2009年度 学位記・褒賞授与式(2010年3月25日)

(画像をクリックすると拡大表示されます)

今年の応用化学科学位記・褒賞授与式は、3月25日(金)13:00から寒の戻りの小雨模様のなか3分咲きの中庭の桜にも祝福されながら55号館N棟大会議室にて執り行なわれました。式次第に則り、学部4年クラス担任の清水功雄教授の開会の辞でスタート、研究室毎に学士学位記授与、修士学位記授与が執り行われました。

学位記・褒賞授与式 次第


学位記授与(詳細はこちら
学士144名、修士80名の計224名に対し、木野邦器主任教授より学位記が授けられ、大学院へ進学する者、大学を巣立ち社会へはばたく者等 各々の新たな道への一歩を踏み出しました。
学位記授与式とともに毎年島崎和雄褒賞授与式が執り行われています。島崎和雄褒賞は、平成12年にご逝去された学友の島崎和雄先生(新制7回卒)の学生時代に小林奨学金(現在は消滅)を授与された恩に報いたいというご遺志により、ご遺族が応用化学科に寄付をされて設立された褒賞で、優秀な成績を修めた学部4年生の卒業生に授与されるものです。今年度は山田紘理君に授与され、その受賞挨拶では故島崎先生ならびにご遺族への謝辞に加え、「大学院に進学して医療応用可能なナノ粒子の研究を継続し、本褒賞受賞を励みにして応用化学の研究およびこれまでに培った経験を生かして一人でも多くの人々の幸福に貢献できるよう多方面で積極的な行動に心がけて最大限の努力をしていく覚悟です。」と、今後より一層研鑽を積む誓いの言葉を述べました。

主任の木野邦器教授から応用化学科の教員を代表して以下の内容の祝辞が述べられた。
「卒業・修了される皆さんは、これまでの努力に対する達成感・解放感、そして新しい世界への期待感や不安感などさまざまな思いで本日を迎えていると思いますが、金銭的にも精神的な面でも皆さんを支えてくれたご家族に対し感謝の気持ちを伝えていただきたい。学位記は、伝統ある早稲田大学が一定の基準を達成した証として皆さん方に授与 しています。最高学府としての早稲田大学を卒業することに対する自負と責任をもっていただきたい。」ではじまり、大学に与えられた以下の3つの使命は、卒業後は自身の社会へ果たすべき使命でもあると言及され、学生諸氏への餞(はなむけ)の言葉を頂きました。

「教育」
大学で学んで得た知識を自身の力で知恵に切り替え、社会の中でそれを十分に発揮していくこと。チャレンジ精神を持って自分の可能性を広げてもらいたい。そのために常に感動する気持ちを忘れず、学び・知ることの喜びを感じて、より高い教養を身につけて自身のブラッシュアップを図って欲しい。社会から期待される、スケールの大きい心豊かな人材になることを希望する。
「研究」
各研究室ではオリジナリティのある高いレベルの研究に接してきたと思うが、これまでの経験は、今後直面する多くの課題の解決に向け、どのようにアプローチするのか、知識や技術をどのように駆使していくのか、その方法論を学ぶためのトレーニングと認識してもらいたい。これからが君たちの力が試される時です。世界を牽引する革新的な成果を挙げるなど、自分の、そして社会の夢の実現に向け、自信と誇りを持って臨んでもらい。
「社会への還元」
大学における研究成果を広く社会へ還元することが期待されており、これには大学で見出された新たな知見や技術だけでなく優秀な人材を育成することも含まれている。学位記を授与された皆さんは、確かに本学の基準を満たし、一定の品質保証はされてはいるが、決して完成された商品ではない。基礎はある程度できていると思うので、更に自分自身を磨いてより付加価値の高 い商品に仕上げ、社会に役立つ人材となるよう大きく成長してほしい。

木野邦器主任教授 祝辞
卒業後は、人間力・総合力が試されます。社会の中で「自分」という個を発現させ、輝かせるためには、周囲の多くの人々とのコミュニケーションをどうとるかが重要と考えています。個人と周囲とのバランスを考え、自分の良い点、悪い点を周りと照らし合わせてお互いに切磋琢磨して人間力を高めていく努力が不可欠となります。学生時代には、人間性についてあまり問われることはなかったと思います。いかに素晴らしい研究成果や業績を挙げたとしても、一時的に喜びは得られますが、人間性に問題があれば豊かな人生として自分自身納得することはないと思います。自分に自信を持ち、魅力ある人間関係を通して心豊かな人生を構築していくことが大切です。
また、社会に出ると記述式の試験からは一旦解放されますが、白黒をはっきりとさせられる問題は少なく、またその正解は必ずしもひとつではない場合が多くあります。そのような時、人生経験豊かなご両親の背中(生き様)をまず見て、学び、方策を考えて下さい。最後に、知恵と勇気を持って意欲的に挑戦し、悔いのない人生となるよう頑張ってほしいと締められました。

引き続いて、応化会の河村宏会長から来賓の祝辞を頂きました。「まず、ご父兄の方にご苦労様でしたと申しあげたい。教職員の皆様にはこれまでのご努力に敬意を表します。学位記を授与される学生の一人一人の名前を聞いていると、M2卒業生の大半が、応化会として数年前から強化してきた学生諸君との交流・支援の活動に非常に積極的に参加し、協力してくれたことが思い浮かび、感無量であります。学部卒業生は、大半の人が更に高い学問のところに進むと思いますが、卒業されるM2および博士課程の方には応化会への積極的な参加を期待しています。
今年は応化会として新しい試みを提供していく予定で、その中には学生諸君が主体的に活動する試みもありますが、我々もそれを支援しますが、若手OBも参加して学生諸君へバトンを渡していく、例えば、就職のことに関しても大勢の若手OBが参加して学生諸君にバトンを渡していく、また、卒業生が就職して接するであろうOBの方々との交流を応化会として支援していくことなどを考えており、卒業後の皆さんの所在を研究室・応化会へ明らかにして欲しい。そのことによって応化会の行う若手へのサポートが得られるし、本日卒業を迎えた皆さんにも何かがフィードバックされると思います。」
また、ご自身の48歳での「巣立ち」を例に、「巣離れ」から「巣立ち」までのこれからの努力が人間性を作っていくこと、これからは主任も祝辞で述べられていたように回答のない問題が色々あり、答えも一つではありませんが、自分で出した回答に対しては責任を持たなくてはならないこと、伝統ある早稲田の誇れる背番号が一生ついてまわることを忘れないでほしい、その背番号を誇りに恥のない巣立ちを願っていると結ばれた。


猪村直子君 送辞
送辞は、3年生の猪村直子君が在校生を代表して、「実験で伝授された経験を振り返り感謝の意を表し、次は自分たちが学科を支える番であること。政権交代の変化の多い時期を幕末に例え変化の多い時代に新たなことが出来る、その中から歴史的ヒーローが生まれることを期待している」と先輩方へ激励を述べた。

これに応えて、学部卒業生を代表して、4年生の藪崎佑介君は、「在学中に理工が3学部に再編された時期を過ごし、大学の講義では論理的展開が必要であり、実験・レポートで切磋琢磨し、多くを議論したかけがいのない友人たちを忘れない。ここで得たものを糧にして何でも乗り越えられる」という熱い想いを語り、答辞とした。

荒川崇君 答辞
 また、大学院修了生を代表して、修士課程2年生の荒川崇君は、「応用化学科ならびに応用化学専攻での6年間を振り返り、学部4年で研究室へ配属以降、自ら研究テーマを考え、実験を進めていく楽しさ、壁を乗り越えた時の達成感、実学の素晴しさを体験し、一人の人間として成長することが出来た」と、先生方、先輩、同輩、後輩への感謝の意を表すとともに世界の化学の牽引役としての応用化学科への期待感を述べ、答辞とした。


乾杯
引き続き、河村会長個人のご厚意で今年もビールで乾杯を行うことが出来たと紹介され、逢坂哲彌教授から乾杯のご発声を頂きました。逢坂先生は、高校を卒業する時に恩師が言われた「相刮目してのびるべし」という言葉を引用された。世の中変わり目で就職状況が厳しい時ほど生き残って偉くなる人が多いことを挙げ、同期が世の中をリードする姿を、応用化学科・応化会へ戻ってお互いの成長をよく見て貰いたい。「ぼこう」は母なる学校であり母なる港でもある。大学に戻ってきて次世代の優秀な人材を育ててもらいたいと餞(はなむけ)の言葉を贈られました。
 最後に卒業生を代表して千島秀之君の指揮の下、校歌を全員で斉唱し式典を終えました。


校歌斉唱


(写真:広報委員会 相馬委員長、平中委員、文:相馬委員長、事務局 高橋)