会員」カテゴリーアーカイブ

第四回応化給付奨学金受給者の集い

台風10号のノロノロな進行状況に惑わされながらも、何とか開催を決定したのが開催の前日。当日の令和6年8月31日(土)は台風の影響も限られ、第四回応化給付奨学金受給者の集いを無事開催することが出来ました。

今年は、社会の様々な方面で奮闘されている17名の面々が集まる予定でしたが、台風による大雨の影響で公共交通が使えないことで参加出来なくなった5名を除く12名と9名のホストら合わせ21名が、4時間弱の時間を母校西早稲田キャンパスで共にし、個々に交流を深めることが出来ました。障害が予想される中をご参集頂きありがとうございました。

昨年からスタートさせた 活躍されている皆さんの気持ちを鼓舞することを目的とした「奨励賞」について、今年も応化シニア会のご支援を得て3名の方を表彰することとなりました。尚、ご本人への表彰は本年10月5日(土)に開催予定の応化シニア会の席上で行われる予定です。

今回も、奨学金受給者内幹事役4名の方々(新51 田原聖一氏、新53 百武 壮氏、新57 國本雅宏氏、新63 原慎太郎氏)の協力を得て、前回から対象年次を拡大し新50回生~新63回生(2000年~2013年学部卒相当)の応化給付奨学金受給の博士修了者に水野賞も加えた対象の方に声を掛けさせて頂きました。

今年は台風の豪雨により参加したくても出来ない面々も居られ、かつ不確定要素もある中で懇親会の質も落とさざるを得ず、限られた時間の中での交流となりましたが、従来と変わらず密度の高い交流がなされたかと感じております。来年も同世代プラス 世代を超えた縦のネットワーク構築にも寄与できればと願っております。

<案内文章>

<当日の参加者リスト>


当日は、下井將惟元副会長(新13)の司会でスタートしました。

西出先生

西出宏之前会長(新20)からは挨拶の中で、応化シニア会としての表彰の観点から、選定基準についての執行部で討議し、「企業」のカテゴリーでは、企業でチーム等を率いて、或いはベンチャーを立上げ頑張っている方、「アカデミア(大学)」のカテゴリーでは、教授に昇進されて研究教育に当っている方で、その前提として早稲田の大学院で博士課程を修了し、本集い並びに表彰されるシニア会に参加出来ることが現時点での要件と説明されました。

次いで、下嶋敦主任教授から、最近の学内の動き(応用化学科が7部門からものづくり部門が増え8部門となり江口先生が加わったこと。3月末には平沢教授が退職され、現在の化学工学部門は野田教授他と新旧交代がされたこと。女性比率が増え35%~40%となり、大学院進学は8割~9割と研究レベルが上がっていること等)をご紹介頂きました。

次に、自己紹介と会社・アカデミアの中での実績と将来展望のあらましが説明されました。その中でも、今回奨励賞に内定が決まった3名のあらましは以下の通りです。

*新50 望月 大氏(東京電機大学教授)からは、千住キャンパスの応用化学科で、新しい小さなもの(無機ナノ材料)を作って大きな夢(環境問題の解決)を実現することを目指している。無機ナノシートを出発として新しいプロセスを開発している。ナノシートを垂直に立てて電極材料として使うことで充電速度の性能が上がることを研究したり、マイクロ波を利用した新しい化学プロセスにも注目しており、カーボンニュートラルを達成することを目指したりしている。

*新52 岡村陽介氏(東海大学教授)からは、ご本人のボン大学でのナノ顕微鏡を用いたバイオマテリアルの相互作用を研究後、東海大学でナノ生体材料学研究室を主宰し、どこにでも貼れるナノ材料で医療材料や環境分野に応用できるような材料を開発することを研究している。現在、研究室OBが83名で現メンバー加えると100名くらいになっている。

*新53 百武壮氏(土木研究所上席研究員)からは、ご本人の土木研究所の中での研究企画課長含めた履歴を語られ、先端材料資源研究センターでのシーズの実用化を紹介された。一例として、アスファルトが減っていく中でカーボンニュートラルを実現させていくための植物系・廃プラを使う材料開発の旗振り、メーカーが自社製品を評価出来る手法を提案・普及させている。

上記以外にも奨学金受給者の皆さんがスライドを使い各人各様の自己紹介をされました。分野・会社が多岐に亘るため近況や見通しなど、皆さん 興味深く聞かれていました。

懇親の部は、同室内で4つの大テーブルを囲んで始めました。

河村宏氏

河村宏氏(新09)の乾杯の挨拶では、この会が一つの生きがいとなっていること、水野奨学金創設(父の没翌年)から37年、皆さんの成長を見るともっと奨学金を増やしたい。一方、博士に進む方が少ない、OBが温かく見守っている。皆さんがこのような企画を宣伝して頂きたい。皆さんが応用化学、応化会の次を背負って立つと思うので、学校に戻ってこのような生き方があることを学生に教えて頂きたいと、強いメッセージを発信されました。

発起人の皆さんを囲んで交流が始まりました。縦横の交流がスタートしました。

中締めで、大林秀仁氏(新17)からは、皆さんが受けたものを次の世代へ繋いでいってもらいたい、次の世代に我々の想いを伝えていくのも大事と思うのでお元気で活躍くださいとのメッセージでお開きとなりました。

交通機関も順調ではない中の開催でもあり、会場の片付けをお手伝い頂いた後早々の閉幕となりました。次回は、更にネットワークが広がると共に元気な姿でお会いできることを楽しみにしております。

(文責 事務局 高橋 宏)

 

2024/12/9 第二回応化ゼミ 学生委員会報告

寒さが一段と厳しくなり、2024年も残すところあと約1ヶ月となりました。そんな中、第二回応化ゼミが12月9日に行われました。今回は大学院進学に関してのお話で、優先配属で研究室に入り、推薦で早稲田大学院に進んだ方と、早稲田大学院試を受けて大学院に進んだ方、他大学院に進んだ方のお三方から貴重なお話を伺いました。
詳しくは、学生委員会HPをご覧ください→こちら

2024/11/2,3 理工展 学生委員会報告

11月2, 3日に理工展が開催され、応用化学科学生委員会は屋台班と実験班の二班に分かれて参加しました。屋台班ではフランクフルトを販売し、実験班ではケミカルライト・芳香剤・人工いくらの実験を行いました。在校生はもちろん、小さなお子様から保護者の方々など、幅広い年代の方にお越しいただきました。
詳しくは、学生委員会HPをご覧ください→こちら

新18回(昭和43年卒)応化同期会開催報告

2024年11月27日

2024年11月27日(水)、大隈会館N201号室で同期会を1年ぶりに開催しました。出席者は健康上の理由等で毎年徐々に減少し、前回2023年10月よりも3名少ない20名でした。

保坂君の司会と挨拶につづいて、弁当形式の会食の後、参加者全員の近況報告(研究室単位の欠席者の近況を含む)、大学関連の活動紹介、会計報告と続きました。和気藹々の楽しい時間が流れて来年の再会を誓い、15時に記念写真(2名退出:中井君担当)を撮ってお開きになりました。

・今回も昨年に続き着席での会食でしたが、テーブルを3ブロックに分けてメンバー同士の懇親をより楽しめる形式にしました。

・参加者の近況報告(4分/人)ではほぼ全員が傘寿になったこともあり、やはり体調に関する話題がメインでした。認知機能の衰えを考慮した終活関連や相変わらずピアノや旅行等の趣味活動を元気に楽しんでいるとの紹介もありました。

・大学関連では、鶴岡君から“早田大学の最近の発展には、田中総長の米国流マネジメントが大きく寄与している”との紹介がありました。

(注)次回は2025年10月~11月頃を予定しています。詳細は各研究室の幹事から後日、ご連絡致します。同期の皆さん楽しく情報交換をしませんか、 是非ご参加下さい。 (幹事:杉本、進、品田、永田、関谷、曽根、鶴岡、小久保、渡辺(壮太郎)、渡部、中井、山形、金山、保坂、竹下)。

(文責 竹下哲生)

以上

早稲田応用化学会 第2回大分・延岡地区交流会開催報告

  1. 開催趣旨

    昨年、早稲田応用化学会は創立100周年を迎え、次なる100年に向けた活動の一環として、地方で活躍している卒業生間の交流活性化・促進を目指しております。
    そこで今回、昨年の第1回に引き続き、大分・延岡地区でご活躍されている方々を対象とし、会社の垣根及び世代を超えて、同じ学び舎で育った応化出身者で交流が出来ればという想いのもと、応化会交流委員会メンバーも交えての本企画開催に至りました。

  2. 概要

    【開催日時】2024年11月8日(金) 13時40分開始

    【開催場所】ENEOS㈱ 大分製油所 ホール1

  3. 参加者

    【大分大学:1名】平田 誠 先生( 新37回 平田研)

    【旭化成:4名】助川 敬 (日本エラストマー:新59回高分子研)、田中 亮祐 (新70回 下嶋研)、白川 寛人(新70回 野田・花田研)、西尾 博道 (新71回 高分子研)

    【RESONAC:3名】海寳 益典 (鶴崎共同動力:新31回 平田研)、杉本 哲人 (サンアロマー:新40回 平田研)、小谷野 雅史 (新61回 高分子研)

    【ENEOS:3名】風間 洋佑 (新66回 松方研) 、小長谷 優祐 (新68回 野田・花田研)、野々山 慶一 (新72回 平沢・小堀研)

    【応化会:2名】下村 啓(新34回 森田・菊地研)、椎名 聡 (新36回 宇佐美研)

  4. 交流会内容:

    ① 13:40~13:50 開会挨拶、応化会近況報告 (椎名交流委員長)

    ② 13:50~14:45 各社近況報告 (ENEOS➡旭化成➡RESONAC)

    ~約15分間の休憩~

    ③ 15:00~15:40 ENEOS㈱ 大分製油所 構内見学

    ④ 15:40~16:40 講演会

    講師:平田 誠 先生 大分大学理工学部理工学科准教授

    演題:「~日本の食 大分の食~」

    ⑤ 16:40~16:50 閉会挨拶 (下村応化会副会長/基盤委員会委員長)

  5. 懇親会 18:30~21:00

    場所;酒肴美味 六根 (大分駅周辺)

  6. 詳細

    11月8日金曜日、応用化学科卒業生で構成される応化会交流委員会の第2回大分・延岡地区交流会がENEOS㈱大分製油所で開催されました。
    参加者は九州に拠点を置く旭化成、RESONAC、ENEOSの3社に勤務している方々、大分大学にて教鞭を執る平田 誠先生、そして東京から参加した応化会役員を含む総勢13名となりました。
    交流会は、椎名交流委員長による開会の挨拶から始まりました。椎名委員長からは、昨年に引き続き地方との交流を活性化させていくことの重要性についてのお話があり、本会議の開催意義について大いに期待されている旨のお言葉をいただきました。
    その後、ENEOS、旭化成、RESONACの順に、各会社や拠点の事業内容の説明や、参加者の業務からプライベートにわたる近況についての紹介が行われ、大いに盛り上がりました。各メンバーの直近の仕事ぶりについて紹介された場面では、特に若手の社員が日々の業務で直面する様々な課題や成功体験が共有されたことが非常に印象的であり、交流会ならではの貴重な情報交換の場となりました。

    次に行われたのは、会場となったENEOS大分製油所の構内見学です。バスツアー形式で行われたこの見学では、ENEOSメンバーの素晴らしいガイドとともに、石油精製のプラントエリアから貯蔵・出荷タンク・設備などを巡回しました。迫力ある大型の装置群を間近で目にし、プラントスケールを体感できる大変貴重な機会となりました。
    その後、大分大学理工学部理工学科の准教授平田 誠先生による講演会が行われました。「~日本の食 大分の食~」という演題で行われたこの講演では、大分の食文化とその歴史、そして日本の食文化がいかに多様性に富んでおり、いかに我々の生活文化に紐づいているかが、写真や資料を添えながら分かりやすく紹介され、参加者は普段触れることのない多くの知見を得る素晴らしい時間となりました。
    交流会の最後に、下村応化会副会長から閉会の挨拶を賜り、交流会全体が有意義なものであったこと、次回の開催に向けた期待感などについてお話しいただきました。

    交流会終了後は大分駅近くで懇親会が開催されました。この場では、昼間の交流会に参加できなかったメンバーも合流し、交流会では話しきれなかった話題で大いに盛り上がり、参加者同士の親睦がさらに深まりました。

    翌日には、有志6名により大分カントリークラブ吉野コースでゴルフコンペが開催されました。ゴルフを通してリラックスしながら交流を図ることで、さらに絆を深める良い機会となりました。

  7. 今後の計画と参加者アンケートまとめ ⇒ こちら
    事後に参加者へのアンケート調査を行い、今回の会に関する率直な感想や、継続や発展へ向けた様々なアイデアを頂きました。
    今回も前回同様、交流会全体の内容については大変満足頂いたという声が多く、「次回の参加も前向きに検討したい」という意見が大多数を占めました。
    参加したメンバーからは、「2回目ですが、昨年よりも近い距離間で皆さんと交流できたように感じました。」「職場外の方と接する機会はなかなか無いため、交流を通じて非常にいい刺激を受けています。応化という同じ学び舎の下で過ごした同窓との繋がりは、今後の社会人人生においても大切な財産になると感じており、是非とも今後も継続して本交流会に参加していきたいです。」といった非常に前向きな感想を頂きました。
    時期等についても、「忘年会シーズンや気温の低下を避けられる意味でも、今回のように11月ごろの開催がぴったりだった。」といった意見を頂きました。
    最後に、本交流会の継続、さらなる発展に向けて「後輩が続かないと継続は厳しくなるので、現役の学生などにもご参加いただき会社の良さを知ってもらえたら」といった学生も巻き込んだ取り組みに関するご意見や、「各地方支部などとの地方開催における継続的な取り組みに関する意見交換や、連携も一つの手になるのでは」といったようなご意見も頂きました。

早稲田応用化学会主催 「2024年度第2回先輩博士からのメッセージ」のご案内

2024年12月14日(土)14:00~18:00 @西早稲田キャンパス

これまでに応化会では、キャリア形成に関心のある学生を対象に「先輩からのメッセージ」や「応化卒の多様なキャリア形成」などのイベントを開催してきました。それらに参加されて、企業での働き方や博士後期課程を身近に感じ、今後のキャリア形成に興味を持たれた方もいらっしゃるかと思います。そこで、皆様が研究や博士課程を身近に感じ、博士後期課程学生(以下、博士学生)やOB/OG博士と交流する会として、今年度2回目の「先輩博士からのメッセージ」を開催いたします。

今回は、現役の博士学生から社会の一線でご活躍されているOB/OG博士まで幅広い年代層のパネリストをお招きし、博士後期課程での経験や、企業での研究生活、博士号が活かされた場面などをパネルディスカッションしていただきます。普段はなかなか接する機会のない方々の経験を聞くことができるだけでなく、座談会及び懇親会ではOB/OG博士や博士学生と直接話すことができる機会ですので、奮ってご参加くださいますよう、お願い申し上げます。

【スケジュール】

開催期日;2024年12月14日(土)

会場;西早稲田キャンパス63号館202教室+63号館ロームスクエア

講演形式;対面

14:00~14:05;開会挨拶

14:05~15:05;パネルディスカッション

15:15~15:55;座談会(20分×2セット)

16:00~16:10;応化及び応化会関連の奨学金説明

16:30~17:55;懇親会(飲食あり)

17:55~18:00;閉会挨拶

※ 日本語で実施いたします。

【講演情報】

講演者①;田中 学さん(東京都立大学 都市環境学部 環境応用化学科, 西出研究室(高分子化学部門))

講演者②;柘植(宮坂) 悦子さん(三菱ケミカル株式会社, 平沢研究室(化学工学部門))

講演者③;佐藤 陽日さん(三井化学株式会社, 細川研究室(有機合成化学部門))

講演者④;吉岡 育哲さん(千葉大学 真菌医学研究センター,桐村研究室(応用生物化学部門))

講演者⑤;久保 真之さん(博士後期課程2年, 山口研究室(有機合成化学部門))

講演者⑥;渡辺 光亮さん(博士後期課程2年, 関根研究室(触媒化学部門))

【申込について】

参加費:無料

参加方法:下記URLより要事前申し込み

締切:12月1日(日)

※申し込みの際は、Wasedaメールのアドレスをご入力ください。

※集計の関係上、締切を設定していますが、当日の参加も可能です。(フォーム入力は前日まで可能)

※今回のイベントは早稲田大学応用化学科に所属する学部1~4年生および応用化学科の教員の指導を受ける大学院生が参加申し込みの対象となります。

https://forms.gle/VyZ9dYF74N8SVqTo9

※ 早稲田アドレスにて作成されたGoogleアカウントですとアクセスできません。

個人のGoogleアカウントにて上記URLを開いてください。

皆様、是非奮ってご参加下さい。宜しくお願い致します。

――― 以上 ―――
(文責;早稲田応用化学会給付奨学金 奨学生推薦委員会)

2024年度早桜会講演会(報告)

2024年度早桜会講演会を2024年10月19日(土)に実施いたしました。今回の講師には多田博之氏(サステイナブル経営総合研究所所長)をお迎えし、「持続可能な社会とは何か ―サステイナブル経営の本質を探る―」という演題でご講演して頂きました。

【講師】多田博之氏 (サステイナブル経営総合研究所所長)

【概要】

日本の食料自給率はカロリーベースで38%と非常に低い。これは日本と同じ島国のイギリスや山間部の多いスイスと比較しても低い値である。また肥料や種子はそのほとんどを輸入に頼っており、エネルギー自給率も12.6%しかない。自殺者は政府発表では年間2万人だが、不審死者が年間15万人に登る。WHOの勧告では不審死者数の半分を自殺とするようなっており、その基準に当てはめると日本の自殺者数は年間9万人となる。

これらの数値を踏まえると現状の日本はおよそ持続可能な状態(=サステイナブル)であるとは言えない。サステイナブル経営とは持続可能な社会の実現の為、自社の持続可能性だけでなく社会の持続可能性も考えたものでなくてはならない。また経営とは時代認識であるから、かつての認識のままでは駄目であり、時代によって大きく変化するものである。またSDGsと合わせてCSRという言葉もよく聞くが、これは企業が社会とどのように信頼を構築していくか、ということである。本来はビジネスを通して社会的な諸課題を解決することが必要であるからCSRは投資として内在化すべきであるが、現状はどうしてもコストとして外在しがちである。その点で日本はCSR先進国とは言えない。それは政策やビジョンの貧困さが原因である。個々の技術は高いが将来ビジョンを描く能力が決定的に欠如してしまっている。ここを改善しなければ何も変わらない。

持続可能性とは最近急に聞くようになった言葉と思われがちだが、実は古くからあった言葉であり、ネイティブアメリカンやアボリジニも自然と持っていた考え方である。それは縄文人やその後の日本の古代人も同じであろう。人間は自然に生かされているのだ。

持続可能な社会の実現の為には現在を起点とする”フォアキャスティング”から未来の社会を起点にするバックキャスティングへと考え方を変える必要がある。あるべき姿から逆算していって、このタイミングにここまで到達している為には今ここまで出来ていなくてはならない、と考えていく。また持続可能な社会を実現するにはそもそもの持続可能性の指標が無ければ議論出来ない。この時の指標は厳密性、網羅性よりも象徴性や理解可能性を重視すべきである。日本に関してみると、技術力が牽引する分野や金融の分野では持続可能性が向上しているが、社会基盤をなす経済の分野で不安材料が残る。全体的にみると持続可能な社会に近づいているとは言い難い状況である。これを打開するには産業においてはビジネスモデルを作り変え、個人においてはライフスタイルを変える、即ちイノベーションが不可欠である。

【全体を通して】

日本がある意味危機的な状況にあるということがよく理解出来ました。少なくともこのままでは持続出来ない状況にあります。とはいえ暗い話題ばかりでもなく、日本にも素晴らしい面はたくさんあります。質疑応答の中では日本の優れている面についても議論が深まり、今後我々がどうしていくべきか、各自考えるうえで非常に良い機会になったと思います。

(文責:三品)

【出席者(9名)】

田中航次(新17回),市橋宏(新17回),和田昭英(新34回),脇田克也(新36回),髙田隆裕(新37回),澤村健一(新53回),三品建吾(新59回),古田武史(新61回),津高絵美 (新57回)