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「先輩からのメッセージ2020」開催報告

2020年1月18日(土)第12回フォーラム「先輩からのメッセージ2020」を開催しました。その概要をここに報告いたします。 

 文部科学省の「採用選考に関する指針」において会社説明会等の広報活動開始時期は本年も3月とされましたが、本フォーラムは、採用に向けた会社説明会とは異なり、先輩の眼を通じた各企業のアクティヴィティ、社会人としての過ごし方や後輩への期待等を話していただく、学生の進路選定の一助、キャリア教育の一環であることから、大学側と慎重に協議いたしました結果、開催日を1月18日(土)といたしました。これに基づき、後述の「企業ガイダンス」掲載企業に「先輩からのメッセージ2020」への参加をお願いしたところ、61社からご賛同をいただき第12回の開催の運びとなりました。早稲田応用化学会のホームページには学生向けのコンテンツの一つとして「企業ガイダンス」掲載欄を設けており72社に参加いただいています。

 ビジネス現場の第一線で活躍中の身近な世代の先輩が、それぞれの企業の特徴、ビジネスモデル、講演者自身のビジネスライフの様態、キャリア開発の実績、求められる人材像など、限られた時間内でコンパクトにまとめて講演いただきました。企業からは講演者、同行者を合わせて約130名に参加いただきました。内OB/OGの参加は講演者を含めて90名となりました。学生の参加数は総数181名で、内応用化学科及び専攻が約85%、その他化学・生命化学専攻、生命医科学専攻、物理学及応用物理学専攻等からも広く参加を得ました。また参加学生のほとんどが10社以上の講演を聴講したと回答しており、企業や先輩の動向への関心の高さがうかがわれます。

 フォーラム開始前のオリエンテーションでは、椎名交流委員長からご挨拶、和田教授からご挨拶と特別講演のご案内、保谷交流副委員長から講演についての注意・お願い事項の説明がありました。その後、12:30より一斉に講演がスタートしました。会場は6教室で、これまでと同様に前半と後半の2部制として各社2回の講演を行っていただき、参加学生が希望する企業の講演をできる限り聴講できるようにいたしました。全講演の学生延べ聴講数は2,400名を超え、積極的に講演会場の教室を回ったことがうかがわれます。

教室風景

201・202会場    203・301会場     302・303会場

また、企業控室として使用の教室では、特別講演として松方教授による「最近の早稲田大学応用化学科について」と和田教授による「早稲田大学応用化学科の就職活動概要」をそれぞれ30分で2回講演いただきました。

 本年も学生受付教室に企業からの配布資料置き場を設置し、多くの会社にパンフレット等をおいていただきました。受付終了後の学生が、各社の配布資料を閲覧し、持ち帰っていました。 

講演会終了後は参加いただきました企業在籍のOB・OGおよび同行者を囲んで懇談会を催しました。企業側、学生出席者多数で大盛況の懇談会となりました。椎名交流委員長の司会のもと、主催者を代表して西出会長から参加企業への御礼と挨拶、教室を代表して門間主任教授の乾杯発声をかわきりに懇親を深め、フォーラムの延長となる学生と企業との質疑応答を含めて話が弾み、会場は熱気にあふれました。学生にとっては昼間のフォーラム、夕刻からの懇談会を通して、日常の学習、研究に加えて、将来の進路選定への貴重なアドバイスを先輩諸兄から頂戴し、学んだことも多かったものと確信しています。橋本副会長の中締めの挨拶、田中学生委員長の一本締めをもって全プログラムを盛況のうちに終了いたしました。

懇談会の模様(懇談会のスナップ写真はこちらから)

今回のフォーラムにご賛同、ご支援いただきました企業、および熱気溢れる講演、懇談会における後輩を思いやる親身なアドバイスをいただきました先輩と、同行された関係者の皆様にはこの場をお借りしてあらためて厚く御礼申し上げます。

(文責 交流委員会 写真 広報委員会)

Ⅰ プログラム概要

  1. 日時  2020年1月18日(土) 
  2. 会場  西早稲田キャンパス54号館2F、3F教室
  3. 受付  企業関係者は講演会場にて11:00から、学生は54号館101教室で12:00から
  4. 内容  オリエンテーション      12:00~12:20(企業関係者)
          講演会(第1部)    12:30~15:13
          講演会(第2部)    15:30~18:13
          懇談会          18:30~20;00(63号館1Fロームスクエア)
  5. 対象学生 学部生、大学院生(修士、博士、一貫制博士)およびポスドク
    (進路選定を間近に控えた学部3年、修士1年、博士課程、一貫制博士課程修了予定者および ポスドクを参加の主体とし、将来へ備えての学部1,2,4年、修士2年の参加も歓迎)
  6. 対象学科 応用化学科、応用化学専攻、化学・生命化学科および専攻、生命医科学科および専攻、電気・情報生命専攻、ナノ理工学専攻、生命理工学専攻等(学部、研究科、学科、専攻を問いません)

Ⅱ 「先輩からのメッセージ2020」教室番号、タイムスケジュール(54号館)


Ⅲ 「先輩からのメッセージ2020」特別講演スケジュール

Ⅳ 参加した学生(フォーラム参加学生の詳細)

*それ以外の学生は化学・生命化学専攻、生命医科学専攻、物理学及応用物理学専攻、国際教養学部等

 

Ⅴ アンケートを踏まえての総括

1.今回のフォーラムの全体的な評価

アンケート回答者では、参加企業、学生とも全員が、「満足」「ほぼ満足」と回答しており、フォーラムは評価されていると考えられます。

質問に対し多岐にわたる回答がありましたが多かったものをまとめると次の通りです。

 1)学生からの回答

  ①いろいろな企業が一堂に会していて、業界を知ることができてよかった。
  ②OB・OGからは、仕事や生活の具体的な話が聞けて参考になった。

 2)企業参加者からの回答

  ①学生の熱心さ
  ②特別講演
  ③他社講演の聴講が可能だったこと

 が評価されました。

2.運営について

 1)講演時間の13分/社については企業の82%、学生の85%が適当と回答しました。
 2)会場について本年度は学生の8%が企業によっては狭いと回答したものの、講演企業では96%が適当と回答されており、部屋割りはおおむね順調にいったと考えられます。
 3)開催時期は、学生の58%が1月開催で良かったと回答、40%が前年12月を希望しています。企業からも、絞り込む前に幅広く知ってもらうということを評価する声も多く聞かれます。 
本フォーラムは、政府指針による会社説明会と趣旨を分けていることもあり、来年の開催時期については教室側のご理解をいただき、1月開催で考えていきたいと思います。
 4)懇談会は年々参加者が増え、会場が狭いという意見が多くありますが、適当な代案も難しく、大きな課題になります。

3.まとめと次回開催に向けた課題

  本年は61社に参加いただき、また、学生参加数181名でそのうち83%が10社以上を聴講し延べ聴講数2,400名という熱気にあふれたフォーラムとなりました。学生は優良企業からの具体的な情報が得られ、企業側も自社に対する理解を深めてもらうという状況が、両者にとって本フォーラムの高い評価につながっていると思われます。
  同一時間帯での企業割り振りなど改善希望点も指摘されています。今後とも参加企業を増やしていくことと、日程を含めた運営方法との調整が課題となります。
  今後の参加企業として、医薬、化粧品などが希望されており、また電機やIT、自動車、精密機器など現在参加が少ない業種へのアプローチも課題です。一方、講演時間の要望も考慮しますと、施設面、運営人員面での課題も大きく、教室側と連携をとって次年度の運営を早めに議論していくことが求められています。

なお、「先輩からのメッセージ」及び「企業ガイダンス」に関するお問い合わせならびにご要望等は下記メールアドレスの交流委員会または事務局宛お願いいたします。

  E-Mail :guidance@waseda-oukakai.gr.jp  
      〒169-8555 東京都新宿区大久保3-4-1
  早稲田大学 先進理工学部応用化学科内 早稲田応用化学会 事務局長 寺嶋正夫
  TEL 03-3209-3211 内線 5253
  FAX 03-5286-3892  
  E-Mail: oukakai@list.waseda.jp
       URL  http://www.waseda-oukakai.gr.jp

懇談会会場風景

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203・301会場

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201・202会場    302・303会場

第二回応化給付奨学金受給者の集い

 令和元年8月31日(土)午後、第二回応化給付奨学金受給者の集いを開催しました。昨年11月に第一回を開催し、今年は応用化学科給付の奨学金を受け博士号を授与されて、社会の様々な方面で奮闘されている28名の面々が集まり、6名の現奨学金受給者と16名のホストら合わせ50名が、4時間弱の時間を母校西早稲田キャンパスで共にし、個々に交流を深められました。
 今年も、河村 宏氏(元会長)、平林 浩介氏(元副会長)、下井 將惟氏(元副会長)ら有志が西出宏之会長と核になり、より多くの面々が気軽に集まり、交流の輪を広げられる為にどうしたら良いかと考えました。
 新たに、奨学金受給者内幹事役3名の方々(新51 田原聖一氏、新53 百武 壮氏、新57 國本雅宏氏)の協力を得て、声掛けに一役買って頂きました。
 また、受給者の対象範囲を3学年広げ、新たに水野賞受賞者も加えた新51回生~新60回生(2001年~2010年学部卒相当)の博士修了者に声を掛けさせて頂きました。その成果もあり、より多くの方々が実りある時間を過ごされたことと確信しており、来年も参集された皆さんの同世代に加えて世代を超えた縦のネットワーク構築にもなればと考えている次第です。

案内文章

 当日は、遠方からの参加者も含め28名のかつての受給者が参集され、平林浩介氏(新10)の司会で、西出宏之会長(新20)の挨拶でスタートしました。
 西出会長からは、本集いのホームカミングデーとして開催してはという構想からのスタートの背景、早稲田応用化学会が1923年5月に教員、卒業生、学生の連携した組織をめざして創設されたこと、当時は研究成果の発表の場が限られ、早稲田応用化学会誌がその役割を担ったこと、そして茨城大学で非常勤講師を務めた折に旧帝大博士と他大学とでは待遇の差があることに驚愕したことを例示され、国立大学と私学の早稲田に、当時差が歴然として残っていたが、苦難を経て今日に至ったことを紹介されました。
 また、早稲田応用化学会の会則第3条に、会の目的は 会員の学術を向上させることと明記されており、博士号を持っている皆さんは自負を持って模範的会員になって頂きたいとメッセージを贈られました。
 早稲田応用化学会は 2023年に100周年を迎える。節目として、奨学金を受けてサポートされてきたことを思い出し、同窓会(応化会)が頑張っていることを認識して、これから時代が変わる中で 皆さんの仲間が宝であり、そのチームワークを作る、ネットワークを作る力として頂きたいという発起人の諸先輩方の想いを代表して挨拶されました。

 続いて、応用化学科主任教授 門間聰之氏から挨拶を頂きました。門間先生からは、博士の学位を持っていることは、博士号取得の過程で課題を見つけ、解決の為の仮設を立て、立証する能力、その得られた知見を世の中に伝えていく能力を持っている証であること。そして、博士になった頃は一年一年伸びしろが有ったと思うが、あの頃を思い出しましょうと呼掛けられました。
 4年前に井戸の掘り方を勉強されたが、その時に学んだことである「飲水思源」を引き合いに出され、水を飲んだ時に、水の源、井戸を掘った人を思い出しなさいという意味、日本ではいい事が有ったら元になったことを思い出しなさいと言われる。中国では、蒋介石と毛沢東が争っている際に、毛陣営が村に井戸を掘り、その後逃げていく時に井戸を掘った事を忘れるな、逃がさないと言いおいていったという怖い話もあることを紹介されました。
 博士の大元は何だったのか。物事を考えられようになりたいというモチベーション、指導教員の助け、家族のサポート、そして奨学金があって今の自分が有るということを思い出してもらいたい。 AIを使いこなして ドンドン日本を引っ張って行って下さいと締めくくられました。

 続いて、奨学金受給者28名がスライドを使い各人各様の自己紹介をされました。 最近の研究内容であったり、会社のことだったり、中には、自らの夢を取り交えたりと、分野、会社が多岐に亘ることから、皆さん 興味深く聞かれていました。

<文末写真集ご参照>

 懇親の部は、場所を56号館B1理工カフェテリアに移し、下井將惟氏(新13)の司会で始まりました。
 河村宏氏(新09)の乾杯の挨拶では、乾杯をされた上で、皆さんを鼓舞するメッセージを頂きました。
 本会は西出先生のアイデアであり、自分達は、横のネットワークは持てているが縦の関係を作った方が良いという考えで、早稲田応用化学会で縦の関係作りを模索したが、思うように出来ず、博士課程の卒業生は 応用化学は数において圧倒的な集団であり、その中の皆さんは若手の核であり、今後数十年にわたり、学生と先生、OBからなる応用化学会に縁を持って、縦のラインを広げていってもらいたいというメッセージを託されました。
 加えて、学生と先生、OBからなる応用化学会は会費で賄われているので、過去に遡る必要はないので、今日を起点にして会費を納めていってほしいことを訴えられました。
 これを機会にして、ネットワークは自分で広めていってほしい、そして この会は是非続けていって欲しい。学校はふるさとであり、ふるさとは一生の宝であり、大事にしていって欲しいと締められました。

 河村宏元会長の乾杯の挨拶の後を受け、懇親会の場で、まさに縦横の交流がスタートしました。 
 今回は、現奨学金受給者の6名にも、将来のネットワーク作りへの布石になるようにとの思いも込めて、お手伝い頂きましたが、その皆さんの紹介を致しました。
 その後、今回 奨学金受給者の中で声掛けをお願いした幹事のお三方(新51 田原聖一氏、新53 百武壮氏、新57國本雅宏氏)のご紹介をした上で、来年も幹事としてお願いすることとなりました。よろしくお願いします。

 今回ご参加頂きました奨学金受給者の皆さん、先生方、そしてホスト役の皆さん 総勢50名の集合写真(前掲)を撮影した後、奨学生推薦委員会委員の大林秀仁氏(新17)からご自身が博士号を頂いた後、恩返しとして応化会奨学金への寄付をしてきている背景にも触れられた中締めの挨拶を頂き、奨学金受給者である澤村健一氏(新53)とお二人による三本絞めで第二回奨学金受給者の集いの幕を閉じることとなりました。

 次回は、令和2年8月29日(土)に開催の予定です。 更にネットワークの輪が広がることを期待しております。

<28名の応化給付奨学金受給者の自己紹介スピーチ時の写真>

(文責 事務局 高橋 宏)

201・202会場

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302・303会場

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201・202会場    203・301会場  

応用化学会による学生企画フォーラム2019

投稿:交流委員 加来 恭彦
 
応化会学生部会が企画し、比較的世代が近い社会人OB/OGを招いてのフォーラムになります。
第5回に当たる今年の学生企画フォーラムは、ライオン(株)から講演者を招いての講演とパネルディスカッションとなりました。
  • 仲田篤史さん:  
      「日用品メーカーの製品開発と大学で学んだ考え方・行動の仕方との繋がり」
  • 西山美香子さん:  
      「合成からパッケージ開発まで ~12年目を迎えたワークライフバランス~」

仲田篤史さん

仲田さんは研究から研究開発戦略を考える立場に移ってからの企業における重要だと思える点2点を中心に学生さんに自身の体験や考えを話されました。
1) 外部の力をうまく使う
2) 論理的に考える力
学部生・大学院生の研究と企業の研究開発で大きく異なる点は研究室時代に個別の研究テーマが与えられるのに対して社会ではチームでの成果につなげている点で成果につながるには専門的な知識を外に求めてそれをうまく使うという点、また理路整然と物事を整理して考える習慣が学生時代のレポート作成や研究室におけるディスカッションにおいて培われることを説明されていました。
 
 
 

西山美香子さん

西山さんは研究部門を異動される中で学んだ自分のやりがい(仕事をしていてうれしいと感じたこと、厳しいと感じたこと)を通じて学生時代に学んでいたことで有用だと思われたことや社会人となって重要と感じたことを話されました。特に学生時代の幅広く学習した基礎的な知識は研究部門で様々な職種を異動する中では強く感じる部分であり、研究室時代に会得する報告書の書き方や定期的な業務報告、ディスカッション、PDCAサイクルの回し方は社会人になっても活用出来るスキルであることに思えます。
そして
ワークライフバランスはどこの企業においても取り上げられるものですがアットホームな雰囲気の会社において効果的に機能することも説明されていました。
 
お二方の話を伺って大学時代の知識についてどれだけ役に立っているかという点で若干の相違がありましたが、戦略部門と研究畑では環境が違うという点ではそれぞれ必要とされる知識やスキルが違うことが理解出来たかと思います。学生からは会社を選んだ理由やテレワーク導入の印象など活発な質問が飛んでいましたが、消費者が手に取って役に立つものを自分の手で作りたいという意思は共通したもので学生にも強いメッセージ性を持っていたと思います。
 
このあと基盤委員の梅澤宏明さんの司会で本日のお二人の講演者に、Lionデータサイエンス室の黒川博史さん、オーラルケア事業部の黒澤清夏さんを加えてパネルディスカッションが行われました。

左より 仲田篤史さん、西山美香子さん、黒澤清夏さん、黒川博史さん

最後に西出応化会会長からの挨拶があり、記念写真を撮ってフォーラムは終了となりました。そのあとの懇親会ではさらに交流を深めて充実した時間を過ごすことができました。
 
今回の催しには応化会の各委員会のシニア委員も参加されていましたが、大多数が現役学生で大盛況でした。この企画が継続されていくのを強く熱望します。

 

学生委員会によるフォーラムの報告は ⇒ こちら

第22回 先生への突撃インタビュー(小堀 深 専任講師)

「先生への突撃インタビュー」に小堀深専任講師にご登場願うことにしました。今回のインタビューも学生、現役OG、シニアOBの組み合わせインタビュアーで行いました。応化会の本来の姿である先生・学生・OBOGの3者によるインタビュー記事の作成を目指しました。小堀先生にも快諾を頂き、丁寧にご用意を頂きましたことをこの場をお借りしてお礼を申し上げます。

 

小堀先生のプロフィール:
1996年 早稲田大学 理工学部応用化学科卒
2000年 早稲田大学 理工学研究科応用化学博士後期課程修了
2000年 早稲田大学 理工学部助手
2001年 早稲田大学 理工学部専任講師

・ 先生が研究に本格的に取り組み始めたキッカケはなんですか?
― キッカケというより自然の流れで、知の面白さと、その知を使って役に立つ成果が得られる積み重ねでしょうか ―

中学は野球部、高校は吹奏楽部と学校生活を楽しんでいましたが、勉学では高校生の頃は、数学と物理が好きで得意でした。化学は最も嫌いで苦手でした。社会の歴史で年代をひたすら覚えたように、化学の反応も記憶問題だとしか見てなかったからです。ただ、ひねくれ者の私は、あえて応用化学科に進学しました。理学系の化学科ではなく、工学系の応用化学科という存在に惹かれたからです。それは、道具として化学を使うという、高校生の自分になかった概念があったからです。
 大学では化学工学という分野に出会うことができました。化学工学は数学+物理+化学で表せるような分野で、私にはピッタリの学問だと思えました。研究室配属ではもちろん化学工学の研究室を選びました。中でも人体を化学工学の眼鏡で見るという、とてもユニークな研究を進めていらっしゃった酒井清孝先生の研究室に入れていただきました。酒井先生は見た目も中身もジェントルマンで、大学教授のイメージ通りの先生で、今でも目標とする先生です。
 その後、縁があって東京女子医大との共同研究として岡野光夫教授の元で研究を進めることになりました。テーマは、温度応答性高分子を用いたドラッグキャリアーの開発です。直径100 nmほどの微粒子を作製するのですが、その粒径分布を静的光散乱法、形状の観察を原子間力顕微鏡を用いて行いました。光散乱装置は朝から深夜まで、毎日ずっと格闘していたのを覚えています。温度に応答したドラッグキャリアーの形態変化を原子間力顕微鏡でとらえることに成功し、学位をとることができました。このときの岡野先生と酒井先生からのご指導、叱咤激励で、これからも研究を続けて行こうと自然に思うようになりました。

・ 技術的内容で先生がポイントと考えておられる点はなんですか?
― 物質(特に生体高分子)の持っている可能性を限りなく引き出すという工学的手法がポイント ―

現在、平沢泉教授のご指導のもとで結晶化の研究を進めています。厳密には化学工学における単位操作としての晶析工学ですが、広い意味での自己組織化を利用した低コスト高品質の分離・精製手法です。この結晶化は核形成と結晶成長という2つの段階があります。それぞれ速度を制御することが重要な研究目的の一つとなります。現在私はアミノ酸やタンパク質などの生体高分子の結晶化に関する研究を進めております。ここでは、限外濾過膜による分離技術を応用した結晶化制御や、層状物質による不均一核化制御、また生体内での結晶化ともいえる尿路結石や痛風などの病気に対しても、晶析工学の視点で予防・治療法の提案を目指しています。いずれにしても均一核化ではその制御が困難であるため、様々な結晶核を作る「場」の提供を行うことで、その制御を試みています。すべてにおいて、たまたまそのときできた、ではなく、再現性ある結果の創出が重要であると考えています。

・ 先生の研究理念を教えてください
― 実験科学の基本に忠実に、特に仮説や予想を大切に ―

 軸足である「化学工学的手法を駆使する」というのを忘れないことです。目の前で起こる一見ランダムな現象も、丁寧に解析することでその傾向を把握することが可能です。化学的な知識を前提として、物理的な視点で現象を捉え、数学的な処理により定量化する。この一連の流れを重視しています。実験指導する上では、必ず結果を予想して計画をたてるように言います。予想通りの結果になれば、使った知識と手法が正しかったことの証明になり、さらに深い議論が可能です。一方、予想と反する実験結果になれば、結果をうまく説明できる新たな機構を考え、その考察をもとにさらに実験を計画し進めます。どちらの結果になってもポジティブな思考で進めることができます。

・ これからの研究の展望を聞かせてください。
― バイオ医薬品などの汎用化・低コスト化に資する研究を深めたいですね ―

 現在、生体高分子の結晶化、特にアミノ酸とタンパク質の結晶化に重点をおき研究を進めています。これらは医薬品としても重要視されており、バイオ医薬品は世界の医薬品売上高の上位10品目中7品目を占めるほどになっています。近年有名になった抗がん剤「オプジーボ」もバイオ医薬品の一つです。このオプジーボは2014年に発売された際、薬価が100 mg約73万円と超高額なことでも世間を賑わせました。標準的な使用法で1人年間約3500万円かかる計算になります。現在では薬価引き下げが数度行われましたが、それでも100 mgで約17万円です。このようにバイオ医薬が高額となる原因は、あまり語られませんが製造工程にも理由があります。プロセスは細胞培養などのアップストリームと分離・精製などのダウンストリームに大別されます。この分離・精製プロセスが全製造コストの3分の2を占めるといわれており、事実上のコストボトルネックとなっています。現在はカラムをつかったクロマトグラフィーで分離・精製を行っていますが、ここに晶析操作を応用できれば、コストを激減させることが可能です。晶析操作であればスケールアップも比較的容易であり、化学工学の力が発揮できます。

・ 応用化学会の活動への期待を聞かせてください。
― 三者構成の特色を更に発展させたいですね ―

 やはり単なるOB会ではないという独自性が素晴らしいと思います。特に、最近では学生主体の企画による講演会が開催されていたりして大きく変わりつつあると感じています。今後に向けても、OBと学生と教員の三者で構成されている利点を生かし、OBから学生へのアドバイス、学生から教員への大学運営への助力、教員からOBへのリカレント教育など三者がお互い助け合うことを期待します。

・ 100周年を迎えた応用化学科についてコメントを聞かせてください。
― たゆまぬ努力の結果が100年を可能にしています ―

 100年以上名前を変えずに発展している学科は大変貴重ではないでしょうか。それだけ応用化学という学問が世の中に役立ち続け、必要とされている証だとも言えます。これもひとえにOBの方達の活躍と学生の努力によるものと思います。今後も応化会と一体となって伝統を継続できるものと信じています。

・ 21世紀を担う皆さんへのメッセージをお願いします。
― 自らが楽しめる分野や生き方をつかみ取って欲しいですね ―

 世の中変えていかなければいけないことと、変えてはいけないものがあります。放っておくと勝手に変わってしまうものもあれば、何もしなければ何も変わらないものもあります。その瞬間の価値判断も大事ですが、長い歴史の中での長期的視点も大事です。他人の意見に耳を傾けながら、なるべく心安らかに生きてほしいと思います。競争を勝ち抜くのではなく、自らの力を蓄えつつ競争を楽しめれば最高ではないでしょうか。

インタビュアー&文責: 疋野拓也(B4)、真野陽子(新47)、井上健(新19)

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過去の突撃インタビュー

早稲田応用化学会 交流委員会主催 第34回交流会講演会

講演者 :山本康雄氏 タカハタプレシジョン株式会社 代表取締役社長(CEO)
演題  :『未来を見据えビジョンを持って挑む』
  副題 :「必ずしも答えがあるとは限らない世界へ向けて」

講演期日:2019年11月16日(土)
講演会場:西早稲田キャンパス 52号館302教室
講演時間:16:30~17:45
懇親会 :18:00~19:15(56号館 地下1階 理工カフェテリア)

講演者略歴

  • 1988年03月 理工学部 応用化学科 卒業(新制38回、長谷川研究室)
  • 1988年04月 三井物産株式会社 入社
  • 2001年12月 三井物産株式会社 退社
  • 2002年01月 高畑精工株式会社 入社
  • 2003年06月 高畑精工株式会社 社長就任
  • 2010年 社名を「高畑精工株式会社」から「タカハタプレシジョン株式会社」に変更

講演の概要

講演に先立ち、椎名交流委員長の開会宣言、西出会長の講師紹介、椎名交流委員長の講師略歴紹介を受けて山本社長が登壇し、講演の機会を与えて下さった西出会長への謝辞が述べられた後、講演が始まりました。
*参加者;教員・OB/OG・講演会関係者44名、学生36名、合計80名

椎名交流委員長の開会宣言                            西出会長の講師紹介

<始めに>

*講演を引き受けた経緯について

山梨県にはタカハタプレシジョンの工場がありますが、同じ県内にある山梨大学の宮武先生と知り合う機会が有りました。そして、宮武先生が研究していることを物にする過程で困っていることがあるとお聞きし、それでは一緒にそれをやりましょうということになりました。そのため宮武先生の恩師である西出先生のところへお邪魔したり、本間先生とのお付き合いも始まりました。そのような折、今回の講演の依頼を受けました。

山本康雄社長

*講演の演題設定の経緯について

私から講演内容を一方的に決めるのではなく、学生委員と十分にコミュニケーションを取った上で決めました。

長谷川先生のご逝去(2019年9月)に関して

恩師の長谷川先生の訃報に接し思い出したのですが、当時実験に失敗してドラフトを破損した際、激高された先生から叱責を受けた後「出世して返せ」と言われたことがありました。今日は少しその恩返しが出来ればと思っています。
講演の前半は私がこれまで行ってきたことや会社の紹介をします。
講演の後半はこれから巣立っていく学生の皆さんに少しでも役に立てれば、と思っていることをお話しします。

<講演の前半>

1988年に入社した三井物産での経験

同期入社130名のうち30名が理科系で、そのうち6名がそれぞれ学科の異なる早大理工学部出身でした。
入社して3年間の大阪勤務の後、海外研修のためドイツのミュンヘン大学に聴講生として2年間留学しました。そこで学んだのは日本人のメンタリティのデメリットです。授業形態は世界各国の学生が参加しているグループディスカッションで、この中で発言しないと完全に孤立してしまいます。外に出るといかに自分の意見を述べる力、自分の存在感を出すことが大事であるかが分かりました。
それからドイツの事務所に勤務した後本社に戻り、機能化学品を扱う部門に配属されました。シリコンバレー、台湾、上海、シンガポールを往復し、半導体材料、液晶材料関連のビジネス化にチャレンジせよとの指示を受け、これらの活動を通してベンチャー企業のメンバー個人個人の大きなエネルギーを感じ取ることが出来ました。
この部署では半導体・液晶関連以外にエンジニアリングプラスティックも扱っており、この時お付き合いのあった会社の1つが高畑精工でした。そして縁あって三井物産から高畑精工に移りました。人生の大決断でした。今から思えばこの大決断を後押ししたのはチャレンジスピリットであったと思います。
移った当初言われたのは、この高畑精工を思いっきり変えてみてくれ、ということでした。高畑精工は精密成形技術において国内トップクラスの技術を持っており、これを武器に最初の海外進出先として決めたアメリカに打って出ることにしました。事業分野としては将来性が見込める自動車関連部品を選定し、その後世界各国に進出しました。

山本社長

Company Profile(会社案内パンフレットを用いての説明)

・表紙「CHALLENGE TECHNOLOGY INSPIRE INNOVATION」
これを会社の基本的なMentalityとして置きました。

P.2~3 4 Core Values

タカハタプレシジョンという会社の価値をここに打ち出しました。

#1 人財
モノづくりは、人づくり。人こそ財産であるというこだわりから、「人材」ではなく「人財」という漢字を使いました。

#2 総合力
端的に言えば「垣根を取る」ということです。私が以前勤務していた会社の場合、多くの関連部門の審査を経て稟議書が承認されるまでに3カ月以上を要しました。大企業ではこういうデメリットがあります。私の会社では管理系の職場の人数は極力減らし、工場や研究系の職場に多くの人を投入してこういうデメリットを無くすように努めています。

#3 対応力
#2の総合力とリンクしますが、パンフレットにある「お客様のニーズに的確、柔軟、そして迅速にお応えする」には「垣根を取る」ことが必要です。そして「物事には正解が無い」ことを知る必要があります。特定のビジネスの世界において「決める」ということは、いくつかの選択肢の中から「選ぶ」ということですが、考え抜いて選んだ選択肢を採用してもうまくいかないことがあります。それは時間と共に状況が変化するからです。迅速な対応力によりこの変化に立ち向かわなければなりません。この迅速な対応力を実現するため、私の会社では多様化の象徴として役員の多国籍化且つ複数女性役員の登用をすることで議論の活発化を図っています。
対応策として予算とか経営計画を立てる場合、私が以前勤務していた会社では正確性が執拗に求められ、その結果長期間に亘り改訂に次ぐ改訂を強いられ、その間に外部の状況が変わってしまうということがありました。これからは正確性の追求より、覚悟・腹落ち・納得性といったことを重視し、方向性を決めたらそれに向かって集中し、外部環境に応じて柔軟に修正しながら進めることが重要と考えます。
このようなことを実行するために必要なもの、それは知性です。そのために勉強し、知識を増やし、考えて考察することを持続させて下さい。そして感性・五感を磨いて下さい。

#4 挑戦力
当社の製品の1つである水道メーターに関連して役所と付き合いがありますが、従来のメカ式水道メーターからスマートメーターに変える提案をしても、前例が無いとして逡巡されてしまいます。「前例が無い」から挑戦すべきという当社の姿勢に対しても、理解を得るのが難しいので、この分野で有力な競合他社がいないオーストラリアに進出しました。

・P.6~7 事業拠点

これらのページに記載しましたように世界各国に事業拠点を置いており、年間の3/4は海外出張しています。これだけ海外にいると複眼で世の中を見ることが出来るようになり、マスコミやニュースで報道されることは物事の片鱗に過ぎないことが分かります。従って、特に若い学生諸君に言いたいのは、今はひたすら勉強に励み、そして世の中に出たら少しでも外に出て下さいということです。自発的な行動によってその機会を掴んで下さい。私の場合失敗もしましたがそこから多くを学び、取り返して来ました。七転八起ということです。これを行うのは大企業にいては難しいかも知れません。従って自らの力で大きな成果を掴み取ろうと思ったら、大企業に入ったとしても一度外に出てみることを勧めます。大企業でしか得られないものもありますが、外に出て初めて得られるものもあります。失敗することもあるでしょうが、それを通じて視野を広げることが出来るのです。失敗に落胆せずそれに打ち勝つことにより大切な経験を得ることが出来ることを説いた大隈重信の言葉を、恥ずかしながら最近知りました。我々、特にビジネス世界にいる人間はこの言葉を肝に銘じる必要が有ると思います。
私の会社では人事評価において、若い研究・技術職の人に対してはどういう失敗をしたか、そしてそれら失敗から何を学んだかを評価に加味するようにしました。これにより、コストは掛かるようになりましたが社員が失敗から学ぶことを覚えてチャレンジスピリットを醸成し、人が育つようになりました。

会場

<講演の後半>

*新しい分野への取り組みについて

パンフレットの8ページの下方にある「挑戦し続ける技術者集団」という見出しに続く文章の中で、「従来のビジネス領域とはまったく異なる新しい分野への取り組みも進行しています。」と記載しました。新しい分野に進出するために、当社の若い精鋭技術職十数名を集めてブレインストーミングをさせました。4~5回行ったのですが、新しいものは出ず、話が従来の技術に戻っていくような状況でした。理由を考えたのですが、メンバー全員が同類、すなわち同じような社会的バックグラウンドにある人達であることに気付きました。組み合わせを間違えたわけです。対応策として社外からの色々な考えを取り込みました。異なる業界、外国、年配者から若人まで。その結果、予想もしない新しい考えが出て来ました。従来からの組み合わせを変えることによって、初めて新しいアイデアが生まれて来るということです。同時に、前述のように外に出て幅広く物事を見ることが重要です。

*バランスについて

私の会社では新しい分野に挑戦する部署(A)と、既存の事業を担当し利益を生み出す部署(B)があります。そしてこれらの部署の間で摩擦が起きることがあります。部署(A)の幹部はお金を使うばかりで部署(B)に対して申し訳ないと思い、部署(B)の幹部は専ら自らの部署で利益を生み出しているので、部署(A)に対して厳しい態度で迫るといった具合です。大事なのはこれらの間のバランスをとることです。会社にとっては(A)も(B)も必要で、これらのバランスをうまくとることが非常に大切です。そして、もうひとつはこのバランスをとるためのコミュニケーションをスムーズ且つ活発に行う環境を作ることです。トップダウンは時として思考停止を招きます。社内にはこれらの部署の人達が参加する色々な会議があるのですが、私以外役員たちから、これらの会議には出席しないで欲しいと言われました。私が出席すると私が発言の機会を殆ど独占し、他の参加者は私に忖度するから、というのがその理由です。そして、その言葉に従い私が出席しないようにすると色々な意見が出るようになって会議が活発になりました。
私はサミットと呼んでいる最高経営会議には出席しますが、そこでの発言はなるべく控えるようにしてその場の雰囲気を掴み取るようにしています。この「雰囲気」が大事で、海外出張した際も工場の中を歩き回って職場の雰囲気を掴み取り、微妙な変化を察知するようにしています。この「察知する」ことも大事で、かつて私より年上の役員が当時の会長に直接提出していた業務報告書の内容が、業務実態と乖離した美辞麗句となっていることを会長に説明した結果、納得してもらい改善を任されました。社長とは言え現場で働き苦労してきたからこそ分かったことで、先輩格の部下と現場の仲間たちとの間に入って両者間の相互理解を良好なものにすることが出来ました。ということで、現場の重要性を強く訴えたいと思います。最近大企業が起こしている品質問題の原因は、決定権を持った人が現場をよく見ていない或いは実情を知らないからです。何故かというと企業が大き過ぎるからです。大き過ぎる故に、変化に対応出来ないのです。会社は絶対にこのようになってはならないと考えます。私はこの現象を環境変化に対応できずに滅んだ恐竜を例にとって社員たちにしばしば説明します。現在私はこの会社をこれ以上大きくするつもりはない考えを持っています。ガバナンスが効かなくなる恐れがあるからです。これが正解かどうか分かりませんが、当面この方針で行ってみようと思います。なお、最後の海外進出先としてヨーロッパのスペインを選び、本年2019年初頭に工場を立ち上げました。意識している顧客の一つにBoschという会社がドイツにあるのですが、進出先としてはスペインを選びました。理由として、ヨーロッパにある先進国と比較して忘れられたような国ではあるのですが、物造りに興味があって芸術的センスを有する人財が豊富であること、また日系を含めて競合他社が見当たらないことでした。進出して間もないですが、多数の引き合いがあります。

<まとめ>

会社の規模の拡大としてはスペインが最後であり、これからは中身を充実していきます。中身とは人財育成、Culture変化、そしてInnovationです。このInnovationの中で今回、西出先生、本間先生、そして後輩の宮武先生とのお付き合いを通して母校と関わることが出来、こんな嬉しいことはありません。そして、今回の私の講演から学生諸君が何か得ることが出来れば、それは私の最大の喜びです。また、学生諸君の中に将来に対する展望みたいなものが少しでも芽生えてくれたら、それも私の喜びです。
以上で私の講義とさせて頂きます。有難う御座いました。

時間的な制約から、質問を1件だけ受付けました。

<質問>

新規事業への挑戦のため外に出て行くことと規模を大きくすることとは関連性があるように思えるのですが、この点はどのように考えたら宜しいでしょうか。

Floorからの質問

<回答>

私の会社の、既存の技術による売り上げを仮に100とすると、これが80、70、60と段々減少して行きます。例えば3-D Printingという技術が拡大しつつあり、形状のみを考慮した製品において売り上げを伸ばしています。一方、私の会社で従来から行っている射出成形は製品の機能や精度を追及した技術ですが、製品の売り上げは減少しています。この減少した10、20、30の部分を新しいものに置き換えて、売り上げの100を維持しようということです。これが正解かどうかは分かりません。規模を大きくすることを全否定しているわけではありませんが、私の会社の実情や外部の環境を考慮して現在はこのような方針を採っているということです。

質問に答える山本社長

講演の中で参照された会社案内パンフレットは、電子ファイル化されて応用化学会HPの中の「資料庫」(パスワードが必要です)に交流講演会資料(講演会第34回)として格納されています。是非ご覧下さい。

【懇親会】

講演会終了後、会場を56号館地下1階理工カフェテリアに移して懇親会が開催されました。
参加者;教員・OB/OG・講演会関係者36名、学生27名、合計63名
交流委員会鈴木委員の司会のもと、応用化学会濱副会長の挨拶、続いて安達副会長の挨拶と乾杯のご発声の後、懇親会が始まりました。

今回の講師である山本社長は積極的に学生の輪の中に入り、熱い懇談の場となりました。学生にとって講演会では聞くことが出来なかった山本社長のご経験やお考えを直接聞くことが出来、今後の進路を考える上で大変貴重な機会になったのではないかと思います。

学生に囲まれる山本社長

今回も早大応援部学生に懇親会場でのパフォーマンスをお願いし、懇親会後半に校歌、エールで参加者が声を合わせ、応化会の団結を確認し今後益々の発展を誓いました。

校歌斉唱

そして橋本副会長の中締めと閉会の挨拶に続いて、学部生部会 岡 部会長の一本締めにて解散となりました。

講演会・懇親会のスナップ写真は下のボタンをクリックしてご覧ください。

以上

(文責:交流委員会)