早稲田応用化学会 第38回交流会講演会―質疑応答の概要

2022年9月10日(土)15:00~17:10 (Zoomによるリモート開催)

質疑応答の概要
Q1. (参加者) 私は、今住んでいる市の環境政策の提言をする会に参加しています。市町村がイニシアティブを持って政策を進めていけるような切り口とかを教えて頂けないでしょうか。
A1.(宍戸氏)地域の枠組みとか仕組み作りがメインになると思われます。リサイクルとか再エネといった、住民の方々が気軽に参加出来るような仕組み作りをどのように行うか、ということが1つの考え方になると思います。ゴミ問題も対象になるでしょう。環境意識調査に関しての望月さんのお話しの中で、エコ電力を買う人の割合が半数を超えていましたが、環境に優しいことをすることが良いことであるという市民意識が芽生えていると思われます。このような観点もあるといいのではないでしょうか。
A1.(望月氏)ドイツでは原発を保有する電力会社の電力料金よりも、再エネオンリーの会社の料金の方が安いです。ドイツ国民は安い方を選びます。発電電力の44%は再エネによるもので、豊富な電力となっています。
Q2. (参加者) ドイツの原子力の見直しに関し、政権とか市民の方々の捉え方はどうなんでしょうか。もう一つは風力に関してですが、環境破壊の観点から反対の動きはないのでしょうか。
A2.(望月氏)ウクライナ侵攻によるエネルギー不足に対応して、2つの原発は来年の4月まで稼働可能な状態に保ちますが、CDU(キリスト教民主同盟、保守系)は4月に停止どころか、脱原発を止めることを国会で頻繁に述べています。しかし、ドイツ国民にはこの考えは受け入れられていないと思います。脱原発の方針は不変と見ています。風力に関してですが、風車を設置する場合に住居との最小距離を設ける規則があります。これを満たせば住民は設置に反対出来ず、田舎に行くと風車が林立している光景が多く見られます。
A2.(宍戸氏)日本では山岳地帯が多く、風力が利用されていますが、バードストライクとか風切り音とか種々問題があるので、洋上風力に対して補助金が出される状況にあります。北欧では、少し離れた所に陸地を置いて風車を回すということが行われており、商社とプロジェクトを組んで実施しているのが日本の状況です。