交 流 会



フォーラム「企業が求める人材像」(2013)の開催報告

第5回 フォーラム「企業が求める人材像」
‐グローバル化に向けて‐
2013年11月09日(土)
15:00-17:30、57号館202教室

主催:早稲田応用化学会・交流委員会

第5回フォーラム「企業が求める人材像」を11月9日、開催しました。

 今年で5回目になった「企業が求める人材像」は、企業で、また、家庭と仕事を両立させて活躍中の卒業生のパネリストをお招きし、菅原義之教授をモデレータとしてパネル討論を行うフォーラムです。今回は、サブテーマ「グローバル化に向けて」と題し、ボーダーレスな時代に突入した現在の企業環境を様々な視点から語っていただくことを目的として企画されました。
 河野恭一交流委員長による本フォーラム開催の経緯と目的の説明、下井將惟副会長の挨拶に引き続きパネル討論が開始されました。 応用化学科・専攻55名、さらに他学科22名の学生・専攻学生の皆さんに参集いただき進められたフォーラムでは、各パネリストから体験に基づく意見や貴重なアドバイスが提示され、示唆に富む興味深い内容となりました。  

フォーラム終了後は、56号館理工カフェテリアに場所を移し、井上(凱)委員司会のもと、三浦副会長の開会挨拶、乾杯の後、軽食をとりつつ、パネリストを囲んでさらになごやかに歓談が進みました。そして平沢泉教授による閉会の挨拶に続き、学生委員会尾崎委員長の一本締めでお開きとなりました。


パネリストプロフィール(学部卒業年次順)
<パネル討論概略>
まず始めに6人のパネリストから、自己紹介を兼ねて、「海外であるいは外国人とのつきあいで感動したこと」について紹介があり、討論が開始されました。

第一の議題「グローバル化を議論する上でのキーワード」では、@昨今のIT技術革新もあり、今や多くの企業にとって市場、顧客、競合に至るまで世界が土俵であり、標準的に企業活動が海外を含め組み立てられていること、A英語をメインツールとして日々コミュニケーション活動がなされており、その重要性は言うまでもないこと、B「何を語るか」「自分の強みは」といった面が重要になってくること、C相手の文化・背景を理解しつつ主張すべきは主張するなど「我々自身の国際化」が肝要であること、などが共通認識として炙り出されてきました。これらは討議全体を象徴するものとなりました。

第二の議題「グローバル化する企業」では、 海外からの人材登用が現実化しており、ある日上司が外国人に、といった話も紹介され、まさにボーダーレスな時代に我々が生きていることを実感しました。外国人は日本語のマスターが早く、日本人は語学が苦手という生々しい話も出て、国際化に際し未だに横たわる課題を知ることとなりました。


第三の議題「ツールとしての英語」では、すべてのパネリストの共通認識として、日常生活において、英文メール、TV会議や電話などでの交渉、また技術論文や契約など英語が必須であり、管理職登用の基準にもなりつつあるとのことで、自分自身の反省を込めて、学生のうちから努力を、とのアドバイスをいただきました。現在ではBBCなど多種の無料ソースもあり、今はより良い学習環境が整いつつあることなどいくつかの例示がありました。

第四の議題「海外での交渉」では、時間に正確な日本人とは対照的なアジア諸国の慣習が紹介され、忍耐と理解をもって臨む必要性が示されました。一方で、契約概念や効率重視といった欧米各国でのビジネス習慣にも対応していかなければならない現実もリアルに感じることができ、日本の基準や考え方が必ずしも世界では通用しない一面を良く理解することができました。


 第五の議題「英語でのコミュニケーション」では、日頃の業務だけでなく、特に会食を通じお互いに知り合うことの大切さについての提示がありました。もちろん個人として仕事上の当事者能力がまず問われるものの、それと並んで、個人としての教養や文化的素養、見識なども問われることがあり、総合的な人間力を見てビジネスパートナーにふさわしいかどうかを判断されている、という話は大変示唆に富んだものでした。「能と禅」の説明を求められた、といった実体験の話からも、普段からいろいろなことに興味を持ち視野を広げておくことが大切なのだということを痛感させられました。



第六の議題「海外業務を通じた経験」では、「成功したら本社の手柄、失敗したら駐在員の責任」といった海外駐在員の典型的な苦労話が紹介されましたが、同時に海外ならではの人事情報の早期入手もあり、日本では無理でも海外では成立するという価値観の転換、さらに海外という境遇・環境に負けない積極的な取り組みがいずれ役に立つことがあるなど、ポジティブな経験も多く聞かれました。

第七の議題「海外生活、働く女性の環境―-海外の状況と日本の状況―」では、海外では意外にも配偶者や子供たちが先に順応するという例が紹介されました。言い換えれば、海外赴任する家族が言葉や文化、習慣の差に慣れないと帰国につながることにもなるとの指摘でした。海外勤務では、ネガティブに考えず、現地の自然や人々、文化を楽しむ、という余裕を持って乗り切ることが大事だとの意見が提示されました。そしてこのような海外での苦労も含め、こうした経験がいずれ大きな財産になるのだという意見には多くの方がうなずいておられました。
 さらに、女性の視点からは、現在日本でも、産休に加え、男性社員も含めた育児休暇の取得が可能になりつつあり、保育園など以前よりも体制が整備拡充されてきているとの見方が提示されました。女性管理職の増加や、女性ならではの感性を生かしたビジネスの創成など、働きたい女性に適した環境も整いつつあるとの紹介もありました。特に重要なこととして、「女性の労働を理解してくれる良きパートナーを選ぶ」ことの大切さが指摘され、お薦めとして、「同期入社の同僚が最良」との具体的な意見も出て、会場を和やかな笑いで包み、本論を終了しました。 

<在学生のみなさんへのメッセージ> 
最後に、パネリストから参加学生に対し、激励のメッセージや示唆に富んだアドバイスを頂きました。

各パネリストの熱意が確実に参加者に伝わり、本フォーラムで得た刺激がきっと何かを生み出すきっかけになる、そんな気になりました。そしてパネリストの皆さんへの感謝の拍手を以て終了となりました。

<総括>

学生の参加状況については、応用化学科が55名、教育学部や生命医科学等、他学科からも22名と、総計77名の大変な盛況となりました。全体の52%は昨年同様修士1年生が占めましたが、今回は、学部1年生を中心に学部生が35%を占め、将来を見据えた今回のテーマに対する関心の高さを物語っています。また女性も全体の30%を超え、高い関心を持っていただけました。
参加した学生のアンケートによれば、まず多くの方から「大変参考になった」と高い評価をいただきました。具体的には、

一方で、今後考慮してほしい点としては、 等のご指摘、ご意見をいただきました。今後の参考とさせていただきます。お忙しい中、ご準備とご尽力をいただきましたパネリスト、モデレータの皆様に改めて厚く御礼を申し上げます。
(文責:和田宏明、写真:広報委員会)

懇親会スナップ写真は→こちら

「フォーラム「企業が求める人材像」(2012)の開催報告は→こちら
「フォーラム「企業が求める人材像」(2011)の開催報告は→こちら
「フォーラム「企業が求める人材像」(2010)の開催報告は→こちら
「フォーラム「企業が求める人材像」(2009)の開催報告は→こちら