寒さも和らぎ、桜の便りも次々と届けられる季節となりました。うららかな春の訪れを感じるこの佳き日に、私達のためにこのような盛大な式典を開催していだだき、誠にありがとうございます。ご多忙の中、ご臨席を賜りました諸先生方ならびにご来賓の皆様に、卒業生一同、心より御礼申し上げます。
伝統ある早稲田の学び舎で、諸先生方のご指導の下、大学院の修士課程を無事に修了することができ、大変幸せに感じております。ここで過ごした六年間は、何にも代えることのできない、かけがえのない貴重な時間でした。
学部時代には、幅広い分野にまたがる数々の講義を受けて応用化学の基礎を学び、また、演習に取り組むことでその知識と技術を定着させることができました。さらに、応用化学科の特徴ともいえる多彩な実験科目では、座学で学んだ知識を自分の五感で体感し、結果を解析し、考察することでより深い理解に繋がりました。課されるレポートは質・量ともに充実した内容を求められるものであり、作成には大変苦労しましたが、共に協力して実験を進め、議論を交わすことのできる仲間がいることで考えを整理することができ、レポートとして完成させることができました。実験とレポート作成の過程で多くのことを学び、論理的に思考して結論を導き出す力が鍛えられたと感謝しております。このような素晴らしいカリキュラムの中で、私達は研究の糧となる知識・技術、そして仲間を得て、強くたくましく成長することができました。
研究室配属後はそれまでとは異なり、先人達の功績を踏襲するだけではなく、未知の領域を切り開く立場となりました。自分の手で研究方針を決め実験を進めていく面白さを感じる一方で、なかなか思うような成果が挙げられず、壁にぶつかって悔しさを感じることもありました。しかし、「絶対に諦めない」という信念のもと粘り強く取り組み乗り越えることができました。努力を続けることができたのは先生方、先輩、後輩、そして同期の温かい励ましのおかげです。研究活動を通して、課題の抽出や解決に向けたアプローチの方法論を学び、独自に工夫する力、そして研究内容や成果を纏め上げて、それを伝える力を養うことができました。これらの力は私達にとって今後の大きな助けとなると確信しております。
これから先は、それぞれ新しい扉を開いて歩みはじめます。人生の新たなステージで、たとえ幾多の試練や困難に直面することがあっても、これまでに身につけてきた様々な力を糧として希望をもって立ち向かって参ります。”役立つ化学 役立てる化学”という応用化学科の精神を心に宿し、人々を幸せにするため、社会に貢献するために化学を活用していくことが、私達の使命であると思っております。
最後になりますが、未熟な私達を熱心かつ親身にご指導くださいました先生方、学生生活の様々な場面で支えてくださいました職員の皆様ならびに応用化学会の皆様に心より感謝申し上げます。そして、苦楽を共にして助け合ってきた同輩、一番近くで見守り、常に支え続けてくれた家族に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
歴史ある早稲田大学先進理工学部応用化学科および応用化学専攻と応用化学会の、今後の輝かしい発展と皆様のご多幸を心から祈念いたしまして、答辞とさせていただきます。
2016年3月24日
早稲田大学大学院 先進理工学研究科 応用化学専攻
学生代表 鈴木伸