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第35回交流会講演会の報告

早稲田応用化学会 交流委員会主催 第35回交流会講演会
2021年4月24日(土)15:00~17:00 (Zoomによるリモート開催)

講演者   桜井公美氏  プレモパートナー株式会社 創業者・代表取締役
演題      『デザイン思考で医療機器開発を!』
副題      「テクノロジーPushか、ニーズDrivenか」

講演者 桜井公美氏

講演者略歴

はじめに:
今回は、交流会講演会として初のリモート方式による開催となりました。
参加者:83名(卒業生64名[講演者、先生を含む]、在校生19名)
本講演会には早稲田応用化学会の濱会長、及び講演者の恩師である酒井名誉教授にもご参加頂きました。お二人から頂きましたご挨拶の内容については、本講演会の進行に合わせまして本文の最後のところに掲載させて頂きました。

濱逸夫会長 と 酒井清孝名誉教授

また、本文の後半に記載しましたパネルディスカッションにおきまして、その司会は講演者と同じ酒井研究室出身の吉見靖男先生(芝浦工業大学工学部応用化学科教授、新制40回)にお願いしました。

吉見靖男教授 と 椎名聡交流委員長

まず椎名交流委員長による開会宣言、及び講演者の略歴紹介が行われた後、講演が始まりました。
なお、本講演会におきまして講演者が作成し、説明のために使用されましたプレゼンテーションファイルが応化会HP内の資料庫に格納されています。こちらのファイルも是非ご覧ください。(閲覧には資料庫のパスワードが必要です。)

講演会

医療機器について

医療機器の範疇は広く、非侵襲であるMRIやPETなど診断機器、メスの様な治療上のリスクが小さいものからステントや人工弁の様な体内に植え込むリスクの大きいものまであり、医療現場で使用されるまでの承認プロセスは異なっています。
演者がこれまで携わってきた治療領域や製品は主に循環器内科、心臓血管外科、脳外科などで使用される治療機器で、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の厳しい審査を経て厚生労働大臣の製造販売承認が必要な治療上のリスクの大きなものになります。
世界的には医療機器の市場規模は拡大を続けていますが、日本に関しては世界の市場拡大の伸びに比べると直近の5年で3%と微増、加えて貿易収支でも輸入額の伸びが顕著で日本発の機器輸出額が大きくないのが現状です。
厚生労働大臣の承認が必要な医療機器は医薬品と同様に、開発過程が複雑で医療上のニーズを検討、機器の試作にテストを重ねた後に非臨床試験、臨床試験を経て、この間に品質マネジメントも確認しながら承認に到りますが承認後も品質上の不具合の確認など多くの専門家による検証が必要になってきます。従って、開発期間を経て承認に到るまでのプロセスで5~6年、さらに承認後も成長維持から次世代への転換まで5~10年の長いライフサイクルとなる製品開発には

  • 簡単に後戻りできない
  • ニーズの見極めが重要で多くの医療関係者の協力が必要
  • 医学的根拠に基づき開発する
  • 臨床的意義・臨床的価値がないと判断されると承認が取れない
  • 技術力・製品力が市場浸透に不可欠
  • 開発に薬事(承認に向けた審査やPMDAへ提出する資料の取りまとめなど)、品質マネジメントなど専門的知識が不可欠

と言えます。

ベンチャー企業の活用

米国における大手の医療機器メーカーはこれらの複雑な開発プロセスをすべて自前で推進せず、ベンチャー企業を活用しています。大手ベンチャー企業はいくつもの異業種ベンチャーへ投資し、その成果として製品やライセンス、知的財産を買収することで回収しています。それぞれで以下の様な役割や性質分けがされています。

社会環境が大きく変わりつつある状況で従来型のビジネスモデルに固執することなく革新的な商品やビジネスモデルを実現していくためには自前主義からベンチャー企業への投資や買収、売却により他社技術の積極的活用によるオープンイノベーションの発想が重要になります。

昨今の医療機器のトレンド

体に装着できるウェアラブル医療機器が市場に新しいトレンドを生み出しています。
治療用機器としてはリハビリ用、呼吸器治療用、疼痛管理(ペインマネジメント)や糖尿病治療としてのインスリンポンプなど、診断機器としては胎児、睡眠、神経、バイタルサインなどのモニタリングを行うウェアラブル機器が開発されています。例えばアップルウォッチに搭載出来る心電図や心拍数を計測するアプリケーションも医療機器として認可されています。
また、AIの活用も重要な視点になります。健康維持や病気予防には、診断機器と健康データや生活習慣データ(ビッグデータ)へのAIの活用、治療期においては検査や診断支援としてのAI活用や、論文、集積された個別の症例データへのAIの活用による新薬開発の加速化などがあり、既に胸部CT、脳MRI、消化器内視鏡による病変検出に応用が進んでいます。

日本の医療機器開発事情

米国では、ベンチャー企業に対して、製品の開発段階に応じ、ベンチャーキャピタルからの投資やベンチャーが創生した技術を孵化させる(インキュベーション)など必要な支援が実施される体制が出来ているのに反して、日本においてはベンチャー企業がとても少なく、投資環境も支援体制も十分に整っておらず、米国の様な成熟した分業体制は確立されていません。従って少数のベンチャー企業を確実に育成していくことが不可欠だと考えられます。

バイオデザインとデザイン思考

バイオデザインは、医療現場のニーズを出発点として、医学や工学、ビジネスなど分野横断的な視点から革新的な医療機器の創出を目指す2001年からスタンフォード大学で開始されたプログラムです。医療従事者やエンジニアなど多彩な人材がチームを形成し、医療現場のニーズを探索しながらその解決に向けたアイデアを出し合い、プロトタイプ開発やその検証を行います。事業化の視点を取り入れて医療現場で実際に必要とされる医療機器の開発を実施することから、スタンフォード大学発ベンチャーは60社以上で、今や270万人以上の患者の治療に寄与しています。
このバイオデザインの根幹にあるデザイン思考とは、問題解決に向けた従来の分析思考(カイゼン思考)と異なり、プロセス自体や新しい価値を生み出すことを本質とした課題解決のための設計方法で、目的を設定してそのための攻略方法、戦略を立てていくやりかたではなく、顧客を観察し、ニーズを理解して新たな価値を生み出す思考法になります。

プロセスとしては、

1)注意深く観察し、出来るだけ多くの問題点をピックアップし
2)その問題点を吟味し問題の本質がどこにあるかを見極め、
3)可能な限り多くの解決法を考察し、
4)その中からいくつかのアイデアを抽出して研ぎすます
5)そのアイデアを検証し試作する(プロトタイプの作成)
6)試作品のテストを実施してフィードバックを得てブラッシュアップする

になります。

バイオデザインの取り掛かりとしては、最初の問題点の特定が重要なポイントで、チームは臨床現場に2か月ほど張りつき医療現場を様々な視点から観察したうえで200項目以上のニーズをリストアップします。これを何度も議論をかさねることで解決策を創出していきますが、対象となる患者、ニーズに対してアウトカムをどう評価するかまで明確に定義したうえで個別のニーズについては市場規模や患者や医療従事者へのインパクトなども調査、評価した上でそれらをスコア化(可視化)し最終的に4つほどにふるい分けをしていくことになります。
一般的に、ベンチャー企業は10社中1社しか残らないとされています。しかし、バイオデザインを取り入れて起業したケースでは成功確率が高くなっています(61社中でM&Aまで持っていったのが11社(M&Aまでの中央値が5年ほど)で上市まで進んだのが2社)。

社会貢献の観点からも成功した例として発展途上国の新生児を救う保温器「Embrace」の例があります。
現在、約1500万人の早産児と低体重児が生まれておりそのうち100万人ほどが低体温症のために生後24時間以内に死亡する実態がありますが、体温を保つための保育器は1台当たり2万ドル(200万円)もしていたことから開発途上国では導入が中々進まない問題がありました。そのために安価な(2万円)保育器の製作について検討が行われましたが、実際には安価な保育器を導入しても実際に使用される例が顕著に増大しませんでした。なぜなら、低体温症で死亡する新生児の多くが都市部ではなく医療機関から離れた農村部や郊外に多かったからです。自宅分娩で使用できる装置という観点が重要でした。誰の何を解決したいのかという視点で作られたものが、実際に使われるためには重要である事例であったと思います。
一方で失敗しがちな例として「イノベーションのジレンマ」を紹介します。エンジニアは常に改善を思考していくために持続的なイノベーションの進化が顧客の求めている性能ニーズを超えて行き、この両者の乖離が大きくなってしまう点で、顧客目線での開発を置き去りにしてしまうことによるリスクが増大します。製品開発に必要な視点は人がなぜその製品やサービスを購入して製品をどう使うのかにあり、人間の生活を中心とした考え方が重要です。
私たちを取り巻く環境はAIやビッグデータの活用といった技術革新や、グローバル化にともなう人の流れや高齢化、新興市場の都市化といった人口統計学的属性の変化、技術革新や社会情勢にともなう行動様式の変化など加速度的に進んでいます。課題解決と価値創出のプロセスはより重要なものになると思います。

パネルディスカッション:「未来をつくる人になろう」

司会進行:吉見靖男・芝浦工業大学工学部応用化学科教授
パネラー:西尾博道(M1)、本村彩香(M1)、五十嵐優翔(B4)

※詳細は学生委員会HPに掲載予定の記事を参照ください。

  • 講演を受けて起業に対する意識は

演者からは、「年齢を重ねて考えが変化した。就職当時はバブルで、企業に就職するのが既定路線で、学生だった当時は、起業など想定していなかった。」と。
現役学生からは、「演者の話を聞いて、一般企業の就職を考えているが将来的に環境変化や共同作業する人たちとの出会いのチャンスがあれば多様性が生かせる時代にもなりベンチャーも選択肢になると思う。」とのコメントがありました。

  • デザイン思考について

日本人が得意なところは「戦略思考」だと思う。一つのパイを取りに行く戦略的勝ち抜きのための一定のセオリーに基づいた行動など、日本人は実直に対応していける能力を発揮している様に思います。
「改善思考」については課題解決について検討するプロセスとしてはデザイン思考にも通じる部分があるもののPDCAサイクルを回して現在ある課題を解決してクオリティを高めていく点では、「現在」にフォーカスしたもので、デザイン思考は今ある課題を分析検討してこれからに活かす未来志向の考え方になります。
大学の授業では思考プロセスについて詳細に教えてもらう機会がないかも知れませんが、研究室生活で自分自身が従事している研究の最終的な目的や成果物がどの様に社会で活かされるかを考えながら研究することも大切だと思います。
アントレプレナーシップ教育も大学で取り入れられ始めています。テクノロジープッシュに偏らないように、前向きに起業家精神も身につけてほしいです。

  • 今の普通が将来的な普通ではない

ビジネスの環境は激変しています。現在おこなっている研究開発はそれが結実する頃には既に時代遅れになっているケースもあるので、「未来にこのような状況だったらいいな」といった変化を見据えて将来を考えるのがポイントだと思います。社会環境は自分で変えられるものではないため、起業してから環境変化を意識するようになりました。ベンチャーを立ち上げるとキャッシュフローも自分自身で考えるようになります。中長期的な戦略は短期的なキャッシュフローの影響も受けるため投資のタイミングや成功確率の見極めも考慮する必要があります。これらを解決するには一人の力では出来ないため、チームで動かして行く必要があります。
環境変化の見極めの重要性について、外資系のフィルムメーカーの例を紹介します。その会社はデジタル化の波がくることを予想して他社に先行してデジタルカメラを開発していました。しかし、フィルム市場でマーケットリーダーだったため、自社のコアテクノロジーに固執し、新規技術を封印してしまいました。戦略思考にフォーカスした結果として社会動向についていけなくなったのです。(イノベーションのジレンマの一例)。
大企業がベンチャー企業を買収する際にdue diligenceを実施します。その際には、知的財産がどれくらいあるかという点も重視します。ベンチャーの価値を高めるために、全方向的な視点での考慮と資金援助は不可欠ですが、それをアクセレレートさせるインキュベーターのパワーの必要性を認識しています。自分が今起業してモチベーションが維持できている理由としては、自分の好きなことをやっているという意識と、社会的環境は変えられないがプロセスは変えられるという意識がポジティブに働いているように思います。

質疑応答

Q1 日本の医療機器メーカーが世界上位に入るためには、環境含め様々な課題があると考えますが、その中でも日本企業の強みについて、ご意見頂ければ幸いです。

A1 日本企業もオープンイノベーションに舵を切っているように思います。M&Aや他社で切り離しをされた部門の買収なども進んでいるように思います。新規事業については従来の事業形態からは切り離して考えていく必要があります。品質など日本人の真面目な部分や協調性など日本の強みに成り得る部分かも知れません。

Q2 様々な人や情報に触れることで問題を発見したり、知識・考えを広げていったりすると思うのですが、それらをうまく整理する方法等、ご教示願えませんでしょうか。

A2 他の人の話は積極的に聞こうと考えています。自分自身が知らない分野の話はそれ自体が新しい気付きですし積極的に他の人との交流をするように努めています。「知の深化」と「知の探索」の両方がイノベーションには必要と言われていますが、探索にはコミュニケーションが必須であるので一つのコミュニケーションで一つの学びがあることを意識づけしています。

Q3 アカデミアの方々は論文を数多く出したいと考え、産業は儲けることを第一に考える。アカデミアはコストのことをあまり意識しないが、産業はコストが重要課題になってきますがこの相違をどう解消しますか。

A3 学術で考えることと産業のプロセスは全く違うのでその隙間を埋める必要がありインキュベーターにその役割が課せられているように思います。調整を適切に実施していくにはそれぞれでの経験が双方の立場を理解する上で重要だったと思います。

質疑応答後、恩師である酒井清孝名誉教授からご挨拶を頂きました。

酒井名誉教授からのご挨拶:

酒井清孝先生の挨拶

医療機器の開発において医工連携は重要で米国では医学部のスタッフも工学部など他学部から進んだ方も多いため連携は進みやすいが日本では厳しい面もあったことを踏まえて演者へ熱いエールが送られました。

本講演会の最後に、早稲田応用化学会の濱逸夫会長からご挨拶を頂きました。

濱会長からの閉会のご挨拶:

濱会長の挨拶

本講演について演者、関係者への謝辞とともに自社戦略でもデザイン思考について検討していた経験についてコメントを頂き、また学生向けメッセージとして多くの方とコミュニケーションをとって知見を広めて知識の探索も深めていただきたいとのエールも頂きました。

 

――― 以上 ―――

(文責;交流委員会)

第35回交流会講演会(2021年4月24日)のご案内

講演者;桜井公美氏  プレモパートナー株式会社 創業者・代表取締役  演題;『デザイン思考で医療機器開発を!』  副題;「テクノロジーPushか、ニーズDrivenか」

今回は、交流会講演会として初のリモート方式による開催となります。
女性起業家として標記の会社を設立しご活躍されている桜井公美氏をお迎えし、『デザイン思考で医療機器開発を!』というテーマにてご講演をして頂きます。
“デザイン思考”とは、課題発見のための思考法のひとつで、副題の「テクノロジーPushか、ニーズDrivenか」と共に講演の中で詳しい説明があります。

プレモパートナー株式会社について(同社HPからの抜粋)
Premoはラテン語で寄り添うということを意味します。 患者様に必要とされる医療機器を少しでも早くお届けするために、独自の国内外のネットワークを活用し、私たちが持つ医療機器開発の専門スキルでニーズを見つけ、シーズを独り立ち出来るまで育て、出口まで導きます。 プレモパートナーのインキュベーション機能は、製品事業化に必要な全てのサービスを提供出来ます。企業の皆様には「新規事業の創出」を、またスタートアップ企業の皆様には「新製品の導出」を支援します。 プレモパートナーには、医療機器企業での実務経験が長いスタッフ、現在も厚労省や経産省などの行政機関のWGメンバーであるスタッフ、PMDA  注1) に在籍経験のあるスタッフなど、医療現場を熟知し、薬事承認から製造販売、市販後のマーケティングに至るまで幅広い分野に包括的に対応出来る様々な専門家が在籍しています。 医療機器企業で長年マーケティングに携わり、そこで培った他事業部との「HUB」としての経験を、今度はもっと広い医療機器という海原で、新規事業開発の「HUB」として、人の繋がりを大切に、医療のイノベーションに貢献したいと思っています。
注1):Pharmaceuticals and Medical Devices Agency、独立行政法人 医薬品医療機器 総合機構 医薬品や生物由来成分、医療機器の有効性や安全性を監視統括する独立法人

本講演の概要(講演者から寄せられた紹介文より)

日本は世界の医療機器市場で米国に続き2位ですが、その規模は大きく引き離されています。日本で患者さまに医療機器を届けるために「医療イノベーションを社会実装する」「医療機器の事業化を絵に描いた餅で終わらせない」という気持ちをもとに、約2年前、医療機器に特化した「インキュベーター」を起業しました。医療機器開発にはいくつものハードルがあります。今回は、開発に必要なプロセス、米国が強い理由、トレンドを提示するとともに、デザイン思考や未来思考による「視点」や「アプローチ」の重要性についてお話します。

講演者略歴

1991年    早稲田大学 理工学部 応用化学科 卒業(新制41回.酒井研究室)
1993年    早稲田大学 大学院 理工学研究科 応用化学専攻 修了
1993-2005年 慶應義塾大学病院 特別研究員
2005-2007年 ベックマンコールター(株)マーケティング部
2007-2015年 日本メドトロニック コロナリー事業部 マーケティング部
2015-2019年 セントジュードメディカルCV事業部 マーケティング部
           (2018年アボットメディカルジャパンに社名変更)
2019年    プレモパートナー株式会社 創業 代表取締役

その他、株式会社INOPASE取締役、株式会社ジョコネ取締役、東京都委託事業 先端医療機器アクセラレーションプロジェクト カタライザーなど兼任

早稲田大学大学院にて工学修士を取得後、アカデミアで12年間血液凝固の研究。その後、大手外資系医療機器企業で就業。体外診断機器および植込機器のマーケティングに約13年従事。数々の新製品をリーダーとして上市。学術のバックグランドを活かした循環器領域でのプロモーションとKOL 注2)  マネジメントが得意。2019年プレモパートナー株式会社を起業。現在、大企業の新製品上市に関わるコンサルティング、スタートアップの支援他、シリコンバレーなどの海外ベンチャー企業の日本進出のサポートも行っている。

注2):Key Opinion Leader、医薬品・医療機器の導入促進に影響を持つ医師・医療関係者

講演の日時、形式等

開催期日;2021年4月24日(土)
講演形式;遠隔会議用ソフト Zoomを使用したリモート講演
開会挨拶、講師紹介、及び講演;15:00~16:00
パネルディスカッション;16:10~16:40
パネルディスカッションのテーマ;「未来をつくる人になろう」
パネルディスカッションの司会;吉見靖男先生(芝浦工業大学工学部応用化学科教授[新制40回.酒井研])
学生パネリスト;M1 西尾博道、M1 本村彩香、B4 五十嵐優翔
質疑応答、等;16:40~16:50
閉会挨拶;16:50~17:00
その他 ;参加費無料.要事前申し込み.

 

申し込み方法について

応用化学科の学生、及び早稲田応用化学会会員であるOB/OGの皆様は、別途送付されるメルマガからの申し込みをお願いします。
上記以外で、本学の学生、卒業生・修了生、教職員の方は下記のリンク先から申し込みをお願いします。

申し込み先 ⇒  こちらから

折り返し、申し込みメールアドレス宛にZoomの参加方法等が配信されます。
皆様、是非奮ってご参加下さい。
宜しくお願い致します。

「先輩からのメッセージ2021」の開催日程

                        早稲田応用化学会 交流委員会

 

 「先輩からのメッセージ」は、新型コロナウィルス対策としてリモートによる懇談会を中心とし、学生諸君の企業への理解を深める時期が余裕をもって確保できるよう、開催日を2021年1月16日(土)とし、準備を進めています。

 学生諸君には参加へ向けてのスケジュール調整をお願いいたします。

当日は、「企業ガイダンス」ホームページ掲載中の日本を代表する各社に在籍されているOB・OGに皆様から直接に、学生諸君の疑問や不安について適切なアドバイスがいただけますので、将来の進路決定にも必ず役立つものと確信しております。

 詳細な内容ならびに参加の申し込みは、改めて12月上旬にホームページおよびメールマガジンにてご案内いたします。

1.日 時 2021年1月16日(土) 9時~19時ごろ(予定)

2.実施方法

本年度はZoomによるリモート懇談会といたします。

「先輩からのメッセージ」は、一般の企業説明会と異なり、企業概要、仕事の紹介にとどまらず、応化OB/OGより直接に、会社生活や日常、普段考えていることや雰囲気などを親しく聞けることを特色としています。

 リモート開催においてもこの特色を活かす懇談会を中心にすべく、企業により下記のような方式から選択し、実施していただきます。

 ①開催日の10日前から事前のプレゼン動画を配信、当日のリモート懇談会はOB/OGとの懇談を中心とします。

 ②開催日の10日前から事前のプレゼン動画を配信、当日のリモート懇談会で更にプレゼン、続いて懇談を実施します。

 ③事前のプレゼン動画はなしで、当日懇談会にてプレゼンと引き続き懇談を実施します。

    当日の懇談会は企業ごとにZoomによる懇談会とし、12月中旬に案内のタイムスケジュール表から選んで入室します。1社40分2回の開催を予定しています。

 

3.対象学生 学部生、大学院生(修士、博士、一貫制博士)およびポスドク

   (進路決定を間近に控えた学部3年、修士1年、博士、一貫制博士課程修了予定者およびポスドクを主体としていますが、将来へ備えての学部1・2・4年生、修士2年生の参加も大歓迎です。)

4.対象学科 応用化学科および応用化学専攻、化学・生命化学科および専攻、生命医科学科および専攻、ナノ理工学専攻、生命理工学専攻等

  (その他学部・研究科・学科・専攻を問いません。)

5.お問合せ 本件に関する問い合わせ・要望等は下記の専用アドレスまでお願いいたします。

       guidance_2020@waseda-oukakai.gr.jp

 

「先輩からのメッセージ2020」開催報告

2020年1月18日(土)第12回フォーラム「先輩からのメッセージ2020」を開催しました。その概要をここに報告いたします。 

 文部科学省の「採用選考に関する指針」において会社説明会等の広報活動開始時期は本年も3月とされましたが、本フォーラムは、採用に向けた会社説明会とは異なり、先輩の眼を通じた各企業のアクティヴィティ、社会人としての過ごし方や後輩への期待等を話していただく、学生の進路選定の一助、キャリア教育の一環であることから、大学側と慎重に協議いたしました結果、開催日を1月18日(土)といたしました。これに基づき、後述の「企業ガイダンス」掲載企業に「先輩からのメッセージ2020」への参加をお願いしたところ、61社からご賛同をいただき第12回の開催の運びとなりました。早稲田応用化学会のホームページには学生向けのコンテンツの一つとして「企業ガイダンス」掲載欄を設けており72社に参加いただいています。

 ビジネス現場の第一線で活躍中の身近な世代の先輩が、それぞれの企業の特徴、ビジネスモデル、講演者自身のビジネスライフの様態、キャリア開発の実績、求められる人材像など、限られた時間内でコンパクトにまとめて講演いただきました。企業からは講演者、同行者を合わせて約130名に参加いただきました。内OB/OGの参加は講演者を含めて90名となりました。学生の参加数は総数181名で、内応用化学科及び専攻が約85%、その他化学・生命化学専攻、生命医科学専攻、物理学及応用物理学専攻等からも広く参加を得ました。また参加学生のほとんどが10社以上の講演を聴講したと回答しており、企業や先輩の動向への関心の高さがうかがわれます。

 フォーラム開始前のオリエンテーションでは、椎名交流委員長からご挨拶、和田教授からご挨拶と特別講演のご案内、保谷交流副委員長から講演についての注意・お願い事項の説明がありました。その後、12:30より一斉に講演がスタートしました。会場は6教室で、これまでと同様に前半と後半の2部制として各社2回の講演を行っていただき、参加学生が希望する企業の講演をできる限り聴講できるようにいたしました。全講演の学生延べ聴講数は2,400名を超え、積極的に講演会場の教室を回ったことがうかがわれます。

教室風景

201・202会場    203・301会場     302・303会場

また、企業控室として使用の教室では、特別講演として松方教授による「最近の早稲田大学応用化学科について」と和田教授による「早稲田大学応用化学科の就職活動概要」をそれぞれ30分で2回講演いただきました。

 本年も学生受付教室に企業からの配布資料置き場を設置し、多くの会社にパンフレット等をおいていただきました。受付終了後の学生が、各社の配布資料を閲覧し、持ち帰っていました。 

講演会終了後は参加いただきました企業在籍のOB・OGおよび同行者を囲んで懇談会を催しました。企業側、学生出席者多数で大盛況の懇談会となりました。椎名交流委員長の司会のもと、主催者を代表して西出会長から参加企業への御礼と挨拶、教室を代表して門間主任教授の乾杯発声をかわきりに懇親を深め、フォーラムの延長となる学生と企業との質疑応答を含めて話が弾み、会場は熱気にあふれました。学生にとっては昼間のフォーラム、夕刻からの懇談会を通して、日常の学習、研究に加えて、将来の進路選定への貴重なアドバイスを先輩諸兄から頂戴し、学んだことも多かったものと確信しています。橋本副会長の中締めの挨拶、田中学生委員長の一本締めをもって全プログラムを盛況のうちに終了いたしました。

懇談会の模様(懇談会のスナップ写真はこちらから)

今回のフォーラムにご賛同、ご支援いただきました企業、および熱気溢れる講演、懇談会における後輩を思いやる親身なアドバイスをいただきました先輩と、同行された関係者の皆様にはこの場をお借りしてあらためて厚く御礼申し上げます。

(文責 交流委員会 写真 広報委員会)

Ⅰ プログラム概要

  1. 日時  2020年1月18日(土) 
  2. 会場  西早稲田キャンパス54号館2F、3F教室
  3. 受付  企業関係者は講演会場にて11:00から、学生は54号館101教室で12:00から
  4. 内容  オリエンテーション      12:00~12:20(企業関係者)
          講演会(第1部)    12:30~15:13
          講演会(第2部)    15:30~18:13
          懇談会          18:30~20;00(63号館1Fロームスクエア)
  5. 対象学生 学部生、大学院生(修士、博士、一貫制博士)およびポスドク
    (進路選定を間近に控えた学部3年、修士1年、博士課程、一貫制博士課程修了予定者および ポスドクを参加の主体とし、将来へ備えての学部1,2,4年、修士2年の参加も歓迎)
  6. 対象学科 応用化学科、応用化学専攻、化学・生命化学科および専攻、生命医科学科および専攻、電気・情報生命専攻、ナノ理工学専攻、生命理工学専攻等(学部、研究科、学科、専攻を問いません)

Ⅱ 「先輩からのメッセージ2020」教室番号、タイムスケジュール(54号館)


Ⅲ 「先輩からのメッセージ2020」特別講演スケジュール

Ⅳ 参加した学生(フォーラム参加学生の詳細)

*それ以外の学生は化学・生命化学専攻、生命医科学専攻、物理学及応用物理学専攻、国際教養学部等

 

Ⅴ アンケートを踏まえての総括

1.今回のフォーラムの全体的な評価

アンケート回答者では、参加企業、学生とも全員が、「満足」「ほぼ満足」と回答しており、フォーラムは評価されていると考えられます。

質問に対し多岐にわたる回答がありましたが多かったものをまとめると次の通りです。

 1)学生からの回答

  ①いろいろな企業が一堂に会していて、業界を知ることができてよかった。
  ②OB・OGからは、仕事や生活の具体的な話が聞けて参考になった。

 2)企業参加者からの回答

  ①学生の熱心さ
  ②特別講演
  ③他社講演の聴講が可能だったこと

 が評価されました。

2.運営について

 1)講演時間の13分/社については企業の82%、学生の85%が適当と回答しました。
 2)会場について本年度は学生の8%が企業によっては狭いと回答したものの、講演企業では96%が適当と回答されており、部屋割りはおおむね順調にいったと考えられます。
 3)開催時期は、学生の58%が1月開催で良かったと回答、40%が前年12月を希望しています。企業からも、絞り込む前に幅広く知ってもらうということを評価する声も多く聞かれます。 
本フォーラムは、政府指針による会社説明会と趣旨を分けていることもあり、来年の開催時期については教室側のご理解をいただき、1月開催で考えていきたいと思います。
 4)懇談会は年々参加者が増え、会場が狭いという意見が多くありますが、適当な代案も難しく、大きな課題になります。

3.まとめと次回開催に向けた課題

  本年は61社に参加いただき、また、学生参加数181名でそのうち83%が10社以上を聴講し延べ聴講数2,400名という熱気にあふれたフォーラムとなりました。学生は優良企業からの具体的な情報が得られ、企業側も自社に対する理解を深めてもらうという状況が、両者にとって本フォーラムの高い評価につながっていると思われます。
  同一時間帯での企業割り振りなど改善希望点も指摘されています。今後とも参加企業を増やしていくことと、日程を含めた運営方法との調整が課題となります。
  今後の参加企業として、医薬、化粧品などが希望されており、また電機やIT、自動車、精密機器など現在参加が少ない業種へのアプローチも課題です。一方、講演時間の要望も考慮しますと、施設面、運営人員面での課題も大きく、教室側と連携をとって次年度の運営を早めに議論していくことが求められています。

なお、「先輩からのメッセージ」及び「企業ガイダンス」に関するお問い合わせならびにご要望等は下記メールアドレスの交流委員会または事務局宛お願いいたします。

  E-Mail :guidance@waseda-oukakai.gr.jp  
      〒169-8555 東京都新宿区大久保3-4-1
  早稲田大学 先進理工学部応用化学科内 早稲田応用化学会 事務局長 寺嶋正夫
  TEL 03-3209-3211 内線 5253
  FAX 03-5286-3892  
  E-Mail: oukakai@list.waseda.jp
       URL  http://www.waseda-oukakai.gr.jp

「先輩からのメッセージ2020」タイムスケジュール

早稲田応用化学会 交流委員会

 先にご案内いたしました標記のタイムスケジュールならびに部屋割りが決定いたしましたので、お知らせいたします。

1.日 時  2020年1月18日(土)
2.会 場  西早稲田キャンパス 54号館2F~3F教室
3.受 付  

学生諸君の受付は54号館101教室にて12:00から
同室に会社案内等企業からの配布資料が置いてありますのでお持ちください


4.内 容  

講 演 会  :12:30~15:13 【第一回】
【休憩】   :15:15~15:30
講 演 会  :15:30~18:13 【第二回】
懇 談 会  :18:30~20:00 【63号館1Fロームスクエア】

5.対象学生

学部生、大学院生(修士、博士、一貫性博士)およびポスドク(進路決定を間近に控えた学部3年、修士1年、博士課程、一貫性博士課程修了予定者およびポスドクを主体としていますが、将来へ備えての学部1・2・4年生、修士2年生の参加も歓迎します。)

6.対象学科 

応用化学科および応用化学専攻、化学・生命化学科および専攻、生命医化学科および専攻、ナノ理工学専攻、生命理工学専攻等(その他学部・研究科・学科・専攻を問いません。)

7.申込方法 

当日の受付混乱を回避するため、参加希望の学生は事前登録にご協力をお願いいたします。
           申し込み⇒こちらから

8.事前確認 

聴講を希望する企業および懇談会で個別対話を希望する企業については、
事前にHP掲載の「企業ガイダンス」にて情報の確認をお願いします。
IDおよびPW不明の場合は応化会事務局まで問い合わせてください。
【新規企業を含め
71社が掲載】
          E-mail:oukakai@list.waseda.jp
          TEL 03-3209-3211(内)5253

9.タイムスケジュール

タイムスケジュールおよび部屋割りは下記の通りです。(詳細は→こちら

入場は自由、無料ですので、奮ってのご参加をお待ちしています。
なお、服装はリクルートスーツ厳禁としていますのでご協力ください。

 

早稲田応用化学会 交流委員会主催 第34回交流会講演会

講演者 :山本康雄氏 タカハタプレシジョン株式会社 代表取締役社長(CEO)
演題  :『未来を見据えビジョンを持って挑む』
  副題 :「必ずしも答えがあるとは限らない世界へ向けて」

講演期日:2019年11月16日(土)
講演会場:西早稲田キャンパス 52号館302教室
講演時間:16:30~17:45
懇親会 :18:00~19:15(56号館 地下1階 理工カフェテリア)

講演者略歴

  • 1988年03月 理工学部 応用化学科 卒業(新制38回、長谷川研究室)
  • 1988年04月 三井物産株式会社 入社
  • 2001年12月 三井物産株式会社 退社
  • 2002年01月 高畑精工株式会社 入社
  • 2003年06月 高畑精工株式会社 社長就任
  • 2010年 社名を「高畑精工株式会社」から「タカハタプレシジョン株式会社」に変更

講演の概要

講演に先立ち、椎名交流委員長の開会宣言、西出会長の講師紹介、椎名交流委員長の講師略歴紹介を受けて山本社長が登壇し、講演の機会を与えて下さった西出会長への謝辞が述べられた後、講演が始まりました。
*参加者;教員・OB/OG・講演会関係者44名、学生36名、合計80名

椎名交流委員長の開会宣言                            西出会長の講師紹介

<始めに>

*講演を引き受けた経緯について

山梨県にはタカハタプレシジョンの工場がありますが、同じ県内にある山梨大学の宮武先生と知り合う機会が有りました。そして、宮武先生が研究していることを物にする過程で困っていることがあるとお聞きし、それでは一緒にそれをやりましょうということになりました。そのため宮武先生の恩師である西出先生のところへお邪魔したり、本間先生とのお付き合いも始まりました。そのような折、今回の講演の依頼を受けました。

山本康雄社長

*講演の演題設定の経緯について

私から講演内容を一方的に決めるのではなく、学生委員と十分にコミュニケーションを取った上で決めました。

長谷川先生のご逝去(2019年9月)に関して

恩師の長谷川先生の訃報に接し思い出したのですが、当時実験に失敗してドラフトを破損した際、激高された先生から叱責を受けた後「出世して返せ」と言われたことがありました。今日は少しその恩返しが出来ればと思っています。
講演の前半は私がこれまで行ってきたことや会社の紹介をします。
講演の後半はこれから巣立っていく学生の皆さんに少しでも役に立てれば、と思っていることをお話しします。

<講演の前半>

1988年に入社した三井物産での経験

同期入社130名のうち30名が理科系で、そのうち6名がそれぞれ学科の異なる早大理工学部出身でした。
入社して3年間の大阪勤務の後、海外研修のためドイツのミュンヘン大学に聴講生として2年間留学しました。そこで学んだのは日本人のメンタリティのデメリットです。授業形態は世界各国の学生が参加しているグループディスカッションで、この中で発言しないと完全に孤立してしまいます。外に出るといかに自分の意見を述べる力、自分の存在感を出すことが大事であるかが分かりました。
それからドイツの事務所に勤務した後本社に戻り、機能化学品を扱う部門に配属されました。シリコンバレー、台湾、上海、シンガポールを往復し、半導体材料、液晶材料関連のビジネス化にチャレンジせよとの指示を受け、これらの活動を通してベンチャー企業のメンバー個人個人の大きなエネルギーを感じ取ることが出来ました。
この部署では半導体・液晶関連以外にエンジニアリングプラスティックも扱っており、この時お付き合いのあった会社の1つが高畑精工でした。そして縁あって三井物産から高畑精工に移りました。人生の大決断でした。今から思えばこの大決断を後押ししたのはチャレンジスピリットであったと思います。
移った当初言われたのは、この高畑精工を思いっきり変えてみてくれ、ということでした。高畑精工は精密成形技術において国内トップクラスの技術を持っており、これを武器に最初の海外進出先として決めたアメリカに打って出ることにしました。事業分野としては将来性が見込める自動車関連部品を選定し、その後世界各国に進出しました。

山本社長

Company Profile(会社案内パンフレットを用いての説明)

・表紙「CHALLENGE TECHNOLOGY INSPIRE INNOVATION」
これを会社の基本的なMentalityとして置きました。

P.2~3 4 Core Values

タカハタプレシジョンという会社の価値をここに打ち出しました。

#1 人財
モノづくりは、人づくり。人こそ財産であるというこだわりから、「人材」ではなく「人財」という漢字を使いました。

#2 総合力
端的に言えば「垣根を取る」ということです。私が以前勤務していた会社の場合、多くの関連部門の審査を経て稟議書が承認されるまでに3カ月以上を要しました。大企業ではこういうデメリットがあります。私の会社では管理系の職場の人数は極力減らし、工場や研究系の職場に多くの人を投入してこういうデメリットを無くすように努めています。

#3 対応力
#2の総合力とリンクしますが、パンフレットにある「お客様のニーズに的確、柔軟、そして迅速にお応えする」には「垣根を取る」ことが必要です。そして「物事には正解が無い」ことを知る必要があります。特定のビジネスの世界において「決める」ということは、いくつかの選択肢の中から「選ぶ」ということですが、考え抜いて選んだ選択肢を採用してもうまくいかないことがあります。それは時間と共に状況が変化するからです。迅速な対応力によりこの変化に立ち向かわなければなりません。この迅速な対応力を実現するため、私の会社では多様化の象徴として役員の多国籍化且つ複数女性役員の登用をすることで議論の活発化を図っています。
対応策として予算とか経営計画を立てる場合、私が以前勤務していた会社では正確性が執拗に求められ、その結果長期間に亘り改訂に次ぐ改訂を強いられ、その間に外部の状況が変わってしまうということがありました。これからは正確性の追求より、覚悟・腹落ち・納得性といったことを重視し、方向性を決めたらそれに向かって集中し、外部環境に応じて柔軟に修正しながら進めることが重要と考えます。
このようなことを実行するために必要なもの、それは知性です。そのために勉強し、知識を増やし、考えて考察することを持続させて下さい。そして感性・五感を磨いて下さい。

#4 挑戦力
当社の製品の1つである水道メーターに関連して役所と付き合いがありますが、従来のメカ式水道メーターからスマートメーターに変える提案をしても、前例が無いとして逡巡されてしまいます。「前例が無い」から挑戦すべきという当社の姿勢に対しても、理解を得るのが難しいので、この分野で有力な競合他社がいないオーストラリアに進出しました。

・P.6~7 事業拠点

これらのページに記載しましたように世界各国に事業拠点を置いており、年間の3/4は海外出張しています。これだけ海外にいると複眼で世の中を見ることが出来るようになり、マスコミやニュースで報道されることは物事の片鱗に過ぎないことが分かります。従って、特に若い学生諸君に言いたいのは、今はひたすら勉強に励み、そして世の中に出たら少しでも外に出て下さいということです。自発的な行動によってその機会を掴んで下さい。私の場合失敗もしましたがそこから多くを学び、取り返して来ました。七転八起ということです。これを行うのは大企業にいては難しいかも知れません。従って自らの力で大きな成果を掴み取ろうと思ったら、大企業に入ったとしても一度外に出てみることを勧めます。大企業でしか得られないものもありますが、外に出て初めて得られるものもあります。失敗することもあるでしょうが、それを通じて視野を広げることが出来るのです。失敗に落胆せずそれに打ち勝つことにより大切な経験を得ることが出来ることを説いた大隈重信の言葉を、恥ずかしながら最近知りました。我々、特にビジネス世界にいる人間はこの言葉を肝に銘じる必要が有ると思います。
私の会社では人事評価において、若い研究・技術職の人に対してはどういう失敗をしたか、そしてそれら失敗から何を学んだかを評価に加味するようにしました。これにより、コストは掛かるようになりましたが社員が失敗から学ぶことを覚えてチャレンジスピリットを醸成し、人が育つようになりました。

会場

<講演の後半>

*新しい分野への取り組みについて

パンフレットの8ページの下方にある「挑戦し続ける技術者集団」という見出しに続く文章の中で、「従来のビジネス領域とはまったく異なる新しい分野への取り組みも進行しています。」と記載しました。新しい分野に進出するために、当社の若い精鋭技術職十数名を集めてブレインストーミングをさせました。4~5回行ったのですが、新しいものは出ず、話が従来の技術に戻っていくような状況でした。理由を考えたのですが、メンバー全員が同類、すなわち同じような社会的バックグラウンドにある人達であることに気付きました。組み合わせを間違えたわけです。対応策として社外からの色々な考えを取り込みました。異なる業界、外国、年配者から若人まで。その結果、予想もしない新しい考えが出て来ました。従来からの組み合わせを変えることによって、初めて新しいアイデアが生まれて来るということです。同時に、前述のように外に出て幅広く物事を見ることが重要です。

*バランスについて

私の会社では新しい分野に挑戦する部署(A)と、既存の事業を担当し利益を生み出す部署(B)があります。そしてこれらの部署の間で摩擦が起きることがあります。部署(A)の幹部はお金を使うばかりで部署(B)に対して申し訳ないと思い、部署(B)の幹部は専ら自らの部署で利益を生み出しているので、部署(A)に対して厳しい態度で迫るといった具合です。大事なのはこれらの間のバランスをとることです。会社にとっては(A)も(B)も必要で、これらのバランスをうまくとることが非常に大切です。そして、もうひとつはこのバランスをとるためのコミュニケーションをスムーズ且つ活発に行う環境を作ることです。トップダウンは時として思考停止を招きます。社内にはこれらの部署の人達が参加する色々な会議があるのですが、私以外役員たちから、これらの会議には出席しないで欲しいと言われました。私が出席すると私が発言の機会を殆ど独占し、他の参加者は私に忖度するから、というのがその理由です。そして、その言葉に従い私が出席しないようにすると色々な意見が出るようになって会議が活発になりました。
私はサミットと呼んでいる最高経営会議には出席しますが、そこでの発言はなるべく控えるようにしてその場の雰囲気を掴み取るようにしています。この「雰囲気」が大事で、海外出張した際も工場の中を歩き回って職場の雰囲気を掴み取り、微妙な変化を察知するようにしています。この「察知する」ことも大事で、かつて私より年上の役員が当時の会長に直接提出していた業務報告書の内容が、業務実態と乖離した美辞麗句となっていることを会長に説明した結果、納得してもらい改善を任されました。社長とは言え現場で働き苦労してきたからこそ分かったことで、先輩格の部下と現場の仲間たちとの間に入って両者間の相互理解を良好なものにすることが出来ました。ということで、現場の重要性を強く訴えたいと思います。最近大企業が起こしている品質問題の原因は、決定権を持った人が現場をよく見ていない或いは実情を知らないからです。何故かというと企業が大き過ぎるからです。大き過ぎる故に、変化に対応出来ないのです。会社は絶対にこのようになってはならないと考えます。私はこの現象を環境変化に対応できずに滅んだ恐竜を例にとって社員たちにしばしば説明します。現在私はこの会社をこれ以上大きくするつもりはない考えを持っています。ガバナンスが効かなくなる恐れがあるからです。これが正解かどうか分かりませんが、当面この方針で行ってみようと思います。なお、最後の海外進出先としてヨーロッパのスペインを選び、本年2019年初頭に工場を立ち上げました。意識している顧客の一つにBoschという会社がドイツにあるのですが、進出先としてはスペインを選びました。理由として、ヨーロッパにある先進国と比較して忘れられたような国ではあるのですが、物造りに興味があって芸術的センスを有する人財が豊富であること、また日系を含めて競合他社が見当たらないことでした。進出して間もないですが、多数の引き合いがあります。

<まとめ>

会社の規模の拡大としてはスペインが最後であり、これからは中身を充実していきます。中身とは人財育成、Culture変化、そしてInnovationです。このInnovationの中で今回、西出先生、本間先生、そして後輩の宮武先生とのお付き合いを通して母校と関わることが出来、こんな嬉しいことはありません。そして、今回の私の講演から学生諸君が何か得ることが出来れば、それは私の最大の喜びです。また、学生諸君の中に将来に対する展望みたいなものが少しでも芽生えてくれたら、それも私の喜びです。
以上で私の講義とさせて頂きます。有難う御座いました。

時間的な制約から、質問を1件だけ受付けました。

<質問>

新規事業への挑戦のため外に出て行くことと規模を大きくすることとは関連性があるように思えるのですが、この点はどのように考えたら宜しいでしょうか。

Floorからの質問

<回答>

私の会社の、既存の技術による売り上げを仮に100とすると、これが80、70、60と段々減少して行きます。例えば3-D Printingという技術が拡大しつつあり、形状のみを考慮した製品において売り上げを伸ばしています。一方、私の会社で従来から行っている射出成形は製品の機能や精度を追及した技術ですが、製品の売り上げは減少しています。この減少した10、20、30の部分を新しいものに置き換えて、売り上げの100を維持しようということです。これが正解かどうかは分かりません。規模を大きくすることを全否定しているわけではありませんが、私の会社の実情や外部の環境を考慮して現在はこのような方針を採っているということです。

質問に答える山本社長

講演の中で参照された会社案内パンフレットは、電子ファイル化されて応用化学会HPの中の「資料庫」(パスワードが必要です)に交流講演会資料(講演会第34回)として格納されています。是非ご覧下さい。

【懇親会】

講演会終了後、会場を56号館地下1階理工カフェテリアに移して懇親会が開催されました。
参加者;教員・OB/OG・講演会関係者36名、学生27名、合計63名
交流委員会鈴木委員の司会のもと、応用化学会濱副会長の挨拶、続いて安達副会長の挨拶と乾杯のご発声の後、懇親会が始まりました。

今回の講師である山本社長は積極的に学生の輪の中に入り、熱い懇談の場となりました。学生にとって講演会では聞くことが出来なかった山本社長のご経験やお考えを直接聞くことが出来、今後の進路を考える上で大変貴重な機会になったのではないかと思います。

学生に囲まれる山本社長

今回も早大応援部学生に懇親会場でのパフォーマンスをお願いし、懇親会後半に校歌、エールで参加者が声を合わせ、応化会の団結を確認し今後益々の発展を誓いました。

校歌斉唱

そして橋本副会長の中締めと閉会の挨拶に続いて、学部生部会 岡 部会長の一本締めにて解散となりました。

講演会・懇親会のスナップ写真は下のボタンをクリックしてご覧ください。

以上

(文責:交流委員会)

「先輩からのメッセージ2020」の開催日程のお知らせ

「先輩からのメッセージ2020」の開催日程

                        早稲田応用化学会 交流委員会

 「先輩からのメッセージ」は、学生諸君の企業への理解を深める時期が余裕をもって確保できるよう、開催日を2020年1月18日(土)とし、会場もこれまでと同じく西早稲田キャンパス内で諸準備を進めております。
 学生諸君には参加へ向けてのスケジュール調整をお願いいたします。当日は「企業ガイダンス」ホームページ掲載中の日本を代表する化学系を中心とした約60社に在籍されている応化OB・OGの皆様に日常の仕事や自身の転勤・異動経験等を学部学生でも理解できるように紹介していただきます。また、終了後には講演頂いた先輩およびご同行の皆様を囲んでの懇談会を開催し、その場で学生諸君の疑問や不安について適切なアドバイスがいただけますので、将来の進路決定にも必ず役立つものと確信しております。
 詳細な内容ならびに参加の申し込みは、改めて12月上旬にホームページおよびメールマガジンにてご案内いたします。

1.日 時 2020年1月18日(土)
2.会 場 西早稲田キャンパス54号館 
3.内 容 学生受付:12:00~   (予定)【54号館101教室】
      講演会 :12:30~18:15(予定)【54号館2~3F教室】
      懇談会 :18:30~20:00(予定)【63号館1Fロームスクエア】
4.対象学生 学部生、大学院生(修士、博士、一貫制博士)およびポスドク
      (進路決定を間近に控えた学部3年、修士1年、博士、一貫制博士課程修了予定者およびポスドクを主体としていますが、将来へ備えての学部1・2・4年生、修士2年生の 参加も大歓迎です。)
5.対象学科 応用化学科および応用化学専攻、化学・生命化学科および専攻、生命医科学科および専攻、ナノ理工学専攻、生命理工学専攻等
      (その他学部・研究科・学科・専攻を問いません。)
6.お問合せ 本件に関する問い合わせ・要望等は下記の専用アドレスまでお願いいたします。
       guidance@waseda-oukakai.gr.jp

2019年11月16日(土)第34回交流会講演会のご案内

交流委員会主催 第34回交流会講演会のご案内
2019年11月16日(土)16:30~17:45

講演者   ;山本康雄氏 タカハタプレシジョン株式会社
                  代表取締役社長(CEO)
演題  ;『未来を見据えビジョンを持って挑む』
 副題 ;「必ずしも答えがあるとは限らない世界へ向けて」

今回は、高精度な金型設計、金型製造、精密測定およびその成形技術を軸に、自動車関連部品やデジタル機器、光学機器、住宅設備機器、計量器、医療機器など様々な製品・サービスをグローバルに提供しているTAKAHATAグループの中核企業であるタカハタプレシジョン株式会社の代表取締役社長(CEO)を勤める山本康雄氏をお迎えし、『未来を見据えビジョンを持って挑む』というテーマにてご講演をして頂きます。

本講演の概要
現代は多様な考え・価値観が混沌とする中、もの凄いスピードで変化しています。これからの世界は、さらに速度をあげて、予測が困難な、より不確実性が増す場となっていくでしょう。このような状況下では、自らが意識して外へ目を向け、その場に身を置き、とことん考え抜いていくことが必要となるでしょう。これはビジネスの世界に限らず、どの分野においても共通するでしょう。若者はこれから直面するであろう時代に向けて感性と知性を磨き、年配者はそれが可能な環境作りと教育に力を注がねばならないでしょう。
(講演者から寄せられた紹介文より)

講演者略歴
1988年03月 理工学部 応用化学科 卒業(新制38回、長谷川研究室)
1988年04月 三井物産株式会社 入社
2001年12月 三井物産株式会社 退社
2002年01月 高畑精工株式会社 入社
2003年06月 高畑精工株式会社 社長就任
2010年 社名を「高畑精工株式会社」から「タカハタプレシジョン株式会社」に変更

TAKAHATAグループ企業
タカハタプレシジョン山梨株式会社
タカハタプレシジョン九州株式会社
TAKAHATA PRECISION MOULDING SDN. BHD.(マレーシア)
更に、タイ、中国、ベトナム、アメリカ、インド、オーストラリア、シンガポール、スペインの各国に事業拠点を有する。

皆様お誘い合わせの上、是非奮ってご参加下さい。
講演期日;2019年11月16日(土)
講演会場;早稲田大学 西早稲田キャンパス 52号館 302教室
講演時間;16:30~17:45(受付開始16:00、講演聴講は無料)
懇親会 ;18:00~19:15
懇親会場;56号館 地下1階 理工カフェテリア(懇親会費:3千円、学生無料)
講演者を囲んで懇親会を開催します。
申込みはこちらから

事前登録を11月12日(火)までに頂いた方には、当日受付で名札をお渡し致します。
それ以降の登録の場合は、名札の準備が出来ませんので自筆でお書き頂く事になりますことをご了承下さい。
講演会場、懇親会場では応化会ホームページ掲載用の写真を撮影致しますのでご了承願います。
また講演会場ではビデオ撮影も予定しております。

――― 以上 ―――

 

第33回交流会講演会の報告

講演日時:2019 年7月6日(土)15:00~16:45
講演会場:57号館2階201教室  引き続き63号館1階ロームスクエアで懇親会を実施
講演者 :宮坂力先生 (桐蔭横浜大学 医用工学部 特任教授)
演題 :『理工の応用化学科から発展した光発電の研究』
副題 : ーペロブスカイト太陽電池の飛躍的研究展開ー

講演者略歴
1976年 理工学部 応用化学科 卒業(新26回、土田研究室)
1981年 東京大学大学院 工学系研究科 合成化学博士課程 修了
1981~2001年 富士写真フイルム(株) 勤務
2001年 桐蔭横浜大学 工学部 大学院工学研究科 教授就任
2017年1月 日本化学会賞 受賞
2017年4月 桐蔭横浜大学 医用工学部 特任教授就任
2017年9月クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞 受賞
2019年3月 応用物理学会業績賞 受賞

【講演会】
<講演までの会場の様子>
宮坂先生は日独化学会のオーケストラのコンサートマスターの経験があり、会場では講演開始までの間、2011年にブレーメンで開催された学会で演奏されたオーケストラの映像を流し、和らいだ雰囲気になっていました。
また、受付には、宮坂先生に持ってきていただいた1976年の応化卒業アルバムを同世代の参加者は懐かしそうにページを送っていました。

<講演に先立ち>
西出会長から、宮坂先生との長いお付き合いについて、研究室時代の写真やエピソード、また、“将来を予測した”ユニークなスピーチで紹介が行われ、椎名交流委員長の司会で講演会が開催されました。
参加者:教員・OB/OG・講演会関係者74名、学生71名、合計145名(参加者ベース)

スピーチ:西出会長

司会:椎名交流委員長

<大学での研究>
・早稲田大学時代
土田研究室で、「高分子錯体を用いた炭酸ガスの還元」のテーマの研究を行いました。
当時の研究室の写真から、当時は研究室(間)の人間関係についても触れられました。

宮坂力特任教授

・東京大学時代
早稲田大学時代に興味を持った光エネルギーに関するテーマ「光電気化学を用いた光合成の人工モデル」について研究を行いました。具体的には、酸化スズ電極にLB(Langmuir-Blodgett)法を使ってクロロフィルを被覆して光応答を増感電流として取り出す研究でした。

<富士フイルムでの研究>
ハロゲン化銀を使った色素増感太陽電池、バイオセンサー、人工網膜、リチウム二次電池などの研究開発を行いました。
人工網膜の研究では、秋葉原で自ら抵抗、オペアンプなどの部品を買い集めて光電変換を検証するユニットを作成しました。
<桐蔭横浜大学/ペクセル・テクノロジーズ>
桐蔭横浜大学では、最初、DSSC(色素増感型太陽電池)の開発を行いました。
最近ではIoTの動きの中で、室内で使うようなデバイス、アプリケーションが登場し、改めて注目されています。
2004年に設立したベンチャー企業:ペクセル・テクノロジーズでは新規太陽電池の開発と計測機器の開発を行ってきています。ペクセル・テクノロジーズ社にCRESTの研究経験者が加わったことがきっかけで、桐蔭横浜大学でペロブスカイト太陽電池の研究がテーマ化し、その後、グローバルネットワークの研究者の開発により、高効率の太陽電池への実現が加速しました。
ペロブスカイト構造は1839年に発見されており、また、光伝導性が1950年代には調べられていましたが、その後半世紀以上も光電変換に応用する研究が無かったのは驚きと考えます。
効率は、今後25%を超えることが予測されており、今後実用化の点ではIoT分野への応用やフレキシブル化が期待されています。また、効率・耐久性の向上や非Pb系材料の開発も行われています。

ご講演のプレゼン資料は下記「資料庫へ」のボタンからご参照下さい。閲覧には資料庫のパスワードが必要です。
   

 

質疑:神守学生委員長

 

 

<質疑応答>
講演後、宮坂先生と聴講者の間で、ペロブスカイト太陽電池の実用化、日本の強み、人とのつながりの重要性、新しい分野への関心などについての質疑とレスポンスのやりとりが行われました。

 

【懇親会】
講演会終了後、会場を63号館1階ロームスクエアに移して懇親会が開催されました。
参加者;教員・OB/OG・講演会関係者61名、学生39名、合計100名
安達交流委員の司会のもと、応用化学会橋本副会長の挨拶と乾杯のご発声の後、懇親会が始まりました。
講演会後の懇親会では毎回見かける光景ですが、講師を囲んで、あるいはシニアOB/OG、現役OB/OG、教員および学生が入り混じっての懇談の輪が会場のあちこちに開いて、盛大な懇親会となりました。
今回は、応援部学生に協力をお願いし、懇親会後半に校歌、エールで参加者が声をあわせ、よりいっそう応化会での一体感を感じるものとなりました。

応援部学生による校歌、エール

最後に、関谷交流副委員長の中締めと閉会の挨拶の後、神守学生委員長の一本締めにて解散となりました。

 

*懇親会後、宮坂先生を囲んで、同期会も行われていたとのことでした。

(文責:交流委員会)

――― 以上 ―――

2019年7月6日(土)第33回交流会講演会のご案内

早稲田応用化学会 交流委員会主催 第33回交流会講演会のご案内
2019年7月6日(土)15:00~16:45

講演者 :宮坂力先生 (桐蔭横浜大学 医用工学部 特任教授)
演題  :『理工の応用化学科から発展した光発電の研究』
 副題 :「ペロブスカイト太陽電池の飛躍的研究展開」

今回は、光電気化学、及び環境エネルギー科学を専門分野とされておられます、桐蔭横浜大学の宮坂力(みやさかつとむ)先生をお迎えし、『理工の応用化学科から発展した光発電の研究』というテーマにてご講演をして頂きます。

本講演の概要
私は応用化学科において、炭酸ガス還元の高分子触媒の実験を経験したことがきっかけで、光合成のモデルとなる光エネルギー変換の研究を大学院において始めました。このテーマが30年以上にわたる私の研究を支えてきました。化学工程で作る有機無機ペロブスカイト太陽電池はその延長で生まれた技術で、当初は予想しなかった高い効率レベルまで進化しました。講演では、これまでの研究生活を振り返りながら、学際的色彩の強いペロブスカイト太陽電池の先端研究の現状も紹介し、若い研究者に向けてのメッセージを伝えます。
                                                                                                   (講演者から寄せられた紹介文より)
講演者略歴、及び趣味
1976年  理工学部 応用化学科 卒業(新26回、土田研究室)
1981年  東京大学大学院 工学系研究科 合成化学博士課程 修了
1981~2001年  富士写真フイルム(株) 勤務
2001年  桐蔭横浜大学 工学部 大学院工学研究科 教授就任
2017年1月  日本化学会賞 受賞
2017年4月  桐蔭横浜大学 医用工学部 特任教授就任
2017年9月 『効率的なエネルギー変換を達成するためのペロブスカイト材料の発見と応用』がクラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞
受賞上記の栄誉賞はノーベル賞受賞の有力候補者として、ノーベル賞受賞者が発表される前の毎年9月に発表されている賞で、論文の被引用件数や重要度の観点から受賞者が決まる。
2019年3月  応用物理学会業績賞 受賞

*宮坂力先生の趣味
宮坂先生はバイオリン演奏や弦楽器製作の研究を趣味としておられます。また日独化学会の混成オーケストラのコンサートマスターを経験されており、バイオリンの名器に関する論文を英国の権威ある弦楽器専門誌に寄稿しておられます。

皆様お誘い合わせの上、是非奮ってご参加下さい。
講演期日:2019年7月6日(土)
講演会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス 57号館201教室
講演時間:15:00~16:45(受付開始14:30、講演聴講は無料)
懇親会 :17:00~18:15(63号館1階ロームスクエア、懇親会費:3千円、学生無料)
                  講演者を囲んで懇親会を開催します。

申込みはこちらから

事前登録を7月2日(火)までに頂いた方には、当日受付で名札をお渡し致します。
それ以降の登録の場合は、名札の準備が出来ませんので自筆でお書き頂く事になりますことをご了承下さい。
講演会場、懇親会場では応化会ホームページ掲載用の写真を撮影致しますのでご了承願います。
また講演会場ではビデオ撮影も予定しております。

――― 以上 ―――