2024年度応用化学科・応用化学専攻『学位授与式』祝辞(2025.3.26.)

濱  逸夫

先ずは皆さん、本日は本当におめでとうございます。皆さんの新たな出発に際し、皆さんへの熱い想いを込めて、お祝いのメッセージを贈りたいと思います。

今日を起点にまた皆さんの新しい生活が始まります。ここにいる皆さん夫々が、様々な想いをもってここに出席されていると思います。ただ今日のような人生の一つの節目こそ、自らのこれからを考える大切な時間にしてほしいと思います。

早稲田大学応用化学科での生活は、当初はコロナに翻弄された時もあったと思いますが、その中でも皆さんにとって、様々な先生方や先輩、そして友人達との新たな出会いがあり、大変充実した時間であったと思います。もちろん楽しい経験だけでなく、悔しい経験もあったと思いますが、その全てが皆さんのこれからの人生を築いていく財産として蓄積されています。

以前は世の中で決められたことや当たり前と思われていることをキッチリ言われた通りやることが求められ、称賛されました。特に日本においては、そんな風習が根強く残っていました。

しかしながら時代は大きく変わっています。世の中で当たり前と思われていることを、敢えて異なる視座から捉えて、今までとは全く異なる結論を導き出す。これはイノベーションの原点かもしれません。そして、一度上手く行くと益々面白くなって、自分で考え、自分で動くことを繰り返すのが当たり前になる。 『自分の頭で考え、自ら行動に移せる能力が高いかどうか』
こんな人材が、今の時代最も重要です。

企業においても、その会社の旧来のカルチャーや当たり前に疑問を持ち、
新たな視点で、新たな提案をし、新たな行動を起こす能力が求められています。

人は2~3年経つと、その組織のカルチャーに染まってしまうので、新卒入社やキャリア入社で、異なる環境に移った時が、異なる視点で物事を考え、行動を起こす絶好のチャンスだと期待されています。ベテランになると中々これが出来なくなります。

与えられたものではなく、常に自分でデザインし、チャレンジを繰り返して行かねばなりません。そして、常にポジティブに物事を捉えて、前に進む。そして壁にぶつかった時は、一人で悩まず、心を開いて話をする。気軽にそんな話をできる仲間を如何に多く作るかも、これからの人生にとって大変重要です。

今日を起点に、また皆さんの新たなキャリアが始まります。これからの人生を本当に有意義な、楽しいものに出来る大きなポテンシャルが、皆さん全員にあります。とは言っても、未だ自分のやりたいことや自分の人生をかけてチャレンジしたいことが見えている人は少ないかもしれません。若い皆さんには、新たなキャリアにチャレンジする多くの時間があります。全く焦る必要はありません。

生成AIが進化し、あっという間に様々な情報が手に入ります。ただそれは自分自身の意見や考えではなく、不特定多数の人達の情報や意見であることを忘れないでほしいと思います。得られた情報や考え方が真実であるかどうかも分かりません。人生の主役はあくまでも自分。どんな時代になっても、常に自分の頭で考え、自ら行動することを忘れずに、挑戦を続けてほしいと思います。

多様な視座をもって物事を見る、そして自ら考え、仕掛ける能力を身につけることは、研究の世界でも、ビジネスの世界でも非常に重要です。

そして最後にもう一つだけ、皆さんに伝えたいことがあります。それは

“何事にもおもしろいと思ってチャレンジすること”、そして
“心を震わせ多くの感動を感じること”そしてどんなに成功しても
“常に人への感謝を忘れないこと”

この3つのことを心に刻み、様々なことに挑戦し、皆さんの持っている無限のポテンシャルを大きく花開かせてください。

ここにいる皆さんから、世界で憧れられるような素晴らしい人材が数多く誕生することを期待して、私からのお祝いのメッセージにしたいと思います。
本日は本当におめでとうございました。

                             以上

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