2019年度学生工場見学報告

2019年9月19日開催
応用科学科 B2担任准教授 細川 誠二郎
教授 門間 聰之
教授 野田 優
応用化学会 交流委員長 椎名 聡
交流副委員長 関谷 紘一(記)

 

1.見学趣旨

大学側の教育行事として、応化学生に対し学部1、2年生を対象に、工場・研究所見学を催行し、企業の製造、生産管理、研究開発等の実態を学ばせ、今後の勉学への動機付を行うことを目的とします。開催時期は夏休み中の後半の平日とし、西早稲田キャンパスから日帰りで往復可能な地区の企業事業所・工場・研究所を対象とします。昨年は神奈川横浜・厚木地区でしたが、今年は川崎・足柄地区を選定しました。本企画の主管は教室、交流委員は支援。見学は先生が引率、交流委員は同伴。
(見学学生対象者は昨年までB2に限定していましたが、今年はB1も含めることを3月度教室会議で了承されました。)

2.開催日時

    • 9月19日(木)

07:45     西早稲田、理工キャンパス63号館ロームスクエア前集合
08:00     バスに乗車・出発
18:45     理工キャンパス帰着・解散(バス内でアンケート記入、下車時回収) 

3.参加者

    • 応用化学科学生B2学生26名、B1学生14名、合計40名、引率・同伴者5名、合計45名
    • 引率教員 下記担任教員及び指導教員が引率
      B2 担任 細川誠 二郎准教授 及び 門間 聰之教授、野田 優教授 以上3名
      同伴交流委員 椎名 聡交流委員長(新36、日本航空)、関谷 紘一交流副委員長(新18、元昭和電工)、以上2名

4.見学先 (川崎・足柄地区)

 AM エリーパワー株式会社 川崎事業所(川崎区水江町)

    • 住所 〒210-0866 神奈川県川崎市川崎区水江町4-7  電話: 044-276-8113
    • 事業内容:家庭用及び産業用の大型リチウムイオン電池および蓄電システムの開発、製造、販売
    • 施設内容:当該事業所は該社の唯一の同上製品の生産工場

 PM テルモ株式会社 テルモ湘南センター内 テルモメディカルプラネックス (足柄)

    • 住所 〒259-0151 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 電話: 0465-81-4112(代) 
    • 事業内容:テルモは「医療を通じて社会に貢献する」という企業理念のもと、3つのカンパニー(①心臓血管カンパニー、②ホスピタルカンパニー、③血液システムカンパニー)と7つ事業領域(①-1TIS事業・①-2ニューロバスキュラー事業・①-3カーディオバスキュラー事業・①-4血管事業、②-1ホスピタルシステム事業・②-2アライアンス事業、③血液システムカンパニー)を展開し、世界の医療現場と患者により良い製品とサービスを提供するために取り組んでいる。安全性や使いやすさを向上させる改良と改善、適正な使用のためのトレーニングの実施、また、医療現場全体の課題に応えられるようなシステムの提案などを通じて、医療の質の向上を追求している。
    • 施設内容:医療現場と同様の手術室やカテーテル室、模擬病室を有する総合医療トレーニング施設。該社製品の使用方法および使用手技の習熟のみならず、医師、看護師など医療従事者の技術向上の支援、顧客ニーズを取り入れた製品開発を進めるための環境・機能を整備している。

5.見学スケジュール

9:10      エリーパワー株式会社川崎事業所(川崎区水江町) 到着
9:10〜9:20   入場・会場誘導
9:20〜9:40   見学オリエンテーション(スケジュール/会社説明/工程説明)
9:40〜10:40   工場見学(2班に分かれて)
・定置用大型リチウムイオン電池工場見学
・停電&蓄電体験ルーム&同社電池の安全性試験見学
10:40〜11:10 早稲田応化を含むOB及び若手社員の方のご挨拶と簡単な業務説明 、及び同社副社長 河上様による該社事業と川崎事業所設備の概要説明

同社出席者(代表取締役副社長執行役員兼CTO 河上清源様*、常務執行役員 今井敏博様(応物OB)、上席執行役員 千葉道郎様、川崎業務部 長藤井康德様、生産技術部 中田様(応化OB)*、國宗様(総合機械OB)*、若手社員3名、人事部次長 玉井亜以子様*、浅井美玖様 (事務局)、以上11名、*印はコメンテーター)

11:10〜12:00 昼食
  ・テーブルに応化学生6名着席
  → 各テーブルに同社社員が1名以上着席し、食事をしながら会話を交わす形式

12:00〜12:15 クロージング、事務所前で集合記念写真撮影

 

12:15        バスに誘導、乗車、テルモ研究開発センター・テルモメディカルプラネックス(足柄)へ向け出発

13:45      テルモ湘南センター内 テルモメディカルプラネックス(足柄) 到着
13:45〜14:00 会場入室、企業及び施設概要説明、見学にあたりスケジュール、注意事項等説明
14:00〜16:00 施設見学・医療体験・最後に集合写真撮影

      プログラムは3グループに分かれて実施

16:00〜16:50 早稲田応化OBを含む先輩社員の方の業務紹介

 同社出席者(テルモメディカルプラネックス・シニアアドバイザー 黒田慎一郎様(応化OB新27回)*、研究開発推進部課長代理兼人事企画採用育成チームリーダー 北村隆始様、ホスピタルカンパニークリニカルサポート部エデュケーションプランニングチーム兼 テルモメディカルプラネックス主任 渡邊憲一様、評価センター 山口高輝様(電気情報生命・高松研、2015入社)*、コーポレートR&Dセンター 杉浦圭一様(2006教育学部生物学卒、2008理工学研究科生命理工専攻・加藤尚志研)*、研究開発推進部 人材育成チーム 綿奈部悠子様*、今泉夏香様*、以上7名、*印はコメンテーター)

16:50〜17:00 質疑応答
17:00〜17:10  バスに乗車・出発
18:45     西早稲田キャンパスに帰還、解散

  1. 見学後記
  • 今年は参加募集対象学生を昨年までのB2限定からB1及びB2に広げたこともあり、学生参加人数は昨年のB2生20名から40名(B1生14名、B2生26名)と大幅に増加しました。
  • エリーパワー川崎事業所、テルモ湘南センター内テルモメディカルプラネックス(足柄)とも見学受け入れには慣れており、かつ事前に当方の学生見学主旨を理解されており、両社の今回の見学ご担当(エリーパワー 玉井亜以子氏、テルモ 今泉夏香氏)はともに該社のご説明者を適切に人選され、会社及び当該事業所の概要説明、見学時の解説、見学終了後の両社技術者の方の業務歴説明も学部1年生、2年生に対し分かりやすい説明をされていました。
  • エリーパワー(川崎)では完全自動化された設備で、水分露点が厳しく管理された条件で、ほぼ無人製造ラインでリチウムイオン電池が製造、パッケージ化される工程を見学でき、事前に行きのバスの中で門間先生よりリチウムイオン電池の製造ラインの使命を制するのは水分濃度を下げること・露点を厳しく管理することとのアドバイス・講義を受けていた学生は、現実の製造ラインを見て納得したものと思われます。
  • 見学終了後のエリーパワー副社長 河上清源氏の、同社の創業、開発から大型リチウムイオン電池製造への経緯の説明で、当初の失敗体験、安全なリチウムイオン電池の製品化に注力し、他社や海外製品に対し優位な立場で事業展開できている等の内容は、学生に取っても大いに参考になったと思われます。
  • テルモメディカルプラネックス(足柄)では3班に分かれて医療現場と同様の手術室やカテーテル室、模擬病室等を見学し、実際の医療機器や医療治具がどの様に使用・操作されているかを確認した後、学生がカテーテル操作で模擬心臓冠動脈・脳冠動脈の梗塞部位をステントで拡大する体験と模擬上腕静脈から注射針で採血する体験ができ、学生に取って興味深い場になったと思われます。
  • 見学終了後のテルモシニアアドバイザー 黒田慎一郎氏(応化OB新27・高分子化学)の学生時代の研究と過ごし方、テルモ入社後の研究開発(血液分離技術)、米国駐在、研究開発・マーケティング、米国駐在、マーケティングに至る経緯でテルモでの業務を通じての経験談は学生に取って大いに参考になったと思われます。特に同氏が2008年~2018年に携わった血液バッグの開発から上市までの経緯で、市場開発→FS→製品開発→臨床試験→薬事申請→生産設計→量産化/製造→販売までのステップを通じ取り組んだ姿勢は参考になったと思います。
  • 但し、今回の見学では企業側の説明、レクチャーに時間が取られ、質疑応答の時間が殆ど取れなかったのは、学生に取って残念でした。
  • 帰りのバスで学生から回収した今回の見学会のアンケート結果も、見学会については実施方法、開催時期、見学先の選定、内容とも概ね好評であり、今後も継続を希望しております。今後の見学先の希望は総合化学(58%)、化粧品(35%)、鉄鋼金属(23%)、食品関係(23%)の順となっています。
  • 今回は参加募集学生対象をB1及びB2に広げ、参加学生が40名(当初申し込みは46名)に達したので、来年以降も対象学生はB1及びB2にしたいと思います。

 

  以上

(文責:交流委員会)