2011年度 学位記・褒賞授与式(2012年3月26日)

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2011 年度卒業式は、2012 年3 月26 日(月)早稲田キャンパス記念会堂で執り行われ、その後16 時より、西早稲田キャンパス55号館大会議室にて式次第に従い担任の桐村光太郎教授および小柳津研一准教授の司会で学位記・褒賞授与式が行なわれた。

学位記・褒賞授与式 次第


島崎和雄褒賞受賞者
柏木里美さん

今年は、学士155 名、修士87 名 合計242 名へ学位記が授与されるとともに、毎年島崎和雄褒賞授与式が執り行われています。島崎和雄褒賞は、平成12 年にご逝去された学友の島崎和雄先生(新制7 回卒)の学生時代に小林奨学金(現在は消滅)を授与された恩に報いたいというご遺志により、ご遺族が応用化学科に寄付をされて設立された褒賞で、優秀な成績を修めた学部4 年生の卒業生に授与されるものです。今年度は柏木里美さんに授与され、その受賞挨拶では故島崎先生ならびにご遺族への謝辞に加え、「大学院に進学して研究を継続し、本褒賞受賞を励みにして応用化学の研究およびこれまでに培った経験を生かして一人でも多くの人々の幸福に貢献できるよう多方面で積極的な行動に心がけて最大限の努力をしていく覚悟です。」と、今後より一層研鑽を積む誓いの言葉を述べました。



式場の様子

「学部卒業生の皆さん、大学院修了生の皆さん、本日は誠におめでとうございます。これまで皆さんが積重ねてこられた努力と研鑽を心から称えたいと思います。また、いろいろな面で皆さんを支えてこられたご家族の皆さんには心からお祝いを申しあげます。」と応用化学科主任教授 菅原義之先生は祝辞をスタートしました。 早稲田大学は数年前に125 周年を迎えました。国内の大学では非常に長い歴史を誇っておりますが、ヨーロッパの大学では数百年の歴史を有する大学はたくさんあります。

最初の大学は12 世紀にイタリアやフランスで生まれたといわれており、その直前の11 世紀にそれまで封印されていたギリシャあるいは西ローマ帝国の知識や文章が西ヨーロッパに流れ込み、それを知った若者達のなかに「学びたい」という強い意識が生まれ、やがて彼らは集団(University)を形成したことが大学の起源であり、大学を形成する一番の根幹に「学びたい」という心があったということは非常に大事であります。これだけ進歩の速い現代ですので新しい知識をどんどん吸収し、実践に移していかなければなりません。ある人は、「学びとは一生続く変化に遅れないように対応するためのプロセスである」と言っています。皆さんはこのように大学を離れた後も更に学びを継続することになります。

もうひとつの切り口としての学びとして最近アメリカやイギリスでGeneric skills という言葉がよく使われるようになってきました。これは物事を俯瞰的に見る力、専門に捕らわれず広い知識を有していること、状況を判断し、それに的確な判断を下せること、ネットワークを形成して問題解決に当たれることと言われております。これから新しいところでの問題解決等にどう取り組むかで個人個人により身につく程度が変わることになります。新社会人となる人および進学する人の双方にこのGeneric skills を是非身につけてもらいたいと思います。 何故なら、さまざまなところで皆さんが将来リーダーとして活躍して頂けることを信じているからです。終わりに今後の皆さんのご活躍を期待しておりますとお祝いの言葉をまとめられた。



祝辞を述べる菅原義之主任教授

祝辞を述べる応用化学会 河村 宏会長

ついで、応用化学会 河村宏会長からは、本日は「巣立ち」ではなく「巣離れ」であること。 これまでご家族の庇護の下、先生方の指導の下で育ってきたわけで、それから離れ、自分の羽で巣立ちをしなくてはならない。社会に出ると、いやなやつとは付き合わない、いやな仕事はやらないという我がままは許されない。 むしろ いやと思う人と付き合え。そういう人こそ人間形成に役立つこととなる。仕事も人が嫌がる仕事を率先してやって欲しい。内閣府が出した統計数字で、2010 年に85 万人の学生が卒業、57 万人が就職した。2012 年にはその内の20 万人(35%)が離職したという数字がある。理系の皆さんは、そんなに早く離職することはないと思うが、世の中の流れは、いやになったらやめる、きらいなところなら転職するという流れになっていると思う。いやなやつと付き合う、いやなことはやるという気高い精神を自分の中に織り込めば、3 年くらいで仕事の中身がいやだから辞めるとか、上司がおかしいから辞めるとかいう発想はなくなる。過去にアメリカでJob hopping という辞めるやつが偉くなるという時代があったが、今は違う。

アメリカは新卒を取らない(ほとんど途中入社)、日本も入社した2 割くらいが辞めていくので、途中採用という制度を取り入れている。 理系の技術の人は、腰を据えて社会で活躍して欲しい。応用化学会に卒業はない。自分も未だ応用化学会を卒業していないし、皆さんも引き続き応化会活動に参加して欲しい。近年、応化会は学生諸君にかなりの資金を投入している。 学校を出る方へもインターネットを活用した若手OB の会等、大学へ出向かなくても交流出来るシステムを構築した。 応化会から印鑑を渡したが、これからも応化会を忘れず積極的に参加をお願いしたい。 技術系の人間は、研究室に入ると世界が狭くなる。視野が狭くならない為にも、積極的に交際範囲を広め、学校の会にも参加しご自分のフィールドを広めることを期待する。 応化会は今後とも手助けをするつもりです。これからが巣立ちとなります。ご健闘を祈りますと力強い言葉で送られた。


送辞 岩崎 莉沙さん

今年の送辞は 在校生を代表して、学部3 年生岩崎莉沙さんが、社会人あるいは大学院生へ第一歩を踏み出す先輩との実験のTA、サークル活動での接点等思い出を交え先輩方のご指導に謝意を述べるとともに先輩方の今後の活躍を願いつつ、再会を楽しみにしていますとお祝いの辞を述べられた。






答辞 学部4年代表 荒 秀和くん

これに答え、答辞では、学部4 年生を代表して 荒 秀和くんが、自発的に行動する習慣が身につき、成長していくことが出来たこと、オリエンテーション、理工展、交流会講演会等多彩な行事、講義、実験など彩を与えてくださった先生方、応用化学会の諸先輩へ深謝の意が述べられ、これをサポートしてくださった大学院生、社会人、応用化学科学生委員に対しても感謝の意が述べられた。 これから社会人となって新たな道を歩む中で努力してその道の専門家となり、より良い社会を構築していくことを誓われ、「ありがとう早稲田大学、ありがとう応用化学科」の言葉で結びとされた。



また、修了生を代表して 山田紘理くんが、学生生活を振り返り、先生方からは世界を見据えた学の気高さ、課外活動からは絆の下に立ち上がる強さを、学校行事からは先輩方の築き上げた伝統の重みを学んだこと、応用化学だけではない分野の垣根を越えた人間関係を築き上げ、各々の道に挑戦し、邁進し続けることの決意を述べ、先生方、家族、ご臨席の皆様への御礼、感謝を述べ答辞とされた。




この後、3 月末にご退官される菊地英一教授のご祝辞、ご発声で、応用化学会寄贈の缶ビールで門出を祝し、卒業生を代表して 吉田友香さんの指揮の元、全員での校歌斉唱・エールの交換がすすめられた。


乾杯のご発声をされる菊地英一教授

ご挨拶をされる酒井清孝教授


卒業生代表 吉田 有香さんによる校歌斉唱

最後に同じく3月末に退官される酒井清孝教授からご挨拶をいただきました。 当日は 恒例となった応用化学会からの印鑑を寄贈すると共に、応用化学会副会長、委員長も招待頂き、巣離れされる皆さんに暖かいエールを贈らせて頂きました。

(写真:広報委員会、 文責:広報委員会 相馬委員長、事務局 高橋 宏)