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先進研究講演会要旨

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「応用化学最前線―教員からのメッセージ」

共催: 早稲田大学 先進理工学部 応用化学科、早稲田応用化学
於 : 早稲田大学 西早稲田キャンパス 57号館201教室

 

15:00-15:30  化学工学部門 花田信子 講師

  「演題 水素エネルギー活用に向けた水素貯蔵技術開発」

花田信子 講師

水素は再生可能エネルギーなどの様々な一次エネルギーから製造可能で、燃料電池などから電気や熱として効率よくエネルギーを取り出せる。しかし、二次エネルギーとしての水素がエネルギー媒体として普及するためには高密度に水素を貯蔵・輸送する技術が必要である。高体積水素密度を有する液体系の水素貯蔵物質としてアンモニアに着目して研究を進めており、水素を室温で簡便に取り出す技術を紹介する。また、定置用水素貯蔵タンク向けて高水素容量を有する水素化マグネシウムに着目している。水素吸蔵速度向上ための触媒添加による構造制御、及び貯蔵タンク適用に向けた取り組みについて紹介する。

15:30-16:00  無機合成化学部門 下嶋敦 教授

  「演題 精密構造制御に基づくシリカ系材料の機能開拓」

下嶋敦 教授

シリカ(SiO2)はありふれた化合物であるが、精密な構造制御によって多様な機能材料の創出が期待できる。本講演では、シロキサン骨格のミクロ-メソ構造制御法の進展と、新たな機能開拓の試みとして自己修復機能材料やフォトメカニカル材料の設計について紹介する。

 

16:00-16:30  応用生物化学部門 木野邦器 教授

  「演題 新たな酵素反応プロセスの開発」

木野邦器 教授

多様な酵素の緻密な連携・制御によって生物は特有の機能を発現している。これまでに開発されたバイオプロセスは、そのごく一部のシステムを利用しているにすぎない。未知の可能性を有するバイオの世界に描いた大きな夢は、その実現に向けた独創的な発想と巧みな戦略によって新たな酵素の発見や酵素反応システムの開発に繋がると考えている。最近の研究を紹介したい。

 

16:30-17:00  無機合成化学部門 菅原義之 教授

  「演題 無機ナノ材料と高分子材料のクロスロード」

菅原義之 教授

次世代の機能材料として盛んに研究されている有機-無機ハイブリッド材料は、無機ナノ材料と高分子材料のクロスロードに位置している。本講演では、金属酸化物系ナノ材料を起点とした有機-無機ハイブリッド材料への私たちのアプローチについて述べた後、ナノ粒子やナノシートを用いた有機-無機ハイブリッドの最近の作製例を紹介する。

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訃報 加藤忠蔵名誉教授

訃報 名誉教授 加藤忠蔵先生
謹んで故人のご冥福をお祈り申しあげます。

ご逝去日:4月24日(火)(享年96歳)
ご葬儀:すでに近親者にて執り行われました。
    後日(10月頃)「加藤忠蔵先生を偲ぶ会」が
    実施される予定です
喪主: ご令閨 加藤陽子様
ご略歴(学内のみ):
早稲田大学応用化学科教授、理工学研究所所長、理工学部学部長

環境保全センター 所長、商議員、理事、賛助員、名誉評議員
(学外略)

2018定期総会 西出新会長挨拶

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只今、会長の選任されましてひしひしと重責を感じております。新制20回卒の西出宏之でございます。この3月に最終講義をさせていただき、また同窓多くに集まっていただきまして区切りのお祝いをいただきました。この場を借りまして厚く御礼申しあげます。この3月末で応用化学科教室からは退任いたしました。

4月からは特任研究教授ということで幸いにも籍をいただきまして、大型プロジェクトの取りまとめと、また新たな誘致の可能性に努めておる現況でございます。

応用化学会の会長候補には内々に濱 逸夫副会長が内定しておったとの三浦会長のご紹介がございました。ただ、ライオンの代表取締役社長として超ご多忙であるということで、三浦会長より昨年末よりご相談を受けまして、(言葉を選ばなくてはいけないんですが)止むを得ずこの重責を引き受けさせていただくことになりました。是非、ご理解とご支援をお願いする次第でございます。

振り返ってみますと近いところでも棚橋会長、里見会長、そして特に河村会長には熱い情熱とご注力のもとに応用化学会が大きくなって、その存在感、また、レピュテーションも非常に高い、早稲田の総長がしばしばこの応用化学会を例に挙げて、あるべき同窓会の姿としてアピールいただいていたことは皆様ご承知のとおりでございます。

三浦前会長の強いリーダーシップのもとに例えば基盤、交流、広報の3委員会の委員長に現役OBにお願いして体制を強化し、そしてスピード感をもって活動することで前進を多く得ております。一方、学生委員の自主的な活動を支援することによってまた卒業直後の若手の卒業生を取り込むなど多くの新しい領域に応用化学会が踏み出すことができている訳でございます。

この後、三浦会長への深い感謝と名誉会員の推薦の場を設けましたので、後程もう一度述べさせていただきます。

一方、応化会の活動が活性化していくこととある意味で表裏の関係になる訳でございますが、基本的にボランティアによる活動ですので、事務局の仕事量は増加の傾向にあります。これをどのように対処していくかということも、大事な課題になっておる訳です。只今、田嶋先輩よりご指摘いただきました、少なくない保留金。税務上の対策としては恐らくこの5年後に控えました応化会百周年に向けて準備金として積み立てているといえばいいのかもしれませんが、ただ積立しているだけではしょうがない訳で、(かといって使いだすとすぐ底つくので、皆様の汗によって蓄えられたものであること肝に銘じてますが)大事に積極的に使っていくことによって拡げていくということ、これも残されたまたこれからの課題であると了解しております。

この総会また諸先輩がおられる場で恐縮ですが、私自身の振り返りをさせていただきます。

学位を取りまして2年学術振興財団に、あと2年ドイツのフンボルトに出かけておりまして、その後、早稲田に職をいただきまして助手として篠原功先生のもとに着任いたしました。篠原先生は、その当時応化会の副会長をなされておられた訳です。助手は、応用化学の教室では私一人でした。鈴木晴男先生が会計担当でした。鈴木先生は寡黙で厳しい先生ですが、これはちょうどいい後継者がきたということで、私に対しましてはニコニコとして黒い腕抜きをして沢山たまっている郵便振替の束を持ってこられまして、それを帳簿に書き込む、この作業を名簿と照らし合わせながらする。そして月々の貸借対照表を作っていくというようなことを教えていただきました。

応用化学会報は宇佐美先生のご尽力で応化会だよりとして続いておったのですが、これを会報として復刊したい。これが1980年で、応用化学会報が現在の姿でもう少し背表紙が厚い形で再度発行されるようになりました。応用化学会のそもそもの会則(お手元の資料にもあると思いますが)第1章第3条に、会員の学術の向上促進にあたるを最初に唱い、会員相互の親睦、教室への支援を・・・こうなっています。今日はあまり申しあげませんが、「学会」という形をとっていたということです。1号から始まって原著論文を沢山掲載している媒体であった。それを同窓会の形で応用化学会報を出版していいのかどうか議論をしながら、会報が再発行されたのに立ち会うことができております。ただ、その意向でもお金がありませんのでどうやって背表紙のあるものを印刷するのか?といことになりまして、これは大日本印刷さんに頼もうということで、確かその当時の古関専務にお願いに参りました。紙代だけの請求書を出すからその分だけ郵便振り込みで払ってくれで、格安の発行につながりました。

会長は、大友恒夫氏で秩父セメントを大きく発展させた方で非常に力強い先輩であられました。大友さんが三つのことを常に会長としておっしゃっておりました。組織をしっかり創り、財政の確立、そして事業の促進 これらは今でも全く同じである訳です。

大友会長は、私財500万円を応用化学会に寄付されました(申し訳ないですがと濱さんのほうに振り返って見て)。財政基盤をどう力強く作っていくかということです。今はなかなかそう簡単な寄付とはいきませんが、いつもいろいろな方法で考えていかなくてはいけないということです。

確か今頃の季節であったと思うのですが、平田 彰先生が庶務担当理事で、総会が近づいてきたので予習の会をしました。来られた大友会長が何か食べにいこうということで上野の伊豆榮に連れていってもらいました。それから程なく大友会長が急に逝去されました。その結果、空席ができましたので篠原先生は筆頭副会長ということで止むを得ず会長を引き継ぎ、そのあと岩城会長にきていただくまでリリーフを務められた訳でございます。

ある意味、私自身、先ほど三浦会長からご紹介がありました教室側からの会長は篠原先生以来三十何年ぶりということですが、ある意味リリーフ役としての因縁を感じる次第でございます。

さて、締めくくらせていただきます。この後、教室のほうから松方主任が応用化学科の百周年を振り返ってお話いただけると聞いております。昨秋、応用化学科百周年では応用化学会から参加、また志の多大なお力添えをいただいたことを当時の実行委員長として再度御礼申し上げます。おかげ様で早稲田の応用化学科のプレゼンスを広く訴えること、また、認めていただくことができました。応用化学会は、先ほどご紹介のように2023年に百周年を迎えます。この続く節目に向けて、教室、応用化学科はもちろんのこと、是非、大先輩、ベテラン、シニアそして現役、若い学生諸君とこの幅広い年齢層を結集して、皆が語り合い、そして過去を振り返り、またこれからの夢を気持ち良く語れる居心地の良いコミュニティとして応用化学会が進んでいきますよう、今までの歴代会長の熱情、これに沿いながら微力ですが努めて参ります。是非、会員皆様のご理解とご支援をお願いする次第でございます。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

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2018 年度総会三浦会長挨拶

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本日はご多忙の中 定期総会にご出席賜り、誠に有り難うございます。

会の開催に先立ちまして、一言ご挨拶を申し上げます。

昨年は応用化学科創立百周年を迎え、記念祝賀会をはじめとする様々な記念事業が滞りなく盛大に執り行われたことはご存じの通りで、我々卒業生一同にとりましても誠に喜ばしく、また誇らしい出来事でありました。

そして、5年後の2023年には、いよいよ応用化学会も創立百周年を迎えることになり、どのようなお祝いの形にしていくのか、真剣に考えていく時期になって参りました。

その折でもありますが、私の会長就任も2014年以来2期4年を迎え、当初から申し上げておりましたとおり本総会をもって退任させて頂くことに致しました。

百周年事業もさることながら、様々な課題を残したままではありますが、応化会のような組織(OB/OG、教員、学生)は適任な卒業生が持ち回りで代替わりをしながら会の発展のために尽くしていくことが母校への恩返し・義務である、と私は考えており、昨年来後任候補者を探して参りました。

いずれ会長になっていただきたい思いから昨年からライオンの濱さんに副会長をお願いしてきましたが、さすがに好調な企業の社長では現状すぐに会長就任は難しく、後継者探しは難航しておりました。そこで今年退官された西出先生にご無理をお願いして、会のためなら、とようやくお引き受けして頂き、後ほど皆様のご承認を図る運びとなりました。

教員からの会長就任は篠原先生が一番直近の事例でありますが、過去には初代の小林久平先生に始まり6名の先生方が務めてきておられます。

私の期待は、まず盛況な活動を続けている高研会を初めとする先生の同門、教え子達への影響力であります。この4年間現役、シニアの卒業生達の新たなボランティア参加の厳しさをお伝えしてきましたが、やはり先生からの招聘は我々企業出身の卒業生よりはるかに強力で、断りにくかろう、と考えております。

また、厳しい運営を続けている会の引き締めを図っていくために、応用化学科の今日の繁栄の原動力、中心軸として活躍してこられた西出先生の手腕、指導力に大いに期待するものであります。

私の任期中は、ベテランボランティアの世代交代が進んだため、現役シフトを進めて参りましたが、想定通り多忙な中での活動となることから、より多くのボランティアの参加が望まれてきた4年間でもありました。

また、同様に「チェック&レビュー」による活動の見直し、リソースの効果的活用などにより、多くの会員にとって魅力のある会とすべく活動のあり方を同志諸君と議論し、進めて参りました。

その結果、産学連携を目指す「未来社会創成フォーラム」、学生部会の活性化と学生自主企画によるフォーラムの実施、若手現役の会の立ち上げ、現役OB・OGによる委員会の執行体制など応化会を取り巻く環境変化に対応した新しい姿への試行を続け、ようやく骨組みだけは出来上がってきたものと考えております。

これも現執行部を支えている理事や委員の皆さん、長きに亘り会の活動を支えているベテランボランティアの皆さん、そして何よりも本日お集まりの会員の皆さまのご理解とご支援によるものと、この場をお借りして厚くお礼を申し上げる次第であります。

また、理事から会長になるまでの助走期間が1年半と短かった私の未熟な、そして強引とも受け取られる運営にご理解をいただき、多くの場面でご助言・ご助力をいただいた河村前会長や平林前副会長には感謝の言葉もございません。

後ほどご紹介されると思いますが、西出新会長には昨年編成しました現行体制をほぼそのまま引き継いで頂き、若い世代による課題解決を進め、応化会のさらなる発展につなげていくことをお約束いただきました。

百年を迎えようとしている応用化学会は、他に類を見ない活性化された組織(OB/OG、教員、学生)です。そしてその原点は学生を軸とする若手後輩達への先輩達からの支援の場であるという立ち位置にあります。これからもさらなる活動が起案そして実行されていくものと期待しております。応用化学会が多くの学生・卒業生たちの交流の場として、ますます発展されていくことを心より祈念申し上げまして、開会および退任のご挨拶とさせて頂きます。

4年間のご協力・ご支援、誠に有り難うございました。

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リンク集

早稲田大学  https://www.waseda.jp/top/
早稲田大学理工学術院  http://www.sci.waseda.ac.jp/
早稲田大学先進理工学部  http://www.sci.waseda.ac.jp/global/faculty/advanced/index.html
早稲田大学先進理工学部応用化学科  http://www.waseda-applchem.jp/

応用化学会関連

早桜会ホームページ http://www.waseda-saoukai.org/
学生委員会ホームページ  http://waseda-oukakaip.sakura.ne.jp/gakusei/wp/

関連研究機関・施設

理工学術院総合研究所  https://www.waseda.jp/fsci/wise/

理工系の理工学術院では、急激に変化する社会や産業界からのニーズに対応できる機動性と 展開性を発揮するため、「総合 理工系教育・研究組織」となっております。 学界・産業界・社会との連携・融合を可能とする新しい都市型教育・研究拠点として発展していくことになります。

理工学研究所 http://www.wise.sci.waseda.ac.jp/r_index.html

今日、「産業界から真に評価される研究機関への飛躍(リサーチ・ユニバーシティーへ向けて)」というコンセプトのもと、理工研は今後の理工系研究の世界的レベル拠点となりうる、真にふさわしい研究研究所としての活動を開始しています。理工研は社会、市民に資する研究との新しい連携の場であり、総合性の観点を掲げている研究所です。

各務記念材料技術研究所 http://www.waseda.jp/zaiken/

当初は、鋳造および鋳物材料の研究が主体でしたが、その後の工業技術の発展に対応して塑性加工・表面加工・粉末冶金などの分野への拡大、さらには工業材料の分野ではセラミックスや半導体などの電子材料の重要性の増大に鑑み、これらの分野の増強を図ってきました。このような経過により、1988年10月21日、創立50周年を契機に名称を「各務記念材料技術研究所」と改めました。  現在、当研究所では15名の研究員により、基幹研究とプロジェクト研究を中核とした多様な研究が展開されています。

環境保全センター http://www.waseda.jp/environm/

1979年に設立。現在『教育研究活動等に伴い発生する環境汚染の防止と環境負荷を低減し、教職員・学生および周辺住民の生活環境の保全をはかることを目的』として運営しています。

 

早稲田大学理工学部支援ラボ

早稲田大学理工学部支援ラボは、大型研究設備を集中管理し、依頼分析・加工、装置講習会や技術相談などの研究教育支援を行っています。

物性計測センターラボ http://www.waseda.jp/mccl/

高分解能各時期共鳴装置、高分解能質量分析装置、X線回析装置、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡などの分析装置が設置されており、分子構造解析、結晶構造解析、表面形態構造解析音日元素・熱分析、評価を行っています。

応用化学会会員関連サイト

草炭緑化協会  http://soutan.eco.coocan.jp/newhome/

村井資長先生中心に、先生ゆかりの人達により発足した団体。砂漠緑化活動を中心に、生涯現役がモットー。毎年、シルクロード砂漠緑化ボランティアを募集しています。あなたも参加をしませんか。
(草炭研究会は2008年6月より草炭緑化協会に統合されました。)

早稲田大学技術士稲門会 http://wasedape.sakura.ne.jp/blogs/

早稲田大学卒業生で技術士の資格を有する者の親睦会。  親睦会開催のほか、講演会、技術士試験(一次、二次)の受験指導、技術経営に関する相談会等の活動を行っている。

 

 

応化会WPの編集要項   ⇒ こちら

松方応用化学科主任の祝辞

応用化学科主任 松方正彦教授の祝辞

応用化学科、応用化学専攻は、「役に立つ化学、役立てる化学」を標榜しております。そして、化学は、物質を司る学問でありますからその応用範囲はとても広く、皆さんの旅立って行く先も様々な分野に広く展開されています。皆さんは、産業界が夢と希望に満ちた世界を提供してくれることと期待していると思いますが、それほど甘いものでもないとことも申し上げておきたいと思います。今から15年後、皆さんは40歳、世の中のことも解り、会社のことも理解し、最前線で責任のある立場で働いていらっしゃる時代かと思います。この2030年頃に化学を取り巻く日本の社会はどうなっているのかというと、例えば2030年には石油精製から製造されるガソリンと軽油との燃料は、凡そ半分になる。また、基礎化学品と呼ばれるエチレンとかプロピレンというような製品群は2030年には日本では生産量がやはりこれも凡そ半分位になるだろうと予測されています。このように日本にとっては大変厳しい方向に向かっている、そういう時期に皆さんは社会人としての、企業人としての最前線、責任のある立場に立つということになります。これからの社会で貢献していくためには何が必要か、”ビジョン”とか”情熱”とかも勿論大事です。しかし欧米では”根性”をあげる人が多いようです。”根性”をもって自分の目標達成に向けて取り組んでください。

早稲田大学の教旨には、学の独立、学問の活用、等々が書かれています。我々教員は、ことあるごとに皆さんの自立的な成長を促し、自己実現をするということを講義の合間など様々な機会に申し上げてきました。学問の活用というのは新しい社会を創り、新しいシステムを創り、健康で幸福な社会の実現に向かって皆さんが寄与すること、即ち、他者のために学問を活用するということだろうと思います。自ら研鑚して能力を磨き、役に立つ化学、役立てる化学を皆さん自らの力で創り出していく。そしてそれを他者のために活用する、他者が幸せになるために活用する。このことが皆さん自身の未来を、我国の未来を、化学に携わる者として切り拓くことになるのだと信じております。
昨年は、応用化学科が創設されて100周年の年でした。100年の歴史と実績を持つ応用化学科を卒業された皆さんは、是非これからの100年を支えていけるように頑張って頂きたいと思います。そして、この早稲田の杜に輝かしい姿になって戻ってきていただくことを期待してお祝いの言葉にさせていただきたいと思います。

 

 

褒賞受賞者の挨拶

褒賞受賞者挨拶 金子 健太郎君

このたびは応用化学科褒章を頂き、誠に有難うございます。このような名誉ある賞を受賞し、光栄に思います。選出してくださった関係者の皆様方、熱心に指導してくださいました先生方に厚く御礼申し上げます。
創立100周年を迎えた応用化学科で学び、そして今日卒業するにあたり、自分たちも一世紀にわたり続いてきたこの歴史の一ページを刻んだことに、感慨深い気持ちになりました。
応用化学科で学んだことは数ありますが、それを語る上で実験とレポートを避けることはできません。私は慣れていないうちは手際が悪く実験に時間がかかってしまい、ある実験では夕方五時を過ぎると減点されることに怯えながらの日々を送っていました。しかし能動的にプレレポートに取り組み実験目的を十分に理解することでスムーズに行えるようになり、事前調査の大切さを実感しました。実験と同様にレポートも決められた時間内で行う必要があり、結局全てのレポートを期限内に提出することができましたが、時間内に課題を達成することの厳しさと重要さを学びました。
レポートでは考察課題が課されますが、その中でも自由考察には力を入れていました。その内容がすぐ閃くか否かは実験テーマにより異なりますが、悩んだ時は学生読書室にこもって今までの授業プリントを眺めるようにしていました。授業と実験がつながった時は非常に楽しく、双方のモチベーションが向上したことを覚えています。当時は試験やレポート課題をこなすだけで精一杯でしたが、改めて振り返ると講義→演習→実験の積み重ねでステップアップしてきたことが実感でき、当時の努力は現在の研究活動の礎になっていると言えます。
この四年間で特に成長した点は、未熟ではありますが、自分で考える能力を身につけたことだと思います。今回の受賞をさらなる原動力にこれからもこの力を磨いて参ります。そしてこの四年間で得た「使える化学」を”材料”とし、これからの活動・研究で”化学反応”させ、社会に貢献できる”製品・プロセス”を作り出せるよう、また社会に貢献できる人材を目指し、今後一層の精進を重ねていきたいと思っております
最後に、繰り返しにはなりますが、本賞の設立・継続にご支援くださった先生方をはじめとする皆様に心から感謝申し上げます。合わせて勉学と生活双方で支えとなった同期と先輩の方々、そして家族にも感謝しております。
 誠にありがとうございました。

平成30年3月24日早稲田大学先進理工学部    
応用化学科 金子健太郎  

 

卒業生答辞

学部卒業生 答辞 久田 智也 君

麗らか春の日差しの中桜の花も爛漫と咲く季節になりました。本日卒業の日を迎えられたことを、卒業生一同心より嬉しく思っております。本日はご来賓の皆様、先生方、父兄の皆様のご臨席を賜り盛大な式典をご用意いただいたことに卒業生を代表して厚く御礼申し上げます。

今を去ること四年前、私たちはこの応用化学科に不安と期待を胸に入学しました。入学式の日に授かった「求めよさらば与えられん」という言葉は大学生活における指針となりました。先生方から賜った、理論と実践を交えた高度な授業は、知を求める私たちにとって最高の学習機会となりました。次々と押し寄せては複雑な思考を求めるレポートは、私たちを大いに苦悩させながらも、確実に思考力を鍛え上げてくれました。この”疾風怒濤”の四年間の中で、志高き友を得て互いに議論し、助け、競い合うことができたことは、人生において何にも代え難い経験であったと思います。四年生になり研究室に配属されてからは、まだ知られていないことを見出すという学問の真髄に初めて触れ、今まで研究者が築いてきた”巨人の肩の上”に立つべく、昼夜を分かたず研究に勤しむ日々を送りました。勉学も研究も難航することの方が多く、艱難辛苦の四年間でもありましたが、その中で授かったものは、私たちが求めていた以上の価値を持っていると確信しております。

四月から私たちは、早稲田大学の大学院に進学するもの、他大学の大学院に進学するもの、就職するものとそれぞれ異なる道へ歩み出します。その道中で大きな壁に直面することも、先の見えない暗い道を歩くこともあるでしょう。ですが、私たちは四年間、同じ甍の下、同じ理想の光を仰いで学を志した仲間です。創立100周年を迎え、伝統と革新を兼ね備えたこの誇らしき応用化学科で得たもの全てを糧とし、窮まり知れない未来へと邁進していきます。

特に昨年は、国際的な情勢が大きく一変し、化学界でも超大型企業が合併するなど、激動の一年でした。このような荒波の中にあっても、揺るぎない決心のもと、己の能力を遺憾なく発揮して科学の力で世界に貢献し、母校へ臙脂の錦を飾る人が出てくることを切に願います。

最後になりますが丁寧なご指導ご助言を賜りました先生方、多くの面でお世話になりました事務所並びに応用科学会の方々、いつも支えてくださった先輩方、同輩達、そしていつも私達の成長を温かく見守ってくれた家族に心より感謝申し上げます。後輩の皆様のご活躍と応用化学科の一層のご発展を願いまして答辞とさせていただきます。

平成30年3月24日

早稲田大学先進理工学部応用化学科   
卒業生代表 久田智也 

修了生 答辞

修了生答辞 応用化学専攻 増井友美さん

本日は私たち卒業生修了生のためにこのような盛大な卒業式を開催していただき誠にありがとうございます。ご多忙のところご臨席を賜りました先生方ご来賓の皆様がたに修了生一同心より御礼申し上げます。

早稲田大学で過ごしたこの六年間振り返ると様々な記憶が蘇ります。学部生の頃は日々の講義や実験を通じて基礎から応用に至るまで数多くの知識や手法を身につけてまいりました。レポート作成やテスト勉強に追われる中で科学の奥深さ面白さに気づき、より追求したいと思う研究分野に出会うことができました。
研究室配属後は生活が一変し、一日中研究室で過ごし、自身の研究に没頭するようになりました。最初は未熟だった私たちですが、先生方や先輩方の手厚いご指導のおかげで少しずつ 専門分野への理解を深め 、多種多様な実験技術や研究に対する姿勢を身につけて行くことができました。一向に良い実験結果が得られず思い悩むことも多くありましたが、それ以上に自身の研究に対して愛着 がわくようになっていきました。そして自分で実験計画を練り、研究を進めていく楽しさ、実験結果から新たな知見を得ることの面白さ、失敗した原因を考察し再検討して成功した時の達成感を知りました。研究発表会や学会でのディスカッションを通じて、自分の研究が認められることの喜びを感じるとともに、視野を広くして研究を進められるようになりました。三年間の研究室生活は非常に密度の濃いものとなり、研究者としてだけでなく人間としても大きく成長することができました。今日この場に立つことができるのは、自身の研究テーマを追求できる素晴らしい環境と、先生方や先輩方の熱心なご指導のおかげであります。
学生生活を通じて、私たちはかけがえのない仲間に出会いました。レポートや研究の日々で辛いこともありましたが、これを乗り越えることができたのは、 共に学び、悩み、笑い、励まし合える仲間がいたからです。個性的な仲間と多くの苦楽を共にし成長できたことを嬉しく思います。

私たちは、この春から各々が新しい道へと旅立ちます。進む道が違ったとしても応用化学科で学んできた私たちなら、何事も乗り越えて行くことができると信じています。研究者としてあるべき心を忘れず、志を高くして科学と向き合い、未来の幸せへと貢献できるよう精進してまいります。

最後に、私たちをいつも適切に導いてくださった先生方、学生生活を支えてくださった事務所の方々、並びに応用化学会の方々、一から教えてくださった先輩方、ともに助け合ってきた同期の皆様、私たちを慕ってくださった後輩の皆様、そして卒業を迎える今日まで私たちの成長を温かく見守ってくださった家族に深く感謝申し上げます。本当にありがとうございました。応用化学科の益々のご発展と、ご列席いただきました皆様方のご多幸を心より祈念し答辞の言葉とさせていただきます。

 2018年3月24日

早稲田大学大学院先進理工学研究科
応用化学専攻 
増井友美