本日は、徹底した感染対策の上、最後にこのように一堂に会することができたこと、大変嬉しく思います。このように盛大な式典を運営・開催していただきましたこと、並びに本日ご臨席を賜りました先生方や来賓の皆様に、修了生を代表し、深く御礼申し上げます。
六年前、大好きな化学を社会に役立てたいという強い思いを持って入学したこともあり、研究室配属後は企業と共同で製品の実用化を目指す、応用寄りの研究テーマを選択しました。しかし、自らが夢に描いていた『化学を社会に役立てる』ということは、実は非常に難しいということを、身をもって体験しました。社会に役立つ製品を作るためには、ただ単に高い性能を実現するだけでなく、個々の作製プロセスが十分に簡易・実用的で、かつ、実用に足る性能を再現良く実現する必要があります。また、社会に役立つ製品を作るためには、広い視野を持つことも重要です。時には数十年・数百年後の未来のために現在開発している技術の環境負荷について考える必要もあります。なかなか思うようにいかず、多くの失敗も経験しましたが、決して教科書では習得できない、貴重で実践的な学びを得ることができました。
近年、社会の変化は目まぐるしく、特にコロナウイルスの感染拡大によって社会の状況は一変しました。予測不能で、求められるニーズが絶え間なく変化する社会であるからこそ、化学産業においても、迅速に社会のニーズを見極め、より短いスパンで付加価値の高い技術を生み出していくことが求められているのだと思います。
社会に役立つ技術を生み出すことは簡単ではありませんが、応用化学科で学んだことを胸に、長年にわたって国内外問わず多くの人々から愛されるような技術を実現すべく、研究者・エンジニアとして活躍していきたいと考えています。そして、今まで多くの人々に支えていただいた分、今度は私が助けになれるよう、社会人として人間的にも成長していきたいと考えています。
最後に、熱心にご指導くださいました先生方、私たちの日々の活動を支えて下さった大学職員の皆様、そして、卒業式の開催にご尽力くださいました皆様にお礼申し上げます。また、この六年間を通して、多くの素晴らしい友人に出会うことができました。頼もしく多くのことを教えていただいた先輩方、苦楽を共にしてきた同期、後輩のみんなには本当に感謝しています。そして、今まで二十四年間、常に温かく見守り、応援してくれた家族に本当に感謝しています。
今後の早稲田大学及び応用化学科の更なる発展と皆様のご多幸・ご活躍をお祈りいたしまして、答辞とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。
二〇二二年三月二十六日
早稲田大学 先進理工学研究科 応用化学専攻 修士二年
安井 浩太郎