2012年度 応用化学専攻 褒賞、奨学金 授与式

2013年3月15日(金)午後3時30分から理工学術院西早稲田キャンパス62号館W棟1階大会議室および同中会議室にて松方正彦教授の司会進行により「2012年度 応用化学専攻 褒賞、奨学金 授与式」が行われました。
式次第
式 次 第

  1. 開会の辞            
  2. 大学院先進理工学研究科長祝辞  西出 宏之教授
  3. 水野賞・水野奨学賞/水野奨学金授与式
    水野賞斉藤 ひとみ君、佐野 直樹君、高橋 克行君(当日欠席)、蔡 一錫君、 迎田 裕貴君、小林 千秋君、山本 大輔君
    水野賞受賞者はこちら
    水野奨学金受給者猪村 直子君、酒井 求君、務川 慧君、中村 竜也君、大島 一真君、 向井 大輝君(当日欠席)、戸ヶ崎 徳大君、小林 慶一君
    水野奨学金受給者はこちら
  • 古賀憲司褒賞授与式  稲本 勝太君、佐々田 哲人君 古賀憲司褒賞受賞者はこちら
  • 来賓ご祝辞 古賀家代表 古賀 純子 様
  • 平田彰奨学金授与式  佐々木 優斗君(当日欠席)、中村 竜也君 平田彰奨学金受給者はこちら
  • 応用化学会給付奨学金授与式  加藤 遼君、佐々田 哲人君、矢部 智宏君、品川 竜也(当日欠席)    応用化学会給付奨学金受給者はこちら
  • 来賓ご祝辞  水野家代表・早稲田応用化学会会長 河村 宏様
  • 受賞者代表挨拶  斉藤 ひとみ君(菅原研究室)
  • 閉会の辞
  • 記念講演会           
    東京工業大学資源化学研究所 教授 山元 公寿 様
    「ナノリアクターを利用したサブナノ粒子の創製」
  • ポスター発表
    • 水野賞受賞者
    • 水野奨学金受給者
    • 古賀憲司褒賞受給者
    • 平田彰奨学金受給者
    • 応用化学会給付奨学金受給者
  • 懇親会
  • 授与式

     

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    先進理工学研究科長
    西出宏之教授祝辞

    初めに大学院先進理工学研究科長 西出 宏之教授から
    「本日、表彰を受ける諸君に先ずおめでとう申しあげます。また、本日のご案内にもありますように水野奨学金、古賀憲司褒賞、平田彰奨学金そして応用化学科の同窓がご尽力いただいております奨学金の授与式を設定いただきました応用化学専攻の桐村主任、また、松方先生はじめご尽力ありがとうございます。
    水野奨学金にありますように水野敏行先輩がその熱い志を若い世代に託している訳でございますし、古賀先生の思いというものも深く読みとれる訳でございます。平田先生につきまして同じように応用化学や早稲田に対する思い、また、若い諸君に対する思いによって設立されました。
    是非、顕彰された皆様にはこの思いを是非重く受け止めていただき、再度、自分はここまで来たのだということを申し上げて感謝の気持ちを表して頂きたいと思いますし、諸君の将来の活躍がその最も大事な評価になる訳ですので、将来チャンレンジしていただきたい。また、応用化学会の同窓からの奨学金につきましては、同窓の先輩の皆さんが気持ちを集めて準備されているものですのでその重みを十分理解していただきたいと思います。
    先進理工学研究科では現在230名余りの博士課程の学生が在籍しており、学内でも最も多い博士への進学または博士への習学を修める研究者になっております。これは今日の皆さまの例でもわかるように学科・学部での勉強、研究室に所属してからの習学、そこである意味わくわくする気持ちで研究また実験に取り組み、自分で仮説を立て、先生からのコメントや同僚、先輩、後輩とのディスカッションをとおして「やってやるのだ、チャレンジするのだ。」との気持ちがあったからこそだと思います。その志を忘れずに後輩に引き継いで頂きたい。

    先進理工学研究科は、明年、2014年度から先進理工学専攻という5年一貫性の博士課程を立ち上げることになっておりまして学内の手続きを終え、これから文部科学省の許認可を受ける段階に入っております。5年一貫教育は、修士号を出さないのでその分余裕が生まれるので海外の研修を6ヶ月間実施し、広い視野での専門性と併せて俯瞰力、進取力を養成し、一つ幅を広げた博士を作り出していこうという第一段を応用化学専攻が中心となる先進理工学研究科で実施しようという試みです。皆さまのこれまでの足跡がそのような形でより大きな、また、一歩進んだチャレンジに繋がっていることをご紹介いたしまして今日の祝辞に代えさせて頂きます。
    顕彰された皆さん、本日はおめでとうございます。将来を大いに期待しております。」旨の祝辞を頂戴した。 。


    水野賞、水野奨学金の授与は、松方 正彦教授の司会で進められ、桐村 光太郎主任教授から受賞者一人ずつに手渡された。


    各賞の歴史と由来説明
    桐村光太郎主任教授

    各賞の歴史と由来についてはその都度桐村 光太郎主任教授から説明がありました。今回は、大学院先進理工学研究科長 西出 宏之教授のご指示で桐村 光太郎主任教授が各賞の授与を行った。


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    来賓ご祝辞 古賀家代表
    古賀 純子様

    古賀憲司褒賞授与式後、今回の授与が最後になるため古賀家を代表して古賀純子様からご祝辞を頂戴した。
    「稲本さん、佐々田さん、褒賞をお受け下さいまして有難うございます。また、今回それぞれの賞を受賞なさった皆様、おめでとうございます。
    主人が他界しましてからこの7月で9年になります。66歳でした。亡くなる前日「案外、いい人生だったな。」と申しました。あらゆる事柄において斜に構えないで、真正面から正攻法で事に当たるというのが故人の生き方でした。最近は斜に構えているほうがなにか格好がいいような風潮がございますけれども、もし、そういう生き方をしていたら「案外いい人生だったな。」という言葉は出てこなかったのではないかと思います。毎年夏に門下生たちがそろってお見舞いにいらして下さいました。夕方、4時から10時ぐらいまで主人の遺影の前で飲みながら経済や研究の話が弾みました。ある年、在学中の思い出をみんなが語られました。様々な理由で進学をためらわれたり、諦めたりされている方が主人に悩みを打ち明けた時、真剣に相談に乗り、何とかしようと答えてくれたそうです。そして、その結果、現在の自分があるのだ。と何人もの方が話されました。私は、初めて聞く話でした。自分を生きる姿勢だけでなく、真正面から来られる門下生たちには必ずきちんと答えていたのだなということを私は知りました。
    これから皆様が歩まれる道の中で、勉学や研究生活においても、また、仕事でも、恋愛においてもうまく立ち回ろうとせず、斜に構えず、真正面からぶつかっていって頂きたいと思います。主人に代わりましてお伝えしたく思います。
    どうぞ夢いっぱいの青春時代を大切にお過ごし下さいまして日本の科学の発展のために多くの独創的なお仕事をしていただきたいと心から願っております。新しい出発への門出にあたりお慶び申しあげます。」 。


    来賓ご祝辞 水野家代表
    河村 宏様

    来賓の水野家代表で早稲田応用化学会会長の河村 宏様から
    「水野賞[論文賞]を貰われた方は、博士論文が通過したという証明であってこれを以って9年間の応用化学での過程を経て第二の人生に進むことで誠におめでとうございます。
    博士というのは名前に価値があるのではなく、高い目標を設定して、それをやり遂げた、というプロセスに世間の人は敬意を払う。そして、何かを期待する。論文がとおったからといってこれで大丈夫だといったら我々の期待を全く裏切ることになりますから是非ともプロセスが大事であり、そのプロセスをみんなが評価しているのだということを忘れないで、更なる高い目標を設定していくことをお願いしたいと思います。
    古賀先生の令夫人から非常に崇高なお話がありましたので私はそれに付け加えることはないのですが、皆さんがこれから出ていく社会には応用化学の先輩が沢山おります。皆さんは応用化学で培われたいわゆる知的な財産で、我々が社会へ送り出す知能です。是非ともここで習得した博士号に恥じないような活躍をして頂きたい。我々も応用化学会としてご相談にはいろいろとのらせていただいて、困ったときにはOBが沢山おりますから応用化学会を利用していただいて結構です。
    それ以外の若い方々は、先輩を目標に追いついて、凌駕してこれから大変な時代になるかもしれませんがご活躍を祈っています。
    応用化学会の会員5,000名の中の約7、8百人の方からの寄付金で応用化学会の奨学金は成り立っています。しかし、寄付して下さった先輩で、ここに書いてあるような奨学金を貰った方はいません。その当時はなかったから。中には大隈賞とか小野賞とかをとった方もいますが、極めて少ない。皆さんは水野賞だけでも290人いますし、なんだかんだたしますと300名を超えると思います。請求書は送りませんが、給料を貰った最初のときとか、ボーナスを貰ったときとかに自発的に応用化学会奨学金に寄付して頂くことを忘れないでほしい。そうすることでこの応化会奨学金は長く継続できると思いますので、是非、皆さんも先輩の気持ちを受け継いで応化会の奨学金への寄付をお願いしたいと思います。
    これからのご健闘を心からお祈り申しあげます。」との祝辞を頂戴した。


    受賞者代表挨拶
    斉藤ひとみ君

    全受賞者・受給者を代表して大学院理工学研究科応用化学専攻 博士後期課程3年斉藤 ひとみ君から
    「このたび西出宏之早稲田大学先進理工学研究科長より水野賞を授かり、身に余る光栄と深く感謝しております。学部・大学院を通じて応用化学の幅広い学問分野のご教授いただきました諸先生方、また、日々の研究のご指導を賜りました菅原義之教授に厚く御礼申しあげます。
    校友、水野敏行氏は、生前より応用化学科・応用化学専攻の発展のため学問への高い志を有する学生に役立つようにとご遺言を残され、ご遺族の方が水野氏のご遺志をついで多額の寄付をされたと伺っております。
    このたびは特に優れた博士論文に対して授与される本賞を賜り、受賞者一同身の引きしまる思いでございます。私は、無機化学研究室において様々な機能性官能基を有する架橋型前駆体を用いた無機−有機ハイブリッドの合成について研究を進めてまいりました。今春より研修の場を大学から企業に移し、これまで応用化学専攻で身に付けた学問をもとに更に邁進して参る所存でございます。
    最後に、水野氏並びにご遺族の方々のご厚意に深く感謝し、謹んで賞をお受けするとともに更なる研鑽を積み、より一層の精進をして参る所存ですのでこれからもご指導、ご鞭撻を賜りますよう心よりお願い申しあげます。」旨の謝辞があり、授与式は閉会となった。

    授与式写真
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    式次第

    褒状授与

    褒状授与

    記念講演会


    山元 公寿 先生

    " 松方正彦教授から山元 公寿教授(新制35回、1985年卒、1990年博士後期課程修了)のご略歴、受賞歴のご紹介があり講演が開始された。
    超原子(superatom)は、2005年から2008年にかけて論文に掲載されました。すなわち、金属原子が数個集まるとクラスター全体の価電子が、原子1個の価電子のように振る舞い、別種の原子が持つ性質の発現に寄与する概念で、例えば、Al13クラスターの例が典型的で、最近ではAuクラスターなどにも拡張されています。具体的にはAl13はハロゲンの性質に、また、Au10は、PtやPdの性質に似てくるといわれています。
     現在、サブナノクラスター(精密に原子数の決まった粒子)は、未開拓の領域ですのでその粒子の創製方法を考案して研究を進めている。例えば、自然界にある金属を含むたんぱく質(Metallo-protein)においては金属の位置が固定されていることをヒントになる。ナノメートルサイズの器を用いて新しい材料を創製する方法として、一つはデンドリマー(樹状球状構造, dendrimer)による精密金属集積、もうひとつはサブナノ微粒子の合成である。先生は、独自のデンドリマー 3~5ナノメートル程度の大きさのPhenylazomethine Dendrimerを利用して研究を重ね、塩基性の程度を徐々に変えた器に、集積順を制御し、原子の数を変えたり、ヘテロ原子集積を利用し、放出制御することによりどの金属が精密集積が可能かを勘案しながら創製した 2Fe→4Ga→8Au→16Sn Dendrimer complexation generation game としてNatureのハイライト論文に選ばれた。
    精密金属集積の展開としては 精密無機合成化学(量子サイズ酸化チタン、サブナノ白金微粒子、ロジュウムクラスター)エレクトロニクス(色素増感太陽電池、光電変換素子、イオンセンサー)、触媒(CO2還元触媒、空気酸化重合触媒)、生物無機機能(鐵貯蔵たんぱく機能)などが挙げられるとのことです。 
    色素増感太陽電池、量子サイズ酸化チタン、サブナノ白金微粒子の創製と性質、触媒能とに関して詳しい説明があったが省略する。講演後、数人からの質問にも丁寧に回答されていました

    記念講演写真
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    講演する山元教授

    聴講する人たち

    熱心な質問者

    ポスター発表

    引き続き、62号館W棟1階中会議室にて各受賞者の対象論文のポスター発表が行われた。


    ポスター発表写真
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    懇親会

    懇親会は、馬車道にて開催された。まず、記念講演を頂いた山元公寿教授を囲んで本日の水野賞、水野奨学金、古賀憲司褒賞、平田彰奨学金および応用化学会給付奨学金の受賞者・受給者全員の写真撮影を行った後、応用化学会 河村会長のご発声による乾杯で懇親会がスタートした。受賞者、教員、応化会関係者、山元教授を交えて和やかに談笑の輪が広がった。


    懇親会スナップ写真
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