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第45回早桜会懇話会(報告)

第45回早桜会懇話会を2024年3月2日(土)zoomにて開催しました。
今回は関西支部事務局長である澤村健一様(新53)に司会をして頂きました。
普段は講師の先生があるテーマについて話をする、というのが通例ですが今回は’’応用化学会関西支部の今後のあり方’’というテーマで参加者同士活発に議論を交わしました。

年代の違いによって様々な意見が挙がる一方、各年代に共通する意見もありました。年代別の意見としては、下記のようになります。

30代・・・同年代の近況を知る場として活用したい、会社外の人とのつながりの場として活用したい、20代の頃と比較して仕事にも慣れ活動に参加する余裕も出来てきた。

40代・・・家事・育児なども忙しくなり活動に参加する時間が取りにくくなる、現地参加が難しいことが多い。

→そういった状況を加味し、参加する人を集めるには、懇話会だけでなく趣味の会などがあっても良い。関西支部として活動していることを知ってもらい、その上で活動に参加するハードルを下げる必要がある。

50代・・・男女や組織所属有無の違いによりキャリアも多様化してくる、組織に属していないから自由に動ける一方、組織を通して情報を得ることもある。

60代・・・子供が手を離れて自由が効くようになったから参加するようになった、1回参加してもらうことが大事、過去に参加していたがしばらく活動から離れている人を再び呼び戻す取り組みも必要、学識的な話だけでなく懇親を主とした行事があっても良い(→各自の得意分野や関西各地域の特色を活かす、家族も参加できるイベント)。

70代・・・会発足時の目的は’’応化出身の人のつながりを大切にする’’ことだった、講演のような堅い話でなく雑談のような物で良い、会員同士の親睦を深めることが何より大切である、webには良い面も悪い面もある(→結果として相互の親睦の機会は減った)、ざっくばらんに話し合う場が必要である。

年代の違いによって活動への参加のし易さに違いはあるものの全体としては、

・会員相互の親睦を深める

・堅いテーマだけでなく、レクリエーション的なイベントがあった方が良い

・会員の家族も参加できるイベントがあると良い

という方向で議論は進行しました。

また、若手会員の獲得も大切であり、就職したタイミングで応化会とのつながりが途切れないようにする必要がある、という意見も挙がりました。それを踏まえて2024年度は、
‘’若手会員の歓迎会及び関西支部15周年記念のイベント’’を開催する運びとなりました。開催時期は6月を予定しています。

今回このようなテーマで会員同士議論を交わすことで、関西支部として今後どうしていくべきか、各々どうしていきたいと思っているのかを共有でき非常に有意義な時間となりました。年度末という節目、15周年という節目にふさわしい会になったと思います。

(文責:三品)

【出席者(10名):敬称略】

市橋宏(新17), 斎藤幸一(新33),和田昭英(新34), 脇田克也(新36),高田隆裕(新37), 髙島 圭介(新48), 澤村健一(新53), 陳鴻(新59),三品建吾(新59),古田武史(新61)

宮崎研同門会の報告

■日時 :2023年12月9日(土)12:00~14:00

■場所 :日立目白クラブ

■参加者:19名(先生のご長男にもご出席いただきました。)

■内容:
会食では、2003年に亡くなられました先生および2022年に亡くなられました奥様を偲びながら卒業後の振り返り、今後の抱負など、和気あいあいとした雰囲気で、楽しいひとときを過ごすことができました。
この会を通して、同門諸氏の交流を深めることができました。
ご参加いただいた皆様並びに近況報告を寄せていただいた皆様に心より御礼申し上げます。
特に近況報告をいただいた方は宮崎研以前の武富研の先輩、外出が不自由になられた先輩、ご親族よりお亡くなりになられた先輩(青柳 栄三郎氏、荻 啓二氏、高氏久雄氏、坪井 彦忠氏、久枝 信一氏、杢 嘉雄氏、篠田 裕之氏、三矢 宗久氏、山田 宣久氏、大見 真也氏)のご連絡をいただきました。一方現役の方々は会社経営、教授、農業と多方面で活躍されておられます。

会は井上征四郎(62年卒)の開会の言葉を受け、増子豊忠先輩(62年卒)井上征四郎先輩(62年卒)の乾杯の音頭で始まった。出席の方の近況報告をいただき、柳原白蓮(悲劇の歌人)のお子様である宮崎先生の奥様のお話、学習院の華族子弟の寮(平成天皇もおられた)であった昭和寮、日立目白クラブにもおよんだ。大林秀仁先輩(67年卒)の締めで閉会した。

同門会の案内を会報に乗せていただいた応化会事務局の皆さんに御礼申し上げます

追伸 メールアドレスご連絡のお願い
同門会には通信費がかなりかかります。さらに来年からは封書が110円になります。さらに個人情報保護の関係から応化会に登録されていても同門会には情報開示できない状況です。つきましては宮崎研の皆様メールアドレスご登録いただけていない方はtmoaku@hotmail.co.jpまでメールいただければありがたいです。

以上

文責:芥川 立夫

2023年度学生工場・施設見学報告(2023年9月15日開催)

1.見学趣旨
大学側の教育行事として、応用化学科の学部1、2年生を対象に、工場・施設見学を催行し、企業の製造、生産管理、研究開発等の実態を学び、今後の勉学への動機付をしてもらうことを目的とします。開催時期は夏休み中の後半の平日とし、西早稲田キャンパスから日帰りで往復可能な地区の企業事業所・工場・研究所を対象とします。2019年は川崎(エリーパワー株式会社)・足柄(テルモ株式会社)地区でしたが、コロナ禍で3年間リアル開催を休止し、2021年のリモート見学会(DNP)を経て、今年は新型コロナ感染症が5類に移行されたことから再開し、川崎(株式会社レゾナック)・綾瀬(東ソー株式会社)地区を選定しました。本企画の主管は教室でありますが、交流委員が支援にあたり、見学は教員が引率、交流委員は同伴いたします。

2.開催日時

・9月15日(金)

07:45 西早稲田、理工キャンパス63号館ロームスクエア前集合

08:00 バスに乗車・出発

19:15 理工キャンパス帰着・解散(バス内でアンケートフォームに入力。交通渋滞により予定より遅れて帰着)

3.参加者

・応用化学科 B2学生25名、B1学生13名、合計38名、引率・同伴者4名、合計42名
(バスの最大定員は正席49、補助席7、合計56名)

・引率教員 下記担任教員及び指導教員が引率
B2副担任 野田優教授
B1主担任 小堀深専任講師 計2名

・同伴担当交流委員 関谷紘一(新18回)、辻浦久子(新36回)、以上2名

(工場見学にあたっての注意事項)

1.服装:長袖、長ズボン(スラックスやパンツスーツ)の着用(Gパン、スカート不可)など歩きやすい服装。

靴:滑りにくい靴着用(ヒール、サンダル、パンプスは不可)

2.研究施設・工場内でのカメラ・ビデオ撮影禁止、携帯電話の使用禁止。
(見学時は、貴重品・筆記用具以外は、原則、バスに置いていく)

3.見学時は、研究施設設備、プラントエリア・計器室内の機器、計器類等には手を触れないこと。

4.場内は見学先指定の保護具着用。見学時は社員の指示に従い、列を乱さず移動。

4.見学先 (川崎・綾瀬地区)

AM 株式会社レゾナック 川崎事業所(川崎区扇町)(担当・関谷委員)

・住所 〒210-0867 神奈川県川崎市川崎区扇町5-1  電話: 044-322-6813

・事業内容: 無機工業薬品、産業ガス製品、AN・有機工業製品、VC製品、グリシン、クロルプレンゴム、塩素化ポリエチレン製品、半導体様エッチング・クリーニングガス製品、ショウデックス製品、VGCF、及びプラスチック廃棄物のケミカルリサイクルによるアンモニアの製造(KPRプラント)、他、(太字が見学対象プラント)

PM 東ソー株式会社 東京研究センター (綾瀬)(担当・辻浦委員)

・住所 〒252-1123 神奈川県綾瀬市早川2473-1 電話: 0467-77-2211

・事業内容:

① ライフサイエンス(LS)研究所
新たな検査技術や医薬精製用分離技術など健康・医療分野の新材料・技術の創出

② アドバンストマテリアル(AM)研究所
有機・無機融合技術、MI技術をベースとした電子材料及びエネルギー関連の先端材料の研究開発

③ バイオサイエンス(BS)事業部開発部門
計測・診断事業の製品開発及び顧客サポート

(太字が見学対象施設) 

5.見学スケジュール

09:30株式会社レゾナック 川崎事業所(川崎区扇町)到着

09:40〜10:00見学オリエンテーション(スケジュール/会社説明/工程説明)

10:00〜11:15事業所見学
数班に分かれて、KPRプラント(前工程・破砕設備、後工程・ガス化設備)見学
KPRプラント・ガス化設備前で集合写真撮影。

KPRプラント・ガス化設備前で集合写真撮影

11:15〜11:45早稲田応化OB・OGのご挨拶と業務説明、質疑応答

川本 健様 (2010年入社)
西出研究室(高分子化学研究室)
高分子研究所 機能分子化学研究部 クロスファンクショナルグループ川崎チーム

戸田 亜水香様 (2012年入社)
黒田研究室(無機合成化学研究室)
高分子研究所 機能共創化学研究部分 離精製機材グループ

11:45〜12:20昼食(教室形式で着席、弁当による食事)

12:30バスに乗車、東ソー・東京研究所(綾瀬)へ向け出発

14:20~16:20オリエンテーション(企業及び東研紹介、見学スケジュール、注意事項等)

・4班に班分け:1A,1B,2A,2B 4班に分かれて見学と座談会を実施(各班10~11人)
引率教員、同伴交流委員4名も4班に分かれて同行

・全員で記念撮影

東研事務所で集合写真撮影

<座談会に参加いただけた応化OB>

佐々木 勇輔様 (2018年入社)
西出・小柳津・須賀研究室(高分子化学研究室)
バイオサイエンス事業部 第二開発部 臨床液クロG

菅井 啓介様 (2020年入社)
小柳津・須賀研究室(高分子化学研究室)
アドバンストマテリアル研究所 機能複合材G

・見学先 AM研 無機電子材料G
LS研 バイオプロセスG
BS事業部 CSセンター
BS事業部 クロマト分離ゲルの製造工程

16:30東研事務所で集合写真撮影後バスに乗車・出発

6.見学後の学生アンケート結果(自由記述)を含む見学後記

6-1株式会社レゾナック 川崎事業所(川崎区扇町)

結果は総じて好評で、学生は廃プラのケミカルリサイクルの意義を理解出来、その現場を直接確認出来たことに満足していました。廃プラスチックのケミカルリサイクルの仕組み、前工程で原料廃棄プラスチックを金属の分離以外は基本的に混載の状態で破砕/溶融成形して、後工程の還元ガス化工程で水素回収してアンモニアの原料とし、同時に回収される炭酸ガスはコカコーラの原料として消費されるとの説明に、いたく感激した感想を述べており、ケミカルリサイクルの実態が分かり、今後環境対策について興味を持って学べる自信が出来たとのコメントが多くありました。
また、川本先輩、戸田先輩と忌憚なく話し合え、有意義な話を聞けたことに満足していた様子でした。今後の勉学を進める上で大変参考になったことと思います。質疑応答の時間がもう少し欲しかったとのコメントがかなりありましたたが、これはスケジュールの都合で仕方なかったと思います。このほか、昼食の弁当が好評で美味しかったとのコメントが多く、好評でした。
今回の見学を調整頂いた総務G鈴木様、KPRの安部様、OGの戸田様、OBの川本様はじめ、関係された皆様に感謝申しあげます。

6-2 東ソー株式会社 東京研究センター (綾瀬)
B1、B2学生なので、分析化学実験等で使用している器具や種々の検査機と同様な装置が並んでおり、実際に企業で使用されている実態が見えて、親近感と今後の勉学のモチベーションが上がったとの感想や、4班に分かれて見学・懇談出来たので、返って見やすく・分かりやすく、質疑応答もしやすかったとの感想、また、OBとの懇談時間も比較的長く取れたので、公私にわたる質問が出来、丁寧に答えて貰ったので良かったとの感想が多く、好評でした。
さらに、バイオケミストリーの発酵法で創られる酵素や蛋白質等のジャーファーメンターで創られる現場、精製工程で使われるクロマトゲル分離装置の現場を見て、授業では未習のバイオ製品の開発状況が見学でき、今後のバイオケミカル勉学のモチベーションが上がったとの回答もありました。このほか、成分分析技術で多用されている液体クロマトグラフィーゲル・装置開発・使用実態の現場を見学出来、この装置が実際の種々製品評価分析に重要な位置を占めていることが理解できたという感想も多く寄せられました。
見学の際、各現場で親身に懇切ご丁寧にご説明頂いた関係者の皆様に感謝申しあげます。
また、本見学でご対応・ご協力頂いた原様、桐谷様、佐々木様、菅井様に感謝申しあげます。
短い時間の中で充実した見学会、懇談会を行っていただき、本当に有り難うございました。

7. 見学後の学生アンケート結果 (円グラフ) より抜粋

以上

文責 応用化学会交流委員 関谷 紘一

第44回早桜会懇話会(報告)

第44回早桜会懇話会を2023年12月23日(土)中央電気倶楽部にて開催しました。
今回は関西支部役員である古田武史様(新61,カネカ)に講師をして頂きました。古田様は西出・小柳津研で修士号を取得した後、カネカに就職されて研究開発の道を歩まれてきました。会社の概要をご説明して頂いた後、ご自身のカネカでの研究内容の一部をお話しして頂きました。特にJAXAに駐在して’高耐熱ポリイミド複合材料の研究開発’をしていた時のご経験を詳しく話して頂きました。

基本となるのは炭素繊維強化樹脂(CFRP)です。現在航空機にもCFRPが使用されていますがエンジン内部は金属が中心です。全体の軽量化を図ってエンジンの内部にもCFRPを使用したい、というのがJAXAとの共同研究の目的でした。耐熱CFRPの研究は1970年代からNASAで行われておりましたが、耐熱性と機械的強度の両立が困難でした。JAXAとカネカの共同研研究により、TriA-Xという熱硬化性ポリイミドが開発されその性能はNASAが開発した樹脂の性能を凌駕する物でした。

航空機のエンジンに求められる性能として、高温での機械特性、耐久性、熱サイクル耐性があります。TriA-XのCFRPは300℃でも室温での強度の60%を維持しており、3000hの耐久性試験においては、270℃の大気中では酸化劣化により強度が50%に低下したものの、240℃においては目立った劣化および強度低下は観察されませんでした。航空機に求められる信頼性の観点から実用化はまだですが、初期のデータとしては有用な物が得られたとのことでした。

講演後は質疑応答も活発に行われました。JAXAは機械・材料工学系の出身者がほとんどであり、その中で応用化学出身者が意思疎通を取っていくのに大変苦労したという話は特に印象に残りました。今後益々、分野横断型の研究開発は増えていくと思いますのでそういった部分も今後改善していく必要があると改めて感じました。暗いニュースや将来の不安を煽るようなニュースに目が行きがちですが、こういった日本発の技術で世の中に貢献していくのが我々理工系出身者の責務だということを再認識でき、私自身にとっても他の参加者の方にとっても大変有意義な講演だったと思います。講師を快く引き受けてくださった古田様に改めてお礼を申し上げます。

(文責:三品)
【出席者(13名):敬称略】
井上征四郎(新12),田中航次(新17),加藤文義(新20), 篠崎匡巳(新30), 斎藤幸一(新33),和田昭英(新34), 古川 直樹(新36), 高田隆裕(新37), 髙島 圭介(新48), 陳鴻(新59),三品建吾(新59), 柴田俊(新59) ,古田武史(新61)

第2回 応化卒の多様なキャリア形成 報告

【イベント詳細】
開催日時:2023年12月16日(土)
開催場所:63号館202室および63号館ロームスクエア
開催形式:対面開催
15:00- OBOG・博士学生による講演
16:30- 座談会 兼 懇親会

コロナ禍以降、オンラインにて開催してきた本イベントは、今回の「第2回 応化卒の多様なキャリア形成」にて、久しぶりの対面開催となった。今回は学位取得後、企業にて活躍されているOBおよび現役の博士後期課程学生からの博士課程での研究や博士取得後の企業研究に関する講演を実施し、博士課程進学というキャリアパスに対する解像度を上げてもらった。また、座談会兼懇親会では、久しぶりの対面開催ということで、学部生と博士人材間のみならず、博士人材同士も交流する場を得ることができた。

開会挨拶: 下村副会長:

下村 副会長

今年は応用化学会創立100周年として様々な取り組みをしている。先日発行された応化会会報にも執筆したように、“早稲田応用化学会は次の100年に向けてどのようなことに取り組んでいったらいいのか“ということが、現在の我々が考えるべきテーマである。特に次の100年に向けて、「多くの人が集まる場を作ること」と「応化会会員のキャリアの育成」が重要と考えている。本イベントもこのような趣旨に沿ったものである。「応化卒の多様なキャリア形成」ということで、博士関係の参加者が多いが、博士進学の有無に関わらず、博士の世界がどのようなものなのかをぜひ知っていただきたい。

OBOG・博士学生による講演:
今回、企業で働く博士OBと現役の博士学生の2名に、これまでの自身の博士研究での経験・博士進学の動機などについてご講演いただいた。尚、司会進行は、応化会 基盤委員会 斎藤ひとみ委員に行っていただいた。

講演者①;小池 正和さん(三菱ケミカル,黒田・下嶋・和田研究室(無機化学部門), 2021年博士修了)

題目:「博士進学と企業研究の魅力」

小池正和さん

小池正和さんは、無機化学研究室に所属され、日本学術振興会特別研究員(DC1)として博士研究を行われていた。現在は、三菱ケミカル株式会社 Science & Innovation Center 分析物性研究所 先端解析グループにて、無機材料の各種分析と新規分析技術の導入に従事されている。

講演において伝えたいメッセージ
学部・修士学生への一番のメッセージとして「自分自身のキャリアを主体的に形成してほしい」、そのうえで博士進学を一つのプランと考え、研究が好きなら是非博士へ。と最初にメッセージをいただいた。

学生実験と研究の違い・博士進学での経験について
学生実験は実験項目が皆同じで、ノルマも目標も必要な器具や試薬も最初から用意されている。一方で、研究室での活動では、一人一人に異なるテーマが与えられ、ノルマや目標は最初からあるのではなく実際に実験を進める過程で得られた結果から見えてくるものである。そして、そのための準備は先輩から教わりつつ自分でしていく必要がある。
小池さん自身が学部4年時に与えられた層状ケイ酸塩の作製というテーマは挑戦的であり、なかなか成果が得られずに苦しんだ。卒論執筆の頃にようやく成果が出始める。その中で、自分の研究の立ち位置(意義や周辺の研究と差別化される点)を知り、研究に、ひいては博士課程に興味が生じた。博士進学を決断した理由としては、自身の研究テーマを突き詰めたいという想いが強くなったことが最大の理由であったとのこと。また、研究室内での活発なディスカッションに楽しさを感じていたこと、分析装置を使いこなしたいというモチベーションがあったこと、さらにはM1での学会発表の経験や、博士進学(LD)を早期に決めていた同期からの影響もあったそうだ。一方、博士進学に対する経済的な不安もあったが、応用化学科関連の奨学金やDC1からの支援が充実していた。
博士課程での経験としては、研究の中で得られた結果からフィードバックして次の展開や課題を見出すなかで、研究の方針を自分で設定できること。その中で実験スキルの向上や、新規技術の取り込みなどを行い成長していく。また、自身で見つけた課題から他の学生の研究テーマを提案し、後輩の面倒を見る経験をできた。これらの経験は、課題探索能力やマネジメント力を得ることに繋がったとのこと。

企業での研究について
現在、企業では無機材料の各種分析と新規分析技術の導入を中心に業務を行っている。他部署から依頼を受けて分析を行うことが大半だが、材料合成のR&Dの部署との連携も行っている。そのなかでは分析側から材料合成側に方針の提案をすることもあるという。企業での研究の特徴として、研究資源が充実していることや、周囲にいる様々なバックグラウンドを持った人を巻き込んで仕事をできる、ということが挙げられる。ノルマや目標(例えば材料の性能の目標値)は明確になっている点も企業研究の特徴である。
ChatGPTに「企業研究の魅力とは」と質問した結果、社会貢献・自己実現・キャリアアップ・チームワーク・実践的の五つが回答された。この中で、社会貢献・自己実現・キャリアアップについては博士課程に限らない大学全般での経験が活きる。一方でチームワーク、つまり様々な人を巻き込むというのは博士の経験が活きる点だと思う。実践的な研究、つまり事業化に耐え得る製品や技術の開発という点に関しては、原理原則に基づく考え方が必須であり、これも博士課程での経験が活きる。最近の企業研究では「性能の向上や新材料の合成」だけでは売れない。世の中の(潜在的・顕在的)なニーズにあった製品を作ることが大事。だから、潜在的なニーズを見つけ出す力は必須であり、それは博士課程でこそ培われるものである。

講演者②;重本 彩香さん(博士後期課程2年,関根研究室(触媒化学部門))

題目:「博士課程に進学して得た経験」

重本彩香さん

重本彩香さんは、触媒化学研究室の博士学生として研究に従事される中、早稲田大学の助手として、大学授業や応用化学科の業務を兼任されている。また、今年度はオランダとスイスに海外研究留学をされ、博士課程中に幅広い経験をされている。

博士進学を決めたきっかけ
修士課程ではしっかりと就活に力を入れており早期から準備をして、企業に就職するつもりでいた。そこから一転して博士進学を決めたきっかけは、論文を出版したことと、さらにカバーピクチャーに選定されたことである。海外から自身の研究を認められたことがとても嬉しく、このような経験をさらに重ねたいという想いが芽生えたそうだ。進学の決め手となった理由は3つあるとのこと。1つ目は、仮説を立てて実験し、分からないことを解明していく、という毎日の研究がとても楽しく感じられたこと。2つ目は、博士号の取得や研究活動により自身の価値を高め、自分が何者であるかを明確にしたいということ。3つ目は、将来の選択肢や可能性を広げたいということ。であったとのこと。

研究室での研究について
学生実験と研究は明確に異なり、学生実験は新しい発見のためでなく、実験手法や原理を学ぶためのものだが、研究では未知の知見の創出のために誰もやったことのないことに挑戦する。自分で実験計画を組み、必要な装置も自分で用意する。上手くいかないことも当たり前であるが、そこに楽しさがあるのが研究である。

博士課程での研究や助手について
博士課程での1日のスケジュールとしては、助手業務がない日(週4-5日)は、朝から夕方まで自身の実験を行った後、研究室の学生や先生とディスカッションを行い、データ整理をして帰宅するとのこと。一方、助手業務がある日は、朝実験を行った後、基礎実験などの助手業務を行っているそうだ。助手のメリットとして、金銭的な不安がなくなること、科研費に応募できること、教育の現場に立って学生との交流が可能なことが挙げられる。学生との交流による発見もあり、忘れていた内容の復習にもなるとのこと。
また、自身の研究を世の中に発信する方法のひとつとして、学会発表がある。修士課程までの学会は国内がメインだったが、博士になってからは海外の学会に頻繁に参加する機会が増えた。また、海外に研究留学に行けることも博士課程の良いところであるとのこと。今年、オランダのデルフト工科大学とスイスのスイス連邦工科大学(ETH)付属のポール・シェラー研究所に留学したそうだ。日本の研究室の違いとして、博士学生・ポスドク・テクニシャンの多さに驚いたことや様々な分野の様々な国籍の研究者が所属していたことを紹介いただいた。また、ドッジボールやBBQなど、研究以外の思い出もできたそうだ。また、国内学会においても若手会のコミュニティに属しており、国内の様々な博士学生や先生と交流をしているそうだ。

博士課程での研究において大切なこと
まずは、一人で抱え込まないこと。周囲との相談によって精神的にも安定するし、自分では思いつかなかったことや見落としていたこと、意外なアドバイスから研究の突破口を見つけられることが多々ある。次に、研究や博士課程、ひいては人生の目標を持つこと。博士号を取得したのちのキャリアプランを持つことで博士課程でのモチベーションを維持できる。最後に、息抜きと健康管理がとても大事であるとのこと。重本さん自身、ランニング、料理教室、スキーなどの趣味を持っている。以上を踏まえて、博士課程に進みたい!研究を続けたい!と思ったら、自分のその気持ちを一番大切にしてください。というメッセージをいただいた。

応用化学科及び応化会関連の奨学金説明:須賀先生

須賀 先生

早稲田応用化学会は1923年5月に設立された会員数11000人超えの組織であり、卒業生との太いパイプがある。「先輩からのメッセージ」「企業が求める人物像」などのイベントがある。今回もそのイベントの一つ。博士後期課程に進学する学生にとって、関心事の一つが経済的なサポートである。応用化学科及び応用化学会の充実した奨学金制度について、また、博士後期課程への進学率とその後の進路先の割合について紹介した。博士後期課程修了者は、2010年以降2022年までの間で約90名である。博士号取得者のおよそ6割は企業で活躍している。次いで国内大学、海外大学、省庁・研究機関となっている。

博士後期課程の支援体制として、学内外の奨学金制度は、貸与型と給付型がある。まずは学外として、JASSO、早稲田学内全体として早稲田オープンイノベーションエコシステム挑戦的研究プログラム(W-SPRING)がある。一方、応用化学科および応化会独自の奨学制度はとても充実しており、学科内の奨学金制度は全て給付型となっている。また、最近では「応用化学科卒業生による優秀な人材の発掘と育成の支援」の実現のために、学部生を対象にした奨学金も拡充している。早期から優秀な人材を発掘・支援したいという目的から、すそ野を広げる形となった。そのため、各人の状況に応じて充実した奨学金制度を有効活用し、研究に集中できる環境を是非整えて頂きたい。博士で専門性を深めるのもキャリアアップの一つとして関心のある学生はふるって応募してほしい。一方、まだ研究について全くわからなくても、このような支援の存在を早い段階から知っておいてほしい。そして、研究が面白いが第一。自分のこととしてとらえ将来の活躍に役立ててほしい。

閉会挨拶:橋本副会長

橋本 副会長

今日の講演におけるおふたりの話は説得力がありとてもわかりやすかった。私の経験からも、博士号はこれからの時代においてとても重要であると感じる。特に海外では、日本とは異なってドクターを持っているかどうかでチャンスの違いが大きく、私自身ドクターをとっておけば良かったと思ったことがたびたびあった。
学生時代に私は「博士になると狭い領域の研究だけを深く行うことになり、世の中に出るとつぶしが効かなくなるのではないか」と考えていたがそれは大きな間違いであり、博士になるためには周辺の研究がどのようになっているのかを把握できる総説(Review Article)的な高い視点と広い視野を持たなければならない。そうした視点や視野を持つことは、大学から社会に出たとしても、例えば企業において企業戦略や、研究戦略を建てたり議論する場合においても必要かつ重要である。
本日の発表者の体験に基づいた説得力のあるメッセージによって、博士のイメージや理解が高まってきたと思うので、博士進学のチャンスがあるのであれば是非真剣に考えて挑戦して欲しい。将来的にはきっとドクターをとっておいて良かった、チャンスが広がったと思い返すことがあるのではないかと思う。

座談会 兼 懇親会:

博士学生と学部修士の学生が交互に座り、博士での生活の様子や、学生の悩みや不安について相談に乗っていた。また、修士課程以下の学生からの相談だけではなく、博士学生も博士号取得者や社会人ドクターの方に様々な相談を投げかけていた。初めて交流する人同士が多い中で最後まで話が尽きず、様々な人との交流が行われ、盛会に終わった。


座談会 兼 懇親会の様子

新18回城塚研・石川研有志「越前加賀の旅」報告

2023年11月14日~16日

われわれ城塚研・石川研同期の有志が、連れだって旅をするということを始めたのは、みんなが古稀を過ぎて2~3年経った2018年のことでした。幹事役曽根の企画・旅行案内のもと、佐賀・長崎の旅を8人の参加を得て楽しむことが出来ました。とても楽しい旅だったので、翌年にもどこかに行こうという話になり、2019年には地元出身の池上の企画・案内で、金沢旅行を7人の参加を得て挙行し、これもよい旅ができたのでした。ひきつづき2020年には「越前加賀の旅」を企画したのですが、コロナ禍のせいで延期を繰り返し、2023年7人の同期生の賛同を得て、3年越しでようやく実現できた企画が今回の旅行というわけです。

当初のオリジナル・プランは永平寺を中心にして、朝倉一乗谷・北ノ庄を巡るシンプルな1泊2日の日程で計画しましたが、有志の強い要望により越前がに(ずわいがに)を堪能する機会を加え、2泊3日の旅へと企画を拡張・充実致しました。しかしコロナ禍のため3年の延期を余儀なくされ、その間に2泊目の夕餐・宿泊を予定していた、三国湊の著名なかに料理旅館が経営破綻してしまい、そこで2泊目の場所を全国区とはいえないけれど、地元では有名な加賀の橋立港に移し、割烹料亭「司」でかに料理をいただくことにしました。近隣には安宅の関をはじめ源平時代の史跡が残っており、これら安宅界隈(南加賀)の名所・旧跡を旅程に組み入れ、越前加賀の旅と称することにしました。

1日目(11/14)は勝山市を訪ね、福井県立恐竜博物館と神仏習合・幻の宗教都市として有名な白山神社平泉寺を見学しました。

2日目(11/15)は曹洞宗大本山永平寺と足利大名の雄朝倉一族の館跡一乗谷、そして柴田勝家・お市の方が落城・落命した北之庄城址資料館を訪ねました。

3日目(11/16)は源平時代の美談が今に遺る安宅の関址(弁慶・義経)、小松多太神社(芭蕉と木曾義仲)、篠原首洗い池(斎藤実盛)の3史跡の歴史探訪を試みました。

旅の印象は、宿と夕餐によって決まってしまいます。われわれの企画はこの点に配慮し、十分吟味致しました。
宿泊の1泊目は「永平寺柏樹関」です。宿坊旅館でありながら、素晴らしい宿泊設備と本邦最高峰と賞賛される精進料理が楽しめました。
2泊目の夕餐は、ずわいがにの水揚げ港でもある橋立港の割烹料亭「司」です。夕餐には、「司」自慢のずわいがに(加能がに)づくし料理が供され、北陸の極めつきのグルメ「ずわいがに」を満腹になるまで堪能しました。宿泊+朝食は「司」提携のホテル「アローレ」(片山津温泉)でした。
2023年11月中旬のこの旅は、天気こそ雨模様でしたが、越前と南加賀の観光とグルメを満喫できた、楽しい親睦旅行となったのです。

この旅の参加者は、池上弥、加島公次、関谷紘一、曽根勇、鶴岡洋幸、又木登司、山内謙三の7人でした。

文責:新18回 池上 弥

新制20回(1970年卒)応化同期会の開催報告

2023年11月24日(金)西早稲田(旧大久保)キャンパス内にある56号館理工カフェテリアで新20期の同期会を開催しました。当初、卒業50周年を記念して2020年に開催予定でしたが、コロナ禍のために断念しておりました。その間、2年を掛けて連絡先の確認、名簿の改定、同期メンバー間での情報共有等に取組みました。名簿改訂に当たっては、評議員の協力者として、各研究室のメンバーの中からキーマンを選定して研究室単位での情報収集を行い、さらに応化会の寺嶋事務局長のご協力を頂きました。また、年数回、数人の方に近況報告を依頼して同期で情報を共有し、同時に同期会の開催に関する意見交換をしながら準備を進めました。

新型コロナウイルスが感染症5類扱いとなり、自粛対応が緩和されたことから、前回開催から丁度10年ぶりに、ようやく開催できました。

当日は、今回初めての方6名を含め、30名の方々が参加しました。出席者の中には、福田君(愛媛)、飯塚君(鳥取)、加藤君(大阪)、山本(富)君(愛知)のように遠方からの参加された方もいました。また、欠席のメンバーからも丁寧なあいさつが届くなど、久しぶりの同期会の開催に対して、多くの仲間に関心をもって貰いました。

会の実施計画に関しては、キャンパス内の施設の使用や具体的な懇親会の実施内容について、同期の西出君(名誉教授)や寺嶋さんの協力を頂きました。

今回の同期会は、前回同様、2本立てで行い、第1部としてキャンパスツアー、次いで第2部として懇親会を計画しました。キャンパスツアーは、西出君並びに篠原博士と修士の学生さんの案内で、理工学部周辺の大久保地区の最近の景観、55、65号館の最新の分析センター、基礎物理・化学実験室等、また、理工学部の新建屋の建設中の状況を見学しました。皆在籍当時の感慨と共に、それぞれ大きく変貌し、将来へ向けて発展するキャンパスをみて感慨にふけっていたと思います。

キャンパスツアー後、理工カフェテリアに移動し、会を始める前に、猪狩君の協力で集合写真を撮影した後、懇親会を行いました。
懇親会の冒頭、同期の逝去者を偲び黙祷を捧げた後、主催者を代表して評議員の竹林からの開会の挨拶、西出君から最近の学内状況が紹介されました。その後、加賀谷君の音頭により乾杯したのち、歓談に移りました。

途中、井上、斎藤、篠崎、福田、水上、飯塚、加藤の各君から最近の状況報告があり、中締めは、山本浩一君にお願いしました。
2時間弱あまりの懇親会でしたが、往年の思い出に話が弾み楽しい一時を過ごしました。

同期会終了後、評議員の入江から、メールで集合写真と共に、当日参加しなかった同期のメンバーを含めて当日の報告書を送り、同期会の開催に当たり送付された便りを、近況便り同期会特集としてまとめ、近々発行する予定であることを伝えました。

評議員としては、当日参加者の意見を参考に、次回は、同期の足腰が元気なうちに傘寿を目途に開催できたらと思っております。

謝辞:

今回の同期会では、多数の方々のご協力をいただきましたので、報告すると共に、感謝の念をお伝えします。

・理工カフェテリアの会場予約、学内設備の利用に関する適切なアドバイスをしていただきました応化会の寺嶋事務局長に感謝申し上げます。

・キャンパスツアーの案内、さらに懇親会にもお手伝いをいただいた篠原博士、原田氏(M2)、鈴木氏(M1)に感謝申し上げます。

・キャンパスツアーの企画を始め、今回の懇親会の当初からサポートしていただいた西出名誉教授に心から感謝申し上げます。

以上

報告 新20期評議員 朝山、入江、竹林

第10回早稲田応用化学会シニア会開催報告

現在早稲田応用化学会シニア会は、早稲田応用化学会活動に参加してきたシニアの対象を(70歳以上)として開催致しております。第10回シニア会は新宿中村屋Grannaで11月25日(土)、29名が参加して開催されました。


本年は中村屋の予約スペースをほぼ満席とする29名が参集し開催することが出来ました。大学関係者としては、竜田邦明栄誉フェロー及び応用化学会元会長の西出宏之特任研究教授(新20)がお忙しい中駆けつけて下さいました。
今回初めての試みとして、去る8月26日に開催された「里帰り企画;給付奨学金受給者の集い(新51~新60回生・博士号取得者)」で参加者の中からめざましい活躍されたお二方が選出されましたのでご招待いたし、お話を伺う機会も持ちました。本年のシニア会懇親会では、世話人である下井将惟氏(新13)が司会を勤めました。

最初に河村宏氏(新9)の乾杯ご発声で懇親会は開始されました。
食事やお酒を楽しみながら会員同士の会話が各テーブルで盛り上がりました。応化会役員として注力を傾けた当時の活性化活動や当時の思いまた現在のそれぞれのアクティビティが各テーブルで盛んに会話が交わされていました。
ここで当日の参加者のなかから、現役として活量を落とさず活躍を続けておられる3名の近況をお聞きしました。
大矢毅一郎氏(新14)からは、海外2社と独占契約を結びペプチド医薬の開発に携わっておられること、中谷一泰氏(新13)からは、現在も講演活動を行っておられることやパーキンソン病やアルツハイマー病を防いでいる可能性のあるタンパク質シヌクレインを発見、シヌクレインの医薬品開発にも携わっておられること、宮坂勇一郎氏(新26)からは、社長として醸造業に注力されており、来週より真澄「あらばしり」が発売されること、等々お話いただき参加者の関心を呼んでおりました。
各テーブルでは歓談が盛んに継続され席も移動して久し振りの再開を喜びまた新たな話題で歓談が続きました。

引き続き里帰り企画で選出された米久田康智氏(新51)、澤村健一氏(新53)に今後よりいっそうのご活躍を祈念しての褒賞が行われました
西出先生よりその意義を簡潔にご説明頂いた後、河村さんより奨励賞が授与されました。今回の褒賞者はそれぞれコメントを求められ、米久田さんは今までの有機ELおよび半導体レジスト等の研究開発のご経験を紹介された後、研究マネージャーとして今後有機光電変換材料等の社会課題へのチャレンジをしていくことを力強く語られました。澤村さんはネットワークを広げることは応化会活動でも学んできたこと、またそれを活用して現在エネルギー分野のスタートアップを立ち上げ現在40名を率いていることを語られました。


その後も歓談が尽きることは有りませんでしたが、里見多一氏(新22)に中締めのご挨拶を頂き、井上健氏(新19)の会場にとどろくエールもいただきあっという間にお開きの時間を迎えてしまいました。記念の総合写真を撮影し今後のシニア会での再会を約して散会となりました。
シニア会は早稲田応用化学会に関与してきたシニア同士の懇親をあたためる場となっております。新たな会員もお迎えしたいと考えております。応用化学会の発展をあたたかく見守り、影ながら支援するコミュニティとして今後とも存続できればと考えております。

世話人:下井將惟(新13)、河野恭一(新14)、河野善行(新25)
文責:世話役一同、写真:相馬威宣(新13)、平中勇三郎(新14)

2023年度早桜会講演会(報告)

2023年度早桜会講演会を2023年11月11日(土)にWEB形式(Zoom)にて実施いたしました。今回の講師には松田謙次郎先生(神戸松蔭女子学院大学文学部教授)をお迎えし、「社会言語学は越境する」という演題でご講演して頂きました。

【講師】松田謙次郎氏 (神戸松蔭女子学院大学文学部教授)

【概要】

松田先生は社会言語学を御研究されています。社会言語学とは、言語を社会という枠組みの中で捉える学問です。社会との関わりの中で考えるので、この世にある言語データほぼ全てがデータ対象となります。

その中で特に国会会議録に着目してお話して頂きました。講演の中で特に取り上げて頂いたのが集団語と当用漢字、法令の言葉になります。

集団語とは特定グループのメンバーのみが理解できる表現であり、国会会議録においては国会議員のみが理解できる表現、ということになります。集団語がどのようにして用いられ始め、それがどのようにしてより広い意味を持って使われるようになっていったのか、ビッグデータを用いて解析されており非常に興味深く感じました。

当用漢字についてもビッグデータを用いた解析が為されており、速記者の癖が反映されていると思われるデータもあり興味深かったです。実際にどの会議をどの速記者が担当したか分かれば、出身地や年齢等が癖に与える影響も分かってくるのではないかと思います。

法令の言葉のようにブレはほぼ無いだろう、と我々が考えている物でさえ、有さない→有しない、命ずる→命じる等の変化があることが分かりました。このように言葉は絶えず変化してきているものなのだということがよく分かりました。

今回社会言語学に初めて触れました。言語を社会との繋がりで考えることで分かることもあり、特に科学技術の進歩によりビッグデータが活用できるようになったというのは非常に大きな意味を持つと思います。言語は人間が扱うものであり、人間は社会的動物ですので言語を社会との繋がりで捉え、それがどのようにして変遷してきたか考えるのは自然なことだと改めて認識しました。そして様々な学問がそれ単体ではなく、学際的・越境的になってきているのだということも再認識できました。

お忙しいところ、快くご講演をお引き受けくださった松田先生に改めて感謝の意を表し、報告書を締め括らせて頂きます。

(文責:三品)

【出席者(7名)】

井上征四郎(新12回),田中航次(新17回),和田昭英(新34回),高田隆裕(新37回), 陳鴻(新59回),三品建吾(新59回),古田武史(新61回)

早稲田応用化学会 大分・延岡地区交流会開催報告

1.開催趣旨

本年5月に開催した早稲田応用化学会100周年記念講演・祝賀会には270名ほどご参加いただき盛会となりましたが、参加者アンケートで今後の応化会活動に対する多くのご提案を頂きました。
その中でも地方でご活躍される皆さんから、交流の場を企画して欲しいとのご要望を頂き、第一弾としてまずは九州の地、大分にて交流会を開催することとなりました。

2.概要

【開催日時】2023年11月2日(木) 14時10分開始

【 開催場所】(株)レゾナック大分石油化学コンビナート 大会議室

3.参加者

【大分大学:1名】平田 誠 先生( 新37回 平田研)

【ENEOS:5名】 風間 洋佑 (新66回 松方研) 、滝渕 亮太 (新66回 門間研)、奥野 雄太郎 (新67回 関根研)、野上 寛人 (新67回 細川研)、小長谷 優祐 (新68回 野田研)

【旭化成:3名】 助川 敬 (日本エラストマー:新59回高分子研)、田中 亮祐 (新70回 下嶋研)、西尾 博道 (新71回 高分子研)

【レゾナック(旧昭和電工):5名】海寳 益典 (鶴崎共同動力:新31回 平田研)、杉本 哲人 (サンアロマー:新40回 平田研)、小寺 研太 (新50回 平田研)、生嶋 麻衣子 (新60回 松方研)、小谷野 雅史 (新61回 高分子研)

【応化会:3名】 関谷 紘一 (新18回 城塚研)、梅澤 宏明 (新36回 平田研)、椎名 聡 (新36回 宇佐美研)

4.交流会内容:

① 14:10~14:15 開会挨拶 (椎名交流委員長)

② 14:15~14:35 大分コンビナート紹介ビデオ上映

③ 14:40~15:30 大分コンビナート構内見学 (バスで移動)

    ~約10分間の休憩~

④ 15:40~16:40 講演会

講師:平田 誠 先生 大分大学理工学部理工学科准教授

演題:「早大~大分大学での研究内容を中心に、大分の食の話や最近の話題」

⑤ 16:40~17:25 各社の近況報告
15分程度/各社、ENEOS→旭化成→レゾナックの順

5.懇親会 18:00~20:00

場所:レゾナック社員倶楽部 (松原荘)

6.詳細

爽やかな秋晴れの11月2日、株式会社レゾナック大分コンビナートに於いて、第一回早稲田応用化学会 大分・延岡地区交流会が開催されました。
ENEOS大分製油所、旭化成(延岡地区)、レゾナック大分コンビナート及びコンビナート構成企業に勤務する者、東京から参加の応化会役員メンバーに加えて、大分大学の平田 誠 先生をお招きし、総勢17名の応化卒業生が参加しました。なんと新18回卒の大先輩から今年入社したばかりの新71回卒までの50年以上にわたるメンバーです。
交流会では、司会のレゾナック杉本による開会宣言の後、椎名交流委員長による開会挨拶が行われ、今回の開催趣旨についてのご説明とこの様な交流の場を各地で開催する事で会員の皆さんのネットワークを広げていきたいとのお話がありました。

司会RESONAC 杉本

開会挨拶 椎名交流委員長

続きましてレゾナック大分コンビナートのビデオ紹介とマイクロバスでの工場見学を行いました。エチレンプラントや、原料のナフサを受け入れるシーバース、酢酸エチルなどのプラントを間近に見ていただき、化学プラントの臨場感を体感してもらいました。

  
会場風景

 

その後、平田 誠 先生から早稲田大学応用化学科での研究生活やUC Davisでの留学時代の話、そして大分大学での「未利用物質の有効活用」をコンセプトとして、「環境」をテーマとした様々な研究や技術の開発について、食に関わる研究を中心に大分愛溢れる熱のこもったご講演をいただきました。

大分大学 平田先生

講演会風景

また各社の代表者から会社概要の説明、各自の業務への取り組みなどを紹介し合いました。

ENEOS

旭化成

レゾナック

その後は、レゾナックの社員倶楽部である松原荘にて懇親会を行い、大学時代のこと、仕事のこと、大分・延岡での過ごし方などを酒の肴に大変盛り上がり、最後は恒例の「都の西北」を合唱してお開きとなりました。

普段は会社の中で、同窓生と会うことも少なく、このような企画のおかげで早稲田から離れた地で同窓生と集まることができて大変良かったとの声が挙がりました。
翌日は、参加者の有志7人で臼杵カントリークラブでのゴルフコンペを行い、楽しい時間を過ごしました。

社員倶楽部 松原荘での懇親会

臼杵C.C.でのゴルフコンペ

今回来られなかったメンバーや他の会社にいる卒業生も含めて、是非第二回を計画し、継続して交流したいと思える会となりました。

7.参加者アンケートまとめ ⇒ こちら

交流委員会では参加者にアンケート調査を行い、継続的な交流会の開催と他地域で開催する場合のヒントを頂きました。
今回の交流会について皆さん大変ご満足いただき、次回の参加も希望され、他の地域でもこのような開催についてお勧めしたいとのご感想でした。
交流会に参加して良かった点については、「普段顔を合わせる機会のなかった近隣の同窓生と交流を深める良い機会となった。」とのご意見が大変でした。
今回の交流会は講演会・工場見学・懇親会・ゴルフコンペと盛りだくさんの素晴らしい会でした。今後についても地域特性を生かしたBBQ会、ウォーキング、登山、温泉巡りなどの懇親イベント開催のご要望もありました。一方で次回以降の幹事役にとってハードルが高くなった感があり、企画側の負担や参加者側の時間の制約や参加費用などを考慮した、無理のない範囲でOB/OGが気軽に参加出来る懇親会を中心とした企画が望ましいとの意見も頂きました。
近隣で働く会員の情報収集や講演会の企画等を企画する為に各地域の大学等、公的研究機関等に奉職している応化OB/OGの教職員の紹介など応化会にも協力いただき、今後も継続して開催して行きたいとのご要望も頂いております。
今後も応化会として各地でこのような交流会開催のご要望があれば、ご協力して参りたいと思います。

<問い合わせメール> 早稲田応用化学会oukakai@list.waseda.jp

以上
(報告:新40回 杉本哲人、交流委員会 新36回 椎名 聡)