本日は我々卒業生のために先生方やご来賓の皆様の御臨席を賜りこのような盛大な式典を催していただきましたこと修了生を代表して心より御礼申し上げます。
思い起こせば6年前東日本大震災の直後でまだ混乱が残る中、希望と不安を胸に私は早稲田大学に入学しました。無事に今日という日を迎えることができたのはひとえに早稲田大学で出会えた大切な方々のおかげであると強く感じております。伝統ある早稲田の学び舎で諸先生のご指導のもと、そして友と過ごした6年間は何事にも変えられない大変貴重な時間でした。応用化学科では幅広い分野にまたがる数々の講義を受け、化学の基礎を学びました。ときには襲い来る課題の波に挫けそうになる時もありましたが、妥協せず取り組んでいくことで、私の中にある化学の知識の幅が広がっていくことに充実感を覚えました。研究室配属後は今までの学生実験とは異なり答えが見えないものへと挑戦していきました。自らの手と頭を使い、道を切り開いていく面白さを感じる一方、思った通りの結果が出ず思い悩む日々が続くこともありました。
しかしいつも近くには共に悩み議論を交わし合う先輩、後輩、そして同輩がいました。そして粘り強く研究に取り組んでいくことで100の失敗の中から1つの成功を掴み取ることが出来た、あの瞬間は今でも鮮明に覚えています。昼夜を分かたず実験活動に励んだこと、研究発表会において先生方から鋭いご指摘をいただいたこと、海外での学会において不慣れな英語で発表したこと、そして友と酒を酌み交わし夢を語り合ったこと、研究室での3年間で語り尽くせぬほど多くのことを経験しました。これらの経験はかけがえのないものであり、今後の人生において大きな助けになると確信しております。
これから先、私たちはそれぞれ新たな道を歩みはじめます。その道のりは長く険しいものとなるでしょう。しかし私たちは早稲田大学で学問と真摯に向き合った経験を誇りに、これまで身に付けてきた様々な力を発揮し、希望を持って立ち向かってまいります。「役立つ化学、役立てる化学」と言う応用化学科の精神を胸に社会に貢献していくことが、私たちのこれからの使命であり、同時に私たちを導いて下さった方々への恩返しになると考えています。
最後になりますが、未熟な私たちを温かく見守り厚くご指導していただきました先生方、学生生活の様々な場面で支えてくださいました職員の皆様、ならびに応用化学会の皆様に心より感謝申し上げます。そして苦楽を共にし笑あい助けあってきた友人、今日まで私たち子の成長を見守り常に支え続けてくれた家族に改めて深く感謝し、厚く御礼申し上げます。
後輩たちのさらなるご活躍と歴史ある応用化学科、応用化学専攻ならびに応用化学会の今後のますますのご発展と皆様のご多幸を心から祈念いたしまして答辞とさせていただきます。
平成二十九年三月二十四日
早稲田大学大学院先進理工学研究科 応用化学専攻
大谷貴洋