応用化学科・応用化学専攻『学位記授与式』祝辞

応用化学科主任 下嶋 敦先生

応用化学科主任 下嶋 敦先生

ご卒業、修了おめでとうございます。本日ご列席されているご家族、ご関係の皆様方にも心よりお祝い申し上げます。

卒業、修了される皆さんは大学生活の多くの時間を、新型コロナウイルス感染症によるさまざまな制約のなか過ごされました。大学に入構できない期間があったり研究室での活動時間が制限されて思うように実験ができずに苦労されたと思います。また、講義や実験がオンライン化されたことで、友人達との交流の機会も激減してしまいました。そのような困難を乗り越えてこの日を迎えられたことに敬意を表したいと思います。

これから修士課程に進学される皆さんは、より高いレベルの研究をすることになります。研究というのは新しい、未知の領域を探求するものですので、楽しさと同時に難しさも感じると思います。大学の研究は企業の研究開発とは違いますので、成果が出れば良いというものではありません。大事なのは失敗を重ねてもそれを糧に皆さんが成長することですので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

社会人になる皆さんは、これからが新たな人生のスタートとなります。大学で身につけた知識や技術はもちろん、論理的思考力や創造力などをフル活用して、それぞれの道で大いに活躍していただきたいと思います。大学での研究と関係する仕事に就くとは限りませんが、大事なのは課題に向き合う姿勢やそれを解決するための考え方や取り組み方です。そのような力は皆さんすでに十分身につけていますので、自信をもって前に進んでください。現在、世界が直面している気候変動や環境、エネルギー問題などの解決には応用化学の貢献が大いに期待されています。関連する業務に携わることになった際は、社会からの期待や要望が非常に大きいことを強く認識して、使命感を持って取り組んでいただきたいと思います。

さて、現在世界情勢は目まぐるしく変化していて、先行きも不透明です。コロナ禍で経験したように、私たちを取り巻く社会環境はさまざまな要因で急激に、大きく変化します。このような予測の難しい時代を生き抜くためには、これまでの常識や固定観念にとらわれず、変化を積極的に受け入れて、柔軟に対応する必要があります。自らの専門に基づく役割を自覚し、主体的に考えて行動に移すことはもちろん大事ですが、一人では何も成し遂げられません。大切なのは、人と人との繋がりだと思います。社会に出るとたくさんの出会いがありますので、多様な人たちと積極的にコミュニケーションをとって、リーダーシップを発揮して組織を導く立場になることを期待します。学科専攻の友人達とのネットワークや教員との繋がりも是非利用してください。

皆さんがこれから歩む道は平坦なものではなく、失敗や挫折もたくさん経験するでしょう。それらを乗り越えることで更なる成長や発展があります。10年、20年後の目標に向けて、自分を常に客観的に見て弱いところや足りないところを認識し、自らを高める努力を怠らないようにしていただきたいと思います。皆さんが、早稲田大学の応用化学科・専攻で学んだことを活かして、さまざまな分野で活躍し輝かれることを祈念して、学科専攻主任からの祝辞とさせていただきます。本日はご卒業・修了おめでとうございました。