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2022年 秋のプライベートゴルフ会

2022年10月の第二土曜日、応化会有志で久々にゴルフ会を開催した。
季節はずれの寒さと長雨は昨日までで、薄日も射す絶好のゴルフ日和となった。例年であれば、この時期に応化会公式ゴルフコンペが開催されるところ、コロナの影響でもう丸2年見送られている。
今回の参加者は20代から70代の初老若男子8人(次回は是非初老若男女としたい)。
時節柄、仕事関係のコンペも久しく、皆早稲田応用化学科の同窓生とは言え、複数組でのラウンドは多少の緊張を感じながらのスタート。右だ左だダボだトリだとホールを重ねる中、それぞれが地力を出し始めたところで昼食。
ハイオク満タンで、さあ午後のスタート。エンジン全開で本調子となったところで18番。最終スコアは聞かず語らずニコニコしながらお疲れ様でしたの挨拶の後、参加者全員で記念撮影。
上司や部下でもなく、先輩へのほんの少しの気遣いのみ。利害関係の無い世代を超えたお付き合い。
うーん、楽しいラウンドでした。(その後、19番ホールへと個人的に突入した方々がいらしたかは定かでない。ただ、誰か発症したとの話も聞かず、結果オーライ。良かった良かった。)

文責:当面ゴルフ幹事 新制36回 井村正寿

参加者 写真前列 下村 啓(新34) 井上 健(新19) 中井裕夫(新18)

写真後列 椎名 聡(新36) 西田穂高(新66) 入江伸一(新20) 井村正寿(新36) 糸日谷陽一(新39)

2022年度早桜会講演会(報告)

 2022年度早桜会講演会を2022年10月8日(土)に中央電気倶楽部で実施いたしました。今回の講師には大宮理先生(河合塾講師)をお迎えし、「大学入試から見る化学」という演題でご講演して頂きました。

 18歳人口が年々減少する中、予備校業界は厳しい立場におかれており、暗記主義的な教育が化学嫌いを量産しているという現状を冒頭話されておりました。現代社会の高校生は昔と比べて物に触れる機会がどうしても減少し、物質観が希薄になる中、複雑な化学式や計算が先行し知識の順番が逆になっているということもお話しされていました。大学進学を果たすうえではまず大学入試を突破する必要があり、学生は当然その対策をするので結局の所、大学入試の問題が高校生の勉強の方向性を決めます。したがって、大学入試の問題は教訓的、教育的な観点が大事です。大宮先生は入試問題は、あいまいな問題や暗記主義的な問題ではなく、役に立つ化学の視点を問うような問題が良いとお話しされていました。

 実際に近年の大学入試の問題も紹介して頂きましたが、非常に難しい問題、処理量の多い問題がたくさん出題されていると感じました。教科書の内容が改定され、エンタルピーやエントロピーを高校で教えるというのは驚きでしたが、現状も問題文の中でヒントを与えながら大学レベルの内容を問うような問題が出題されており、受験生も大変だと感じました。また、せっかく良い問題を出題しても問題が複雑すぎて時間内に処理出来ないことから飛ばされてしまい、あまり用をなさないという話もされており、分量が多すぎるというのもむしろ弊害になっている現状があります。

 昨今の時代の流れで予備校でもオンライン化が進んでいます。しかし対面で授業を行い、実際に物に触れ、互いに議論する中で初めて理解が深まっていくこともたくさんあります。そういったことがだんだんと希薄になっているようにも思います。大学入試の問題を皮切りに、日本の教育問題にまで踏み込んだ深い議論がなされ、質疑応答も活発に行われて有意義な時間となりました。久しぶりの対面開催であり、web開催時より幾分か議論が活発だったように思います。講師を務めてくださった大宮先生に改めて感謝の意を表し、今回の報告とさせて頂きます。

 (文責:三品)

 

【出席者(12名)】

井上征四郎(新12) ,津田實(新7),市橋宏(新17),田中航次(新17),岡野泰則(新33),斎藤幸一(新33), 和田昭英(新34), 脇田克也(新36),  數田昭典(新51), 澤村健一(新53), 原敬(新36),三品建吾(新59)(議事録)

 

 

「リモート学生工場・企業施設見学」レポート
(花王エコラボミュージアム)

 

  1. 見学趣旨

大学側の教育行事として、応化学生に対し学部1、2年生を対象に、工場・研究所・企業施設見学を催行し、企業の製造、生産管理、研究開発等の実態を学ばせ、今後の勉学への動機付けを行うことを目的とします。
本企画の主管は教室で、交流委員会が支援をしています。
従来、開催時期は夏休み中の後半の平日とし、先生が引率、交流委員は同伴として西早稲田キャンパスからバスを利用し、日帰りで往復可能な地区の工場・研究所および企業施設を見学してきました。
新型コロナウィルス感染拡大により対面方式での工場・研究所および企業施設見学が実施できない状況が続いており、昨年同様リモートツールを利用した企業訪問を行いました。

  1. 概要

【日程】 2022年9月20日(火) 13時30分~16時00分
【リモートツール】 Zoom
【訪問先】 花王(株)和歌山工場内・花王エコラボミュージアム 

  1. 参加者

【参加学生】対象:応用化学科学部1年生、学部2年生の希望者

学部1年生:11名、学部2年生:10名、合計21名

【引率】 梅野 太輔 教授、須賀 健雄 准教授、下嶋 敦 教授、合計3名
【同伴交流委員(Zoom操作、進行担当)】椎名 聡 交流委員長(新36、日本航空)、合計1名

【花王】 研究開発部門 人財開発部 田村 辰仙 様、曽我 聡子 様

花王エコラボミュージアム 細川 泰徳 花王エコラボミュージアム館長

麻田 貴広マネジャー(花王エコラボミュージアム担当)

松田 幸子 様、高橋 雄一 様、梶 敦彦 様

サニタリー研究所(栃木事業所)

安藤 英悟 様(新66:西出、小柳津、須賀研、2018年入社)

辻村 織恵 様(新65:西出、小柳津、須賀研、2017年入社)

スキンケア研究所(栃木事業所)陶山 優 様(新65:細川研、2017年入社)

 

  1. 花王エコラボミュージアム

住所 〒640-8580 和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社 和歌山工場内 TEL: 073-426-1285
【花王エコラボミュージアム・ホームページより引用】 

https://www.kao.com/jp/corporate/about/tour/museum-tour/eco-museum/

“いっしょにeco”を知る、体験する――
地球環境と花王のエコ技術の情報発信ミュージアム
花王の製品は、ほとんどが毎日のくらしの中で使うものです。だから、花王は、環境に配慮したモノづくりをめざして、原材料選びから、ごみに出すまでのすべてをエコロジー視点で考える、“いっしょにeco”に取り組んでいます。
その一環として、先端のエコ技術を体験していただくために開設したのが、「花王エコラボミュージアム」です。
アタマ・カラダ・ココロを刺激する展示や映像、体験プログラムによって、地球環境のいまや、花王のエコ技術に触れてみませんか?
「花王エコラボミュージアム」での経験や知識をご家庭に持ち帰り、身近なくらしの中で生かしていただけることを願っています。

花王エコラボミュージアム建物全体写真およびエントランス写真

  1. スケジュール

13:30~13:40 オープニング
13:40~15:00 花王エコラボミュージアム見学・Q&A 
15:00~15:05 休憩
15:05~15:55 OB/OG懇談会(ブレークアウトセッション 3回)
15:55~16:00 クロージング

  1. 詳細

【第1部】 花王エコラボミュージアム見学・Q&A

1942年に設立したグループ最大の研究・生産拠点で、シャンプー、リンス、衣料用洗剤と言った家庭用製品から多種多様な工業用製品まで生産する和歌山工場内のエコテクノロジーリサーチセンター1階にある『花王エコラボミュージアム』からZoomによるライブ配信を行い、参加学生と双方向のコミュニケーションをとりながら見学が行われました。
花王の歴史、研究開発部門の説明に続き、1887年の創業以来、「よきモノづくり」を愚直なまでに追求し、暮らしに変化を提供し続ける企業として、花王ESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」 に沿った地球環境や社会に配慮した取り組みについて、「地球環境問題」「原材料」「製造工程」「輸送、販売」「製品の使用」「再利用、廃棄」の展示ブースや映像を通じてわかりやすく説明がなされました。
界面活性剤製造における先端のエコ技術など応用化学科の学生にとって興味深い内容も含まれ、原材料選びから、ごみに出すまでの製品のライフサイクルにおけるさまざまな取り組みを理解することが出来ました。

花王エコラボミュージアム

◎ 全体的な見学会の感想、環境問題など印象に残った事について 

・ 製品のライフサイクルにおいて消費者が使用する時に最もCO2が排出されるため、それを減らす商品開発に取り組んでいるという話が印象に残った。一方で詰め替え用の購入や水をこまめに止めるといった自分たちの意識で排出量を減らすことも可能である。そういう所で私たちも意識的に排出量を減らす取り組みに協力していくのも大切だと感じた。

・ 花王は家庭用製品事業のイメージが強く、その他にも多様な工業用製品の製造や研究が行われている事を知ることが出来た。

・ 自社の歴史や商品を伝えるためだけでなく、環境問題を可視化できる展示方法が良かった。

・ 花王製品と環境にも配慮したものづくりについて全体像をバランス良く説明してもらえた。原材料から廃棄までトータルに考えているのが理解できた。

【第2部】 OB/OG懇談会(ブレークアウトセッション 3回)

花王の研究開発部門で活躍している応用化学科OB/OGに自己紹介・業務内容をご説明いただいた後、Zoomブレークアウトルームで3グループに分けて懇談会を行った。 参加学生からの下記の質問を中心に、OB/OG懇談会を実施しました。

・ 学校で勉強した知識の活かし方

・ 学生時代にしておいた方が良いこと

・ 学生時代に取り組んだこと

・ 就職の考え方や準備について

・ 博士の活躍の場について

◎ OB/OG懇談会での感想や今後の学業・研究生活へ受けた影響について

・ 大学での研究がさまざまなところで活かされると聞いて、一つ一つの実験を大切にしようと思った。

・ 今後はデータサイエンスも必須だと知り、勉強の意欲が湧いた。

・ 学生時代に幅広く学習・経験することが大事で、会社に入ってから新たに学ぶことも多い事を知った。

・ 実際に現場で働く人の声を聞く、貴重な機会だった。

・ 学部卒での就職を考えていたが、研究職で活躍している先輩方をみて大学院進学を検討しようと思った。

 

  1. 見学後記

「花王エコラボミュージアム」の施設は素晴らしく、またリモート見学でありながら現地で見学しているかの様にカメラワークを駆使しながら映像も取り入れたプレゼンテーションがなされ、各ブース担当の社員の皆さまも応用化学科の学生に合わせたご説明で大変理解しやすい内容でした。ご準備頂いた花王の皆様の “よきモノづくり” の精神がとても感じられました。
また、花王で活躍される応用化学科OB/OGの皆さまも、参加した学生にとって今後の勉学へのヒントとなるように自己紹介や業務内容について簡潔にお話しされ、懇談会では短い時間でしたが学生の質問に丁寧にご対応いただきました。
この様な貴重な機会に参加学生が21名と少なかったことは残念でしたが、参加した学生にとって興味深い場になったと思われます。
今回ご協力くださいました 花王株式会社様 には、この場を借りて深く御礼申し上げます。

花王エコラボミュージアム見学後の集合写真

以上

(報告:広報学生委員 原田 拳太、小川祐輝、交流委員会 椎名 聡)

早稲田応用化学会 交流委員会主催 第38回交流会講演会

2022年9月10日(土)15:00~17:10 (Zoomによるリモート開催)

講演テーマ;『カーボンニュートラルについて』
講演者;
【講演第一部】宍戸圭介氏  デロイト トーマツ グループ マネジャー
 演題;『サステナビリティとは何か』
 副題;「日本のカーボンニュートラル」
【講演第二部】望月浩二氏  ドイツ(欧州)環境規制調査
 演題;『サステーナブルな世界に向けて』
 副題;「ドイツのカーボンニュートラル」

宍戸圭介氏

望月浩二氏

講演者略歴
宍戸圭介氏
 2007年 早稲田大学 理工学部 応用化学科 卒業(新制57回、酒井・小堀研究室)
 2009年 早稲田大学 大学院 先進理工学研究科 応用化学専攻 修了(酒井・小堀研究室)
 2009年 サントリーホールディングス(株)入社
  ・国内外の環境戦略立案、再生可能エネルギー導入,オペレーション改善等のプロジェクトマネジメントに従事
 2018年 米州立ノースカロライナ大学チャペルヒル校 フルタイムMBA 入学
  ・コペンハーゲンビジネススクールに交換留学(半年)
  ・マッキンゼー・アンド・カンパニー、ヤンセンファーマにてインターン実施
 2020年 米州立ノースカロライナ大学チャペルヒル校 フルタイムMBA 卒業
 2020年 監査法人トーマツ ESG・統合報告グループに入所
  ・主に国内外のコンシューマー、パブリックセクター分野において、環境・戦略分野を中心としたESGに関するアドバイザリー業務を実施
  ・社内ベンチャーのコアメンバーとして、カーボンニュートラルに向けた技術の社会実装を目指すための技術リスト作成や関連プロジェクトの組成、執筆・講演活動を兼務

望月浩二氏
 1969年 早稲田大学 理工学部 応用物理学科 卒業

 卒業後、企業内でエンジニアとして品質管理および研究・開発の業務に8年間、従事した後、退職してドイツに移住。1991年以来、ドイツおよび欧州の環境規制の調査・コンサルティング業に従事。毎年一時帰国して企業、大学、学会、市民団体などのために報告講演を実施。ドイツのケルン市在住。

はじめに
今回は、リモート方式による交流会講演会として開催致しました。

参加者:98名(卒業生87名[講演者、先生を含む]、在校生11名)
本講演会には早稲田応用化学会の元会長である西出名誉教授、並びに橋本副会長にもご参加頂き、それぞれ開会と閉会のご挨拶を頂きました。

   
           西出名誉教授(元応化会会長)                                 橋本副会長

                                          椎名交流委員長

講演会開会前に、聴講者への依頼事項等をスライドショウで流しましたが、今回はそれに加えて早稲田大学のカーボンニュートラル宣言に関連する下記の方々のお話を放映しました。
  田中総長⇒ https://www.youtube.com/embed/frc_Kj8zDpk?autoplay=1
  政治経済学術院 有村 俊秀教授⇒
        https://www.youtube.com/embed/2m4Gx_4Ti64?autoplay=1
  理工学術院 応用化学科 関根 泰教授⇒
        https://www.youtube.com/embed/Ei4jL3T8sPM?autoplay=1

定刻になり、まず椎名交流委員長による開会宣言、視聴に当たっての依頼事項、及び講演者の略歴紹介が行われました。特に今回は講演者をお二人お招きし、第二部の講演者である望月浩二氏はドイツのケルン市在住で、交流会講演会の講演者として初めて海外から遠隔で参加される旨の紹介がありました。引き続き、早稲田応用化学会の元会長である西出名誉教授から開会のご挨拶を頂きました。
 西出名誉教授のご挨拶 こちら

続いて講演が始まりました。
なお、本講演会におきまして講演者が作成し、説明のために使用されましたプレゼンテーションファイルが応化会HP内の資料庫に格納されています。詳細はこちらのファイルをご覧下さい。(閲覧には資料庫のパスワードが必要です。) 資料庫こちら

【講演第一部】
宍戸圭介氏 『サステナビリティとは何か』 ~ 「日本のカーボンニュートラル」
本講演の要約

1.サステナビリティに関するトピックは、グローバルアジェンダとして重要性が増している。
2.日本においてもサステナビリティ、特に気候変動分野でのコミットメントが高まっており、産官学が協働してカーボンニュートラルを目指すことが求められる。
3.カーボンニュートラル達成のためには種々のアプローチが必要であり、応用化学会の皆様の知見や経験が大いに生かされることが期待できる。
本講演の概要についてこちら

【講演第二部】
望月浩二氏 『サステーナブルな世界に向けて』 ~ 「ドイツのカーボンニュートラル」
講演は次のテーマに従って順に行われました。

①ドイツ国民の環境意識
②サステナビリティの重要な要素としてのカーボンニュートラル
③カーボンニュートラルの2050年実現を目指すドイツの取り組み
④カーボンニュートラルとリサイクル
本講演の概要についてこちら

講師お二人の講演の後、質疑応答が行われました。
質疑応答の概要についてこちら

最後に、早稲田応用化学会の橋本副会長から閉会のご挨拶を頂きました。
橋本副会長のご挨拶 ⇒こちら 

   <参加者>

椎名交流委員長より
最後に椎名交流委員長から下記の2点についてお願いがあった後、本日ご講演いただいた宍戸様、望月様およびご参加いただいた多くの会員の皆様への感謝の言葉をもって閉会宣言となりました

1.講演者へのフィードバックならびに次回の講演会企画の参考とするため、メール配信されるアンケートへの回答のお願い
2.2023年5月20日(土)に開催される早稲田応用化学会100周年記念事業について、大隈記念小講堂における田中総長の記念講演ならびに記念祝賀会への参加、早稲田応用化学会給付奨学金への寄付協力のお願い

<ご参考>懇談会(17:15~18:00) ⇒こちら

――― 以上 ―――

(文責;交流委員会)

早稲田大学応化会 学生部会向けキャリアセミナー

2022年8月27日:15:00-17:00
西早稲田キャンパス、61号館102B教室
講師:市場有子さん、福所しのぶさん

【目的】自分らしいキャリアを踏み出すきっかけを作ること
【ゴール】今必要とされるキャリアの考え方を知ること、自分の持つ価値観や強みを知ること

【概要】
人生100年時代、VUCAと言われる不確定な現代、長らく続いた年功序列や終身雇用といった日本型雇用は終焉を迎えようとしています。いつ何が起きてもおかしくない世の中では、所属する組織は成長の舞台であると考え、自分自身のキャリアを蓄積ことが何よりも重要とされています。一方で、理系の専門知識を持つ若手研究員は、その専門性の高さが強みとなりますが、社会人となって数年たつと、長期的キャリア形成やプライベートと仕事のバランスに戸惑う場面も見られます。今回のセミナーでは、理系×キャリアコンサルタントの我々から、社会に出る前に知っておいた方が良いキャリアの知識をお伝えし、ワークを通して自分らしいキャリアを踏み出すきっかけをご提供できればと思います。

1.ミニセミナー「人生100年時代のキャリア形成について」
日本人の8割がキャリアの迷子になっているという現状があり、迷うことは普通だが、どういうキャリアが求められているのか、どう考えるのかを知っていくことは重要。

現状の説明
VUCA(= Volatility(変動性),Uncertainty(不確実性),Complexity(複雑性),Ambiguity(曖昧性))の時代、人生100年時代、長期のキャリア形成:
経団連に所属する企業トップからも終身雇用の終焉を示唆する時代に来ている。これまではキャリアは一つの組織で昇進するための過程だったが、現在は能力を蓄積していく過程で組織は経験を与えてくれる場になっている。組織、昇進権力、地位給料(伝統的キャリア)から個人、自由・成長、心理的成功(自律的キャリア)に代わってきているが、自律した従業員の増加を80%以上の企業が望んでいる(優秀な人材の定着や生産性向上を上回っている)。

続いて、キャリア自律度診断(15項目)を用いた説明(自律的人材の診断)を用いて、キャリアアップについてのアクションについて説明があった。
心理的成功:何を伸ばせばいいのか=アイデンティテイ(自分らしさ)×アダプタビリティ(社会への適用)
これを伸ばすために3つの社会関係資本が重要(①ビジネス資本=スキル、資格・語学、経験,②社会関係資本=コミュニティ、プロボノ・副業、スクール・セミナー,③経済資本)
実際に自立度を伸ばすために、今の自分を知り、目標設定をしたときの現状からのGAPを認識し行動計画を立てて(1-3年)、実行(3-5年)実施しキャリア蓄積していく:大事なポイントとして、今の状態と目標の両方が明確であること、そのために自己分析が重要になってくる。

2.様々なキャリアパスを知る
研究職のキャリアパス:
目標設定のために、ロールモデル(ああいう風になりたい)を。そのために人付き合いが重要。
経験上、周りの支援を活用すること:育児と仕事の両立
ライフラインチャートで一定してプラスに振れている人は少ない=悩みはあるのが当たり前=長期的視点で見る
理系の活躍場面:
研究所内では、基礎研究、開発研究、生産研究といったカテゴリーがあるので、自分の興味に応じて選ぶと良い。
研究所外にも理系が活躍できる場面は沢山ある。例えば、
法務、事業部・経営企画
品質保証、知的財産
お客様センター、広報など。
活躍場面は多岐にわたるので選択肢を広く考えておくのがよい。
目標を決める上でロールモデルを定めることがオススメだが、1人に決めることは難しい。家族との過ごし方、余暇の過ごし方、コミュニティとの付き合い方、など多様な人との会話の中からロールパーツを集め、自分なりのロールモデルを形成することが良い。

研究職以外のキャリアパス
出産・育児における負荷は研究職、非研究職ともに同じで研究職以外の例として弁理士の事例について説明があった。博士課程に在学していた2000年頃は、博士号取得者のほとんどがアカデミック研究者を目指すという状況であった。しかし、博士課程なかばで、クリエイティブさへの疑念、ポスドク1万人計画、将来的な家庭との両立など、進路についての悩みが生じた。そんな時期に米国大学内のベンチャー企業でのインターンに参加し、知的財産の重要性を認識したことが転機となった。弁理士や知的財産関係の仕事は、自ら研究を行うことはないものの、身に着けた科学知識を生かしつつ、最先端技術へのサポートができるという点が魅力であると感じている。

転機の乗り越え方についてのヒントについて:
転機は大なり小なり誰にでも必ずくる。大切なのは転機を避けることではなく、乗り越え方を学んでおくこと。
個人のキャリアの8割は予想しない偶発的な出来事によるとのキャリア理論もある。この偶然の出来事をチャンスに変える5つの行動指針として、好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心の重要性について提唱されている。
上記の中でも特に好奇心に関しては日頃からの取り組みが大切と感じており、好奇心から取り組んだことはそれだけで人生を豊かにしてくれるし、一見仕事に関係ないように見えていたことも長期スパンで形になってくることもある。

グループディスカッション
1.個人ワーク
テーマは、「社会人基礎力から考えるあなたのキャリアビジョン」
社会人基礎力は、経済産業省が定義する「職場や実社会で多様な人々と仕事していくために必要な基礎力で、
前に踏み出す力(action) 主体性、働きかけ力、実行力
考え抜く力(Thinking):課題発見力、計画力、想像力
チームで働く力(Teamwork):発信力、傾聴力、柔軟性、状況把握力、規律性、ストレスコントロール力
の3分野12要素で構成されている。ワークではこれらの3分野12要素を題材に、働くうえで最も重要と考えるもの、現時点で最も得意と感じているもの、今後伸ばしていきたいものをピックアップしその理由についても書き出したうえでグループディスカッションを実施した。

2.グループディスカッション
グループディスカッションを通じて、メンバーの能力要素に気がついたものを共有し気づきにつなげる。

3.全体シェア
主体性が得意な人たちだけでも社会は回るのだろうかを考慮しバランスも含めてチームワークへの反映が重要と感じた、アクションとチームワークを得意とするメンバーで構成されていたが、アクションを起こした後共同性を持たないと話が進まない、アクションを重要視しているメンバーが多かったなどの意見が出された。

技術力や知識の深さだけでなくコミュニケーション力・人間力も重要(特にチームワークについては6要素もあるので)
重要と思うもの=価値観
特異なもの=強み・アピールポイント
伸ばしていきたい=伸びしろ・意欲
これを知ることがキャリアビジョンの明確化につながり、自律的キャリアの第一歩になる。

グループワークは、自分の考え方を明らかにして考えを深め、他人の見方も知り、フィードバックによる気づきを客観的に理解できるメリットがある。自己理解や他社との対話の中でキャリアビジョンが深化する。

Q&A:
転機の探し方について:偶然の要素が多いが、「このままでいいのか、自分はどうありたいのか?」という問いやビジョンを持っているかどうかが、偶然をチャンスとしてキャッチできる気づきに繋がっているように思います。意識したものを探しに行くという意識があると気づきもしやすい。

終身雇用についての考え方について:転職についてはネガティブな考え方が多かったがこの数年社会変化が大きい。これに気付いている人と気づいていない人の差が大きい。気づきと状況変化をチャンスと捉えることは重要。そこから自分をどう成長させるかを考えること。

成長の考え方について:これが自分の成長につながったポイント、会社が求めることに近づけたかは一つの指標、目標設定に対する意識を明確に理解してそこに近づけているかを考える:生産だと効率性、イノベーションだと経営学やマーケティング、オープンイノベーションなどが指標になったりする。業務のバリエーションがない場合に効率性を意識するなど。目に見えやすい指標にすることも重要

報告:学生委員会 (岡 順也)、 広報委員会 (加来 恭彦)

早稲田応用化学会 交流委員会主催 第37回交流会講演会

   2022年5月28日(土)15:00~16:00 (対面と遠隔方式を併用して開催)

講演者 杉村 純子氏  日本弁理士会 会長
演題 『ワセジョが語る知的財産世界の魅力』
副題 「~グローバル経営資源に知財を活かそう!~」

 

 

 


                                       

                               講演者  杉村 純子氏

講演者略歴
1984年 早稲田大学 理工学部 応用化学科 卒業 (森田・菊地研究室 新制34回)
石油会社研究部門に所属後、弁理士登録
特許事務所勤務後、プロメテ国際特許事務所設立(2001年度)~現在に至る
裁判所調査官(2003年度~2005年度)・現在 裁判所調停委員・専門委員(知的財産)
日本弁理士会 副会長(2011年度)
内閣府 知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会委員、評価・検証・企画委員会委員、
   知財教育タスクフォース委員、等
講演者の現役職(日本弁理士会 会長 以外)
プロメテ国際特許事務所 共同代表 弁理士
早稲田大学ビジネススクール 非常勤講師
内閣府 知的財産戦略本部 本部員(同 構想委員会 委員)
裁判所調停委員・専門委員(知的財産)
Licensing Executive Society International Vice President(Licensing Executive
   Society Japan 元会長)
アジア弁理士協会 日本部会 理事
産業構造審議会 知的財産分科会 委員(同 特許制度小委員会 委員、不正競争防止
   小委員会 委員)
日本工業標準調査会総会委員・ISO知財マネジメント策定委員

はじめに
今回は、交流会講演会として初めて対面と遠隔方式を併用して開催致しました。
対面方式で使用した会場;西早稲田キャンパス 57号館 201教室
遠隔方式で使用したソフト;遠隔会議用ソフト Zoom
参加者:対面方式;28名(卒業生24名[講演者、先生を含む]、在校生4名)
    遠隔方式;58名(卒業生55名[先生を含む]、       在校生3名)
    合計  ;86名(卒業生79名[講演者、先生を含む]、在校生7名)
まず椎名交流委員長による開会宣言、視聴に当たっての依頼事項、及び早稲田応用化学会100周年記念事業が来年予定されており、本講演はそれに向かって応化会活動を盛り上げていくための第一弾としたいとのお話がありました。次に講演者の紹介が行われた後、講演に先立って早稲田応用化学会の濱会長からご挨拶を頂きました。

 

 

 

 

 

 

 

       濱会長                      椎名交流委員長

濱会長の開会のご挨拶
杉村先生、今回の講演を引き受けて頂き、有難う御座います。知的財産の世界で活躍されている「ワセジョ」の講演を是非お聞きしたいと思っております。
企業経営の中で、以前は売上とか利益といった財務的指標がメインでしたが、最近は特許、商標、意匠、あるいは著作権といった知的財産や社内ノウハウ等の無形資産に対して興味が持たれています。担当部門としてこれまでは特許は研究開発技術部門、商標や意匠についてはマーケティング部門というように明確に分かれていましたが、今では取締役会とかグローバル会議の中で戦略的な議論をするような時代になっています。これは大企業だけではなく、中小企業やスタートアップ企業においても生き残りのために不可欠な戦略となっています。先日、特許庁の森長官とこのようなことに関してディスカッションする機会がありました。
今日は専門的なお話以外に、知的財産の魅力について分かり易い事例を交えてお話頂けるとのことですので、知的財産に対する興味を高めて頂きたいと思います。
杉村先生、宜しくお願い致します。

続いて椎名交流委員長から講演者の略歴が紹介された後、講演が始まりました。

講演の概要
以下の各項目等について、講演者ご自身の経験や経歴、日本弁理士会でのお仕事、最近の話題を含む豊富なプレゼンテーション資料等を基に、魅力溢れるお話が展開されました。
弁理士になるまで
知的財産世界の魅力
弁理士の役割
弁理士の状況
日本弁理士会について
知的財産について
知的財産を取り巻く環境の変化
 最近のトピック1 経済安全保障
 最近のトピック2 IoT時代の特許紛争
 最近のトピック3 コーポレートガバナンスコード改訂
 最近のトピック4 特許をめぐるトラブルの裁定
 最近のトピック5 農林水産物
戦略的に知的財産をマネジメントする
技術の保護戦略(オープン・クローズ)
秘匿化(不正競争防止法の「営業秘密」)

終わりに
今回は最近の半年間で新聞報道された話題を取り上げてお話しをさせて頂きました。応用化学科で講演出来たことを有難く思っております。是非知的財産の魅力に触れて頂いて、この世界に入ってきて頂きたいと思います。本日はご清聴、誠に有難う御座いました。

質疑応答
講演内容について、参加者から日本とアメリカの企業の、投資に対する取り組みの違いに関する質問や、弁理士の醍醐味などに関する質問などに対して、杉村先生からこれまでの経験を元にわかりやすい説明をいただきました。

この後、桐村教授からご挨拶を頂きました。
桐村教授のご挨拶
本日は大変分かり易く楽しくお話を伺うことが出来、貴重な時間を過ごすことが出来ました。
私は1999年から3年間、弁理士の方々のためにバイオ特許を出す時の基礎講座の依頼を受け、担当した経験があります。弁理士会にも少しは貢献したことを自慢させていただきます。
杉村さんは私の1年後輩でして、学生時代(卒業論文研究の頃)は我々の研究室に杉村さんの友人がいたので時々寄って下さいました。本日久し振りにお会いしたのですが、応用化学会の交流会講演会ならではの、こういった奇跡的な出会いもあるのだなと思いました。
ところで、我々が社会に出た頃は知的財産という言葉はありませんでした。そして、米国が特許の申請の仕方をがらりと変えて来たのですが、その時の日本の対応において、かなり苦労されたのではないかと思います。今はグローバル化の新しい波があり、世界標準(制度)をどう作っていくかが重要だと思います。その点において、杉村さんは明るく先導的に道を拓かれていると感じました。大変なことですが、これからも良い世界を作るために貢献して頂ければと思います。本日は良いご講演を有難う御座いました。

 

 

 

 

 

 

 

      桐村教授                      下村副会長

次に早稲田応用化学会の下村副会長から閉会のご挨拶を頂きました。
下村副会長の閉会のご挨拶
杉村先生、面白い講演を有難う御座いました。
杉村先生とは同じ研究室、同じ部屋で一緒に実験をしており、とても楽しい方でしたが、それが何年経っても変わらないと感じました。
先程の桐村先生のお話しにもありましたように、早稲田応用化学会は素晴らしい再会の場を提供してくれる会です。来年5月20日には早稲田応用化学会100周年の記念講演会と祝賀会がありますが、ここではもっと色々な出会いがあると思います。今日の杉村先生のお話のような、素晴らしく、また楽しいお話を聞くためにはそこに集まるのが良いのではないか、と思いまして私のお礼と挨拶に代えさせて頂きます。有難う御座いました。

最後に椎名交流委員長から下記の2点についてお願いがあった後、閉会となりました。
1.メール配信されるアンケートへの回答のお願い
2.2023年5月20日(土)に開催される早稲田応用化学会100周年の記念講演会と祝賀会への参加のお願い

当日の参加者の写真
対面での参加者

遠隔での参加者

(文責;交流委員会)