関東大震災八十八年…私の履歴書(中曽根 荘三著)を読んで

初代高研会会長(現名誉会長)の中曽根 荘三氏(旧制27回)からご寄贈頂いた著書「関東大震災八十八年ー私の履歴書」について本学理工学術院先進理工学部長の西出 宏之教授が中曽根先輩の著書紹介として会報No.86(2012November)31ページにご紹介されました。

このたび、高研会会長の赤真 正人氏から本書表紙の写真を添えて読後感の寄稿がありましたのでご紹介します。

(広報委員会 相馬威宣)

関東大震災八十八年…私の履歴書(中曽根 荘三著)を読んで

高研会会長 赤真 正人(新制29回)

昨年の正月だっただろうか、私は早稲田大学理工学部応用化学科高分子化学研究室の大先輩であり、その卒業生を中心に構成され私が会長職を拝命している早稲田大学高分子化学研究室同門会(略称「高研会」)の初代会長にして現名誉会長でもあり、奇縁あって岳父でもある中曽根 荘三氏から、一冊の著書の最終稿を見せられた。頭書の題名を持つその著書には、著者の歩みが綴られているわけだが、単に個人史にとどまらず、大正から戦前戦後の激動をくぐってきたその生きざまが克明に記されている。

幼少期の逸話を初めとして、学生時代、社会人以降の様々な逸話には、著者と幾重にも関わりを持っている私ですら初耳であったり、或いは今まで断片的にしか聞いたことがなかったりしたものが多い。著者の幼名は同音異字であったとか、私の勤め先でもあるDIC株式会社(当時は大日本インキ化学工業株式会社)との密接な関わりなど、取り上げ始めると枚挙にいとまがない。

ここで著書の具体的内容に触れてしまうのは気が引けるので詳細は割愛するが、関東大震災の年にこの世に生を享け『震災っ子』と呼ばれて育った著者らしく、関東大震災に始まり一昨年の東日本大震災を区切りとして激動の人生を振り返った書き方から、著者が示唆したかった何かを読み取ることができるようにも思える。

著者が歩んできた人生とそれを取り巻いてきた人々や社会・世相といったものを一望のもとに俯瞰でき、実に興味深く読むことができた。身内の者による手前味噌と思われることを恐れずに書いてしまうと、是非ご一読を賜りたい一書である。

(本書は、本部・理工図書館および応化会議室書庫にてご覧いただけます。)
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【ご参考】早稲田応用化学会報No.86(2012November)p31

中曽根先輩の著書紹介(理工学術院先進理工学部長、応用化学科 教授 西出 宏之)
 中曽根荘三氏(旧27)の”私の履歴書”(海ulture Pub、148頁)が出版されました。
”関東大震災”の生誕年(1923年) を緒とし、古き好き上州、品川の風景、お人柄と力の出発点となった府立四中時代、そして高等学院、応用化学での授業・勤労動員、篠原研究室、文部省特研生と、筆力強く進みます。千代田化工、日商岩井、海外での展開と続き、早稲田同窓との係わりとワクワクするエピソードに頷き、”都の西北”を謳いたくなる一書です。