第7回 フォーラム「企業が求める人材像」 (2015年度)

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― 企業の多様な業務に耐えられる人材とは ―
西早稲田キャンパス57号館201教室
平成28年1月16日(土)

1.はじめに
「こんなはずじゃなかった」-就職には付きもののこの定型句も、決して古語ではない。このイベントは、元々就職活動に備える学生たちが、在学中に応化会の諸先輩方から励ましやアドバイスを得る場として、2009年10月3日にスタートしたものである。その間、菅原教授のリードのもと、グローバル化への対応、リーダー論、企業における研究職とは、など有益で活発な議論が交わされてきた。第7回となる2015年度は、「企業の業務の多様性と実際」を主題に、6名の多彩な経歴を有するパネリストをお招きし、2名の学生代表にも参加してもらい、各々の経験に基づく思いをぶつけあった。

2.趣旨と討論
00大学時代に研究に没頭し、就職したら研究職以外の職に就いたという例も多い。企業活動が多くの業務によって成り立ち、就職後も年齢、能力、職位等に応じて職務が変化していくことは日常茶飯事である。これらの事実を踏まえ、1)会社にはどのような仕事があるのか、2)大学で何を学び、どう過ごすか、といったことを主題にそれぞれの考えを披瀝していただいた。研究・開発、製造、環境保全、品質保証、知的財産、事業企画、営業・販売など、例え様々な業務に就いても、そこで全力を尽くすことの大事さは皆が体験してきている。事前の取り決めに基づき、詳細を記すことはしないが、それぞれ所属する企業、業務履歴、年齢、経験も大きく異なるパネリストからは、普遍性を持つ示唆に富んだアドバイスをいただくことができた。時にモデレータの意見と大きく異なる本音の意見も飛び出し、いろいろと考える良い機会になった。

3.パネリストと学生代表の紹介
松田直人氏
1989年 理工学研究科応用化学専攻修了(清水研)、富士フイルム株式会社入社、有機合成部門、新規フィルム商品化経験。人事部、医薬品事業部を経て(社)再生医療イノベーションフォーラム出向(事務局長)、2015年同社を退社し、株式会社iPSポータル入社、社長室長として事業開発・契約関係等で活躍中。
山崎律子氏
1993年 理工学研究科応用化学専攻修了(西出研)、花王株式会社入社、洗浄系商品開発(ビオレ担当)、東京工業大学大学院受託研究員として学位も取得、高分子学会、日本油化学会で役員を歴任。現在スキンビューティ研究所第2研究室にてグループリーダーとして活躍中。
土屋勝則氏
1993年 理工学研究科応用化学専攻修了(黒田研)、大日本印刷株式会社入社、研究開発センターで開発を担当した後、米国技術駐在員として大学との共同研究企画等経験。本社 研究開発・事業化推進本部を経て現在ライフサイエンス研究開発部で事業化を推進。また業界団体の部会長としても活躍中。
川村容子氏
2006年 理工学部応用化学科卒業(西出・武岡研)、2009年早稲田大教育学研究科学校教育専攻修士課程修了。2011年アレクサンドル・イオン・クザ大学文学部聴講生、在ルーマニア日本国大使館勤務。2014年から外務省国際協力局民間援助連携室にて勤務。また同年一般社団法人モルドバジャパンを設立し活躍中。
西山美香子氏
2008年 理工学研究科応用化学専攻修了(黒田研)、ライオン株式会社入社、プロセス開発研究所で製造技術研究、オーラルケア研究所で製品開発研究を経験し、現在は包装・容器技術研究所にて支援研究(包装、調香、環境・安全、分析)で活躍中。
伊地知翔太氏
2014年 理工学研究科応用化学専攻修了(桐村研)、株式会社タイカ入社 研究開発室要素技術研究グループを経て、2015年より研究開発室素材研究グループで活躍中。大学時代とはまったく異なるUV硬化型ゲルの開発や製品改良、分析、営業同行も経験。
学生代表として、野口貴之君(ナノ理工学専攻 修士1年、逢坂・門間研)、田中徳裕君(応用化学科3年、平沢・小堀研、元学生委員学部生部会代表)にも討議に加わっていただいた。

4.パネリストならびに学生からのメッセージ
フォーラムを締めくくるに当たり、パネリストの皆様から学生への応援歌として貴重なアドバイスをいただいたので、いくつか紹介しておきたい。「肌で感じ、足で稼ぐ。好奇心を持ち続けること」「人とのつながりを大切にすること」「自信をもって世に出よ。成長だとか焦らないこと。その準備として、学生のうちは実験に遊びに濃くあれ」「学生のうちに感じていることを忘れないで」「エリート意識を持て」「どんなこともがんばってください」。 これらの励ましの言葉を受け、学生たちからも、「社会人に求められる能力は必ずしも研究能力だけではない。日々の活動に全力で取り組むことで「自分らしさを出せる力」を持ちたい。自信を持って精いっぱいやっていく」「責任感、まじめさのことを考えた。この人ならば仕事を任せられると思われる人になりたい」と力強い言葉があった。

フォーラム会場

5.おわりに
討論を終え、新生なった理工カフェテリアに場所を移し、菅原先生ならびに三浦応用化学会会長の挨拶に続いて、パネリストを囲んで親睦を深める時間を過ごした後、名残惜しくも、学生委員によるエールと一本締めでお開きとなった。今回モデレータとして特に、会場の参加者を交えた双方向的議論を実現したいと思っていたが、力不足でできなかった。皆様より寄せられたご指摘を真摯に受け止め、参加者全員がより本音で語り合えるイベントの実現に向け機会があれば挑戦をしてみたいと改めて感じた。多忙な中、参加下さったパネリストの方々、すべての参加者の皆様に厚く御礼を申し上げる。

懇親会場の写真  ⇒ こちら

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(記 モデレータ 和田宏明〔新制29回、応用化学科教授〕)

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