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パネルディスカッション

「競争・協奏・共創」~多様な繋がりを創造し、次世代に向けて共に輝こう!」

 田中総長のご講演に続きまして、未来の応化会を担う若手・学生の代表にご登壇いただき、「『競争、協奏、共創』~多様な繋がりを創造し、次世代に向けて共に輝こう!」というテーマでパネルディスカッションを行いました(写真1)。ファシリテーターは、梅澤宏明基盤委員長(新36回、写真2)です。

写真1 パネルディスカッション壇上

写真2 ファシリテーター 梅澤宏明基盤委員長

 100周年を迎えての感想をお聞きしながらパネリストを紹介していきました。パネリストはこちらの方々です。B3・北村悠真さん(写真3)、B4・輿石優奈さん(写真4)、M1・佐々木淳さん(写真5)、社会人3年目・神守広一郎さん(新69回、写真6)、社会人8年目・大山永展さん(新64回、写真7)、社会人16年目・劉雲龍さん(新56回、写真8)。

写真3 北村悠真さん

写真4 輿石優奈さん

写真5 佐々木淳さん

写真6 神守広一郎さん

写真7 大山永展さん

写真8 劉雲龍さん

【広い世代がつながること】
 100周年という重みを皆さん感じている中で、応化会の会員は、先生方、ご両親世代の方、また祖父祖母の世代の方、会社の上司の方など、ほんとうに幅広い方々がいらっしゃいます。この方々とつながることができるメリットをお聞きしました。自分のまだ知らない話や実体験を聞くことができるので、新たな価値観の形成や将来設計の参考となる、将来歩んでいく道をイメージできる、背中を見て学べる、といった意見が多数ありました。また、ネット環境では入手できないその人の生き様を感じることができる、会社組織の壁を超えたつながりができるという意見も出てきました。いいことばかり・・・でしたので、ちょっとこの辺はどうかな?というのも聞いてみましたところ、会合で集まると知り合い同士や同じ世代で固まってしまって初対面の方と話しづらいとか、いろんな方が集まっているので組織的な動きやまとめるのが難しいといった意見がありました。せっかく広い世代が集まっているので、世代を超えた交流ができるといいですね。

【つながる企画に関して】
 次に、広い世代がつながれる企画、特に若手が参加したいと思う企画について聞いてみました。いろいろな人材が集まっているので業種や世代を超えた交流会、キャリアデザインに関する企画、ミドルの今後を考える経営塾といったアイデアが出ました。学生からは、気軽にOB・OGと話せる企画や、ここで出会った方との関係性が継続していくような企画、体験談をいろいろ聞ける機会が増えるとよいといった意見が出ました。「気軽に」というところがポイントのようで、年齢が離れるとなかなか近づきにくいところがあるので、話すきっかけを持てるような運営が必要ですね。また先ほど、経営のお話が出ましたが、会場の方で経営者あるいは経営されていた方の挙手を求めたところ、複数人から手が挙がりました。ぜひ講師として参画していただければありがたいですね。
いまは世代を超えてのお話しでしたが、一方で、同世代でつながりを深めるということもあるかと思います。この点についての意見は、企画とか構えないで形式ばらない感じがいいとの意見がありました。学生が何かやりたいことに対して、OB・OG側から資金提供があると助かりますね。

【知恵の結集】
 つながりをキーにして話題を広げていくと、ビジネスコンテストとかで横でつながるとか、ベンチャーキャピタルを立ち上げて大学から資金が入るとか、そんな可能性もあるという意見が出ました。応用化学を学んだ我々として、先生方も会員ですし、企業で活躍されている方も多数いらっしゃいますし、応化会としての知恵の結集で、新技術・新事業が生まれる可能性は大いにあると思います。インスパイアードラボという例もあるので、早稲田の一室で事業や技術を語り合う場があるといいという意見や、企業の上層部の方々が集まって事業を語り合うコンソーシアムのような運用ができるといい、若手の縦割り交流会でもこんな事業ができたらいいなという話も出たこともあり、気軽に話せる空間、意見を吸い上げられる場があるといい、という内容に発展していきました。

【交流の場・ネットワーク】
 つながる場所としては、応化会の部室があるといい、早稲田に近いところで、気軽に来れるたまり場、行きつけのお店とかのアイデアも出ました。学生からも、いま運営している交流企画にこだわらずに、どんな人がいるのかが分かって交流できる場所、SNSとかのコミュニティでもいいという意見が出ました。若者がよく使うツールとしては、InstagramやTwitterが挙げられ、それは使う言葉が少ないという特徴があるため端的に情報が伝わるメリットがあるそうです。メールよりはSNSで情報を取る方が早いという意見もあり、いろいろなコミュニティが充実できればつながりが深められそうです。

【日本中でつながる・世界とつながる】
 応化会の会員は、日本全国にいらっしゃいますし、世界で活躍されている方も多数いらっしゃいます。デジタルの力も使ってこれらの方々とつながるには、どうしたらいいかを聞いてみました。クローズドのSNSを作って気軽に参加できる、ゆるくつながっておくことが大事、定期的に各地で同窓会が開ければいい、応化会報に掲載されている会員の近況をクローズドなSNSで知ることができれば、リアルで会う時のきっかけになる、といった意見がありました。クローズドとオープンの使い分けを考えての情報発信、関西・中部以外の支部拠点を増やす、海外にも行って交流するという方向に発展していきました。

【クロージング】
 将来の応化会を背負っていく若い方々から、応化会の価値の話、こうやってつながっていったらいい、こんなことも出来るのではないか、という様々な考えを聞くことができました。企画の具体化、コミュニティの形成など、会員の皆さんのご協力をいただきながら、進めていきたいと思います。最後に、学生代表の佐々木さんから、「3年ぶりにコロナが開けて対面で活動ができるようになり、会って話してつながることの大事さがわかりました。縦・横・先生方とのつながりを深めて活性化していきたい」、若手代表の劉さんからは、「フラットな関係として進めていきたい、なつかしい早稲田・新しいWASEDAのバランスを考え、将来につながる気軽につながることを両立していきたい、第2・第3の居場所として応化会を活用していただきたい」と今後の意気込みをお伺いして締めさせていただきました。

写真9 会場風景

【感想・コメント】
 田中総長からは、以下のご感想をいただきました。
「応化会が100年続いていることはすごいことで、これだけ広い世代が一堂に会している、まさに継続は力なりだと思います。イベントでないと集まれないという意見もありましたが、なんらかの形でなにげなく集まって会話したところからビジネスとか気づきとかが生まれると思うので、縦と横をうまくつなげていくことを望みます。もうひとつ、早稲田大学ではスタ-トアップの支援として、若手の院生・ポスドクの育成を行っていることもあり、ぜひ応化会でも若手の育成をお願いします。」(写真10)

写真10 田中総長

また、濱会長からは、以下のご感想をいただきました。
 「正にこれからの100年をけん引する若手メンバーに本音で話をしてもらいました。ミドルメンバーもいましたが、ミドルの存在、活躍は応化会にとっても大変重要です。期待していた以上に面白かったです。
 もっとディスカッションに時間がほしかったと言うのが本音ですが、一つのキーワードは”多様な繋がりの重要性”であったと思います。
ビジネスの社会であれ、アカデミアの社会であれ、以前のように、最初から明確な道が見えている時代ではありません。如何に様々なチャンスを活かしながら、自分を磨き、自ら”やりたいこと”を見つけ出し、実現の為に、更に新しい繋がりを広げていくか、これこそが夫々が世界で存在価値がある人材になる試金石であると思います。
 早稲田大学と共に、応化会も、この多様な繋がりのチャンスを提供する魅力的な組織にして行きたいと思います。今日もたくさんのアイデアがありましたが、今後も意見交換を繰り返し、具体化して行きます。経営者の1人としてメンバー達の要望にも応えていきたいと思います。」(写真11)

写真11 濱会長 (一番右)

集合写真 写真12 集合写真

(文責:基盤委員長 新36 梅澤宏明)

早稲田応用化学会100周年記念祝賀会 ご祝辞 田中愛治 早稲田大学総長

田中愛治総長ご祝辞

皆さま、こんばんは。
 ご多忙のところようこそお越しいただきました。
 また本日は雨になるかと思っておりましたが、先ほどからもう青空が見えてきて、皆さまのご来場を祝福しているかのようでございます。
早稲田応用化学会100周年、本当におめでとうございます。
 先程、大隈記念小講堂において記念式典があり、私も恥ずかしながら記念講演をさせて頂きました。お招きいただきまして誠にありがとうございました。
その中で少し申し上げたことをあまり繰り返さず一言申し上げます。
 今、政府が10兆円を用意しそれを運用基金として運用し、年利3%の運用益を上げて3000億円を選ばれた大学に配ると言っております。
「国際卓越研究大学」と言う世界と堂々伍して戦える覚悟ある大学に配分するとおっしゃっています。
 そこでの重要な事は、産学連携と言われております。
私共がこの申請にあたって申し上げたことは、先ほど言った事の中で3つあります。
1.国際頭脳循環:当然の事ですが国際的にも活躍し仕事をしたていただいたり学会発表をして頂いたり、再度学ぶこと、海外にいる人を早稲田で教育する事を含めて。
2.文理の頭脳循環:文系、理系問わず、エンジニアの方でも早稲田ビジネススクールなどでリカレント教育を是非やっていただく。
3. 産学官の頭脳循環:企業で研究者、エンジニアをやっている方も大学で教えていただくなり、また大学の人間も企業の研究所に伺って仕事をさせて頂いたくといった頭脳循環が必要だと考えている。

 そういう意味で正に早稲田理工の中でのトップランナーとして化学の発展をけん引していただいている応用化学の皆さまには、是非我々の考え方にご賛同いただき、何か一緒にさせて頂ければと存じます。

 最後に申し上げますのは、私が総長になって5年になりますが、早稲田二十日会というグループがあり各企業のトップの方たちが形成していて、早稲田を応援するとおっしゃっていて、コロナが明けた2022年ごろ伺ったところ、そこである社長様がおっしゃっていたことは、個々の教授が企業様と話して産学連携の共同研究と言っても1000万程度しか出ないと思うが、大学を上げてこれが大事で、これならば早稲田全体でやりますと言ってくれれば取締役会に上げられるので、総長が来なければだめで、総長自らが社長に対して説明をすることで億を超える共同研究が出来るとおっしゃっておりました。
 私も今あちこち企業のトップの方にお会いしております。
近年、卒業生から国際的に名の通る日本を代表する多くの企業のトップ人材が輩出されております。卒業生の皆さまが如何に優秀か分かりますが、こう言う早稲田の力が出てきているときに大学も深く反省し、今までの様な卒業生が優秀だから大学は大丈夫だと思わず、しっかりと若者を育てると言う事を進めたいと思っております。
ご指導ご鞭撻の程、お願い申し上げます。

 

 

早稲田応用化学会100周年記念祝賀会 開会ご挨拶 濱 逸夫会長(新制27回)

 濱 逸夫会長(新制27回)

応化会会長の濱でございます。

記念講演会の冒頭にもお話しましたが、本当に実開催が出来るかどうかわからない中で、準備をしてきましたが、こうして多くの方に集まって頂いた景色を見ますと、心から本当に良かったと思います。正に関係した皆さんの想いが伝わった結果だと思います。
学内外の応化会理事、各委員会の皆さん、若手OBOGの皆さん、そして学生委員の皆さん、本当に準備ご苦労様でした。
またご来賓の皆様にも、お忙しい中お越し頂き、誠にありがとうございました。心から感謝申し上げます。

後程、100周年記念事業を主導頂いた下村副会長から詳細な報告がありますが、100周年記念事業の一環として企画した新たな奨学金基金も目標を大きく上回るご寄付を頂きました。またこの祝賀会に対しても、参加費用と共に、多くのご寄付を頂きました。
これも応化会メンバーの応化会に対する最大の応援エールです。また今後纏まりましたら、正式にご報告しますが、今後の応化会活動の活性化の為に有効に使わせて頂きます。
本当にありがとうございました。

私も3年前からこの応化会の会長を拝命しておりますが、およそ1万人に近い卒業生がおり、また18歳から90代のシニアまで、年齢差が80年近くある、そして国内外様々な分野で活躍しているメンバーから構成されている、こんな幅の広い組織が、100年ものの間継続し、更に進化しようとしている。これは驚きです。

そして、これこそが正に我々応化会の財産だと思います。今世の中では、人的資本の重要性が再認識されていますが、ビジネス社会のトップ人材とアカデミア社会のトップ人材が繋がり合いながら、大きな夢を実現して行く。”これからの100年”、どれだけ世界に輝く人材がこの集団から生まれてくるかと考えると本当に胸が躍ります。

先程、講演会の終わりに、この祝賀会を是非、応化会の未来を語り合う場にしてほしいとの話をしました。是非、これからの時間を同窓会の枠を越えて、次世代に繋がる貴重な時間にして頂くことをお願い申し上げて、私からの開会のご挨拶とさせて頂きます。

早稲田応用化学会100周年記念祝賀会 ご祝辞 西出 宏之 前会長(新制20回)

西出 宏之前会長(新制20回)

たいへん盛り上がり、歓談に熱気帯びています。会報に前会長として寄稿しましたので、ここでは軽くに留めます。
 このたび名誉会員に推挙され光栄です。会費納入が免除されるとのことですが、既に銀行口座からの自動引き落としです。これを継続しますので、ボケてきても死去で口座が閉じられるまで、些少ですが自動的に本会に寄与できます。
 参会皆さんと楽しくお酒も頂き、名誉会員ならぬ、酒に酔った「酩酊会員」となってきておりここで止めます。
 記念会に向け企画、長い月日の準備と実行、濱会長、下村副会長はじめ皆様、ほんとうにご苦労様でした。大盛会、おめでとうございます。

応用化学科・応用化学専攻『学位記授与式』祝辞

応用化学科主任 下嶋 敦先生

応用化学科主任 下嶋 敦先生

ご卒業、修了おめでとうございます。本日ご列席されているご家族、ご関係の皆様方にも心よりお祝い申し上げます。

卒業、修了される皆さんは大学生活の多くの時間を、新型コロナウイルス感染症によるさまざまな制約のなか過ごされました。大学に入構できない期間があったり研究室での活動時間が制限されて思うように実験ができずに苦労されたと思います。また、講義や実験がオンライン化されたことで、友人達との交流の機会も激減してしまいました。そのような困難を乗り越えてこの日を迎えられたことに敬意を表したいと思います。

これから修士課程に進学される皆さんは、より高いレベルの研究をすることになります。研究というのは新しい、未知の領域を探求するものですので、楽しさと同時に難しさも感じると思います。大学の研究は企業の研究開発とは違いますので、成果が出れば良いというものではありません。大事なのは失敗を重ねてもそれを糧に皆さんが成長することですので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

社会人になる皆さんは、これからが新たな人生のスタートとなります。大学で身につけた知識や技術はもちろん、論理的思考力や創造力などをフル活用して、それぞれの道で大いに活躍していただきたいと思います。大学での研究と関係する仕事に就くとは限りませんが、大事なのは課題に向き合う姿勢やそれを解決するための考え方や取り組み方です。そのような力は皆さんすでに十分身につけていますので、自信をもって前に進んでください。現在、世界が直面している気候変動や環境、エネルギー問題などの解決には応用化学の貢献が大いに期待されています。関連する業務に携わることになった際は、社会からの期待や要望が非常に大きいことを強く認識して、使命感を持って取り組んでいただきたいと思います。

さて、現在世界情勢は目まぐるしく変化していて、先行きも不透明です。コロナ禍で経験したように、私たちを取り巻く社会環境はさまざまな要因で急激に、大きく変化します。このような予測の難しい時代を生き抜くためには、これまでの常識や固定観念にとらわれず、変化を積極的に受け入れて、柔軟に対応する必要があります。自らの専門に基づく役割を自覚し、主体的に考えて行動に移すことはもちろん大事ですが、一人では何も成し遂げられません。大切なのは、人と人との繋がりだと思います。社会に出るとたくさんの出会いがありますので、多様な人たちと積極的にコミュニケーションをとって、リーダーシップを発揮して組織を導く立場になることを期待します。学科専攻の友人達とのネットワークや教員との繋がりも是非利用してください。

皆さんがこれから歩む道は平坦なものではなく、失敗や挫折もたくさん経験するでしょう。それらを乗り越えることで更なる成長や発展があります。10年、20年後の目標に向けて、自分を常に客観的に見て弱いところや足りないところを認識し、自らを高める努力を怠らないようにしていただきたいと思います。皆さんが、早稲田大学の応用化学科・専攻で学んだことを活かして、さまざまな分野で活躍し輝かれることを祈念して、学科専攻主任からの祝辞とさせていただきます。本日はご卒業・修了おめでとうございました。

2022年度応用化学科・応用化学専攻『学位授与式』祝辞

濱 逸夫

濱 逸夫会長

皆さん、ご卒業おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。

  やっとコロナ禍と言う制限もなく、自由に行動できる日々が戻りつつありますが、皆さんの学生生活は、本当にコロナに最も翻弄された象徴的な学生生活であったと思います。是非その悔しさ、我慢の時間で溜まったエネルギーを力に、これからの毎日を、人生の記憶に残るような充実した時間にしてほしいと思います。

 昨年の学位授与式では、学生の皆さんに3つの言葉を贈りました。3つの言葉とは、“何事にもおもしろいと思ってチャレンジすること”、“心を震わせ多くの感動を感じること” そして“常に人への感謝を忘れないこと”です。

 今日ここにいる皆さんも、大学院でもう少し学生生活を続ける人、そのまま大学で研究を続ける人、あるいは企業に就職する人、あるいは日本を出て全く別のキャリアを目指す人等、様々な人がいると思います。 様々な出会いや経験を積み重ね行くと共に、皆さん夫々がおもしろいと思うことも、感動を感じることも、そして関わり合う人たちも大きく変わって行きます。ただ常に先程申し上げた3つの言葉を忘れずに、夫々の人生で色の異なる大きな花を咲かせてほしいと思います。

 私が会長をしている応用化学会は、応用化学科を卒業して、様々な経験を積んできたOB, OG達の集まりです。今年で設立100周年を迎えますが、卒業して間もない若手メンバーから、私のようなロートルまでが、皆さんのキャリアデザインの役に立つ様々な企画や出会いをサポートしていますので、是非積極的に参加してほしいと思います。

 今、社会では“自律型人材”が求められており、“キャリア自律”と言う言葉も注目されています。自律型人材とは、自ら戦略を考えて、課題を見つけ出すと言った主体的に動く人材です。またキャリア自律とは、個人が自身のキャリアを自らデザインし、自律的にキャリア開発を行うことです。

日本の社会に定着していた年功序列や終身雇用と言うシステムが変わりつつあります。企業においても大学等においても、自らの意志で、楽しく働き、自らのキャリアを築きながら、自らの夢、あるいは組織やチームの夢を実現することが今後益々必要になってきます。

 未だ皆さんの興奮は治まっていないと思いますが、ワールドベースボールクラシック(WBC)での侍ジャパンの優勝は我々に大きな感動を与えました。

その中でもMVPになった大谷翔平選手の活躍や振る舞いは、実に素晴らしいものでした。その大谷選手の曼陀羅チャートは話題になり、本まで出ていますが、常に自ら絵を描き、自ら研鑽し、そして周りを巻き込みながら夢を叶えて行く生き方は、野球選手だけではなく、ここにいる全ての皆さんの貴重な道しるべになると思います。花巻東高校時代に作った人生計画表には、27歳で「WBC日本代表MVP」と書かれていたようです。実際は一年遅れましたが、見事に夢を叶えました。実に70歳までの計画が、ノートには記されているとのことです。

野球だけでなく、昨年開催されたワールドカップサッカーでも、自らの夢を叶えるために、世界中のサッカーチームで研鑽を積んでいるメンバーが日本代表として結束し、未だ優勝と言う夢は掴んでいませんが、日本中にブラボーの嵐が吹き荒れました。そして今も夢の実現の為に、夫々が挑戦を続けています。

皆さんも、是非「自分の好きなことが思い切り出来るキャリア」をどう作るか。自分が努力することが面白いと思えるようなキャリアを自分自身で描き、挑戦していってほしいと思います。焦る必要はありません。様々な挑戦を通じて、自分だけのデザインを築き上げてほしいと思います。

何事にもおもしろいと思ってチャレンジすること”、
心を震わせ多くの感動を感じること”、そして
“常に人への感謝を忘れないこと

冒頭に申し上げた3つの言葉をもう一度繰り返して、お祝いの言葉を閉めたいと思います。この3つの言葉を忘れずに、皆さんの素晴らしい人生チャートを実現してください。本日は、本当におめでとうございました。                             

以上

2022年度 応用化学専攻褒賞・奨学金授与式

コロナ禍で2019年以来実地で開催が出来なかった応用化学専攻褒賞・奨学金授与式が2023年3月9日木曜日4年ぶりに、戸山校舎62号館W棟で開催された。

司会 小堀先生

小堀深専任講師の司会で開会し、鹿又宣弘大学院先進理工学研究科長のお祝辞があり、引き続いて水野賞、水野奨励賞、水野敏行奨学金、応用化学会給付奨学金、里見奨学金、森村豊明会奨励賞の5つの褒賞・奨学金授与式が行われた。 38名の受賞者は、賞状を鹿又先生より直接手渡され、自分たちへかけられた期待と、その使命を強く感じていた。
応用化学会給付奨学金については、博士進学者へのサポートを強化するために早期に学部生からの支援を行うことが2022年度定期総会で承認されたが、今回の受給者にはその最初の学部奨学生5名が含まれている。

お祝辞 鹿又宣弘大学院先進理工学研究科長

各賞の授与

引き続いて、応用化学選考主任の下嶋 敦先生よりご祝辞を戴いた。

応用化学選考主任下嶋 敦先生のご祝辞

来賓の方からのご祝辞として、水野家代表(元応用化学会会長)の河村宏様より、ご父君の水野敏行様の熱い志によるご遺言により始められたこの奨学金についての説明とともに奨学生に対する期待とお祝いのお言葉があった。引き続いて応用化学会の橋本正明副会長、里見奨学会事務総長の田部修士様、森村豊明会理事森村潔様よりお祝辞を戴いた。

水野家代表(元応用化学会会長)河村宏様のご祝辞

 

受賞者の代表として水野賞受賞者の浅原光太郎君より御礼と今後の決意を述べる挨拶があり、授与式は閉会となった。

水野賞受賞者の浅原光太郎君の挨拶

閉会後には、応用化学科土田英俊教授のもとで研究を始めた小松晃之先生により「人工血液開発の最前線」と題する記念講演会があった。小松先生は現在中央大学教授として人工血液開発の研究を行っている。人間の輸血血液の保存可能期間が約2日と短いなか、通常時の妥当な献血量と大規模災害を想定した必要血液とに大きなギャップがある。そうしたギャップを解消し得る人工血液の開発は今日の急務となっており、その人工血液開発についてのお話は興味深かった。
また、ドイツ留学時の学友たちや、ベルリンの恩師の話は、将来海外で活動するチャンスのある奨学生たちに強い刺激になったと思われる。

小松晃之先生による記念講演「人工血液開発の最前線」

会場の後部のスペースは、今回受賞者たちの研究を要約したポスターセッション会場となっており、授与式のあと参会者と各受賞者たちはポスターの前で意見交換や交流の機会を持つことが出来た。

 

 

応用化学会橋本副会長の祝辞

本日応用化学専攻褒賞・奨学金を授与された皆様、誠におめでとうございます。こうした褒賞・奨学金は、それぞれが熱い思いを持った個々の先輩諸氏や高い志による財団からの寄付によって成り立っています。本日受賞された皆様は、こうした先輩や財団の思いをしっかりと受け止め、努力を積んでさらに大きく飛躍されることを心より期待いたします。
さて、日本の戦後の発展を振り返ってみますと敗戦から皆で努力して復興に取り組み、1970年代には、Japan as No.1とまで言われるようになりました。これは中小企業を含め個々の企業が、生産現場を熟知した技術者達によって継続的な日々の改善に取り組み、効率でも、品質でも、安全性でも質の高い生産体制を構築できたためでした。日本の日々の改善という取り組みはContinuous Improvementとして世界の1つのモデルにもなりました。しかし現在においては海外各国がContinuous Improvementを含めたISO等のManagement systemを採用定着させるようになり、その結果、今日の競争力の基盤は、あるステージの質の高い操業能力というよりは、そのステージから一つ上のステージにJump upできる技術開発能力あるいは技術適応能力に移っています。海外の有力な企業では競合する他社がそうしたJump upの技術を発表した場合には戦略会議等を開いて、その競争上の脅威の程度や技術的な対応を議論します。その場合、その技術分野の総説(Review Article)をイメージできる博士レベルの人材が集められます。総説とはその分野に関する主要な報文を網羅して議論するもので、そうした視野の中から研究が進んで産業としての技術が確立しているところ、開発途上のところ、戦略上重要だがまだ空白のところ等をMappingして明確にするのですが、自分の技術研究の軸を基点としてそうした現状技術の世界地図のようなイメージを持っているエンジニアが、遂行すべき自社戦略を議論するためには重要になります。特に海外で仕事をする場合には、こうした総説的な視野をもって戦略的な議論に参加できるかどうかによって能力評価や今後の仕事のAssignmentに大きな差が生じます。
特に日本では少子高齢化が進んでおりますので、これからの人材にはこうしたより付加価値の高い活動が期待されるでしょう。皆様はそうした活動ができるポテンシャルを十分持った人材ですので、これからの大いなる活躍を心から期待しております。
本日は誠におめでとうございました。

 

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