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日時;2016年9月24日(土)17:15~17:45
場所:57号館 201教室
講演者:株式会社キャステム代表取締役社長 戸田拓夫氏
ファシリテーター:田中徳裕さん(B4)
パネリスト:西田穂高さん(M1)、安藤英悟さん(M1)、野口詩織さん(M1)、石原真由さん(B4)
田中) 今回の講演会の中でタイトルに突破力とあるようにたくさんの壁を越えてきたと思いますが、石原さん何かそのようなエピソードはありますか?
石原) 戸田社長の講演会の中でもたくさんの壁を越えていらっしゃるという印象を受けました。私も高校時代のこととなりますがリーダーを任され、壁に当たったことがあります。それは、文化祭においてクラスで行う劇の完成を優先してこのまま突き進んでいくのか、それとも、クラス内の雰囲気を優先して劇の演目を決め直すのか選択を迫られたことです。そこで私は、クラスの雰囲気を優先し、劇の演目を決め直しました。戸田社長もリーダーとして様々なものを秤に掛けて決断を下さなければならないことがあると思いますが、どのように決断を下していますか?
戸田社長) まずすることとしては、徹底的に不満を出させることです。何が不満であるのか、先ほどのエピソードでしたら、やりたいことが皆ぶつかってしまい結果的に崩壊してしまう。このような場合はやりたいものをみんなの前で書き出し、そのポイントを徹底的に議論することです。皆が納得しないまま本番に臨んでしまうのが一番良くないですね。情熱をもって意見を主張してもらうしかない。中途半端にはさせず、いい加減なところで決定をしないことが大切です。あとになればなるほどやりにくくなるので、するのであれば最初から徹底的にやってもらいます。最初はバラバラになろうが恐れずに言いたいことを言わせて、本音のぶつかり合いをさせた方がいいと思います。その方が結果的には正解に近づくと思います。
西田) 戸田社長の今の答えに質問なのですが、不満を徹底的に出させ、その後はどのように答えに収束させていくのですか?
戸田社長) まず、意見をした人はその人が本当に責任を持てるのか確認し、本人が持てるというのであれば行うべきであると思います。しかし、途中で異変を感じたら、もう一度集まりどうするか検討をします。ミーティングは確実に行わないといけません。口先だけの場合もありえます。会議において初めは黙って聞きに徹している人がいるかもしれない。多くの人が様々な意見を出し行き詰っているときに、ぼそっと意見を出し解決に導いていく本当のリーダーが現れることがあります。
西田) 様々なパターンがあるということですか?
戸田社長) そうです。様々なパターンがあり、一つだけの正解というものはないと思います。悪戦苦闘するしかないと思います。失敗をしてしまったとしても、次にするときはこうしようと反省が生まれたらそれはそれでいいと思いますよ。学生のうちは特に。その結果、会社がつぶれることになるのであればまた話は別ですが。
田中) ありがとうございます。ここで紙飛行機などの趣味といった側面から伺いたいと思います。野口さんはそういった趣味などはございますか?
野口) 私にとって趣味とは楽しいもの、喜びを得るものです。何かに行き詰ったとき趣味のことを考え、それが活力となるものでもあります。戸田社長はその趣味を本業と呼べるまでにしていますが、趣味を持っているということがプラスになったことがありましたら教えて頂きたいと思います。
戸田社長) どこまでが趣味というのかは難しい所ではあります。私、本業が紙飛行機で趣味がキャステムと言われていますが、最近名刺も表が紙飛行機、裏がキャステム、開いたら紙飛行機が飛び出すという風になっています。趣味が仕事となれば一番いいです。そうではなく趣味が趣味で終わってもいいですが、とことんまでやってみたいというのがあります。たとえば、私はケーキ屋さんに行くとイチゴショートケーキしか食べません。それで、イチゴショートケーキのダメなケーキ屋さんはダメなケーキ屋さんと言い切ってしまいます。シンプルなものがダメなものはダメです。この曲は様々な人が指揮しているが、この指揮者の時が一番など、なにか一つのことを比べてしまうわけです。それで、凄いななどと思うわけです。自分だったら紙飛行機がそうです。やるのであれば一番を目指します。そして、一番を取るにはギネスを取るということとなり、意地でもギネスを越えなければならなくなり、ギネスを超えました。ギネスを超えるとまた世界が変わります。その道のトップの人と対談ができます。紙飛行機ギネス保持者と宇宙飛行士若田さんとの対談など、対談を通してその人が何故トップかを感じ取れます。それによって一番は更に強くなれます。だから、子供たちに一番を目指しなさいと伝えていますね。小さな世界でもいいからその道のトップになれば他の道のトップに対等に会えます。ギネスを取ったことによって、他の道のトップの人と対談することができました。それがプラスになっていますね。その人脈が活力にもなったりします。一生懸命何かを目指すことで、自分の人生が豊かになることがあると思います。中途半端ではなく、するのであればトコトンしてみなさいということを子供たち、若い人に言いたいですね。直ぐ、出来ない、設備がないから、お金がないから、などと言い出す人間では困ります。やはり徹底的にやれるところまでやる姿勢は欲しいです。
安藤) トコトンするところで気になるところがあります。今、研究室に所属しています。本業は研究で、趣味は時間の空いた時にしています。戸田社長が会社の経営を立て直す際に、紙飛行機を飛ばそうと思い立った理由と、ギネスを超えるまでに、時間がない中、紙飛行機の試行錯誤をどのように行っていたのか教えていただきたいです。
戸田社長) もちろん社長ですので、君たちは仕事をしろ、私は紙飛行機を飛ばしていると言いますが、日中は社員と一緒にあがいています。夜に体育館を借り切って、4時間通しで投げ切っているというのを、社員が知るわけです。社長はトコトンまでやっている、私たちももうひと踏ん張りしなければと社員たちも思ってくれるわけです。夜中まで約束のためにボロボロになっている、そういう後ろ姿に社員はついてきます。それが、逃げているわけではなく、約束は約束で夜中に悪戦苦闘している、それを社員が見に来る、そういうことで社内にもうひと踏ん張りという空気が生まれてきます。社訓に挑戦と掲げるだけでは社員は挑戦しません。社訓に酔い痴れて終わるだけです。必死に挑戦するときは言葉ではなく実際に行動に移していますから、社訓に挑戦という言葉を選びません。日々が挑戦であれば挑戦という言葉は必要ないです。姿で見せるしかない。そういうことであると思います。
安藤) ギネスに向けて挑戦をするというのは楽しかったですか?
戸田社長) どうですかね。楽しかったというか、集中できました。一機一機折るたびに少しずつ工夫を行い、データを揃えていく。折り方から投げ方に至るまでデータで勝負をしていく、そういった事を行っていると仕事の苦しみや不安など忘れられるというのがあり、それが精神の安定剤にはなっていました。登山をしていた一つの理由としては、山を登っている間は悩んでいる暇がありません。登っている間は会社のことを忘れられるので、降りてきたころにはストレスが抜けているわけです。紙飛行機も同じで、集中している時間が経営者としての不安から解き放ってくれている時間になっているのかもしれないです。
田中) ありがとうございます。本日のご講演の中で様々な方に粘り強くアタックされていましたが、私はアタックの回数を重ねるほど冷たくあしらわれてしまうことが多くありました。相手に熱意を伝える秘訣などはありますか?
戸田社長) だんだん邪険にされるわけですね。確かに邪険にされる事もあります。それはその人と馬が合わないということです。それはしょうがないです。最初は邪険にされてもだんだんと分かってくれて、話を聞いてくれる人を見つけたらしがみつく。嫌われていると感じたらそこから巻き返すのは難しいです。そういう場合はあきらめた方がいいです。合わないものは合わないですから。全部そうなる場合はあなたの中に何か問題があるかもしれないです。言葉の中に本気度が足りないのか、言葉に一押しがないのかもしれない。窮地に本当に追い込まれていなかったのかも知れないですね。どうでした?
田中) 実は恋愛の話でして。
戸田社長) あ、恋愛の話ですか。それは、嫌われているときはどう考えても難しいですね。恋愛の話は私も不得意でして。嫌われているところから好かれるところに変えるのはなかなか難しいです。よほど何か違うパターンを考えないと難しいですね。女性に聞いた方がいいかもしれないですね。いままで嫌いだった人が好きになった瞬間ってありますか?
田中) もしあったらエピソードをお願いします。
石原) そういった方に出会ったことがないので。
戸田社長) 一つポイントがあります。その子に嫌われても毎日一言ジョークを飛ばすことです。急にそれが止まった場合、急に気になることがあります。一か月ぐらい経ったらもう一度繰り返す。そうするとぐっと引き込まれる。そういう時に、大事にしなければいけない候補の一つとして考えなければいけない、となることもあります。
田中) 戸田社長も利用されたのですか?
戸田社長) どうかな?それは。企業などでもよく使う手です。ずっと通っていてパタッと行くのをやめます。そうすると相手は気になってしまいます。それで半年後再び行くと、注文を出してくれることがあります。何度も繰り返し言って急にやめるのがいいです。そうすると気になる存在になりますから。その手は使えますよ。
田中) ありがとうございます。今後、使っていきたいと思います。
戸田社長) 失敗しても僕のせいじゃないですよ。
田中) 西田さん、何か感想などあればお願いします。
西田) もし商談などで諦めるということができない場合もあると思うのですが、その時はどのようにされていますか?
戸田社長) 商談ではそこまでしつこくなる必要がないです。というのも、お客さんは無限にいます。別のところで取れればそれが自信になって、通用するかもしれない別の方法のヒントが得られたりします。ユーザーの変更等様々な工夫をすることでお客さんを攻め落とすノウハウが得られます。洋服屋さんでも店員さんにひっついてこられたら嫌ではないですか?逆に、お客さんの方から店員さん来てくれないかな、というタイミングがありますよね。だから、あんまりしつこくなりすぎない方がいいですね。
田中) 安藤さんも感想や質問があればお願いします。
安藤) ご講演の中でどん底の時の友は強いとおっしゃっていましたが、何か出会いによってターニングポイントになったことなどありますか?
戸田社長) ターニングポイントですか。紙飛行機であれば中村栄治さんという方が書いた本を買ったのですが、その人の紙飛行機を折ったのですが全部飛びませんでした。その人の住所が書いてあったのでその人の家まで押しかけました。飛ばないと。すると「君はどのように飛ばしたのか」と言われたので、折って飛ばしたら「そんなの飛ぶわけない」と言われました。「君は飛行機の後ろを微妙にひねるということを知っているか?」と言われた。「本に書いてないじゃないですか」と言ったら、「それは常識だよ」と言われました。そこから紙飛行機の魅力を語ってくれました。「君にとって紙飛行機がどのような存在になるのかはわからないが、将来第一人者になって、やっていて良かったなという時が来るかもしれない」という言葉をそこで投げられました。紙飛行機に対するこだわりなど話してもらって、語り合ったのがいい出会いだったのかなと思います。
田中) 野口さんも感想や聞きたいことなどはありますか?
野口) 戸田社長は努力とともにアイディアが必要なことも多々あったと思いますが、そのアイディアの出どころやポイントなどがあれば伺いたいです。
戸田社長) 紙飛行機の飛ばし方や折り方などは方程式です。長方形の中心線を元に折る飛行機と、真横にして折る飛行機と、それを斜めにして折る飛行機があります。一つの紙の中に様々な中心線が隠されています。それを見つけて重心を考え記録に挑戦していく。やみくもに行うのではなく、自分の中でルールを決める必要があります。僕が独学で早稲田に来たのは、数学なんかは自分の勉強法を生み出した結果です。解けない問題を解けるようにする。試験官の狙いを考えるために、自分が苦手な問題を自分で生み出す。自分で工夫して作っていく。自分で出題者の立場で考えるようになると、どんな問題にも対応ができるようになります。それで方程式などを生きるように使うことができます。参考書をこなすだけでは新しい問題が解けない。それが紙飛行機であろうが仕事であろうが与えられた方程式を解くだけではダメで、使い込む練習をする。それが道を拓く方法だと思います。
田中) ありがとうございました。
(文責: 交流委員会 小林幸治)
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