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第30回交流会講演会 パネルディスカッション

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日時;2016年9月24日(土)17:15~17:45

場所:57号館 201教室

講演者:株式会社キャステム代表取締役社長 戸田拓夫氏

ファシリテーター:田中徳裕さん(B4)

パネリスト:西田穂高さん(M1)、安藤英悟さん(M1)、野口詩織さん(M1)、石原真由さん(B4)

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rdsc05361田中) 今回の講演会の中でタイトルに突破力とあるようにたくさんの壁を越えてきたと思いますが、石原さん何かそのようなエピソードはありますか?

 石原) 戸田社長の講演会の中でもたくさんの壁を越えていらっしゃるという印象を受けました。私も高校時代のこととなりますがリーダーを任され、壁に当たったことがあります。それは、文化祭においてクラスで行う劇の完成を優先してこのまま突き進んでいくのか、それとも、クラス内の雰囲気を優先して劇の演目を決め直すのか選択を迫られたことです。そこで私は、クラスの雰囲気を優先し、劇の演目を決め直しました。戸田社長もリーダーとして様々なものを秤に掛けて決断を下さなければならないことがあると思いますが、どのように決断を下していますか?

rdsc05354戸田社長) まずすることとしては、徹底的に不満を出させることです。何が不満であるのか、先ほどのエピソードでしたら、やりたいことが皆ぶつかってしまい結果的に崩壊してしまう。このような場合はやりたいものをみんなの前で書き出し、そのポイントを徹底的に議論することです。皆が納得しないまま本番に臨んでしまうのが一番良くないですね。情熱をもって意見を主張してもらうしかない。中途半端にはさせず、いい加減なところで決定をしないことが大切です。あとになればなるほどやりにくくなるので、するのであれば最初から徹底的にやってもらいます。最初はバラバラになろうが恐れずに言いたいことを言わせて、本音のぶつかり合いをさせた方がいいと思います。その方が結果的には正解に近づくと思います。

rdsc05356西田) 戸田社長の今の答えに質問なのですが、不満を徹底的に出させ、その後はどのように答えに収束させていくのですか?

戸田社長) まず、意見をした人はその人が本当に責任を持てるのか確認し、本人が持てるというのであれば行うべきであると思います。しかし、途中で異変を感じたら、もう一度集まりどうするか検討をします。ミーティングは確実に行わないといけません。口先だけの場合もありえます。会議において初めは黙って聞きに徹している人がいるかもしれない。多くの人が様々な意見を出し行き詰っているときに、ぼそっと意見を出し解決に導いていく本当のリーダーが現れることがあります。

西田) 様々なパターンがあるということですか?

戸田社長) そうです。様々なパターンがあり、一つだけの正解というものはないと思います。悪戦苦闘するしかないと思います。失敗をしてしまったとしても、次にするときはこうしようと反省が生まれたらそれはそれでいいと思いますよ。学生のうちは特に。その結果、会社がつぶれることになるのであればまた話は別ですが。

田中) ありがとうございます。ここで紙飛行機などの趣味といった側面から伺いたいと思います。野口さんはそういった趣味などはございますか?

rdsc05371野口) 私にとって趣味とは楽しいもの、喜びを得るものです。何かに行き詰ったとき趣味のことを考え、それが活力となるものでもあります。戸田社長はその趣味を本業と呼べるまでにしていますが、趣味を持っているということがプラスになったことがありましたら教えて頂きたいと思います。

戸田社長) どこまでが趣味というのかは難しい所ではあります。私、本業が紙飛行機で趣味がキャステムと言われていますが、最近名刺も表が紙飛行機、裏がキャステム、開いたら紙飛行機が飛び出すという風になっています。趣味が仕事となれば一番いいです。そうではなく趣味が趣味で終わってもいいですが、とことんまでやってみたいというのがあります。たとえば、私はケーキ屋さんに行くとイチゴショートケーキしか食べません。それで、イチゴショートケーキのダメなケーキ屋さんはダメなケーキ屋さんと言い切ってしまいます。シンプルなものがダメなものはダメです。この曲は様々な人が指揮しているが、この指揮者の時が一番など、なにか一つのことを比べてしまうわけです。それで、凄いななどと思うわけです。自分だったら紙飛行機がそうです。やるのであれば一番を目指します。そして、一番を取るにはギネスを取るということとなり、意地でもギネスを越えなければならなくなり、ギネスを超えました。ギネスを超えるとまた世界が変わります。その道のトップの人と対談ができます。紙飛行機ギネス保持者と宇宙飛行士若田さんとの対談など、対談を通してその人が何故トップかを感じ取れます。それによって一番は更に強くなれます。だから、子供たちに一番を目指しなさいと伝えていますね。小さな世界でもいいからその道のトップになれば他の道のトップに対等に会えます。ギネスを取ったことによって、他の道のトップの人と対談することができました。それがプラスになっていますね。その人脈が活力にもなったりします。一生懸命何かを目指すことで、自分の人生が豊かになることがあると思います。中途半端ではなく、するのであればトコトンしてみなさいということを子供たち、若い人に言いたいですね。直ぐ、出来ない、設備がないから、お金がないから、などと言い出す人間では困ります。やはり徹底的にやれるところまでやる姿勢は欲しいです。

rdsc05357安藤) トコトンするところで気になるところがあります。今、研究室に所属しています。本業は研究で、趣味は時間の空いた時にしています。戸田社長が会社の経営を立て直す際に、紙飛行機を飛ばそうと思い立った理由と、ギネスを超えるまでに、時間がない中、紙飛行機の試行錯誤をどのように行っていたのか教えていただきたいです。

戸田社長) もちろん社長ですので、君たちは仕事をしろ、私は紙飛行機を飛ばしていると言いますが、日中は社員と一緒にあがいています。夜に体育館を借り切って、4時間通しで投げ切っているというのを、社員が知るわけです。社長はトコトンまでやっている、私たちももうひと踏ん張りしなければと社員たちも思ってくれるわけです。夜中まで約束のためにボロボロになっている、そういう後ろ姿に社員はついてきます。それが、逃げているわけではなく、約束は約束で夜中に悪戦苦闘している、それを社員が見に来る、そういうことで社内にもうひと踏ん張りという空気が生まれてきます。社訓に挑戦と掲げるだけでは社員は挑戦しません。社訓に酔い痴れて終わるだけです。必死に挑戦するときは言葉ではなく実際に行動に移していますから、社訓に挑戦という言葉を選びません。日々が挑戦であれば挑戦という言葉は必要ないです。姿で見せるしかない。そういうことであると思います。

安藤) ギネスに向けて挑戦をするというのは楽しかったですか?

戸田社長) どうですかね。楽しかったというか、集中できました。一機一機折るたびに少しずつ工夫を行い、データを揃えていく。折り方から投げ方に至るまでデータで勝負をしていく、そういった事を行っていると仕事の苦しみや不安など忘れられるというのがあり、それが精神の安定剤にはなっていました。登山をしていた一つの理由としては、山を登っている間は悩んでいる暇がありません。登っている間は会社のことを忘れられるので、降りてきたころにはストレスが抜けているわけです。紙飛行機も同じで、集中している時間が経営者としての不安から解き放ってくれている時間になっているのかもしれないです。

田中) ありがとうございます。本日のご講演の中で様々な方に粘り強くアタックされていましたが、私はアタックの回数を重ねるほど冷たくあしらわれてしまうことが多くありました。相手に熱意を伝える秘訣などはありますか?

戸田社長) だんだん邪険にされるわけですね。確かに邪険にされる事もあります。それはその人と馬が合わないということです。それはしょうがないです。最初は邪険にされてもだんだんと分かってくれて、話を聞いてくれる人を見つけたらしがみつく。嫌われていると感じたらそこから巻き返すのは難しいです。そういう場合はあきらめた方がいいです。合わないものは合わないですから。全部そうなる場合はあなたの中に何か問題があるかもしれないです。言葉の中に本気度が足りないのか、言葉に一押しがないのかもしれない。窮地に本当に追い込まれていなかったのかも知れないですね。どうでした?

田中) 実は恋愛の話でして。

戸田社長) あ、恋愛の話ですか。それは、嫌われているときはどう考えても難しいですね。恋愛の話は私も不得意でして。嫌われているところから好かれるところに変えるのはなかなか難しいです。よほど何か違うパターンを考えないと難しいですね。女性に聞いた方がいいかもしれないですね。いままで嫌いだった人が好きになった瞬間ってありますか?

田中) もしあったらエピソードをお願いします。

rdsc05363石原) そういった方に出会ったことがないので。

戸田社長) 一つポイントがあります。その子に嫌われても毎日一言ジョークを飛ばすことです。急にそれが止まった場合、急に気になることがあります。一か月ぐらい経ったらもう一度繰り返す。そうするとぐっと引き込まれる。そういう時に、大事にしなければいけない候補の一つとして考えなければいけない、となることもあります。

田中) 戸田社長も利用されたのですか?

戸田社長) どうかな?それは。企業などでもよく使う手です。ずっと通っていてパタッと行くのをやめます。そうすると相手は気になってしまいます。それで半年後再び行くと、注文を出してくれることがあります。何度も繰り返し言って急にやめるのがいいです。そうすると気になる存在になりますから。その手は使えますよ。

田中) ありがとうございます。今後、使っていきたいと思います。

戸田社長) 失敗しても僕のせいじゃないですよ。

田中) 西田さん、何か感想などあればお願いします。

西田) もし商談などで諦めるということができない場合もあると思うのですが、その時はどのようにされていますか?

戸田社長) 商談ではそこまでしつこくなる必要がないです。というのも、お客さんは無限にいます。別のところで取れればそれが自信になって、通用するかもしれない別の方法のヒントが得られたりします。ユーザーの変更等様々な工夫をすることでお客さんを攻め落とすノウハウが得られます。洋服屋さんでも店員さんにひっついてこられたら嫌ではないですか?逆に、お客さんの方から店員さん来てくれないかな、というタイミングがありますよね。だから、あんまりしつこくなりすぎない方がいいですね。

田中) 安藤さんも感想や質問があればお願いします。

安藤) ご講演の中でどん底の時の友は強いとおっしゃっていましたが、何か出会いによってターニングポイントになったことなどありますか?

戸田社長) ターニングポイントですか。紙飛行機であれば中村栄治さんという方が書いた本を買ったのですが、その人の紙飛行機を折ったのですが全部飛びませんでした。その人の住所が書いてあったのでその人の家まで押しかけました。飛ばないと。すると「君はどのように飛ばしたのか」と言われたので、折って飛ばしたら「そんなの飛ぶわけない」と言われました。「君は飛行機の後ろを微妙にひねるということを知っているか?」と言われた。「本に書いてないじゃないですか」と言ったら、「それは常識だよ」と言われました。そこから紙飛行機の魅力を語ってくれました。「君にとって紙飛行機がどのような存在になるのかはわからないが、将来第一人者になって、やっていて良かったなという時が来るかもしれない」という言葉をそこで投げられました。紙飛行機に対するこだわりなど話してもらって、語り合ったのがいい出会いだったのかなと思います。

田中) 野口さんも感想や聞きたいことなどはありますか?

野口) 戸田社長は努力とともにアイディアが必要なことも多々あったと思いますが、そのアイディアの出どころやポイントなどがあれば伺いたいです。

戸田社長) 紙飛行機の飛ばし方や折り方などは方程式です。長方形の中心線を元に折る飛行機と、真横にして折る飛行機と、それを斜めにして折る飛行機があります。一つの紙の中に様々な中心線が隠されています。それを見つけて重心を考え記録に挑戦していく。やみくもに行うのではなく、自分の中でルールを決める必要があります。僕が独学で早稲田に来たのは、数学なんかは自分の勉強法を生み出した結果です。解けない問題を解けるようにする。試験官の狙いを考えるために、自分が苦手な問題を自分で生み出す。自分で工夫して作っていく。自分で出題者の立場で考えるようになると、どんな問題にも対応ができるようになります。それで方程式などを生きるように使うことができます。参考書をこなすだけでは新しい問題が解けない。それが紙飛行機であろうが仕事であろうが与えられた方程式を解くだけではダメで、使い込む練習をする。それが道を拓く方法だと思います。

田中) ありがとうございました。

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(文責: 交流委員会 小林幸治)

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第30回交流会講演会 『突破力』

早稲田応用化学会・第30回交流会講演会の報告

日時 ;2016年9月24日(土)15:00~17:45
場所 :57号館 201教室 引き続き 理工カフェテリアで懇親会
講演者:戸田拓夫氏
株式会社キャステム代表取締役社長
戸田社長の主な経歴
 1980年 早稲田大学理工学部応用化学科中退
   同年 キングインベスト株式会社(現 株式会社キャステム)入社
 1995年 キャステムフィリピン(当時 K2ファインメタル) 社長就任
 2001年 キャステムタイランド 社長に就任
 2006年 株式会社キャステム 代表取締役に就任
 2009年 紙ヒコーキの滞空時間ギネス記録を更新
 2010年 自身の記録をさらに更新

演題:『突破力』

「数々の経営危機を乗り越えて、紙ヒコーキのごとく舞いあがれ」

魚森交流委員長が司会を務め、講演会の案内、講師の紹介、三浦応用化学会会長の挨拶に続き、教員・OB・一般53名、学生19名、合計72名の聴衆を対象に講演が始まった。

講演会場Gallery

戸田拓夫氏の講演要旨

講演は、あこがれていた早稲田大学に入学したものの体調不良でやむなく中退した経緯から始まり、実家の会社に入社後、社業の不振、会社幹部の引き抜き、社員の士気低下、自分自身の体調不良等最悪の状態に陥った時、いかに危機を乗り越えられたかをユーモアを交えお話された。また、入院療養時に紙ヒコーキの魅力に魅せられ熱中した経験が「紙コーキの滞空時間ギネス記録更新」へのチャレンジに繋がり、危機に直面した自分自身と社員の鼓舞のために大いに役立った事、さらに海外事業への展開、紙ヒコーキの凱旋門や宇宙からの飛行等、飽くなき挑戦についてお話をいただいた。

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*工業高校からG大学、早稲田そして入院

早稲田大学、M大学、G大学を受験するも、早稲田大学は受からずG大学に入学し馬術部に入ったが、静かな大学の雰囲気になじめず再受験し、あこがれの早稲田大学に入学した。山岳部に入部し活動していたが、体調を崩し病院に入退院を繰り返し、病院で暇つぶしに紙ヒコーキを折っては飛ばす日々を続けた。病室から100m先の向かいの家に飛ばす目標を持ち試行錯誤を繰り返し、航空力学の本も買って紙ヒコーキに熱中した。

*会社への入社

その後も体調が回復せず、大学を中退し実家の部品工場に入社したが、入社後も体調がすぐれず、会社で一時間程度ペンキ塗りをする毎日だった。入社した会社は乱雑で汚れがひどく、従業員もばらばらな状態。会社の中は従業員の気が緩み、工場長、技術部長は社長の言うことを聞かず、社長の父親は「しょうがない」とあきらめ状態。社員は自分の会社に夢を持てない状態にあった。また会社は製品の質も悪く納期も守らない状態であったため、取引していた商社がその製品の新工場を造り、中核社員を引き抜かれる事態となった。このため26歳で部長の代わりをすることになったが、従業員に夢を語ることは出来なかった。

この状況で思った事

*ノウハウ「0」からの出発

会社にはものを造り上げる技術がない。この確立が急務。製造のノウハウ、原料の調合方法等を得るために、原料の調達先や競合他社、引き抜かれた工場長、技術部長にも直接聞きに行くが、分からない状況が続いた。しかし諦めず、技術情報を集め続けた結果、たまたまある工場に早大の先輩がおり、大学の先輩だけの関係で助けられノウハウを得た。

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*品質の向上

工場は荒れて非常に汚い状況で、最初に工場の整理・整頓・清潔を先頭に立って実践した。また、人材の確保が難しい状況で、自分の行動する姿を見て信じてついて来てくれる少数の部下を見出し、一緒に品質の向上に取り組んでいった。

*体調悪化と克服

工場の整備中体調が悪化し整形へ入院。背骨に大きなずれが生じていると指摘を受けた。医師より矯正の指導を受けたが、自分も矯正法に熱心に取り組み体調が回復。今では自分で背骨の矯正が出来るようになっている。その後登山を再開し体の強化に努めた。

*評価の獲得からMIMの立ち上げ

28歳頃何とか会社として製品が造れるようになり、鋳造品で大型ハードディスク部品を造る技術を確立して品質や価格で大手と渡り合い、評価を獲得し受注が入ってくるようになったが、米国特許による新しい技術のMIM(メタルインジェクション)が出現した。特許料が2億円と高く、資金不足のため技術導入、設備購入が出来なかった。

独自で技術開発を行うしか方法がなく、技術情報を得るためにあらゆる関係先をまわり、試行錯誤を続けた。早稲田での化学専攻の経験を活かし、いろいろな材料の配合などを検討した。京都のある先生にしつこく聞くことでヒントを得て技術を確立。また製造設備を持たないなかで、多くの関係工場を回り製品の製造につなげていった。しかしながら、あるメーカーから米国特許技術の侵害指摘の手紙が回り、国内大手からは注文を断られる事態になってしまった。このため日本中の名もないユーザーを回り、大手MIMメーカーが手を出せない低額の金型の受注を積み上げていった。

この業績を特許侵害の手紙を出状したグループから評価されるまでになり、グループの一員となって設備の導入が可能となり事業が軌道に乗って行った。

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*フィリピンへの海外進出を決意

バブル崩壊の真っ只中で、当時進出先として評価されていなかったフィリピンへ海外進出した。しかしながら97年頃製品在庫が大幅にふくらみ工場運営が悪化した。

*国内外の大幅な改善

「在庫をしない」、「工場の改善・トップセール」をしなければ会社がない」を徹底して社員に教育し、「自分達の作りたいものを作る部署」を設け製品造りを推進した。ミニチュア工具、100万円の名刺、ミニチュア戦艦大和等様々なアイデア製品を開発した。また、あらゆる機会をとらえて自社の技術を売り込んで行った。たとえばバックル商品を開発し、大手ユーザーのH社に飛び込み商品を売り込みに行ったこともある。逆に厳しい品質要求を受け、その対応に苦労し、受注は出来なかったが結果的に他社に納入することが出来た。

*ギネス世界記録への挑戦

リーマンショック当時多くの赤字を抱え社内に元気が無くなった。「社風の暗い会社は良くならない」と考え、社長の戦う姿を見せ社員を鼓舞したいと思い立ち、「紙ヒコーキの滞空時間20秒を超える飛行記録を持つ男は世界に2人」でハードルが高かったギネス記録に、社長として挑戦することを宣言した。

ギネス世界記録の折り紙ヒコーキ室内滞空時間競技には、紙の大きさ、重量、投げ方等様々なルールがある。機体のデザイン、紙材質、投げ方等細部にわたって徹底的に研究していった。滞空時間を伸ばすにはいかに高く機体を投げるかがポイントで、このため自身の減量、筋力・柔軟性の強化等“しなり”を出せる体型造りを行ったり、投げ上げるフォームの開発(イナヴァウアー投げ)も行った。

この結果、2009年4月11日27.9秒と、当時の世界記録を0.3秒短縮しギネス記録と認められた。さらに、この僅差のギネス記録にクレームがありこれに反発。さらにトライし2010年12月19日29.2秒の記録を達成した。

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*更なる挑戦

「安倍首相との出会いと海外進出」

安倍首相が首相を辞任しボロボロの状態の時にお会いし意気投合。2014年に安倍首相の誘いを受け、大手会社社長とコロンビアへのミッションに参加、その後2016年にコロンビアに工場を竣工させた。

「折り紙ヒコーキを凱旋門から」

テレビ番組でトライした。普通許可されないところを関係部署に粘って許可を得て飛ばすも29回失敗。失敗の原因をよく考えることが重要で、凱旋門のアーチの気流の巻き込みに気づき、ピッチング飛行で成功。

「折り紙ヒコーキを宇宙から」

体調が悪い学生時代に考えたMission「折り紙ヒコーキを燃やさずに宇宙ステーションから帰還させる」にトライ。2008年3月JAXAの「宇宙オープンラボ」の公募選考で東京大学共同プロジェクトとして承認され、極超音速風洞でマッハ7での実験で実行可能を確証したが許可が出ず、自力で気球から飛行機を飛ばし実証した。

バカであろうがやること、そして夢をもつこと。その後どうするかが重要なことだ。たとえば1円の紙から作ったスペースシャトルの紙ヒコーキが100円で売れれば100倍の付加価値が生まれる。日本の国は付加価値を得て成り立っている。ものづくりは難しいが、例えば良品率の低いものが上がれば収益は大幅に向上する。無理だと思ったらダメで、もてる知識・人脈を使っていかに粘るかがポイントとなる。将来を担う子供たちには自分の人生は自分で考えなければならないことを教える必要がある。

パネルディスカッションの概要 panel

講演の後、学生5名に登壇をいただき、講演内容を踏まえたパネルディスカッションを行った。ファシリテーターはB4の田中徳裕さんが務め、学生代表としてM1安藤栄悟さん、西田穂高さん、野口詩織さん、B4石原真由さんが登壇した。ファシリテーターより、今回の演題「突破力」について各人の経験を踏まえた思いを発言してもらうことからディスカッションが始まった。

 パネルディスカッション詳細については別に報告があります。

パネルディスカッションの詳細

パネルディスカッション終了時、戸田氏と共にパネリスト全員で聴講者席に向かって紙ヒコーキを飛ばした。もちろん戸田氏の紙ヒコーキが最後まで長く飛んでいた。

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 <懇親会>

交流委員会 関谷副委員長司会のもと、応用化学会 三浦会長の開会挨拶、倉持副会長の音頭による乾杯の後懇親会が開始され、多くの聴講者が参加した。戸田拓夫氏も懇親会に参加され、教員・OB・学生との絆を深めた。橋本副会長の中締め、和田教授の閉会挨拶の後、田中徳裕学生部会副委員長の一本締めで閉会となった。

懇親会場Gallery

 (文責:交流委員 小林幸治)

――― 以上 ―――

「先輩からのメッセージ2017」の開催日程

「先輩からのメッセージ2017」の開催日程

早稲田応用化学会 交流委員会

 経団連より通達されます「採用選考に関する指針」等は、2017年も企業による面接等の選考解禁が6月、会社説明会の開始時期は3月と前年度から変更されない見込みです。

これに伴い、昨年3月に開催しましたフォーラム「先輩からのメッセージ」は、対象となる学生諸君の企業への理解を深める期間が余裕を持って確保出来るよう大学側と慎重に協議いたしました結果、開催日を2017年1月21日(土)と前回より二カ月ほど早め、会場もこれまでと同じく西早稲田キャンパス内で諸準備を進めております。

学生諸君には毎年のように開催日程が変更するため、計画予定を立てにくい事態となりますが諸事情をご理解のうえ、参加へ向けてのスケジュール調整をお願いいたします。
当日は「企業ガイダンス」ホームページ掲載中の日本を代表する化学系を中心とした約60社 (新規優良企業も複数社参加が見込まれています) に在籍されている応化OB・OGの皆様に日常の仕事や自身の転勤・異動経験等を学部学生でも理解できるよう紹介していただきます。また、終了後には講演いただいた先輩およびご同行の皆様を囲んでの懇談会を開催し、その場で学生諸君の疑問や不安について適切なアドバイスがいただけますので、将来の進路決定にも必ず役立つものと確信しております。

 詳細な内容ならびに参加の申し込みは、改めて12月上旬にホームページおよびメールマガジンにてご案内いたします。

  • 1.日 時
    2017年1月21日(土) 
  • 2.会 場
    西早稲田キャンパス54号館(予定)
  • 3.内 容
    • 受付開始:12:30~13:00(予定)【54号館1F教室】
    • 講 演 会 :13:00~18:30 (予定)【54号館2~3F教室】
    • 懇 談 会 :18:30~20:00(予定)【63号館カフェテリア】
  • 4.対象学生
    学部生、大学院生(修士、博士)およびポスドク(進路決定を間近に控えた学部3年、修士1年、博士課程修了予定者およびポスドクを主体としていますが、将来へ備えて学部1・2・4年、修士2年生の参加も大歓迎です。)
  • 5.対象学科
    応用化学科および応用化学専攻、化学・生命化学科および専攻、生命医化学科および専攻、ナノ理工学専攻、生命理工学専攻等 (その他学部・研究科・学科・専攻を問いません。)
  • 6.お問合せ
    本件に関する問合わせ、要望等は下記の専用アドレスまでお願いいたします。

    guidance@waseda-oukakai.gr.jp

第30回交流会講演会のご案内

第30回 交流会講演会 (2016年 9月24日(土))

申し込みはこちら

講演者 : 戸田 拓夫氏 株式会社キャステム代表取締役社長 (1980年応用化学科中退)
演題 : 『突破力』
副題 ; 「数々の経営危機を乗り越えて、紙ヒコーキのごとく舞い上がれ」

今回は、諸般の事情から応用化学科での学業を中途で諦めねばならなかったにも拘らず、その後就職した鋳造関連企業での精密鋳造部品、射出焼結部品、FRP射出成形品等の製造事業分野において目覚しい活躍をされ、衰退産業と言われていたこの分野での発展に尽くし、現在は当該企業の代表取締役社長を勤めておられます戸田拓夫氏をお迎えし、これまでに直面した数々の危機に対しその折々の境遇にていかに考え、乗り越えてきたかをお話して頂きます。

また戸田拓夫氏は、手投げによる紙ヒコーキ室内滞空時間競技のギネス記録保持者です。(滞空時間=29.2秒)この魅力的な特技についてはこれまで多数出演されたテレビ番組や、20冊に及ぶ著作(代表作として「親子で作る紙ヒコーキBook」宝島社)で紹介されていますが、今回は直接ご本人からお話を聞くことが出来るチャンスです。

学生諸君はもとより、社会で活躍中の若いOB/OG諸君にとっても興味深く、これからの人生設計を考える上で大変貴重なお話しを聞くことが出来る絶好の機会であると確信致します。
皆様お誘いの上、是非奮ってご参加ください。

月日 : 2016年 9月24日(土)
場所 : 早稲田大学西早稲田キャンパス 57号館201教室
開場 :   14:30(受付開始)
講演 :   15:00~17:00(参加自由、無料)
      17:15~17:45(代表学生とのパネル討論)
懇親会 : 18:00 ~19:30 懇親会場:理工カフェテリア
講師を囲んで懇親会を開催します。(懇親会費:3千円、学生無料)

* 事前登録を、9月20日(火)までに頂いた方には、当日 受付で名札をお渡しいたします。
それ以降の登録の場合は、名札の準備が出来ませんので、自筆でお書き頂く事になりますことご了解ください。

申し込みはこちら

講演会場、懇親会場では応化会ホームページ掲載用の写真を撮影いたしますのでご了承願います。
また講演会場ではビデオ撮影も予定しております。

(文責 交流委員会 小林 幸治)

第29回 交流会講演会

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講演者 : 河村 宏氏 早稲田応用化学会 前会長 (1959年山本研卒)
演題 : 『商社生活50年間の今昔』
月日 : 2016年 4月23日(土)
場所 : 早稲田大学西早稲田キャンパス  57号館201教室

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応用化学会前会長の河村宏氏を講師にお迎えし、第29回交流会講演会を開催しました。同氏が約半世紀を過ごされた三菱商事での商社マンとしての秘話を「商社生活50年間の今昔」と題して講演いただきました。会場には、現役学部生、大学院生をはじめ、OB・OG、大学関係者、三菱商事の新入社員も集い、総勢二百数十名という過去最大のイベントとなりました。同氏は著名な作家の作品の中にも登場されています。そのご活躍ぶりをご本人から説明いただける栄誉に、集まった方々は食い入るように傾聴されていました。

講演会場のスナップ

結びに、「忙しいとは言わない」、「自分が嫌いと思っている人には積極的に接すること」との言葉をいただきました。現役のOB・OGやこれから社会に出る学生のみなさんには、心に響く言葉であったと思います。講演会のあとの懇親会でもそのことが多く語られていました。

懇親会場のスナップ

ご高齢にもかかわらず、約2時間立たれたまま、当時の写真の紹介、ユーモアを入れながらの熱弁、本当にありがとうございました。今後の交流会講演会の在り方についてもご示唆いただけたものと思います。

(文責:交流委員長 魚森 昌彦)

学生委員会がまとめた本講演会の報告もあります(下記ボタンをクリック)。

学生委員会の講演会報告

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「先輩からのメッセージ2016」開催報告

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2016年3月12日(土)第8回フォーラム「先輩からのメッセージ2016」を開催しました。
その概要をここに報告いたします。
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講演会場

講演会場

早稲田応用化学会のホームページには学生向けのコンテンツの一つとして「企業ガイダンス」掲載欄を設けており、新規企業の8社が加わって現在75社に参加いただいている。本年は経団連の「採用選考に関する指針 (2015.12.7改定)」で採用活動の開始時期に変更修正がありましたが、会社説明会等の広報活動開始時期は従前の3月1日と変更はありませんでした。そのため大学側と慎重に協議いたしました結果、開催日を3月12日(土)とし、掲載企業に「先輩からのメッセージ2016」に参加のお願いをしたところ、日本を代表する化学系を中心とした58社から賛同を得て第8回開催の運びとなりました。
環境の変化が一段とスピードアップしているビジネス現場の第一線で活躍中の身近な世代の先輩がそれぞれの企業の特徴、ビジネスモデル、講演者自身のビジネスライフの様態、キャリア開発の実績、求められる人材像など、限られた時間内でコンパクトにまとめて講演いただきました。企業からの参加者は講演者・同行者を合わせて約120名、学生参加者も開催日の年度ごとの度重なる変更による減少が危惧されましたたが、昨年とほぼ同様の228名の大盛会となりました。
フォーラム開始前のオリエンテーションでは、主催者を代表して魚森交流委員長の開会挨拶、教室を代表して和田宏明教授から参加企業への感謝と講演についての注意・お願い事項の説明後、13:00より一斉に講演がスタートが切られました。

会場は参加企業の増加を勘案して昨年より1教室増やして6教室とし、これまでと同様に前半と後半の2部制にして各社2回の講演を行う方式を踏襲、参加学生が希望する企業の講演を出来る限り聴講できるよう配慮しております。また企業控室として使用する教室では特別講演として小柳津研一教授による『理工学術院 先進理工学部応用化学科、大学院のご紹介』 と桐村光太郎教授による『応用化学科の就職関連活動および早稲田応用化学会の活動』 のそれぞれ30分で2回講演いただきました。

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各企業のショート・トークの模様 ⇒  201,203教室 301,303教室 401,403教室

講演会終了後は参加いただいた企業在籍のOB・OGおよび同行者を囲んで懇親会を催しました。今回は同じ時間帯に別の懇親会が入っていたため会場としては若干手狭ではあったものの、その分逆に盛況感が増したものとなりました。主催者を代表して三浦会長から参加企業への御礼の挨拶と、西出教授の乾杯発声をかわきりに懇親を深め、その後もフォーラムの延長となる学生と企業のとの質疑応答を含めて話しが弾み会場は熱気に溢れて談笑が絶えず、今回もこれまでと同様に懇親会の終了予定時間になっても先輩を囲む輪が途切れないため、時間を延長するほど活況を呈しておりました。参加した多くの学生にとっては、昼間のフォーラムそして夕刻からの懇親会を通して日常の学習、研究に加えて将来の進路決定への貴重なアドバイスを先輩諸兄から頂戴し、学ぶべき点が多かったものと確信しています。橋本副会長の中締めの挨拶、西田学生交流委員会代表の一本締めをもって全プログラムを盛況理に終えることが出来ました。

懇親会の模様 (懇親会のスナップ写真) ⇒  懇親会

今回のフォーラムに賛同、ご支援いただいた企業および熱意溢れる講演と、懇親会場における後輩を思いやる親身なアドバイスをいただいた先輩と同行された関係者の皆様にはこの場をお借りしてあらためて厚く御礼申し上げます。

懇親会場

懇親会場

201,203教室 301,303教室 401,403教室  懇親会

「先輩からのメッセージ2016」の報告・感想は学生委員会のHPにも掲載されています。下記のボタンにリンクされていますのでご覧ください。

応化会学生委員会HPでの報告

(文責 交流委員会 写真 広報委員会)

Ⅰ プログラム概要

  1. 日 時    2016年3月12日(土)
  2. 会 場    西早稲田キャンパス 53号館2F・3F・4F教室
  3. 受 付
    企業関係者は講演会場にて11:30から、学生は52号館201教室で12:30から
  4. 内 容
    オリエンテーション    :12:30~12:50 (企業関係者)
    講演会 【第一回】    :13:00~15:28
    講演会 【第二回】    :15:45~18:13
    懇親会                :18:30~20:00  【63号館】
  5. 対象学生
    学部生、大学院生(修士、博士)およびポスドク
    (進路決定を間近に控えた学部3年、修士1年、博士課程修了予定者およびポスドクを参加の主体とし、将来へ備えての学部1・2・4年、修士2年生の参加も歓迎)
  6. 対象学科
    応用化学科、応用化学専攻、化学・生命化学科および専攻、生命医科学科および専攻、ナノ理工学専攻、生命理工学専攻等    (学部・研究科・学科・専攻を問いません。)

Ⅱ 「先輩からのメッセージ2016」教室番号・タイムスケジュール 【53号館】

先輩M2016 タイムスケジュール

先輩M2016 タイムスケジュール

Ⅲ 「先輩からのメッセージ2016」 特別講演タイムスケジュール

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Ⅳ  参加した学生 フォーラム参加学生の詳細

集計* それ以外の学生は化学・生命化学、生命医科学、電気情報生命、情報物理システム、他

Ⅴ  アンケート結果を踏まえての総括

1.今回のフォーラムの全体的な評価

学生は満足とほぼ満足を合計すると 100%、企業参加者の回答では満足とほぼ満足を合計すると94.6%で参加者はほぼ満足との評価であった。

質問に対し多岐にわたる回答があったが主なものを挙げると

1) 学生からの回答

 全く知らない企業や今まで興味のなかった業界を知ることができてエントリーの参考になった
② 若手OB・OG が真面目かつ楽しそうにプレゼンしていて好印象だった。
③ 講演者の発表資料が昨年より充実しており、価値ある時間を過ごせた。
④  人事とOB・OG のどちらの話しも聞け、その会社の雰囲気が良く伝わってきた。

2) 企業参加者からの回答

①  非常に運営が丁寧でありがたく思った。学生の意欲が高く質問も積極的だった。
② 先輩社員と直接会話できるイベントとしてはどの大学のものより良いと思った。
③ 他社の講演を聴講できたのは次回に備えて非常に良かった。また、両先生の特別講演は参考になり、特に応用化学科の就活支援の状況が良く判った。
④  応化会と教授の先生方の連携が外からみていても素晴しいと感じた。企業在籍OB・OGがこのような場でプレゼン・歓談が出来るのは貴重な機会。

2. 講演会の運営について

1) 1社当たりの講演時間13分については参加学生、企業ともに70%近くが適当と答えたものの、30%が短すぎるとの回答で、参加企業数と施設規模とを勘案して複数日開催等の改善策を検討する。
2) 何社の講演を聴講しましたかの質問に対する学生の回答は
10社以上 65.0%、7~9社 17.5%、4~6社 17.5%
この回答から7社以上聴講したのは82.5%で自分の関心のある企業はほぼ聴講したと思われる。

3. 経団連通達を遵守すると今後の開催も3月以降となるが、本フォーラムの開催時期は何時頃が良いか。

1) 企業の回答は3月が73.3% と企業広報活動の解禁直後の希望が多数を占め、経団連の意向遵守が伺われる。反面、OB・OGによる講演が主体で採用広報でないため1月開催希望も15.0%あった。
2) 学生は3月が53.4%、次が1月の30.2%となっており、対象学生がB1からD2までと範囲が広かったため、企業の回答よりバラツキが出た。
3) 次年度の開催時期については、新年度経団連方針を確認するとともに今回の結果を踏まえて教室側と十分協議のうえ、参加企業および学生には早めに情報を発信する。

4. 総括と次回開催に向けた課題

現在の開催方式に変えてから8回目を迎え、ここ三年間は参加企業50社、学生の参加も200名を超えて学生・企業・教員・応用化学会との距離が縮まって関係もより深化していることが実感できた。学生は化学系を中心とした優良企業からの新鮮な情報が多数得られ、企業も応化OB・OGの講演を通して自社に対する理解を深めてもらったという状況が、両者にとって本フォーラムの高い評価につながったものと思われる。

改善が求められている点として、学生側では講演時間の延長、会場移動のあわただしさの改善、他学科(化学・生命医科系)との連携を希望。企業側では待ち時間が長い、講演時間が短い、自社の余剰パンフレット返送作業が煩雑、会場によって参加学生数のかなり格差があるのでタイムスケジュール編成に一段の工夫が必要等であつた。毎回同様の要望となっているが、学生はさらなる業種(医薬品・食品・総合商社等)の拡大を、企業はゆとりある講演時間確保および拘束時間の縮小と相反する要望ではあるものの、主要課題として改善を図っていきたい。次回は試行段階の「企業と学生との対話」を加えると開催回数が10回の節目に当たるため、本フォーラムの主旨をより明確にするとともに就活面の充実も配慮したバランスが取れた運営を進め、修士に加えて学部生の参加も積極的に促していくべく新たに体制を整えて取り組みたい。

なお、「先輩からのメッセージ」および「企業ガイダンス」に関するお問い合わせならびにご要望等は下記メールアドレスに交流委員会または事務局宛てお願いいたします。

E-Mail :guidance@waseda-oukakai.gr.jp
〒169-8555 東京都新宿区大久保3-4-1
早稲田大学 先進理工学部応用化学科内 早稲田応用化学会
事務局長 寺嶋正夫
TEL 03-3209-3211 内線 5253
FAX  03-5286-3892
E-Mail : oukakai@kurenai.waseda.jp
URL : http://www.waseda-oukakai.gr.jp

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第7回 フォーラム「企業が求める人材像」 (2015年度)

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― 企業の多様な業務に耐えられる人材とは ―
西早稲田キャンパス57号館201教室
平成28年1月16日(土)

1.はじめに
「こんなはずじゃなかった」-就職には付きもののこの定型句も、決して古語ではない。このイベントは、元々就職活動に備える学生たちが、在学中に応化会の諸先輩方から励ましやアドバイスを得る場として、2009年10月3日にスタートしたものである。その間、菅原教授のリードのもと、グローバル化への対応、リーダー論、企業における研究職とは、など有益で活発な議論が交わされてきた。第7回となる2015年度は、「企業の業務の多様性と実際」を主題に、6名の多彩な経歴を有するパネリストをお招きし、2名の学生代表にも参加してもらい、各々の経験に基づく思いをぶつけあった。

2.趣旨と討論
00大学時代に研究に没頭し、就職したら研究職以外の職に就いたという例も多い。企業活動が多くの業務によって成り立ち、就職後も年齢、能力、職位等に応じて職務が変化していくことは日常茶飯事である。これらの事実を踏まえ、1)会社にはどのような仕事があるのか、2)大学で何を学び、どう過ごすか、といったことを主題にそれぞれの考えを披瀝していただいた。研究・開発、製造、環境保全、品質保証、知的財産、事業企画、営業・販売など、例え様々な業務に就いても、そこで全力を尽くすことの大事さは皆が体験してきている。事前の取り決めに基づき、詳細を記すことはしないが、それぞれ所属する企業、業務履歴、年齢、経験も大きく異なるパネリストからは、普遍性を持つ示唆に富んだアドバイスをいただくことができた。時にモデレータの意見と大きく異なる本音の意見も飛び出し、いろいろと考える良い機会になった。

3.パネリストと学生代表の紹介
松田直人氏
1989年 理工学研究科応用化学専攻修了(清水研)、富士フイルム株式会社入社、有機合成部門、新規フィルム商品化経験。人事部、医薬品事業部を経て(社)再生医療イノベーションフォーラム出向(事務局長)、2015年同社を退社し、株式会社iPSポータル入社、社長室長として事業開発・契約関係等で活躍中。
山崎律子氏
1993年 理工学研究科応用化学専攻修了(西出研)、花王株式会社入社、洗浄系商品開発(ビオレ担当)、東京工業大学大学院受託研究員として学位も取得、高分子学会、日本油化学会で役員を歴任。現在スキンビューティ研究所第2研究室にてグループリーダーとして活躍中。
土屋勝則氏
1993年 理工学研究科応用化学専攻修了(黒田研)、大日本印刷株式会社入社、研究開発センターで開発を担当した後、米国技術駐在員として大学との共同研究企画等経験。本社 研究開発・事業化推進本部を経て現在ライフサイエンス研究開発部で事業化を推進。また業界団体の部会長としても活躍中。
川村容子氏
2006年 理工学部応用化学科卒業(西出・武岡研)、2009年早稲田大教育学研究科学校教育専攻修士課程修了。2011年アレクサンドル・イオン・クザ大学文学部聴講生、在ルーマニア日本国大使館勤務。2014年から外務省国際協力局民間援助連携室にて勤務。また同年一般社団法人モルドバジャパンを設立し活躍中。
西山美香子氏
2008年 理工学研究科応用化学専攻修了(黒田研)、ライオン株式会社入社、プロセス開発研究所で製造技術研究、オーラルケア研究所で製品開発研究を経験し、現在は包装・容器技術研究所にて支援研究(包装、調香、環境・安全、分析)で活躍中。
伊地知翔太氏
2014年 理工学研究科応用化学専攻修了(桐村研)、株式会社タイカ入社 研究開発室要素技術研究グループを経て、2015年より研究開発室素材研究グループで活躍中。大学時代とはまったく異なるUV硬化型ゲルの開発や製品改良、分析、営業同行も経験。
学生代表として、野口貴之君(ナノ理工学専攻 修士1年、逢坂・門間研)、田中徳裕君(応用化学科3年、平沢・小堀研、元学生委員学部生部会代表)にも討議に加わっていただいた。

4.パネリストならびに学生からのメッセージ
フォーラムを締めくくるに当たり、パネリストの皆様から学生への応援歌として貴重なアドバイスをいただいたので、いくつか紹介しておきたい。「肌で感じ、足で稼ぐ。好奇心を持ち続けること」「人とのつながりを大切にすること」「自信をもって世に出よ。成長だとか焦らないこと。その準備として、学生のうちは実験に遊びに濃くあれ」「学生のうちに感じていることを忘れないで」「エリート意識を持て」「どんなこともがんばってください」。 これらの励ましの言葉を受け、学生たちからも、「社会人に求められる能力は必ずしも研究能力だけではない。日々の活動に全力で取り組むことで「自分らしさを出せる力」を持ちたい。自信を持って精いっぱいやっていく」「責任感、まじめさのことを考えた。この人ならば仕事を任せられると思われる人になりたい」と力強い言葉があった。

フォーラム会場

5.おわりに
討論を終え、新生なった理工カフェテリアに場所を移し、菅原先生ならびに三浦応用化学会会長の挨拶に続いて、パネリストを囲んで親睦を深める時間を過ごした後、名残惜しくも、学生委員によるエールと一本締めでお開きとなった。今回モデレータとして特に、会場の参加者を交えた双方向的議論を実現したいと思っていたが、力不足でできなかった。皆様より寄せられたご指摘を真摯に受け止め、参加者全員がより本音で語り合えるイベントの実現に向け機会があれば挑戦をしてみたいと改めて感じた。多忙な中、参加下さったパネリストの方々、すべての参加者の皆様に厚く御礼を申し上げる。

懇親会場の写真  ⇒ こちら

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(記 モデレータ 和田宏明〔新制29回、応用化学科教授〕)

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