をつきつめたいという思いと、3 年でやりきれなければどこでもやっていける研究者にはなれないだろうという覚悟をもって入りました。私が大学院生の時はちょうど大学院重点化の時期でして、企業からも博士の需要がとても高いことを肌で感じましたし、「博士を持って研究者とみなされる」という国際的な考えが日本で定着した時期でした。結果として3 年で博士号を修得しアカデミアの道に進むことになりました。博士課程の3 年間は、技術的にも学力的にも飛躍的に成長できましたし、これから生きていく自信と新しい世界観を得られた、今の自分に不可欠な時期となりました。

  • 関連質問ですが、ご自身でハイパー・ケミカル・クリエーターと仰っていたことを聞いたことありますが、未来を作っていると感じる研究はどういう時でしょうか?

勿論、難しい全合成を完成した時は達成感と「遂にこれができるようになった」という時代を進めた感触はあります。しかし、未来を創るという実感は、失敗した研究でも今までにない反応に出会った時とか、多段階の合成ルートを極端に短くした時にも感じますね。今の研究はどれも未来を作っているのに繋がっていると思います。

  • 先生の専門の中で大切に思われているポイントなり、理念なりをお聞かせください。
       ~「美しく、短く」 に重きを置いています~

有機合成化学では、戦略と戦術の組み合わせで良い研究や新しいルートが出来ます。戦術は個別の反応やネーム・リアクションなどですが、合成の戦略は非常に大切だと思っています。現在、進んでいる短工程合成の研究も使っている反応は既知のものですが、どう組み合わせるかという戦略で画期的な合成ルートが出来ています。自分の研究は新しい戦略を最重要と捉えて、結果として突き詰めると「美しく、短く」の言葉に代表されるのだと思います。

  • 先生の今後に向けての展望に関するお考えをお聞かせください。
      ~役立つ有用な化合物を提供し続けること~

分子量1,000 を超えるような巨大なポリケチド化合物群を、簡便に数多く提供出来るようにしていきたいと思っています。分かり易く言えば、今までは合成や取り扱いが難しくて生物活性物質の俎上に乗っていなかった分子量の大きい化合物が、最近の研究で画期的な作用を発現していることがわかってきています。そのような研究に多くの新しい候補化合物群を提供していきたいと思っています。

  • AI 等の活用は?

タンパク質の構造と生物活性の相関が明確になってくると、ビッグデータやAI が活躍する場面は出てくると思いますが、合成化学は実験が基盤になっていますので、現時点では多くの実験を経験している人間の方が利点が多いと思います。寧ろ、実験が自動ロボットに移行する方が早いかも知れませんが、現時点では自分の研究室では導入を考えていません。

  • 応用化学会への期待を聞かせてください。
      ~感謝のひとこと~

学生にとっても存在感が大きい会で、工場見学の機会を得たり、奨学金の提供を受けたりと、ありがたい会だと思っています。励ましてくれる方々がいるということは、とてもありがたいことです。

  • 100 周年を迎えた応用化学科についてコメントを聞かせてください。
      ~伝統は大切~

歴史の中で伝統や受け継がれるものを大切にすることは非常に重要だと思いますので、この流れを大切にし続けてほしいです。 

  • 21 世紀を担う皆さんへのメッセージをお願いします。
      ~専門性を大切に~

専門性を身に着けることに是非注力してほしいと思います。壁にぶつかっても、徹底して考え、実験をして、自分なりの方法論や解決法を体得するようにしてほしいと思っています。
モノつくりのベースを是非とも身に着けてほしいし、モノつくりには観察も重要ですのでこれも大切にしてほしいと思います。
最今の就職事情から、修士課程の学生はこの辺の時間が十分に取れていないという危惧を持っていますが、自覚をもって対処すれば十分に修得できると思っていますので、頑張ってほしいですね。

参考資料:

インタビュアー&文責:

佐藤 由弥(学生広報班)、西尾 博道(学生広報班)、新谷 幸司広報委員会副委員長(新34)、井上 健(新19 回)

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過去の突撃インタビュー

早稲田地球再生塾第3回勉強会のご案内

「森づくりから考える地球再生×地域再生」開催(12/10)のご案内 

早稲田地球再生塾(WERS)は、早稲田大学理工学術院総合研究所に新設した7つのクラスター研究所間の多様な連携と研究成果の効果的な社会還元の実現を支援展開するために、異分野の研究者と技術者の出会いの場を提供し、企画・立案・実施・事業化を推進する学内外に開かれた研究会として開設しました。

タイトル  森づくりから考える地球再生×地域再生

趣旨

 我が国は国土の約3分の2が森林に覆われた世界有数の森林国で、森林面積のうち約 4割が先人たちによって植林された人工林になっている。近年、里山の保全や放置林 の問題、人工林以外の多様で健全な森林の整備の重要性が増している。とくに、森林 資源は、水源の涵養や、災害に強い国土の保全、地球温暖化防止などの地球再生に向 けた多面的効果のみならず、「森づくり」を中心とした地域復興や森林がもたらす教 育的・療養的効果など持続可能な地域再生に対して様々な効果が期待できる。一方で、 現代のわれわれの日常生活は、とくに人口の集中する都市部では自然に接する機会も 乏しく、子どもたちの間には「自然欠乏症候群」による心身の不調が憂慮される事態 にもなっている。今回のWERS第3回勉強会は、森林・林業を巡る情勢を多方面の専門家の方々から具体的な事例をご紹介いただき、「森づくり」、「森」を活かした 生活環境づくりを中心に、今後の持続可能な社会づくりをさまざまな視点から議論していただく。

開催概要

  • 日時:2018年12月10日(月) 13:00~17:00(開場12:30)
  • 会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス63号館2階03,04,05
     【キャンパスマップ】 https://www.waseda.jp/top/access/nishiwaseda-campus
  • 対象:一般・早稲田大学の教職員・研究員・学生

プログラム

 13:00~13:10 開会挨拶
    早稲田大学理工学術院総合研究所 所長 木野 邦器 教授

 13:10~13:15 趣旨説明
   コーディネーター 早稲田大学理工学術院創造理工学部 古谷誠章 教授

 13:15~13:55 基調講演1 「心に木を植える」
   C.W.ニコル・アファンの森財団 理事長 C.W.ニコル 氏

 13:55~14:35 基調講演2 「ヒダクマの挑戦」
   株式会社「飛騨の森でクマは踊る」大協取締役社長
   ロフトワーク・共同創業者代表取締役 林 千晶 氏

 14:35~14:50 休憩

 14:50~15:30 基調講演3 「再生の森林-森林とともに人間が再生する」
   東京農業大学地域環境学部森林総合科学科 上原 巌 教授

 15:30~16:10 基調講演4 「森が学校計画産学共同研究会の活動について」
   早稲田大学理工学術院創造理工学部 古谷 誠章 教授

 16:10~16:50 パネルディスカッション
   モデレーター 古谷 誠章
   パネリスト C.W.ニコル/林 千晶/上原 巌/高口 洋人

 16:50~17:00 閉会挨拶
   早稲田大学理工学術院総合研究所  副所長 高口 洋人 教授

総合司会
 早稲田大学理工学術院総合研究所
 上級研究員/WERS事務局・プログラムマネージャー 荒 勝俊 研究院教授

主催  早稲田大学理工学術院総合研究所 
共催  早稲田大学理工学術院創造理工学部建築学科

参加申込  以下、URLよりお申込み下さい。

 https://www.waseda.jp/fsci/wise/news/2018/11/13/2535/

 ※定員100名になり次第、お申込み終了とさせていただきます。

お問い合わせ
 理工学術院総合研究所 WERS事務局 

 wers@list.waseda.jp

以上

教室会員受賞

2018年度

2018-11-02掲載

阿部 りさこ(応用化学専攻・平沢・小堀研究室・M1)
化学工学会・室蘭大会
学生賞・奨励賞
2018年度
程 鹿々(応用化学専攻・黒田・下嶋・和田研究室・M2)
2018年度・第5回 ZAIKENフェスタ
最優秀ポスター賞
2018年度
古川 周平(応用化学専攻・小栁津・須賀研究室・M1)
The 7th International Seminar on Green Energy Conversion
Poster Award
2018年度
堺 竜哉(応用化学専攻・関根研究室・M1)
石油学会60周年記念大会
優秀ポスター賞
2018年度
山田 研成(応用化学専攻・関根研究室・M1)
石油学会60周年記念大会
優秀ポスター賞
2018年度

2018-09-26掲載

杉山 朋陽(応用化学専攻・黒田・下嶋・和田研究室・M2)
日本ゾル・ゲル学会
第16回討論会 ベストポスター賞
2018年度
廣田 佳弥 (応用化学専攻・黒田・下嶋・和田研究室・M2)
日本ゾル・ゲル学会
第16回討論会 ベストポスター賞
2018年度

2018-08-23掲載

齊籐 杏実(応用化学専攻・山口研究室・M1)
第9回サブウエイセミナー
優秀ポスター賞
2018年8月
矢部 智宏(応用化学専攻・関根研究室・講師(理工総研次席研究員))
TOCATS(触媒学会)
BEST POSTER AWARD
2018年度
堺 竜哉(応用化学専攻・関根研究室・M1)
TOCATS(触媒学会)
Catal. Sci. Technol. Awrd (Royal Society of Chemistry)
2018年度
川上 慧(応用化学専攻・野田・花田研究室・LD1)
化学工学会 北海道支部・東北支部・関東支部
化学工学会室蘭大会2018 学生特別賞 
2018年8月
金澤 優貴(応用化学専攻・野田・花田研究室・M1)
化学工学会 北海道支部・東北支部・関東支部
化学工学会室蘭大会2018 学生奨励賞 
2018年8月
野田 優(野田・花田研究室・教授)
日本学術振興会
特別研究員等審査会専門委員(書面堪能)表彰 
2018年8月

2018-07-22掲載

堤 優也(応用化学専攻・本間研究室 M1)
電子情報通信学会
磁気記録・情報ストレージ研究専門委員長賞 2018年度

2018-07-2 掲載

真鍋 亮(先進理工学専攻・応化 関根研究室 D3修了)
先端技術大賞
フジテレビジョン賞 2018年度
高田 要(応用化学専攻・小栁津・須賀研究室 M2)
The 8th International Symposium on Polymer Chemistry (PC2018)
優秀ポスター発表賞 2018年度

2018-06-04掲載

引間 雅菜(応用化学科・本間研究室 B4)
電気化学会 第85回大会 ポスター賞
2017年度
2017年度の受賞ですが掲載しています。
鳥本 万貴(応用化学専攻・関根研究室 M2)
石油学会 最優秀ポスター賞
2018年度
福田 紘征(応用化学専攻・松方研究室 M2)
日本膜学会 第40回総会学生賞
2018年度
猪村 直子(応用化学専攻・平沢・小堀研究室 博士課程)
化学工学会
「Jouranal of Chemical Engineering of Japan]
 Outstanding Paper Award 2017
2018年度

 

 

西出宏之先生 最終講義および記念会の報告

  •  西出宏之先生 最終講義

西出宏之先生は、本年3月をもって応用化学科を定年退職されました。先生は40年近くに亘って情熱と幅広い包容力をもって高分子化学の研究と教育に打ち込まれ、500名を超える卒業生を送り出されるとともに、先進理工学部長・研究科長を務められるなど、本学の教育・研究の向上に尽力されました。先生は、新しい有機高分子の合成とその機能開拓に関する研究、特に、ラジカル種の関わるそれらの分野で独創的な成果を挙げられました。不対電子の交換反応によって電荷が輸送され貯蔵・放出されることの実証は、有機物からなる二次電池や光電変換系の開拓へと波及しています。さらに高分子磁石や酸素濃縮膜など、機能性高分子の設計と創製に重要な一歩を印されました。早稲田応用化学の伝統のもと、確かな基礎知見をもとに実学として新しい領域に踏み込んだ成果は、原著論文600余報として発表され、高分子化学の分野で世界を先導する研究者の一人として高い評価を得ておられます。先生の最終講義は3月17日土曜日に行われ、ご功績を記念し永年のご尽力に感謝するとともに、古希をお祝いする記念会が開催されましたので、その模様をご報告します。

西出宏之先生 最終講義

本学国際会議場 井深大記念ホールで催された最終講義には、400名を超える多くの参加者が集まり大盛況でした。最終講義に先立ち、現在アカデミアで活躍している教え子の中から4名の皆様(首都大学東京 川上浩良教授、豪Monash大学 齋藤敬准教授、東京工業大学 山元公寿教授、山形大学 城戸淳二教授)に、「機能性高分子の新展開〜早稲田時代を振り返りつつ〜」と題して、現在の研究につながった道程を講演いただきました。小憩の後、応用化学科主任の松方正彦教授より、西出先生のご紹介と永きに亘る教室へのご尽力に対する謝辞が述べられ、いよいよ西出先生の最終講義「機能性高分子―着想と実践的な展開―」が始まりました。

花束の贈呈

先生の幼少時代やご家族のエピソード、学生時代を過ごされた篠原・土田研の頃の思い出、1978年に応用化学科助手となられて以来の研究テーマの変遷、世界に先駆けラジカル高分子に着目された切掛けの逸話から始まり、高分子磁石、ラジカル電池や太陽電池、酸素富化膜、酸素可視化コーティング、水素キャリア高分子をはじめとして機能性高分子の新しい世界を次々と開拓された成果の一端を、楽しくユーモアも交えてお話しされました。これらの研究を通して、64名もの博士号取得者を育てられたことも紹介されました。

西出宏之教授最終講義 Gallery

  •  西出宏之先生 記念会

早稲田大学 鎌田薫総長 お祝いの辞

引き続いて、記念会がホテル椿山荘東京にて開催されました。最初にお祝いの辞を早稲田大学 鎌田薫総長、竹内淳 理工学術院長、高分子学会会長の中條善樹 京都大学教授、海外よりバージニア工科大学Timothy E. Long教授、JXTGエネルギー㈱常務取締役の五十嵐仁一様より賜りました。同窓を代表して、東京農工大学の大野弘幸学長にご祝辞と乾杯のご発声をいただいた後、歓談に移りました。記念会も500名近い参加者があり、西出先生は会場を回られて多くの卒業生や来賓の皆様と和やかに歓談され、また、現在母国で活躍している元留学生らによる飛入り挨拶やプレゼント贈呈などもあり非常に盛り上がりました。研究室同窓会である高研会の赤真正人会長より記念品目録の贈呈、同窓代表と研究室秘書から花束贈呈の後、西出先生にご挨拶をいただきました。最後に、早稲田大学応援部リーダー諸君による応援歌と校歌斉唱、エールをもって名残惜しみつつ閉会となりました。
先生は4月より本学の特任研究教授として、引き続き研究活動とナショプロの立案に当たられています。また、5月からは応用化学会会長として、早稲田応化の一層の発展のためにご尽力いただいています。
最後になりましたが、西出先生の最終講義・記念会にご参加、ご支援を賜りました皆様方に、心より厚く御礼申し上げます。

お祝い会 集合写真

西出宏之教授記念会 gallery

  •  西出宏之先生 ご略歴

<略歴> 
1970年 早稲田大学理工学部応用化学科卒業
1972年 早稲田大学大学院理工学研究科応用化学専攻修士課程修了
1975年 同博士課程修了(工学博士)

1975年 日本学術振興会特別研究員
1977年 独フムボルト財団研究員(ベルリン自由大学)
1978年 早稲田大学理工学部・助手
1982年   同     ・助教授
1987年   同     ・教授
2007年 (改組により先進理工学部)教授
2010~14年 同     ・学部長・研究科長
2016~18年 早稲田大学 ・ナノ・ライフ創新研究機構長
2018年    同     ・名誉教授 理工学術院・特任研究教授

<主な学外活動>
1995〜97年 日本化学会 総務担当理事
2000〜01年 高分子学会 関東支部長
2001〜05年   同   副会長
2006〜08年   同   会長
2011〜12年 アジア高分子学会連合 会長
2012~14年 日本化学連合 会長

<主な受賞>
1990年 高分子学会賞
2010年 高分子科学功績賞
2013年 文部科学大臣表彰(科学技術分野)
2014年 日本化学会賞
2015年 ポルフィリン-ALA学会賞
2016年 大隈記念学術褒賞

 

(文責:小栁津 研一)