早稲田応用化学会の設立五十周年の記念事業の一つとして、昭和47年(西暦1972年)に「早稲田大学応用化学半世紀の回顧」が発行されました。応化会事務局に保管されていた本回顧録を広報委員会でPDF化致しました。
本回顧録では理工学科の開設と応用化学科の誕生のいきさつや、教員、OB、学生との交流と教室・学生への後援を目的として、応用化学会が設立されたことの理解を深めると共に、本年百周年を迎える応用化学会の基盤を顧みることができると思われます(一部、本文引用)。
ぜひご一読ください。
「応化会活動」カテゴリーアーカイブ
【ご案内】「第16回先端化学知の社会実装コロキウム『再生可能エネルギー利活用技術の開発と評価と社会実装』」対面開催のお知らせ
本コロキウムでは、科学技術の社会実装の方法論や化学が貢献できる社会的課題および化学技術の社会実装例を学ぶとともに、具体的なテーマを設定しながら、課題解決のシナリオを議論し社会との連携・協働を図る事を目的とします。
今回は、「再生可能エネルギー利活用技術の開発と評価と社会実装」をテーマとします。
日時:2023年2月27日(月) 14:00~17:20
会場:西早稲田キャンパス61号館210教室(先着100名)
University of Philippines DilimanよりJoey D. Ocon教授およびJulie Anne D. del Rosario准教授を迎え、「離島への再エネ電力システムの実装」と「高効率な水電解水素製造に向けた酸素生成反応の基礎」をご講演頂きます。
また、
本学の花田専任講師:「水素の貯蔵供給技術」
アナンタラジ博士:「高効率水素製造のためのメタノール電気化学酸化」
ナタラージャン博士:「使用済みリチウムイオン電池のアップサイクル」
ティアヘンイ博士:「ライフサイクルアセスメントによる環境配慮型技術開発の支援」
の発表があります。
カーボンニュートラル達成に向けて、技術の開発、評価、社会実装を通して議論します。対面・英語で開催します。
詳細:https://www.waseda.jp/fsci/wise/news/2023/01/30/8533/
先端化学知の社会実装領域:https://www.waseda.jp/fsci/wise/initiatives/chemical-2/
卒業生へのインタビュー(第4回)
元第一三共株式会社代表取締役、元早稲田大学創造理工学部客員教授 荻田健さん
2022年1月15日:オンラインにて開催。
1973年 早稲田大学理工学部応用化学科卒
1980年 東大農学系研究科博士課程修了(応用微生物研究所)
三共株式会社入社
研究所で医薬の研究(約20年)
開発部門で医薬の開発(約10年)
第一三共株式会社(2007年、第一製薬と合併)
取締役 専務執行役員(2009年~2016年)
早稲田大学創造理工学研究科客員教授 (2017年-2021年)
今回は研究からグローバルプロジェクトマネジメント、経営に至るまで幅広い経験に基づくお話を伺った後Q&Aに答えて頂く流れでのインタビュー記事になります。荻田さんから学生・若手へ以下の内容での話がありました。
- 製薬会社の主力製品について(ドラッグストアで購入できる一般医薬品と、医療用医薬品について
- 新規医療用医薬品を世に出す:探索ターゲットから臨床試験以外の研究分野まで
- 新薬ビジネスの特徴:研究開発費と研究の成功確率について
- 荻田さん自身のキャリアパスについて(研究~プロジェクトマネジメント~グローバル変革への対応~経営戦略(取締役専務執行役員としてのタスク)
- 製薬企業のおかれた状況
新薬創生の難しさ、複雑化
多様な経営戦略 - これからの時代と経営戦略、社会との持続的成長とご自身の経験としてのこれまでの社会変化への重ね合わせからの振り返り
- これから社会に踏み出す若き才能に向けてのエール
荻田さんからのメッセージを受けてのディスカッションでは以下のようなやりとりがありました。
-Be Professionalについてどうすればその領域に近づけるとことが出来るのか教えてください
(荻田さん):皆さんは学部生あるいは大学院生として既にProfessionalな仕事に触れていると思いますが、自分の好きなことを一生懸命に取り組んでいるうちにその意識づけが出来てくる様に思います。会社での研究におけるプロ意識もその延長線上にあると思います。
一朝一夕には行きませんが、繰り返し仕事に取り組んでいくうちに、この領域なら自分が強みを発揮でき、他の人にはそう簡単に負けないという意識が自然に持てるようになりました。そうなるとしめたものだと思います。
-自分がこれなら(社会人として)やっていけると自信を持たれたきっかけなどありますでしょうか。
(荻田さん):私の専門は狭い研究領域でしたが、その仕事はほかの誰にも負けないという意識は自分自身の考え方にプラスに働きましたし、学会での受賞経験は外的な評価という点からも自分に勇気を与えました。ポジティブな経験を積み重ねていくことが重要です。仕事のの目標設定を必要以上に高く設定する必要はないと思います。ハードルをクリアーするたびに自分自身の仕事に自信が持てるようになりました。
-大学生生活もまだ十分にいろいろなことが経験できていると自覚できる立ち位置にいません。様々な経験をこれまでされてきている中で経営者の視点からアドバイスを頂けますでしょうか。
(荻田さん):私の学生時代はキャリア形成に関する考え方もはっきりしていませんでしたが、現在では環境も大きく変わり、積極的に自分のキャリアを積上げていくことは重要だと思います。たとえば会社での所属部署が変わるようなとき、それはその後の自分の進むべき方向に役立つかどうかはその時にはわからないかも知れませんが、広く経験されることにより将来に生かされる事案は多いと思います。
-医薬品の研究開発で成功確率が低いことに驚きました。日々の研究において自分自身もうまくいかないことが多いですがその中でもモチベーションを維持できる意識づけについて教えてください
(荻田さん):私自身は研究していること自体が非常に面白いと感じていました。研究成果も重要ですが、その研究に興味をもって没頭することで探求心は研ぎ澄まされて行ったように思います。また、同僚との議論の中で目的意識を共有、確認することも大切でした。。「うまくいかない」のではなく、その結果も含めて研究は興味を持って考えていくことが一つのヒントになるのではないでしょうか。
-マテリアル・インフォマティックスのようにビッグデータを扱うことで研究環境も変わるのでしょうか(例えば研究室で一人がAIを駆使して研究を進めていくような環境になるのでしょうか)
(荻田さん):この質問は私にはちょっと難しい質問です。なぜなら、私の時代にはビックデータを扱う研究環境はなかったからです。従って一般論としてしかお答えできませんが、IT革命が進む中での化学との付き合い方も当然変わってくると思います。例えば今から5年前に現在の姿が想像できたかといえばそれはまた違った成果として現在があるわけです。少なくともこれまで以上に新しいことにポジティブに取り組んでいくという姿勢が必要だと思います。何が正解かは私にもわかりませんが前向きに考える姿勢が重要だと思います。
-研究を離れてマネジメントに転身された際に、研究者としての道を続けたいと考えましたか
(荻田さん):研究もある程度キャリアが長くなってくると研究自体もスペシャリストというよりは全体を見渡すような役割に段々と変わってきます。その時点ではジェネラリストとしての意識づけも自分自身の中でありましたのでマネジメントへの移行はしやすかったと思います。部下が多くなってくると人間関係などにも気を配ることが多く、それがグローバルになるとさらに考え方の違いなどにも考慮しながらマネジメントするエネルギーが要求され、自分自身から積極的に飛び込んで行くようにしました。
(写真:社内理科系社員による稲門会)
インタビュー参加者:
学生委員会:高田こはる(B4)、吉田七海(B4)、横尾拓哉(B3)、原田拳汰(B2)、吉村尚(B2)、
春原晴香(67期)、加来恭彦(39期、広報委員会)
もうすぐ応化会100周年⑤
今年は早稲田応用化学会100周年の年です
新年おめでとうございます。いよいよ本年は早稲田応用化学会100周年、5月20日(土)の「応用化学会100周年記念講演会・祝賀会」まであと4か月です。そのほか、100周年を期して様々な取組を行って参りますのでよろしくお願い致します。
・100周年記念講演会・祝賀会
参加の申し込みはいつから開始されるのかとの問い合わせがありました。
現在、2月上旬から申し込みを開始する様に準備しています。しばらくお待ちください。
申し込み期間は2023年2月6日~3月31日とする予定です。
手続きは早稲田応用化学会ホームページから行うとともに、ホームページからの申し込みが困難な方には別途郵送等で対応いたします。
当日のスケジュールは以下の通りです。
15:00 – 16:30 記念講演(場所:大隈記念小講堂 早稲田大学総長 田中愛治先生)
16:40 – 17:00 バーチャル・ツアー(場所:大隈記念小講堂)
17:00 – 18:00 祝賀会受付(場所:リーガロイヤルホテル東京3F ロイヤルホール)
18:00 – 20:30 記念祝賀会(立食パーティー)
※立食形式での開催が可能となりました。
2023年1月23日
早稲田応用化学会 100周年記念事業担当 下村 啓(1984年卒 新34回)
<早稲田応用化学会100周年記念事業ポータルサイト>
https://waseda-oukakai.gr.jp/newhome/100nenjigyo_announce_potal/
NACs企画:企業が求める人材像を超えて~次世代共創に向けてのキャリア戦略を考える~(活動報告)
2022年12月3日(土)に「企業が求める人材像を超えて~次世代共創に向けてのキャリア戦略を考える~」が開催されました。
NACs(若手会)発足当初より若手OB/OG向けのキャリアに関する企画の需要が高く、講師として市場洋之さん(豊倉研究室1994年修了、新42回)をお呼びし、第1弾NACsキャリアイベントの開催に至りました。
市場さんは国家資格であるキャリアコンサルタントを取得され、企業でのキャリア支援に従事されています。この度応化会若手OB/OGを対象としてキャリア戦略を考える会をアレンジいただきました。
様々なキャリア戦略の理論の紹介や、ワークショップでの自己理解、自己開示を通じ、キャリアのモヤモヤの整理方法、仕事への向き合い方について学ぶことができました。
理論では、様々な研究者のキャリア戦略に関する理論が紹介されました。ワークショップ、ケーススタディでは年代の近い3-4名のグループごとに、個人ワークでの結果共有や意見交換などが行われました。
グループのメンバーに対して共有することで、言語化の過程で、モヤモヤとした自身のキャリアへの考えの整理が進みました。加えて、フィードバックにより自身がうまく言語化できなかった箇所や気づかなかったことも指摘され新たな発見がありました。
市場さんのお話の中で非常に心に残った言葉が、「視点を変えて物事を見てみる」、「キャリアは一人で悩まない」です。
一つの事象に対しても、見方を変えることでポジティブにもネガティブにも捉えることができます。例えば、「つまらない」と感じる仕事であっても、「この仕事から何か今後に役立つ技術を身に付けよう」、「今持っているスキルでどのように効率的に終わらせようか」といった、視点を変えることの重要性を学びました。
「キャリアは一人で悩まない」については、積極的にキャリアに関するモヤモヤを、親しい仲間や先輩と共有し議論することが悩みを解決していく大きな手段であると感じました。また、雑談や飲み会といったコミュニケーションの機会も大事であると再認識しました。
本企画は若手OB/OGを対象とした企画でありましたが、学生参加者も多く、社会人、学生共にキャリアへの関心は非常に高いことがわかりました。
若手OB/OGのアンケート結果では、「自分自身をメンテナンスするとてもいい機会にもなりました」、「キャリアのモヤモヤの整理の仕方を学ぶことができました」などといった感想が多く、若手OB/OG自身のキャリアを見つめるよい機会となりました。
また学生からは、「学生のうちからキャリアについて考えることができる、貴重な機会だった」、「今後も様々な世代の方と交流して視野を広げていきたい」といった感想がありました。
本イベントを通じて、近い境遇の早稲田の仲間と集まれ、共に語り合える環境が早稲田応化会の財産であると再認識しました。NACs(若手会)として今後もキャリア企画の拡充に努めていきたいと感じました。
追伸、国家資格キャリアコンサルタントの方、事務局まで連絡をお待ちしております。
(文責:政本)
もうすぐ応化会100周年④
100周年記念講演会・祝賀会に関する情報伝達とアンケートの御礼
来年の5月20日(土)に「応用化学会100周年記念講演会・祝賀会」を大隈小講堂、リーガロイヤル東京で開催するご案内を差し上げてから1か月がたちました。ご案内に際しては出席意向等のアンケートをお願いしました。現在、データをまとめているところですが、回答を頂いた多数の方が出席の意向をお示しくださいました。参加者の期待に応えられるように企画を詰め、準備をしていきたいと思います。ありがとうございました。
なお、祝賀会会場はリーガロイヤル最大のお部屋です。多くの会員の方の参加を期待しております。応化会HPの100周年ページもご覧ください。順次更新してまいります。
https://waseda-oukakai.gr.jp/newhome/100nenjigyo_announce_potal/
11月の案内発信にご協力頂きました各研究室の先生方、応化会評議員の皆様、若手の会、学生委員会の皆様に御礼もうしあげます。引き続きそれぞれの連絡網の活用をお願い致します。そして、なるべく多くの方が応化会に住所、そしてメールを登録頂きますと嬉しいです。
少し早いですが、今年1年お世話になりました。良い年をお迎えください。
2022年12月20日
早稲田応用化学会 100周年記念事業担当 下村 啓(1984年卒 新34回)