平沢泉先生におかれましては、本年3月にめでたく古希をお迎えになり、本年度をもって応用化学科を定年退職されました。ご退職にあたり、記念行事として去る3月16日土曜日に最終講義および記念会が開催されました。
最終講義は西早稲田キャンパス57号館201教室で開催されました。雲一つない快晴の中、250名を超す参加者が集まり大盛況でした。14時に開会され、まず応用化学科主任の下嶋敦教授より平沢先生の履歴および業績紹介がありました。また永年にわたる大学および教室運営へのご尽力に感謝の意が述べられました。
続いて平沢先生の最終講義「先進晶析工学の実践」が始まりました。はじめに、平沢先生の主査で学位を取られた方22名の紹介がありました。感謝の意を表され、平沢先生の学生思いの一端が冒頭より感じられました。晶析工学とは何かから、化学工学的視点からの晶析工学、また、平沢先生が大事にされていた、企業、独立行政法人との共同研究が紹介され、豊倉賢名誉教授から続く、早稲田晶析工学の流れがはっきりしました。
つづく研究紹介では、蓄熱技術(潜熱蓄熱)、環境分野における反応晶析による未利用成分の選択的除去、医薬品食品分野での有機物結晶の品質制御、高分子添加剤による晶癖制御粒径制御、原子力分野におけるスケーリング防止技術などの説明が続きました。特に平沢先生が得意とされていた超音波による核化成長制御のお話は、我々にも分かりやすく説明をしてくださり、その有用性をよく理解することができました。講義の最後にも学生への感謝で締めくくられ、会場全体が温かく一体感のある最終講義となりました。
その後、化学工学部門の代表として野田優教授が感謝の言葉を述べられ、花束贈呈が行われました。
引き続き、記念会がリーガロイヤルホテルのダイヤモンドにて開催されました。18時よりはじまった記念会は、研究室OB・OG会の岸本信一会長の挨拶で始まりました。ご来賓の中井浩巳化学・生命化学科主任、河村宏元応用化学会会長から挨拶を頂いたあと、早稲田応用化学会の濱逸夫会長よりご祝辞ならびに乾杯のご発声を頂き、歓談に移りました。
途中、研究室OB・OGを代表して2007年に学位を取得された宮坂悦子さんに挨拶をお願いし、平沢先生との共著がある久保田徳昭岩手大学名誉教授よりご祝辞を頂きました。最後に、平沢先生にご登壇いただき、挨拶を頂きました。早稲田大学応援部リーダーとチアリーダーによる演目と校歌斉唱が続き、記念撮影を行った後にお開きとなりました。記念会には200名を大幅に超える参加者があり大盛況でした。
会場のあちこちで旧交を温める話の輪が広がり、平沢先生を囲む方たちも途切れることなく続きました。あっという間の2時間でしたが、平沢先生のお人柄が十分反映されたとても華やかで温かな会となりました。
最後になりましたが、最終講義および記念会にお越し頂きました皆様方、そして多くの温かいお言葉をくださいました皆様方に心から感謝申し上げます。
(文責:小堀 深)
平沢 泉 教授 ご略歴
1976年3月早稲田大学理工学部応用化学科 卒業
1978年3月早稲田大学理工学研究科応用化学 修了
1978年~1989年荏原インフィルコ、荏原総研 主任研究員
1988年10月工学博士授与 (早稲田大学)
1990年4月早稲田大学 助教授
1995年4月早稲田大学 教授 現在に至る
この間
1995年―1996年中央環境対策審議会 委員
2004年―2006年中央環境対策審議会 委員
2008年―2010年化学工学会 関東支部長
2006年―2012年人材育成センター 理科教育委員会 委員長
2006年―2024年国際交流センター 中国委員会 委員長
2009年―2010年化学工学会 材料界面部会 晶析技術分科会 代表
2009年―2011年中央環境対策審議会 委員
2010年―2023年EFCE WPC Scientific Committee member
2014年―2020年早稲田大学環境保全センター 所長
2015年―2020年私立大学環境保全協議会 理事
2021年―2024年早稲田大学 応用化学会 副会長
賞罰:
1982年 下水道協会 優秀論文賞
2000年 化学工学会 技術賞
2000年 分離技術会 ポスター賞
2005年 分離技術会 技術賞
2005年 化学工学会 功労賞
2012年 化学工学会 功労賞
2014年 インド化学工学会 優秀発表賞
2017年 化学工学会 2016年度論文審査貢献賞
2018年 化学工学会 JSCEJ 優秀論文賞
2019年 化学工学会 フェロー
所属学協会:
化学工学会、分離技術会、アメリカ化学工学会、日本化学会、水環境学会、日本結晶成長学会、海水学会、ヨーロッパ化学工学連合、日本原子力学会