この度、応用化学科褒賞をいただき、誠にありがとうございます。創立100年目の今年にこのような賞をいただくことができまして大変光栄に思います。このような賞を頂くことができたのも4年間に渡り講義や実験を通してご指導下さいました先生方、いつも的確なアドバイスをくださった先輩方のおかげです。そして明るい雰囲気の中で研究を深め合った同期にも心から感謝しています。
忙しいといわれる応用化学科ですが、なんといっても実験とそのレポートが特色だと思います。週一をこえるペースでレポート提出があり、応化ノートを常に持ち歩いていました。
化学の授業はもちろんのこと、数学や物理の授業も非常にレベルが高く、はじめのころは板書するだけで精いっぱいでした。しかし、個性的な先生方から聞く授業はおもしろく、ルビーが赤く光る理由、酢豚にパイナップルを入れている理由、ゴキブリホイホイの正しい使い方、など、たくさんのことを教えてもらいました。基礎知識がこのような身近な役立つ知識につながっていくたびに、授業がおもしろいと感じるようになりました。
そんな授業の中で私が印象に残っている言葉があります。それは野田先生の「カーボンナノチューブは果たして使えるようになるのかわからない」という言葉です。これを聞いたときとても驚きました。しかし、そのあとに、「使えるかわからないけど、使えるように工夫するのが研究」と続きました。これはとても応用化学科らしい言葉だなと思います。
一般に「必要は発明の母」と言われますが、必要に迫られて役立つものができるのか、それとも材料を発展させた先に利用先が見つかるのか、どちらが多いのか疑問に思ったことがありました。野田先生の言葉を聞いたとさに、ものがあって、それを役立たつものに変えていくのが化学の力なのかな、と感じました。応用化学科の「役立つ化学・役立てる化学」の言葉どおり、価値のないものから価値を見出すような、そんな研究をしていけたらなと思います。
最後に、4年間ご指導くださった先生方並びに支えてくださった校友会の方々に重ねてお礼申し上げます。「人間的な成長を促す」という本賞のご期待に副えるよう、今後も多くの経験を積んでいけるよう努力します。
楽しい大学生活を共にした友達、これまで支えてくれた家族にも改めて感謝します。
本日は本当にありがとうございました。
平成二十九年三月二十四日
早稲田大学先進理工学部応用化学科
江戸倫子