フォーラム「企業が求める人材像」(2010)の開催報告
フォーラム 「企業が求める人材像」
2010年10月16日(土) 15:00−17:05
主催:早稲田応用化学会・交流委員会
10月16日(土曜日)、フォーラム『「企業が求める人材像」−グローバル化に向けて−』を催しました。昨年度実施したフォーラムのアンケート結果を参考にして、今回はグローバル化をキーワードとして企画しました。パネリストには海外勤務経験者や企業のグローバル化に向けて活躍中の先輩をお招きしました。
河村応化会長挨拶
応化会下井交流委員長のオリエンテーション、河村会長の挨拶の後にパネル討論は開始され、多くの学生(131名)が参集したフォーラムは、予定していた2時間を瞬く間に経過し終了しました。その後は56号館理工カフェテリアに場所を移し、学生交流委員会主催の応用化学科学生交流会が引き続き開催されました。パネリストとさらに若手OB・OGも加え軽食を取りつつ交流を続けました。
<パネリスト>
(左から、菅原教授、土屋勝則氏、楢原英夫氏、小田切信行氏、宮坂昭徳氏、山崎律子氏、栗原令氏)
パネリストプロフィール(学部卒業年次順)
- 小田切 信之氏
1981年 理工学研究科応用化学専攻修了(篠原研)、東レ株式会社入社、研究開発部門を経て、Toray Composites, America(米国・シアトル)で取締役・技術部長、テクニカルセンター所長として8年間駐在。現在、ACM(Advanced Composites Material:先進複合材料)技術部長として活躍中。
- 宮坂 昭徳氏
1985年 応用化学科卒業(豊倉研)、三菱商事入社、炭素原料部、炭素製品部、コントローラーオフィスを経て、ブルネイ駐在事務所長として2年半駐在。天然ガス事業本部を経て現在、ポートフォリオ マネジメント委員会事務局次長として活躍中。
- 楢原 英夫氏
1990年 理工学研究科応用化学専攻修了(豊倉研)、住友化学入社、工場製造部、生産技術センターでプロセス開発に従事、この間多くの海外インターン生受け入れや海外事業に参画、現在本社生産技術支援部主席部員として全社共通的な環境技術の分野で活躍中。
- 土屋 勝則氏
1993年 理工学研究科応用化学専攻修了(黒田研)、大日本印刷入社、研究開発センターを経て、DNP Corporation USAで米国(NY)技術駐在員として4年間出向。本社 研究開発・事業化推進本部を経て現在研究開発センターライフサイエンス研究所リーダーとして活躍中。
- 山崎 律子氏
1993年 早稲田大学理工学研究科応用化学専攻修了(西出研)、花王株式会社入社、トイレタリー洗浄系商品開発、技術開発研究に従事、高分子学会、日本油化学会で役員を歴任。出産、産休取得経験も有する。入社後学位も取得し現在スキンケア系商品開発研究主任研究員として活躍中。
- 栗原 令氏
1997年 理工学研究科応用化学専攻修了(平田・常田研)、千代田化工建設入社、医薬品プロジェクト部での製薬会社向け設備建設プロジェクト勤務を経て、カタールでLNGプラント建設プロジェクトエンジニアとして2年半駐在。現在医薬品プロジェクト部、エンジニアリングマネージャーとして活躍中。
- コラボレーター 菅原義之教授
1988年 理工学研究科博士後期課程修了(工学博士)(加藤・黒田研)、MIT大学博士研究員、早稲田大学応用化学科助教授、早稲田大学理工学部教授、フランスモンベリエ大学招聘教授を経て、現在先進理工学部 応用化学科主任教授。
<パネルデイスカッション>
宮坂氏、山崎氏、栗原氏
楢原氏、小田切氏、宮坂氏
パネリストの「自己紹介」、「失敗談や海外経験でのエピソード」を皮切りにパネル討論が始まりました。「海外事情」では、日本人との考え方や習慣の違い、海外での女性の活躍の様子や海外の学生の高いモチベーションについて、これらを踏まえた現在の日本の現状についてパネリストの経験を踏まえ議論となりました。次に「グローバル化とは」については、グローバル化社会の現実、ビジネス環境の変化について現在の生々しい状況が例示されました。これらの現実を踏まえて学生諸君が「身につけなくてはならないこと」として、悔しい思いをしない為にまた相手のリスペクトを得るための品格あるツールとしての英語(語学でなく語術として)の重要性、それと同等以上にコミュニケーションが出来、信頼性を得る人間的な中身の重要性、日本文化・歴史の理解の重要性、日本人の特性・強みとは、これらでどのようにグローバルなフィールドで戦うかと議論が進みました。
菅原教授、土屋氏、楢原氏
討論を締めくくる最後としてパネリストより「参加者へのメッセージ」を頂きました。失敗を恐れないで海外へ行ってみよう。東南アジアや中近東のパワーをしっかり見てみよう。何にでも好奇心を持って、言語術も含めて自分を磨こう。高い技術や専門性とともに日本人としてよって立つところの広い裾野もしっかりしよう。現在の日本の危機感を共有しよう。女性にとって、出産すること、働くことはどちらかの選択ではない。仕事だけでなくやりたいことは全部チャレンジしよう。等々パネリストの実際の経験に基づく熱くかつ示唆に富むメッセージでパネル討論を終了しました。
<総括>
学生参加者の状況について、女性の参加者は28%、他科・他専攻(生命医科学科含む)の学生は21%、
学部生は61%、大学院生は39%、博士課程院生の参加もありましたが、やはり修士1年生の参加が多く
全体の29%を占めました。学年層は多岐に亘り、興味を持って貰えたテーマであったと考えられます。
参加した学生のアンケート(回収率84%)によると、「普段の授業や研究活動、セミナーでは絶対に聞くこと
ができない話を聞くことができた。」「グローバル化に対する危機感を感じることができた。」「メッセージ性が
非常に強く、自分が将来やりたい仕事や生き方について真剣に考える良い機会になった。」「グローバル化
の流れを受けて日本人が今後どのような道を進むべきなのか、目指していくことはどのようなことなのか、
今、しなければならないことなどを考える貴重な時間となった。」等好意的かつ前向きな印象を多く頂きまし
た。
また改善すべき点としては、「発言が特定の人に偏りすぎた。全員から均等に意見を聴きたかった。」
「パネリスト間の意見の交換や学生からの質問があってもよかったのではないか。」「企業が求める人材像
とは少し内容が違っているのではないか。」等の意見も頂き、今後の参考にしたいと思います。
ご尽力いただいたパネリストの皆様方、フォーラムを協賛し運営に協力頂いた応用化学科学生交流委員の皆様にはあらためて厚く御礼を申し上げます。
以上
(文責:交流委員会 岩井義昌、河野善行)
「フォーラム「企業が求める人材像」(2009)の開催報告は→
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