フォーラム「企業が求める人材像」(2011)の開催報告
第3回 フォーラム「企業が求める人材像」
−リーダーになるために学生時代にやっておきたい事−
2011年10月29(土)
15:00-17:05、63号館2階5号室(原 富太郎記念会議室)
主催:早稲田応用化学会・交流委員会
10月29日(土曜日)、第3回フォーラム『企業が求める人材像』を開催しました。
今回はリーダーになるために学生時代にやっておきたい事というテーマを企画しました。
現在、企業で活躍中の先輩および家庭と仕事を両立させて活躍中の女性先輩をパネリストとしてお招きし、菅原義之応用化学科主任教授をモデレーターとしたパネル討論を主体としたフォーラムです。
毎年異なったテーマで実施しており、今年で3年目を迎えます。応化会下井交流委員長のオリエンテーション、河村会長の挨拶の後にパネル討論が開始され、多くの学生(70名)が参集したフォーラムは、予定していた2時間を15分ほど超過し終了しました。その後、63号館カフェテリア馬車道に場所を移し、パネリストを囲んで軽食を取りつつ討論・交流が続きました。
<パネリスト>
左から、菅原義之教授、山田兼士氏、桜井宏子氏、臼田雅彦氏、和田宏明氏、丸子洋一郎氏、山田賀子氏、土屋憲司氏
パネリストプロフィール(学部卒業年次順)
- 和田宏明氏 (株)ブリヂストン
1984年博士課程修了(加藤・黒田研)、早稲田大学助手を経て1985年 (株)ブリヂストンに入社。
入社後、約20年間、高純度炭化ケイ素の開発、製造、販売活動に従事し、開発した前駆体法に対して2007年度日本化学会技術賞受賞。
2004年からは電子ペーパーの開発、事業化活動に従事している。
- 臼田雅彦氏 昭和電工(株)
1988年修士課程修了(逢坂研)、同年昭和電工株式会社入社、1995年よりスタンフォード大学に2年間留学。帰国後MOCVD法による化合物半導体エピタキシャル成長技術の確立と生産体制構築に従事。その後生産課長、新規開発製品マーケティング、次期中期経営計画策定等を経験。
本社技術戦略室を経て、2010年より先端電池材料部 営業部長。
- 桜井宏子氏 DIC株式会社
1990年修士課程修了(佐藤研)、同年大日本インキ(現DIC)株式会社入社、総合研究所で研究開発を担当。1998年産前産後休暇および育児休暇取得。復帰後1999年より光硬化性材料の開発、IT用部材の開発、機能性素材開発など担当。
- 山田兼士氏 旭硝子株式会社
1991年修士課程修了(豊倉研)、同年旭硝子株式会社入社、化学品開発研究所で無機材料合成プロセス開発(シリカ、アルミナ、LiB関連材料等)に従事。2002年中央研究所化学でマイクロリアクターを利用した無機材料合成プロセス開発、ガラス高品質化のための化学工学的開発支援に従事。2010年より生産技術センターでガラス高品質化技術開発を担当。
- 丸子洋一郎氏 信越化学工業株式会社
1996年修士課程修了(豊倉・平沢研)、同年信越化学工業株式会社入社、信越石英(株)石英技術研究所で石英ガラス物性研究、表面処理技術に取り組む。新工場立ち上げスタッフ、製造部技術スタッフを経て2004年より(株)山形信越石英で工場品質統括責任者として、テクニカルサービス、内部品質システム構築維持管理、製造技術、開発品業務に従事。
- 山田賀子氏 NTTコミュニケーションズ株式会社
1996年修士課程修了(逢坂・本間研)、同年日本電信電話株式会社入社、法人用情報通信システム端末設計・工事、通信事業者向け大規模通信機器の輸入代理店業務、人事業務、オンラインストレージサービス開発・運用業務、法人用情報システムの監視・保守サービス業務を歴任。
2010年よりNTTグループのデーターセンターサービスの保守・運用を担当。
- 土屋憲司氏 トヨタ自動車株式会社
2001年修士課程修了(逢坂・本間研)、同年トヨタ自動車株式会社入社、アイドリングストップ用リチウムイオン電池の開発、プラグインハイブリッド車用リチウムイオン電池の開発に従事し、2008年より電池・FC生技部でハイブリッド車用リチウムイオン電池の開発に従事。
- <モデレーター 菅原 義之教授のプロフィール>
1988年 理工学研究科博士後期課程修了(工学博士)(加藤・黒田研)、早稲田大学助手、MIT大学博士研究員、早稲田大学専任講師、早稲田大学助教授、フランスモンベリエ大学訪問研究員、早稲田大学理工学部教授、フランスモンベリエ大学招聘教授を経て、2010年より早稲田大学先進理工学部応用化学科主任教授。
<パネルデイスカッション>
パネリストの「自己紹介」として「今までに経験されたこと、上司との関係のエピソード」を皮切りにパネル討論が始まりました。「リーダーシップとは」では、影響力、カリスマ性、デシジョンメーキング、フォロアーシップ等のキーワードが飛び交いパネリストの経験を踏まえ議論となりました。
次に「企業内でのリーダーシップ」については、失敗を恐れないチャレンジングスピリッツの重要性、今までの延長線上でのビジネスが難しくなってきている現状を踏まえ、オリジナリティの重要性とその遺伝子を早稲田マンは持っているはずだとの励ましも頂きました。さらに積極性を評価し、失敗を許す新しい人事評価制度の導入も始まってきている等、現在社会の現実、ビジネス環境の変化についての具体例が示されました。
「企業内での女性のリーダー」では、女性パネリストからご自分の実際のご経験を話して頂いたのと共に、各企業の実情に関して、ダイバーシティの重要性の観点や女性の仕事ぶりも交えて職場では女性が男性と対等に扱われ活躍している様子が示されました。次に学生諸君が「身につけなくてはならないこと」として、positive thinkingの重要性、コミュニケーション・プレゼン力・レポート作成能力が社会生活では要求されることから学生時代に厳しく鍛えておいたことが大いに役に立っていること等の伝言がありました。ダイバーシティが求められるグローバリゼーションの時代では議論し、提案するためにもツールとしての英会話力の必要性も強調されました。
最後に、発信する人になって下さい。自分なりのリーダーシップとは何か再度考えて下さい。上司への感謝の念を感じています。後悔のない学生生活を送って下さい。技術者の仕事とは困っている現場やお客様に知恵を使って助けることです。自分自身が複雑系になっていろいろなものを取り込みオリジナルなアウトプットを出して下さい。現在の研究生活にドップリつかって下さい。等々パネリストの実際の経験に基づく熱くかつ示唆に富むメッセージでパネル討論を終了しました。
<総括>
学生参加者の状況について、女性の参加者は40%、他科・他専攻(生命医科学科含む)の学生は17%、学部生は39%、大学院生は61%、博士課程院生の参加もありましたが、やはり修士1年生の参加が多く全体の50%を占めました。
参加した学生のアンケート(回収率90%)によると、未記入者1名を除く98%がフォーラムの内容が参考となったという高い評価で興味を持って貰えたテーマであったと考えられます。「今後の学生生活を送るうえでの指針になった。」「企業が求める人材、リーダーのイメージについて理解が進んだ。」「企業生活の様々な分野の話が聞けて参考になった。」「パネリストの方々の体験に基づいた意見が多く印象に残った。」等一人ひとりの学生にとっても今後の学生生活を送っていく上でかなりインパクトを与えたものと思われ、もっと多くの学生に参加してもらいたかった内容のあるフォーラムであった。
また、「パネリストの方々の専門分野についてももう少し知りたかった。」、「一つの話題(セクション)に対して話される方に偏りが見られたのでいろいろな方の話をバランスよく聞きたかった。」等の意見もあり、その後の各パネリストとの懇親の場で十分解決できたことと思います。
お忙しい中フォーラムを盛り上げて頂いたパネリストおよびモデレ−ターの皆様方にはあらためて厚く御礼申し上げます。
懇親会スナップ写真は→こちら
(文責:交流委員会 井上凱夫、河野善行)
「フォーラム「企業が求める人材像」(2010)の開催報告は→
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「フォーラム「企業が求める人材像」(2009)の開催報告は→
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