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2023年度早桜会講演会(報告)

2023年度早桜会講演会を2023年11月11日(土)にWEB形式(Zoom)にて実施いたしました。今回の講師には松田謙次郎先生(神戸松蔭女子学院大学文学部教授)をお迎えし、「社会言語学は越境する」という演題でご講演して頂きました。

【講師】松田謙次郎氏 (神戸松蔭女子学院大学文学部教授)

【概要】

松田先生は社会言語学を御研究されています。社会言語学とは、言語を社会という枠組みの中で捉える学問です。社会との関わりの中で考えるので、この世にある言語データほぼ全てがデータ対象となります。

その中で特に国会会議録に着目してお話して頂きました。講演の中で特に取り上げて頂いたのが集団語と当用漢字、法令の言葉になります。

集団語とは特定グループのメンバーのみが理解できる表現であり、国会会議録においては国会議員のみが理解できる表現、ということになります。集団語がどのようにして用いられ始め、それがどのようにしてより広い意味を持って使われるようになっていったのか、ビッグデータを用いて解析されており非常に興味深く感じました。

当用漢字についてもビッグデータを用いた解析が為されており、速記者の癖が反映されていると思われるデータもあり興味深かったです。実際にどの会議をどの速記者が担当したか分かれば、出身地や年齢等が癖に与える影響も分かってくるのではないかと思います。

法令の言葉のようにブレはほぼ無いだろう、と我々が考えている物でさえ、有さない→有しない、命ずる→命じる等の変化があることが分かりました。このように言葉は絶えず変化してきているものなのだということがよく分かりました。

今回社会言語学に初めて触れました。言語を社会との繋がりで考えることで分かることもあり、特に科学技術の進歩によりビッグデータが活用できるようになったというのは非常に大きな意味を持つと思います。言語は人間が扱うものであり、人間は社会的動物ですので言語を社会との繋がりで捉え、それがどのようにして変遷してきたか考えるのは自然なことだと改めて認識しました。そして様々な学問がそれ単体ではなく、学際的・越境的になってきているのだということも再認識できました。

お忙しいところ、快くご講演をお引き受けくださった松田先生に改めて感謝の意を表し、報告書を締め括らせて頂きます。

(文責:三品)

【出席者(7名)】

井上征四郎(新12回),田中航次(新17回),和田昭英(新34回),高田隆裕(新37回), 陳鴻(新59回),三品建吾(新59回),古田武史(新61回)

2023/11/4・11/5 2023年度理工展出展報告

11月4日および5日の土日に渡って理工展が開催され、応化会学生委員会は展示や演示実験、屋台の出店を行う 応化展 として出展しました。
その記事が学生委員会HPに記事がアップされましたのでご報告いたします。 続きはこちら

早稲田応用化学会 大分・延岡地区交流会開催報告

1.開催趣旨

本年5月に開催した早稲田応用化学会100周年記念講演・祝賀会には270名ほどご参加いただき盛会となりましたが、参加者アンケートで今後の応化会活動に対する多くのご提案を頂きました。
その中でも地方でご活躍される皆さんから、交流の場を企画して欲しいとのご要望を頂き、第一弾としてまずは九州の地、大分にて交流会を開催することとなりました。

2.概要

【開催日時】2023年11月2日(木) 14時10分開始

【 開催場所】(株)レゾナック大分石油化学コンビナート 大会議室

3.参加者

【大分大学:1名】平田 誠 先生( 新37回 平田研)

【ENEOS:5名】 風間 洋佑 (新66回 松方研) 、滝渕 亮太 (新66回 門間研)、奥野 雄太郎 (新67回 関根研)、野上 寛人 (新67回 細川研)、小長谷 優祐 (新68回 野田研)

【旭化成:3名】 助川 敬 (日本エラストマー:新59回高分子研)、田中 亮祐 (新70回 下嶋研)、西尾 博道 (新71回 高分子研)

【レゾナック(旧昭和電工):5名】海寳 益典 (鶴崎共同動力:新31回 平田研)、杉本 哲人 (サンアロマー:新40回 平田研)、小寺 研太 (新50回 平田研)、生嶋 麻衣子 (新60回 松方研)、小谷野 雅史 (新61回 高分子研)

【応化会:3名】 関谷 紘一 (新18回 城塚研)、梅澤 宏明 (新36回 平田研)、椎名 聡 (新36回 宇佐美研)

4.交流会内容:

① 14:10~14:15 開会挨拶 (椎名交流委員長)

② 14:15~14:35 大分コンビナート紹介ビデオ上映

③ 14:40~15:30 大分コンビナート構内見学 (バスで移動)

    ~約10分間の休憩~

④ 15:40~16:40 講演会

講師:平田 誠 先生 大分大学理工学部理工学科准教授

演題:「早大~大分大学での研究内容を中心に、大分の食の話や最近の話題」

⑤ 16:40~17:25 各社の近況報告
15分程度/各社、ENEOS→旭化成→レゾナックの順

5.懇親会 18:00~20:00

場所:レゾナック社員倶楽部 (松原荘)

6.詳細

爽やかな秋晴れの11月2日、株式会社レゾナック大分コンビナートに於いて、第一回早稲田応用化学会 大分・延岡地区交流会が開催されました。
ENEOS大分製油所、旭化成(延岡地区)、レゾナック大分コンビナート及びコンビナート構成企業に勤務する者、東京から参加の応化会役員メンバーに加えて、大分大学の平田 誠 先生をお招きし、総勢17名の応化卒業生が参加しました。なんと新18回卒の大先輩から今年入社したばかりの新71回卒までの50年以上にわたるメンバーです。
交流会では、司会のレゾナック杉本による開会宣言の後、椎名交流委員長による開会挨拶が行われ、今回の開催趣旨についてのご説明とこの様な交流の場を各地で開催する事で会員の皆さんのネットワークを広げていきたいとのお話がありました。

司会RESONAC 杉本

開会挨拶 椎名交流委員長

続きましてレゾナック大分コンビナートのビデオ紹介とマイクロバスでの工場見学を行いました。エチレンプラントや、原料のナフサを受け入れるシーバース、酢酸エチルなどのプラントを間近に見ていただき、化学プラントの臨場感を体感してもらいました。

  
会場風景

 

その後、平田 誠 先生から早稲田大学応用化学科での研究生活やUC Davisでの留学時代の話、そして大分大学での「未利用物質の有効活用」をコンセプトとして、「環境」をテーマとした様々な研究や技術の開発について、食に関わる研究を中心に大分愛溢れる熱のこもったご講演をいただきました。

大分大学 平田先生

講演会風景

また各社の代表者から会社概要の説明、各自の業務への取り組みなどを紹介し合いました。

ENEOS

旭化成

レゾナック

その後は、レゾナックの社員倶楽部である松原荘にて懇親会を行い、大学時代のこと、仕事のこと、大分・延岡での過ごし方などを酒の肴に大変盛り上がり、最後は恒例の「都の西北」を合唱してお開きとなりました。

普段は会社の中で、同窓生と会うことも少なく、このような企画のおかげで早稲田から離れた地で同窓生と集まることができて大変良かったとの声が挙がりました。
翌日は、参加者の有志7人で臼杵カントリークラブでのゴルフコンペを行い、楽しい時間を過ごしました。

社員倶楽部 松原荘での懇親会

臼杵C.C.でのゴルフコンペ

今回来られなかったメンバーや他の会社にいる卒業生も含めて、是非第二回を計画し、継続して交流したいと思える会となりました。

7.参加者アンケートまとめ ⇒ こちら

交流委員会では参加者にアンケート調査を行い、継続的な交流会の開催と他地域で開催する場合のヒントを頂きました。
今回の交流会について皆さん大変ご満足いただき、次回の参加も希望され、他の地域でもこのような開催についてお勧めしたいとのご感想でした。
交流会に参加して良かった点については、「普段顔を合わせる機会のなかった近隣の同窓生と交流を深める良い機会となった。」とのご意見が大変でした。
今回の交流会は講演会・工場見学・懇親会・ゴルフコンペと盛りだくさんの素晴らしい会でした。今後についても地域特性を生かしたBBQ会、ウォーキング、登山、温泉巡りなどの懇親イベント開催のご要望もありました。一方で次回以降の幹事役にとってハードルが高くなった感があり、企画側の負担や参加者側の時間の制約や参加費用などを考慮した、無理のない範囲でOB/OGが気軽に参加出来る懇親会を中心とした企画が望ましいとの意見も頂きました。
近隣で働く会員の情報収集や講演会の企画等を企画する為に各地域の大学等、公的研究機関等に奉職している応化OB/OGの教職員の紹介など応化会にも協力いただき、今後も継続して開催して行きたいとのご要望も頂いております。
今後も応化会として各地でこのような交流会開催のご要望があれば、ご協力して参りたいと思います。

<問い合わせメール> 早稲田応用化学会oukakai@list.waseda.jp

以上
(報告:新40回 杉本哲人、交流委員会 新36回 椎名 聡)

早稲田応用化学会主催 第2回 応化卒の多様なキャリア形成のご案内

2023年12月16日(土)15:00~18:00 @西早稲田キャンパス

これまでに応化会では、将来のキャリア形成に興味をお持ちの学生を対象に「先輩からのメッセージ」や「先輩博士からのメッセージ」などのイベントを開催してきました。それらに参加されて、企業での働き方や博士後期課程を身近に感じ、今後のキャリア形成に興味を持たれた方もいらっしゃるかと思います。そこで、博士課程を修了し社会でご活躍されているOBOGと現役の博士後期課程学生に、大学と企業での研究、博士課程への進学理由、博士課程での経験など様々な話を聞く機会を設けることで、学部生及び修士課程学生の皆様には、研究や博士課程を身近に感じてもらおうと考えています。そのため、OBOGや博士課程学生と交流する会として、「応化卒の多様なキャリア形成」を開催いたします。

普段はなかなか接することのない方々の経験を聞き、懇親会では直接話すことができる機会ですので、奮ってご参加くださいますよう、お願い申し上げます。

【スケジュール】

開催期日;2023年12月16日(土)

講演形式;西早稲田キャンパス63号館202室+63号館ロームスクエア

15:00~15:05;開会挨拶

15:05~16:05;OBOG・博士学生による講演×2件

16:05~16:15;応化及び応化会関連の奨学金説明

16:30~17:55;座談会 兼 懇親会(飲食あり)

17:55~18:00;閉会挨拶

※ 日本語で実施いたします。

【講演情報】 

講演者①;小池 正和さん(三菱ケミカル,黒田・下嶋・和田研究室(無機化学部門), 2021年博士修了)

題目:「博士進学と企業研究の魅力」

講演者②;重本 彩香さん(博士後期課程2年,関根研究室(触媒化学部門))

題目:「博士課程に進学して得た経験」

【申込について】

参加費:無料

参加方法:下記URLより要事前申し込み

締切:12月4日(月)

※申し込みの際は、Wasedaメールのアドレスをご入力ください。

※今回のイベントは早稲田大学応用化学科に所属する学部1~4年生および応用化学科の教員の指導を受ける大学院生が参加申し込みの対象となります。

https://forms.gle/beLcFiqaJwgok1ti9

参加申し込みをされた方には、ご入力いただいたWasedaメールアドレス宛に、当日の情報を12月13日頃に改めて配信いたしますので、確認をお願いします。

皆様、是非奮ってご参加下さい。宜しくお願い致します。

――― 以上 ―――
(文責;早稲田応用化学会給付奨学金 奨学生推薦委員会)

2023年度 理工展/応化展のご案内

2023年度第70回理工展が以下の期間、開催されます!

2023年11月4日(土)10:00~17:00
                   5日(日)10:00~16:00

今年も応化会は出展しますので是非お越しください、皆様のご参加お待ちしてます!!

↓企画展示場所一覧↓

実験班🧪:56号館-502(5階)
展示班🗒️:61号館-413室(4階)
屋台班🏬:51号館北門付近

https://twitter.com/waseda_appchem/status/1720377212313231440

理工展公式ホームページ→こちら
応用化学会学生委員会ホームページ→こちら
https://www.instagram.com/waseda_rikoten/

【入場門について】
今年度の理工展はキャンパス内の工事に伴い、キャンパス内の一部の入場及び移動が制限されています。


詳しくはこちら公式ホームページまたは、以下のリンクをご覧ください!

https://twitter.com/rikoten_waseda/status/1720244405486178493

 

新18回(昭和43年卒)応化同期会開催報告

2023年10月10日

2023年10月10日(火)、大隈会館N201号室でマスク着用の同期会を4年ぶりに開催しました。出席者は体調管理優先等で欠席された方もあり、前回2019年11月よりも5名少ない23名でした。

保坂君の司会と挨拶につづいて、この4年の間にご逝去された3名(富田君、荒井君、加藤君)のご冥福を祈って全員で黙とうを捧げ、弁当形式の会食の後、参加者全員の近況報告、大学関連の活動紹介、会計報告と続きました。和気藹々の楽しい時間が流れて15時過ぎに玄関ホールで記念写真を撮ってお開きになりました。

今回の同期会は4年ぶりということもあり、参加者全員による近況報告がメインでした。
その中からいくつかを紹介します。

1)企業顧問や海外の共同会社経営状況、ISO審査員活動、自然観察ガイド等の社会貢献活動 等

2)大動脈解離・心臓バイパスや前立腺がん手術、糖尿病管理、腎機能低下食、コロナ感染 等

3)写真展開催、全国野球大会出場、世界六大大陸巡り、日々のウォーキング・ランニング 等

もうすぐ傘寿に手が届く我々ですが、参加者全員が元気にセンテナリアンになれるのではとの思いを強くし、来年の再会を誓った楽しい一時でした。

末筆になりましたが、新18回応化同期会として会費残高から、応化会給付奨学金へ2014年に300K¥、2021年に約235K¥を寄付させて頂いていることを報告致します。

(注)次回は2024年10月頃を予定しています。詳細は各研究室の幹事から後日、ご連絡致します。同期の皆さん全員の参加を心よりお持ちしています。 (幹事:杉本、進、品田、永田、関谷、曽根、鶴岡、小久保、渡辺(壮太郎)、渡部、中井、山形、金山、保坂、竹下)。

(文責 竹下哲生)

以上

「先輩からのメッセージ2023/12月」タイムスケジュール

早稲田応用化学会 交流委員会

 先にご案内いたしました「先輩からのメッセージ2023/12月」は、対面で実施することとし、タイムスケジュールを下記の通りご案内します。

1.日 時  2023年12月2日(土)

2.会 場  西早稲田キャンパス 講演会 52号館2F~3F教室
懇談会 63号館1Fロームスクエア

3.受 付  学生の受付は52号館102教室にて12:00から。
同室に会社案内等企業からの配布資料が置いてありますのでお持ちください。

4.内 容  講 演 会  :12:30~14:43 【第一回】
【休憩】 :15:43~15:15
講 演 会  :15:15~17:28 【第二回】
懇 談 会  :17:45~20:00 【63号館1Fロームスクエア】

5.対象学生 学部生、大学院生(修士、博士、一貫制博士)およびポスドク。
(進路決定を間近に控えた学部3年、修士1年、博士課程、一貫制博士課程修了予定者およびポスドクを主体としていますが、将来へ備えての学部1・2・4年生、修士2年生の参加も歓迎します。)

6.対象学科 応用化学科および応用化学専攻、化学・生命化学科および専攻、生命医科学科および専攻、ナノ理工学専攻、生命理工学専攻等(その他学部・研究科・学科・専攻を問いません。)

7.申込方法 準備の都合上、事前申し込みが必須です。

8.事前確認 聴講を希望する企業および懇談会で個別対話を希望する企業については、事前にHP掲載の「企業ガイダンス」にて情報の確認をお願いします。PW不明の場合は応化会事務局まで問い合わせてください。【新規企業を含め59社が掲載】

E-mail: oukakai@list.waseda.jp
TEL 03-3209-3211(内)5253

9.タイムスケジュール → こちらから
タイムスケジュールおよび部屋割りは下記の通りです。

 入場は自由、無料ですので、奮ってのご参加をお待ちしています。
なお、服装はリクルートスーツ厳禁としていますのでご協力ください。

第三回応化給付奨学金受給者の集い

2018年11月10日(土)、2019年8月31日(土)と開催した博士修了者の「里帰り」の集いですが、新型コロナウイルスの影響で、延期せざるを得ませんでした。この8月26日(土)にやっと対面での第三回を55号館第2会議室で開催することが出来ましたので、ここに報告させて頂きます。

今年は、河村 宏氏(元会長)、下井 將惟氏(元副会長)ら有志が西出宏之前会長と核になり、従来からの目的である、社会の中堅として頑張っている面々が気軽に集まり、交流の輪を広げることに加えて、どうしたらその気持ちを鼓舞出来るのか考え、今年から2名の方を表彰する試みを始めました。

奨学金受給者内幹事役3名の方々(新51 田原聖一氏、新53 百武 壮氏、新57 國本雅宏氏)の協力を今回も得ました。前回同様の新51回生~新60回生(2001年~2010年学部卒相当)の博士修了者に声を掛けさせて頂き、当日は 応用化学科給付の奨学金(水野賞受賞者含む)を受け博士号を授与されて、社会の様々な方面で奮闘されている19名の面々が集まり、大林秀仁氏を含む5名のホストら合わせ24名が、4時間弱の時間を母校西早稲田キャンパスで共にし、活発な交流を深めることが出来ました。

規模的に適切だったこともあり、従来にも増して密度の高い交流がなされ、より多くの方々が実りある時間を過ごされたことと確信しております。来年も参集された皆さんの同世代に加えて世代を超えた縦のネットワーク構築にもなればと考えている次第です。

<案内文章>

<参加者リスト>


当日は、遠方からの参加者も含め19名のかつての受給者が参集され、西出宏之前会長(新20)の挨拶でスタートしました。本会のあらましの説明(発起人5人)、今年から毎年2名を選んで激励の表彰をしていきたい、前置きとして、奨学金は寄付を原資としていること、「志」を育むことが目的と述べられた。企業あるいはアカデミアの分野でめざましい活躍をされている方を選定していく、選ばれた2名が披露されました。また、そのスポンサーとして、応化会の70歳以上のOBで構成される「シニア会」で表彰する形で動いている旨触れられた。

次いで、先生方の中でご参加されておられた、菅原義之先生から、最近の学内の動き(西早稲田キャンパスの建替え、教授の新旧交代、100分授業が開始されたこと等)をご紹介頂きました。

次に、激励表彰を今回受けられた2名の方の自己紹介と会社での実績と将来展望のあらましが説明されました。
*新51 米久田康智氏(富士フイルム)からは、企業での15年間における基礎/実用化研究で獲得した経験、新規材料研究への想い、及び2019年から研究マネージャーとなったことなどが語られた。

*新53 澤村健一氏(イーセップ)からは、ナノ多孔性セラミック分離膜の社会実装を目指し、2013年に創業した会社(膜分離システムの設計、開発、販売。現在メンバー40名)にて、産・学・官連携のオープンイノベーション体制を構築し、次世代型化学プロセスの構築のチャレンジがアピールされた。

続いて、奨学金受給者の皆さんがスライドを使い各人各様の自己紹介をされました。 分野・会社が多岐に亘る近況や見通しなど、皆さん 興味深く聞かれていました。

懇親の部は、同室で4つの大テーブルを囲んで始めました。

河村宏氏(新09)の乾杯の挨拶では、横のネットワークに加えて、縦の関係も本会を発端にして作って頂き、人との交わりの中で刺激を受け、それを皆さんの活躍に生かしていって欲しいと鼓舞するメッセージを頂きました。発起人の皆さんを囲んで交流が始まりました。 まさに縦横の交流がスタートしました。

途中、中締めを経た後も、奨学金受給者の皆さん方は交流が終わらず、会場の片付けをお手伝い頂いた後は 三々五々馬場方面に場所を移動されて続けられたと聞いております。

集合写真

次回の開催日は決まっておりませんが、更にネットワークの輪が広がることを期待しております。

(文責 事務局 高橋 宏)

応化卒の多様なキャリア形成(先輩博士からのメッセージ):

【開催日時】
2023年8月19日(土):オンラインにて開催
13:00- パネルディスカッション
14:15- 座談会

昨年度まで「先輩博士からのメッセージ」として開催してきた本イベントは、今年度より「応化卒の多様なキャリア形成」と名前を変更して開催した。今回は学位取得後数年〜10年前後経過した社会人をメインとしたパネルディスカッションを実施し、国内外の様々な職場で博士号をどのように活かしているか語ってもらった。

開会挨拶: 下村副会長:

今年は応用化学会創立100周年として様々な取り組みをしており、博士人材の育成・支援は特に重要と考えている。本会もその一部である。
思い起こせば自分が応用化学科の学生であった頃は、学部卒が卒業生全体の半数ほど占め、修士課程に進学した学生のうち、一部がそのまま博士後期課程に進学し、企業に就職後学位取得のために戻ってくるケースもあったが少数だった。最近の博士人材のキャリアは多様化しており、本会も様々な知識を得る良い機会になるのではないかと思う。是非この貴重な場を活用してほしい。


パネルディスカッション:
今回パネルディスカッションに参加していただいた6名のパネリストの方々に自己紹介をしていただいた後、事前アンケートで希望が多かったテーマを中心にファシリテーター(梅澤宏明 基盤委員長)から質問する形式でパネルディスカッションを行った。

パネリスト(6名):


博士取得後のキャリアについて(この道に進んだ理由):
黒田さん: 大学教員を選んだのは、B4の卒業時に修士号を取得した先輩方が毎年10人社会貢献しているのを見て、自分は社会に出る人材を育てることに注力したいと思った。
助川さん: 昔から環境問題で社会貢献したいと考えていて、製品として世の中に貢献できることをしたいと考えた。修士での就職も考えていたが研究を優先させたく、博士を選んだ。
ジギーさん: 博士後期課程修了後も継続して研究したく、海外経験がなかったので他国(欧州)で研究したいと思った。学生と一緒に研究することの興味もあり、現在のキャリアを選択した。
稲垣さん: 基礎研究を継続したのは、合金研究に他の金属を混ぜたときに物性変化を見るのが面白く、論文を調べても明確でなかったことから、基礎研究の面白さを追求したいと考えた。

社会において博士人材も増えているのではないですか?:
黒田さん: アカデミアに進むうえでは、博士後期課程は通過する道であり、化学と工業の求人欄でポスドクの口を見つけた。アカデミアではテーマ替えもあるが、広く視野を広げてチャレンジ出来るのも一つのポイント。
助川さん: 旭化成の研究開発における博士人材の比率は10%程度。ただ、入社後にも学位を取得しにアカデミアに出向される人も多い。マネジメント職に進む人の資格要件ではないものの、マネジメントにプロモートされている方で学位取得者は多い。
ジギーさん: ベルギーの研究機関でも研究職は全員博士号を持っている。人材の募集要件として学位が求められ、かつ研究に関するバックグラウンドも併せて求められる。
稲垣さん: 国立研究機関で研究者として入る人材は学位取得が必須。(特に研究スタッフとしての学位は必須)。
黒澤さん: 就職活動の時期に海外留学が重なったが、最初に受けた製薬企業に就職が決まり、学位取得の強みを感じた。創薬部門は基本的に学位取得者で占められている。
吉田さん: これから就職活動に入るため、学位取得後の進路についてはイメージを持っている程度ではあるが、社会貢献についての興味に基づいてキャリア形成をしたいと考えている。

博士課程での研究生活について:
黒澤さん:月曜日から土曜日まで8時30分スタートで夜10時過ぎくらいまで研究することが多く、有機合成については1反応あたり12時間くらいを有するものもあるので前処理から後処理まで含めるとこのくらいの時間設定になることが多い。空き時間に文献チェックや論文作成など。
吉田さん:10時からから5時までが基本だが、昼間は後輩の指導に時間を充てることも多く、自分の時間を夜に入れたりすることが多い。化学工学では反応時間が長時間になることはあまりないため、解析などの処理などに時間を費やしたりしている。
黒田さん:学生時代に最も研究に時間を費やしたのは修士の時代で、博士課程に進むと研究室運営にも携わる時間が増えた。現在のキャリアを考えるとその時代の知識や経験も役立っているし、次の職場を選択する際にも一つのアピールポイントになった。
助川さん:博士課程時代にはテーマの割り振りなどもあったので、チームで研究を進める際に全体的なマネジメントの楽しさやチームとしての一体感など博士課程で経験した。
ジギーさん:博士課程在学中に助手もさせていただいた。学生実験など教授のサポートもあったので教育関係への時間も割くことになったが、チームでの研究がサポートになりバランスが取れた学生生活だったと思う。
現在は勤務時間がベルギーでは9時-17時で週1回のテクニカルミーティングになっている。ワークライフバランスは法律としても厳しく管理されている。
稲垣さん:博士課程から理研に進んだときに掛け持ちで大学に来る際の体力が、理研には高価な測定機器もあって時間的に使用制限が掛かるときの集中力は求められた。時間的にもメリハリがあった。

論文作成での苦労など:
稲垣さん:論文は一本作成するとその後の研究の見通しなど立てやすくなった。学位論文作成時のIntroductionをもとにしたReview論文作成そのものは大変だった。初期段階での教授のサポートは頂いたが、構成作業などは自力で対応したので力になった。

海外での研究や仕事に関して:
稲垣さん:シカゴで測定系での技術が現地で重要だった。3か月間の留学期間だったが、英語力とともに自炊など生活力も必要であることを実感した。
黒澤さん:ボストンでは同じような研究内容について3か月留学した。週に1回、教官との面談があり、英語でのコミュニケーションが求められた。リスニング力は向上したように思う。
助川さん:共同研究としての出向や、また海外からの研究者の受け入れなどの共同作業はあった。学会発表など含めての海外を経験する機会は多い。海外学会での受賞経験はモチベーションを上げるのに重要で、著名な先生と対面でディスカッション出来るのも大きいと思う。
黒田さん:学生を送り出すと現地で語学力の増進について実感がある。海外学会の場合は短い期間でも人脈形成のチャンスも多くある。

後輩たちへのメッセージ:
黒田さん:博士課程で何が出来るかを考えたときに、一つの資格であり、仕事が選べるメリットもある。企業に進んでも自分がアグレッシブに仕事する上で重要だと思う。
助川さん:専門性も上がるし、チームビルディングも一つのキャリア形成に役立つ。企業でも学位取得者が多いので一つの選択肢として学位取得を考えてもよいと思う。
ジギーさん:「学生」ではあるものの学会などに出席する機会も多いため、国際交流や人脈形成の可能性が大きく広がる。
稲垣さん:勉強が好きと研究が好きは別次元だと思うが、実際に研究室に入って研究が面白いと感じたらその思いは大切にしてチャレンジしてよいと思う。
黒澤さん:研究を始めてその楽しさに魅せられて進んだので、研究を継続しようという希望があれば積極的に考えて欲しい。
吉田さん:アカデミックな経験が多くできるのが一番のモチベーションになっているので、研究に興味があれば積極的に博士課程進学を考えてよいと思う。

パネルディスカッションの様子(参加者集合写真)

 

座談会:
パネルディスカッションに引き続き、パネリスト6名に博士号取得後の卒業生、現役博士学生を加えて、学部生との座談会を実施した(20分×2回)。ブレイクアウトルーム6室に参加者を分け(1グループ5~7人程度)、より率直に質疑応答や意見交換が出来る環境を提供することで、様々な博士課程での経験を共有した。
話題としては、就活の時期:会社や分野によって開始時期が違うか、博士課程進学を決めた時期、また博士課程進学を決定したトリガーなど、学部生の興味に沿った内容が多かった。

座談会の各ブレイクアウトルームの様子

 

座談会参加者は以下の通り(敬称略)

・黒田 義之 黒田研究室出身
・助川 敬 西出・小柳津研究室出身
・ヴォダルツ ジギー 本間研究室出身
・稲垣(鳥本) 万貴 関根研究室出身
・黒澤 美樹 山口研究室
・吉田 啓佑 野田・花田研究室
・佐藤 陽日 細川研究室出身
・金子 健太郎 野田・花田研究室出身
・吉岡 育哲 桐村研究室出身
・加藤 弘基 山口研究室
・重本 彩香 関根研究室
・渡辺 清瑚 小柳津・須賀研究室
・三瓶 大志 関根研究室
・ウ チクン 山口研究室
・中原 輝 山口研究室
・久保 真之 山口研究室
・宮﨑 龍也 山口研究室
・宮本 佳明 下嶋研究室

博士後期課程学生への支援体制:須賀先生

博士後期課程に進学する学生にとって、関心事の一つが経済的なサポートである。応用化学科及び応用化学会の充実した奨学金制度について、また、博士後期課程への進学率とその後の進路先の割合について紹介した。博士後期課程修了者は、2010年以降2022年までの間で約90名である。進学者の内訳は、内部進学が85%、他大学からの編入が6%、社会人が9%で、ほとんどが修士課程からそのまま博士後期課程へ進学している。また、学位取得後の進路は、約半数が企業、次いで国内大学、海外大学、省庁・研究機関となっている。
博士後期課程の支援体制として、学内外の奨学金制度は、貸与型と給付型があり、学科内の奨学金制度は全て給付型となっている。また、学内には早稲田オープンイノベーションエコシステム挑戦的研究プログラム(W-SPRING)もあり、各支援制度の選考時期・選考フローについても説明があった。そのため、各人の状況に応じて充実した奨学金制度を有効活用し、研究に集中できる環境を是非整えて頂きたい。世界的にも博士人材の需要は高くなっており、日本でも博士人材への需要は増加傾向にある。また、応用化学会給付奨学金は一昨年より給付対象を学部学生にも広げ、早期から優秀な人材を発掘し、博士後期課程に進学する学生を支援している。興味がある学生は積極的に応募してほしい。

閉会挨拶:橋本副会長

非常に実のあるディスカッションが出来たと思う。
私たちが学生であった当時は、早く社会に出てその現場を知り、そこで改善を積み重ねて継続的に効率性・経済性・生産性を強化していくのが一般的なエンジニアのキャリア形成であり、また企業競争力の基盤だった。しかし競争が、同じ段階内での改善に依存するよりも、その段階から一つ上の段階にステップアップする発想や技術に依存するようになると、そのための能力として必要な博士学位を背景に研究開発やディスカッションへ参加できる人材が重要視されるようになった。こうした状況で特に世界における企業間競争力を追求していくためには、視点を高く持つ博士学位取得者への期待が当然大きくなっている。能力と意欲のある応用化学科の学生には奨学金による経済的なサポートも充実してきているので積極的に活用し、自分の将来の夢を実現させてほしい。

博士人材交流会:
 パネルディスカッションと座談会にご参加いただいた博士人材の皆様にご参加いただき、博士後期課程学生と博士号取得後のOB/OGの方々とのコミュニケーションの場として交流会を開催した。バーチャルコミュニケーションツール(ovice)を用いて自由に懇談していただくことで、学位取得までの疑問や卒後キャリア、業種ごとの勤務体制の違いなど、リアルの交流会に近い環境で交流を深めることができた。

oviceでの博士人材交流会の様子